以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1から図3に示すように、本実施形態に係るブレーキ制御装置10は、矩形箱体状に形成されたケーシング11を備えており、ケーシング11の内部は、後述のブレーキ圧力制御弁20、制御基板28等を収容可能な収容空間として形成されている。ケーシング11は、前面が開口したケース本体12と、このケース本体12の開口を開閉可能な蓋体13とを有する。
ケース本体12の一側壁である後壁12aは、図3に示すように、段差状に形成されており、段差の上側がより後方に張り出した形状となっている。後壁12aには、段差の下側に管座14が取り付けられており、管座14の後面(背面)とケース本体12の後壁12aの外面(背面)における段差の上側部とが略面一の状態になっていて、管座14が取り付けられることにより、ケーシング11の外形は、略直方体状となっている。
なお、本明細書において、前側又は手前側は、ケース本体12の開口が向いている側、すなわちメンテナンス時に作業者と向かい合う側を意味し、後側又は奥側は、その反対側、すなわちケース本体12の管座14側を意味している。したがって、この前側及び後側は、車両の前後方向とは無関係である。そして、左右とは、前側(手前側)から見て左右という意味である。
ケーシング11には、車両の車体(図示省略)に取り付け可能な取付台座16が設けられている。図1及び図2に示すように、取付台座16は、ケーシング11の左右両側に設けられている。各取付台座16は、水平方向に延びる水平部16aと、この水平部16aから下方に延びる垂下部16bとを有し、L字状に形成されている。水平部16aは、例えば車両の台車の下面に結合される。両取付台座16の垂下部16b間には、図略の架設部が掛け渡されており、取付台座16は、この架設部によってケーシング11及び管座14の後面に固定される。
管座14は、ケーシング11の外部から導入される元圧等の配管と、ケーシング11内部に配設された応荷重弁21(図11参照)、中継弁22,22(図9参照)、強制開放弁23(図11参照)等とを接続する空気通路等が内部に形成された扁平状の部材である。
図1及び図2に示すように、ケーシング11(ケース本体12)の側壁には、キャノンコネクタ18が設けられている。具体的には、キャノンコネクタ18は、ケース本体12の手前側開口に対して垂直な方向に延びている一対の側壁12b,12cのうち、右側の側壁12bに取り付けられている。この側壁12bには図3に示すように貫通孔12dが形成されており、キャノンコネクタ18は、この貫通孔12dを貫通した状態でケーシング11(ケース本体12)に固定されている。なお、キャノンコネクタ18は、多数の接続端子を有し、信号線及び電源線を有する配線を接続可能なコネクタである。なお丸型でなく、角型のコネクタであっても構わない。さて図例では、プラグを有する配線を接続可能なレセプタクルとして構成されたキャノンコネクタ18を例示している。図2に示すようにキャノンコネクタ18は、同コネクタ18と一体的に設けられたコネクタ取付板25を側壁12bの内面に沿わせるとともに、このコネクタ取付板25をねじでケース本体12の側壁12bに締結することによって、ケース本体12に固定されている。したがって、キャノンコネクタ18の内端部は側壁12bの内面から突出した状態となっている。
ケーシング11の収納空間には、ブレーキ圧力制御弁20と、配線基板27と、制御基板28と、コネクタ29とが配設されている。
ブレーキ圧力制御弁20は、図外のブレーキシリンダに供給されるブレーキ圧力を調節するためのものであり、略矩形状のブロック31を備えている。このブロック31には、応荷重弁21と中継弁22と強制開放弁23とが一体的に設けられている。弁構造の詳細については後述する。
ブレーキ圧力制御弁20のブロック31は、収納空間における下側部に配設されていて、この位置で管座14に固定されている。配線基板27及び制御基板28は、ブロック31の上側に配置されている。
配線基板27は、図4(a)(b)にも示すように、ケース本体12の右側側壁12bに沿う第1基板27aと、ケース本体12の後壁12aに沿う第2基板27bと、第1基板27a及び第2基板27bを互いに電気的に接続する接続部27cと、を有し、平面視でL字状となっている。第1基板27aには、キャノンコネクタ18の内側部が接続されている。つまり、第1基板27aとキャノンコネクタ18との間に配線は存在しておらず、第1基板27aはキャノンコネクタ18に支持されている。また、第1基板27aには、通信ポート33が設けられている。この通信ポート33は、メンテナンス時等に外部配線を接続するためポートである。なお、図4(a)(b)は、各部材の配置関係を説明するための模式図である。このため、各部材の構成を正確に表すものではない。
第1基板27aはキャノンコネクタ18の接続端子(図示省略)と接続部27cの接続端子(図示省略)とを電気的に接続する。接続部27cの接続端子は、第2基板27bの接続端子(図示省略)に電気的に接続される。したがって、第1基板27aと第2基板27bとの間に配線は存在していない。
なお、キャノンコネクタ18をケース本体12の後壁12aに取り付けることも可能である。この場合には、配線基板27は、平板状に構成されるとともに後壁12aに沿うように配置される。そして、配線基板27は、キャノンコネクタ18に接続されることにより、ケース本体12の後壁12aに対して所定位置に位置決めされる。
第2基板27b及び接続部27cは、図3に示すように、管座14の真上に位置している。すなわち、第2基板27b及び接続部27cは、ケース本体12の後壁12aに形成された段差部よりも上側に配置されて、後壁12aにおける段差部の下側の部位よりも後ろ側に位置している。
