JP5309414B2 - 放射電波測定システム及び放射電波測定方法並びに放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体 - Google Patents

放射電波測定システム及び放射電波測定方法並びに放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、放射電波測定システム及び放射電波測定方法並びに放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体に関し、特に、電子回路を用いた装置が妨害電波として発する放射電波の測定に用いて好適な、放射電波測定システム及び放射電波測定方法並びに放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体に関する。
周知のように、電子回路を用いた装置(以下、電子装置という)は、その電子回路の発生する電磁波(放射電波)が外部に漏れる。この電磁波は周辺環境(周辺装置)にとっては誤動作や障害を招く一因である妨害波となる。そのため、新規に作製される電子装置に対しては、VCCI(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)で規定する妨害電磁波(EMI:Electronic Magnetic Interference)の規格値を満足することが義務付けられている。
このため、装置メーカなどでは、一般に、電子装置の試作機によってEMIの測定を行ない、その結果を踏まえて上記VCCIのEMI規格値を満足するよう改良設計を行なっている。なお、この場合の試作機とは、電子装置の機能をつかさどる電子回路と、電子回路を格納・保護する筐体(キャビネット)との両方を含み、筐体内部の電子回路が妨害電磁波の発生源であり、筐体がその妨害電磁波の外部への漏洩を防ぐ役割を果たす。
具体的に、その測定は例えば図8に示すようなEMI測定システム100を用いて行なわれる。即ち、電波暗室101に設置された、水平面内において360°回転自在なターンテーブル111上に試作機(被測定装置)113を載置した状態で、測定アンテナ112で観測(受信)される電磁波の周波数毎の電界強度を測定室102に設置されたスペクトラムアナライザ123で解析(測定)する。
なお、被測定装置113と測定アンテナ112との間の距離(測定距離)は規格で定められており、一般に3m(メートル)や10m程度である。また、スペクトラムアナライザ123は、汎用インタフェース(GPIB:General Purpose Interface Bus)などによって制御用のパーソナルコンピュータ(計算機;以下、単に「制御パソコン」という)124と接続されており、その解析結果がEMIの測定結果データとして制御パソコン124へ送られて、制御パソコン124でハードディスクなどの記憶装置125に記録されるようになっている。
ところで、被測定装置113はあらゆる方向へ電磁波を放射するが、そのうち最も高い電界強度がVCCIのEMI規格値(以下、VCCI規格と略称する)を満足していればよい。このため、被測定装置113の放射する電磁波の電界強度が最も高くなるポイントを探し出す必要がある。そこで、ターンテーブル111を回転させて被測定装置113の向きを水平面内において変更するとともに、測定アンテナ112の高さを、例えば1〜4m程度の範囲内で変更しながら〔つまり、測定環境(以下、測定条件ともいう)を変更しながら〕、順次、その時々の測定環境での受信電界強度を測定してゆく。
なお、このターンテーブル112の回転や測定アンテナ112の高さ(以下、単に「アンテナ高さ」という)の変更は、手動で行なっても良いが、測定作業の効率化のため、例えば、測定室102に設置された制御パソコン124から、GPIBなどで接続されたターンテーブル制御装置121,アンテナ高さ制御装置122を集中制御して、ターンテーブル回転モータ111a及びアンテナ高さ制御モータ112aを制御することによって自動で行なうのが一般的である。
このようにして、従来は、ターンテーブル111の回転およびアンテナ高さを適宜変更しながら測定アンテナ112で受信される電磁波の電界強度を測定してゆくことで、被測定装置113が放射する妨害電磁波の電界強度をあらゆる方向について測定して、最も高い電界強度値がVCCI規格を満足しているかを判定する。
さて、ここで、被測定装置113の発生する妨害電磁波量は、電子回路そのものが発生する電磁波量は勿論のこと、その電子回路を収容する筐体の妨害電磁波遮断(電磁シールド)性能にも大きく依存する。即ち、筐体の電磁シールド性能が優れていれば、内部の電子回路が多少大きな電磁波を発生しても規格を満足することができる。例えば、VCCI規格を満足するのに電子回路自体の電磁波発生量はそれ以上抑えられない場合には、筐体の電磁シールド性能を強化することで対策が施される。
このように、電子装置がVCCI規格を満足するには、筐体単体の電磁シールド性能も非常に重要な要素である。このため、筐体単体の電磁シールド性能を評価(測定)するための測定システムも従来から提案されている。その一例として、例えば特開平6−43197号公報により提案されている技術が挙げられる。即ち、図9に示すような測定システム200である。
この図9に示す測定システム200では、概略して次のようにして測定が行なわれる。
即ち、例えば、電波暗室などの試験サイト201において、妨害電磁波を発生する電子回路に見立てた送信アンテナ(球状ダイポールアンテナ)214を筐体213内に収容した状態で、測定室202側で、発振器(シグナルジェネレータ)221を駆動して電磁波発生用の電気信号を発生させ、これを電気/光(E/O)変換器222で光信号に変換した後、送信側の光ファイバケーブル203を通じて送信アンテナ214に導入する。
なお、球状ダイポールアンテナ214は、勿論、筐体213内部に収まる大きさ(例えば、直径15cm程度)の球状導体でできており、その内部には図示しない光/電気(O/E)変換器やバッテリなどもそなえられている。これにより、光ファイバケーブル203を通じて導入された光信号は、球状ダイポールアンテナ214に内蔵されている上記内蔵O/E変換器によって電気信号に変換された後、電磁波として試験サイト201の周囲空間へ一様に放射される。
そして、筐体213から漏れ出した電磁波は、測定アンテナ(受信側球状ダイポールアンテナ)212で受信され、送信アンテナ214と同様にその内部に設けられた図示しないE/O変換器で光信号に変換されたのち、受信用の光ファイバケーブル204を通じて測定室202側のO/E変換器223に入力され、電気信号に再変換されてスペクトラムアナライザなどの受信器224で受信される。
これにより、筐体213からどの程度電磁波が妨害電磁波として漏れ出しているかが分かり、筐体213単体の電磁シールド性能を試験・評価することができる。
なお、上記のように発振器221と送信アンテナ214との間、および、測定アンテナ212と受信器224との間の接続に、それぞれ、光ファイバケーブル203,204を用いるのは、同軸ケーブルなどの電気ケーブルを用いると電気ケーブルから漏洩する電磁波によって測定に誤差が生じる可能性があるため、これを防止するためである。
ところで、図8により上述した前者の測定システム100では、筐体(213)内に収容される電子回路ブロックが複数ある場合、当然ながら、それらの電子回路ブロックおよび筐体を含む全てを電波暗室201に集合させて測定を行なわなければならない。しかし、測定対象が交換装置などの大規模な電子装置の場合は、実際の設置状況と同等の環境でターンテーブル111上に載せて測定を行なうのは非常に困難である。
そのため、従来は、電子装置を実際に設置場所に設置してみてからEMI対策を施すことが多く、EMI対策を含めた電子装置の設置に膨大な時間を費やしていた。
