JP5309000B2 - ハイブリッド車両 - Google Patents
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Description
このハイブリッド車両では、エンジンによる駆動時の変速は上記と同様に行われ、モータジェネレータのみによる走行時(電動駆動時)や、モータジェネレータによるアシスト走行時(ハイブリッド駆動時)には、第1入力軸側のギヤ列と第2入力軸側のギヤ列を出力軸側に同時に噛合させた状態において、モータジェネレータの動力が差動歯車装置のリングギヤに入力され、その動力がキャリアとサンギヤの少なくとも一方を通して出力軸に伝達される。
即ち、第1入力軸側のギヤ列と第2入力軸側のギヤ列が出力軸側に同時噛合されない状態では、差動歯車装置の第1入力軸側の回転要素であるキャリアと第2入力軸側の回転要素であるサンギヤが特定の回転比関係に拘束される(差動を制限される)ことがなく、リングギヤを通して第1入力軸側のキャリアにモータジェネレータの動力が入力されても、その動力は第2入力軸側のサンギヤを空転させるのみで出力軸側には伝達されなくなってしまう。
また、電動駆動時には、モータジェネレータの接続されている側の入力軸上の目的とする変速段のギヤ列を出力軸側に噛合し、その状態でモータジェネレータを駆動させる。これにより、モータジェネレータの動力は出力軸に噛合されているギヤ列を介して車輪駆動部へと伝達される。
また、ハイブリッド駆動時には、モータジェネレータの動力が常に一方の入力軸に直接的に入力されることから、エンジンがいずれの変速段で車輪駆動部を駆動させているときにも、モータジェネレータの駆動力を、ギヤ列を通して出力軸に伝達することができる。また、ハイブリッド駆動時に、モータジェネレータの接続されていない側の入力軸からエンジンの動力を切り離した状態で同入力軸側のギヤ列をプレシフトしても、出力軸へのモータジェネレータの動力伝達が途切れることがなくなる。
この場合、差動歯車装置が動力分割機構を構成し、第3のクラッチによってエンジンと第2サンギヤが接続されると、エンジンの動力がキャリアと第1サンギヤを介して第1入力軸と第2入力軸とに分割される。また、第3のクラッチが遮断された状態で、第1,第2のクラッチのうちの一方が接続されると、エンジンの動力は第1入力軸と第2入力軸のうちの一方に伝達される。変速段の1速と5速は第1入力軸側の第1シンクロクラッチによって操作され、3速と7速は第2入力軸側の第2シンクロクラッチによって操作される。また、変速機の前進回転、後退回転、ニュートラルの状態は第3シンクロクラッチによって切換え操作される。第3シンクロクラッチによって第3のクラッチの第2サンギヤ側と逆側の接離部が固定壁に接続されると、差動歯車装置の第2サンギヤの回転が固定される。これにより、第1サンギヤが一方に回転すると、プラネタリギヤが第1サンギヤの回転方向と逆向きに公転し、その結果、キャリアには逆向きの回転が伝達されることになる。
また、エンジンが停止し第1のクラッチの接続が遮断された状態で出力軸がモータジェネレータの動力を受けて回転すると、出力軸の回転はエンジン始動ギヤ列で減速されて第1入力軸に伝達される。この状態から第1のクラッチが接続されると、エンジンに動力が伝達されてエンジンの始動が可能になる。エンジンの始動直後に第1入力軸に入力されたエンジンの動力は、ツーウェイクラッチの機能により、エンジン始動ギヤ列を通して出力軸に伝達されなくなる。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のハイブリッド車両において、前記第1入力軸を当該軸側のギヤ列を介して前記出力軸に接続し、前記第1のクラッチを接続して前記エンジンと出力軸とを前記第1入力軸を経由して接続しているときに、前記第2入力軸を、当該軸側のギヤ列を介して前記出力軸に接続し、かつ前記第2のクラッチによって前記エンジンとの接続を遮断した状態にし、その状態で前記モータジェネレータによって車輪駆動部を駆動し、若しくは、回生制動を行うことを特徴とする。
これにより、モータジェネレータの動力は第2入力軸と当該軸側のギヤ列を介して出力軸に伝達され、その動力が第1入力軸側から出力軸に入力されるエンジンの動力に加算されて車輪駆動部へと伝達される。また、回生制動時には、車輪駆動部から出力軸に入力された動力が第2入力軸側のギヤ列を介してモータジェネレータに入力される。
これにより、モータジェネレータの動力は第2入力軸と第2クラッチを介してエンジンに伝達され、その動力がエンジンの動力に加算されて第1入力軸と出力軸を通して車輪駆動部へと伝達される。また、回生制動時には、車輪駆動部から出力軸に入力された動力が、第1入力軸、エンジン、第2のクラッチ、第2入力軸を順次経由してモータジェネレータに入力される。
これにより、電動駆動状態からハイブリッド駆動状態に移行するときには、エンジンの動力伝達経路が第1入力軸側に移され、エンジンから第2入力軸への動力伝達が遮断されている間に、第2入力軸側のギヤ列が運転状況に適合した変速段のものに切換えられるようになる。
これにより、車輪駆動部がモータジェネレータによって単独で駆動されているときには、出力軸の回転がエンジン始動ギヤ列で減速されて第1入力軸に伝達される。このとき第1のクラッチが接続されると、第1入力軸からエンジンにトルクが加えられてエンジンが始動する。こうしてエンジンが始動すると、その動力が第1のクラッチを介して第1入力軸に入力されるが、エンジン始動ギヤ列には、第1入力軸から出力軸への回転伝達を阻止するツーウェイクラッチが設けられているため、エンジンの始動直後の不安定な回転トルクは出力軸側に伝達されなくなる。
これにより、第2入力軸が出力軸とエンジンに対して遮断状態とされているときに、モータジェネレータが作動し、さらに反転機構が作動すると、モータジェネレータの動力によって第2入力軸が回転し、その回転が反転機構を介して第1入力軸に逆向きの回転として伝達されるようになる。こうして、第1入力軸が逆向きに回転すると、その回転がエンジン始動ギヤ列よりも変速比の小さい別のギヤ列を介して第1入力軸と車輪駆動部に伝達される。このとき、別のギヤ列とエンジン始動ギヤ列が出力軸側と同時に噛み合うことによる軸同士の相互ロックがツーウェイクラッチによって阻止される。
