JP5311445B2 - 高速かつ高感度バイオセンシング - Google Patents

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Description

本発明は、センサ特にバイオセンサに関し、より詳細には、係るバイオセンサを用いたバイオセンシングプロセスでの、磁気的に作用する‘引き付け’及び/又は‘結合’方法に関する。
医療診断は、中央研究所でも臨床現場でも、集積化及び自動化の方向に向かっていることが特徴である。この理由は、検査は、人の関与を最小にし、高信頼性でかつコスト効率良く実行することが容易である必要があるためである。それと同時に、高感度及び高選択性で検出を行うことの必要性は、ますます増加している。
磁気バイオチップは、流体中の低濃度ターゲット分子を高感度で検出する、診断用の新しい手段として提案された。そのような磁気バイオチップは、感度、選択性、集積化、使いやすさ、及びコストの点で、生体分子診断学上の有望な特性を有する。たとえばGMR磁場センサのような高感度磁気抵抗磁場センサが、適切な生化学的性質を利用して電磁ビーズを選択的に付着させる結果、アレイ形式での検出に適する小型化されたバイオセンサとなる。高速検査の感度及び選択性は大抵の場合、たとえば高い親和力を有する抗原-抗体結合のように、プローブ分子が特定のターゲット分子のみを捕獲するという特性によって供される。そのような免疫学的アッセイ法では、ターゲット分子は、固体支持体上の抗体とセンサによって検出されるラベルとの間に挟まれる。従来、このラベルはフルオロフォアで、プレートリーダーが検出に用いられる。ほとんどの高感度アッセイ法では、検査は、駆動可能な電磁ビーズキャリア上で行われる。従って反応速度は拡散によっては律速されないので、検査速度が向上する。磁気検出は、ラベル用及びキャリア用の両方に電磁ビーズを用いることによって、駆動と検出とを必然的に統一させる。この必然的な統一に加え、磁気ラベルは他に複数の利点を有する。その利点とは、液体は自動蛍光を示すが、そもそもほとんど磁性を示さないため、検出限界の改善が促進されることである。磁性粒子の磁気的検出は、高価な光学系を必要としないにもかかわらず、高速でかつ高感度で、さらには、電子信号を直接得ることが可能であり、かつ必要とされる装置のサイズが小さいため、小型化された診断用センシングに非常に適している。
バイオセンサの目的は、試料、大抵の場合は溶液、中の生体分子の存在を検出及び定量化することである。望ましい属性は、高感度、高選択性、及び高速である。さらにバイオセンサは低コストであることが好ましく、高信頼性でかつ容易に使用できなければならない。
何十年もの間、磁性粒子は、生物学の分野では、生体材料の分離、抽出、及び精製に用いられてきた。近年では、駆動及び検出に用いられる磁性粒子の使用に基づくバイオセンサが開発され始めている。これらの研究では、磁性粒子は、光学的方法、電気的手段、コイル又は磁気抵抗センサによって検出される。ストリンジェンシー(Stringency)には粒子の駆動が用いられることで、検出表面付近に粒子が集まり、又は粒子間結合が促進される。
サンドイッチ状の検定で高感度及び高速を実現するため、以下のプロトコルが行われて良い。
分散:ビーズを流体試料に混合する。
捕獲:ターゲットをビーズに結合させる。
引き付け:ビーズを、センサ装置の結合表面へ向けて運ぶ。
結合:ビーズに、センサの結合領域又は結合位置へ生物学的結合を形成させる。センサの結合表面は、化学的及び/又は生化学的に調製されることで、具体的には選択的な生化学結合を介して、粒子との結合を可能にする部分を有する。サンドイッチ形態の場合では、生化学的結合は、少なくとも以下の構成要素を有する。その構成要素とは、センサ結合表面上の領域、第1結合部分、ターゲット、第2結合部分、及びビーズ、である。
ストリンジェンシー(つまり選択的除去):未結合でかつ弱く結合したビーズを、センサ装置の結合表面から、磁気的又は非磁気的に除去する。相対的な結合力を決定する。
捕獲手順は、高い表面-体積比を供することによって、つまり溶液中の多くの小さな粒子を分散させることによって、非常に高速に行われて良い。しかしこれは、他の工程もまた非常に高速に行うことが可能なときにのみ有効である。しかし熱拡散は、結合表面へ向けて、サブミクロンメートルのビーズを遅く輸送するだけである。その輸送は、たとえば永久磁石によって磁場勾配を印加することによって促進することが可能である(たとえば非特許文献1参照)。
さらにたとえば超常磁性ビーズのような電磁ビーズの磁気的検出に基づく、たとえば100のセンサアレイを有するバイオセンサは、溶液(たとえば血液)中に含まれる多数の異なる生体分子の濃度を同時に測定するのに用いられて良い。これは、電磁ビーズをターゲット分子へ付着させ、印加磁場によってこれらのビーズを磁化し、かつ巨大磁気抵抗(GMR)を用いることによって、磁化されたビーズの漂遊磁場を検出することで実現されて良い。なおその漂遊磁場は濃度に依存する。図1は、結合した状態での励起の例を図示している。電流ワイヤ1aを流れる電流は磁場を発生させ、その磁場はターゲット分子3に付着する電磁ビーズ2を磁化する。従ってセンサ装置の結合表面に存在するビーズ2の各々は、磁力線7で示される磁気モーメントmを発展させる。電磁ビーズ2からの漂遊磁場は、面内磁化成分HextをGMRセンサ4内に導入する。その結果、抵抗変化ΔRGMR(Hext)が生じる。図1では、面内成分Hextは、矢印5で示されている。
短いアッセイ時間を実現するため、電磁ビーズ2は、磁気的に、つまり結合表面6に取り付けられた磁気駆動手段によって、駆動されなければならない。その後、結合過程は、可能な限り効率的に起こる必要がある。このことは、(i)粒子は、センサによって最高の検出感度を有する結合領域上に集められる必要がある、及び(ii)全ての粒子は、結合表面に対する所望の(生)化学的結合を形成する最適の可能性を有する必要がある、ことを意味する。大きな外部永久磁石による引力に係る欠点は、磁性粒子が、表面上に大きく静的な凝集体を形成することである。これは、結合表面への最適な結合条件を与えない。それに加えて、磁石は大きな面内磁場5を与えて良く、その面内磁場5は、センサの抵抗R(H)が非線形に変化する特性を有する領域上に動作点を移動させることで、磁気センサの感度に影響を及ぼす。さらに大きな磁場がセンサを正しく配向させず、かつ磁場のヒステリシス特性に起因したセンサ中での磁場の立ち上がりを導入する恐れがある。
ペリン(Perrin)、Journal of Immunological Methods、第224巻、pp.77、1999年 シュミッツ(K.S.Schmitz)及びシャー(J.M.Schrr)、Journal of Physical Chemistry、第76巻、pp.534、1972年 バウドリー(Baudry)他、Journal of Physics:Condensed Matter、第16巻、pp.R469、2004年 ツァン(Zhang)、Physical Review誌、E51巻、pp.2099、1995年
本発明の目的は、バイオセンシング用に改良された装置及び方法の提供である。
本発明の実施例の利点は、たとえば接触効率(ビーズが結合表面に近接するときに特定の生物学的結合の割合を最大にする)及び/又は接触時間(個々のビーズが結合表面と接する全時間)を増大させることによって、‘結合’過程を最適化できることである。本発明の実施例の利点は、磁性粒子を検出するため、たとえば磁気センサ装置のようなセンサ装置中で磁性粒子をラベルとして用いるときに、流体中のターゲット分子の検出速度を増大させることができることである。本発明の利点は、高速バイオセンシングに適したセンサである。本発明の実施例に従った方法及び装置は、たとえば唾液、痰、血液、血漿、間質液又は尿のような生物学的流体のような流体中に存在する、タンパク質、抗体、核酸(たとえばDNA、RNA)、ペプチド、オリゴ糖、多糖類、又は砂糖のようなターゲット分子を高感度でかつ高選択性で検出することを可能にする。
上記目的は、本発明に従った方法及び装置によって実現される。
本発明の具体的かつ好適態様は、「特許請求の範囲」の独立請求項及び従属請求項中で説明される。
本発明の第1態様では、磁性粒子を検出するたとえば磁気センサ装置のようなセンサ装置が供される。そのセンサ装置は、結合サイトを有する結合表面を有し:
磁性粒子の存在を検出する少なくとも1のセンサ素子、
少なくとも1の磁性粒子を有する磁性構造体をセンサ装置の結合表面へ向けて、その表面へ引き付ける手段、及び
全ての独立した磁性粒子の結合サイトが、高い確率で結合表面上の結合サイトとの接触時間を有するために、結合表面上の結合サイトに対して個々の磁性粒子の位置を再配置及び無作為化する手段、
を有する。
結合表面上の結合サイトに対する個々の磁性粒子の位置を再配置及び無作為化することで、結合サイトへの磁性粒子の結合が改善される。個々の磁性粒子は、多粒子磁性構造体の一部である粒子であって良い。
本発明の実施例に従ったセンサ装置は、センサ装置の結合表面にほぼ平行な長軸を有し、複数の相互独立した磁性粒子を有する多粒子磁性構造体を形成するように備えられた場を発生させる手段をさらに有して良い。場を発生させる手段とは具体的には磁場発生手段である。
センサ装置の結合表面にほぼ平行な長軸を有する多粒子構造体を形成することによって、多粒子構造体中に含まれるほとんどの粒子すなわちビーズと結合表面との間の距離を小さくすることが可能となる。その理由は、多粒子構造が、結合表面に沿って整合するからである。
その少なくとも1のセンサ素子は好適には、たとえばGMR、TMR、AMR又はホールセンサ素子のような磁気センサ素子であって良いが、たとえば光学センサ素子のような別なセンサ素子であっても良い。従って粒子は、磁気的に検出される代わりに、光学的に検出されても良い。
試料体積中に存在する磁性粒子については、個々の磁性粒子の位置を再配置及び無作為化する手段は、ここの磁性粒子が結合表面から解放されるように備えられて良い。それにより、磁性構造体の一部である個々の磁性粒子の90%が試料体積の10%以下に留まる。ここの磁性粒子は、たとえば個々の粒子それ自体であって良いし、又は多粒子構造体であっても良い。従って再配置及び無作為化の間、磁性粒子は、結合表面にほぼ垂直な方向では、結合表面から離れない。磁性粒子は、結合表面に垂直な方向において、結合表面から100μmの範囲内に留まることが好ましく、10μmの範囲内に留まることがより好ましい。磁性粒子の無作為化はたとえば、磁場勾配を時間、振幅、周波数(磁性粒子の振幅及び磁気異方性に依存する)又は方向で変化させることによって実行されて良い。あるいはその代わりに、磁性粒子は、振動励起されるか、又は流体流に曝露されることで無作為化されて良い。
