JP5308886B2 - 立坑防水構造 - Google Patents

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Description

本発明は立坑防水構造に関する。更に詳しくは、例えば地下の深層部にプロパンガス貯槽等の地下備蓄施設を築造する際に、その地下備蓄施設に至る立坑内に周囲の地山からの湧水等が浸透するのを防止する場合などに適用する立坑防水構造に関する。
従来の立抗、特に地下備蓄施設など大深度の立坑では、吹付け面より発生している湧水が設備工事の支障となる。常時湧水がある場合には、溶着機が使えないので防水シートを熱溶着によって接合しながら敷設していく作業はできない。
従来たとえば下記特許文献1には、地下深層部に石油貯蔵所や放射性廃棄物の貯留所等の地下構造物を築造する際に、その地下構造物に至る垂直な立坑を掘削するのに適した立坑掘削機における移動足場装置として、掘削機本体の上端部に上方に向かって一定高さの支柱を立設すると共に、この支柱に足場台を上下移動自在に配設し、この足場台を利用して立坑内面に防水シートの張設作業等を行うことが提案されている。
ところが、上記のような立坑内面に防水シートを張設する場合、立坑の長さ(深さ)に対応した長尺な防水シートを一度に張設するのは困難であり、特に大深度の立坑にあっては、その深さに対応した長さの防水シートを用意するのは難しい。そこで、通常は所定長さに裁断したシートを適宜ラップさせながら一枚づつ敷設していくのが一般的であるが、重ね合わせた部分から水が浸入するため信頼性に欠ける嫌いがある。
また上記防水シートを接着や釘止めその他適宜の手段で順次継ぎ足しながら張設する場合に、上下方向にも継ぎ足し、或いは長尺の防水シートを使用すると、防水シートの荷重は防水シートの最上部を取付けた釘等の取付具や、その近傍の防水シートに一括して掛かってしまうので、防水シートが取付具と共に脱落したり、シートが破損する等のおそれがある。
特開2003−314186号公報
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、防水シートが不用意に脱落したり、破損することなく、かつ立坑の内周面に防水シートを容易・迅速に接続しながら取付け支持させることのできる立坑防水構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明による立坑防水構造は、以下の構成としたものである。すなわち、立坑内周面に所定幅のリング状の横材を上下方向に所定の配置ピッチで設置し、その配置ピッチにほぼ等しい幅の防水シートを、上下に隣り合う横材間において立坑内周面に沿ってそれぞれリング状に敷設し、その上下に隣り合う防水シートの互いに隣接する端部同士を重ね合わせた状態で上記横材に取付け支持させ、前記横材は、前記立坑内周面に挿入し設置したアンカーと、前記アンカーの後端側に固定された取付金具とを介して、前記立坑内周面から離間させた状態で設置されていることを特徴とする。
なお、上記の上下に隣り合う防水シートの互いに隣接する端部をそれぞれ内外二重に形成し、その外側の端部同士を互いに重ね合わせた状態で上記横材に取付け支持させると共に、内側の端部同士を互いにスライドファスナで接合してもよい。また上記の上下に隣り合う横材間にリング状に敷設した防水シートの周方向両端部は、例えば内外一対の縦材間に挟んで固定する等その他適宜である。
本発明による立坑防水構造は、上記の構成であるから、溶着機を用いることなく、また、前記従来のように防水シートを重ね合わせながら敷設する作業を行うことなく、立坑の内周面に防水シートを容易・迅速に接続しながら取付け支持させることができると共に、防水シートの最上部のみに荷重が集中するのを防ぐことができる。それによって、防水シートが不用意に脱落したり、破損するのを良好に防止することが可能となり、耐久性および信頼性の高い立坑防水構造を提供することができる。
本発明による立坑防水構造の一実施形態を示す縦断面図。 (a)は図1におけるA−A断面図、(b)は図1におけるB−B拡大断面図。 図2(b)の一部の拡大図。 横材および縦材の配置構成の概略を示す説明図。 (a)は図3においてC方向から見た防水シートを取付ける前の横材および縦材の一部の内面図、(b)および(c)は(a)におけるb−bおよびc−c断面図。 (a)は図5(a)において矢印C方向から見た拡大横断平面図、(b)はその内面図、(c)はその側面図。 (a)は図5(a)におけるE−E拡大横断平面図、(b)はその内面図、(c)はその側面図。 (a)は防水シートの上下両端部を面ファスナで仮止めする例の横材取付部の縦断面図、(b)は横材取付部以外の部分の同上図。 (a)は防水シートの上下両端部を内外二重に形成した例の横材取付部の縦断面図、(b)は横材取付部以外の部分の同上図。 防水シートの展開内面図。 (a)は防水シートの周方向両端部付近の内面図、(b)は(a)におけるb−b拡大断面図。 本発明による立坑防水構造における防水シートを敷設するプロセスの一例を示す説明図。