これにより、モータジェネレータによる後退発進時に蓄電手段の蓄電残容量が規定値を下回り、モータジェネレータによる後退走行の継続が難しくなったときには、第2のクラッチを接続することによってエンジンが始動され、始動したエンジンの回転が反転機構を介して第1入力軸に逆向きの回転として伝達されるようになる。この結果、エンジンの動力によって車両の後退走行が継続されるようになる。この場合にも、別のギヤ列とエンジン始動ギヤ列が出力軸側と同時に噛み合うことによる軸同士の相互ロックがツーウェイクラッチによって阻止される。
これにより、第2入力軸が出力軸と遮断状態とされ、かつエンジンと接続状態とされてモータジェネレータが作動すると、エンジンが始動し、第2入力軸がその動力を受けて回転するようになる。この状態から反転機構が作動すると、第2入力軸の回転が反転機構を介して第1入力軸に逆向きの回転として伝達されるようになる。こうして、第1入力軸が逆向きに回転すると、その回転がエンジン始動ギヤ列よりも変速比の小さい別のギヤ列を介して第1入力軸と車輪駆動部に伝達される。このとき、別のギヤ列とエンジン始動ギヤ列が出力軸側と同時に噛み合うことによる軸同士の相互ロックがツーウェイクラッチによって阻止される。
これにより、車両のアイドル停止時には、モータジェネレータが出力軸やエンジンから切り離されて補機を作動させることになる。
また、エンジンが停止し第1のクラッチの接続が遮断された状態で出力軸がモータジェネレータの動力を受けて回転すると、出力軸の回転はエンジン始動ギヤ列で減速されて第1入力軸に伝達される。この状態から第1のクラッチが接続されると、エンジンに動力が伝達されてエンジンの始動が可能になる。エンジンの始動直後に第1入力軸に入力されたエンジンの動力は、ツーウェイクラッチの機能により、エンジン始動ギヤ列を通して出力軸に伝達されなくなる。
また、エンジンが停止し第1のクラッチの接続が遮断された状態で出力軸がモータジェネレータの動力を受けて回転すると、出力軸の回転動力はツーウェイクラッチを介して7速ギヤ列を通り、ここで減速されて第1入力軸に伝達される。この状態から第1のクラッチが接続されると、エンジンに動力が伝達されてエンジンの始動が可能になる。エンジンの始動直後に第1入力軸に入力されたエンジンの動力は、ツーウェイクラッチの機能により、7速ギヤ列を通して出力軸に伝達されなくなる。
これにより、第1入力軸側のギヤ要素と第2入力軸側のギヤ要素が軸方向でオーバーラップして配置され、装置全体の軸長の短縮が可能になるとともに、出力軸上のギヤ要素の部品点数が削減されることになる。
最初に、図1〜図19に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態のハイブリッド車両100の全体構成を示す図である。同図に示すように、このハイブリッド車両100は、駆動源として機能するエンジン1と、駆動源と発電機として機能するモータジェネレータ2と、車輪駆動部であるディファレンシャル装置3と、エンジン1、モータジェネレータ2、ディファレンシャル装置3の3者の間に介装されて入出力の回転速度比を調整する変速機4と、モータジェネレータ2に対して電力を供給しモータジェネレータ2で発電された電力を蓄電する蓄電手段である高圧バッテリ5と、を備えている。
ステータ7のコイルは、インバータを含むパワードライブ・ユニット(PDU)9を介して高圧バッテリ5に接続されている。PDU9は、モータジェネレータ2やエンジン1の作動機器を統合的に制御する電子制御ユニット(ECU)10に電気的に接続されるとともに、補機作動用の低圧バッテリである12Vバッテリ11にも電気的に接続されている。
ECU10は、車両の運転状況に応じてPDU9を制御し、それによって高圧バッテリ5の電力によるモータジェネレータ2の力行運転と、モータジェネレータ2の発電電力を高圧バッテリ5に充電する回生運転とを行う。
第1サンギヤ21と第2サンギヤ22は、直結軸12の外周側に軸方向に並んで同軸に配置され、第1サンギヤ21は、第1入力軸13の軸方向の端部に一体回転可能に設けられている。第2サンギヤ22は、複数のプラネタリギヤ19の一方のギヤ部19bの外周側を非接触状態で覆う保持リング26に一体回転可能に設けられている。
キャリア20は、第2入力軸14の軸方向の端部に一体回転可能に設けられている。このキャリア20には、複数のプラネタリギヤ19の他方のギヤ部19aの外周側を非接触状態で覆う保持リング27が一体に設けられている。
なお、クラッチドラム28が直結軸12(エンジン1)に接続された状態においては、第1のクラッチCL1が接続されると、エンジン1とキャリア20(第1入力軸13)とが接続状態とされ、また、第3のクラッチCL3が接続されると、エンジン1と第2サンギヤ22とが接続状態とされる。
また、第1入力軸13と他方の出力軸16には、常時相互に噛合うギヤ対から成る5速ギヤ列41とエンジン始動ギヤ列42が設けられている。5速ギヤ列41は、第1入力軸13側のドライブギヤ41aが第1入力軸13に一体に固定される一方で、出力軸16側のドリブンギヤ41bが出力軸16に対して回転可能に支持され、第1シンクロクラッチS1の操作によって出力軸16に断接可能にされている。
ツーウェイクラッチ43は周知の構造のものが用いられるが、このツーウェイクラッチ43は、ドリブンギヤ42bとドライブギヤ42aを介した出力軸16側から第1入力軸13への正転・逆転双方の回転伝達を許容し、第1入力軸13側から出力軸16への正転・逆転双方の回転伝達を阻止するようになっている。
第2入力軸14と他方の出力軸16には、常時相互に噛合うギヤ対から成る7速ギヤ列45が設けられている。7速ギヤ列45は、第2入力軸14側のドライブギヤ45aが第2入力軸14に一体に固定される一方で、出力軸16側のドリブンギヤ45bが出力軸16に対して回転可能に支持され、第2シンクロクラッチS2の操作によって出力軸16に断接可能にされている。
図3は、変速機4の各シフトモードに対応する第1〜第3のクラッチCL1,CL2,CL3と第1〜第3シンクロクラッチS1,S2,S3の作動状態を図表化して示したものである。