センサは、センサからの読み取りを供するカートリッジリーダーを有する使い捨てカートリッジの形態であって良い。センサは、部分的又は全体的に、半導体チップ上に集積されて良い。多粒子磁性構造体を生成するように備えられた場を発生させる手段は、本発明の実施例に従って、たとえば電流ワイヤのようなオンチップの磁場発生手段であって良く、又はオフチップの磁場発生手段であっても良い。オフチップの磁場発生手段は、バイオセンサ用の使い捨てカートリッジ内に存在するがチップ上にはない磁場発生手段であって良いし、又はカートリッジリーダー内に存在しても良い。
チップ及びカートリッジは、低コストでの大量生産に適した材料で作られる。そのような材料は、有機材料、又は、シリコン、ガラス、プラスチック、複合体、セラミックス等の無機材料である。
本発明の実施例に従うと、多粒子構造体は、磁性粒子鎖、磁性粒子の輪、磁性粒子のクラスタ、又は他の既知である多粒子構造体であって良い。これらの構造体は、基本的には面内に位置する長軸を有する。長軸の向きは、印加磁場の向きに依存する。長軸はまっすぐで良いし、又は曲がっていても良い。
たとえば個々の粒子又は多粒子構造体のような磁性構造体を、センサ装置の結合表面へ向けて、その表面上に引き付ける手段は、オンチップ又はオフチップの手段であって良い。前記磁性構造体を、センサ装置の結合表面へ向けて、その表面上に引き付ける手段は、1よりも大きな比透磁率を有するオンチップ又はオフチップの素子であって良い。つまりたとえば個々の粒子又は多粒子構造体のような前記磁性構造体を引き付ける手段は、磁束ガイドを有して良い。オンチップ又はオフチップの素子は、たとえば個々の粒子又は多粒子構造体のような磁性構造体を、センサ装置の結合表面へ向け、その表面上に引き付ける磁場勾配を変化させるために、位置又は形状を変化させることのできるMEMS(マイクロ電気機械システム)素子の一種であって良い。
本発明に係る一の具体的実施例では、たとえば個々の粒子又は多粒子構造体のような磁性構造体を、センサ装置の結合表面へ向け、その表面上に引き付ける手段は、第1電流ワイヤ及び少なくとも1の別な電流ワイヤを有して良い。別な実施例では、たとえば個々の粒子又は多粒子構造体のような磁性構造体を、センサ装置の結合表面へ向け、その表面上に引き付ける手段は、電流ワイヤのアレイであって良い。
第2態様では、本発明はまた、バイオセンシングプロセスの方法をも供する。そのバイオセンシングプロセスは、上に結合サイトを有する結合表面を有するセンサ装置の手段による磁性粒子の検出を有する。当該方法は:
少なくとも1の磁性粒子を有する前記磁性構造体を、センサ装置の結合表面へ向け、その表面上に引き付ける手順;及び
全ての独立した磁性粒子の結合サイトが、高い確率で結合表面上の結合サイトとの接触時間を有するために、結合表面上の結合サイトに対して個々の磁性粒子の位置を再配置及び無作為化する手順;
を有する。
試料体積中に存在する磁性粒子については、個々の磁性粒子の位置を再配置及び無作為化する手段は、ここの磁性粒子が結合表面から解放されるように備えられて良い。それにより、磁性構造体の一部である個々の磁性粒子の90%が試料体積の10%以下に留まる。ここの磁性粒子は、たとえば個々の粒子それ自体であって良いし、又は多粒子構造体であっても良い。従って再配置及び無作為化の間、磁性粒子は、結合表面にほぼ垂直な方向では、結合表面から離れない。磁性粒子は、結合表面に垂直な方向において、結合表面から100μmの範囲内に留まることが好ましく、10μmの範囲内に留まることがより好ましい。
本発明の実施例に従った方法は、複数の独立した磁性粒子を有し、センサ装置の結合表面とほぼ平行に位置する長軸を有する多粒子磁性構造体を生成するように備えられた磁場をさらに印加して良い。
多粒子構造体を生成する磁場の印加は、磁性粒子鎖を形成する鎖形成磁場を印加することによって実行されて良い。
本発明の実施例に従うと、たとえば個々の粒子又は多粒子構造体のような磁性構造体を、センサ装置の結合表面へ向け、その表面上に引き付けるのは、オンチップ又はオフチップの磁場を印加することによって実行されて良い。実施例の中には、たとえば個々の粒子又は多粒子構造体のような磁性構造体を、センサ装置の結合表面へ向け、その表面上に引き付けるのは、センサ装置の結合表面にほぼ垂直な方向に磁場勾配を印加することによって実行されて良いものもある。
センサ装置は、それが磁気センサ装置である場合には、高感度方向を有する磁気センサ素子を少なくとも1つ有して良い。たとえば個々の粒子又は多粒子構造体のような磁性構造体を、センサ装置の結合表面へ向け、その表面上に引き付けるのは、磁気センサ素子の高感度方向に磁場を印加することによって実行されて良い。本発明に従った他の実施例では、センサ装置は、少なくとも第1電流ワイヤ及び第2電流ワイヤを有して良く、たとえば個々の粒子又は多粒子構造体のような磁性構造体を、センサ装置の結合表面へ向け、その表面上に引き付けるのは、第1電流ワイヤを流れるように第1電流を送り、かつ第2電流ワイヤを流れるように第2電流を送ることによって実行されて良い。第1電流及び第2電流の大きさは等しくて良い。第1電流と第2電流の方向は互いに反対であって良い。さらに別な実施例では、たとえば個々の粒子又は多粒子構造体のような磁性構造体を、センサ装置の結合表面へ向けて、その表面上に引き付けるのは、電流ワイヤのアレイによって実行されて良い。
本発明の他の実施例では、結合表面に対してほぼ平行な長軸を有する多粒子構造体の生成は:
面外の多粒子構造体、つまり結合表面に対して基本的には平行に位置していない多粒子構造体、を形成する第1磁場を印加する手順、及び
それに続いて、基本的には、センサ装置の結合表面に対してほぼ平行な面内に位置する長軸を有するように多粒子構造体を配向させる手順、
を有して良い。
従って磁場は、個々の磁性粒子と結合表面との間での接触が最大となるように回転して良い。
本発明に係るこれら及び他の特性、特徴及び利点は、添付の図と共に以降の詳細な説明を参照することで明らかとなる。添付の図は例示で本発明を説明する。この説明は例示を目的とするのみであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。以降で引用する参考図は添付の図を指す。
各異なる図において、同一参照符号は、同一又は類似の構成要素を指すものとする。
特定の図を参照しながら、具体的実施例について、本発明を説明する。しかし本発明は参照された具体的実施例によっては限定されず、「特許請求の範囲」に記載された請求項によってのみ限定される。示された図は単なる概略に過ぎず、非限定的である。図においては、例示目的のため、大きさが誇張され、かつ正しいスケールで描かれていない構成要素がある。
さらに、明細書及び特許請求の範囲に記載されている第1、第2、第3等の語は、同様の構成要素を区別するために用いられており、必ずしも生起順序又は時系列順序を表すものではない。よって用いられているそれらの語は適切な状況下では交換可能であり、本明細書で説明されている本発明は、説明すなわち例示されている順序以外の順序での動作が可能であることに留意すべきである。
しかも、明細書及び特許請求の範囲に記載されている上部、下部、上、下等の語は、説明目的で使用されており、必ずしも相対的位置を表すものではない。よって用いられているそれらの語は適切な状況下では交換可能であり、本明細書で説明されている本発明は、説明すなわち例示されている順序以外の順序での動作が可能であることに留意すべきである。
本発明はバイオセンシング用の装置及び方法を供する。本発明の利点は、たとえば磁気センサ装置のようなセンサ装置を用いることによって実行されるバイオセンシングプロセスの速度を改善できることである。ただしセンサ装置は磁気センサ装置に限定されない。磁気センサ装置を用いたバイオセンシングプロセスでは、磁性粒子又は電磁ビーズは、直接的又は間接的にターゲット分子に付着する。ターゲット分子とはたとえば、タンパク質、抗体、核酸(DNA、RNA)、ペプチド、オリゴ糖若しくは多糖類若しくは砂糖、小分子、ホルモン、薬、代謝体、細胞若しくは細胞片、又は細胞組織片である。これらの分子は流体中で検出される。その流体は、そのままの試料であっても良いし、又はバイオセンサに挿入する前にすでに処理されたもの(たとえば希釈、消化吸収、分解、生化学的修飾、濾過、又は緩衝溶液への溶解)であっても良い。そのままの流体はたとえば、唾液、痰、血液、血漿、間質液若しくは尿のような生物学的流体、又は飲料用流体若しくは環境中に存在する流体のような他の流体、又は試料の前処理の結果生じた流体であって良い。流体はたとえば、生検、排泄物、食料、飼料及び環境中の試料から得られる固体の試料材料の元素を有して良い。
センサ装置の表面は、その上に分子を付着させることによって修飾されて良い。そのように修飾された表面は、流体中に存在するターゲット分子を結合させるのに適している。センサ表面にはまた、有機体(たとえばウイルス又は細胞)又は有機体片(たとえば細胞組織片、細胞片、細胞膜)が供されても良い。生物学的結合表面は、センサチップと直接的に接して良いが、結合表面とセンサチップとの間にギャップが存在しても良い。たとえば結合表面は、たとえば有孔性材料のような、チップから分離した材料であって良い。そのような材料は、又はたとえばシリコン、ガラス、プラスチック等の中に存在するマイクロチャネルからなる、横方向に流れる材料、すなわち貫流材料(flow through material)あって良い。結合表面は、センサチップ表面と平行であって良い。あるいはその代わりに、結合表面は、センサチップ表面に対するある角度、たとえばそのセンサチップに垂直な角度、未満であって良い。
磁性粒子又はターゲット分子/磁性粒子の結合は、センサ装置表面に結合可能となる前に、その表面へ向かって引き付けられなければならない。ここで本発明の実施例は、「背景技術」で述べたアッセイプロトコル中での‘引き付け’段階及び/又は‘結合’段階のうちの少なくとも1段階の速度を改善することによって、バイオセンシング速度を改善する方法を供する。本発明の実施例に従うと、引き付け段階は、ターゲット分子/磁性粒子の結合に係る磁気駆動によって速度が向上して良い。‘結合’プロセスは、接触効率(ビーズが結合表面に近接するときに特定の生物学的結合の割合を最大にする)及び/又は接触時間(個々のビーズが結合表面と接する全時間)を増大させることによって最適化されて良い。
第1態様では、図中には明示的に示されていないが、本発明は、結合表面上の結合サイトに対する個々の磁性粒子の位置を再配置及び無作為化する手段の利用を提案している。その手段の利用により、全ての独立した磁性粒子の結合サイトが、結合表面上の結合サイトとの接触時間を有する確率が高まり、よって結合プロセスを最適化される。磁性粒子は、たとえば結合若しくは非結合アッセイ、サンドイッチアッセイ、置換アッセイ、阻害アッセイ又は競合アッセイのような様々な型のアッセイに用いられて良いことに留意しなければならない。以降では、結合アッセイ、より具体的にはサンドイッチアッセイに焦点を当てることにする。しかし説明される方法は、この型のアッセイに限定されるわけではない。