そこで、例えば特開平5−333072号公報に記載されているように、図9により上述したような「球状ダイポールアンテナ」を、電子装置の放射電波特性を模擬する放射源として用い、電波暗室101などの試験サイトと実際の設置場所での電波伝搬特性と、電子装置の試験サイトでの放射電波とを測定し、これらの測定結果から電子装置を上記設置場所に実際に設置したときの妨害電磁波の分布を推定することが提案されている。
これにより、装置設置前に設置場所の妨害電磁波環境を予測することが可能になるので、事前に妨害電磁波の対策指針を得ることができるのである。
発明が解決しようとする課題
さて、ここで、EMI測定を含めた実際の電子装置の製造工程(製品開発プロセス)を想定してみる。例えば、交換装置などの大規模な電子装置を製造する場合を考えてみると、この場合の電子装置には多数の電子回路ブロックと複雑な筺体(キャビネット)とが含まれるため、図10に示すように、それぞれが別々の場所・時間で独立したプロセスで開発されることが多い。
即ち、筐体の試作品は筐体設計プロセス300内(ステップA1,A2)において製造され、電子回路ブロックの試作品はそれぞれのプロセス400内(ステップB1,B2)において筐体設計プロセス300とは独立して製造される。
そして、例えば図8により上述した測定システム100によって試作機113によるEMIを測定する際には、上記のようにプロセス300,400においてそれぞれ独立して製造された筐体の試作品及び複数の電子回路ブロックの試作品をそれぞれ電波暗室101に一時期に集合させ、試作機113を組み立ててEMIの全体測定を行なう(ステップC1,C2)。
その後、このEMI測定の結果に基づいて、筐体又は電子回路ブロックもしくはその両方のそれぞれについてEMIの規格に対する対策がなされ、筐体に関しては実際の製品設計段階に入り(ステップA3)、電子回路ブロックに関しては試作品製造の本来の目的であるハードウェアやソフトウェアのデバッグ作業(ステップB3)が行なわれたのち、実際の製品設計段階に入る(ステップB4)。
そして、それぞれ製品が完成すると(ステップA4,B5)、再度、EMI測定のために製品版の筐体および電子回路ブロックをそれぞれ電波暗室101に集合させて製品を組み立てた上で(ステップC3)、製品出荷前の装置全体の最終的なEMI測定を行なう(ステップC4)。
このように、従来の測定システム100では、EMI測定の度に、筐体および電子回路ブロックを全て一時期に測定室101に集合させなければならない。このため、特に、交換装置のように大規模な電子装置を対象とした場合は、製品開発プロセス全体に対する大きな負担となる。
即ち、上述した電子回路ブロックの試作品は、EMI測定のためだけに製造されるわけでなく、本来は上述したごとくハードウェアやソフトウェアのデバッグを行なうことを主たる目的として製造されるものであるのだが、上述のごとくEMI測定期間中(図10の斜線部分参照)はその本来の目的であるデバッグ作業が滞ることになる。
また、上記のように電子装置に複数の電子回路ブロックが含まれる場合、一度EMI測定が終わったとしても、その後に、一部の電子回路ブロックに仕様等の変更が生じた場合には、それ以外の電子回路ブロックも含めて、全ての電子回路ブロックを再び集合・組み立てして再測定する必要にせまられる。この場合、何ら変更されていない電子回路ブロックのデバッグ作業も中断されることになる。
特に、製造工程の分業のために製造工場が各地に散在しているような場合、同じ電子装置を構成する複数の電子回路ブロックがそれぞれ異なる遠隔地で開発設計されることも少なくなく、このような場合、上記のようにEMI測定の度に、全ての電子回路ブロックを各地から1箇所に集合させるのは非常に非効率的である。
このような非効率的な作業を回避するには、EMI測定の際に電子回路ブロックと同等の妨害電磁波を電波暗室101内で発生できればよい。そこで、前述した特開平5−333072号公報や特開平6−43197号公報により提案されている技術、即ち、「球状ダイポールアンテナ」により電子装置の放射電波特性を模擬すれば、これを実現できそうである。
しかしながら、これらの特開平5−333072号公報および特開平6−43197号公報には、「電子装置の放射電波特性を模擬する」旨の記載はあるものの、いずれも、「球状ダイポールアンテナ」を妨害電磁波の発生源(電子回路)として見立てるという程度の意味であり、実際に、電子装置(電子回路ブロック)の発生する妨害電磁波をどのようにして正確に模擬するかについての手法や手段については何ら開示されていない。
このことは、前者の特開平5−333072号公報の段落〔0007〕において、「装置を完全には放射源で模擬できない…(以下、略)」との記載があり、また、上記の各公知技術がいずれも「装置の放射特性を正確に模擬できるようにすること」を目的としていないことから明らかである。
このため、上記の公知技術を例えば図8により前述した測定システム100に単純に適用したとしても、電子回路ブロックの発生する妨害電磁波を正確に模擬して、電子回路ブロックを電波暗室101に集合させずにEMI測定することは不可能である。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、放射電波測定対象の電子装置の構成要素である電子回路が発生する放射電波を正確に模擬できるようにして、電子回路を実際に集合させなくても集合させた場合と同等の放射電波測定を行なえるようにした、放射電波測定システム及び放射電波測定方法並びに放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
【課題を解決するための手段】
(1)第1の案として、例えば、電子回路を格納するための筐体から放射される電波を
測定する放射電波測定システムであって、該電子回路から放射される電波をアンテナで受
信した結果である実測データと、該電子回路と該アンテナとの位置関係と、を対応付けた
対応関係を格納する記憶装置と、該筐体に格納され、電波を放射する電波放射装置と、
該電波放射装置の放射電波を受信する電波受信装置と、該筐体と該電波受信装置との位
置関係と、該記憶装置に記憶された対応関係において当該位置関係と対応付けられた前記
実測データとに基づいて、該電波放射装置の放射する電波を制御する制御装置と、該電波
受信装置で受信された放射電波を測定する測定装置とをそなえる、放射電波測定システム
を用いることができる。
(2)また、第2の案として、例えば、電子回路を格納するための筐体から放射される
電波を測定する放射電波測定方法であって、該筐体に格納された、電波を放射する電波放
射装置の放射電波を電波受信装置により受信し、該電子回路から放射される電波をアンテ
ナで受信した結果である実測データと、該電子回路と該アンテナとの位置関係と、を対応
付けた対応関係において、該筐体と該電波受信装置との位置関係と対応付けられた前記実
測データ、及び、当該位置関係に基づいて、該電波放射装置の放射する電波を制御装置に
より制御し、該電波受信装置で受信される該電波放射装置からの放射電波を測定装置によ
り測定する、放射電波測定方法を用いることができる。
(3)さらに、第3の案として、例えば、電子回路を格納するための筐体に格納されて
電波を放射する電波放射装置と、該電波放射装置の放射電波を受信する電波受信装置と、
該電波放射装置の放射する電波を制御する制御装置と、該電波受信装置で受信された放射
電波を測定する測定装置とをそなえた放射電波測定システムをコンピュータによって制御
するための放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体であって、該筐体に格納さ
れた、該電波放射装置の放射電波を該電波受信装置により受信する受信ステップと、該
子回路から放射される電波をアンテナで受信した結果である実測データと、該電子回路と