制御基板28は、複数(本実施形態では3つ)設けられている。そして、第2基板27bには、各制御基板28に対応するようにコネクタ29が設けられている。各制御基板28の接続端子28aは、コネクタ29を介して第2基板27bと電気的に接続されている。したがって、第2基板27bと制御基板28との間にもケーブル等の配線が設けられていない。なお、制御基板28は、いくつ設けられていてもよい。
制御基板28は、水平姿勢で上下に間隔をおいて配列されている。一番上の制御基板28には、電源回路が構成されており、この制御基板28は、電源基板として機能する。電源回路には、各種電磁弁や車軸の速度センサへの給電制御を行う給電回路、他のブレーキ制御装置との通信回路や通信ポート33関連の電源回路、ブレーキ制御用のマイコン回路の電源回路、及びブレーキ制御用のFPGA回路の電源回路が含まれている。このように、各種電源回路が1つの制御基板28にまとめられて配設されているが、各電源回路には電解コンデンサ等の電子部品が共通して用いられており、寿命の同等の電子部品が多く使用される。したがって、メンテナンス時において寿命となった電子部品が複数存在する場合でも、その部品が1つの制御基板28にまとまっている可能性が高くなる。また、電源回路が構成された制御基板28が最も上に配置されているため、電源基板の発熱の影響が他の制御基板28に伝わり難くなっている。その他の制御基板28には、応荷重弁21、中継弁22,22、強制開放弁23の電磁弁等を制御する制御回路、通信回路等が構成されている。
ケーシング11内には、各制御基板28を保持する取付枠体35が設けられている(図1参照)。取付枠体35は、アルミニウム等の金属板を加工して形成した部材である。取付枠体35は、図5(a)〜(c)にも示すように、鉛直方向に広がる左右一対の保持壁35a,35bと、これら保持壁35a,35bの上端部同士を接続する矩形状の上面部35cと、左側の保持壁35aの下端部から水平方向に張り出した下面部35dと、左側の保持壁35aにおける後端部から張り出した第1位置決め部35eと、右側の保持壁35bにおける後端部から張り出した第2位置決め部35fと、を備えている。そして、取付枠体35は、前側(手前側)及び後側(奥側)が制御基板28を挿通可能な開口となっている。
上面部35cは、ケース本体12の上壁12eに沿って配置される。この上面部35cには、大きな開口35gが形成されている。第1位置決め部35e及び第2位置決め部35fは、保持壁35a,35bから後方に張り出すとともに直角に折れ曲がっている。このため、各位置決め部35e,35fは、平面視でL字状に形成されている。この折れ曲がった先の部位は、ケース本体12の後壁12aと平行となり、この部位にはそれぞれ貫通孔35hが形成されている。
取付枠体35は、ケーシング11に対して着脱可能となっている。具体的に説明する。右側の保持壁35aと下面部35dとには、それぞれ挿通孔36aが貫通形成された枠体側固定部36が設けられている。右側の保持壁35bに設けられた枠体側固定部36は、右側の保持壁35bから右方に向かって延出されている。すなわち、取付枠体35は、キャノンコネクタ18、第1基板27a及び接続部27cとの干渉を防止すべく、収納空間内において左寄り(キャノンコネクタ18から離れる方向)に偏って配設されているため、右側の保持壁35bとケース本体12の右側の側壁12bとの間に空間が形成されている。このため、枠体側固定部36はこの空間内に進出している。
一方、ケース本体12には、図6(a)に示すように、枠体側固定部36に対応する位置にケース側固定部37が設けられている。ケース側固定部37は、ケース本体12の右側の側壁12bから左方に向かって延びるものと、ケース本体12の左側の側壁12cから右方に向かって延びるものとがある。右側の側壁12bに設けられるケース側固定部37は、右側の保持壁35aに設けられた枠体側固定部36に対応する位置に設けられ、左側の側壁12cに設けられるケース側固定部37は、下面部35dに設けられた枠体側固定部36に対応する位置に設けられている。
ケース側固定部37にも挿通孔37aが形成されており、枠体側固定部36とケース側固定部37とを重ね合わせると共に両挿通孔36a,37aにボルトを挿通して、枠体側固定部36とケース側固定部37とを互いに結合させることができる。枠体側固定部36とケース側固定部37とは、取付枠体35をケーシング11に固定するための固定部を構成している。ケース側固定部37及び枠体側固定部36の一方の挿通孔36aは、取付枠体35に保持された制御基板28をコネクタ29に接続した状態で両固定部36,37を互いに結合できるように、ある程度の余裕をもたせた形状、大きさとなっている。
一方、ボルトを外すことによって、枠体側固定部36とケース側固定部37との結合を解除することができる。これにより、取付枠体35をケース本体12から取り外すことが可能となる。なお、両挿通孔36a,37aのうち一方を、ボルトを螺合可能なねじ孔としてもよく、あるいはナットを用いてボルトを締結するようにしてもよい。また、枠体側固定部36とケース側固定部37とが互いに嵌合し合う形状に構成してもよい。
図5に示すように、取付枠体35の保持壁35a,35bには、制御基板28を保持するための保持部39が設けられている。本実施形態では、3つの制御基板28が用いられるので、保持部39も3つ設けられている。これらの保持部39は、左右の保持壁35a,35bのそれぞれ対応する位置の部位を内側に張り出させるように切り出し加工したものであり、制御基板28の厚みに対応する間隔をおいて形成された一対の張り出し部39a,39aを備えている。張り出し部39aは、水平方向に延びており、張り出し部39a,39a間に制御基板28の左右端部を挿通させることにより、制御基板28が水平姿勢で保持される。