バイオセンサアッセイでは、‘引き付け’及び‘結合’段階は、可能な限り効率的でかつ高速である必要がある。‘引き付け’段階では、ビーズは、流体容積からセンサ結合表面近傍の領域へ集められる。結合表面へ向かって粒子を引き付けるのに必要な時間は、可能な限り短くなければならず、30分より短く、好適には10分よりも短く、より好適には1分よりも短くなければならない。
‘結合’段階では、結合された結果として生成されるビーズ集合体は、結合表面に、より近づけられる。その際、センサ上の捕獲すなわち結合領域、つまりたとえば磁気センサのようなセンサによる検出感度及び生物学的結合の選択性が高い領域、への所望の(生)化学的結合の発生が最適化される。‘結合’プロセスの最適化は些末なことではない。従って、接触時間(個々のビーズが結合表面と接する全時間)だけではなく接触効率(ビーズが結合表面に近接するときに特定の生物学的結合の割合を最大にする)をも増大させる必要がある。
最初に接触効率について論じることにする。接触効率は、センサに最も近接するビーズの表面とセンサ上の結合領域表面との間の接触に関する。理想的には、ビーズ表面上の生物学的分子とセンサの結合領域表面上の生物学的分子との間の距離は、生物学的分子の大きさのオーダーでなければならない。それはたとえば0-100nmの距離である。
表面近傍にあって、磁場勾配に曝露されている単一ビーズについては、接近距離ξは、熱揺らぎと磁力とを比較することによって推定されて良い。磁力は次式で与えられる。
Figure 0005311445
よって磁場勾配∇Bが、粒子すなわちビーズを結合表面へ向けて引き付けるために生成されなければならない。磁場勾配∇Bが大きくなればなるほど、つまりビーズに作用する力Fが大きくなればなるほど、接近距離ξは小さくなる。磁場勾配∇Bは様々な方法で生成されて良い。たとえば外部手段(たとえば外部磁石又はコイル)によって生成されて良い。外部コイルはたとえば、25T/mの磁場勾配を生成して良い。磁場勾配はまた、少なくとも1の電流ワイヤによって生成されても良い。その場合、勾配は、次式によって推定されて良い。
Figure 0005311445
ここでIは電流ワイヤを流れる電流で、rは電磁ビーズと電流ワイヤとの間の距離である。一例として、ビーズから0.5μmの距離での10mAの電流は、ビーズを基準にとって8×103T/mの磁場勾配を発生させて良い。
別な例として、センサ表面に埋め込まれた磁性材料近傍の磁場勾配の大きさが計算される。その例では、電磁ビーズは材料中に埋め込まれているものとする。磁気モーメントmを有する球状ビーズの中心から距離rでの磁場勾配の大きさは、以下の近似式で与えられる。
Figure 0005311445
簡明を期すため、式(8)では、係数にして2の差異を与るものと思われる勾配の角度依存性は無視されている。たとえばm=10-16Am2の磁気モーメントを有する300nmのビーズは、距離400nmで約2×103T/mの勾配を発生させて良い。
たとえば磁場勾配が103T/mであると仮定する。式(6)から、単一ビーズ構造体(又は本発明の第2態様のように多ビーズ構造体)から生じる、10-15Am2以上の磁気モーメントmでは、4nm(m=10-15Am2の場合)又はそれ以下(m>10-15Am2の場合)の接近距離すなわち引き付けられる距離ξが、室温で実現可能となる。このことは、たとえば10T/mから10000T/m範囲の現実的な磁場勾配を用いることで、非常に小さな距離が原則として実現可能であることを意味する。それにより、効率的な生物学的結合を起こすことができる。
次に接触時間について論じることにする。多数のビーズすなわち粒子がセンサ装置の結合表面に引き付けられ、かつ完全な結合表面が磁性粒子によって覆われるとき、形成される磁性構造体は、非常に高密度なだけでなく、固定的かつ剛性である。並進に係る制限のため、大部分の粒子は結合表面に到達できず、所望である特定の生物学的結合を形成する機会を得ることができない。これにより、バイオセンサ中での信号が失われるので、誤った読み取りを引き起こすか、又は不要なまでにアッセイ時間を長くしてしまう。
発明者らは、個々のビーズが回転自由度を有することを理解していた。たとえば超常磁性ビーズは、非常に弱い磁気異方性を有するので、粒子の磁気モーメントとその物理的配向との間に存在する相関は非常に弱い。熱エネルギーは、電磁ビーズの回転(回転拡散)を引き起こし、その結果ビーズはその表面領域の大部分を結合表面に曝露させる。表面同士が曝露されることで、特定の生化学的結合の形成が可能となる。
本発明に従うと、たとえばセンサ装置の結合表面へ個々の磁性粒子を引き付ける磁場を除去及び再印加することによって、又はビーズの回転励起によって、又は攪拌若しくは音響振動のような流体の運動を利用することによって、磁性粒子は、一様又は非一様に無作為化されて良い。無作為化されたとは、結合表面に引き付けられるがその面とは結合しない磁性粒子が、その結合表面から短い距離だけ離れるように移動するが、その結合面からは決して非常に遠く離れないことを意味する。つまりそのような粒子は、z方向つまり結合表面に垂直な方向において、結合表面から非常に短い距離の範囲内に留まる。そのような粒子は結合表面に対してほぼ垂直な方向において、その表面から100μmの範囲内に留まるのが好ましく、その表面から10μmの範囲内に留まるのがより好ましい。本発明に従うと、粒子は、結合表面に引き付けられる磁性粒子の90%が、試料体積の10%以下以内に留まるように、結合表面から離れるように移動する。粒子は完全な試料体積には分散されない。引き付けと無作為化が繰り返されることで、電磁ビーズと結合する生物学的材料が、全アッセイ中に、センサ装置の結合表面上の結合サイトに、高い確率で少なくとも1度接することを保証する。つまり全ターゲットが、センサ装置の結合表面上の結合サイトとかなり高い確率で接触時間を有することが保証される。
よって磁性粒子又は電磁ビーズは、磁場勾配の手段によって、結合表面へ向かって、その表面上に引き付けられる。
アッセイは、(ビーズを結合表面へ引き付けることによって)特定の結合を最大に、結合の妨害を最小にし(すべてのビーズは、センサ装置の結合表面上の結合サイトと高い確率で相互作用しなければならない)、かつ(ビーズと結合表面との間の所望の結合を壊す力を誘起するため)意図しない未結合を最小にするように設計されなければならない。
説明したように、磁性粒子の回転は、生化学アッセイでの曝露割合と結合割合を最適化するのに用いられて良い。回転は熱エネルギーによって引き起こされるが、時間変化する印加磁場によって発生又は発展しても良い。最初に、磁性粒子が溶液中に存在するとき、これらの磁性粒子の回転は、溶液中の生物学的材料と磁性粒子表面との間の相互作用及び結合割合を増大させることができる。このことはたとえば、アッセイでの採集すなわち捕獲段階に適用される。磁性粒子は、試料溶液中の特定生物学的材料との結合、及び/又はこの材料の抽出に用いられる。第2に、磁性粒子が、たとえばバイオチップ表面又は細胞表面のような他の体に対して回転するとき、ラベルと他の体との間の相互作用及び結合割合を増大させることが可能となる。結合割合の増加は、ラベルの表面領域が磁性粒子上の関係する分子結合領域の大きさに対して大きいときに、特に重要であると思われる。このことはたとえば、低濃度アッセイ、つまり捕獲すなわち採集段階で磁性粒子表面上に関心ある生物学的材料をほとんど得られない場合、に当てはまる。参考用に、生体分子の動力学における配向及び回転の役割についての計算は、非特許文献2で見ることができる。
理想的な回転速度は、所与のアッセイ時間内に生成される必要のある生物学的結合についての未結合割合が受容できる程度である、最適な結合割合で与えられる。換言すると、回転は選択性のみならず感度についても最適化される。所望である特定の結合の損失を避けるため、印加磁場は1nN未満である必要がある。
第2態様では、本発明は、バイオセンシング速度を増大させるため、たとえば以下に限定されるわけではないが磁性粒子又は電磁ビーズ鎖又は列のような多粒子磁性構造体の使用についてさらに提案している。より詳細には、本発明に従うと、多粒子構造体は、バイオセンシング手順での‘引き付け’及び/又は‘結合’プロセス段階の速度を増大させるのに用いられる。磁性粒子は、たとえば結合若しくは非結合アッセイ、サンドイッチアッセイ、置換アッセイ、阻害アッセイ又は競合アッセイのような様々な型のアッセイに用いられて良いことに留意しなければならない。以降では、結合アッセイ、より具体的にはサンドイッチアッセイに焦点を当てることにする。しかし説明される方法は、この型のアッセイに限定されるわけではない。多粒子構造体を用いる利点は、反磁場が減少するため、その構造体内部の個々の粒子が大きな磁気モーメントを有することである。それに加えて、そのような構造体の全磁気モーメントは個々の粒子の場合よりも大きくなる。磁気モーメントが大きくなるので、係る構造体の磁力も個々の粒子の場合よりも大きくなる。多粒子磁性構造体への印加が可能な力は、以下の式(1)で与えられる。
Figure 0005311445
ここで、mは多粒子構造体の磁気モーメント、Bは印加磁場、及び∇Bは印加磁場の勾配である。多粒子構造の全磁気モーメントmは大きくなるので、たとえば100の粒子からなる鎖は、単一粒子すなわちビーズよりも、約100倍の力を生じさせることができる。本発明の第2態様に従った多粒子構造体は、大きな粒子と小さな粒子とが結合したものを有して良いが、小さな粒子を有する構造体であっても良い。一般的に多粒子構造体は、5から数千の磁性粒子又は電磁ビーズを有して良く、さらに多数の粒子も可能である。
以降の説明では、磁性粒子鎖又は列の手段によって、本発明の第2態様について説明する。しかし、これは単に説明の便宜のためだけであり、このことで本発明が限定されないことに留意して欲しい。たとえば磁性粒子のクラスタ、又は単一若しくは多数の環、又は磁性粒子の輪のような他の多粒子構造体もまた、本発明の第2態様に従って用いられても良い。
よって本発明の第2態様に従って用いることができる多粒子構造体の一例は、磁性粒子又は電磁ビーズ鎖10である。磁性粒子又は電磁ビーズ間での磁力が熱運動を凌駕するときに、ビーズは鎖10を形成することは既知である。磁場中で磁性粒子又は電磁ビーズを磁化することは、隣接するビーズ間での双極子-双極子相互作用を導入する効果を有する。その結果、相互作用エネルギーが熱エネルギーを凌駕する場合に、磁力線の方向に磁性粒子鎖10が生成される。やがて、鎖10は互いに相互作用することで、柱を形成する。たとえば磁場勾配のない均一磁場では、鎖及び柱は、双極子モーメントによって引き起こされる反発力によって、規則的なパターンに配列することができる。これは図2に図示されている。図2は、50μmの正方形毛細管11内に均一磁場が存在する状態での、電磁ビーズ相互作用及び鎖10の形成を図示している[非特許文献3]。