該アンテナとの位置関係と、を対応付けた対応関係において、該筐体と該電波受信装置と
の位置関係と対応付けられた前記実測データ、及び、当該位置関係に基づいて、該電波放
射装置の放射する電波を該制御装置により制御する制御ステップとを含む処理を、該コン
ピュータに実行させるための放射電波測定制御プログラムが記録された、記録媒体を用い
ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(A)一実施形態の説明
図1は本発明の一実施形態としてのEMI測定システム(放射電波測定システム)を示すブロック図で、この図1に示すEMI測定システム1は、電磁波(以下、単に「電波」ともいう)の反射を抑制した電波暗室2において、ターンテーブル回転モータ21a付きのターンテーブル21,放射アンテナ22,アンテナ制御モータ23a付きの測定アンテナ23などが設置され、測定室3において、ターンテーブル制御装置31,アンテナ制御装置32,信号発生器(シグナルジェネレータ)33,電気/光(E/O)変換器34,スペクトラムアナライザ35,制御用のパーソナルコンピュータ(計算機;以下、単に「制御パソコン」という)36及び記憶装置37などが設置されて構成されている。なお、符号24は最終的なEMI測定対象の電子装置の筐体(キャビネット)を表す。
そして、E/O変換器34と放射アンテナ22との間は光ケーブル(例えば、シングルモード光ファイバケーブル)4によって接続されており、ターンテーブル制御装置31とターンテーブル回転モータ21a、アンテナ制御装置32とアンテナ制御モータ23a、スペクトラムアナライザ35と測定アンテナ23との間はそれぞれ外来雑音に強い同軸ケーブル5などによって接続されている。
ここで、上記のターンテーブル21は、EMI測定対象の電子装置や筐体24が載置される測定台で、ターンテーブル制御装置31からターンテーブル回転モータ21aが制御されることによって水平面内において360°回転できるようになっており、これにより、ターンテーブル21上に載置された被測定物の向きを水平面内において自在に変更できるようになっている。
また、放射アンテナ(電波放射装置)22は、ターンテーブル21上に載置されるEMI測定対象の電子装置の筐体24内に収容されて、シグナルジェネレータ33で生成された信号(発振波形)に応じた電磁波を放射するためのもので、本実施形態においても、例えば、直径15cm程度の球状ダイポールアンテナが好適である。
本放射アンテナ22も、図示しない光/電気(O/E)変換器や電磁波発生用のバッテリ等を内蔵しており、E/O変換器34で光信号に変換されて光ケーブル4を通じて入力される発振波形を内蔵O/E変換器で電気信号に変換して球状導体に通電することにより、その球状導体からほぼ無指向性の電磁波が放射されるようになっている。なお、上記のバッテリとしては、リチウムイオンタイプのものが、エネルギー密度が高く好適である。
さらに、測定アンテナ(電波受信装置)23は、放射アンテナ22から放射された電磁波を受信するためのもので、本実施形態では、アンテナ制御モータ23aがアンテナ制御装置32によって制御されることにより、鉛直方向に1〜4m程度その高さを調整(昇降)することができるとともに、その取り付け方向(水平/垂直)を変更できるようになっている。
なお、ターンテーブル21上の被測定物と測定アンテナ23との(水平)距離は、3mや10m程度がよく使用され好適である。また、測定アンテナ23のタイプとしては、30〜200MHz(メガヘルツ)帯域ではバイコニカル型、200〜1000MHz帯域ではログペリ型が好適である。さらに、測定アンテナ23の取り付け方向が変更できるようになっているのは、電子回路ブロックが発生する電磁波の偏波方向にムラがあるので、偏波方向によらない最大の電界強度を測定するためである。
一方、測定室3において、ターンテーブル制御装置31は、制御パソコン36からのターンテーブル制御信号(回転角)に従ってターンテーブル回転モータ21aを制御して、ターンテーブル21を指示に応じた回転角だけ回転させるためのものであり、アンテナ制御装置32は、同様に、制御パソコン36からのアンテナ制御信号に従ってアンテナ制御モータ23aを制御して、アンテナ高さやアンテナ取り付け方向(水平/垂直)を指示に応じた高さや取り付け方向に制御するためのものである。
つまり、上記のターンテーブル制御装置31,ターンテーブル回転モータ21a,アンテナ制御装置32,アンテナ制御モータ23aは、電波暗室2でのEMIの測定環境(測定条件)を変更しうる測定条件変更装置としての機能を果たしていることになる。
また、シグナルジェネレータ33は、制御パソコン36からの指示(発振波形データ)に応じた発振波形を有する信号(電気信号)を発生するためのものであり、E/O変換器34は、このシグナルジェネレータ33で発生した信号を光信号に変換するもので、ここで得られた光信号は光ケーブル4を通じて電波暗室2内の放射アンテナ22に導入されるようになっている。なお、これらのシグナルジェネレータ33とE/O変換器34との間は同軸ケーブルなどの伝送特性の良いケーブルを用いて接続する。
さらに、スペクトラムアナライザ35は、測定アンテナ23で受信(観測)された電磁波を同軸ケーブル5経由で受けて、その電磁波のスペクトラムを解析(測定)するためのものであり、その解析結果はGPIB等を通じて制御パソコン36に転送されるようになっている。なお、このスペクトラムアナライザ35には、「測定モード」として例えば「最大値保持モード」と「全記録モード」とがあり、「最大値保持モード」では特定周波数帯の中で最も強い電界強度値のみが保持(記録)され、「全記録モード」では全周波数の電界強度値が全て記録されるようになっている。これらのモード設定は制御パソコン36によって遠隔制御できる。
また、記憶装置37は、最終的なEMI測定対象の電子装置を構成する電子回路ブロック単体についてのEMI測定データ(以下、単体測定データという)37aや、上記のスペクトラムアナライザ35による解析結果に基づいて求められる測定結果データ37b(測定アンテナ23で観測された電界強度値)を記憶するためのものである。
なお、この記憶装置37は、図1では制御パソコン36に対して外付けになっているが、勿論、ハードディスクなどとして制御パソコン36に内蔵されていてもよい(図2参照)。また、上記の単体測定データ37aは、図3により後述するように、電子回路ブロック単体が発生する放射電波の特定周波数毎の電界強度データ(実測データ)372と、その測定時の測定条件〔ターンテーブル回転角,測定アンテナ高さ,アンテナ取り付け方向(水平/垂直)など〕に関するデータ(測定条件データ)371との組で記憶装置37に記憶される。
そして、制御パソコン(制御装置)36は、ターンテーブル制御装置31やアンテナ制御装置32,シグナルジェネレータ33,スペクトラムアナライザ35を、それぞれGPIB等を介したデータ通信により遠隔集中制御することで、本EMI測定システム1によるEMI測定を集中制御するためのものである。
このため、本制御パソコン36は、その要部のハードウェア構成に着目すると、例えば図2に示すように、ディスプレイ(表示装置)38と本体39とをそなえており、本体39には、上記の記憶装置37をハードディスクとしてそなえるほか、CPU40,主記憶部(メインメモリ)41,フロッピーディスク(FD)やCD−ROM,MO(光磁気ディスク)などの記録媒体50に適したドライブ42などが設けられるとともに、上述したターンテーブル制御装置31やアンテナ制御装置32,シグナルジェネレータ33,スペクトラムアナライザ35などの計測機器をそれぞれGPIBにより接続するためのGPIBカード43が拡張バススロットなどに実装されており、これらのコンポーネントが内部バス44により相互に通信可能に接続されている。
