JP5308420B2 - 光反射性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コレステリック液晶相を固定した層を有する赤外線を反射する光反射性フィルムおよびその製造方法に関する。
近年、環境・エネルギーへの関心の高まりから省エネに関する工業製品へのニーズは高く、その一つとして住宅及び自動車等の窓ガラスの遮熱、つまり日光による熱負荷を減少させるのに効果のある、ガラス及びフィルムが求められている。日光による熱負荷を減少させるのには、太陽光スペクトルの可視光領域または赤外領域のいずれかの太陽光線の透過を防ぐことが必要である。特に、自動車用窓に対しては、安全性の面からは可視光域に対する高い透過率が求められるとともに、遮熱に対する要求も高く、国によっては日射反射率を規制する動きもある。
断熱・遮熱性の高いエコガラスとしてよく用いられるのがLow−Eペアガラスと呼ばれる熱放射を遮断する特殊な金属膜をコーティングした複層ガラスである。特殊な金属膜は、例えば真空成膜法により複数層を積層することで作製できる。真空成膜よって作製される、これらの特殊な金属膜のコーティングは反射性能に非常に優れるものの、真空プロセスは生産性が低く、生産コストが高い。また、金属膜を使うと、電磁波を同時に遮蔽してしまうために、携帯電話等の使用では電波障害を引き起こし、自動車に使用した場合にはETCが使えないなどの問題がある。また、電波障害のみならず、自動車用窓には、安全性の観点で可視光に対する高い透過性も要求される。
これに対し、コレステリック液晶相を利用する方法が、提案されている。例えば、特許文献1に開示されているように、一方の方向の円偏光の光を1つのコレステリック液晶層をλ/2板の両面に形成することで、700〜1200nm領域の光を選択的に効率よく反射させることができる。
また、特許文献2には、コレステリック液晶層を有する赤外光反射物品が開示されている。コレステリック液晶層を複数層積層する例としては、液晶表示装置への利用に対する試みが多く、具体的には可視光領域の光を効率的に反射させる試みが多く、例えば、特許文献3にはコレステリック層を多数重ねた例が開示されている。
コレステリック液晶層を複数積層する際には、例えば、コレステリック液晶材料を含む塗膜を乾燥・加熱配向・紫外線硬化させて1層ずつ上に塗り重ねていく方法が用いられる。コレステリック液晶層を硬化させる方法については、例えば特許文献4に例示されるように、重合性液晶に紫外線を照射することによって硬化させる方法が一般的に用いられ、照射照度を一定範囲内に調整することで、反射波長が広領域のコレステリック液晶フィルムを作製する方法が開示されている。また、特許文献5には積層して多層化する際に液晶分子の旋回方向が同一になるようにすることで、連続した波長域の偏光子を作製する方法が開示されている。
一方、塗布液をインラインで添加剤を添加して調製する方法について、特許文献6では、塗布スジ防止のため、原料溶液にインライン添加して希釈する方法が開示されている。また特許文献7には、インライン添加によって混合すると不安定な液を安定的に塗布する方法が開示されている。
特許第4109914号公報 特表平2009−514022号公報 特許第3500127号公報 特許第4008358号公報 特許第3745221号公報 特許第3903101号公報 特開2003−41015号公報
富士フイルム研究報告 No.50(2005年)pp.60−63
遮熱性能の高い光反射性フィルムを作製するには、赤外光の光を高い反射率で反射し、かつ反射波長帯域を精度良く制御する必要がある。まず、赤外光領域の長波長の光を反射させるには、コレステリック液晶相を示す液晶化合物(例えば棒状液晶化合物)にキラル剤を添加し、キラル剤の添加濃度を調整して反射帯域の調整が行なう方法が一般的である。この場合、定性的には、反射波長を長波長側にシフトするためにはキラル剤の添加量は少なくする必要がある。
次に、赤外光の光を高い反射率で反射するためには、コレステリック液晶相の配向性を良くすることが必要となる。これにより、光反射性フィルムの配向欠陥を無くし、低へイズ化することができ、反射率を高めることができる。
ここで、キラル剤の性能を表す指標として、HTPが一般的に用いられている。HTPは、Helical Twisting Powerの略であり、下記式(1)で表されるラセン配向能力を示すファクターである。詳しくは、非特許文献1『液晶ディスプレー用カラーフィルターのための コレステリック液晶用光反応性キラル剤の開発』(湯本眞敏、市橋光芳)に説明がある。
式(1) HTP=液晶の屈折率/(反射波長×キラル剤の濃度)
よって、赤外光を反射するように反射波長を長波長側にシフトし、かつより配向性の良い光反射性フィルムを作製するには、HTPが高いキラル剤を、少ない添加量で用いて反射波長を調整する必要が生じていた。
しかしながら、本発明者がこのようなHTPが高いキラル剤を少ない添加量で用いて遮熱性能の高い光反射性フィルムの作製を試みたところ、キラル剤の添加濃度の精度が波長変化へ与える影響が、その他各種の製造条件による影響に比較して著しく大きくなり、目標としていた反射波長に対してズレが生じたり、配向欠陥が生じてヘイズが生じたりしやすくなってしまうことがわかった。また、反射波長は材料のみの調合比率だけでは決まらず、反射波長は膜になった際の配向状態で反射波長に変動が起こるため、精度よく波長調整するためには、塗布液の再調製を行なう必要が出てくる場合もあった。このように、長波長領域(例えば800〜2000nmの赤外光領域)において、入射する光の30%以上を反射する波長領域を持たせようとしたHTPの高いキラル剤を用いた場合、キラル剤の添加濃度を従来考えられていたよりも非常に高精度で制御する必要があるという課題は知られておらず、また、その他各種の製造条件に比較して著しくキラル剤の添加濃度の影響が大きくなってしまうことも知られていなかった。