形成される多粒子構造体は、印加磁場パターン、磁場を印加する時間、用いられるビーズの型(たとえばビーズの、大きさ、磁化率、磁気異方性、形状、超常磁性又は強磁性特性に依存する)、及びビーズの濃度によって決定される。磁場パターンを考慮すると、曲がった鎖は、たとえば曲率を有する磁場を印加することによって形成されて良い。粒子のクラスタを形成するには、たとえば環状ワイヤが用いられて良い。粒子は、ワイヤ環の中心である最も磁場が大きい領域へ引き付けられる。粒子の環すなわち輪8を得るには、電流ワイヤ9は、全ての面から自由にアクセスできるセグメントが用いられて良い。これは、図25に図示されている。磁力線は電流ワイヤ9の端部に沿い、粒子は輪すなわち環9を形成するように配列する。長い緩和時間を有する粒子は、磁場が除去されるときには、環状のままである。さらに、最初鎖として配置されている磁性粒子は、磁場が除去されるときには環すなわち輪を形成して良い。
以降の説明では、ビーズ10の鎖の手段によって、本発明の第2態様についてさらに説明する。しかし、これは単に説明の便宜のためだけであり、このことで本発明が限定されない。以降では、粒子鎖10の形成について論じる。接している2の平行な双極子の相互作用エネルギーと熱エネルギーとの比λは以下の式で与えられる。
Figure 0005311445
Uは電磁ビーズ間での相互作用エネルギー、kはボルツマン定数1.38054×10-23J/K、及びTはケルビン単位の温度である。相互作用のエネルギーUはまた次式のように表されても良い。
Figure 0005311445
μ0は真空での透磁率(4π×10-7H/m)、m1及びm2は、それぞれ第1及び第2磁性粒子又は電磁ビーズの磁気モーメント、rは磁性粒子又は電磁ビーズの中心間距離、及びベクトルrは2粒子の中心間の経路方向での単位ベクトルである。これは、それぞれが異なる半径を有する粒子に拡張されて良い。たとえば大きなモーメントを有する大きなビーズと小さなモーメントを有する小さなビーズとの混合物の場合、大きなモーメントを有するビーズが、所与の中心間距離で、互いにより強く引かれ合う。その結果、大きな粒子が鎖を形成できる一方で、小さなモーメントを有する粒子は、大きな粒子の極の周辺又は可能な限り近くに集まる。大きな粒子鎖を操作することで、小さな粒子は直接的に操作される。式(2)及び式(3)にm1= m2を代入することで、次式が得られる。
Figure 0005311445
rは粒子間の中心間距離である。従って粒子が近接している場合には、rは粒子の直径である。アデムテック(Ademtech)から入手可能である、0.1Tの励起磁場中で1.5×10-15Am2の磁気モーメントmを有する直径300nmの磁性粒子の場合、λは約4×103の値を有して良い。磁気的相互作用の力は、磁性粒子又は電磁ビーズへの熱的影響よりも大きいので、その結果、磁性粒子からなる鎖10が生成される、ということを示唆している。λが減少するとき、鎖10中のビーズの運動に係る自由度は増大し、鎖10は形状の変動を示す。比が1よりも小さくなるとき、鎖10は分解する。
引き付け合うように配置されている(同一の性質を有する極が触れていない状態)磁性粒子又は電磁ビーズ間の相互作用すなわち引力Fintは、以下の式で表すことができる。
Figure 0005311445
FintはN単位で表されている。
本発明の第2態様に従うと、超常磁性粒子又はビーズが用いられて良い。超常磁性粒子又はビーズは、非常に小さな強磁性ビーズであるため、外部磁場が失われるとすぐにその磁気モーメントを失う。超常磁性粒子又はビーズはすぐに磁化されて大きな磁気モーメントを有し、検出を容易にする。しかし相互の磁気的引力は働かなくなるように切り換えられるので、不可逆的な凝集は防止することができる。一般的には、たとえば約300nmの直径を有する超常磁性粒子又はビーズは、ビーズ鎖10を形成するのに、わずか4mTから10mTの磁場を必要とするだけで良い。鎖形成速度及び鎖の長さは、粒子すなわちビーズの濃度及び粒子すなわちビーズの磁気モーメントによって決定することができる[非特許文献4]。本発明の実施例に従った鎖10はたとえば、約100粒子のオーダーの長さを有して良い。磁性粒子又は電磁ビーズの表面は、可逆的凝集が可能となるように調製されて良い。つまり可逆的凝集が可能となるように調製されることで、磁場存在下では多粒子構造体が形成され、かつその後磁場が除去されるときに多粒子構造体が分解する。実験によって、アデムテック(Ademtech)社から入手可能であるたとえば300nmの粒子によって、可逆的な鎖の形成が可能であることが示された。ビーズ表面は、固定化を避け、かつ可逆的な鎖形成を可能にするように調製されて良い。これはたとえば、エントロピーによる斥力を起こすためにポリマー層を成膜することによって、立体構造による妨害によって、及び/又は表面上に電荷を付与することによって実行されて良い。非常に強い磁場では、あまりに近接する結果、特定でない接合が生じるため、ある程度の不可逆的結合が起こってしまうものと思われる。そのような場合には、印加磁場を減少させなければならない。
上述したように、バイオセンサアッセイでは、‘引き付け’及び‘結合’段階は、可能な限り効率的でかつ高速である必要がある。‘引き付け’段階では、ビーズは、流体容積からセンサ結合表面近傍の領域へ集められる。結合表面へ向かって粒子を引き付けるのに必要な時間は、可能な限り短くなければならず、30分より短く、好適には10分よりも短く、より好適には1分よりも短くなければならない。
‘結合’段階では、結合された結果として生成されるビーズ集合体は、結合表面に、より近づけられる。その際、センサ上の捕獲すなわち結合領域、つまりたとえば磁気センサのようなセンサによる検出感度及び生物学的結合の選択性が高い領域、への所望の(生)化学的結合の発生が最適化される。‘結合’プロセスの最適化は些末なことではない。従って、接触時間(個々のビーズが結合表面と接する全時間)だけではなく接触効率(ビーズが結合表面に近接するときに特定の生物学的結合の割合を最大にする)をも増大させる必要がある。
接触効率及び接触時間は、本発明の第1態様に関連してすでに論じた。
接触時間については、多数のビーズすなわち粒子がセンサ装置の結合表面に引き付けられ、かつ完全な結合表面が磁性粒子によって覆われるとき、多粒子構造体は、非常に高密度なだけでなく、固定的で、かつ剛性である。並進に係る制限のため、大部分の粒子は結合表面に到達できず、所望である特定の生物学的結合を形成する機会を得ることができない。これにより、バイオセンサ中での信号が失われるので、誤った読み取りを引き起こすか、又は不要なまでにアッセイ時間を長くしてしまう。
上述の解析から、多数のビーズを有する構造体は、結合表面を有する多くの接触領域を有するが、多数のビーズを有する構造体内部での並進方向の動きが小さいため、磁気バイオセンサ中では有利に用いることができない、という結論が導かれる。しかし発明者らは、これを解決する方法が存在することを理解していた。従って、多数のビーズを有する構造体内部では、個々のビーズが回転自由度を有するに違いないと考えていた。たとえば超常磁性ビーズは、非常に弱い磁気異方性を有するので、粒子の磁気モーメントとその物理的配向との間に存在する相関は非常に弱い。熱エネルギーは、電磁ビーズの回転(回転拡散)を引き起こし、その結果ビーズはその表面領域の大部分を結合表面に曝露させる。表面同士が曝露されることで、特定の生化学的結合の形成が可能となる。
換言すると、本発明に従うと、たとえばセンサ装置の結合表面へ個々の磁性粒子を引き付ける磁場を除去及び再印加することによって、又はビーズの回転励起によって、又は攪拌若しくは音響振動のような流体の運動を利用することによって、磁性粒子は、一様又は非一様に無作為化される場合には、多数のビーズを有する構造体はバイオセンサ中で用いられて良い。無作為化されたとは、結合表面に引き付けられるがその面とは結合しない磁性粒子が、その結合表面から短い距離だけ離れるように移動するが、その結合面からは決して非常に遠く離れないことを意味する。つまりそのような粒子は、z方向つまり結合表面に垂直な方向において、結合表面から非常に短い距離の範囲内に留まる。そのような粒子は結合表面に対してほぼ垂直な方向において、その表面から100μmの範囲内に留まるのが好ましく、その表面から10μmの範囲内に留まるのがより好ましい。本発明に従うと、粒子は、多粒子構造体の一部である磁性粒子の90%が、試料体積の10%以下以内に留まるように、結合表面から離れるように移動する。粒子は完全な試料体積には分散されない。引き付けと無作為化が繰り返されることで、電磁ビーズと結合する生物学的材料が、全アッセイ中に、センサ装置の結合表面上の結合サイトに、高い確率で少なくとも1度接することを保証する。つまり全ターゲットが、センサ装置の結合表面上の結合サイトとかなり高い確率で接触時間を有することが保証される。
よって磁性粒子又は電磁ビーズは、磁場勾配の手段によって、結合表面へ向けて、かつその表面上に引き付けられる。結合プロセスに関与するビーズは、多数のビーズを有する構造体の一部である。そのビーズは、その周辺、つまりビーズ直径の2倍のビーズ表面間距離の範囲内に存在する少なくとも1の他のビーズ表面を有する確率を有し、その確率は80%よりも高い確率である、ことを特徴とする。
アッセイは、(ビーズを結合表面へ引き付けることによって)特定の結合を最大に、結合の妨害を最小にし(すべてのビーズは、センサ装置の結合表面上の結合サイトと高い確率で相互作用しなければならない)、かつ(ビーズと結合表面との間の所望の結合を壊す力を誘起するため)意図しない未結合を最小にするように設計されなければならない。
説明したように、磁性粒子の回転は、生化学アッセイでの曝露割合と結合割合を最適化するのに用いられて良い。回転は熱エネルギーによって引き起こされるが、時間変化する印加磁場によって発生又は発展しても良い。最初に、磁性粒子が溶液中に存在するとき、これらの磁性粒子の回転は、溶液中の生物学的材料と磁性粒子表面との間の相互作用及び結合割合を増大させることができる。このことはたとえば、アッセイでの採集すなわち捕獲段階に適用される。磁性粒子は、試料溶液中の特定生物学的材料との結合、及び/又はこの材料の抽出に用いられる。第2に、磁性粒子が、たとえばバイオチップ表面又は細胞表面のような他の体に対して回転するとき、ラベルと他の体との間の相互作用及び結合割合を増大させることが可能となる。結合割合の増加は、ラベルの表面領域が磁性粒子上の関係する分子結合領域の大きさに対して大きいときに、特に重要であると思われる。このことはたとえば、低濃度アッセイ、つまり捕獲すなわち採集段階で磁性粒子表面上に関心ある生物学的材料をほとんど得られない場合、に当てはまる。参考用に、生体分子の動力学における配向及び回転の役割についての計算は、非特許文献2で見ることができる。
理想的な回転速度は、所与のアッセイ時間内に生成される必要のある生物学的結合についての未結合割合が受容できる程度である、最適な結合割合で与えられる。換言すると、回転は選択性のみならず感度についても最適化される。所望である特定の結合の損失を避けるため、印加磁場は1nN未満である必要がある。