図4は、出力軸15,16側の回転を基準にしたエンジン1側の回転速度比を、エンジン1からの入力に用いるクラッチCL1,CL2,CL3を対応させて示した速度線図であり、同図中(1)〜(7)は変速機の対応する変速段を意味し、RVSは後退段を意味するものとする。
以下、上記の各図を参照しつつ、図5〜図16に示す各作動状態について順次説明する。
図3に示すように、第3シンクロクラッチS3は前進側(エンジン1側)に接続され、第1シンクロクラッチS1と第2シンクロクラッチS2は1速ギヤ列40側と3速ギヤ列44側にそれぞれ接続され、その状態で第1のクラッチCL1が接続される。
これにより、エンジン1の動力は、図5の実線矢印で示すように、差動歯車装置25のキャリア20を通して第1入力軸13に入力され、1速ギヤ列40で1速段の変速比に変速されて出力軸15,16に出力される。
この状態では、第2入力軸14が第2のクラッチCL2によってエンジン1側と切り離され、かつ第2シンクロクラッチS2を通して出力軸15,16側と3速ギヤ列44で接続されているため、この状態からモータジェネレータ2を作動させることにより、図5の上側の点線矢印で示すように、モータジェネレータ2側を3速段にしたハイブリッド駆動が可能となる。また、車両の減速時に、この状態でモータジェネレータ2が回生制動状態にされると、モータジェネレータ2は3速段で回生運転を行う。
なお、この1速エンジン走行時には、図5の下側の点線矢印で示すように、モータジェネレータ2をエンジン1に直結してハイブリッド駆動を行うことも可能である。この場合、第2シンクロクラッチS2をニュートラル状態にし、第2のクラッチCL2によってモータジェネレータ2とエンジン1とを直結する。これにより、モータジェネレータ2は結果として1速段でハイブリッド駆動を行うことになる。
図3に示すように、第3シンクロクラッチS3は前進側(エンジン1側)に接続され、第1シンクロクラッチS1と第2シンクロクラッチS2は1速ギヤ列40側と3速ギヤ列44側にそれぞれ接続され、その状態で第3のクラッチCL3が接続される。
このとき、第1入力軸13側の1速ギヤ列40と第2入力軸14側の3速ギヤ列44がそれぞれ出力軸15,16側に噛合するが、各出力軸15,16は、図1に示すようにファイナルギヤ17,18を介してディファレンシャル装置3に同時に噛合(共噛み)しているため、差動歯車装置25のキャリア20と第1サンギヤ21の回転比関係が、2速の変速段が得られるように固定される。したがって、この状態で第3のクラッチCL3によってエンジン1と第2サンギヤ22が接続されると、エンジン1の動力は、図6の実線矢印で示すように、差動歯車装置25のキャリア20と第1サンギヤ21とに分割され、その動力が2速段に変速されて出力軸15,16に出力される。
この状態では、第2入力軸が第2シンクロクラッチS2を通して出力軸15側と3速ギヤ列44で接続されているため、この状態からモータジェネレータ2を作動させることにより、図6の点線矢印で示すように、モータジェネレータ2側を3速段にしたハイブリッド駆動が可能となる。また、この場合も、車両の減速時にモータジェネレータ2が回生制動状態にされると、モータジェネレータ2は3速段で回生運転を行う。
図3に示すように、第3シンクロクラッチS3は前進側(エンジン1側)に接続され、第1シンクロクラッチS1はニュートラルにされ、第2シンクロクラッチS2は3速ギヤ列44側に接続され、その状態で第2のクラッチCL2が接続される。
これにより、エンジン1の動力は、図7の実線矢印で示すように、差動歯車装置25の第1サンギヤ21を通して第2入力軸14に入力され、3速ギヤ列44で3速段の変速比に変速されて出力軸15に出力される。
また、この状態からモータジェネレータ2を作動させることにより、図7の点線矢印で示すように、モータジェネレータ2側を3速段にしたハイブリッド駆動が可能となり、車両の減速時に、モータジェネレータ2が回生制動状態にされると、モータジェネレータ2は3速段で回生運転を行うことになる。
図3に示すように、第3シンクロクラッチS3は前進側(エンジン1側)に接続され、第1シンクロクラッチS1と第2シンクロクラッチS2は5速ギヤ列41側と3速ギヤ列44側にそれぞれ接続され、その状態で第3のクラッチCL3が接続される。
このとき、第1入力軸13側の5速ギヤ列41と第2入力軸14側の3速ギヤ列44の同時噛合いによってキャリア20と第1サンギヤ21の回転比関係が、4速の変速段が得られるように固定され、エンジン1の動力は、図8の実線矢印で示すように、キャリア20と第1サンギヤ21とに分割され、その動力が4速段に変速されて出力軸15,16に出力される。
この状態からモータジェネレータ2を作動させることにより、図8の点線矢印で示すように、モータジェネレータ2側を3速段にしたハイブリッド駆動が可能となり、車両の減速時に、モータジェネレータ2が回生制動状態にされると、モータジェネレータ2は3速段で回生運転を行うことになる。
図3に示すように、第3シンクロクラッチS3は前進側(エンジン1側)に接続され、第1シンクロクラッチS1と第2シンクロクラッチS2は5速ギヤ列41側と3速ギヤ列44側にそれぞれ接続され、その状態で第1のクラッチCL1が接続される。
エンジン1の動力は、図9の実線矢印で示すように、キャリア20を通して第1入力軸13に入力され、5速ギヤ列41で5速段の変速比に変速されて出力軸15,16に出力される。
この状態からモータジェネレータ2を作動させることにより、図9の点線矢印で示すように、モータジェネレータ2側を3速段にしたハイブリッド駆動が可能となり、車両の減速時に、モータジェネレータ2が回生制動状態とされると、モータジェネレータ2は3速段で回生運転を行うことになる。なお、このとき第2入力軸14側の第2シンクロクラッチS2を7速ギヤ列45側に切換えることにより、図9の別の点線矢印で示すように、モータジェネレータ2側を7速段にしたハイブリッド駆動と回生制動が可能になる。