図に示す実施形態は、地上から地下深層部に築造される地下備蓄施設としてのプロパンガス貯槽に至るほぼ垂直な立坑に適用したもので、その立坑内に周囲の地山からの湧水等が浸透するのを防止するための立坑防水構造の一例を示すものである。図1および図2において、1は立坑で、その上部の坑口部1aは、その周囲に予め打設した鋼管矢板11や覆工コンクリート12等で補強され、その覆工コクリート12よりも下側の立坑1の内周面に吹き付けた吹付コンクリート13の内面に防水シート2を敷設したものである。
上記鋼管矢板11は、立坑1を掘削する際に、予め先行削孔・置換処理等によって坑口部1aの周囲に略リング状に並べて打設したもので、その周方向に隣り合う鋼管矢板11・11は互いにP−P継手等の矢板継手11aで連結されている。図中、14は上記鋼管矢板11の下側に投入した根固めグラウト材、15,16は上記鋼管矢板11内およびその周囲に充填したモルタルやコンクリート等の充填材、17は上記鋼管矢板11の内側に上下方向に所定の間隔をおいて建て込んだH型鋼よりなるリング状の支保(腹起し)で、その支保17の内側と鋼管矢板11の上部に上記覆工コンクリート12が連続的に形成されている。
前記防水シート2は、前記吹付コンクリート13の内面に所定幅のリング状の横材3を介して取付け支持させたもので、その横材3は立坑1の内周面に上下方向に所定の配置ピッチ(配列ピッチ)で設置され、その上下に隣り合う横材3・3間にそれぞれ防水シート2を敷設したものである。その各防水シート2は、上下の幅寸法が上記の配置ピッチにほぼ等しく形成され、上下に隣り合う横材3・3間の立坑内周面に沿ってリング状に敷設されている。また上下に隣り合う防水シート2・2の互いに隣接する端部同士(上端部と下端部)を重ね合わせた状態で釘31等の固定具で上記横材3に取付け支持させたものである。上記横材3の上下方向の配置ピッチの大きさ(間隔寸法)は適宜であるが、少なくとも上下に隣り合う横材3・3間に敷設される防水シート2の自重を上記横材3を介して充分に取付け支持させることが可能な大きさとする。
上記リング状の横材3は、本実施形態においては図4に示すように無端状に形成したものであるが、両端部を互いに突き合わせた有端状もしくは両端部間に僅かに隙間を設けた欠円形のものでもよく、或いは円弧状のものを複数個継ぎ足してリング状に形成したものでもよい。また上記横材3は、本実施形態においては図3および図6に示すように取付金具4とアンカー5とを介して立坑1の内面、より詳しくは吹付コンクリート13の内面に取付けるようにしたもので、その取付金具4は、図の場合は横材3の縁部に係合する横断面略C字形の金具本体41と、その金具本体41の背面側の一部を切り起こして形成した折曲部41aにボルト42・ナット43で連結した平板状の補助金具44とよりなる。図中、45はワッシャである。
また上記アンカー5は本実施形態においては公知の拡開式のものが用いられ、立坑1の内面に形成した孔内に拡開スリーブ51を挿入して、その先端部に挿入したウェッジ52で該先端部を拡開して上記孔内に抜け止め保持させる構成である。その拡開スリーブ51にねじ込んだボルト53を上記補助金具44に形成した孔(不図示)に挿通すると共に、上記ボルト53にねじ込んだ一対のナット54・54間に上記補助金具44を挟んで締め付け固定することによって上記アンカー5と取付金具4とが連結されている。なお、上記取付金具4とアンカー5のそれぞれの構成および両者の連結構造は適宜変更可能である。
さらに上記のように上下の横材3・3間にリング状に配置した各防水シート2の周方向両端部は、少なくとも水が浸入しないように水密に連結するもので、その構成は適宜であるが、本実施形態においては図7(a)に示すように上記両端部を内外一対の縦材6a・6b間に挟んで固定するようにしたものである。また上記縦材6a・6bを立坑内面に固定する手段および上記縦材6a・6bと防水シート2の周方向両端部とを一体化する手段は適宜であるが、本実施形態においては外側の縦材6bを上記と同様の取付金具4とアンカー5とを介して立坑1の内面に取付け、その縦材6bと、その内側に配置した縦材6aとの間に防水シート2の周方向両端部を挟むと共に、その縦材6a・6bと防水シート2との間に固定具としての接着材や粘着テープ61、特に図の場合は帯状ブチルテープを介在させて一体化したものである。