ここで、CPU40は、本制御パソコン36の動作を集中管理するもので、ユーザの指示に応じてハードディスク37に記憶(インストール)された所望のプログラムを主記憶部41に読み出して実行するととにより、そのプログラムに従った動作を、制御パソコン36に実行させるものである。例えば、本実施形態では、ハードディスク37にEMI測定制御プログラム51をインストールしてCPU40に実行させることによって、制御パソコン36をEMI測定用の制御装置として機能させることができる。
なお、このEMI測定制御プログラム51のインストールは、記録媒体50に記録されているものをドライブ42によって読み取ることで行なってもよいし、インターネットやWAN(Wide Area Network),LAN(Local Area Network)などの通信網を介してftp(file transfer protocol)などを用いてダウンロードしてきたものをハードディスク37に展開することで行なってもよい。また、勿論、本制御パソコン36上でプログラミングしたものをハードディスク37に展開することで実施してもよい。
具体的に、上記のEMI測定制御プログラム(以下、単に「制御プログラム」という)51をCPU40に実行させると、本実施形態の制御パソコン36は、例えば図4及び図5により後述するアルゴリズム(データ校正プロセス52及び測定プロセス53)を実行することになる。換言すれば、本実施形態の制御プログラム51は、図4及び図5に示す各プロセス52,53を制御パソコン36に実行させるようプログラミングされている。
以下、上述のごとく構成された本実施形態のEMI測定システム1の動作について詳述する。
まず、前段(事前)作業として、電子回路ブロック単体についての単体測定データ37aを入手する必要がある。これは、図8により前述した既存システム100を用いて測定することで得てもよいし、本EMI測定システム1を用いて測定することで得てもよい。
例えば本EMI測定システム1を用いる場合には、制御パソコン36に、ターンテーブル制御装置31,アンテナ制御装置32,スペクトラムアナライザ35を自動制御するプログラム(上述した制御プログラム51とは別のもの)をインストールしておく。この場合のプログラムは、測定器メーカ等が提供しているものでもよいし、CやBASICといった一般的なプログラミング言語を使用して作成してもよい。いずれにしても、前述した既存システム100で使用されるものでよい。
そして、最終的なEMI測定対象の電子装置を構成する電界回路ブロック単体を被測定装置としてターンテーブル21上に設置して、その電子回路ブロックを起動(電源投入)する。かかる状態で、制御パソコン36に上記のプログラムを実行させることにより、制御パソコン36は、まず、ターンテーブル回転角とアンテナ高さ及びアンテナ取り付け方向を初期値(例えば、ターンテーブル回転角=0°,アンテナ高さ=1m,アンテナ取り付け方向=水平)に設定し、スペクトラムアナライザ35の「測定モード」を適切なモード(「全記録モード」)に設定する。
これにより、その測定条件下での各周波数帯域の電界強度がスペクトラムアナライザ35で解析され、その解析結果(電界強度の最大値)が制御パソコン36に転送される。制御パソコン36は、そのときのターンテーブル回転角,アンテナ高さ,アンテナ取り付け方向,周波数対電界強度という組み合わせを1セットの単体測定データ37aとしてハードディスク37に記録する。例えば、「360, 4.0, H, 1000.0, -100.0」といった形式で保存する場合、これをテキスト形式で記録すると、24バイト程度のデータになる。
その後、ターンテーブル回転角,アンテナ高さ及びアンテナ取り付け方向を順次変更してゆき、全ての測定条件の組み合わせについて周波数,電界強度を測定してハードディスク37に記録してゆく。このようにして得られた単体測定データ37aの一例を図3に示す。つまり、この場合の測定は、通常の最大電界強度のみを求める「最大値保持モード」ではなく、ターンテーブル回転角,アンテナ高さ,アンテナ取り付け方向の全ての組み合わせについて周波数対電界強度値を電界強度データ372として全て記録する「全記録モード」によって行なわれるのである。
なお、後述するように、この単体測定データ37aを用いて電子回路ブロック単体の妨害電磁波を高精度に模擬するためには、この図3に示すように、ターンテーブル回転角の変更刻みは0〜360°の範囲で5°程度、アンテナ高さの変更刻みは1〜4mの範囲で0.5m程度は少なくとも必要である。この場合の組み合わせ数は「504」となり、アンテナ取り付け方向が「水平/垂直」の2通りあるので、測定条件の総組み合わせ数は「1008」となる。
また、スペクトラムアナライザ35で分析する周波数の刻みは概ね1%程度あれば十分である。即ち、30〜100MHzの周波数帯で0.3MHz、100〜300MHzの周波数帯で1MHz、300〜1000MHzの周波数帯で3MHzもあれば良く、この場合、記録される周波数種類は「670」程度となる。なお、測定対象の周波数帯域は、各国の法規制などから上記のように30MHz〜1GHz(1000MHz)であることが多い。
以上の条件での測定に要する時間は、ターンテーブル制御装置31やアンテナ制御装置32,スペクトラムアナライザ35などの各測定機器の性能に左右されるが、スペクトラムアナライザ35での解析時間,スペクトラムアナライザ35から制御パソコン36へのデータ転送時間,ターンテーブル21及び測定アンテナ23の高さ/取り付け方向の変更時間などを合わせて、1回当たり10秒程度で可能である。従って、この場合の全測定時間は2時間50分程度になる。
そして、上記の手順により記録された単体測定データ37aは、後に放射アンテナ22によって電子回路ブロックの妨害電磁波を模擬した上でのEMI測定に使用される。なお、上記の単体測定データ37aを既存システム100で記録した場合は、その単体測定データ37aを制御パソコン36に転送する必要がある。
仮に、図3に示す単体測定データ37aをテキスト形式で記録した場合、1セットの総データ量はおよそ16M(メガ)バイト程度になるので、CD−ROMやMOなどの大容量記録媒体の使用、あるいは、インターネット等の通信網からのftpなどによるデータ転送を考慮する必要がある。
そして、上記の単体測定データ37aを使用して電子回路ブロック単体の妨害電磁波を模擬して実際に電子装置全体のEMI測定を行なうわけであるが、その前に、電子回路ブロック単体が発生する妨害電磁波の電界強度と同じ強さの電磁波が放射アンテナ22から放射されるシグナルジェネレータ33の発振波形(振幅値)を求める必要がある。
以下、この作業(データ校正プロセス52)について説明する。なお、この場合は、筐体24の無い状態で放射アンテナ22のみを電波暗室2内のターンテーブル21上に設置する。また、勿論、放射アンテナ22と測定アンテナ23との間の距離は、電子回路ブロック単体の測定時と同じ距離に設定しておく必要がある。
まず、制御パソコン36(CPU40)は、制御プログラム51を実行することによりデータ校正プロセス(以下、単に「校正プロセス」という)52を開始して、上記の単体測定データ37a〔測定条件データ371(アンテナ高さ,アンテナ取り付け方向,ターンテーブル回転角)及び電界強度データ372(周波数−電界強度値)〕をハードディスク37から読み取る(単体測定データ読み取り;ステップS1)。つまり、この場合、制御プログラム51は、制御パソコン36(CPU40)を、単体測定データ37aを取得するデータ取得手段61として機能させていることになる。
ここで、単体測定データの並びが乱雑であるとアンテナ高さやターンテーブル21の回転の無駄が生じてしまい、測定に余計な時間がかかる可能性があるため、測定作業の効率化・短縮化を目的として、制御パソコン36は、例えば図3に示したように、アンテナ高さ:低→高,回転角:0→360°などのように、最も効率の良い順序で測定を行なえる順序にデータを並べ替える(単体測定データソート;ステップS2)。つまり、この場合、制御プログラム51は、制御パソコン36(CPU40)を、複数組の電界強度データ372及び測定条件データ371を測定条件の変更順序に適した順序にソートするデータソート手段63として機能させていることになる。