図3に示すように、第3シンクロクラッチS3は前進側(エンジン1側)に接続され、第1シンクロクラッチS1と第2シンクロクラッチS2は5速ギヤ列41側と7速ギヤ列45側にそれぞれ接続され、その状態で第3のクラッチCL3が接続される。
このとき、第1入力軸13側の5速ギヤ列41と第2入力軸14側の7速ギヤ列45の同時噛合いによってキャリア20と第1サンギヤ21の回転比関係が、6速の変速段が得られるように固定され、エンジン1の動力は、図10の実線矢印で示すように、キャリア20と第1サンギヤ21とに分割され、その動力が6速段に変速されて出力軸15,16に出力される。
この状態からモータジェネレータ2を作動させることにより、図10の点線矢印で示すように、モータジェネレータ2側を7速段にしたハイブリッド駆動が可能となり、車両の減速時に、モータジェネレータ2が回生制動状態にされると、モータジェネレータ2は7速段で回生運転を行うことになる。
図3に示すように、第3シンクロクラッチS3は前進側(エンジン1側)に接続され、第1シンクロクラッチS1はニュートラルにされ、第2シンクロクラッチS2は7速ギヤ列45側に接続され、その状態で第2のクラッチCL2が接続される。
エンジン1の動力は、図11の実線矢印で示すように、第1サンギヤ21を通して第2入力軸14に入力され、7速ギヤ列45で7速段の変速比に変速されて出力軸16に出力される。
また、この状態からモータジェネレータ2を作動させることにより、図11の点線矢印で示すように、モータジェネレータ2側を7速段にしたハイブリッド駆動が可能となり、車両の減速時に、モータジェネレータ2が回生制動状態にされると、モータジェネレータ2は7速段で回生運転を行うことになる。
図12に示すように、モータジェネレータ2の動力で車両を前方発進する準備段階として、第1〜第3のクラッチCL1,CL2,CL3はすべて遮断状態とされ、第3シンクロクラッチS3はエンジン1(直結軸12)側に接続され、第1シンクロクラッチS1はニュートラルにされ、第2シンクロクラッチS2は3速ギヤ列44側に接続される。
この状態からモータジェネレータ2が始動されると、図12中の点線矢印で示すように、モータジェネレータ2の動力が3速ギヤ列44を介して出力軸15,16に伝達され、車両はこれによって前方発進する。また、このとき出力軸15,16の回転がエンジン始動ギヤ列42で減速され、その回転が第1入力軸13へと伝達される。
なお、エンジン1の始動後には、第1〜第3のクラッチCL1〜CL3とシンクロクラッチS1,S2の作動の組み合わせによって前進側の任意の変速段に変速することもできる。
図13に示すように、モータジェネレータ2の動力で車両を後退発進する準備段階として、第3シンクロクラッチS3は後退側(固定壁36側)に接続され、第1シンクロクラッチS1は1速ギヤ列40側に接続され、第2シンクロクラッチS2はニュートラルにされる。
次に、この状態から第3のクラッチCL3が接続されることによって差動歯車装置25の第2サンギヤ22がロックされ、その状態でモータジェネレータ2が回転駆動される。これにより、図13中の点線矢印で示すように、モータジェネレータ2による第2入力軸14の正転方向の回転が差動歯車装置25を介して逆転方向の回転として第1入力軸13に伝達される。このとき、第1入力軸13の回転は1速ギヤ列40を介して出力軸15,16に伝達され、エンジン始動ギヤ列42を通した第1入力軸13から出力軸15,16への回転伝達はツーウェイクラッチ43の機能によって阻止される。したがって、第1入力軸13と出力軸15,16は、ギヤ比の異なる2組のギヤが同時に噛み合うことによる相互ロックが回避される。
また、モータジェネレータ2の動力で車両を後退発進している最中にバッテリ5の残容量が規定値を下回ったときには、上述の状態から第2のクラッチCL2を容量制御しつつ接続することでエンジン1を始動し、そこでエンジン1の動力による後退走行に切換える。
図14に示すように、モータジェネレータ2の動力でエンジン1を始動し、その動力で車両を後退発進する準備段階として、第3シンクロクラッチS3は後退側(固定壁36側)に接続され、第1シンクロクラッチS1は1速ギヤ列40側に接続され、第2シンクロクラッチS2はニュートラルにされる。
通常は、モータジェネレータ2によって上記のようにエンジン1を始動するが、高圧バッテリ5の残容量が規定値を下回る場合には、図15に示すように、モータジェネレータ2に代えてスタータモータ47によってエンジン1を始動させる(図15中の点線矢印参照)。この場合、後退発進のための準備操作やエンジン始動後の作動は、モータジェネレータ2を用いる場合と同様となる。なお、スタータモータ47は、12Vバッテリ11の電力によって駆動されるが、12Vバッテリ11を用いるスタータモータ47による始動は低温始動用のために可及的に控えるようにする。
アイドル停止中に空調装置を用いる場合には、モータジェネレータ2を用いてエアコンプレッサ48を作動させることができる。この場合、図16に示すように、第2シンクロクラッチS2がニュートラル状態にされて第2入力軸14と出力軸15,16との動力伝達が遮断されるとともに、第2入力軸14とエンジン1の間が第2のクラッチCL2によって遮断される。そして、この状態でモータジェネレータ2とエアコンプレッサ48が接続され、モータジェネレータ2によってエアコンプレッサ48が駆動される。
図17に示す走行パターンにおいては、(a)の時点において、モータジェネレータ2単体で車両の発進を行う。このとき、第1〜第3のクラッチCL1〜CL3は全て遮断状態とされ、第1シンクロクラッチS1はニュートラルにされ、第2シンクロクラッチS2は3速ギヤ列44に接続され、第3シンクロクラッチS3はエンジン1側(前進側)に接続されている。したがって、このときモータジェネレータ2は3速段で車両を前進駆動する。
なお、このエンジン1の機関停止や気筒休止への切換えは、例えば、ナビゲーションシステムの情報に基づいて実行したり、車室内のモードスイッチ(「エコランモード」等)の切換え操作に応じて実行したりするようにしても良い。
