JP5308861B2 - 試験用ローラ及び試験装置 - Google Patents

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本発明は、ローラの材料に対する表面特性を試験するための試験用ローラ及び試験装置に関するものである。
従来から、供給されたプラスチック材料を成型及び表面加工することによって製品シートを製造するカレンダ装置や圧延装置が用いられている。
このようなカレンダ装置や圧延装置は、材料に対して成型や表面加工等の加工を行うためのローラを複数備え、例えばローラ間において上記材料の加工を行う。
そして、上記ローラは、材料に対する良好な加工性や製品シートの損傷を防止するために、材料に対して適切な表面特性を有していることが好ましい。
このため、従来においては、様々な表面特性を有するローラを複数用意し、各ローラにて実際に材料の加工を行うことによって、各ローラの材料に対する表面特性を試験し、最も良好な試験結果が得られたローラを実際のカレンダ装置や圧延装置に搭載していた。
特開平9−262855号公報
ところで、上記試験を行う場合には、通常、1台の試験装置において行われるため、試験装置に各ローラを順番に取り付けて試験を行うこととなる。
このため、候補となるローラが数多い場合には、上記試験に極めて長い時間を要すると共に、ローラの取替え作業回数の増加によって作業者への負担が増大する。
また、表面特性の違いによる加工状態の変化が小さい場合も少なくなく、目視によって何れのローラが最適であるかの判断が困難な場合も多い。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、材料の加工に適したローラの表面特性を容易に特定可能とすることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、ローラの材料に対する表面特性を試験するための試験用ローラであって、異なる表面特性を有すると共に同軸上に配列される複数のリング部材を備え、当該リング部材の外周面によって上記材料に対して加工を行う加工面が形成され、上記リング部材同士が当接されて上記加工面が面一とされ、上記リング部材の他のリング部材との当接面積が、上記リング部材の軸方向からの投影面積よりも小さいという構成を採用する。
第2の発明は、ローラの材料に対する表面特性を試験するための試験用ローラと、該試験用ローラに上記材料を供給する供給手段と、上記試験用ローラにて加工された上記材料を回収する回収手段とを備える試験装置であって、上記試験用ローラとして、上記第1の発明である試験用ローラを備えるという構成を採用する。
第3の発明は、上記第2の発明において、加工された上記材料を上記試験用ローラ上において上記リング部材に合わせて切断する切断手段を備えるという構成を採用する。
第4の発明は、上記第2または第3の発明において、上記リング部材の温度調整を行う温調手段を備えるという構成を採用する。
本発明によれば、材料に対して加工を行う加工面が、異なる表面特性を有するリング部材の外周面によって形成されている。
このため、当該試験ローラに材料を供給して加工を行うことによって、リング部材ごとの加工状態を一度に確認することができる。
したがって、ローラの交換を行うこともなく、短時間で、材料の加工に適したローラの表面特性を容易に特定可能とすることが可能となる。
本発明の第1実施形態における試験用ローラの側面図である。 本発明の第1実施形態における試験用ローラの軸方向の断面図である。 本発明の第1実施形態における試験用ローラを備える試験装置の概略構成を示す側面図である。 本発明の第1実施形態における試験用ローラを備える試験装置の概略構成を示す平面図である。 本発明の第1実施形態における試験用ローラを備える試験装置の要部を拡大した模式図である。 本発明の第2実施形態における試験用ローラの軸方向の断面図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る試験用ローラ及び試験装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の試験用ローラ1の側面図である。また、図2は、本実施形態の試験用ローラ1の軸方向の断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態の試験用ローラ1は、軸部2と、当板3と、複数のリング部材4とを備えている。
軸部2は、図2に示すように、円筒形状の中央部2aと、該中央部2aから試験用ローラ1の軸L方向に突出する端部2bとを備えている。
この軸部2は、中央部2aが端部2bに対して大径とされることによって中央部2aが膨らんだ形状を有している。
また、軸部2は、中空とされており、その内部空間に温調用油が供給可能とされている。
このような軸部2は、後述する試験装置100において、端部2bが軸支されてモータと接続され、モータの駆動によって軸Lを中心として回転される。
また、軸部2は、試験装置100の温調用油供給装置304(温調手段)と接続され、温調用油供給装置304から内部空間に温調用油が供給される。
当板3は、軸部2の端部2bが挿通可能な孔が中央に形成された円板であり、軸部2の中央部2aの側部2a1にボルト5によって固定されている。
なお、図2に示すように、当板3は、軸部2の中央部2aの外側まで張り出されており、その張り出し量がリング部材4の厚さよりも少なくなるように板幅が設定されている。