保持部39は、制御基板28が張り出し部39a,39a間に挿通される構成であるので、ケーシング11から取り外された状態の取付枠体35を傾けると制御基板28が張り出し部39a,39a間から抜け落ち可能となっている。このため、本実施形態の制御基板28及び保持壁35a,35bには、図4(a)(b)に示すように、制御基板28の脱落防止手段41が設けられている。なお、保持部39として、左右の保持壁35a,35bを内側に張り出させるように切り出し加工する代わりに、保持壁35a,35bに形成された穴に嵌め込むことにより固定される部材によって構成されていてもよい。この部材は、断面がコの字状の樹脂で形成された部材であって、制御基板28の厚み程度の挿通用の溝を持つ部材によって構成されていてもよい。この場合、制御基板28が小さくなっても、制御基板28上の配線パターンと金属である取付枠体35との間の距離を一定以上に保つことができるので絶縁耐圧の面で有利である。またこのとき、保持壁35a,35bへの保持部39の固定は、嵌め込みでなく、ボルト等の締結具で固定されていてもよく、保持部39は、制御基板28の奥行き方向の大きさと略同じ大きさであっても良い。
脱落防止手段41は制御基板28ごとに設けられている。各脱落防止手段41は、制御基板28に揺動可能に取り付けられた揺動部材41aと、この揺動部材41aと制御基板28との間に挿入可能に保持壁35a,35bに取り付けられた爪部41bとを備えている。爪部41bが揺動部材41aと制御基板28の端部との間に挟み込まれることにより、制御基板28は、取付枠体35から脱落しないようになる。爪部41bは、ボルト等の締結具によって取付枠体35に着脱可能に取り付けられていてもよく、あるいは、揺動部材41aと制御基板28との間の隙間に挿入する位置と、この位置から抜け出た位置との間で変位するように弾性変形可能に構成されていてもよい。
取付枠体35は、枠体取付部材43によってケーシング11内の所定位置に正確に位置決めされる。具体的に、枠体取付部材43は、図6(a)(b)に示すように、ケース本体12の後壁12aの内面に固定される平板状の部材である。枠体取付部材43には、取付枠体35をケーシング11に取り付ける際に、取付枠体35を所定位置まで案内するためのガイド部44が設けられている。ガイド部44は、枠体取付部材43から一方向(前方)に向かって延びるピン状の部位であり、その先端部は先細状に形成されている。ガイド部44は、取付枠体35の第1位置決め部35e及び第2位置決め部35fに形成された貫通孔35hに対応した形状であり、また、ガイド部44の形成位置も正確に管理されている。このため、ガイド部44が貫通孔35hに挿入されることにより、取付枠体35は、ケーシング11の所定位置(上下方向及び左右方向)に位置決めされる。ケース本体12に直接ガイド部44を設けて取付枠体35をケース本体12によって位置決めするのではなく、ケース本体12に固定された枠体取付部材43によって取付枠体35を位置決めする構成としている。このため、ケース本体12自体を正確な形状に形成しなくても、枠体取付部材43によって取付枠体35の位置決めを正確に行うことができる。
右側のガイド部44は、図2、図4(a)(b)に示すように、接続部27cの下方に配置されていて、上下方向に接続部27cと一部オーバーラップしている。このため、取付枠体35と第1基板27aとの間の空間が有効利用され、ケーシング11の小型化に寄与している。
枠体取付部材43には、第2基板27bを当接させるスペーサ45が設けられている。スペーサ45によって第2基板27bの奥行き方向の設置位置が定まる。
ケーシング11の蓋体13は、開き戸として構成されている。すなわち、蓋体13は、ヒンジ部48を介してケース本体12に対して回動可能となっている。ヒンジ部48は、前面から見てケーシング11の右側に設けられており、蓋体13には、ヒンジ部48とは反対側に留め金49が設けられている。なお、ケーシング11の左側にヒンジ部48が設けられる構成としてもよく、あるいは、蓋体13がケース本体12に対して着脱される構成としてもよい。
図3に示すように、蓋体13は、前面部、上面部、下面部及び左右の側面部を有し、前後方向に所定の深さを有している。そして、上面部、下面部及び左右の側面部は、中間部において内側に折り曲げられるとともにその先側部が外側に折り曲げられている。この先側部は、先端側ほど外側に向かう傾斜状に形成されている。一方、ケース本体12の側壁12b,12c、上壁12e及び底部12fには、その前端部近傍の内面に角筒状の部材50が設けられている。この角筒状の部材50は、ケース本体12に面接合される部位と、この部位から段差状に内側に張り出してケース本体12との間に空間を形成する部位(配設部)50aとを有し、断面がクランク状に形成されている。この部材50の配設部50aには、防水性を有するパッキン51が配設されている。このパッキン51は、ケース本体12の前面開口の周囲の全体に亘って設けられている。そして、蓋体13を閉めると、蓋体13の上面部、下面部及び左右の側面部のそれぞれの後端部がパッキン51を押圧する状態でパッキン51に接触するようになっている。そして、更にパッキン51の内側に、導電性を有するパッキンを配設してもよい。この導電性パッキンにより外部のノイズがケーシング11内に伝播することを抑制できる。
また蓋体13には、制御基板28を押さえ付けるスポンジ52が配設されている。このスポンジ52は、蓋体13を閉じると、制御基板28の揺動部材41aを前側から押すことができる位置に、蓋体13に固定されている。
