JP5310133B2 - 駆動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の駆動力伝達装置に関し、特に、駆動力伝達装置内の部材に小さい駆動力を常時負荷することができる駆動力伝達装置に関するものである。
駆動力を入力する一つの入力部材に対して二つの出力部材を有し、一つの入力部材とそれぞれの出力部材との間に、入力部材に駆動結合された入力クラッチ板と、出力部材に駆動結合された出力クラッチ板とを摩擦結合させるクラッチ機構を有する駆動力伝達装置が、特許文献1に開示されている。なお、二つの出力部材のそれぞれは、車両の左輪と右輪に駆動力を伝達する。
特許文献1に開示された駆動力伝達装置のクラッチ機構は、電磁コイルに電流を印加することにより、入力クラッチ板と出力クラッチ板とのそれぞれを互いの接近方向に付勢させてクラッチを締結し、入力部材から出力部材へ駆動力を伝達するものであるが、電磁コイルに電流を印加する時間のパターンを制御することにより、出力部材へ伝達する駆動力の大きさも制御することができる。
このような駆動力伝達装置を搭載した車両においては、動力伝達経路が入力クラッチ板と出力クラッチ板との相互の付勢による多板クラッチ機構のみであるため、その付勢を解除してクラッチを開放したとき、入力部材であるベベルギヤと、ベベルギヤと噛合するリングギヤとの間で、駆動力が入力されるベベルギヤについては駆動力の入力方向にのみ回転が可能な状態となっているのに対し、リングギヤについてはベベルギヤに対して互いのギヤ間に存在する隙間分だけ相対回転が可能な状態(フリー状態)であるため、ベベルギヤに入力される駆動力が増減すると、それに伴い、リングギヤはベベルギヤの回転方向に対して逆方向に相対回転したり同方向に相対回転したりすることとなり、リングギヤとベベルギヤとの歯同士が衝突を起こし、所謂、歯打ち音を発生させることとなる。そこで、その歯打ち音を低減させるためには、出力部材に伝達されず、かつリングギヤがベベルギヤに対し相対回転できない(フリー状態とならない)程度の微小トルクをクラッチが伝達するようにクラッチを弱く締結し続けることにより、ごく僅かな時間だけ電磁コイルに電流を印加することを繰り返す印加パターンとする制御が行われることになる。
米国特許第5839328号明細書
しかしながら、ごく僅かな時間だけ電磁コイルに電流を印加することを繰り返す制御では、入力クラッチ板と出力クラッチ板それぞれの互いの接近方向への付勢が電流の印加パターンに正確に追従することが難しい。従って、クラッチの締結が弱過ぎるとリングギヤの相対回転を防止する状態とならず、反対にクラッチの締結が強くなり過ぎると出力部材にまで駆動力が伝達されてしまうという問題がある。また、リングギヤの相対回転防止のためにクラッチを常時締結しておくには、電磁コイルへのごく僅かな時間の電流印加を繰り返し行い続けるため、消費電力の増加によりオルタネータへの負荷が増大し、ひいては車両の燃費低下を招いていた。加えて、入力クラッチ板と出力クラッチ板それぞれの互いの接近方法への付勢の追従が悪い、つまり入力クラッチ板と出力クラッチ板のそれぞれが互いに完全に付勢する前に電流の印加が完了することを繰り返すため、その結果として、クラッチ板の「引きずり」が発生し、クラッチ板の耐久性にも悪影響を与えるという問題がある。
すなわち、クラッチ機構は、車両の走行中における大きい主駆動力を伝達・制御する、主駆動力制御機構として用いることが好ましく、リングギヤの相対回転を防止するためにクラッチ機構を常時弱く締結状態にしておくことは上記の問題を生じさせる。
本発明の駆動力伝達装置は、入力部材と出力部材との間に設けられ、入力部材とギヤを介して接続する中間部材と、中間部材に駆動結合された入力クラッチ板と、出力部材に駆動結合された出力クラッチ板とを摩擦結合させるクラッチ機構であって、中間部材と複数の出力部材との間でそれぞれ駆動力を制御可能に伝達する複数の主駆動力伝達機構と、動力伝達経路上で、入力クラッチ板よりも中間部材寄りの部材と、出力クラッチ板よりも出力部材寄りの部材との間に配設して、主駆動力伝達機構と並列な動力伝達経路で入力部材からの駆動力の一部を伝達する補助駆動力伝達機構と、を備えた。