図18に示す走行パターンにおいては、(h)の領域では、第2のクラッチCL2が接続状態とされ、第1シンクロクラッチS1がニュートラル状態にされ、第2シンクロクラッチS2が7速ギヤ列45に接続され、第3シンクロクラッチS3がエンジン1側(前進側)に接続されている。この状態では、エンジン1とモータジェネレータ2がいずれも7速ギヤ列45を介して出力軸15,16に接続されている。
次に、こうして車両にエンジンブレーキが作用している間に、第2シンクロクラッチS2の接続を7速ギヤ列45から3速ギヤ44に切換える。この結果、エンジン1は出力軸15,16に対して4速で接続され、モータジェネレータ2は3速段で出力軸15,16に接続されるようになる。この状態で、図中(j−2)に示すようにエンジン1を停止する。
(l)の領域では、第1のクラッチCL1が接続され、モータジェネレータ2が高トルクで駆動される。これにより、エンジン1が再び始動される。そして、(l)の領域の後期には、第1シンクロクラッチS1によって5速ギヤ列41がプレシフトされる。
つづく(m)の領域では、第1のクラッチCL1の接続状態から第3のクラッチCL3の接続状態へと切換えられ、エンジン1が出力軸15,16に対して4速段で接続される。これにより、エンジン1側4速段、モータジェネレータ2側3速段でもって車両が加速される。
ここでは、最初に第3のクラッチCL3の接続状態から第1のクラッチCL1の接続状態に切換えられ、エンジン1が出力軸15,16に対して5速で接続される。次に、この状態で第2シンクロクラッチS2が7速ギヤ列45側に接続され、モータジェネレータ2が出力軸に対して7速段で接続される。
図19に示す走行パターンにおいては、(p)の領域でモータジェネレータ2のみによって車両を発進加速する。このとき、第1〜第3のクラッチCL1〜CL3は全て遮断状態とされ、モータジェネレータ2は第2シンクロクラッチS2によって3速段で出力軸15,16に接続されている。
つづく、(q)の領域では、出力軸15,16に3速段で接続されたモータジェネレータ2のみによって定速走行を行う。
(r)の領域では、最初に、モータジェネレータ2が高トルク駆動されるとともに、第1のクラッチCL1が接続され、エンジン1に起動トルクが加えられてエンジン1が始動する。この(r)の領域の後期には第1のクラッチCL1が切断され、その間に第1シンクロクラッチS1が5速ギヤ列41に切換えられる。
次の(u)の領域では、エンジン1によるクルーズ走行に移行するためにモータジェネレータ2側の変速を行う。
ここでは、第1のクラッチCL1を接続状態にしたままエンジン1の動力を第1入力軸13側の5速ギヤ列41を経由して出力軸15,16に伝達する一方で、第2入力軸14側の7速ギヤ列45を第2シンクロクラッチS2によって出力軸15,16側に接続する。これにより、モータジェネレータ2は、エンジン動力の遮断された状態において、出力軸15,16に対する変速段がスムーズに7速段に変更される。
(w)の領域では、エンジン1が第2入力軸14側の7速ギヤ列45を介して出力軸15,16に接続された状態のまま、エンジン1が気筒休止運転とされ、モータジェネレータ2が7速段での接続において回生制動を開始する。また、(w)の領域においては、次の変速に備えて第1シンクロクラッチS1が5速ギヤ列41にプレシフトされる。
そして、このハイブリッド車両100においては、モータジェネレータ2が第2入力軸14に一体に連結されているため、モータジェネレータ2によるEV走行時には、第2入力軸14上の3速ギヤ列44と7速ギヤ列45を走行条件に応じて適切に選択して使用することができ、しかも、ハイブリッド駆動時には、殆どの条件下で出力軸15,16への動力伝達を途切れさせることなく変速段のプレシフトを行うことができる。
したがって、このハイブリッド車両100においては、装置の大型化を招くことなく、燃費効率の向上とドライバビリティの向上を図ることができる。
この第2の実施形態のハイブリッド車両200は、基本的な構成は第1の実施形態のものとほぼ同様であるが、第1入力軸13側に配置されるギヤ列と第2入力軸14側に配置されるギヤ列が逆である点と、差動歯車装置225の構成が若干異なっている。
ここでは、車両の走行状態毎の変速機4の個々の作動は図22の図表を参照するのみで詳細な説明を省略するが、以下において、一走行パターンの制御例として、EV走行→エンジン走行→EVクルーズ走行へと移行するときの制御を図23に基づいて説明する。
そして、このハイブリッド車両200の場合も、モータジェネレータ2が第2入力軸14に一体に連結されていることから、EV走行時に、1側ギヤ列40と5速ギヤ列41を走行条件に応じて適切に選択して使用することができ、ハイブリッド駆動時には、殆どの条件下で出力軸15,16への動力伝達を途切れさせることなく変速段のプレシフトを行うことができる。
図24は、このハイブリッド車両300の全体構成を示した図であり、図25は、その構成を模式化して示した図である。このハイブリッド車両300は、ギヤ列の基本的な配置や差動歯車機構225の構成は第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態で第1入力軸13と出力軸16の間に設けられていたエンジン始動ギヤ列42が廃止され、最も変速比の大きい7速ギヤ列45に、エンジン始動ギヤ列の機能を併せ持たせた点だけが異なっている。以下では、この相違点についてのみ説明する。
また、この実施形態の変速機4の各シフトモードに対応する第1〜第3のクラッチCL1,CL2,CL3と第1〜第3シンクロクラッチS1,S2,S3の作動は、図22に示す第2の実施形態のものと同様である。
よって、このハイブリッド車両300においては、他の実施形態のものと同様の機能を保持しつつエンジン始動用の専用のギヤ列を無くし、それによって部品点数の削減と装置のさらなる小型化を図ることができる。
このハイブリッド車両400は、第2の実施形態と類似した構造であるが、第7ギヤ列45の出力軸15,16側のドリブンギヤ45bに共噛みされる9速ギヤ列45Aのドライブギヤ45Aaが第2入力軸14側に追加されている点が、第2の実施形態のものと異なっている。
また、9速ギヤ列45A側のドライブギヤ45Aaは、第2入力軸14に回転可能に支持され、第4シンクロクラッチS4によって第2入力軸14に対して断接可能とされている。