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、赤外光領域における反射性能が良好であり、かつ、配向性の良好な光反射性フィルムを得ることができる、光反射性フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決することを鑑みて、鋭意検討を行った。キラル剤の添加濃度を制御できるように、従来の液晶性化合物を用いた光反射性フィルムの製造方法を大幅に改善した結果、インラインでキラル剤を添加することで、高精度でキラル剤の添加濃度を制御でき、上記課題を解決できることを見出すに至った。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 800〜2000nmのいずれかの波長の入射光を30%以上反射する、樹脂フィルム上に光反射層を有する光反射性フィルムの製造方法であって、硬化性液晶化合物を溶媒に溶解した原料溶液を送液しながら、下記式(1)で示すHTPが30μm-1以上のキラル剤をインラインで混合し、得られた塗布液を樹脂フィルム上に塗布し乾燥することにより形成したコレステリック液晶相をさらに硬化して光反射層を形成する工程を含むことを特徴とする光反射性フィルムの製造方法。
式(1)
HTP=硬化性液晶化合物の屈折率/{コレステリック液晶相の選択反射波長(単位:μm)×硬化性液晶化合物に対するキラル剤の比率}
[2] 800〜2000nmの赤外光領域において入射する光の30%以上を反射する波長領域をもつ光反射性フィルムの製造方法において、
(a) 硬化性液晶化合物を原料タンクにおいて溶媒に溶解する工程と、
(b) 前記原料溶液を、ポンプを使って前記原料タンクから送液管を通じて塗布装置へ送液する工程と、
(c) 送液した前記原料溶液に、前記送液管の内部で下記式(1)で示すHTPが30μm-1以上のキラル剤を含む溶液をインラインで添加し、混合する工程と、
(d) 混合後の硬化性液晶組成物を樹脂フィルム上に塗布する工程と、
(e) 塗布された前記硬化性液晶組成物を乾燥して、コレステリック液晶相の状態とする工程と、
(f) 前記硬化性液晶組成物の硬化反応を進行させてコレステリック液晶相を固定し、光反射層を形成する工程
を含むことを特徴とする光反射性フィルムの製造方法。
式(1)
HTP=硬化性液晶化合物の屈折率/{コレステリック液晶相の選択反射波長(単位:μm)×硬化性液晶化合物に対するキラル剤の比率}
[3] 前記キラル剤のインライン添加および混合を前記送液管の内部に設けられた静的混合器により行うことを特徴とする[1]または[2]に記載の光反射性フィルムの製造方法。
[4] 前記硬化性液晶化合物として、少なくとも1種のコレステリック液晶化合物を用いることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
[5] 前記硬化性液晶組成物に、光重合開始剤を添加することを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
[6] 前記硬化性液晶組成物に、配向制御剤を添加することを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
[7] 前記硬化性液晶化合物に対する前記キラル剤の添加量が5.1質量%以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
[8] 前記キラル剤のHTPが35〜95μm-1であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
[9] 反射中心波長が950〜2000nmであることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
[10] 前記反射中心波長を測定する工程と、前記キラル剤の添加量を測定した反射中心波長からフィードバックして制御する工程を含むことを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
[11](g) 前記光反射層の上で、 前記キラル剤の濃度または種類を変更して、前記(a)工程〜(f)工程を少なくとも1回繰り返して光反射層を積層する工程を含むことを特徴とする[1]〜[10]のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
[12] 前記(d)工程〜(e)工程において、右円偏光の光を反射する層及び左円偏光の光を反射する層を少なくとも一層ずつ形成することを特徴とする[11]に記載の光反射性フィルムの製造方法。
[13] 前記樹脂フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする[1]〜[12]のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
[14] 窓貼付用光反射性フィルムの製造方法であることを特徴とする[1]〜[13]のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
[15] [1]〜[14]のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法で製造され、800〜2000nmの赤外光領域において入射する光の30%以上を反射する波長領域を持つことを特徴とする光反射性フィルム。
[16] 下記式(1)で示すHTPが30μm-1以上のキラル剤を含み、かつ、ヘイズが0.2%以下であるコレステリック液晶相を固定してなる光反射層が、少なくとも1層積層されていることを特徴とする[15]に記載の光反射性フィルム。
式(1)
HTP=硬化性液晶化合物の屈折率/{コレステリック液晶相の選択反射波長(単位:μm)×硬化性液晶化合物に対するキラル剤の比率}
本発明によれば、赤外光領域における反射性能が良好であり、かつ、配向性の良好な光反射性フィルムを得ることができる、光反射性フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法によって製造される光反射性フィルムの一例の断面を示した概略図である。 本発明の製造方法によって製造される光反射性フィルムの他の例の断面を示した概略図である。 本発明の製造方法に用いられる製造設備の一例の概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
[光反射性フィルムの製造方法]