本発明の第2態様に係る第1実施例に従うと、センサ装置15のセンサ表面に対してほぼ垂直に、つまり図中では配向軸として示されているz軸に、配向する磁場を用いている様子が図3に図示されている。これは図3に図示されている。矢印12で示された均一磁場は、上述したように複数の磁性粒子又は電磁ビーズ13を有する粒子又はビーズ鎖10の形成を誘起する。続いて、磁性粒子又は電磁ビーズ鎖10をセンサ装置15の表面14へ引き付ける磁場勾配が発生して良い。磁場勾配は、少なくとも1の磁場勾配発生手段16によって供されて良い。図3に図示された例では、磁場勾配は、外部コイル16によって発生して良い。外部コイル16はセンサ装置15の下に設けられ、かつセンサ14へ向かう及びセンサ14からの力を発生させるのに用いられる。本発明の実施例では、本発明に従って用いられて良いセンサ装置15は、少なくとも1の磁気センサ素子、及び、ビーズ鎖10を形成する磁場を発生させる少なくとも1の磁場発生装置を有して良い。好適には磁場センサ素子は、たとえばGMR、TMR又はAMRセンサ素子のような磁気抵抗センサ素子であって良い。生体分子診断は一般的に、再利用可能な読み取りシステム、及び、試料が入る使い捨て可能なユニットを有する。磁場発生コイルは、リーダーの一部、又は使い捨て可能ユニットの一部であって良い。使い捨て可能ユニットでは、コイルは外側材料(一般的にはプラスチック)内に埋め込まれて良いし、又はビーズの磁場検出をも実行するチップ上に集積されても良い。代替実施例に従うと、センサ装置15は、たとえば光学センサ素子のような少なくとも1の非磁気センサ素子を有して良い。
z方向に配向したビーズ鎖は、大きくかつより均一な磁場に加えて小さな磁場勾配を印加することによって、センサ近傍又はセンサ上にさえ小さな領域に集中させられて良い。これは図26に図示されている。図26は、z軸つまりビーズ鎖10の長軸に沿った軸から見た図を示している。ビーズ鎖10は白丸で現されている。
z方向に配向した磁場はビーズ鎖10を形成する。局所的電流ワイヤは環30の中心部での磁場勾配を発生させる。環30によって発生する磁場が外部磁場と同一配向を有するとき、その磁場は、環の外側でよりも、環30の内部で、より大きくなる。従って鎖10は環30の中心部に引き付けられる。電流が反転するとき、環30によって発生する磁場は環30の中心部での外部磁場と対向する。その結果、鎖10は環30から押し出される。同様に、図27は、ビーズ鎖10の長軸に沿って、中心部にセンサを有する2の電流ワイヤを有する配置を見た上面図である。図27は、どのようにして、電流ワイヤ中を流れる電流がセンサ結合領域へビーズ鎖10を集中させるのに用いることができるのかを図示している。
チップ内の磁気センサ又は他の磁性材料の存在は、その静磁気的特性又は磁束ガイド特性のため、センサ付近の磁場に影響を及ぼす恐れがあることに留意しなければならない。面外に鎖が配向することの利点は、磁性薄膜の面内での形状異方性により、磁束ガイドが小さいことである。磁場勾配は、鎖形成磁場12の変調によって、面内で変調される。その結果、ビーズ鎖10はセンサ表面14に引き付けられる。変調が逆位相で印加されるとき、磁場勾配は反転し、その結果ビーズ鎖10はセンサ表面14から斥力を受けると考えられる。このことは図4に図示されている。図4は、センサ装置14からの磁性粒子又は電磁ビーズ鎖10への斥力(参照番号17)、及び、センサ装置14への磁性粒子又は電磁ビーズ鎖10の引力(参照番号18)の効果をそれぞれ示している。ビーズ鎖10の斥力はストリンジェンシーを発生させることができる。そのストリンジェンシーは、センサ表面14上で、(強く)結合したビーズ又は粒子13と弱く結合したビーズ又は粒子13との差異をつけることができる。
ビーズ鎖10の電流抵抗は、鎖の長軸に沿って進行する方が、鎖の長軸に対して垂直に進行するよりも小さい。このようにして、流体試料の容器形状及びその結果として要求されるセンサへの進行方向は、印加磁場の選択に影響を及ぼすことが可能である。
上において、例で与えられた鎖10では、多粒子磁性構造体を形成する両方の磁場は、センサ表面14にほぼ垂直な方向つまりz軸に印加される。センサ表面14にほぼ垂直なこれらの磁場のため、粒子又はビーズ鎖10は、図3に図示されているように、センサ表面14と対してほぼ垂直な方向に配向する。
結合表面40がセンサ表面14に対して平行、又はセンサ表面14上若しくはその近傍に位置する場合には、上述した実施例は、多粒子構造体が結合表面40の面に垂直な面内に長軸を有するため、全ての磁性粒子13が結合表面40に非常に近接できるわけではない、という欠点を有する。しかし結合表面40がセンサ表面14に対して基本的に垂直な壁を有する多孔性媒体である場合、結合表面40にほぼ平行な面内に存在する多粒子構造体10中のビーズ13は、結合表面40に対して良好に接触して良い。このことは図28に図示されている。図28では、結合表面40は、多孔性多チャネル構造体の壁上に供されている。その壁は、センサ表面40に対して垂直に配向している。多チャネル構造体中のチャネルは、たとえば管又はスリットであって良い。結合表面40がセンサ表面14に対して平行である実施例では、多粒子構造体10は、たとえば結合表面40に垂直な方向での磁場勾配の手段によって、結合表面に引き付けられて良い。‘引き付け’段階後、‘結合’段階が起こる。つまり多粒子構造体10中の粒子13上の結合サイトが、結合表面40上の結合サイトに接し、結合する。本発明に従うと、多粒子構造体10中での個々の磁性粒子13の位置は、結合表面40上の結合サイトに対して無作為化されることで、多粒子構造体10中の個々の粒子13の結合サイトは、高い確率で結合表面40上の結合サイトとの接触時間を有する。この無作為化は、結合表面40に対して垂直な方向での磁場勾配を変化させることによって実行されて良い。結合段階後、多粒子構造体10はもはや結合表面40へは引き付けられず、未結合粒子13は洗い流され、かつ結合表面40に結合する粒子を検出することが可能となる。このような検出は、たとえば磁気的検出又は光学的検出であって良い。一般的には、生物学の検査では、1チャネル中に複数の結合ビーズが存在しないとみなされることで、マイクロチャネル中での1のビーズの存在が光学的に検出可能となるように、ビーズの濃度は制限されている。濃度が高いと予想される場合、測定周期は複数の時間間隔に分割されて良い。高ターゲット濃度が非常に迅速に(たとえば1回の時間間隔後で、たとえば数秒)検出される一方で、低ターゲット濃度は、かなり長いプロセス時間(複数の時間間隔後で、たとえば数分から数時間)後に検出される。あるいはその代わりに、1マイクロチャネル中に存在する複数のビーズが光学的に検出される場合、ラベルは蛍光性であって良い。光がマイクロチャネル中に照射される場合、すべてのビーズは光を受け、かつ蛍光が発せられる。ビーズが受光して蛍光が発せられることで、マイクロチャネル中のすべてのビーズが検出可能となる。
鎖10中のほとんどの粒子又はビーズと結合表面40との間での距離を小さくするため、結合表面40が、センサ表面14に対して基本的に平行なとき、特に結合表面40がセンサ表面14の一部であるとき、結合表面40に沿ってビーズ鎖10を配置する、つまり強い面内成分、つまりx方向又はy方向、を有する磁場を印加することは有利である。これについては、本発明の第2実施例で説明されている。強い面内成分を有する磁場は、オンチップの磁場発生装置のみならずオフチップの磁場発生装置によって印加されても良い。オンチップの磁場発生装置は、たとえばGMRのような磁気センサ素子への不可避である磁気的クロストークが明確になるという強い利点を有する。
従って本発明の第2態様に従うと、磁場発生手段は、結合表面40に対して平行に位置する長軸を有する多粒子磁性構造体10を形成するように備えられている。
センサ装置15の結合表面40に平行な強い面内成分を有する磁場は、たとえばその装置を永久磁石及び/又はコイルの近くに設置することによって印加される。例で与えられた鎖10中で多粒子磁性構造体が形成され、その構造体は結合表面40へ引き付けられる。この第2実施例に従うと、好適には、少なくとも1の電流ワイヤ19が、センサ装置15の結合表面付近でかつその下に設けられて良い。結合表面付近とは、その結合表面から、好適には1mm以内、より好適には30μm以内で、最も好適には3μm以内である。形成された粒子又はビーズ鎖10は、図5に図示されているように、センサ装置の表面14に対してほぼ平行で、少なくとも1の電流ワイヤ19内を流れる電流の方向にほぼ垂直な方向に配向し、結合表面40へ向けて引っ張られる。この図では、電流ワイヤ19中での電流が流れる方向は矢印20で示され、粒子又はビーズ鎖10は矢印21で示される。
最初に、センサ表面14に対して基本的に平行な磁場を用いてビーズ13をセンサ近傍に集中させ、続いて基本的に面内の磁場に切り換えて、多粒子構造体10と結合表面40との間の接触効率を増大させることは有利になりうることに留意すべきである。(i)結合表面40付近にビーズ又は粒子13を効率的に集中させること、(ii)ビーズ13と結合表面40とを効率的に接触させること、及び(iii)高い確率ですべてのビーズ13が結合表面40上の結合サイトと相互作用するために再配置及び無作為化を行うこと、を組み合わせるため、この方法は複数回繰り返されて良い。結合表面40への粒子の引き付けと無作為化との間での変化は、リーダーの手段によって制御されて良い。又はそのような変化はチップ上で実装されて良い。そのチップは、センサ装置15の一部、又はセンサ装置15内の別個の信号処理チップであって良い。
局所電流ワイヤは、たとえば100mA未満の比較的小さな電流を有する磁場勾配(単位T/m)を作るのに有用である。磁場、特にセンサに印加される面内磁場を最小化するために小さな磁場を用いるのは有利である。そのセンサが磁場センサの場合には特に有利である。高磁場を印加することで、センサの感度特に磁気センサの感度が変化し、たとえばドメイン壁変化、磁気ループ、ヒステリシスのような磁気構造の変化を引き起こすことができる。
さらに前記磁場が明確になるように、センサチップ上に前記磁場を発生させるのは有利であると考えられる。前記磁場はカートリッジ及び読み取り装置での機械的許容度が狭くなるのを回避する。
他の磁場発生手段が存在しない場合には、長方形の断面を有する電流ワイヤ19は、図5で与えられた例のように、その端部で最高の磁場及び磁場勾配を発生させて良い。このことは、電流ワイヤ19端部近傍での粒子又はビーズ13は、電流ワイヤ19中心部での粒子又はビーズ13よりも、より強く引き付けられる(以降を参照のこと)。
本発明の第2態様に係る別な実施例では、センサ装置15は、磁場勾配発生手段として、少なくとも2の電流ワイヤ22a、22b及び少なくとも1の磁気センサ素子23を有して良い。図6及び図7に図示されているように、少なくとも第1電流ワイヤ22aは磁気センサ素子23の第1面Aの側に位置し、かつ少なくとも第2電流ワイヤ22bは磁気センサ素子23の第2面Bの側に位置する。ここでは本発明のこの実施例に従った考えられるセンサ配置の例が図示されている。本発明の実施例に従うと、好適には少なくとも1の磁気センサ素子23は、たとえばGMR、TMR又はAMRセンサ素子のような磁気抵抗センサ素子であって良い。