本発明の駆動力伝達装置によれば、主駆動力伝達機構と並列に補助駆動力伝達機構を備えることにより、駆動力伝達装置内の入力部材から出力部材までの部材で、補助動力伝達経路上にあるそれぞれの部材に常時、入力部材からの駆動力の一部である小さい駆動力を伝達しておくことで、主駆動力が伝達されている部材の回転方向に対して相対回転をする部材をなくすことができ、その結果、入力部材からの駆動力の大きさに変化が生じても、補助動力伝達経路上にあるそれぞれの部材相互間に存在する隙間で往来する部材がないことから、所謂、歯打ち音を防止することができる。また、その小さい駆動力の伝達に余分な電力等を使用することはないために車両の燃費の低下を招くことはなく、しかも補助駆動力伝達機構は主駆動力伝達機構と並列に設けられているため、主駆動力伝達機構の耐久性に影響を及ぼすこともない。
本発明の第1実施形態の駆動力伝達装置を搭載した車両の駆動システムの概略図である。 図2中の第1実施形態の駆動力伝達装置の全体を示す断面図である。 駆動力伝達皿ばねを配設した部分を拡大して示す拡大断面図である。 駆動力伝達皿ばねと第2筒状駆動軸の端面との間にシムを配設した場合のシム周辺の拡大断面図である。 (a),(b)は、外周部に小孔を有する駆動力伝達皿ばねを示す斜視図および背面図である。 駆動力伝達皿ばねが小孔を有する場合における、潤滑用オイルの流れを示す説明図である。 本発明の第2実施形態の駆動力伝達装置における、駆動力伝達皿ばねおよびシムを有する部分の拡大断面図である。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき詳細に説明する。まず、図1は、本発明の第1実施形態の駆動力伝達装置を搭載した車両の駆動システムの概略を示したものである。図1中の符号1は、その駆動システム、符号100は、第1実施形態の駆動力伝達装置である。
駆動力伝達装置100は、車両の駆動システム1(前輪駆動ベースの四輪駆動システム)に搭載するもので、左後輪2Lと右後輪2Rを、車軸3を介して互いに連結するとともに、車軸3に直交する方向に設けた駆動力二次推進軸4に連結する。原動機5で発生する駆動力は、トランスアクスル6を介してトランスファーケース7内にある駆動力一次推進軸(図示せず)から左前輪8Lと右前輪8Rとに伝達されるとともに駆動力二次推進軸4に伝達され、この駆動力二次推進軸4の回転駆動により駆動力伝達装置100へ駆動力が入力される。
図2は、駆動力伝達装置100の全体を示す断面図である。駆動力伝達装置100は、入力部材としての入力軸10と、第1筒状駆動軸20と、第2筒状駆動軸30と、主駆動力伝達機構としてのクラッチ機構40a、40bと、補助駆動力伝達機構としての駆動力伝達皿ばね70と、出力部材としての出力軸80とを、第1ハウジング90、第2ハウジング91および一対の第3ハウジング92内に有する。
第1ハウジング90と第2ハウジング91とは、複数の締め具93で結合される。第1ハウジング90と第2ハウジング91との結合体の両端には、一対の第3ハウジング92が複数の締め具94で固定される。
入力軸10は、第1ハウジング90が有する中央部95の穴内に挿通され、その中央部95の穴内に配設されたころ軸受組立体96が入力軸10を回転可能に支持する。入力軸10の、トランスファーケース7側の端部は、駆動力二次推進軸4の、駆動力伝達装置100側の端部と連結される。入力軸10は、トランスファーケース7側の端部と反対側の端部にベベルギヤ11を一体に有する。
第1筒状駆動軸20はその両端部を、第1ハウジング90と第2ハウジング91とに配設された一対の軸受25で回転可能に支持される。第1筒状駆動軸20は、その外周フランジに複数の締め具21により結合されたリングギヤ23を有し、リングギヤ23の外周部に形成したギヤ歯24は、ベベルギヤ11と噛合し、これによりベベルギヤ11は、第1筒状駆動軸20を回転駆動する。第1筒状駆動軸20は、その両端部の穴の内周面で第2筒状駆動軸30の一端部の外周面とスプライン結合している。
一対の第3ハウジング92の一方(図2では右側のもの)と第1ハウジング90とで包囲される領域にはクラッチ機構40aが格納され、一対の第3ハウジング92の他方(図2では左側のもの)と第2ハウジング91とで包囲される領域にはクラッチ機構40bが格納されている。クラッチ機構40aとクラッチ機構40bは、鏡像配列されていることを除けば同一の部品、機構であるため、以下の説明では、図2で左側に配設されたクラッチ機構40bについて説明する。