また、この場合、電界強度データ372が特定周波数対応のデータとして記録されている〔図6(A)参照〕ため、そのままでは放射アンテナ22に信号を与えることができない。そこで、本実施形態では、逆高速フーリエ変換(逆FFT)によって時間に対する電界強度データ、即ち、時間領域の発振波形データ〔図6(B)参照〕に変換する(逆FFT・波形生成;ステップS3)。
つまり、この場合、制御プログラム51は、電界強度データ372が周波数領域のデータとして得られている場合に、そのデータ372を逆FFTして時間領域の発振波形データに変換する逆FFT変換手段64と、この逆FFT変換手段によって得られた発振波形データに基づいて放射アンテナ22の放射電波の発振波形を生成する発振波形生成手段65として、制御パソコン36(CPU40)を機能させているのである。
これにより、上記電界強度データ372の周波数領域に含まれる複数周波数(例えば、30〜1000MHz)分の発振波形をシグナルジェネレータ33に1度に与えて電波放射状態制御を1度に実施することができるので、測定作業の短縮化を図ることができる。なお、上記の逆FFTは、このように制御パソコン36上でソフトウェアによって実行してもよいし、シンセサイザのようなハードウェアを使用して実現してもよい。ただし、近年のパソコンの性能を考えると、専用のハードウェアを設けるよりも、上記のようにソフトウェアによって処理した方が効率的である。
次に、制御パソコン36は、最初の(n=1の)測定条件データ371に従ってターンテーブル制御装置31,アンテナ制御装置32を制御して、そのデータ371どおりにアンテナ高さ,アンテナ取り付け方向,ターンテーブル回転角を合わせる(ステップS4,S5)。かかる状態で、上述のごとく生成した発振波形をシグナルジェネレータ33に入力し、最初は適当な振幅で発振させる(波形入力/発振開始;ステップS6,S7)。
これにより、放射アンテナ22から入力発振波形に応じた妨害電磁波が放射される。そして、その妨害電磁波を測定アンテナ23で観測し、観測した電磁波をスペクトラムアナライザ35で解析する。制御パソコン36は、その解析結果をスペクトラムアナライザ35から受けることにより、その電界強度を求めてハードディスク37(あるいは、メインメモリ41でもよい)に記録する(受信強度測定;ステップS8)。
そして、制御パソコン36は、測定(記録)された電界強度を最初(n=1)の単体測定データ37aの電界強度データ372と比較し、それよりも強ければ振幅を減少させ、弱ければ振幅を増加する。これを繰り返すことによって、単体測定データ37aどおりの強さで電界強度が測定アンテナ23で観測(測定)される発振波形の振幅値を求めて(振幅決定;ステップS9)、その振幅値を発振波形及びn番目の測定条件データ371(現測定条件)とセットで(電波放射状態データとして)ハードディスク37に記録する(振幅値記録;ステップS10)。
つまり、上記の制御プログラム51は、上記のステップS2〜S12をCPU40に実行させることによって、制御パソコン36(CPU40)を、データ取得手段61によって取得した各データ371,372に従って制御装置31,32と放射アンテナ22の電波放射状態とを制御して、測定アンテナ23で受信される放射電波のスペクトラムアナライザ35での測定データが電界強度データ372に一致するときの放射アンテナ22の電波放射状態データを求めるデータ校正手段62として機能させるとともに、このデータ校正手段62で求められた電波放射状態データを記録装置37に記録する記録制御手段66として機能させていることになる。
なお、振幅と電界強度の関係が事前の測定などによって予め分かっている場合には、1点のみの測定で演算により上記の振幅値を求めることもできるが、データ(振幅値)の信頼性を高めるためには、上述のごとく実際に放射アンテナ22から電磁波を放射させて確認することが望ましい。
以上の作業をアンテナ高さ,アンテナ取り付け方向,ターンテーブル回転角の組み合わせ数だけ〔最後の組み合わせのデータ37aまで(ステップS11でYESと判定されるまで)〕、読み取りデータを順次次のデータに変更して(n=n+1;ステップS12)繰り返すことにより、全方向に対しての振幅値を求める(ステップS11のNOルート)。
つまり、この場合、制御プログラム51は、制御パソコン36を上記のデータ校正手段として機能させる際に、さらに、複数種類の測定条件に応じて複数組の測定条件データ371及び電界強度データ372が存在する場合に、所定の順序で測定条件の制御と電波放射状態の制御とを繰り返し行なわせるようになっているのである。これにより、あらゆる方向の(複数種類の測定条件下での)電子回路ブロック単体の妨害電磁波をそれぞれ正確に模擬することができるので、妨害電磁波の模擬精度が大幅に向上する。
そして、上述のごとく記録した上記の発振波形をその測定条件下及び振幅値でシグナルジェネレータ33から発生させれば、電子回路ブロック単体の妨害電磁波を模擬した電磁波が放射アンテナ22から放射されることになる。なお、電子回路ブロックが複数存在する場合は、それぞれについて上記の処理を実施することにより、それぞれに対応する発振波形及び振幅値を記録しておく。
さて、以上のようにして校正プロセス52が完了したら、次に図5に示すアルゴリズムに従って、実際のEMI測定(測定プロセス53;制御ステップ)を実施する。この際には、図1に示すとおり、筐体(キャビネット)24内部に放射アンテナ22を設置する。なお、電子回路ブロックが複数存在する場合には、それに応じて複数の放射アンテナ22を筐体24内に設置する。
まず、制御パソコン36は、上記の校正プロセス52で得られた電波放射状態データ(測定条件,発振波形及び振幅値)のうち、最初の(n=1)のデータに従って、ターンテーブル回転角,アンテナ高さ,アンテナ取り付け方向を調整した上で(ステップS21,S22)、対応する発振波形と振幅値をシグナルジェネレータ33に入力して(ステップS23)、放射アンテナ22から電子回路ブロックの妨害電磁波を模擬した電磁波を放射(発振)させる(ステップS24)。
つまり、この場合、上記の制御プログラム51は、上記のステップS23及びS24を「電波放射状態制御プロセス」としてCPU40に実行させることにより、制御パソコン36を、上記のデータ校正手段62で求められたデータに従って放射アンテナ22の電波放射状態を制御することによって電子回路ブロックの放射電波を模擬した電波を放射アンテナから放射させる電波放射状態制御手段67として機能させていることになる。
そして、制御パソコン36は、測定アンテナ23で観測された電界強度をスペクトラムアナライザ35経由で読み取り、例えばハードディスク37に記録する(測定ステップ;ステップS25)。
以上の作業を、アンテナ高さ,アンテナ取り付け方向,ターンテーブル回転角の組み合わせ数だけ〔最後の組み合わせのデータ37aまで(ステップS26でYESと判定されるまで)〕、読み取りデータを、順次、次のデータに変更して(n=n+1;ステップS27)繰り返すことにより、全方向に対して筐体24を含めた電子装置のEMIを、電子回路ブロック単体の妨害電磁波を模擬した電磁波によって求めて、順次、記録してゆく(ステップS26のNOルート)。ただし、この場合は、校正プロセス52のようにアンテナ高さ,アンテナ取り付け方向及びターンテーブル回転角毎にデータを全て記録する必要はなく、各周波数帯域における最大電界強度のみを記録しておけばよい(「最大値保持モード」)。