本発明のこの実施例に従うと、最初に磁場又は磁場の結合が印加され、多粒子磁性構造体又は電磁ビーズ鎖10の形成が誘起される。その構造体又は鎖10は、先述したように複数の磁性粒子又はビーズを有し、かつセンサ装置15の結合表面40に対してほぼ平行な長軸を有する。続いて少なくとも1の電流ワイヤに電流を流すことによって、強い磁力が、z軸に沿って、センサ素子23の高感度領域である結合表面40付近に発生して良い。一例は、基本的にz軸に沿って配向する(面外配向)磁場を用いて、電流ワイヤ22aと電流ワイヤ22bとで互いに反対方向に電流を流すことである。よって引き付けられた(磁場はセンサ上で最大の大きさを有するように発生する場合)多粒子構造体又は電磁ビーズ鎖10は、少なくとも2の電流ワイヤ22a、22b中の電流を同一方向に流すことで、少なくとも1の磁気センサ素子によって検出されて良い。そのようにして、結合表面40上に存在するビーズ又は粒子13の量は効率的に測定される。あるいはその代わりに、多粒子構造体は、たとえば光学的検出素子によって検出されても良い。
またx軸又はy軸に基本的に沿って配向する磁場が、本発明に従って、つまり多粒子磁性構造体を面内配向させるために用いられて良い。少なくとも1の電流ワイヤ22に電流を流すことによって、磁力はz軸に沿って発生して良い。電流ワイヤ22からの磁場が表面上の局所磁場を増大させる、つまりセンサ表面14へ向けて生の磁場勾配を発生させるときに、力は引力となる。面内磁場を印加することの欠点は、これらが磁気センサの高感度方向に沿っているので、磁気センサ装置15の特性に影響を及ぼす、ということである。一の解決法は、2の処理を時間的に分離することである。つまり時系列的に粒子を駆動させ、その粒子を検出する。
図6は、多粒子磁性構造体中で配向している電磁ビーズ又は磁性粒子13の引き付け及び検出を一体で行う磁気センサ装置15の考えられる配置を図示している。この例での磁気センサ装置15は、磁気センサ素子23並びに少なくとも第1電流ワイヤ22a及び第2電流ワイヤ22bを有して良い。これは、多粒子磁性構造体10内の電磁ビーズ又は磁性粒子13を結合表面付近に引き付ける好適センサ配置であって良い。大きさが同一で方向の異なる電流が、磁気センサ素子23の両面A、Bに設けられている第1電流ワイヤ22a及び第2電流ワイヤ22bを流れる。この利点は以降で説明する。簡明を期すため、以降の議論は、単一ビーズ13の手段でかつオンチップのワイヤのみによって発生する磁場によってなされる。しかし、このことは、本発明の多粒子磁性構造体10にも適用可能であり、さらに磁場発生手段が加えられれば一般化可能であることに留意して欲しい。
一般的には単一ビーズ13上の磁力は以下で与えられる。
Figure 0005311445
Fmagnは、電磁ビーズ13を結合表面40へ引き付けるために電磁ビーズ13に印加される磁力、uはビーズ又は粒子13の磁気モーメントに関連するポテンシャルエネルギーで、Bは印加磁場である。
集積励起センサ装置15の場合、つまり本実施例のように、磁場勾配発生手段がセンサ装置15内に組み込まれていて、かつ電磁ビーズ又は磁性粒子13が超常磁性である場合、単一ビーズ13への磁力は次式に帰着する。
Figure 0005311445
ここでχbeadはビーズの透磁率で、Hは磁場強度である。たとえばアデムテック社から入手可能な300nmのビーズでは、χbeadは4.22×10-20に等しい。
式(10)の引力は、水平方向であるx成分、及び垂直成分であるz成分にそれぞれ分解されて良い。水平方向及び垂直成分はそれぞれ以下のように表される。
Figure 0005311445
図7は図6のセンサ装置15の断面を図示している。磁気センサ素子23、並びに第1電流ワイヤ22a及び第2電流ワイヤ22bは、基板上部に設けられている。参照番号14で示された破線は、センサ装置のセンサ表面を表す。センサ表面14の一部は、結合サイトを有する結合表面40である(詳細は表されていない)。以降の説明をより明確にするため、図7に座標系が導入された。
図8は、垂直方向の磁力を、センサの高感度方向での磁性粒子又は電磁ビーズ13の位置の関数として図示している。垂直方向とは図7の座標系で示されているようにz方向で、センサの高感度方向はx方向である。
図8は、垂直方向の磁力、つまり図7の座標系においてz方向で示されている、センサ表面14に対して垂直な方向の磁力Fmagn,z(x)(式(12)参照)を、センサの高感度方向つまりx方向での磁性粒子又はビーズ13の位置の関数として図示している。図8を作成する際には、Fmagn,z(x)は、結合表面40から0.64μmの距離(つまりz=0.64μm)で決定した。今回の条件では、第1電流ワイヤ22a及び第2電流ワイヤ22bを流れる励起電流は、図6のところで説明したように互いに反対方向を流れる。これらの電流は、図8において×及び◎で示されている。さらに図8のグラフは、励起電流Iw1=-Iw2=50mAでかつアデムテック社から入手可能な300nmの磁性粒子で得られる結果である。ここでIw1は第1電流ワイヤ22aを流れる電流で、Iw2は第2電流ワイヤ22bを流れる電流である。図8から、電流ワイヤ22a、22bの中心部での垂直方向の磁力Fmagn,z(x)は、その端部での垂直方向の磁力Fmagn,z(x)よりもはるかに小さいことが分かる。よって磁性粒子又は電磁ビーズ13は、電流ワイヤ22a、22bの中心部近くにあるときよりも、その端部近くにあるときの方が、より大きなz方向の力を感じる。従って磁性粒子13は、電流ワイヤ22a、22bの中心部よりも、その端部へ、より引き付けられる(以降を参照)。
図9は、対応する水平方向の磁力、つまり図7の座標系においてxz方向で示されている、センサ表面14の高感度方向の磁力Fmagn,x(x)(式(11))を、x方向での電磁ビーズ13の位置の関数として図示している。繰り返しになるが、図9を作成する際には、Fmagn,z(x)は、結合表面40から0.64μmの距離(つまりz=0.64μm)で決定した。図9から、電流ワイヤ22a、22bの中心部での水平方向の磁力Fmagn,x(x)は、その端部での垂直方向の磁力Fmagn,x(x)よりもはるかに小さいことが分かる。このことは、電流ワイヤ22a、22bの中心部の上に位置する磁性粒子又は電磁ビーズ13は、その端部の上に位置する磁性粒子又は電磁ビーズ13よりも、より大きくx方向を移動することを意味する。同じことは、形成された多粒子構造体10でも起こる。多粒子磁性構造体がより大きな磁気モーメントを有するため、多粒子磁性構造体10に作用する力は、単一ビーズ13に作用する力よりも大きい(たとえば多粒子磁性構造体10が、対比の対象となるビーズと同種のビーズを複数有する場合)。
図10は、(図8のFmagn,z(x)と図9のFmagn,x(x)とが合成された)結果として生じる磁力の大きさ及び位相を図示している。磁力の大きさは曲線25で示され、磁力の位相は曲線26で示される。図10から、電流ワイヤ22a、22bの中心部の上では、磁場は完全に面内配向(0°)しているのは明らかである。図8、図9及び図10に図示された曲線は、多粒子構造体が形成されず、かつ外部磁場が印加されない、という条件下で得られる。
上述の力のため、磁性粒子又は電磁ビーズ13は、センサ表面14上を、電流ワイヤ22a、22bの端部へ向かって移動する。
粒子又はビーズ13はまた、重力の影響も受ける。磁性粒子又は電磁ビーズ13に作用する重力Fgravは、
Figure 0005311445
に等しい。ここでrは磁性粒子又は電磁ビーズ13の半径、Δρは、ビーズと流体との間の質量密度差で、gは重力加速度(9.81N/kg)である。その結果、センサ装置15の表面14での接近距離ξは、
Figure 0005311445
に等しい。またξは引き付け距離(distance of attraction)とも呼ばれ、局所的な大気圧高さの分布をも表す。
接近距離すなわち大気圧高さ分布ξは図11に図示されている。図11は、垂直方向の磁力Fmagn,z(x)と重力による大気圧高さを図示している。この曲線は、多粒子構造体が形成されず、かつ外部磁場が印加されない、という条件下で得られる。この図から、図6から図12で説明された大きさ、つまり-3μm≦x≦18μmの範囲、を有する配置では、局所的大気圧高さすなわち接近距離ξは100nm以下であると結論づけて良い。-3μm≦x≦18μmの範囲とは、センサ-ワイヤ構造の両面に加えられた1のワイヤ幅で、第1電流ワイヤ22a及び第2電流ワイヤ22bの中心部での位置は除く。その結果、磁性粒子又は電磁ビーズ13は、結合表面40の非常に近くに引き付けられる。これにより効率的な生化学的結合が促進される。図12は、合力の方向での局所的大気圧高さ、つまり磁力と重力とによる大気圧高さを図示している。図11と図12との差異は、図11では、垂直方向の磁力、重力及びz方向でのビーズの分布が扱われているのに対し、図12は、センサに対して垂直ではない力の方向でのビーズの分布を扱っている、ことである。従って図12の縦軸は、大気圧長さと呼ばれる。
センサ-ワイヤ構造の両面に加えられた1のワイヤ幅である、上で得られた範囲(-3μm≦x≦18μm)は、図17に図示されているセンサ装置15のコモンモード応答曲線に十分一致する。この応答曲線は、図13に図示されているように、第1ワイヤ22a及び第2ワイヤ22bに、同一方向に流れ、かつ同一の大きさを有する電流が印加されるときに得られる。コモンモード曲線はセンサの検出感度であり、その検出感度は、電流が両方の電流ワイヤを同一(従ってコモンモード)方向に流れるという条件下において、センサ表面上のビーズ位置の関数である。この配置により、磁性粒子又は電磁ビーズ13の検出が可能となる。
図14、図15、及び図16ではそれぞれ、同じ大きさを有する電流が、第1電流ワイヤ22a及び第2電流ワイヤ22bを同一方向に流れる場合での、垂直方向の磁力、水平方向の磁力、及び合力としての磁力が図示されている。図17は、図13に図示された配置についてのyz平面でのコモンモード応答曲線を図示している。図18では、第1電流ワイヤ22a及び第2電流ワイヤ22bの両方で同一方向に流れる同じ大きさを有する電流が印加される場合での、磁性粒子又は電磁ビーズ13の大気圧高さすなわち接近距離が図示されている。図18の曲線は、結合が最適ではないので、磁性粒子又は電磁ビーズ13は結合表面40へはほとんど引き付けられないことを示している。
本発明のこの実施例は、ビーズ13を引き付ける手段とビーズ13を検出する手段の両方が磁気センサ基板24上で一体化するという利点を有する。この実施例では、ビーズ13を引き付ける外部の駆動手段は必要ない。