クラッチ機構40bは、入力側クラッチハウジング41と、入力クラッチ板44と、出力クラッチ板46と、出力側クラッチハブ48と、クラッチ押さえ板50と、第1カムプレート53と、第2カムプレート55と、スラスト力負荷ボール57と、第1電磁クラッチ板58と、第2電磁クラッチ板60と、電機子62と、電磁コイル64と、戻し用皿ばね65とを有する。
入力側クラッチハウジング41は、その両端部に第2筒状駆動軸30の軸線方向に開口する開口部を有しており、それらの開口部のうち第2筒状駆動軸30側の開口部の内周面42と第2筒状駆動軸30の外周面31とが嵌合されて溶接結合されている。入力側クラッチハウジング41の内周面は軸線方向に伸長する雌スプライン43を有し、この雌スプライン43は、複数の入力クラッチ板44の外周部が有する相補的形状の雄スプライン45に係合して、複数の入力クラッチ板44を回転駆動する。複数の入力クラッチ板44は、複数の出力クラッチ板46と交互に配置される。それら複数の入力クラッチ板44と複数の出力クラッチ板46とは、後述の如くしてそれぞれが互いに接近する方向へ付勢され、これにより複数の入力クラッチ板44は、複数の出力クラッチ板46と摩擦結合してそれらを回転駆動する。回転駆動する複数の出力クラッチ板46の内周部が有する雌スプライン47は、出力側クラッチハブ48の外周面が有する相補的形状の雄スプライン49-2に係合されて、出力側クラッチハブ48を回転駆動する。回転駆動する出力側クラッチハブ48の内周面は軸線方向に伸長する雌スプライン49-1を有し、その雌スプライン49-1は、出力軸80の外周面が有する相補的形状の雄スプライン81と係合して、出力軸80を回転駆動する。
クラッチ押さえ板50の内周面は軸線方向に伸長する雌スプライン51を有し、その雌スプライン51は出力側クラッチハブ48の外周面が有する相補的形状の雄スプライン49-2に係合するが、クラッチ押さえ板50の両面には軸線方向への移動を規制するC字状の拘束部材52が配設される。
第1カムプレート53の内周面は軸線方向に伸長する雌スプライン54を有し、この雌スプライン54は出力軸80の外周面が有する相補的形状の雄スプライン81と軸線方向へ移動可能に係合する。
第1のカムプレート53は、周方向に等間隔に配列された複数の傾斜面状溝部を有する。傾斜面状溝部の長手方向両端部は、傾斜面により中央部と比べて溝深さが浅くなっている。第2カムプレート55は第1カムプレート53と対向するように出力軸80上に、その出力軸80に対して回転可能に配設され、かつ第1カムプレート53と同様に複数の傾斜面状溝部を有し、第1カムプレート53と組になって複数対の対向する傾斜面状溝部を形成する。スラスト力負荷ボール57は、一対の対向する傾斜面状溝部の間に収容される。第1カムプレート53と第2カムプレート55との間の相対的な回転があると、スラスト力負荷ボール57は傾斜面状溝部の長手方向端部に移動、収容されてカムの作用で第1カムプレート53と第2カムプレート55とを離間させ、第2カムプレートは出力軸80に対する軸線方向を規制されていることにより、第1カムプレート53が軸線方向に第2筒状駆動軸30側へ移動する。なお、傾斜面状溝部およびスラスト力負荷ボール57に代えて、第1カムプレート53と第2カムプレート55との間の相対的な回転に応答して第1カムプレート53を軸線方向に変位させる類似の機械要素を設けることもできる。
入力側クラッチハウジング41の内周面が有する雌スプライン43と、複数の第1電磁クラッチ板58の外周部が有する相補的形状の雄スプライン59とが係合して、入力側クラッチハウジング41が複数の第1電磁クラッチ板58を回転駆動する。複数の第1電磁クラッチ板58は、複数の第2電磁クラッチ板60と交互に配置される。それら複数の第1電磁クラッチ板58と複数の第2電磁クラッチ板60とは、後述の如くしてそれぞれが互い接近する方向へ付勢され、これにより複数の第1電磁クラッチ板58は、複数の第2電磁クラッチ板60と摩擦結合してそれらを回転駆動する。回転駆動する複数の第2電磁クラッチ板60の内周面が有する雌スプライン61は、第2カムプレート55の外周面が有する相補的形状の雄スプライン56に係合されて第2カムプレート55を回転駆動させる。