本発明の光反射性フィルムの製造方法の第一の態様は、800〜2000nmのいずれかの波長の入射光を30%以上反射する、樹脂フィルム上に光反射層を有する光反射性フィルムの製造方法であって、硬化性液晶化合物を溶媒に溶解した原料溶液を送液しながら、下記式(1)で示すHTPが30μm-1以上のキラル剤をインラインで混合し、得られた塗布液を樹脂フィルム上に塗布し乾燥することにより形成したコレステリック液晶相をさらに硬化して光反射層を形成する工程を含むことを特徴とする。
式(1)
HTP=硬化性液晶化合物の屈折率/{コレステリック液晶相の選択反射波長(単位:μm)×硬化性液晶化合物に対するキラル剤の比率}
また、本発明の光反射性フィルムの製造方法の第二の態様は、800〜2000nmの赤外光領域において入射する光の30%以上を反射する波長領域をもつ光反射性フィルムの製造方法において、(a)硬化性液晶化合物を原料タンクにおいて溶媒に溶解する工程と、(b)前記原料溶液を、ポンプを使って前記原料タンクから送液管を通じて塗布装置へ送液する工程と、(c)送液した前記原料溶液に、前記送液管の内部で前記式(1)で示すHTPが30μm-1以上のキラル剤を含む溶液をインラインで添加し、混合する工程と、(d)混合後の硬化性液晶組成物を樹脂フィルム上に塗布する工程と、(e)塗布された前記硬化性液晶組成物を乾燥して、コレステリック液晶相の状態とする工程と、(f)前記硬化性液晶組成物の硬化反応を進行させてコレステリック液晶相を固定し、光反射層を形成する工程を含むことを特徴とする。
なお、本発明の光反射性フィルムの製造方法を本発明の製造方法とも言う。
(HTP)
まず、式(1)について説明する。
キラル剤のラセン配向能力は通常HTP(Helical Twisting Power)で表すことができる。ここで、式(1)中、硬化性液晶化合物の屈折率とは、例えば『光波工学(國分泰雄著、共立出版株式会社(1999年)』の20ページに記載のように
Figure 0005308420
を意味する。コレステリック液晶相の選択反射波長とは、コレステリック液晶分子の平均屈折率とコレステリック液晶分子のカイラルピッチ(らせんピッチ)とを乗じて得られる波長を意味する。硬化性液晶化合物に対するキラル剤の濃度とは、 単位体積あたりのキラル剤の固形分質量(重量)/単位体積あたりの液晶化合物の質量(重量)の比を意味する。HTPが高いとラセン配向させる能力が高いことを意味し、ヘイズが低く反射率の膜を作製できるので望ましい。HTPは、上記式(1)から明らかなように、液晶の屈折率を高くするか、キラル剤の濃度を小さくすることで達成できる。よって、キラル剤を選択する際には、キラル剤がより少ない添加量で低いヘイズを示す材料を選ぶことが重要である。赤外領域の光のようにより長波長の光を反射するためには、コレステリック液晶のラセン配向のピッチを大きくする必要があり、膜厚みも厚くなる。そのため、液晶は配向しにくくなる方向であるため、長波長の光を高い反射率で反射する膜を作製するには、高いHTPを示すキラル剤を選択することが強く求められる。
前記キラル剤のHTPは、30〜95μm-1であることが好ましく、35μm-1以上であることがより好ましく、40〜95μm-1であることが特に好ましい。
ここで、キラル剤のHTPは、選択波長のキラル剤濃度依存性を実験的に求めることにより、決定することができ、一意に定めることができる。
(反射波長)
本発明の製造方法は、800〜2000nmのいずれかの波長の入射光を30%以上反射する、樹脂フィルム上に光反射層を有する光反射性フィルムの製造方法に関する。本発明の製造方法は、このような長波長の赤外光領域の波長を反射する光反射層を形成するときに、従来公知の製造方法でキラル剤の添加をすると、長波長の赤外光領域における反射性能が良好であり、かつ、配向性の良好な光反射性フィルムを得ることが難しいという課題を見出して、その課題を解決したものである。なお、光反射性フィルムの反射する特定の領域の波長は、製造方法のさまざまな要因によってシフトさせることができることが知られており、キラル剤の添加濃度のほか、コレステリック液晶相を硬化するときの温度や照度と照射時間などの条件などでシフトさせることができる。なお、ここでいう反射可能な波長領域と、前記式(1)における選択反射波長は同じである。
本発明の光反射性フィルムの製造方法は、800〜2000nmのいずれかの波長の入射光を50%以上反射する光反射性フィルムを製造するときにより好ましく用いることができる。
本発明の製造方法は、長波長の赤外光領域の波長を反射する光反射層を形成するとき、キラル剤の添加濃度による影響が非常に大きくなることを見出し、キラル剤の添加濃度を高精度で制御することで、上記課題を解決したものである。
本発明の製造方法は、反射中心波長が950〜2000nmにある光反射性フィルムを製造するときに好ましく用いることができ、反射中心波長が950〜1400nmにある光反射性フィルムを製造するときにより好ましく用いることができる。なお、ここでいう反射中心波長と、前記式(1)における選択反射波長の関係は反射波長域では通常100〜250nmの帯域の光を反射する場合が多く、その反射波長の平均値を反射中心波長と呼ぶ。
(製造工程)
以下、本発明の光反射性フィルムの製造方法について、好ましく用いられる材料や工程について、本発明の第二の態様に即して、順に説明する。
(a)工程:
本発明の製造方法の第一の態様では、硬化性液晶化合物をあらかじめ溶媒に溶解させて調製しておいた原料溶液を使用しても、製造時に硬化性液晶化合物を溶媒に溶解させてもよい。また、原料溶液は、タンク状であっても、タンク状以外の形状であってもよい。
一方、本発明の製造方法の第二の態様では、(a)硬化性液晶化合物を原料タンクにおいて溶媒に溶解する工程を含む。
前記硬化性液晶組成物は、溶媒に材料を溶解及び/又は分散した、塗布液として調製されるのが好ましい。前記(a)工程では、前記硬化性液晶化合物及び溶剤を含有する硬化性液晶組成物をタンク等の中で塗布液として調製されることがより好ましい。
本発明の製造方法では、前記硬化性液晶組成物に、光重合開始剤を添加することが好ましい。前記光重合開始剤は、前記原料溶液を調製するときに添加してもよく、後述するキラル剤のインライン添加するときと同時に添加してもよい。