本実施形態に係るブレーキ制御装置10には、図7に示すような圧縮空気回路57が設けられている。圧縮空気回路57は、ブレーキ圧力制御弁20のブロック31と管座14とに跨って形成されている。図8は、ブロック31を前から見たときの正面図であり、図9は、同じ側見た状態でブロック31内部を示す断面図であり、図10は、ブロック31を右から見た状態でブロック31内部を示す断面図であり、図11は、ブロック31を上から見た状態でブロック31内部を示す断面図である。これらの図に示されているように、ブロック31には、圧縮空気回路57を構成する応荷重弁21(図11)、2つの中継弁22,22(図9)及び2つの強制開放弁23(図11)が設けられている。すなわち、応荷重弁21、中継弁22,22及び強制開放弁23は、ブロック31に一体的に設けられている。
圧縮空気回路57は、圧縮空気の供給元である空気源(図示省略)から得られた空気圧力を調整した上で図外のブレーキシリンダに付与するための空気回路であり、応荷重圧力VLを生成する応荷重圧力生成部57aと、応荷重圧力VLに基づいてブレーキ圧力BCを生成するブレーキ圧力生成部57bと、ブレーキ圧力BCを強制的に逃がすための強制開放部57cと、を有する。
応荷重圧力生成部57aは、圧縮空気回路57の中で応荷重弁21を有する部位である。
応荷重弁21は、図11に示すように、ブロック31のブロック本体32に形成された第1穴部31a,31bに配設されている。第1穴部31a,31bは、ブロック31の幅方向及び高さ方向の略中央部分において、ブロック本体32の前面から後面に向かって延び、左右方向よりも前後方向に長い穴であり、左右に並んで2つ設けられている(図9参照)。この2つの穴部31a,31bは互いに平行になっている。
応荷重弁21は、調圧弁60と出力弁61とを有し、調圧弁60は、第1穴部31a,31bのうち、右側に位置する穴部(調圧弁用穴部)31aに配設され、出力弁61は、第1穴部31a,31bのうち、左側に位置する穴部(出力弁用穴部)31bに配設されている。第1穴部31a,31bの前端部は、第1カバー部材58によって塞がれている。調圧弁60は、空気源から供給される元圧SRを満車の応荷重圧力に相当する圧力に制限するための弁である。満車の応荷重圧力とは、車両が満員の場合において、非常ブレーキを作用させる際にブレーキシリンダに付与されるべき圧力に相当する圧力を意味している。
調圧弁60は、図11に示すように、入力ポートを有する入力室60aと、出力ポートを有する出力室60bと、ピストン60cと、満車の応荷重圧力に相当する圧力に制限するための満車保証ばね60dを有する調圧室60eと、満車保証ばね60dの付勢力を調整するための満車圧力調整ねじ60fと、を有する。入力室60aには、入力ポートを通して元圧SRが入力される。
ピストン60cは、満車保証ばね60dによる押圧力と出力室60b内の空気圧力との差圧によって、入力室60aと出力室60bとの仕切りに形成された開口の開口量を調整し、差圧が無くなるとこの開口を閉じる。開口が開くことによって、入力室60aの圧縮空気が出力室60bに流入し、出力室60b内の圧力が満車の応荷重圧力に相当する圧力に調整され、この圧力が出力ポートを通して出力される。
圧力調整部である満車圧力調整ねじ60fは、応荷重弁21における前面側に配置されており、第1カバー部材58を貫通している。満車圧力調整ねじ60fの内端部は円錐状になっており、調圧室60e内で、押え部材60gを介して満車保証ばね60dの一端部を押圧している。
そして押え部材60gの満車圧力調整ねじ60fと接する部分は、円錐状の凹部になっている。更に満車保証ばね60dの他端には、押え部材60hが設けられており、押え部材60hの満車保証ばね60dとは反対側の面には円錐状の凹部が設けられている。一方、先端が円錐状になっている受け部材60iが、ピストン60cに取り付けられている。受け部材60iの先端が押え部材60hの凹部と接しており、ピストン60cと押え部材60hとの間にわずかな隙間が存在している。したがって押え部材60hは、受け部材60iの先端を中心として揺動可能となっている。
このように構成されているので、ばね60dの付勢力がピストン60cに対して偏心していても、ピストン60cを傾ける方向の力が働かないので、シール等の寿命を延ばすことができる。更に満車圧力調整ねじ60fの操作時に満車保証ばね60dの位置がずれることもない。
さて、この調整ねじ60fのねじ込み量を調整することにより、満車の応荷重圧力に相当する圧力を調整することができる。この調整は、原則として、車両製造時に行われるが、応荷重弁21の交換後や分解メンテナンス完了後にも行われる。
図7に示すように、応荷重弁21には接続路62aを通して電磁弁62が接続されている。電磁弁62は、給気部AVと排気部RVとを有し、調圧弁60から出力された圧力を、乗客が乗っている現在の車両荷重に応じて調整する。電磁弁62の給気部AV及び排気部RVは、ブロック31の前面に取り付けられている(図8参照)。給気部AVは、2位置3ポートの切換弁によって構成されており、調圧弁60の出力ポートに繋がる入口ポートINと、接続路62aが接続された出口ポートOUTと、排出ポートEXとを有する。排気部RVは、2位置3ポートの切換弁によって構成されており、接続路62aに繋がる入口ポートINと、出口ポートOUTと、排出ポートEXとを有する。電磁弁62は、制御信号に基づいて、給気部AV及び排気部RVの弁位置を制御することにより、調圧弁60から出力された圧力を調整する。電磁弁62によって調整された圧力HVLは、パイロット圧力として出力弁61に入力される。制御信号は、制御基板28に実装されているマイコン回路からなる制御回路から電磁弁62に送信される信号であり、車両の荷重を受ける図外の空気ばねの圧力を検出する圧力センサASからの信号に応じて、また、接続路62aに設けられたパイロット圧力センサ62bの検出値に応じて、応荷重圧力VLが生成されるように出力される。