なお、上記の固定具としては、上記の接着材や粘着テープ61の代わりに釘やビス等を用いてもよく、又それらと併用して上記縦材6a・6bをボルト・ナット等で挟み付けるようにしてもよい。また前記の上下に隣り合う防水シート2・2の互いに隣接する端部を前記の横材3に取付け支持させる固定具として前記実施形態は釘31を用いたが、ビスや接着材等を用いてもよく、それら複数種類の固定具を適宜組み合わせて使用してもよい。さらに上下に隣り合う防水シート2・2を取付ける際には、例えば図8に示すように上下に隣り合う防水シート2・2の端部同士をマジックテープ(登録商標)等の面ファスナを用いてもよく、特に図示例のように面ファスナ32を構成する雌雄の係合片32a・32bを、それぞれ上下の防水シート2・2の端部に予め取付けておき、その両係合片32a・32bを係合させて仮止めしてから釘31等の固定具で固定するようにしてもよい。
また例えば図9に示すように防水シート2の上下両端部をそれぞれ内外二重に形成し、その内外二重の両端部うちの外側の片22・22同士を上記と同様に互いに重ね合わせた状態で釘31等の固定具で横材3に取付け支持させると共に、内側の片21・21同士をその縁部に設けた防水性のスライドファスナ33で接合するようにしてもよい。そのスライドファスナ33の材質や構成は適宜である。
さらに最上位の防水シート2の上部は、上記と同様に横材3を介して立坑1の内面に取付け支持させるようにしてもよいが、例えば図10に示すように防水シート2の上部にプラスチックハトメ等よりなるハトメ穴20を形成し、そのハトメ穴20を利用して上記防水シート2を立坑1の内面に取付けるようにしてもよい。その場合の取付方法は適宜であり、図には省略したが、例えば上記ハトメ穴20に頭付ボルト等を挿通し、そのボルトの先端を前記覆工コンクリート12の下部等に打設もしくは埋設したアンカーやインサートナット等にねじ込めば容易に取付け支持させることができる。
また上記実施形態はリング状に配置した防水シート2の周方向両端部を内外一対の縦材6a・6b間に挟んで粘着テープ61等の固定具で固定するようにしたが、その構成は前述のように適宜変更可能である。図11はその一例を示すもので、立坑1の内面に上記と同様の取付金具4とアンカー5とを介して取付けた外側の縦材6bと、その内側に配置した縦材6aとの間に防水シート2の周方向両端部を挟んで、その縦材6a・6bと防水シート2との間に前記と同様の帯状ブチルテープ等の粘着テープ61を介在させると共に、上記外側の縦材6bに植設したボルト62を内側の縦材6aに形成した孔に挿通し、そのボルト62の先端にねじ込んだナット63で締め付け固定するようにしたものである。図中、64はワッシャである。
なお、上記のように構成された本発明による立坑防水構造を構成する部材の材質や大きさ・形状等は適宜であるが、参考までに本発明の実施形態で用いた主な部材の材質や大きさ・形状の一例を下記表1にまとめて示す。
Figure 0005308886
次に、上記のように構成された立坑防水構造を施工する際のプロセスは適宜であるが、そのプロセスの一例を、上下の防水シート2の隣接する端部を上記図9に示すような構成とし、かつ各防水シート2の周方向両端部を上記図11に示すような構成とした場合を例にして、図12に示すフローチャートに従って説明する。
1)ステップS1(横材と外側の縦材の取付)
先ず、始めに横材3と外側の縦材6bの取付を行う。これによって防水シート2が平滑に張れるように吹付コンクリート13上の設計位置に平面を提供することができる。
2)ステップS2(上段の防止シートの取付)
墨だしされた所定の位置に上段の防水シート2を横材3に取付ける。なお、上記実施形態においては最上段の防水シート2はプラスチックハトメよりなるハトメ穴20に不図示のボルト等を挿通して覆工コンクリート12に取付ければよい。
3)ステップS3(下段の防水シートの取付)
施工済みの上段シートの下端部(予め工場等でマーキングした位置)に面ファスナ32で仮止めする。
4)ステップS4(上段および下段の防止シートの固定)
上下の防水シート2の互いに隣接する内外二重の端部のうちの外側の片22・22同士を互いに重ねた状態で横材3に釘31等の固定具で固定する。
5)ステップS5(上段および下段の防水シートの接合)
上記内外二重の端部のうちの内側の片21・21の縁部に設けたスライドファスナ33を閉じて接合する。