本発明の製造方法では、前記硬化性液晶組成物に、配向制御剤を添加することが好ましい。前記配向制御剤は、前記原料溶液を調製するときに添加してもよく、後述するキラル剤のインライン添加するときと同時に添加してもよい。
本発明に使用可能な各成分の詳細については、後述するが、前記配向制御剤としては、前記硬化性液晶化合物の配向を制御可能な配向制御剤を添加することが好ましい。
(b)工程:
本発明の製造方法の第一の態様では、前記原料溶液を送液する方法としては特に制限はなく、ポンプなどの動力を用いても、重力により自然に送液してもよい。また、送液するときに、塗布装置まで通じた送液管の中を送液してもよく、塗布装置以外の塗布液を一次的に保存する装置に通じた送液管の中を送液してもよい。
一方、本発明の製造方法の第二の態様では、(b)前記原料溶液を、ポンプを使って前記原料タンクから送液管を通じて塗布装置へ送液する工程を含む。調製された原料溶液はポンプを使って塗布ヘッドまで送液されることが好ましい。
(c)工程:
本発明の製造方法の第一の態様では、前記原料溶液に前記キラル剤をインラインで添加する態様としては特に制限はなく、溶剤に溶かしたキラル剤溶液として添加してもよく、キラル剤が液体の場合はキラル剤単体で液体として添加してもよく、必要に応じて溶融させてキラル剤溶液として添加してもよく、固体のままキラル剤を添加してもよい。その中でも、本発明の製造方法は、前記キラル剤を 溶媒に溶解した溶液の状態で添加することが好ましい。
一方、本発明の製造方法の第二の態様では、(c)送液した前記原料溶液に、前記送液管の内部で前記式(1)で示すHTPが30μm-1以上のキラル剤を含む溶液をインラインで添加し、混合する工程を含む。
このとき、前記キラル剤溶液に用いられる溶媒の組成は、原料溶液を調製するときに用いた溶媒と等しい組成であるのが最も好ましいが、原料溶液の乾燥性等を変化させるために、異なる組成の溶媒を使用することもできる。溶媒の種類については後述する原料溶液調製用の溶媒の中から一種又は二種以上を混合して用いることが出来る。また、UV吸収剤、染料、剥離促進剤、滑剤のような機能性付与を目的とする添加剤を少量加えることができる。また、溶媒のみ又は溶媒に添加剤を添加したものを用いる場合も、溶媒の組成は、原料溶液の溶媒の組成と同一であることが好ましい。
前記(c)工程においては、タンクより送液された前記硬化性液晶組成物の塗布液を、塗布装置(塗布部)より前の配管等の途中にて、キラル剤をインラインで添加・混合することで、塗布液を完成させることが好ましい。また、混合の態様としては、特に制限はなく、静的混合であっても、動的混合であってもよい。また、混合時に必要に応じて加熱をしてもよい。
本発明の製造方法では、前記キラル剤のインライン添加および混合を前記送液管の内部に設けられた静的混合器(静止型混合器と呼ばれることもある)により行うことがシンプルな構造でかつ外気との接触なく(異物混入少ない)高い混合性が得られる観点から好ましい。前記静的混合器とは、 例えばノリタケカンパニー社製のスタティックミキサーの構造を有するもののことを言う。前記静的混合器としては、例えば特開2001−205062号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
(d)工程:
本発明の製造方法は、(d)混合後の硬化性液晶組成物を樹脂フィルム上に塗布する工程を含む。
硬化性液晶組成物を塗布液して完成させた後に、例えば、ポリマーフィルム、ガラス板、石英板等の基板の表面に、又は必要であれば、基板上に形成された配向膜表面に塗布されることが好ましい。前記塗布液の塗布は、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法等の種々の方法によって行うことができる。
(e)工程:
本発明の製造方法は、(e)塗布された前記硬化性液晶組成物を乾燥して、コレステリック液晶相の状態とする工程を含む。
前記硬化性液晶組成物が、溶媒を含む塗布液として調製されている態様では、塗膜を乾燥し、溶媒を除去することで、コレステリック液晶相の状態にすることができる場合がある。また、コレステリック液晶相への転移温度とするために、所望により、前記塗膜を加熱してもよい。例えば、一旦等方性相の温度まで加熱し、その後、コレステリック液晶相転移温度まで冷却する等によって、安定的にコレステリック液晶相の状態にすることができる。前記硬化性液晶組成物の液晶相転移温度は、製造適性等の面から10〜250℃の範囲内であることが好ましく、10〜150℃の範囲内であることがより好ましい。10℃未満であると液晶相を呈する温度範囲にまで温度を下げるために冷却工程等が必要となることがある。また200℃を超えると、一旦液晶相を呈する温度範囲よりもさらに高温の等方性液体状態にするために高温を要し、熱エネルギーの浪費、所望により用いられる基板の変形、変質等からも不利になる。
(f)工程:
本発明の製造方法は、(f)前記硬化性液晶組成物の硬化反応を進行させてコレステリック液晶相を固定し、光反射層を形成する工程を含む。
前記硬化反応は、例えば、紫外線等の活性放射線を照射することで進行させることができる。紫外線照射を利用する態様では、紫外線ランプ等の光源が利用される。この工程では、紫外線を照射することによって、前記液晶組成物の硬化反応が進行し、コレステリック液晶相が固定されて、選択光反射特性を示す下層が形成される。
紫外線の照射エネルギー量については特に制限はないが、一般的には、100mJ/cm2〜800mJ/cm2程度が好ましい。また、前記塗膜に紫外線を照射する時間については特に制限はないが、硬化膜の充分な強度及び生産性の双方の観点から決定されるであろう。
硬化反応を促進するため、加熱条件下で紫外線照射を実施してもよい。また、紫外線照射時の温度は、コレステリック液晶相が乱れないように、コレステリック液晶相を呈する温度範囲に維持するのが好ましい。また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達せず、膜強度が不十分の場合には、窒素置換等の方法により、雰囲気中の酸素濃度を低下させることが好ましい。好ましい酸素濃度としては、10%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましく、3%以下が最も好ましい。