給気部AV及び排気部RVは、通電されていない状態のときに図7の状態となっている。すなわち、この状態では、調圧弁60と出力弁61との間が遮断され、かつ排気部RVの入口ポートINが閉じられている。このため、停電時等のように電気的フェール時の場合であって、電磁弁62に制御信号が入力できない場合でも、その直前まで設定されていた圧力HVLが維持されるため、出力弁61の調圧室61eでの圧力が確保されることとなる。
出力弁61は、電磁弁62によって調整された圧力HVLをパイロット圧力として、元圧SRを乗客が乗っている現在の車両荷重に応じた応荷重圧力VLに調整して、応荷重弁21から出力する。出力弁61は、元圧SRが入力される入力ポートを有する入力室61aと、出力ポートを有する出力室61bと、ピストン61cと、調圧ポートを有する調圧室61eと、を有する。調圧ポートには、圧力HVLがパイロット圧力として入力される。調圧室61e内には、空車の応荷重圧力に相当する圧力を発生させるための空車保証ばね61dが配設されている。空車の応荷重圧力とは、車両が空車の場合において、非常ブレーキを作用させる際にブレーキシリンダに付与されるべき圧力に相当する圧力を意味している。
出力弁61には、空車の応荷重圧力に相当する圧力を発生させる空車保証ばね61dが設けられているので、仮に故障等によりパイロット圧力が消失したとしても、空車保証ばね61dによって少なくとも空車の応荷重圧力に相当する圧力が確保されることになる。つまり、調圧弁60から給気がされない状態になったとしても、空車保証ばね61dの付勢力で入力室61aと出力室61bとの間の開口が開放可能となっているため、出力室61b内は空車保証ばね61dの付勢力による圧力相当の圧力に維持される。
ピストン61cは、空車保証ばね61dによる付勢力による圧力及び調圧室61e内の空気圧力の合計圧力と、出力室61b内の空気圧力との差圧によって、入力室61aと出力室61bとの仕切りに形成された開口の開口量を調整し、差圧が無くなるとこの開口を閉じる。開口が開くことによって、入力室61aの圧縮空気が出力室61bに流入し、出力室61b内の圧力が応荷重圧力VLに調整される。
出力弁61には、空車保証ばね61dの付勢力による圧力を調整するための空車圧力調整ねじ61fが設けられている。圧力調整部である空車圧力調整ねじ61fは、応荷重弁21における前面側に配置されており、第1カバー部材58を貫通している。空車圧力調整ねじ61fの内端部は調圧室61e内にあり、押え部材61gを介して空車保証ばね61dの一端部を押圧している。
そして押え部材61gの空車圧力調整ねじ61fと接する部分は、円錐状の凹部になっている。更に空車保証ばね61dの他端には、押え部材61hが設けられており、押え部材61hの空車保証ばね61dとは反対側の面には円錐状の凹部が設けられている。一方、先端が円錐状になっている受け部材61iが、ピストン61cに取り付けられている。受け部材61iの先端が押え部材61hの凹部と接しており、ピストン61cと押え部材61hとの間にわずかな隙間が存在している。したがって押え部材61hは、受け部材61iの先端を中心として揺動可能となっている。
このように構成されているので、ばね61dの付勢力がピストン61cに対して偏心していても、ピストン61cを傾ける方向の力が働かないので、シール等の寿命を延ばすことができる。更に空車圧力調整ねじ61fの操作時に空車保証ばね61dの位置がずれることもない。なお、押え部材61gにはシールが設けられているので、調圧室61e内の気密は確保されている。
さて、この調整ねじ61fのねじ込み量を調整することにより、空車の応荷重圧力に相当する圧力を調整することができる。この調整は、原則として、車両製造時に行われるが、応荷重弁21の交換後や分解メンテナンス完了後にも行われる。
前記ブレーキ圧力生成部57bは、圧縮空気回路57の中で中継弁22を有する部位である。本実施形態では中継弁22が2つ設けられているので、ブレーキ圧力生成部も2つ形成されている。
中継弁22は、図9に示すように、ブロック31のブロック本体32に形成された第2穴部31c,31cに配設されている。第2穴部31c,31cは、2つ設けられていて、この2つの第2穴部31c,31cは、第1穴部31a,31bの左右両側に分かれた位置で上下方向に延びるように形成されている。各第2穴部31cは、下端部がブロック本体32の下面に開放しているが、この下端部は底蓋部である第2カバー部材63によって塞がれている。第2カバー部材63は、締結部材であるボルトによってブロック本体32に締結されているが、第2カバー部材63はボルトで締結される部分以外の中央部が、ボルトの下端部よりも下方に突出し、第2カバー部材63の下端面は平坦となっている。したがって、ブロック31を管座14から取り外して地面に載置する場合でも、第2カバー部材63の下端面で接地されるので、ブロック31を安定して載置することができる。また、第2カバー部材63の突出部位の内面は、凹状となっていて、中継弁22の後述のピストン22eを挿入可能となっている。この構成によってもブロック31の小型化及び軽量化が図られている。前述のように、ブロック31は、穴部31a〜31dが形成されたブロック本体32と、第1穴部31a,31bを塞ぐ第1カバー部材58と、第2穴部31cを塞ぐ第2カバー部材63とを備えている。
図7に示すように、中継弁22には、接続路65を通して給気用電磁弁66A及び排気用電磁弁66Rが接続されている。給気用電磁弁66A及び排気用電磁弁66Rは、ブロック31の前面に取り付けられている(図8参照)。給気用電磁弁66Aは、2位置3ポートの切換弁によって構成されており、応荷重圧力VLが入力される入口ポートINと、接続路65が接続された出口ポートOUTと、排出ポートEXとを有する。排気用電磁弁66Rは、2位置3ポートの切換弁によって構成されており、接続路65に繋がる入口ポートINと、出口ポートOUTと、排出ポートEXとを有する。