しかし本発明の別な実施例に従うと、たとえばバルクから結合表面40への磁性粒子若しくは電磁ビーズ13のさらなる迅速な引きつけを実現する、又は攪拌するために、別な外部磁場が、先の実施例で説明したようなセンサ装置15に印加されて良い。しかし低勾配である別な外部磁場では、磁性粒子又は電磁ビーズ13を結合表面40の近くへ引き付けるのに必要な力は実現されない。好適には、AC磁場が、これらの別な外部磁場に用いられて良い。たとえば永久磁石から発生させることのできるDC磁場は、磁気センサ素子23からの抵抗R(H)の変化特性を移動させ、ゲイン変化を導入する。その一方でAC磁場は、別な周波数成分を導入するだけである。その周波数成分は検出機構と干渉しても良いし、又はしなくても良い。またその周波数成分はゲインエラーを導入しても良いし、又はしなくても良い。従って好適には、検出機構が影響を及ぼされないような周波数を有するAC磁場が用いられて良い。さらにセンサ10の磁気的立ち上がりを発生させないため、係る別な外部磁場の包絡関数の立ち上がり及び減衰は、実際の周波数と比較して比較的低くなければならない。磁場の急峻な切り換えは、センサ中に残留磁場を導入する。振幅が緩やかに増大及び減少することで、この効果を回避することができる。
本発明の別な実施例では、磁性粒子又は電磁ビーズの引き付け-検出機構は、複数のセンサ装置15を有する、多センサバイオチップ上に局所的でかつ時系列的に実装されて良い。チップ上のセンサ装置15の電源がオンになる、すなわちセンサ装置15が磁性粒子又は電磁ビーズ13の引き付け及び/又は検出に用いられるときには、ターゲット-ビーズ-抗体の組み合わせは、そのセンサ装置15の結合表面40上で非常に強く結合する。同一時間周期では、他の使用されていないバイオチップ上のセンサ装置15は、不特定の緩やかに結合した磁性粒子又は電磁ビーズ13を有する。この磁性粒子又は電磁ビーズ13は容易に洗い流すことができる。このようにして、バイオチップ上の各センサ装置15は、連続的又は周期的な監視目的に適用できるように、各独立に用いられて良い。
測定がバイオチップ上のセンサ装置15のうちの1つによって実行されるときにはいつも、他の(使用されていない)センサ装置15上の特定されていない結合分子及びビーズ13が、次の測定の前に洗い流される。変化型として、同一のセンサ装置15が複数回用いられても良い。強く結合したビーズは除去されず、次の測定に用いられる開始(校正)点として用いられる。
センサ表面14にわたって感度が均一ではないセンサ装置15については、印加磁場は、センサ装置15の高感度領域内で結合粒子又はビーズ13の密度が最大になるように配置されなければならない(以降を参照のこと)。
上では、力の分布についての計算が示され、かつ最高感度領域と対比された。たとえば個々の磁性粒子又は多粒子磁性構造体若しくは電磁ビーズ鎖10のような磁性構造体は、結合表面40に引き付けられる。粒子又はビーズ13は、検出器又はセンサ素子23によって検出されて良い。本発明の実施例に従うと、引力(Fmagn,z)は、粒子又はビーズ13をセンサ表面14からナノメートルオーダーの範囲内に引き付けるのに十分なほどに強くて良い。つまり生体分子の大きさの範囲で、センサ表面14は修飾されることで、磁性粒子又は電磁ビーズ13が結合する結合表面が形成され、その結合表面に分析される流体中に存在するターゲット分子を結合させて良い。
センサ表面14にわたって感度が均一なセンサ装置15については、磁性粒子又は電磁ビーズ13による表面被覆は、可能な限り均一でなければならない。つまりたとえば個々の磁性粒子又は多粒子磁性構造体若しくは電磁ビーズ鎖10のような磁性構造体は、センサ装置端部にのみには引き付けられない。均一な粒子の分布は以下の条件下で実現可能である。
粒子又はビーズ13に作用する面内の力が無視できること(Fmagn,x= Fmagn,y≒0)。
粒子又はビーズ13に作用する引力が結合表面40にわたって均一であること(Fmagn,z=一定)。
式(1)、及び磁気モーメントmが印加磁場Bに比例するという事実を用いることによって、
Figure 0005311445
であることが分かる。
ここで、
Figure 0005311445
である。
y軸に沿って並進対称である場合、式(15)から式(17)は、By=0でd/dy=0であると仮定して、以下のように単純化することができる。
Figure 0005311445
式(20)はマクスウエル方程式∇・B=0から導かれる。
本発明の実施例に従うと、本発明に従って用いられることで、センサ表面14にわたって引力を均一にするような磁場を発生させるのに用いることのできる電流ワイヤ22の考えられる構成が、図19及び図20に図示されている。これらの図は、センサ装置15のセンサ表面14上での粒子分布を均一にする、考えられる電流ワイヤの構成の断面を図示している。これらの図では、電流ワイヤ22中の電流は、紙面に垂直な方向に流れる。
本発明の実施例に従うと、x方向での磁場勾配の変化(よってx方向での磁力)は、さらに別な電流ワイヤ27を導入することで減少させて良い。別な電流ワイヤ27の導入は、たとえば電流ワイヤ22の下に電流ワイヤ27を加えることによって(図19)、又は電流ワイヤ22の隣に電流ワイヤ27a、27bを加えることによって(図20)実行されて良い。あるいはその代わりに、追加された電流ワイヤは、複数の電流ワイヤ、所謂電流ワイヤのセグメントであって良い。
図19の場合では、結果として生成される非長方形の電流分布は、長方形の断面を有する単一の電流ワイヤ22よりも、センサ装置15の結合表面14上の粒子又はビーズ13をより均一に分布させることができる。図19の実施例では、発生した磁場は、単一電流ワイヤに係る実施例での磁場よりも均一である。その理由は、電流ワイヤの組み合わせたもののアスペクト比が1に近づくためである。電流ワイヤ(又は電流ワイヤを組み合わせたもの)のアスペクト比が1に近づけば近づくほど、発生する磁場は、より均一になる。最も均一な磁場が環状の電流ワイヤによって得られるのは、結合表面40も同様に電流ワイヤ軸とする環状である場合である。図19及び図20に図示されているような電流ワイヤの組み合わせは、たとえば図7に図示されている各電流ワイヤの代わりに用いられて良い。あるいはその代わりに、図19及び図20に図示されているような電流ワイヤの組み合わせは、たとえば単一磁気センサ素子とは別に、他に関係なく用いられて良い。
図21は、粒子又はビーズ13がセンサ素子23によって検出されている間に、粒子又はビーズ13のクラスタを結合表面14へ引き付ける電流ワイヤ22を図示している。電流ワイヤ22は、センサ素子23よりも低い電気抵抗を有して良いので、電流ワイヤ22は、磁場を発生させるのに、より適する。
本発明の第2態様について上述したように、面内磁場は、面内の多粒子磁性構造体又は電磁ビーズ鎖10を生成して良い。実施例によっては、たとえばこれらの多粒子磁性構造体又は電磁ビーズ鎖10が、たとえばセンサ表面14近くの電流ワイヤ22によって誘起される、センサ表面14にほぼ垂直な方向に配向する磁場勾配によって、磁場勾配によってセンサ表面14に引き付けられて良い。電流ワイヤ22によって誘起される磁場勾配は、電流ワイヤ22が環状でかつ周囲のマトリクス効果が度外視される場合には、基本的には軸対称であって良い。このことは、多粒子磁性構造体又は電磁ビーズ鎖10の軸にほぼ垂直な力を及ぼす面内での勾配がセンサ表面14にも存在するということを意味する。これにより、多粒子磁性構造体又は電磁ビーズ鎖10の分布は不均一になる。
この問題の解決法は、電流ワイヤ22a、22b及び22cの1Dアレイを用いて、時系列的にこれらの電流ワイヤ22a、22b及び22cをアドレス指定することである。これは図22に図示されている。この図の右側部分は、電流ワイヤ22a、22b及び22cのアレイ28の断面を図示している。面内の勾配は変化する。多粒子磁性構造体又は電磁ビーズ鎖10は、連続的な回転運動を起こすために、センサ表面14の上を回転する。このようにして多粒子磁性構造体又は電磁ビーズ鎖10全部分が、この回転運動で結合表面40に近接することで、結合反応速度は改善される。磁場の主方向は矢印29で示されている。
本発明に従った別な実施例は、第1実施例と第2実施例との有利な組み合わせである。たとえば磁気抵抗センサ素子23は、面内磁場に対して敏感である。粒子の操作に大きな磁場が必要な場合には、これらの磁場は面外に印加されることが好ましい。
この実施例では、‘引き付け’プロセス手順に必要な磁場は、面外に印加される。その後、磁場の方向は、‘結合’プロセス手順のため、面内方向に向かって変化する(実施例1のように)。好適には、印加磁場は、ビーズ13の鎖10を維持するように回転するが、その鎖10の長軸が基本的には面内、つまりセンサ装置15の表面14にほぼ垂直な方向に位置するように、その鎖10を再配向する。一例が図23に図示されている。この図は、センサ装置15及び2の外部磁場発生手段を示している。2の外部磁場発生手段は、この例では、2の外部コイル16a、16bである。2のコイル16a、16bを用いることによって、面内磁場が誘起されることで、多粒子磁性構造体又は粒子若しくはビーズ13の磁性ビーズ鎖10(外部で印加された面外磁場で形成される)が回転し、結合表面40に対して平坦になる。磁場勾配は、多粒子磁性構造体又は電磁ビーズ鎖10をセンサ装置15のセンサ表面14へ引き付ける。
本発明に従った他の実施例では、均一な外部磁場、不均一な外部磁場又はオンチップの電流ワイヤが、磁性粒子を駆動させるのに用いられて良い。図24は、各異なる磁場発生手段を駆動させる信号のシーケンス例を図示している。曲線30は、センサ表面14へ向けて磁性粒子又は電磁ビーズ13を引き付ける、電流ワイヤ22a、22bのオンチップ電流を図示している。曲線31は、小さな外部コイルの励起シーケンスを図示している。曲線31の一部31aは、バルクからセンサ表面14へビーズが引き付けられる状態を表し、曲線31の一部31bは、バルクへの反発力を表す。曲線32は大きなコイルが粒子又はビーズ13を磁化し、列すなわち鎖10を形成する励起シーケンスを図示している。
本発明は主として、磁性粒子又は電磁ビーズ13を検出するのに、磁気抵抗センサ23を用いて説明されてきた。しかしビーズ13はまた、たとえばホールセンサ、コイル等他の磁気センサ手段によって検出することも可能であることに留意しなければならない。
先述したように、本発明に従った実施例では、改善したビーズ13の回転はまた、‘結合’手順の速度を改善するのにも用いられて良い。
本発明の第2態様は、様々な利点を示す。体積が大きく、かつその結果として剪断力がおおきくなるため、多粒子構造体10は、単一粒子13よりも、流体を洗い流す手順に対して敏感である。この結果、洗浄がより効率的となり、かつ非特定結合が少なくすることが可能となる。
さらに重力は、個々の粒子13でよりも、多粒子構造体での方が大きくなると考えられる。様々な態様において、本発明は磁力の利用に焦点を当てている。しかし重力は補正される必要があり、かつ有利に用いられる必要がある(たとえば‘引き付け’手順で)。
本発明の第2態様に従った多粒子構造体を用いる別な利点は、電磁ビーズ10の凝集体10が大きな(集団的)磁気モーメントを有するので、個々のビーズ13を操作するのに必要な磁場勾配よりも小さな磁場勾配を用いて操作して良いことである。これらの磁場勾配はたとえば、センサ装置15のそばに設けられた磁石若しくはコイルによって、及び/又はオンチップの電流ワイヤ22a、22bによって生成されて良い。
