JP4634314B2 - リングダイおよびリングダイ成形機 - Google Patents
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Description
ここで、リングダイ成形機の部品として用いるリングダイは、材料を円筒状に加工して、穴あけを行った後、熱処理を行い、その後、仕上げ加工を施すことにより製造するのが一般的である。そして、穴あけを行う工程で、リングダイ内に投入された処理物を押し出すために、リングダイの周壁に多数の貫通孔を設けている。
また、リングダイ成形機に用いるリングダイの素材としては、全体が高硬度のステンレス鋼が用いられている。
リングダイの内周面の貫通孔周囲は、リングダイ内に投入された処理物との摩擦によって摩耗するため、高硬度であることが必要である。しかし、従来のリングダイでは、内周面と円筒体の端面の硬度がほとんど同等であり、内周面の硬度を上げると、端面の硬度も上がってしまうため、この端面に設けられた取付ボトル用のタップが、割れの起点となりやすいという問題があった。
また、リングダイには多数の穴をあけるため、難削材であるステンレス系等の材料を用いると、穴をあける際に生じる削りかすがドリルへ溶着する等により、ドリルの寿命を非常に短くするという問題があり、材料費、製造費が高くなるため、経済性に劣るという問題があった。
特に、取付部の最小肉厚が、タップの直径の3/4ないし5/8であることが好ましい。また、円筒体の周壁の最小肉厚が、貫通孔の直径の1/10ないし1/2であることが好ましい。
さらに、本発明に係るリングダイは、取付部の最小肉厚が15mmないし18mmであり、円筒体の周壁の最小肉厚が1mmないし4mmであることが好ましい。
また、周壁および取付部が低合金鋼からなるため、経済性、加工性に優れたリングダイを提供することができる。
この貫通孔3は、円筒体の周壁2の全体に形成されている。
取付部4は、リングダイ成形機の回転部材である回転中空軸12(図5参照)に取り付けるためのタップ5を有しており、円筒体の端面に形成されている。
低合金鋼としては、クロムモリブテン鋼、ニッケルクロムモリブテン鋼またはこれらと同等の焼入性を有した材料を用いることができ、例えば、JIS規格のSCM415、SCM440、SCM445、SNCM220、SNCM240、SNCM439、その他の規格としては、SAE4115、SAE4140、SAE8620、SAE8640等を用いることができるがこれらに限定されるものではない。
低合金鋼を用いることにより、材料費を低く、また、穴あけや切削等の加工を容易に行うことができるため、加工性および経済性を向上させることができる。
取付部4のタップ5周囲とは、図中Xの部分であり、取付部4のタップ5周辺の硬度が測定できる部分である。
内周面6における貫通孔3周囲とは、図中Yの部分であり、貫通孔3の間隔が小さければ、実質的には、周壁2の内周面6全体となる。
取付部4のタップ5周囲と周壁2の内周面6における貫通孔3周囲の硬度差としては、ショア硬度で8Hs〜25Hsの範囲であることが好ましい。
なお、タップ5とタップ5の間隔が狭く、タップ5の開口から開口までの長さが開口から取付部4の縁までの最小長さL1よりも小さい場合には、開口から開口までの最小長さが隣り合う2つの貫通孔3間の最小長さL2よりも大きく形成されていてもよい。
ここで、a1、a2、a3は、貫通孔3の列の幅であり、b1、b2、b3は、一列の隣りあう貫通孔3と貫通孔3の幅である。
隣り合う2つの貫通孔3間の最小長さは、リジッド・パターンの場合には、図3(a)のL3、パトレス・パターンの場合には、図3(b)のL4、イクイラテラル・パターンの場合には、図3(c)のL5の長さとなる。
L1の長さとしては、タップ5径の3/4〜5/8程度が好ましく、L2〜L5の長さとしては、貫通孔3径の1/10〜1/2程度が好ましいが、この長さは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