リング部材4は、内径が軸部2の中央部2aの外形と略同一とされることによって、軸部2の中央部2aに嵌め合い可能とされたリング形状を有している。
また、リング部材4は、軸L方向に貫通する貫通孔を備えている。そして、本実施形態の試験用ローラ1においては、6つのリング部材4が設置されており、各リング部材4の貫通孔が連通されるように全てのリング部材4を軸部2の中央部2aに嵌め合わせた状態で、リング部材4の貫通孔と当板3の貫通孔とにシャフト6を挿通させてボルト締めすることによってリング部材4が軸部2に対して固定される。
本実施形態の試験用ローラ1においては、リング部材4a〜4fが当板3側から配列されている。各リング部材4a〜4fは、形成材料の違いや表面の平坦性の違いから各々異なる表面特性を有している。
そして、リング部材4a〜4f同士が軸L方向に当接されることで、リング部材4a〜4fの外周面によって試験用ローラ1の成型面(加工面)が面一で形成されている。
また、リング部材4の側部の内周面側には溝部が形成されており、これによって、リング部材4同士の当接面積が、リング部材4の軸L方向からの投影面積よりも小さくなるように構成されている。
これによって、リング部材4同士が側部全面で当接される場合と比較して、当接面の面圧を高めることができ、リング部材4同士の間に隙間が形成されることを防止することができる。
なお、最も当板3側のリング部材4aと最も当板3から離れたリング部材4fとは、幅が他のリング部材4b〜4eよりも広く設定されている。
これは本実施形態の試験用ローラ1が試験装置100に搭載された場合に、試験装置100側のガイドローラが試験用ローラ1と当接する領域を確保するためであり、リング部材4a〜4fの実質的な圧延幅を均一化するためである。
このように本実施形態の試験用ローラ1は、異なる表面特性を有すると共に同軸上に配列される複数のリング部材4a〜4fを備え、これらのリング部材4a〜4fの外周面によって、試験用ローラ1に供給される材料の成型を行う成型面が形成されている。
次に、このように構成された本実施形態の試験用ローラ1を用いて、成型対象の材料に対する各リング部材4a〜4fの表面特性を試験するための試験装置100について説明する。
図3は、試験装置100の概略構成を示す側面図である。また、図4は、試験装置100の概略構成を示す平面図である。
これらの図に示すように、試験装置100は、供給装置200(供給手段)と、カレンダ装置300と、回収装置400(回収手段)と、制御部500とを備えている。
供給装置200は、カレンダ装置300が備える試験用ローラ1に材料を供給するためのものであり、押出機201、練りロール機202及びコンベア203を備えている。
押出機201は、ホッパ204を介して投入された材料を、時間当たり一定の量で押し出すものである。
練りロール機202は、押出機201から供給された材料を加熱状態で混練するものである。
コンベア203は、練りロール機202によって混練された材料をカレンダ装置300の試験用ローラ1に供給するものである。
また、供給装置200は、図4に示すように、練りロール機202が備えるミルロールに温調用油を供給するための温調用油供給装置205を備えている。
カレンダ装置300は、供給装置200から供給された材料を、試験用ローラ1と該試験用ローラ1と対をなす対向ローラ301との間において圧延することによって成型するものである。
なお、図4に示すように、カレンダ装置300は、モータ302を備えている。そして、モータ302が駆動されることによって、試験用ローラ1と対向ローラ301とが回転駆動される。
また、図5に示すように、カレンダ装置300は、成型された材料を試験用ローラ1上において、各リング部材4a〜4fに合わせて切断するスリット303(切断手段)を備えている。なお、スリット303は、取り外し可能とされている。
さらに、カレンダ装置300は、図5に示すように、試験用ローラ1と対向ローラ301とに温調用油を供給するための温調用油供給装置304を備えている。このような温調用油供給装置304によって、試験用ローラ1の軸部2に温調用油を供給することによってリング部材4の温度調節が行われる。
なお、カレンダ装置300において、試験用ローラ1と対向ローラ301とは、交換可能とされている。
回収装置400は、カレンダ装置300から排出された材料を冷却して巻き取ることによって回収するものであり、カレンダ装置300のローラから材料を剥がすためのテイクオフローラ401、材料を冷却するための冷却ローラ402及び巻取り装置403を備えている。
ただし、試験用ローラ1を用いた試験においては、材料を巻取り装置403にて巻き取る必要がないため、巻取り装置403を駆動する必要はない。
制御部500は、試験装置100全体の動作を制御するものである。そして、本実施形態において制御部500は、不図示の温度センサから入力される試験用ローラ1の温度を示す入力信号(測定結果)に基づいて、試験用ローラ1の温度が一定となるように、カレンダ装置300の温調用油供給装置304を制御する。
なお、上記温度センサとしては、温調用油の配管の途中に設置されて間接的に試験用ローラ1の温度を測定する温度センサ、及び試験用ローラ1に直接設置される温度のいずれかあるいは両方を用いることができる。
このような試験装置100において試験用ローラ1を用いた試験を行う場合には、まず供給装置200のホッパ204に投入された材料が、一定量ずつ混練された後に、カレンダ装置300に供給される。