そして、エンジン1の動力を8速に変速する場合には、第1シンクロクラッチS1によって第1入力軸13と出力軸15,16を7速ギヤ列45で接続すると同時に、第4シンクロクラッチS4によって第2入力軸14と出力軸15,16を9速ギヤ列45Aで接続し、その状態において第3のクラッチCL3を接続する。
また、エンジン1の動力を9速に変速する場合には、第4シンクロクラッチS4によって第2入力軸14と出力軸15,16を9速ギヤ列45Aで接続し、この状態において第2のクラッチCL2を接続する。
この実施形態では、7速ギヤ列45のドリブンギヤ45bを9速ギヤ列45Aと共用したが、残余のギヤ列についても同様にドリブンギヤを共用し、さらに変速機の変速段を増加させることができる。また、第1,第3の実施形態のハイブリッド車両100,300においても、同様の手法によって変速機4の変速段を増加させることができる。
2…モータジェネレータ
3…ディファレンシャル装置(車輪駆動部)
4…変速機
5…高圧バッテリ(蓄電手段)
13…第1入力軸
14…第2入力軸
15,16…出力軸
19,219…プラネタリギヤ
20…キャリア
21…第1サンギヤ
22…第2サンギヤ
25,225…差動歯車装置(動力分割機構,反転機構)
36…固定壁
40…1速ギヤ列
41…5速ギヤ列
42…エンジン始動ギヤ列
43…ツーウェイクラッチ
44…3速ギヤ列
45…7速ギヤ列
45b…ドリブンギヤ
48…エアコンプレッサ(補機)
100,200,300,400…ハイブリッド車両
220…キャリア
221…サンギヤ
223…リングギヤ
CL1…第1のクラッチ
CL2…第2のクラッチ
CL3…第3のクラッチ
S1…第1シンクロクラッチ
S2…第2シンクロクラッチ
S3…第3シンクロクラッチ
Claims (14)
- 駆動源として機能するエンジンと、
駆動源と発電機として機能するモータジェネレータと、
車輪駆動部と前記エンジン及びモータジェネレータとの間に介装されて入出力の回転速度比を調整する有段式の変速機と、
前記モータジェネレータに対して電力を供給し前記モータジェネレータで発電された電力を蓄電する蓄電手段と、を備え、
これらが車両の運転状況に応じて制御されるハイブリッド車両において、
前記変速機は、
前記車輪駆動部に接続される出力軸と、
この出力軸にギヤ列を介して接続可能な第1入力軸と、
前記出力軸に別のギヤ列を介して接続可能な第2入力軸と、
前記エンジンと前記第1入力軸及び第2入力軸との間に、前記エンジン側の動力を前記第1入力軸と第2入力軸とに動力分割可能に配置された動力分割機構と、
前記エンジンと前記第1入力軸の間に介装されて動力を断接操作する第1のクラッチと、
前記エンジンと前記第2入力軸の間に介装されて動力を断接操作する第2のクラッチと、
前記エンジンと前記動力分割機構の間に介装されて動力を断接操作する第3のクラッチと、を備え、
前記第1入力軸側のギヤ列による変速段と前記第2入力軸側のギヤ列による変速段とに対し、これらの間の中間変速段は、その前後の変速段となる前記第1入力軸及び第2入力軸の各ギヤ列が同時に出力軸側に噛合することで生成され、この状態での前記第3のクラッチの接続操作により、前記中間変速段で前記エンジンと前記出力軸とを接続し、
前記モータジェネレータは、前記第1入力軸と第2入力軸の少なくとも一方に接続されるとともに、この入力軸を介して前記動力分割機構に接続されることを特徴とするハイブリッド車両。 - 駆動源として機能するエンジンと、
駆動源と発電機として機能するモータジェネレータと、
車輪駆動部と前記エンジン及びモータジェネレータとの間に介装されて入出力の回転速度比を調整する有段式の変速機と、
前記モータジェネレータに対して電力を供給し前記モータジェネレータで発電された電力を蓄電する蓄電手段と、を備え、
これらが車両の運転状況に応じて制御されるハイブリッド車両において、
前記変速機は、
前記車輪駆動部に接続される出力軸と、
この出力軸にギヤ列を介して接続可能な第1入力軸と、
前記出力軸に別のギヤ列を介して接続可能で、かつ前記モータジェネレータが接続されている第2入力軸と、
前記エンジンと前記第1入力軸及び第2入力軸との間に、前記エンジン側の動力を前記第1入力軸と第2入力軸とに動力分割可能に配置された動力分割機構と、
前記エンジンと前記第1入力軸の間に介装されて動力を断接操作する第1のクラッチと、
前記エンジンと前記第2入力軸の間に介装されて動力を断接操作する第2のクラッチと、
前記エンジンと前記動力分割機構の間に介装されて動力を断接操作する第3のクラッチと、を備え、
前記第1入力軸側のギヤ列による変速段と前記第2入力軸側のギヤ列による変速段とに対し、これらの間の中間変速段は、その前後の変速段となる前記第1入力軸及び第2入力軸の各ギヤ列が同時に出力軸側に噛合することで生成され、この状態での前記第3のクラッチの接続操作により、前記中間変速段で前記エンジンと前記出力軸とを接続し、
前記モータジェネレータは、前記第2入力軸に接続されるとともに、前記第2入力軸を介して前記動力分割機構に接続されることを特徴とするハイブリッド車両。 - 駆動源として機能するエンジンと、
駆動源と発電機として機能するモータジェネレータと、
車輪駆動部と前記エンジン及びモータジェネレータとの間に介装されて入出力の回転速度比を調整する有段式の変速機と、
前記モータジェネレータに対して電力を供給し前記モータジェネレータで発電された電力を蓄電する蓄電手段と、を備え、
これらが車両の運転状況に応じて制御されるハイブリッド車両において、
前記変速機は、
前記車輪駆動部に接続される出力軸と、
この出力軸にギヤ列を介して接続可能な第1入力軸と、
前記出力軸に別のギヤ列を介して接続可能で、かつ前記モータジェネレータが接続されている第2入力軸と、
前記エンジンと前記第1入力軸及び第2入力軸との間に、前記エンジン側の動力を前記第1入力軸と第2入力軸とに動力分割可能に配置された動力分割機構と、
前記エンジンと前記第1入力軸の間に介装されて動力を断接操作する第1のクラッチと、
前記エンジンと前記第2入力軸の間に介装されて動力を断接操作する第2のクラッチと、