入力側クラッチハウジング41の内周面が有する雌スプライン43はさらに、電機子62の外周部が有する相補的形状の雄スプライン63と係合して、電機子62を軸線方向へ移動可能に回転駆動する。
第3ハウジング92と、相対する電磁クラッチ押さえ板97とで包囲される領域には電磁コイル64が配設される。電磁コイル64は第3ハウジング92に締め具98で固定される(クラッチ機構40a参照)。電磁クラッチ押さえ板97は、その内周面を出力軸80の外周面と嵌合され出力軸80とともに回転する。
電磁コイル64に電流を印加すると、電機子62は電磁コイル64の磁気力により吸引されて軸線方向の電磁コイル64側に移動して、第1電磁クラッチ板58と第2電磁クラッチ板60とは、電機子62と電磁クラッチ押さえ板97とで挟まれてそれぞれが互いに接近する方向へ付勢され、これにより第1電磁クラッチ板58が第2電磁クラッチ板60を回転駆動する。この第2電磁クラッチ板60の回転駆動で第2カムプレート55が出力軸80に対して多少回転する。この第2カムプレート55の回転により、傾斜面状溝部の中央部に位置していたスラスト力負荷ボール57が傾斜面状溝部の長手方向端部に移動することで第1カムプレート53がスラスト力を受けてその軸線方向の第2筒状駆動軸30側へ移動し、第1カムプレート53の外周部とクラッチ押さえ板50との間の挟み込みにより入力クラッチ板44と出力クラッチ板46とのそれぞれが互いに接近する方向へ付勢され、クラッチ機構40bが締結状態となり出力軸80を駆動回転する。
出力側クラッチハブ48と第1カムプレート53との互いに対向する面の間には戻し用皿ばね65が配設され、かような戻し用皿ばね65は、電磁コイル64に電流を印加しない場合に、第1カムプレート53を押し戻してクラッチ機構40bの解除状態を確実なものとすることができる。
出力軸80は、第3ハウジング92の内周面に配設された軸受83と、第2筒状駆動軸30の内周面に配設された軸受84とで回転可能に支持される。
次に、補助駆動力伝達機構としての駆動力伝達皿ばね70について説明する。図3は、駆動力伝達皿ばね70を配設した部分を拡大して示す拡大断面図である。図3に示すように、第2筒状駆動軸30の内周面に設けた拡径部32内に二枚の駆動力伝達皿ばね70を互いに向き合わせて配設する。二枚の駆動力伝達皿ばね70の一方が第2筒状駆動軸30の端面33と接触し、他方が出力軸80の端面82と接触することで、それら接触部の摩擦力により、入力軸10から出力軸80までクラッチ機構40a,40bを介さない動力伝達経路を確保することができる。二枚の駆動力伝達皿ばね70が伝達する駆動力は、入力軸10からの駆動力の一部であり、その大きさは出力軸80に伝達されない程度の小さいものである。この小さい駆動力により、ベベルギヤ11とリングギヤ23との両方に同じ向きの駆動力が負荷されているため、リングギヤ23がベベルギヤ11に対して相対回転することがないので、ベベルギヤ11に入力される駆動力が増減しても、それに伴って、リングギヤ23がベベルギヤ11の回転方向に対して逆方向に相対回転したり同方向に相対回転したりすることはなく、リングギヤ23とベベルギヤ11とが、互いの歯同士の間に存在する隙間をつめて衝突を起こし、所謂、歯打ち音を発生させることはない。
出力軸80は、図2に示すように、軸線方向の、第2筒状駆動軸30とは反対側の段部85を軸受83で拘束されているため、駆動力伝達皿ばね70が、複数の入力クラッチ板44と複数の出力クラッチ板46との間隔、すなわちクラッチ機構40bの締結に影響を与えることはない。すなわち、入力クラッチ板44よりも入力軸10寄りの部材である第2筒状駆動軸30と、出力軸10との間に配設した駆動力伝達皿ばね70は、主駆動力伝達機構として機能するクラッチ機構40bに対して、並列に位置する補助駆動力伝達機構として機能する。また、駆動力伝達皿ばね70を、左右輪とも同一の所望の値の小さい駆動力になるように所定の位置に一度組み込んでしまえば、以後、その小さい駆動力が変化することはなく、左右輪に均等な小さい駆動力を負荷することができる。