カレンダ装置300に供給された材料は、試験用ローラ1と対向ローラ301との間にて圧延されて成型された後、試験用ローラ1上においてスリット303によってリング部材4a〜4fに合わせて切断される。
その後、材料は、回収装置400のテイクオフローラ401によって引き剥がされ、さらに冷却ローラ402によって冷却される。
そして、試験用ローラ1から材料が引き剥がされる様子、及び、冷却ローラ402によって冷却された材料を形状が作業者によって確認され、この確認結果に基づいて材料に対して最適な表面特性を決定する。
なお、上述のようにして材料に対して最適な表面特性が決定された後は、成型面の全面が当該表面特性を有するローラを試験用ローラ1と取り替えてカレンダ装置300に設置する。そして、最終的には、材料を最後の巻取り装置403で巻回される様子までを確認する。なお、この際、スリット303は取り外される。
以上のような本実施形態の試験用ローラ1によれば、材料に対して成型を行う成型面が、異なる表面特性を有するリング部材4の外周面によって形成されている。
そして、本実施形態の試験用ローラ1及び該試験ローラ1を備える試験装置100によれば、試験ローラ1に材料を供給して成型を行うことによって、リング部材4a〜4fごとの加工状態を一度に確認することができる。
したがって、ローラの交換を行うこともなく、短時間で、材料の加工に適したローラの表面特性を容易に特定可能とすることが可能となる。
また、本実施形態の試験用ローラ1によれば、成型面が面一とされている。
このため、全てのリング部材4の外周面において材料を均等に成型することが可能となる。
また、本実施形態の試験用ローラ1によれば、リング部材4同士の当接面積が、リング部材4の軸L方向からの投影面積よりも小さくなるように構成され、リング部材4同士の間に隙間が形成されることを防止されている。このため、リング部材4間に材料が入り込むことを防止することが可能となる。
また、本実施形態の試験用ローラ1を備える試験装置100によれば、スリット303によって、成型後の材料が試験用ローラ1上において、リング部材4に合わせて切断されるため、それぞれのリング部材4に成型された材料の様子を容易に確認することが可能となる。
また、本実施形態の試験用ローラ1を備える試験装置100によれば、温調用油供給装置304によって、試験用ローラ1の軸部2に温調用油を供給することによってリング部材4の温度調節を行うことが可能とされている。このため、カレンダ装置300における材料の温度を常に一定に保つことができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
図6は、本実施形態の試験用ローラ1の軸方向の断面図である。この図に示すように、本実施形態の試験用ローラ1は、内部に中空空間が形成されておらず、代わりに制御部500と電気的に接続されたヒータ2cが設置されている。
そして、本実施形態の試験用ローラ1においては、制御部500によってヒータ2cの発熱量が制御されることで温度調整が行われる。
このような構成を有する本実施形態の試験用ローラ1も、上記第1実施形態の試験用ローラ1と同様の効果を奏する。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、試験用ローラ1が材料の成型を行う構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、試験用ローラが材料の表面処理を行う構成であっても良い。
つまり、本発明の試験用ローラは、材料に対して何らかの加工を行うローラの材料に対する表面特性を試験する際に用いることができる。
また、上記実施形態においては、試験用ローラ1が6つのリング部材4を備える構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の試験用ローラは、2つ以上のリング部材を備えていれば良い。
1……試験用ローラ、4(4a〜4f)……リング部材、200……供給装置(供給手段)、303……スリット(切断手段)、304……温調用油供給装置(温調手段)、400……回収装置(回収手段)

Claims (4)

  1. ローラの材料に対する表面特性を試験するための試験用ローラであって、
    異なる表面特性を有すると共に同軸上に配列される複数のリング部材を備え、
    当該リング部材の外周面によって前記材料に対して加工を行う加工面が形成され
    前記リング部材同士が当接されて前記加工面が面一とされ、
    前記リング部材の他のリング部材との当接面積が、前記リング部材の軸方向からの投影面積よりも小さい
    ことを特徴とする試験用ローラ。
  2. ローラの材料に対する表面特性を試験するための試験用ローラと、該試験用ローラに前記材料を供給する供給手段と、前記試験用ローラにて加工された前記材料を回収する回収手段とを備える試験装置であって、
    前記試験用ローラとして、請求項記載の試験用ローラを備えることを特徴とする試験装置。
  3. 加工された前記材料を前記試験用ローラ上において前記リング部材に合わせて切断する切断手段を備えることを特徴とする請求項記載の試験装置。
  4. 前記リング部材の温度調整を行う温調手段を備えることを特徴とする請求項または記載の試験装置。
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