図4および図5に示すように、リングダイ1には、円周上に多数の貫通孔3が設けられており、このリングダイ1は回転中空軸12の大径の先端に芯出しが容易なようにテーパ固定され、回転中空軸12は軸受13を介して主軸14上に枢支されている。主軸14の先端の大径円板である主軸円板14aには、リングダイ1の内周面6(図2参照)に接して追従回転する一対のローラ15が取り付けられている。ローラ15は、主軸円板14aに固定軸19を介して固定されているため、運転中は、リングダイ1との間に噛み込まれた処理物31を介して回転する。ローラ15のギャップ調整は、偏芯機構により、ローラ15を外すことなく簡単に行えるようになっている。なお、ローラ15は、一対だけではなく、複数設けられていてもよい。
ここで、主軸14に過大な負担がかかることを防ぐため、回転中空軸12の先端部外周を、タイヤやローラ等の支持部材(図示省略)により回転自在に支持してもよい。
投入口20よりリングダイ1内に投入された処理物31は、回転するリングダイ1とその内周面6(図2参照)に接して追従回転する一対のローラ15との間ですり潰されながら、リングダイ1の円周上の多数の貫通孔3に押し込まれる。その際、処理物31は発熱し、一部は軟化してリングダイ1の通過抵抗により硬度を増しながら押し出し成形される。押し出された成形品は、カッター26により切断され、ペレット状の製品32となり、排出口21から機外へ排出されて、次工程に送るようになっている。
このようなリングダイ成形機の動作は、グリースポンプ22や油圧ユニット23等により制御されている。
また、低合金鋼を用いることにより、材料費、製造費を低く抑えつつ、穴あけ等の加工性を向上させることができる。
本発明に係るリングダイ成形機によれば、割れに起因するリングダイ等、部品の交換や割れの有無の定期的な確認であるような保守点検等の作業頻度が少なくなり、その作業による手間を減らすことができ、リングダイ成形機の耐久性を向上させることができる。
本発明に係るリングダイの製造方法によれば、リングダイの内周面における貫通孔周囲の耐摩耗性が高く、かつ、円筒体の端面におけるタップ周囲が割れにくいリングダイを製造するこができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。例えば、モータの数や動力伝達方法を変える等、種々の変更を行うことができる。
<材質>
リングダイの材質としては、クロムモリブテン鋼(SCM440)を用いた。
<寸法>
リングダイの内周面の直径は、約880mm、外周面の直径は、約1040mmであり、タップの呼径は、M24、貫通孔の直径は、φ8mmである。周壁の厚みは、約80mm、円筒体の端面から端面までの長さは、約350mm、そのうち取付部の長さは、片面約40mm(周壁の厚さの1/2以上)である。タップの開口から取付部の縁までの最小長さは、約20mm、最大長さは、約35mm(外部テーパ部含む)であり、2つの貫通孔間の壁の最小長さは、約3.5mm(面取部含む)である。
まず、鋼塊を鍛造し、焼ならしを行った。
次に、荒引加工、穴あけを行い、仕上げ加工を行うところ以外については、仕上寸法による加工を行った。
このようにして作製したリングダイの原型について、焼鈍工程、焼入工程、焼戻工程を行った。
その後、サンドブラスト、タップさらい、外面テーパ部および端面部の仕上加工を施すことにより、リングダイを製造した。
前記工程により製造したリングダイと従来品相当のステンレス鋼(SUS420)製リングダイについて、図2に示すA、B、C、D、Eの部位の硬度を測定した。
ここで、Aは、取付部4のタップ5周囲、Bは、取付部4の外周面、Cは、周壁2の外周面における貫通孔3周囲、Dは、取付部4の内周面6、Eは、周壁2の内周面6における貫通孔3周囲を示す。
表1に、本発明に係る製造方法により作製されたリングダイ(実施例)と従来品相当のステンレス鋼(SUS420)製リングダイ(比較例)との硬度分布の実測平均値を示す。
この結果から、本発明に係るリングダイにおいては、取付部4のタップ5周囲の硬度が周壁2の内周面6における貫通孔周囲の硬度よりも十分に低く、割れにくいことがわかる。