給気用電磁弁66A及び排気用電磁弁66Rには、制御基板28に実装されているマイコン回路からなる制御回路から出力された制御信号が入力される。制御信号は、車両側からブレーキ制御装置10に送られる常用ブレーキ指令に応じた信号と、接続路65に設けられたパイロット圧力センサ68による検出値に基づく信号と、後述のブレーキ圧力センサ69による検出値に基づく信号と、制御回路の車輪滑走検知部(図示せず)の演算結果に応じた信号と、に基づいて生成される。なお、車輪滑走検知部は、図外の上位システムから得た車両の速度と、車輪の回転速度等から車輪の滑走を検知するものである。
制御基板28の制御回路は、常用ブレーキ指令を受信すると、それに応じて中継弁22から出力されるべきブレーキ圧力BCを設定し、制御信号を給気用電磁弁66A及び排気用電磁弁66Rへ送信する。そして、給気用電磁弁66A及び排気用電磁弁66Rは、制御信号に応じて弁位置を調整することにより、応荷重弁21から出力された応荷重圧力VLを調整し、接続路65を通して調整された圧力をパイロット圧力として中継弁22に入力させる。また、コントローラは、パイロット圧力センサ68の検出値及びブレーキ圧力センサ69の検出値に応じて、給気用電磁弁66A及び排気用電磁弁66Rの弁位置を調整する。
また、制御回路は、車輪滑走検知部の演算結果に応じて、中継弁22から出力されるべきブレーキ圧力BCを修正する。このとき、制御回路は、車輪滑走検知部で演算された結果が車輪の滑走を示さなくなるまで、ブレーキ圧力BCを緩める。このとき、ブレーキ圧力BCは段階的に緩めるようにしてもよい。
中継弁22は、給気用電磁弁66A及び排気用電磁弁66Rによって調整された圧力がパイロット圧力として入力され、ブレーキ圧力BCを出力する。具体的に、中継弁22は、図9に示すように、入力ポートを有する入力室22aと、出力ポートを有する出力室22bと、パイロットポートを有する制御室22cと、排出ポートを有する排出室22dと、中空のピストン22eと、膜板22fと、ばね22gと、弁体22hと、ばね22iとを有する。
入力室22aには、元圧SRが入力ポートを通して入力される。パイロットポートは、接続路65に接続されており、制御室22cには、パイロットポートを通してパイロット圧力が入力される。出力室22bは、パイロット圧力に応じたブレーキ圧力を生じさせ、出力ポートを通して出力する。排出室22dは、排出ポートを通して余剰圧力を排気する。排出ポートに繋がる排出管路70には、消音器71が設けられている。
ピストン22eは、上下方向に移動するように配設されている。膜板22fは、ピストン22eから側方に張り出すように配置されるとともにピストン22eを往復移動可能に支持する。そして、膜板22fは、制御室22c内の空気圧力と出力室22b内の空気圧力との差圧によって撓み、ばね22gの付勢力に抗しながらピストン22eを変位させる。ピストン22eが上方に変位する場合は、弁体22hがばね22iの付勢力に抗しながら、上方に移動させられ、入力室22aと出力室22bが連通状態となる。そして差圧が無くなるとピストン22eは下方に変位し、弁体22hはばね22iによって移動させられ、入力室22aと出力室22bは非連通状態となる。逆にピストン22eが下方に変位する場合は、ピストン22eの中空部を介して出力室22bと排出室22dが連通状態となる。このとき出力圧力は絞り14を通してバネ室22jにも流入し、ピストンを押し下げる方向に作用する。そして、制御室22c内の圧力と出力圧力(バネ室22j)の差圧が無くなるとピストン22eは上方に変位し、出力室22bと排出室22dは非連通状態となる。
すなわち、入力室22aの圧縮空気が出力室22bに流入したり、出力室22bの圧縮空気が排出室22dに排出されることにより、出力室22b内の圧力がパイロット圧力に応じたブレーキ圧力に調整される。
なお、出力室22bの過渡的な変化にピストン22eが過敏に反応し過ぎるのを防ぐために、ばね室22jと出力室22bとは絞り22kを介して連通している。
2つの中継弁22,22は、膜板22f,22f同士が隣り合うように互いに間隔をおいて横に並んで配置されている。そして、応荷重弁21は、2つのピストン22e,22eの間の位置で、かつ膜板22f,22f同士が隣り合う位置から上方にずれた位置に配置されている。そして、応荷重弁21は、中継弁22の最上部と膜板22fとの間の高さ位置に配置されている。
前記強制開放部57cは、圧縮空気回路57の中で強制開放弁23を有する部位である。
強制開放弁23は、図11に示すように、ブロック本体32に形成された第3穴部31d,31dに配設されている。本実施形態では、中継弁22が2つ設けられる構成となっているので、それに対応して強制開放弁23も2つ設けられている。このため、第3穴部31d,31dも2つ設けられている。
左側の第3穴部31dは、ブロック本体32の左側面から幅方向の中央に向かって延び、右側の第3穴部31dは、ブロック本体32の右側面から幅方向の中央に向かって延びている。両第3穴部31d,31dは左右対称となっている。第3穴部31d,31dは、図10及び図11に示すように、中継弁22,22が配設される第2穴部31c,31cと交差しないように、第2穴部31c,31cよりも後方に形成されており、また応荷重弁21が配設される第1穴部31a,31bと交差しないように、第1穴部31a,31bよりも下方に形成されている。