上記(f)工程では、コレステリック液晶相が固定されて、光反射層が形成される。ここで、液晶相を「固定化した」状態は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様である。それだけには限定されず、具体的には、通常0℃〜50℃、より過酷な条件下では−30℃〜70℃の温度範囲において、該層に流動性が無く、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を意味するものとする。本発明では、紫外線照射によって進行する硬化反応により、コレステリック液晶相の配向状態を固定する。
なお、本発明においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、最終的に光反射層中の液晶組成物がもはや液晶性を示す必要はない。例えば、液晶組成物が、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
(g)工程:
本発明の製造方法は、(g)前記光反射層の上で、 前記キラル剤の濃度または種類を変更して、前記(a)工程〜(f)工程を少なくとも1回繰り返して光反射層を積層する工程を含むことが好ましい。このような光反射層が2層以上の積層体を得る場合においても、本発明の製造方法は好ましく採用することができる。
遮熱性能の高い光反射性フィルムとするためには、キラル剤の濃度や種類(右ネジレ、左ネジレ)を変えた層を積層する必要がある。そのため、光反射層毎に塗布液を準備する必要があり、塗布液を交換するための洗浄毎にロスが発生したり、調液用のタンクを複数準備したりする必要があり、コストが高くなるという問題があった。これに対し、本発明の製造方法の好ましい態様では、z千基(g)工程を有することで、光反射層を2層以上積層するときにキラル剤の濃度や種類のみを容易に変更することができる。
フィードバック制御工程:
本発明の製造方法は、前記反射中心波長を測定する工程と、前記キラル剤の添加量を測定した反射中心波長からフィードバックして制御する工程を含むことが好ましい。前記フィードバックの方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。このとき、インラインの測定器の光学データをフィードバックしながら、塗布は連続的に行なったままで、キラル剤の添加量を調整することが好ましい。フィードバック制御の方法については、例えば特開2006−258880号公報に記載の方法、装置を用いることができる。
(材料)
次に、本発明の製造方法に使用することができる材料について説明する。本発明の製造方法は、硬化性液晶化合物と、キラル剤を使用する。さらに本発明の製造方法では、上述の配向制御剤を含有していることが光反射性をより高精度に制御し、配向性を良好となる観点から好ましい。また、本発明の製造方法では、硬化性とするために、重合開始剤を含有していることが好ましい。
硬化性液晶化合物:
本発明の方法に利用される液晶組成物は、硬化性液晶化合物である。前記硬化性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
本発明に使用可能な棒状液晶化合物の例は、棒状ネマチック液晶化合物である。前記棒状ネマチック液晶化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
本発明の製造方法では、前記硬化性液晶組成物は、コレステリック液晶相を示すものであり、そのためには、前記硬化性液晶化合物として、少なくとも1種のコレステリック液晶化合物を用いることが好ましい。
本発明に利用する硬化性液晶化合物は、重合性であっても非重合性であってもよい。重合性基を有しない棒状液晶化合物については、様々な文献(例えば、Y. Goto et.al., Mol.Cryst. Liq. Cryst. 1995, Vol. 260, pp.23−28)に記載がある。
重合性棒状液晶化合物は、重合性基を棒状液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、及びアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、棒状液晶化合物の分子中に導入できる。重合性棒状液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性棒状液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、及び特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性棒状液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性棒状液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
キラル剤(光学活性化合物):
前記硬化性液晶組成物は、コレステリック液晶相を示すものであり、そのためには、光学活性化合物を含有している。前記光学活性化合物は、公知の種々のキラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)から選択することができる。前記キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。前記キラル剤は、重合性基を有していてもよい。光学活性化合物が重合性基を有するとともに、併用する棒状液晶化合物も重合性基を有する場合は、重合性光学活性化合物と重合性棒状液晶合物との重合反応により、棒状液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、光学活性化合物から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性光学活性化合物が有する重合性基は、重合性棒状液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、光学活性化合物の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基又はアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、前記キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