また、内周面6における貫通孔3周囲であるEの硬度は、ステンレス系である従来のリングダイと同等の硬度を有し、摩耗性を高く維持できることがわかる。
まず、プラスチックシートを一軸せん断式破砕機に直接投入し、約30mm〜50mmに破砕した。次に、排出コンベア上に設けられた磁選機により、破砕したプラスチックに混入している金属を除去し、このプラスチックをリングダイ成形機に投入した。その際、レベルスイッチにより一軸せん断式破砕機の運転を制御し、可変速型でリングダイ成形機負荷に合わせて投入量を調節した。そして、断面が直径8mmの廃プラスチック造粒物を成形した。
表2に、リングダイ成形機についての概略を示す。
その結果、実施例1に係るリングダイにおいては、摩耗寿命(設計値)である約2500〜3000時間を超えて稼動させても割れが発生せず、タップを起点とした割れに対して耐久性があることが確認された。
一方、比較例にかかるリングダイにおいては、摩耗寿命(設計値)に満たないで割れるものが複数発生し、約1500時間という短時間で割れが発生したものもあり、交換が必要となる割れが生じやすいことが確認された。
これにより、本発明に係るリングダイは取付部のタップを起点とした割れを発生しにくく、そのリングダイを用いたリングダイ成形機によれば、割れによるリングダイ等部品の交換、割れの有無の定期的な確認のような保守点検等の作業頻度が少なくて済み、その作業による手間が軽減できると考えられる。
2 周壁
3 貫通孔
4 取付部
5 タップ
6 内周面
12 回転中空軸
15 ローラ
17 モータ
31 処理物
32 製品
Claims (5)
- 円筒体の周壁に多数設けた貫通孔と、前記円筒体の少なくとも一方の端面である取付部に、リングダイ成形機の回転部材に取り付けるために設けたタップと、を備えたリングダイにおいて、
前記周壁および前記取付部が低合金鋼からなり、
前記タップの開口から前記取付部の縁までの最小長さである前記取付部の最小肉厚が、隣り合う2つの貫通孔間の最小長さである前記円筒体の周壁の最小肉厚よりも大きくなっていて、
リングダイの製造工程における焼入れにより、前記タップの周囲に形成される前記取付部の壁の硬度が前記貫通孔間の壁の硬度よりも低くなり、
前記取付部のタップ周囲と前記周壁の内周面における貫通孔周囲の硬度差が、ショア硬度で8Hs〜25Hsの範囲である
ことを特徴とするリングダイ。 - 前記タップの開口から前記取付部の縁までの最小長さである前記取付部の最小肉厚が、前記タップの直径の3/4ないし5/8であり、
前記隣り合う2つの貫通孔間の最小長さである前記円筒体の周壁の最小肉厚が、前記貫通孔の直径の1/10ないし1/2である
ことを特徴とする請求項1に記載のリングダイ。 - 前記周壁の内周面における貫通孔周囲の硬度が、ショア硬度で65Hs〜78Hsの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のリングダイ。
- 円筒体の周壁に多数設けた貫通孔と、前記円筒体の少なくとも一方の端面である取付部に、リングダイ成形機の回転部材に取り付けるために設けたタップと、を備えたリングダイにおいて、
前記周壁および前記取付部が低合金鋼からなり、
前記タップの開口から前記取付部の縁までの最小長さである前記取付部の最小肉厚が15mmないし18mmであり、隣り合う2つの貫通孔間の最小長さである前記円筒体の周壁の最小肉厚が1mmないし4mmであり、
リングダイの製造工程における焼入れにより、前記タップの周囲に形成される前記取付部の壁の硬度が前記貫通孔間の壁の硬度よりも低くなる
ことを特徴とするリングダイ。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリングダイを用いるリングダイ成形機であって、
前記リングダイがモータの駆動力が伝送されて回転する回転部材に片持支持で固定され、前記リングダイに追従回転する一対または複数のローラによってリングダイ内に投入された処理物を前記貫通孔から押し出し成形することを特徴とするリングダイ成形機。
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