また、駆動力伝達皿ばね70は、クラッチ機構40bを介さずに小さい駆動力を伝達するため、仮にクラッチ機構40bで小さい駆動力を負荷させ続けるとした場合に必要な、電磁コイル64に印加する電流が不要で、車両における消費電力を低減することができ、それによりオルタネータの負荷を低減し、ひいては燃費を向上させることができる。そして、補助駆動力伝達機構として駆動力伝達皿ばね70を用いることは、クラッチ機構40bを介さずに駆動力を伝達するため、クラッチ板44,46間の「引きずり」がなくクラッチ板44,46の耐久性も向上させることができる。加えて、駆動力伝達皿ばね70を所定位置に配設することは、従来の駆動力伝達装置の構造を比較的小規模に変更するだけで行うことができる。また、軸受83等の軸受に入力されるスラスト力負荷ボール57のスラスト力を低減できるため、軸受を小型化することができる。
かかる駆動力伝達皿ばね70と第2筒状駆動軸30の端面33との間には、円環状のシム71を配設することができる。図4は、駆動力伝達皿ばね70と第2筒状駆動軸30の端面33との間にシム71を配設した場合の、シム71周辺の拡大断面図である。駆動力伝達皿ばね70の周辺に配設される構成部品の寸法や組み付けの際のバラツキなどに対応した適当な厚さのシム71を配設することで、それらのバラツキなどにより駆動力伝達皿ばね70の押しつぶし量が変化してしまうことを解消することができ、駆動力伝達皿ばね70で伝達される小さい駆動力の値をさらに安定させることができる。
駆動力伝達皿ばね70には、潤滑用オイル経路を確保する小孔を設けることができる。図5は、外周部に小孔73を有する駆動力伝達皿ばね70を示す。図5(a)は斜視図、図5(b)は背面図である。図5では、正方形の小孔73を駆動力伝達皿ばね70の外周部に4個配設した場合を示したが、小孔73の形状は正方形に限られず、長方形、円、楕円等いずれの形とすることができ、個数についても4個に限られるものではない。図6は、駆動力伝達皿ばね70が小孔73を有する場合における、潤滑用オイルの流れを示す説明図である。駆動用伝達皿ばね70に小孔73を配設することで、図6の矢印Aで示すように小孔73を介して潤滑用オイルの左右経路を確保することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、本発明の第2実施形態の駆動力伝達装置100における、駆動力伝達皿ばね70および円環状のシム71を有する部分の拡大断面図である。なお、図7で示した部分以外は第1実施形態の駆動力伝達装置100と同様である。
互いに背中合わせに配設した二枚の駆動力伝達皿ばね70の一方が、クラッチ押さえ板50の、入力クラッチ板44と反対側の面に接触し、他方がシム71に接触し、そのシム71が入力側クラッチハウジング41の内側面に接触することで、それらの接触部の摩擦力により入力軸10からの駆動力の一部、すなわち小さい駆動力を、第2筒状駆動軸30と結合された入力側クラッチハウジング41から、出力側クラッチハブ48と拘束結合されたクラッチ押さえ板50を介して出力軸80に伝達する。ここで、クラッチ押さえ板50の内周面が有する雌スプライン51は、出力側クラッチハブ48の外周面が有する相補的形状の雄スプライン49-2に係合されているが、クラッチ押さえ板50の両面に配設された拘束部材52によりクラッチ押さえ板50は軸線方向へ移動できないため、駆動力伝達皿ばね70の配設により、複数の入力クラッチ板44と複数の出力クラッチ板46の間隔、すなわちクラッチ機構40bの締結に影響を与えることはない。すなわち、入力クラッチ板44よりも入力軸10寄りの入力側クラッチハウジング41の内側面と、出力クラッチ板46よりも出力軸10寄りの出力側クラッチハブ48に拘束係合されたクラッチ押さえ板50との間に配設された駆動力伝達皿ばね70は、主駆動力伝達機構として機能するクラッチ機構40bに対して、並列に位置する補助駆動力伝達機構として機能する。また、駆動力伝達皿ばね70を図7に示す位置に配設することで、第1実施形態の場合と比べてトルクの腕が長くなるため、より小さいばね力で所望の小さい駆動力を得ることができる。なお、第1実施形態の場合と同様、シム71を配設せず駆動力伝達皿ばね70のみを配設することもできる。