電磁ビーズ13は、本発明の第1態様又は第2態様のいずれかで用いられているように、磁力のみを用いて、又は沈殿と拡散プロセスとを組み合わせた磁力を用いて、大きな体積の試料からセンサ表面14へ引き付けられて良い。さらに本発明の第2態様に従った電磁ビーズ13の鎖10は、結合表面40へ向けて引き付けられて良い。その結合表面40は局所的に高いビーズ濃度を生成し、ビーズとセンサ結合表面40との間の良好な接触をなすので、結合割合が増大する。
センサ表面14近くのビーズ13のプロセス(たとえば引き付け、結合、ストリンジェンシー及びそれらの繰り返し)は、時間の関数として計測されて良い。そのデータはプロセスの反応速度を示す。反応速度は、溶液中のターゲット濃度に依存する。当然のこととして、データは、ノイズの上に信号があらわれるとすぐに、ターゲット濃度がどの程度なのかを示すことができる。また反応速度の測定により、大きなダイナミックレンジでの測定が可能となる。その理由は、高ターゲット濃度が非常に迅速に(たとえば数秒で)検出される一方で、低ターゲット濃度はかなり長いプロセス時間後(数分から数時間)に検出されるからである。また反応速度及びノイズ信号は、品質チェックとして分析されることで、アッセイが正確に進歩し、かつエンドユーザーに、検査結果が信頼できるものであることを保証する。
たとえ本発明に従った装置について、材料だけではなく、好適実施例、特定の構成及び配置について論じられたとしても、本発明の技術的範囲及び技術的思想から逸脱することなく、形態及び詳細について様々な変化型及び修正型が可能であることに留意して欲しい。たとえば本発明は、磁性粒子13の磁気検出手段によって説明された。磁気検出は、使い捨て部分(チップ及び/又はカートリッジ)に集積される磁気センサ手段によって実行されて良いが、磁気センサもまた再利用可能な読み取り装置システム一部であっても良いことに留意して欲しい(たとえばカートリッジの近くに設けられた読み取りヘッドとして)。さらに本発明に従うと、磁性粒子13はまた、たとえば光学的検出手段のような、他の如何なる適切な手段によって検出されて良い。光学的検出は、使い捨て部分(チップ及び/又はカートリッジ)又は再利用可能な読み取りシステムの一部であって良い。
従来技術に従った磁気センサを図示している。 均一磁場の存在下での電磁ビーズの相互作用及び鎖の形成を図示している。 均一磁場中で電磁ビーズを磁化することによって形成される電磁ビーズの列を図示している。 本発明の実施例に従った磁気センサ表面に対して電磁ビーズ列が反発する効果及び引き付けられる効果を図示している。 本発明の実施例に従った電流ワイヤの上面図である。 センサ装置の結合表面に電磁ビーズを引き付ける、本発明に従ったセンサの配置を図示している。 図6のセンサ配置の断面図である。 結合表面からz=0.64μmの距離での垂直方向の磁力を、図6及び図7のセンサ配置での電磁ビーズの位置の関数として図示している。 結合表面からz=0.64μmの距離での水平方向の磁力を、図6及び図7のセンサ配置での電磁ビーズの位置の関数として図示している。 結合表面からz=0.64μmの距離での磁力の大きさ及び位相を、図6及び図7のセンサ配置での電磁ビーズの位置の関数として図示している。 図6及び図7のセンサ配置周辺の電磁ビーズについての、結合表面からz=0.64μmの距離での局所的な気圧による高さを図示している。 図6及び図7のセンサ配置周辺の電磁ビーズについての、結合表面からz=0.64μmの距離での局所的な気圧による長さを図示している。 本発明の実施例に従ったビーズを検出するためのセンサ配置を示す図である。 結合表面からz=0.64μmの距離での垂直方向の磁力を、図13のセンサ配置での電磁ビーズの位置の関数として図示している。 結合表面からz=0.64μmの距離での水平方向の磁力を、図13のセンサ配置での電磁ビーズの位置の関数として図示している。 結合表面からz=0.64μmの距離での磁力の大きさ及び位相を、図13のセンサ配置での電磁ビーズの位置の関数として図示している。 図13のセンサ配置周辺の電磁ビーズについての、結合表面からz=0.64μmの距離での共通モードの感度を図示している。 図13のセンサ配置周辺の電磁ビーズについての、結合表面からz=0.64μmの距離での局所的な気圧による高さを図示している。 本発明の実施例に従ったセンサ装置の結合表面上での均一な粒子の分布を生成する電流ワイヤの断面図である。 本発明の実施例に従ったセンサ装置の結合表面上での均一な粒子の分布を生成する電流ワイヤの断面図である。 本発明の実施例に従ったセンサ配置の断面図である。 順次アドレス指定の可能な電流ワイヤアレイによる、ビーズ列の面内“磁気波駆動”を図示している。 本発明の実施例に従ったセンサ配置の断面図である。 本発明の実施例に従った、時間の関数としての励起シーケンスの例である。 磁性粒子のループすなわち輪の形成を図示している。 z軸つまり本発明の実施例に従ったビーズ鎖の長軸から見た図である。 中央部に磁気センサ装置を有する2の電流ワイヤを有する配置のビーズ鎖を長軸から見た際の上面図である。 結合表面として多孔性多チャンネル構造を有するセンサ装置を図示している。

Claims (18)

  1. 結合サイトを備えた結合表面を有し、磁性粒子を検出する磁気センサ装置であって:
    前記磁性粒子の存在を検出する少なくとも1のセンサ素子;
    少なくとも1の磁性粒子を有する磁性構造体を、前記結合表面へ向かう方向に引き付けて、前記表面上に接した状態にする手段;
    高い確率で、全ての個別磁性粒子の結合サイトが前記結合表面上の結合サイトと接触する時間を有するために、前記結合表面上の前記結合サイトに対する前記個別磁性粒子の位置を再配置及び無作為化する手段;及び
    前記結合表面に対してほぼ平行な長軸を有する、複数の前記個別磁性粒子を含む多粒子磁性構造体を形成するように備えられた磁場発生手段;
    を有するセンサ装置。
  2. 前記磁性粒子が試料体積中に存在し、
    前記個別磁性粒子の位置を再配置及び無作為化する前記手段は、前記個別磁性粒子が前記結合表面から解放されるように備えられ、それにより、前記磁性構造体の一部である前記個別磁性粒子の90%が前記試料体積の10%内に集中する、
    請求項1に記載のセンサ装置。
  3. 前記多粒子磁性構造体を形成するように備えられた前記磁場発生手段がオンチップ又はオフチップの磁場発生手段である、請求項1に記載のセンサ装置。
  4. 前記多粒子構造体が磁性粒子鎖である、請求項1又は3のいずれかに記載のセンサ装置。
  5. 前記磁性構造体を、前記結合表面へ向かう方向に引き付けて、前記表面上に接した状態にする前記手段が、オンチップ又はオフチップ手段である、請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載のセンサ装置。
  6. 前記磁性構造体を、前記結合表面へ向かう方向に引き付けて、前記表面上に接した状態にする前記手段が、1より大きな比透磁率を有するオンチップ又はオフチップ素子である、請求項5に記載のセンサ装置。
  7. 前記オンチップ又はオフチップ素子が、発生した磁場勾配を局所的に変化させるために、位置又は形状を変化させる、請求項6に記載のセンサ装置。
  8. 前記磁性構造体を、前記結合表面へ向かう方向に引き付けて、前記表面上に接した状態にする前記手段が、第1電流ワイヤ、及び少なくとも1の別な電流ワイヤを有する、請求項1に記載のセンサ装置。
  9. 前記磁性構造体を、前記結合表面へ向かう方向に引き付けて、前記表面上に接した状態にする前記手段が、電流ワイヤのアレイを有する、請求項1に記載のセンサ装置。
  10. 結合サイトを備えた結合表面を有するセンサ装置の手段による磁性粒子の検出を有するバイオセンシングプロセスの方法であって:
    少なくとも1の磁性粒子を有する磁性構造体を、前記結合表面へ向かう方向に引き付けて、前記表面上に接した状態にする手順;及び
    高い確率で、全ての個別磁性粒子の結合サイトが前記結合表面上の結合サイトと接触する時間を有するために、前記結合表面上の前記結合サイトに対する前記個別磁性粒子の位置を再配置及び無作為化する手順;
    前記結合表面に対してほぼ平行な長軸を有する、複数の前記個別磁性粒子を含む多粒子磁性構造体を形成する手順;
    を有する方法。
  11. 前記磁性粒子が試料体積中に存在し、
    前記個別磁性粒子の位置を再配置及び無作為化する前記手段は、前記個別磁性粒子が前記結合表面から解放されるように備えられ、それにより、前記磁性構造体の一部である前記個別磁性粒子の90%が前記試料体積の10%以下に留まる、
    請求項10に記載の方法。
  12. 磁場を印加する手順が、磁性粒子鎖を形成する鎖形成磁場を印加することによって実行される、請求項10に記載の方法。
  13. 前記磁性構造体を、前記結合表面へ向かう方向に引き付けて、前記表面上に接した状態にする手順が、オンチップ又はオフチップ磁場を用いることによって実行される、請求項10に記載の方法。
  14. 前記磁性構造体を、前記結合表面へ向かう方向に引き付けて、前記表面上に接した状態にする手順が、前記結合表面にほぼ垂直な方向に磁場勾配を印加することによって実行される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記センサ装置が少なくとも1の磁気センサ素子を有し、
    前記磁気センサ素子は高感度方向を有し、
    前記磁性構造体を、前記結合表面へ向かう方向に引き付けて、前記表面上に接した状態にする手順は、前記磁気センサ素子の前記高感度方向に磁場を印加することによって実行される、
    請求項13に記載の方法。
  16. 前記センサ装置が少なくとも第1電流ワイヤ及び第2電流ワイヤを有し、
    前記磁性構造体を、前記結合表面へ向かう方向に引き付けて、前記表面上に接した状態にする手順は、前記第1電流ワイヤに第1電流を送り、かつ前記第2電流ワイヤに第2電流を送ることによって実行され、
    前記第1電流の大きさと前記第2電流の大きさは等しい、
    請求項13に記載の方法。
  17. 前記磁性構造体を、前記結合表面へ向かう方向に引き付けて、前記表面上に接した状態にする手順が、電流ワイヤのアレイによって実行される、請求項13に記載の方法。
  18. 前記センサの前記結合表面に対してほぼ平行な面内に長軸を有する多粒子構造体を生成するように備えられた磁場を印加する手順が:
    面外の多粒子構造体を形成する第1磁場を印加する手順;及び
    それに続いて第2磁場を印加することで、基本的には、前記センサ装置の前記結合表面に対してほぼ平行な面内に位置する長軸を有するように前記多粒子構造体を配向させる手順;
    を有する、請求項10に記載の方法。
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