前記硬化性液晶組成物中のキラル剤は、併用される前記硬化性液晶化合物に対して、1〜10質量%であることが好ましい。また、前記硬化性液晶組成物中のキラル剤は、前記硬化性液晶化合物に対して1〜7質量%であることがより好ましく、1〜5.1質量%であることがより特に好ましい。
前記キラル剤の使用量は、より少なくした方が液晶性に影響を及ぼさないことが多いため好まれる。従って、前記キラル剤は、少量でも所望の螺旋ピッチの捩れ配向を達成可能なように、強い捩り力のある化合物が好ましい。この様な、強い捩れ力を示すキラル剤としては、例えば、特開2003−287623公報に記載のキラル剤が挙げられ、本発明に好ましく用いることができる。
配向制御剤:
本発明に使用可能な配向制御剤の好ましい例には、下記一般式(I)〜(IV)で表される化合物が含まれる。これらから選択される2種以上を含有していてもよい。これらの化合物は、層の空気界面において、液晶化合物の分子のチルト角を低減若しくは実質的に水平配向させることができる。
尚、本明細書で「水平配向」とは、液晶分子長軸と膜面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が20度未満の配向を意味するものとする。液晶化合物が空気界面付近で水平配向する場合、配向欠陥が生じ難いため、可視光領域での透明性が高くなり、また赤外領域での反射率が増大する。一方、液晶化合物の分子が大きなチルト角で配向すると、コレステリック液晶相の螺旋軸が膜面法線からずれるため、反射率が低下したり、フィンガープリントパターンが発生したりし、ヘイズの増大や回折性を示すため好ましくない。
Figure 0005308420
前記一般式中、Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルコキシ基を表し、炭素原子数1〜20のアルコキシ基がより好ましく、炭素原子数1〜15のアルコキシ基がさらに好ましい。但し、アルコキシ基中の1以上のCH2及び互いに隣接しない2以上のCH2は、−O−、−S−、−OCO−、−COO−、−NRa−、−NRaCO−、−CONRa−、−NRaSO2−、又は−SO2NRa−で置換されていてもよい。Raは、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。1以上のフッ素原子を有するのが、層の空気界面に多く分布して偏在し、上層への溶出・拡散が容易になるので好ましい。末端の炭素原子がフッ素原子で置換されているのが好ましく、末端にパーフルオロアルキル基を有しているのが好ましい。
Rの好ましい例には、
−OCn2n+1
−(OC24n1(CF2n2
−(OC36n1(CF2n2
−(OC24n1NRaSO2(CF2n2
−(OC36n1NRaSO2(CF2n2
なお、上記式中、n、n1及びn2はそれぞれ1以上の整数であり、nは1〜20であるのが好ましく、5〜15であるのがより好ましく;n1は1〜10であるのが好ましく、1〜5であるのがより好ましく;n2は1〜10であるのが好ましく、2〜10であるのがより好ましい。
前記式中、m1、m2及びm3はそれぞれ、1以上の整数を表す。
m1は、1又は2であるのが好ましく、2であるのがより好ましい。1である場合はパラ位、2である場合は、パラ位とメタ位にRが置換しているのが好ましい。
m2は、1又は2であるのが好ましく、1であるのがより好ましい。1である場合はパラ位、2である場合は、パラ位とメタ位にRが置換しているのが好ましい。
m3は、1〜3であるのが好ましく、−COOHに対して、2つのメタ位と1つのパラ位にRが置換しているのが好ましい。
前記式(I)の化合物の例には、特開2005−99248号公報の[0092]及び[0093]中に例示されている化合物が含まれる。
前記式(II)の化合物の例には、特開2002−129162号公報の[0076]〜{0078}及び[0082]〜[0085]中に例示されている化合物が含まれる。
前記式(III)の化合物の例には、特開2005−99248号公報の[0094]及び[0095]中に例示されている化合物が含まれる。
前記式(IV)の化合物の例には、特開2005−99248号公報の[0096]中に例示されている化合物が含まれる。
前記配光制御剤の使用量は、前記硬化性液晶化合物に対して(塗布液の場合は固形分)の0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがさらに好ましい。
重合開始剤:
前記光反射層の形成に用いる液晶組成物は、硬化性液晶組成物である。重合性液晶組成物であるのが好ましく、そのためには、重合開始剤を含有しているのが好ましい。紫外線照射により硬化反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
前記光重合開始剤の使用量は、前記硬化性液晶化合物に対して(塗布液の場合は固形分)の0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがさらに好ましい。
その他の添加剤:
その他、上記液晶組成物は、配向の均一性や塗布適性、膜強度を向上させるために、ムラ防止剤、ハジキ防止剤、及び重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、前記液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学的性能を低下させない範囲で添加することができる。
硬化性液晶化合物を溶解させる溶剤:
硬化性液晶化合物を溶解させる、前記溶剤としては特に制限はなく、公知の液晶性化合物の溶剤を用いることができる。例えば、前記溶剤としては、溶剤の種類については特に制限はない。例えば、ケトン類(アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。本発明の製造方法では、固形分の溶解性、塗布膜の乾燥の効率性の観点から、2−ブタノンを用いることがより好ましい。一方、配向制御剤が溶解しやすいように極性の高い溶剤を用いることもでき、具体的にはトルエン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン等がこの場合は好ましい。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
塗膜形成性や生産効率などの観点で、前記硬化性液晶組成物中における固形分濃度は、10〜50%であることが好ましく、15〜40%であることがさらに好ましい。
(樹脂フィルム)
本発明の光反射性フィルムの製造方法に用いられる樹脂フィルムとしては特に制限はなく、任意の樹脂フィルムの上に光反射層を塗布し、本発明の光反射性フィルムを製造することができる。前記樹脂フィルムとしては、例えば可視光に対する透過性が高いポリマーフィルムを用いることができる。
前記可視光に対する透過性が高いポリマーフィルムとしては、液晶表示装置等の表示装置の部材として用いられる種々の光学フィルム用のポリマーフィルムが挙げられる。前記樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム;ポリイミドフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、などが好ましく、ポリエチレンテレフタレートおよびトリアセチルセルロースがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
(製造装置)
本発明の製造方法に好ましく用いられる製造装置を、図面を参照して説明する。
図3は本発明の製造方法に好ましく用いられる製造装置の一実施形態の概略模式図である。図3において、符号1は予め調製された原料溶液を貯溜する原料タンクで、この原料タンク1は、送液管2を介して塗布装置11に連結されている。この送液管2には、原料タンク1側からポンプ4、フィルター5及び静止型混合器6が設けられている。符号7はキラル剤(またはキラル剤溶液)を貯溜する溶媒タンクで、このキラル剤用タンク7は、キラル剤用送液管8を介して送液管2の静止型混合器6の上流側に連結されている。また、キラル剤用送液管8には、キラル剤用タンク7側からポンプ9及びフィルター10が設けられている。なお、符号11は塗布装置を模式的に表したものであり、塗布装置の形態、配置場所などは図3によって限定されることはない。
以上のような製造装置においては、原料タンク1から原料溶液をポンプ4により塗布装置11に送り込むが、この時、キラル剤用タンク7からキラル剤がポンプ9により送液管2に送りこまれているので、静止型混合器6の上流側で原料溶液にキラル剤が混合され、静止型混合器6を通して均一に混合される。したがって、塗布装置11に導入される混合後の硬化性液晶組成物は、所望の範囲の濃度の均一な溶液となっている。そして、この溶液を塗布装置11により任意の樹脂フィルム上に塗布して、光反射層を製膜する。
また、光反射層へのキラル剤の添加濃度を変更する場合は、前記キラル剤を溶液としてインライン添加する場合は、キラル剤用タンク7から送液管2に送り込むキラル剤溶液の流量を変更し、所望の濃度となるようにする。
光反射層へ添加するキラル剤の種類を変更する場合は、キラル剤用タンク7に別の種類のキラル剤を入れ替えてもよいし、別のキラル剤用タンク(図示せず)にキラル剤を準備しておき、別の配管に切り替えて原料溶液に異なる種類のキラル剤をインライン添加してもよい。
さらに、本発明の製造方法では、キラル剤濃度をフィードバックしてキラル剤用タンク7からインラインされるキラル剤の添加量を制御するためのキラル剤濃度測定装置(図示せず)を有していることが好ましい。
[光反射性フィルム]
本発明の光反射性フィルムは、本発明の光反射性フィルムの製造方法で製造され、波長800〜2000nmの赤外光領域において、入射する光の30%以上を反射する波長領域を反射することを特徴とする。以下、本発明の光反射性フィルムについて説明する。
(構成)
本発明の製造方法によって製造される光反射性フィルムの例を図1、図2にそれぞれ示す。
図1に示す光反射性フィルム21は、樹脂フィルム12の一方の表面上に形成された、コレステリック液晶相を固定してなる光反射層14aを有している。また、図2に示す光反射性フィルム21は、さらにその上に、コレステリック液晶相を固定してなる光反射層14b、16a及び16bをさらに有する。本発明の光反射性フィルムはこれらの態様に限定されるものではなく、6層以上光反射層が形成されている態様も好ましい。一方、前記光反射層が奇数層形成されていてもよい。
図1および図2中にそれぞれ示す光反射性フィルム21は、各光反射層が、コレステリック液晶相を固定してなるので、当該コレステリック液晶相の螺旋ピッチに基づいて、特定の波長の光を反射する光選択反射性を示す。例えば、隣接する光反射層(14aと14b、16aと16b)が、同程度の螺旋ピッチを有するとともに、互いに逆向きの旋光性を示していると、同程度の波長の左及び右円偏光のいずれも反射することができるので好ましい。例えば、図2の光反射性フィルム21の一例として、光反射層14a及び14bのうち、光反射層14aが右旋回性のキラル剤を含有する液晶組成物からなり、光反射層14bが左旋回性のキラル剤を含有する液晶組成物からなり、光反射層14a及び14bで、螺旋ピッチが同程度d14nmである例が挙げられる。
また、図2の光反射性フィルム21のそれぞれの一例として、光反射層14a及び14bの関係が光反射性フィルム21の上記例と同様であり、光反射層16aが右旋回性のキラル剤を含有する液晶組成物からなり、光反射層16bが左旋回性のキラル剤を含有する液晶組成物からなり、光反射層16a及び16bで螺旋ピッチが同程度d16nmであり、及びd14≠d16を満足する例が挙げられる。この条件を満足する光反射性フィルム21は、上記光反射性フィルム21の例と同様の効果を示すとともに、さらに、光反射層16a及び16bによって、反射される光の波長帯域が拡張し、広帯域の光反射性を示す。