以上のように、本実施形態のEMI測定システム1によれば、予め測定された電子回路ブロック単体の発する妨害電磁波の実測データ372とその測定時の測定条件データ371とに基づいて現測定条件と放射アンテナ22の電波放射状態とを制御することにより、電子回路ブロック単体の妨害電磁波を正確に模擬することができるので、その電子回路ブロック単体が電波暗室2に実際に無くても、模擬した妨害電磁波で代用することで、電子装置全体の発する妨害電磁波を再現して測定することが可能になる。
つまり、電子装置を構成する全電子回路ブロックを電波暗室2に一時期に集合させなくても、集合させた場合と同じEMI測定を実施することができる。これにより、独立した各電子回路ブロックの開発プロセスに応じて、或る電子回路ブロックの試作機単体でEMI測定を行なえばよいことになり、各電子回路ブロックの開発プロセスの独立性を高めて、製品開発の効率性を飛躍的に向上することができる。
例えば製品出荷までの製品開発プロセスを考えてみると、図7に示すように、筐体(キャビネット)24の試作品は筐体設計プロセス7内(ステップS31,S32)において製造され、電子回路ブロック単体の試作品はそれぞれの回路設計プロセス6内(ステップS41,S42)において筐体設計プロセスとは独立して製造される。
そして、それぞれの回路設計プロセス6において、電子回路ブロックの試作品のEMIを単体で測定して、上述した単体測定データ37aを求める(ステップS43)。そして、得られた単体測定データ37aは上述したごとく校正プロセス52を経て筐体24を含んだEMI測定に使用される(ステップS44,S33)。この間も、回路設計プロセス6では、試作品によるハードウェアやソフトウェアのデバッグ作業などを継続して行なうことができ(ステップS45)、製品設計及び製品製造を滞りなく行なうことができる(ステップS46,S47)。
一方、筐体24の試作品は、上記EMI測定が終了し、規格値を満足して問題なければ、製品設計及び製品製造段階に入る(ステップS34,S35)。そして、それぞれ製品が完成すれば、EMI測定のために製品版の筐体および電子回路ブロックをそれぞれ電波暗室2に集合させて製品を組み立てた上で(ステップS51)、製品出荷前の装置全体の最終的なEMI測定を行なう(ステップS52)。
このように、本実施形態のEMI測定システム1を用いることで、試作品によるEMI測定の度に、筐体24および電子回路ブロックを全て一時期に測定室2に集合させる必要がないので、交換装置のように大規模な電子装置を対象とした場合でも、製品開発プロセス全体の大幅な効率化・短縮化が可能である。
しかも、本実施形態では、校正プロセス52において、測定アンテナ23で実際に受信される電磁波の測定データが予め測定された実測データ372に一致するよう校正した電波放射状態データ(発振波形,振幅値)に従って放射アンテナ22の電磁波放射状態を制御するので、放射アンテナ22から放射される電磁波を、より実際の電子回路ブロックの妨害電磁波に近づけることができて、高精度な電子回路ブロック単体の妨害電磁波の模擬が実現されている。
また、校正プロセス52で求めた電波放射状態データは、ハードディスク37などに記録されるので、仮に電子回路ブロック単体の仕様等に変更が生じた場合でも、変更の無い電子回路ブロック単体について既に求められている電波放射状態データは再利用することができる。
換言すれば、1度校正プロセス52によって求めた電子回路ブロック単体の妨害電磁波(電波放射状態データ)は、その電子回路ブロック単体の仕様等に変更が無く上記の測定条件データ371及び実測データ372に変更が無い限り、そのまま実際の電子回路ブロック単体の妨害電磁波として代用することができる。
従って、変更のあった電子回路ブロック単体との組でEMIの再測定を行なわなければならなくても、変更の無い電子回路ブロック単体をわざわざ電波暗室2に用意せずにEMI測定を実施することができ、電子回路ブロック単体の開発プロセスの独立性をさらに高めて、製品開発の効率化を図ることができる。
(B)その他
なお、図4により上述した校正プロセス52におけるデータソートステップS2は、予め得られている単体測定データ37aの並びがもともと測定条件の変更順序に適した並びになっている場合は、勿論、省略可能である。また、測定(条件)項目は、勿論、必ずしも、図3に示すような項目でなくてもよく、使用する測定アンテナ23の種類やターンテーブル21の種類に応じて測定項目は変更すればよい。
また、上述した実施形態では、測定アンテナ23とスペクトラムアナライザ35との間を同軸ケーブル5で接続しているが、例えば図9により前述した測定システム200と同様に、測定アンテナ23に球状ダイポールアンテナを用い、スペクトラムアナライザ35との接続に光ケーブルを用いるようにしてもよい。
そして、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
(C)付記
〔付記1〕 電波を放射する電波放射装置と、
該電波放射装置の放射電波を受信する電波受信装置と、
該放射電波の測定条件を変更しうる測定条件変更装置と、
該電波受信装置で受信された放射電波を測定する測定装置と、
所定の測定条件下で予め測定された電子回路の放射電波の実測データとその測定時の測定条件データとに基づいて該測定条件変更装置と該電波放射装置とを制御して、上記の測定条件と同じ測定条件下において該電子回路の放射電波を模擬した電波を該電波放射装置から放射させる制御装置とをそなえたことを特徴とする、放射電波測定システム。
〔付記2〕 該制御装置が、
該測定条件データと該実測データとを取得するデータ取得手段と、
該データ取得手段によって取得した該測定条件データと該実測データとに従って該測定条件変更装置と該電波放射装置の電波放射状態とを制御して、該電波受信装置で受信される放射電波の該測定装置での測定データが該実測データに一致するときの該電波放射装置の電波放射状態データを求めるデータ校正手段と、
該データ校正手段によって求められた該電波放射状態データに従って該電波放射装置の電波放射状態を制御することによって該電子回路の放射電波を模擬した電波を該電波放射装置から放射させる電波放射状態制御手段とをそなえていることを特徴とする、付記1記載の放射電波測定システム。
〔付記3〕 該制御装置が、
該データ校正手段によって求められた該電波放射状態データを記録装置に記録する記録制御手段をさらにそなえていることを特徴とする、付記2記載の放射電波測定システム。
〔付記4〕 該データ校正手段が、
該実測データが周波数領域のデータとして得られている場合に、当該実測データを逆フーリエ変換して時間領域の発振波形データに変換する逆フーリエ変換手段と、
該逆フーリエ変換手段によって得られた該発振波形データに基づいて該電波放射装置の放射電波の発振波形を生成する発振波形生成手段とをそなえていることを特徴とする、付記2又は付記3に記載の放射電波測定システム。
〔付記5〕 該データ校正手段が、
複数種類の測定条件に応じて複数組の測定条件データ及び実測データが存在する場合に、所定の順序で該測定条件の制御と該電波放射状態の制御とを繰り返し行なうように構成されたことを特徴とする、付記2〜4のいずれか1項に記載の放射電波測定システム。
〔付記6〕 該データ校正手段が、
該複数組の測定条件データ及び実測データを測定条件の変更順序に適した順序にソートするデータソート手段をさらにそなえていることを特徴とする、付記5記載の放射電波測定システム。
〔付記7〕 電波を放射する電波放射装置と、該電波放射装置の放射電波を受信する電波受信装置と、該放射電波の測定条件を変更しうる測定条件変更装置と、該電波受信装置で受信された放射電波を測定する測定装置とをそなえた放射電波測定システムにおいて、
所定の測定条件下で予め測定された電子回路の放射電波の実測データとその測定時の測定条件データとを取得するデータ取得ステップと、