前記エンジンと前記動力分割機構の間に介装されて動力を断接操作する第3のクラッチと、を備え、
前記第1入力軸側のギヤ列による変速段と前記第2入力軸側のギヤ列による変速段とに対し、これらの間の中間変速段は、その前後の変速段となる前記第1入力軸及び第2入力軸の各ギヤ列が同時に出力軸側に噛合することで生成され、この状態での前記第3のクラッチの接続操作により、前記中間変速段で前記エンジンと前記出力軸とを接続し、
前記モータジェネレータは、前記第2入力軸に接続されるとともに、前記第2入力軸を介して前記動力分割機構に接続され、
かつ、当該ハイブリッド車両は、複数のプラネタリギヤを支持するキャリアと、前記プラネタリギヤに噛合する第1サンギヤと第2サンギヤを有する差動歯車装置を備え、
前記キャリアは前記第1入力軸に接続され、
前記第1サンギヤは前記第2入力軸に接続され、
前記第1入力軸は前記第1のクラッチを介して前記エンジンに接続され、
前記第2入力軸は、前記モータジェネレータに接続される一方で、前記エンジンに前記第2のクラッチを介して接続され、
前記第2サンギヤは前記第3のクラッチを介してエンジンに接続され、
前記第1入力軸と前記出力軸の間には、両軸を固有の変速比をもって連結可能な1速ギヤ列と5速ギヤ列と、前記出力軸の回転を減速して前記第1入力軸に伝達するエンジン始動ギヤ列とが並列に設けられるとともに、1速ギヤ列による連結状態、5速ギヤ列による連結状態、ニュートラル状態の3状態を選択的に切換え可能な第1シンクロクラッチが設けられ、
前記エンジン始動ギヤ列には、前記出力軸から前記第1入力軸への回転伝達を許容し前記第1入力軸から前記出力軸への回転伝達を阻止するツーウェイクラッチが設けられ、
前記第2入力軸と出力軸の間には、両軸を固有の変速比をもって連結可能な3速ギヤ列と7速ギヤ列とが並列に設けられるとともに、3速ギヤ列による連結状態、7速ギヤ列による連結状態、ニュートラル状態の3状態を選択的に切換え可能な第2シンクロクラッチが設けられ、
前記第3のクラッチの前記第2サンギヤ側と逆側の接離部には、前記エンジンとの接続状態、固定壁との接続状態、ニュートラル状態の3状態を選択的に切換え可能な第3シンクロクラッチが設けられていることを特徴とするハイブリッド車両。 - 前記第1入力軸を当該軸側のギヤ列を介して前記出力軸に接続し、前記第1のクラッチを接続して前記エンジンと出力軸とを前記第1入力軸を経由して接続しているときに、
前記第2入力軸を、当該軸側のギヤ列を介して前記出力軸に接続し、かつ前記第2のクラッチによって前記エンジンとの接続を遮断した状態にし、
その状態で前記モータジェネレータによって車輪駆動部を駆動し、若しくは、回生制動を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載のハイブリッド車両。 - 前記第1入力軸を当該軸側のギヤ列を介して前記出力軸に接続し、前記第1のクラッチを接続して前記エンジンと出力軸とを前記第1入力軸を経由して接続しているときに、
前記第2入力軸と当該軸側のギヤ列を介した前記出力軸との接続を遮断し、かつ前記第2のクラッチによって前記第2入力軸と前記エンジンを接続状態にし、
その状態で前記モータジェネレータによって車輪駆動部を駆動し、若しくは、回生制動を行うことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。 - 前記第2入力軸を、当該軸側のギヤ列を介して前記出力軸に接続するとともに、前記第2入力軸と前記エンジンとの接続を前記第2のクラッチによって遮断し、その状態で前記車輪駆動部を前記モータジェネレータによって単独で駆動する電動駆動状態から、前記エンジンを始動して前記車輪駆動部を前記エンジンとモータジェネレータによって駆動するハイブリッド駆動状態に移行したときに、
前記第1のクラッチを接続して前記エンジンの動力を前記第1入力軸と当該軸側のギヤ列を介して前記出力軸に伝達するとともに、前記第2のクラッチを遮断して前記第2入力軸側を前記エンジンから切り離し、
その状態で前記第2入力軸側のギヤ列を、運転状況に適合した変速段のギヤ列に切換えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。 - 前記第1入力軸に、前記出力軸の回転を減速してその回転を前記第1入力軸に伝達するエンジン始動ギヤ列を設けるとともに、このエンジン始動ギヤ列に、前記出力軸から前記第1入力軸への回転伝達を許容し前記第1入力軸から前記出力軸への回転伝達を阻止するツーウェイクラッチを設け、
前記第2入力軸を、当該軸側のギヤ列を介して前記出力軸に接続するとともに、前記第2入力軸と前記エンジンとの接続を前記第2のクラッチによって遮断し、その状態で前記車輪駆動部を前記モータジェネレータによって単独で駆動する電動駆動状態から、前記第1のクラッチを接続することにより、前記エンジン始動ギヤ列と第1入力軸を経由した前記出力軸の回転によって前記エンジンを始動し、
前記エンジンの始動直後の回転が前記エンジン始動ギヤ列を通して前記出力軸に伝達されるのを、前記ツーウェイクラッチによって阻止することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。 - 前記第2入力軸の回転を前記第1入力軸に逆向きの回転として伝達する反転機構を設け、
前記第2入力軸と当該軸側のギヤ列を介した前記出力軸との接続を遮断状態にするとともに、前記第2入力軸と前記エンジンとの接続を前記第2のクラッチによって遮断し、
その状態で前記モータジェネレータと前記反転機構を作動させて、前記第1入力軸側の前記エンジン始動ギヤ列よりも変速比の小さい別のギヤ列を介して前記第1入力軸の逆転方向の動力を前記出力軸に伝達し、このとき、前記エンジン始動ギヤ列を通して前記第1入力軸から前記出力軸に回転が伝達されるのを、前記ツーウェイクラッチによって阻止することを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド車両。 - 前記第2入力軸の回転を前記第1入力軸に逆向きの回転として伝達する反転機構を設け、