強制開放弁23はC型止め輪23kによって第3穴部31d内に固定されている。そして、ブロック本体32には、C型止め輪23kのすぐ外側の周壁を貫通するように挿通孔31eが形成されている。この挿通孔31eは、第3穴部31dをも貫通している。すなわち、挿通孔31eと第3穴部31dとは共通の空間を有している。挿通孔31eがブロック31を前後方向に貫通しており、この挿通孔31eに挿通されたボルト(締結部材)72(図2)によって、ブロック31を管座14に締結できるようになっている。なお、第3穴部31dの空間部分(左側の第3穴部31dにあっては、左側のC型止め輪23kよりも左側の空間、右側の第3穴部31dにあっては、右側のC型止め輪23kよりも右側の空間)の存在により、組立時における強制開放弁23の挿入を容易にしつつ、第3穴部31dの空間部分をボルト(締結部材)72の挿通孔と兼用することにより、ブロック31の小型化が図られている。更に、強制開放弁23の端部材23jを延長するとともに端部材23jにボルト(締結部材)72の挿通孔を設ける場合と異なり、ボルト(締結部材)72の挿入位置に強制開放弁23の組み付け位置を合わせる必要が無いため、組立が容易となる。加えて、この空間の分だけ軽量化も図れる。
図11に示すように、強制開放弁23は、前後方向に直交する方向(左右方向)に細長い形状を有する。すなわち、強制開放弁23の長手方向は、中継弁22のピストン22eの往復移動する方向に直交している。そして、強制開放弁23は、中継弁の最上部よりも下方で、且つ膜板22fよりも上方の位置に配置されている(図10参照)。また強制開放弁23は、上から見たときに、少なくともその一部が、管座14とピストン22eとの間であって、膜板22fの径方向内側の範囲内に位置している。
強制開放弁23は、中継弁22から出力されたブレーキ圧力BCを、開放用電磁弁74からの出力がパイロット圧として入力されたときに強制的に排気する。
開放用電磁弁74は、2位置3ポート切換弁によって構成されており、入口ポートIN、出口ポートOUT及び排出ポートEXを有する。開放用電磁弁74は、第1状態と第2状態とに切り換え可能である。通常時の第1状態では、図7に示すように、入口ポートINが遮断されるとともに、出口ポートOUTと排出ポートEXとが連通されている。排出ポートEXは、ブレーキ制御装置10の排気口に繋がっている。第2状態には、運転席からの強制緩解指令に基づいて切り換えられる。この第2状態では、入口ポートINに入力された元圧SRが出口ポートOUTから出力される。開放用電磁弁74は、通常第1状態にあるが、制御基板28によって実装されているマイコン回路からなる制御回路に強制緩解指令が入力されると、これを受けて、開放用電磁弁74は第2状態に切り換えられる。なお、強制緩解指令は、車輪の不緩解状態が検出されたときに、運転席から運転手等の操作によりブレーキ制御装置10へ送られる信号である。
強制開放弁23は、図11に示すように、入口ポート23aと出口ポート23bと制御ポート23cとピストン23dと排気ポート23eとばね23gとを有する。強制開放弁23内の空間は、ピストン23dによって、制御室23fと切換室23hとに仕切られている。入口ポート23aは、中継弁22の出力ポートに接続されている。出口ポート23bは、図外のブレーキシリンダに接続されていて、出口ポート23bから出力される圧力はブレーキ圧力BCとなる。出口ポート23bからブレーキシリンダに繋がる管路には、ブレーキ圧力センサ69が設けられている。排気ポート23eは、排出管路70に接続されている。
制御ポート23cは制御室23fに設けられており、この制御ポート23cは、開放用電磁弁74の出口ポートOUTに連通されている。これにより、開放用電磁弁74の状態に応じてピストン23dが第1位置と第2位置との間で変位する。強制開放弁23は、制御室23fが外側になる姿勢で第3穴部31dに挿入されている。そして、制御室23fを構成する端部材23jによって第3穴部31dが塞がれている。
開放用電磁弁74が第1状態にある場合には、ピストン23dは、図11に示すように、ばね23gによって第1位置となっており、このときの切換室23hでは、入口ポート23aと出口ポート23bとが連通する一方、出口ポート23bと排気ポート23eとの間が遮断されている。一方、開放用電磁弁74が第2状態にある場合には、制御室23f内の圧力がばね力よりも勝り、ばね23gが押し縮められる。これにより、ピストン23dは第2位置となる。このときの切換室23hでは、入口ポート23aと出口ポート23bとの間がピストン23dによって遮断されるとともに、出口ポート23bと排気ポート23eとがピストン23dに形成された連通路23iを通じて連通する。したがって、強制開放弁23は、開放用電磁弁74が第1状態にある場合に、出口ポート23bからブレーキ圧力BCを出力する一方、開放用電磁弁74が第2状態に切り換えられることに伴って、出口ポート23b及び排気ポート23eを通してブレーキ圧力BCを排気する。
次に、本実施形態に係るブレーキ制御装置10の動作制御について説明する。
マイコン回路からなる制御回路(制御基板28)は、圧力センサASからの信号に応じて、圧力HVL、応荷重圧力VLを設定し、電磁弁62に制御信号を送信する。更に、制御回路が常用ブレーキ指令を受信すると、制御回路はそれに応じて、ブレーキ圧力を設定し、給気用電磁弁66A、排気用電磁弁66Rに制御信号を送信する。
応荷重弁21では、調圧弁60から満車の応荷重圧力に相当する圧力が出力されており、電磁弁62の給気部AV及び排気部RVがパイロット信号に応じて動作することにより、出力弁61に圧力HVLが入力される。応荷重弁21の出力弁61では、圧力HVLをパイロット圧力としてピストン61cを変位させ、応荷重圧力VLを出力する。