6)ステップS6(防水シートの周方向両端部の固定)
立坑内面にリング状に敷設した防水シート3の周方向両端部を適宜の手段で水密に閉塞するもので、例えば図7(a)のように上記の周方向両端部を内外一対の縦材6a・6b間に粘着テープ61等の固定具を介して挟み付けで固定する、或いは図11(a)のように周方向両端部を内外一対の縦材6a・6b間に粘着テープ61等の固定具を介して挟み付け且つボルト62・ナット63で締め付け固定すればよい。
以後は上記下段の防水シート2を上段の防水シート2とし、その下に更に下段の防水シート2を上記と同様の要領で施工して行けば大深度の立坑1にあっても、その内周面に容易・迅速に防水シート2を敷設することができる。
上記のように本発明による立坑防水構造は、立坑1の内周面にリング状の横材3を上下方向に所定の配置ピッチで設置し、その配置ピッチにほぼ等しい幅の防水シート2を、上下に隣り合う横材3・3間において立坑1の内周面に沿ってそれぞれリング状に敷設し、その上下に隣り合う防水シート2・2の互いに隣接する端部2a・2b同士を重ね合わせた状態で上記横材3に取付け支持させたから、前記従来のような防水シートの溶着作業を行うことなく、立坑1の内周面に防水シート2を容易・迅速に取付け支持させることができる。また最上部の防水シートにのみ荷重が集中するのを防ぐことができる。その結果、防水シート2が不用意に脱落したり、破損するのを良好に防止することが可能となり、耐久性および信頼性の高い立坑防水構造を提供することができるものである。
なお、上記の上下に隣り合う防水シート2・2の互いに隣接する端部2a・2bをそれぞれ内外二重に形成し、その外側の端部同士を互いに重ね合わせた状態で上記横材3に取付け支持させると共に、内側の端部同士を互いにスライドファスナ7で接合するようにすると、内外二重の防水機能によって防水性能を更に向上させることができると共に、湧水等による水圧は主として外側の端部が受け、スライドファスナ7には殆ど水圧が掛からないので耐久性および信頼性を大幅に高めることができる。
また上記の立坑内面にリング状に敷設した防水シートの周方向両端部を、上記のような内外一対の縦材6a・6b間に挟んで固定するようにすると、簡単・確実に固定することができる。
以上のように本発明による立坑防水構造によれば、溶着機を用いることなく立坑内面に防水シート2を容易・迅速に接続しながら取付け支持させることができると共に、防水シートの最上部のみに荷重が集中するのを防ぐことができる。その結果、防水シート2が不用意に脱落したり、破損するのを良好に防止することが可能となり、耐久性および信頼性の高い立坑防水構造を提供することが可能となるもので、上記実施形態のような地上から地下深層部のプロパンガス貯槽に至る立坑に限らず、各種の立坑にも適用可能であり、産業上も有効に利用できるものである。
1 立坑
1a 坑口部
11 鋼管矢板
11a 矢板継手
12 覆工コクリート
13 吹付コンクリート
14 根固めグラウト材
15、16 充填材
17 支保
2 防水シート
21 内側の片
22 外側の片
3 横材
31 釘
32 面ファスナ
33 スライドファスナ
4 取付金具
41 金具本体
41a 折曲部
42 ボルト
43 ナット
44 補助金具
5 アンカー
51 拡開スリーブ
52 ウェッジ
53 ボルト
54 ナット
6a、6b 縦材
61 粘着テープ
62 ボルト
63 ナット

Claims (3)

  1. 立坑内周面に所定幅のリング状の横材を上下方向に所定の配置ピッチで設置し、その配置ピッチにほぼ等しい幅の防水シートを、上下に隣り合う横材間において立坑内周面に沿ってそれぞれリング状に敷設し、その上下に隣り合う防水シートの互いに隣接する端部同士を重ね合わせた状態で上記横材に取付け支持させ
    前記横材は、前記立坑内周面に挿入し設置したアンカーと、前記アンカーの後端側に固定された取付金具とを介して、前記立坑内周面から離間させた状態で設置されていることを特徴とする立坑防水構造。
  2. 上記の上下に隣り合う防水シートの互いに隣接する端部をそれぞれ内外二重に形成し、その外側の端部同士を互いに重ね合わせた状態で上記横材に取付け支持させると共に、内側の端部同士を互いにスライドファスナで接合してなる請求項1に記載の立坑防水構造。
  3. 上記の上下に隣り合う横材間にリング状に敷設した防水シートの周方向両端部を内外一対の縦材間に挟んで固定してなる請求項1または2に記載の立坑防水構造。
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