前記第2入力軸と当該軸側のギヤ列を介した前記出力軸との接続を遮断状態にするとともに、前記第2入力軸と前記エンジンとの接続を前記第2のクラッチによって遮断し、
その状態で前記モータジェネレータと前記反転機構を作動させて、前記第1入力軸側の前記エンジン始動ギヤ列よりも変速比の小さい別のギヤ列を介して前記第1入力軸の逆転方向の動力を前記出力軸に伝達し、このとき、前記エンジン始動ギヤ列を通して前記第1入力軸から前記出力軸に回転が伝達されるのを、前記ツーウェイクラッチによって阻止し、
さらに、この状態で前記蓄電手段の蓄電残容量が規定値を下回ったときには、前記第2のクラッチを容量制御しつつ接続することで前記エンジンを始動し、前記エンジンの動力による後退走行に切換えることを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド車両。 - 前記第2入力軸の回転を前記第1入力軸に逆向きの回転として伝達する反転機構を設け、
前記第2入力軸と当該軸側のギヤ列を介した前記出力軸との接続を遮断状態にするとともに、前記第2入力軸と前記エンジンとを前記第2のクラッチによって接続し、
その状態で前記モータジェネレータを作動させて前記エンジンを始動し、さらに前記反転機構を作動させることにより、前記第1入力軸の逆転方向の動力を、前記第1入力軸側の前記エンジン始動ギヤ列よりも変速比の小さい別のギヤ列を介して前記出力軸に伝達し、このとき、前記エンジン始動ギヤ列を通して前記第1入力軸から前記出力軸に回転が伝達されるのを、前記ツーウェイクラッチによって阻止することを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド車両。 - 動力駆動される補機を前記モータジェネレータに接続し、
車両のアイドル停止時に、前記第2入力軸と当該軸側のギヤ列を介した前記出力軸との接続を遮断状態にするとともに、前記第2入力軸と前記エンジンとの接続を前記第2のクラッチによって遮断し、その状態で前記モータジェネレータによって前記補機を作動させることを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。 - 複数のプラネタリギヤを支持するキャリアと、前記プラネタリギヤに噛合するサンギヤとリングギヤを有する差動歯車装置を備え、
前記リングギヤは前記第1入力軸に接続され、
前記サンギヤは前記第2入力軸に接続され、
前記第1入力軸は前記第1のクラッチを介して前記エンジンに接続され、
前記第2入力軸は、前記モータジェネレータに接続される一方で、前記エンジンに前記第2のクラッチを介して接続され、
前記キャリアは、前記第3のクラッチを介してエンジンに接続され、
前記第1入力軸と前記出力軸の間には、両軸を固有の変速比をもって連結可能な3速ギヤ列と7速ギヤ列と、前記出力軸の回転を減速して前記第1入力軸に伝達するエンジン始動ギヤ列とが並列に設けられるとともに、3速ギヤ列による連結状態、7速ギヤ列による連結状態、ニュートラル状態の3状態を選択的に切換え可能な第1シンクロクラッチが設けられ、
前記エンジン始動ギヤ列には、前記出力軸から前記第1入力軸への回転伝達を許容し前記第1入力軸から前記出力軸への回転伝達を阻止するツーウェイクラッチが設けられ、
前記第2入力軸と出力軸の間には、両軸を固有の変速比をもって連結可能な1速ギヤ列と5速ギヤ列とが並列に設けられるとともに、1速ギヤ列による連結状態、5速ギヤ列による連結状態、ニュートラル状態の3状態を選択的に切換え可能な第2シンクロクラッチが設けられ、
前記第3のクラッチの前記キャリア側と逆側の接離部には、前記エンジンとの接続状態、固定壁との接続状態、ニュートラル状態の3状態を選択的に切換え可能な第3シンクロクラッチが設けられていることを特徴とする請求項2及び4〜11のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。 - 複数のプラネタリギヤを支持するキャリアと、前記プラネタリギヤに噛合するサンギヤとリングギヤを有する差動歯車装置を備え、
前記リングギヤは前記第1入力軸に接続され、
前記サンギヤは前記第2入力軸に接続され、
前記第1入力軸は前記第1のクラッチを介して前記エンジンに接続され、
前記第2入力軸は、前記モータジェネレータに接続される一方で、前記エンジンに前記第2のクラッチを介して接続され、
前記キャリアは、前記第3のクラッチを介してエンジンに接続され、
前記第1入力軸と前記出力軸の間には、両軸を固有の変速比をもって連結可能な3速ギヤ列と7速ギヤ列が並列に設けられるとともに、3速ギヤ列による連結状態、7速ギヤ列による連結状態、ニュートラル状態の3状態を選択的に切換え可能な第1シンクロクラッチが設けられ、
前記7速ギヤ列には、前記第1シンクロクラッチとは別経路で前記出力軸から前記第1入力軸への回転伝達を許容し前記第1入力軸から前記出力軸への回転伝達を阻止するツーウェイクラッチが設けられ、
前記第2入力軸と出力軸の間には、両軸を固有の変速比をもって連結可能な1速ギヤ列と5速ギヤ列とが並列に設けられるとともに、1速ギヤ列による連結状態、5速ギヤ列による連結状態、ニュートラル状態の3状態を選択的に切換え可能な第2シンクロクラッチが設けられ、
前記第3のクラッチの前記キャリア側と逆側の接離部には、前記エンジンとの接続状態、固定壁との接続状態、ニュートラル状態の3状態を選択的に切換え可能な第3シンクロクラッチが設けられていることを特徴とする請求項2及び4〜11のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。 - 前記第1入力軸と出力軸を接続するギヤ列の前記出力軸側のギヤ要素と、前記第2入力軸と出力軸を接続するギヤ列の前記出力軸側のギヤ要素とが共用され、前記第1入力軸側のギヤ要素と前記第2入力軸側のギヤ要素が前記出力軸上の共通のギヤ要素に共噛みされるとともに、前記第1入力軸側のギヤ要素と前記第2入力軸側のギヤ要素が異なる歯数に設定されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。
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