また、第2実施形態では、クラッチ押さえ板50における、入力クラッチ板44および出力クラッチ板46を挟み込む部位の外周と内周の間に、その内周を取り囲むように、直径が小さい駆動力伝達皿ばね70を互いに向き合わせて複数個配設することもできる。
なお、上記したところは、本発明の実施形態の例を示したにすぎず、本発明は、特許請求の範囲の記載範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、図3の駆動力伝達皿ばね以外にも、入力クラッチ板よりも入力軸寄りの部材である第2筒状駆動軸と出力軸との間で、クラッチ機構が伝達する主駆動力と並列に駆動力を補助的に伝達できる機構であればいずれも用いることができ、例えば、ビスカスカップリングを用いることで差動回転に応じた所望の小さい駆動力を負荷することができる。また、吸入口と吐出口とを接続する液圧経路にオリフィスを設けた液圧ポンプをカップリングとして用いることでも差動回転に応じた所望の小さい駆動力を負荷することができる。
本発明の駆動力伝達装置によれば、主駆動力伝達機構と並列に補助駆動力伝達機構を備えることにより、駆動力伝達装置内の入力部材から出力部材までの部材で、補助動力伝達経路上にあるそれぞれの部材に常時、入力部材からの駆動力の一部である小さい駆動力を伝達しておくことで、主駆動力が伝達されている部材の回転方向に対して相対回転をする部材をなくすことができ、その結果、入力部材からの駆動力の大きさに変化が生じても、補助動力伝達経路上にあるそれぞれの部材相互間に存在する隙間で往来する部材がないことから、所謂、歯打ち音を防止することができる。また、その小さい駆動力の伝達に余分な電力等を使用することはないために車両の燃費の低下を招くことはなく、しかも補助駆動力伝達機構は主駆動力伝達機構と並列に設けられているため、主駆動力伝達機構の耐久性に影響を及ぼすこともない。
100 駆動力伝達装置
1 駆動システム
2L 左後輪
2R 右後輪
3 車軸
4 駆動力二次推進軸
5 原動機
6 トランスアクスル
7 トランスファーケース
8L 左前輪
8R 右前輪
10 入力軸(入力部材)
11 ベベルギヤ
20 第1筒状駆動軸
21 締め具
23 リングギヤ
24 ギヤ歯
25 軸受
30 第2筒状駆動軸
31 外周面
32 拡径部
33 端面
40a、40b クラッチ機構(主駆動力伝達機構)
41 入力側クラッチハウジング
42 内周面
43 雌スプライン
44 入力クラッチ板
45 雄スプライン
46 出力クラッチ板
47 雌スプライン
48 出力側クラッチハブ
49-1 雌スプライン
49-2 雄スプライン
50 クラッチ押さえ板
51 雌スプライン
52 拘束部材
53 第1カムプレート
54 雌スプライン
55 第2カムプレート
56 雄スプライン
57 スラスト力負荷ボール
58 第1電磁クラッチ板
59 雄スプライン
60 第2電磁クラッチ板
61 雌スプライン
62 電機子
63 雄スプライン
64 電磁コイル
65 戻し用皿ばね
70 駆動力伝達皿ばね(補助駆動力伝達機構)
71 シム
73 小孔
80 出力軸(出力部材)
81 雄スプライン
82 端面
83、84 軸受
85 段部
90 第1ハウジング
91 第2ハウジング
92 第3ハウジング
93、94 締め具
95 中央部
96 ころ軸受組立体
97 電磁クラッチ押さえ板
98 締め具

Claims (1)

  1. 駆動力を入力する一つの入力部材と、
    各々の駆動力を出力する複数の出力部材と、
    前記入力部材と前記出力部材との間に設けられ、前記入力部材とギヤを介して接続する中間部材と、
    前記中間部材に駆動結合された入力クラッチ板と、前記出力部材に駆動結合された出力クラッチ板とを摩擦結合させるクラッチ機構であって、前記中間部材と前記複数の出力部材との間でそれぞれ駆動力を制御可能に伝達する複数の主駆動力伝達機構と、
    動力伝達経路上で、前記入力クラッチ板よりも前記中間部材寄りの部材と、前記出力クラッチ板よりも前記出力部材寄りの部材との間に配設して、前記主駆動力伝達機構と並列な動力伝達経路で前記入力部材からの駆動力の一部を伝達する補助駆動力伝達機構と、
    を備えてなる、駆動力伝達装置。
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