該測定条件データと該実測データとに基づいて該測定条件変更装置と該電波放射装置とを制御して、上記の測定条件と同じ測定条件下において該電子回路の放射電波を模擬した電波を該電波放射装置から放射させる制御ステップと、
該放射電波受信装置で受信される該電波放射装置からの放射電波を測定する測定ステップとを実行することを特徴とする、放射電波測定方法。
〔付記8〕 該制御ステップにおいて、
該測定条件データと該実測データとに従って該測定条件変更装置と該電波放射装置の電波放射状態とを制御して、該電波受信装置で受信される放射電波の該測定装置での測定データが該実測データに一致するときの該電波放射装置の電波放射状態データを求めるデータ校正プロセスと、
該データ校正プロセスで求められた該電波放射状態データに従って該電波放射装置の電波放射状態を制御することによって該電子回路の放射電波を模擬した電波を該電波放射装置から放射させる電波放射状態制御プロセスとを実行することを特徴とする、付記7記載の放射電波測定方法。
〔付記9〕 該制御ステップにおいて、
該データ校正プロセスで求められた該電波放射状態データを記録することを特徴とする、付記8記載の放射電波測定方法。
〔付記10〕 該データ校正プロセスが、
該実測データが周波数領域のデータとして得られている場合に、当該実測データを逆フーリエ変換して時間領域の発振波形データに変換する逆フーリエ変換ステップと、
該逆フーリエ変換ステップで得られた該発振波形データに基づいて該電波放射装置の放射電波の発振波形を生成する発振波形生成ステップとを含むことを特徴とする、付記8又は付記9に記載の放射電波測定方法。
〔付記11〕 該データ校正プロセスにおいて、
複数種類の測定条件に応じて複数組の測定条件データ及び実測データが存在する場合は、所定の順序で該測定条件の制御と該電波放射状態の制御とを繰り返し行なうことを特徴とする、付記8〜10のいずれか1項に記載の放射電波測定方法。
〔付記12〕 該データ校正プロセスが、
該複数組の測定条件データ及び実測データを測定条件の変更順序に適した順序にソートするデータソートステップを含むことを特徴とする、付記11記載の放射電波測定方法。
〔付記13〕 電波を放射する電波放射装置と、該電波放射装置の放射電波を受信する電波受信装置と、該放射電波の測定条件を変更しうる測定条件変更装置と、該電波受信装置で受信された放射電波を測定する測定装置とをそなえた放射電波測定システムをコンピュータによって制御するための放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体であって、
所定の測定条件下で予め測定された電子回路の放射電波の実測データとその測定時の測定条件データとを取得するデータ取得ステップと、
該測定条件データと該実測データとに基づいて該測定条件変更装置と該電波放射装置とを制御して、上記の測定条件と同じ測定条件下において該電子回路の放射電波を模擬した電波を該電波放射装置から放射させる制御ステップとを含む処理を、該コンピュータに実行させるための放射電波測定制御プログラムが記録されたことを特徴とする、放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体。
〔付記14〕 該放射電波測定制御プログラムが、
該制御ステップを該コンピュータに実行させる際に、
該測定条件データと該実測データとに従って該測定条件変更装置と該電波放射装置の電波放射状態とを制御して、該電波受信装置で受信される放射電波の該測定装置での測定データが該実測データに一致するときの該電波放射装置の電波放射状態データを求めるデータ校正プロセスと、
該データ校正プロセスで求められた該電波放射状態データに従って該電波放射装置の電波放射状態を制御することによって該電子回路の放射電波を模擬した電波を該電波放射装置から放射させる電波放射状態制御プロセスとを、さらに該コンピュータに実行させることを特徴とする、付記13記載の放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体。
〔付記15〕 該放射電波測定制御プログラムが、
該制御ステップを該コンピュータに実行させる際に、
該データ校正プロセスで求められた該電波放射状態データを記録装置に記録させるステップを、さらに該コンピュータに実行させることを特徴とする、付記14記載の放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体。
〔付記16〕 該放射電波測定制御プログラムが、
該データ校正プロセスを該コンピュータに実行させる際に、
該実測データが周波数領域のデータとして得られている場合に、当該実測データを逆フーリエ変換して時間領域の発振波形データに変換する逆フーリエ変換ステップと、
該逆フーリエ変換ステップで得られた該発振波形データに基づいて該電波放射装置の放射電波の発振波形を生成する発振波形生成ステップとを含む処理を、さらに該コンピュータに実行させることを特徴とする、付記14又は付記15に記載の放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体。
〔付記17〕 該放射電波測定制御プログラムが、
該データ校正プロセスを該コンピュータに実行させる際に、
複数種類の測定条件に応じて複数組の測定条件データ及び実測データが存在する場合は、所定の順序で該測定条件の制御と該電波放射状態の制御とを繰り返し該コンピュータに実行させることを特徴とする、付記14〜16のいずれか1項に記載の放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体。
〔付記18〕 該放射電波測定制御プログラムが、
該データ校正プロセスを該コンピュータに実行させる際に、
該複数組の測定条件データ及び実測データを測定条件の変更順序に適した順序にソートするデータソートステップを、該コンピュータに実行させることを特徴とする、付記17記載の放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体。
発明の効果
以上詳述したように、本発明によれば、予め測定された電子回路の放射電波の実測データとその測定時の測定条件データとに基づいて現測定条件と電波放射装置の電波放射状態とを制御することにより、電子回路の放射電波を正確に模擬することができるので、その電子回路が測定場所に実際に無くても、模擬した放射電波で代用することで、電子装置全体の放射電波を再現して測定することが可能になる。従って、電子装置を構成する全電子回路を実際に集合させなくても、集合させたときと同じ放射電波測定を行なうことができ、電子回路の開発プロセスの独立性を高めて、製品開発の効率性を飛躍的に向上することができる。
ここで、上記の電波放射装置の電波放射状態は、電波受信装置で実際に受信される放射電波の測定データが上記の実測データに一致するよう校正した電波放射状態データに従って制御することができるので、電波放射装置から放射される電波を、より実際の電子回路の放射電波に近づけることができて、高精度な電子回路の放射電波の模擬が実現される。
なお、上記の電波放射状態データを記録装置に記録しておけば、仮に電子回路の仕様等に変更が生じた場合でも、変更の無い電子回路についての電波放射状態データは再利用することができる。換言すれば、1度校正プロセスで求めた電子回路の放射電波(電波放射状態データ)は、電子回路の仕様等に変更が無く上記の測定条件データ及び実測データに変更が無い限り、そのまま実際の電子回路の放射電波として代用することができる。従って、変更のあった電子回路との組で再測定を行なわなければならなくても、変更の無い電子回路をわざわざ測定場所に用意せずに測定を実施することができ、電子回路の開発プロセスの独立性をさらに高めることができる。