この応荷重圧力VLは、応荷重弁21から出力されて中継弁22,22に入力される。中継弁22,22では、制御信号に応じて給気用電磁弁66A及び排気用電磁弁66Rの弁位置が調整され、これにより、応荷重圧力VLが所定の圧力に調整される。この圧力は接続路65を通して中継弁22,22にパイロット圧力として入力される。各中継弁22では、このパイロット圧力に応じてピストン22eが変位し、出力ポートからブレーキ圧力BCを出力する。このとき、パイロット圧力センサ68の検出値及びブレーキ圧力センサ69の検出値に応じて、給気用電磁弁66A及び排気用電磁弁66Rの弁位置が調整される。
また、制御回路は、車輪滑走検知部(図示省略)の演算結果に従って、中継弁22から出力されるべきブレーキ圧力BCを修正する。このとき、制御回路は、車輪滑走検知部の演算結果が車輪の滑走を示さなくなるまで、ブレーキ圧力BCを緩める。このとき、ブレーキ圧力BCは段階的に緩めるようにしてもよい。なお、滑走検知は、車両の速度と車輪の回転速度から算出される速度との不一致によって検知される。
中継弁22の開放用電磁弁74は、通常第1状態にあるが、運転席から制御回路に強制緩解指令が入力されると、これを受けて、開放用電磁弁74は第2状態に切り換えられる。これにより、強制開放弁23を通してブレーキ圧力BCが排気され、不緩解が解除される。
以上説明したように、本実施形態では、1つのブロック31内に応荷重弁21と2つの中継弁22,22とが組み込まれた構成となっているので、応荷重弁ブロックと中継弁ブロックを並べて配置する構成に比べて、小型化することが可能となる。すなわち、ブロック31内において膜板22f,22f同士が隣り合う位置からずれた位置に応荷重弁21が配置される構成となっているので、2つの中継弁22,22を可能な限り近接配置しつつ、応荷重弁21を更に配設することができる。この結果、ブロック31の小型化が可能となる。さらに、1つのブロック31内に2つの中継弁22,22を並べて配設する構成とすることにより、1つの中継弁ブロック内には配設できない大きさの応荷重弁21を前記の位置に配設することができるので、中継弁22,22が小型になっても、応荷重弁21を容易に配設することができる。また、応荷重弁21と2つの中継弁22,22のブロックを別個に構成する場合に比べ、これらを固定するために設けられる、ボルト等の取り付け部材の配置スペースを低減することができる。これらの結果として、ブレーキ圧力制御弁20を小型化することができ、ブレーキ制御装置10の小型化に寄与することができる。また、ブロック31には、中継弁22,22が横に並んで配置される構成となっているので、メンテナンス時に中継弁22,22を取り外した場合であってもブロック31を安定して置くことができる。
また本実施形態では、調圧弁60の調整ねじ60fと出力弁61の調整ねじ61fとがそれぞれ手前を向くように応荷重弁21が配設されているので、中継弁22の高さによらず、応荷重弁21を中継弁22の最上部と膜板22fとの間の高さ位置に配置することが可能となる。したがって、ブレーキ圧力制御弁20を更に小型化することができ、更なるブレーキ制御装置10の小型化に寄与することができる。また、応荷重弁21が調圧弁60と出力弁61とを別個に備える構成とすることにより、前記スペースに配設し易くすることができる。
また本実施形態では、強制開放弁23が中継弁22に対して側方に位置ずれした位置で、中継弁22の最上部と膜板22fとの間の位置に配置されているので、ブレーキ圧力制御弁20が大型化することを防止しつつ、ブレーキ圧力制御弁20に強制開放弁23としての機能を付加することができる。
また本実施形態では、強制開放弁23の長手方向が中継弁22のピストン22eの往復移動する方向に対して直交しているので、中継弁22の高さによらず、強制開放弁23を中継弁22の最上部と膜板22fとの間の高さ位置に配置することが可能となる。したがって、強制開放弁23としての機能を有するブレーキ圧力制御弁20を小型化することができ、ブレーキ制御装置10の小型化に寄与することができる。
また本実施形態では、ブロック31を管座14に取り付けるためのボルト72を挿通させる挿通孔31eと強制開放弁23が配設される第3穴部31d,31dとは、一部の空間が共通となっている(兼用されている)ため、組立時における強制開放弁23の挿入を容易にしつつ、ブレーキ圧力制御弁20の小型化を図ることができる。
また本実施形態では、第2カバー部材63が、当該カバー部材63をブロック本体32に固定するボルトよりも突出しているので、ブレーキ圧力制御弁20を載置した場合に第2カバー部材63が接地する。このため、ボルトが載置面と当接することを防止することができる。この結果、ブレーキ圧力制御弁20を安定して載置することができ、またボルトが損傷すること防止することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、本実施形態では、ケーシング11内の上側に配線基板27、制御基板28等が配設されるとともに、その下側にブレーキ圧力制御弁20が配設される構成としたが、これに限られるものではない。例えば、配線基板27、制御基板28等が下側で、その上側にブレーキ圧力制御弁20が配設される構成としてもよい。
また、前記実施形態では、取付枠体35において制御基板28が水平姿勢で上下に並ぶように配設される構成としたが、これに代え、制御基板28が取付枠体35において、垂直姿勢で左右に並ぶように配設される構成としてもよい。
また、強制開放弁23が中継弁22の前側に配置される構成としてもよい。また、強制開放弁23が省略される構成としてもよい。また、強制開放弁23をブロック31を管座14に固定するためのボルト72で固定するようにしたが、これに限られるものではなく、第3穴部31dを塞ぐ部材で強制開放弁23を固定するようにしてもよい。