また、上記の予め測定された実測データが周波数領域のデータとして得られている場合には、その実測データを逆フーリエ変換して時間領域の発振波形データに変換し、得られた発振波形データに従って電波放射装置の放射電波の発振波形を制御するようにすれば、上記実測データの周波数領域に含まれる複数周波数についての電波放射状態制御を1度に実施することができるので、測定作業の効率化・短縮化を図ることができる。
さらに、複数種類の測定条件に応じて複数組の測定条件データ及び実測データが存在する場合には、所定の順序で上記の測定条件の制御と電波放射状態の制御とを繰り返し行なうようにすれば、複数種類の測定条件下での電子回路の放射電波をそれぞれ正確に模擬することができるので、放射電波の模擬精度をさらに向上することができる。
また、このように複数組の測定条件データ及び実測データが存在する場合には、これらの複数組の測定条件データ及び実測データを測定条件の変更順序に適した順序にソートするようにしてもよい。このようにすれば、測定に最も効率の良い順序で放射電波測定を実施することができ、測定作業のさらなる効率化・短縮化を図ることができる。
本発明の一実施形態としてのEMI測定システム(放射電波測定システム)を示すブロック図である。 図1に示す制御パソコンのハードウェア構成例を示すブロック図である。 図1に示すEMI測定システムで使用される単体測定データの一例を示す図である。 図1に示す制御パソコンによる制御(EMI測定制御プログラム;校正プロセス)を説明するためのフローチャート(アルゴリズム)である。 図1に示す制御パソコンによる制御(EMI測定制御プログラム;測定プロセス)を説明するためのフローチャート(アルゴリズム)である。 (A),(B)はそれぞれ図3に示す単体測定データの逆FFT処理を説明するための図で、(A)は逆FFT前の周波数領域の単体測定データ例、(B)は逆FFT後の時間領域の発振波形データ例をそれぞれ示す図である。 図1に示すEMI測定システムを適用した場合の製品開発プロセスを説明するためのフローチャートである。 従来のEMI測定システムの一例を示すブロック図である。 従来の電磁シールド性能測定システムの一例を示すブロック図である。 従来のEMI測定システムの課題を説明すべく従来の製品開発プロセスを示すフローチャートである。
1 EMI測定システム(放射電波測定システム)
2 電波暗室
3 測定室
4 光ケーブル(シングルモード光ファイバケーブル)
5 同軸ケーブル
6 回路設計プロセス
7 筐体(キャビネット)設計プロセス
21 ターンテーブル
21a ターンテーブル回転モータ(測定条件変更装置)
22 放射アンテナ(球状ダイポールアンテナ;電波放射装置)
23 測定アンテナ(電波受信装置)
23a アンテナ制御モータ(測定条件変更装置)
24 筐体(キャビネット)
31 ターンテーブル制御装置(測定条件変更装置)
32 アンテナ制御装置(測定条件変更装置)
33 シグナルジェネレータ(信号発生器)
34 電気/光(E/O)変換器
35 スペクトラムアナライザ(測定装置)
36 制御用のパーソナルコンピュータ(計算機;制御装置)
37 記憶装置(ハードディスク)
37a 単体測定データ
37b 測定結果データ
38 ディスプレイ
39 本体
40 CPU
41 主記憶部(メインメモリ)
42 ドライブ
43 GPIB(General Purpose Interface Bus)カード
51 EMI測定制御プログラム(放射電波測定制御プログラム)
52 データ校正プロセス
53 測定プロセス
61 データ取得手段
62 データ校正手段
63 データソート手段
64 逆FFT変換手段
65 発振波形生成手段
66 記録制御手段
67 電波放射状態制御手段
371 測定条件データ
372 電界強度データ(実測データ)

Claims (5)

  1. 電子回路を格納するための筐体から放射される電波を測定する放射電波測定システムで
    あって、
    該電子回路から放射される電波をアンテナで受信した結果である実測データと、該電子
    回路と該アンテナとの位置関係と、を対応付けた対応関係を格納する記憶装置と、
    該筐体に格納され、電波を放射する電波放射装置と、
    該電波放射装置の放射電波を受信する電波受信装置と、
    該筐体と該電波受信装置との位置関係と、該記憶装置に記憶された対応関係において当
    該位置関係と対応付けられた前記実測データとに基づいて、該電波放射装置の放射する電
    波を制御する制御装置と、
    該電波受信装置で受信された放射電波を測定する測定装置とをそなえる、ことを特徴と
    する、放射電波測定システム。
  2. 電子回路を格納するための筐体から放射される電波を測定する放射電波測定方法であっ
    て、
    該筐体に格納された、電波を放射する電波放射装置の放射電波を電波受信装置により受
    信し、
    電子回路から放射される電波をアンテナで受信した結果である実測データと、該電子
    回路と該アンテナとの位置関係と、を対応付けた対応関係において、該筐体と該電波受信
    装置との位置関係と対応付けられた前記実測データ、及び、当該位置関係に基づいて、該
    電波放射装置の放射する電波を制御装置により制御し、
    該電波受信装置で受信される該電波放射装置からの放射電波を測定装置により測定する
    、ことを特徴とする、放射電波測定方法。
  3. 電子回路を格納するための筐体に格納されて電波を放射する電波放射装置と、該電波放
    射装置の放射電波を受信する電波受信装置と、該電波放射装置の放射する電波を制御する
    制御装置と、該電波受信装置で受信された放射電波を測定する測定装置とをそなえた放射
    電波測定システムをコンピュータによって制御するための放射電波測定制御プログラムが
    記録された記録媒体であって、
    該筐体に格納された、該電波放射装置の放射電波を該電波受信装置により受信する受信
    ステップと、
    電子回路から放射される電波をアンテナで受信した結果である実測データと、該電子
    回路と該アンテナとの位置関係と、を対応付けた対応関係において、該筐体と該電波受信
    装置との位置関係と対応付けられた前記実測データ、及び、当該位置関係に基づいて、該
    電波放射装置の放射する電波を該制御装置により制御する制御ステップとを含む処理を、
    該コンピュータに実行させるための放射電波測定制御プログラムが記録された、ことを特
    徴とする、放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体。
  4. 該放射電波測定制御プログラムが、
    該制御ステップを該コンピュータに実行させる際に、
    前記対応関係に従って、該筐体と該電波受信装置との位置関係と該電波放射装置の電波
    放射状態とを制御して、該電波受信装置で受信される放射電波の該測定装置での測定デー
    タが該実測データに一致するときの該電波放射装置の電波放射状態データを求めるデータ
    校正プロセスと、
    該データ校正プロセスで求められた該電波放射状態データに従って、該電波放射装置の
    電波放射状態を制御することによって該電子回路の放射電波を模擬した電波を該電波放射
    装置から放射させる電波放射状態制御プロセスとを、さらに該コンピュータに実行させる
    、ことを特徴とする、請求項3記載の放射電波測定制御プログラムが記録された記録媒体

  5. 該放射電波測定制御プログラムが、
    該制御ステップを該コンピュータに実行させる際に、
    該データ校正プロセスで求められた該電波放射状態データを記録装置に記録させるステ
    ップを、さらに該コンピュータに実行させる、ことを特徴とする、請求項4記載の放射電
    波測定制御プログラムが記録された記録媒体。
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