本発明の製造方法により製造される光反射性フィルムは、各層のコレステリック液晶相に基づく選択反射特性を示す。本発明の光反射性フィルムは、右捩れ及び左捩れのいずれのコレステリック液晶相を固定してなる層を有していてもよい。同一の螺旋ピッチの右捩れ及び左捩れのコレステリック液晶相を固定した層をそれぞれ有していると、特定の波長の光に対する選択反射率が高くなるので好ましい。また、同一の螺旋ピッチの右捩れ及び左捩れのコレステリック液晶相を固定した層の対を、複数有していると、選択反射率を高められるとともに、選択反射波長域を広帯域化するので好ましい。
なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、棒状液晶の種類又は添加されるキラル剤の種類によって調整でき、螺旋ピッチは、これらの材料の濃度によって調整できる。
(特性)
また、光反射性フィルムが光反射層を2層以上有する積層体であるときの総厚みについては特に制限はないが、コレステリック液晶相を固定した光反射層を4層以上含み、赤外線反射域に広く光反射特性、即ち遮熱性、を示す態様では、各層の厚みは、3〜6μm程度であり、且つ光反射性フィルムの総厚みd3は、通常、15〜40μm程度になるであろう。
また、本発明の光反射性フィルムの1層の光反射層(または複数層の光反射層を有する場合は各光反射層)の選択反射波長については特に制限はない。用途に応じて、螺旋ピッチを調整することで、所望の波長光に対する反射特性を持たせることができる。一例は、少なくとも1層が、波長800nm〜2000nmの赤外光波長域の光の一部を反射する、いわゆる赤外反射膜であり、それにより遮熱性を示す。本発明の光反射性フィルムの一例は、波長900nm〜1160nmの太陽光を80%以上反射することが可能であり、さらには90%以上反射することが可能であることが好ましい。この性能を使ってウインドウフィルムを作ると、JIS A−5759(建築窓ガラス用フィルム)で規定されている遮蔽係数で0.7以下となる高い遮熱性能を達成可能である。
本発明の光反射性フィルムは、低ヘイズを達成可能であり、具体的には、コレステリック液晶相を固定してなる光反射層1層あたりのヘイズ0.2%未満を達成可能である。本発明の光反射性フィルムは、下記式(1)で示すHTPが30μm-1以上のキラル剤を含み、かつ、ヘイズが0.2%以下であるコレステリック液晶相を固定してなる光反射層が、少なくとも1層積層されていることが好ましい。
式(1)
HTP=硬化性液晶化合物の屈折率/{コレステリック液晶相の選択反射波長(単位:μm)×硬化性液晶化合物に対するキラル剤の比率}
窓等に貼付されている光反射性フィルムには、透明であることが要求され、ヘイズは低いほど好ましい。ヘイズは好ましくは0.15%以下である。なお、ヘイズは、JIS K 7136:2000(プラスチック−透明材料のヘーズの求め方)に準拠して測定することができる。なお、本発明の光反射性フィルムが複数層の光反射層を有する場合は、積層された光反射性フィルムから1層ごとの光反射層を剥ぎ取ってヘイズを測定することもでき、そのときの剥ぎ取り方としては、特に制限はない。
(形態)
本発明の光反射性フィルムの形態は、シート状に広げられた形態であっても、ロール状に巻き取られた形態であっても構わないが、ロール状に巻き取られていることも好ましい。すなわち、本発明の光反射性フィルムは製造工程において巻き取りと送り出しを繰り返された場合に良好な光学特性を維持できることに加え、さらに製造後にロール状に巻き取られた状態で保管、搬送などをされても良好な光学特性を維持できることがより好ましい。
本発明の光反射性フィルムは、それ自体が窓材として利用できる自己支持性のある部材であっても、またそれ自体は自己支持性がなく、自己支持性のあるガラス板等の基板に貼合等されて用いられる部材であってもよい。
例えば、コレステリック液晶相を固定化する場合には、一つの層では右あるいは左円偏光成分のどちらか一方のみになり、最大50%の反射性能を示す。右円偏光を反射する層と左円偏光を反射する層を塗り重ねることで、最大100%の反射性能を高めることができる。反射帯域の幅は、通常100〜150nmになるが、コレステリック層の複屈折率Δnが高い材料を用いたり、作製した膜内部のキラル剤の膜断面方向のキラル剤の濃度分布をつけたりすることで、この反射帯域を150〜300nm程度まで広げることができる。
(用途)
本発明の光反射性フィルムの用途は特に制限されない。本発明の光反射性フィルムは、窓貼付用光反射性フィルムであることが好ましい。
本発明の光反射性フィルムは、さらにガラス板やプラスチック基板等の表面に貼合されて用いられてもよい。この態様では、前記遮熱部材のガラス板等との貼合面は、粘着性であるのが好ましい。本実施形態では、本発明の光反射性フィルムは、ガラス板等の基板表面に貼合可能な、粘着層、易接着層等を有しているのが好ましい。勿論、非粘着性の本発明の光反射性フィルムを、接着剤を利用してガラス板の表面に貼合してもよい。
本発明の光反射性フィルムは、太陽光に対して遮熱性を示すことが好ましく、太陽光の700nm以上の赤外線を効率よく反射することが好ましい。
本発明の光反射性フィルムは、車両用又は建物用の遮熱性窓そのものとして、又は遮熱性付与を目的として、車両用又は建物用の窓に貼合されるシート又はフィルムとして、利用することができる。その他、フリーザーショーケース、農業用ハウス用材料、農業用反射シート、太陽電池用フィルム等として用いることができる。その中でも、本発明の光反射性フィルムは、窓貼付用光反射性フィルムに用いることが、高可視光透過率と低へイズという特性の観点から好ましい。
また、本発明の光反射性フィルムは、合わせガラス内部に組み込まれて遮熱部材として利用されてもよい。
前記遮熱部材は、住宅、オフィスビル等の建造物、又は自動車等の車両の窓に、日射の遮熱用の部材として貼付される。又は、日射の遮熱用の部材そのもの(たとえば、遮熱用ガラス、遮熱用フィルム)として、その用途に供することができる。
以下に実施例と比較例(なお比較例は公知技術というわけではない)を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
(塗布液(硬化性液晶組成物)の調製)
まず、下記表1に示す組成の塗布液を調製した。
原料溶液
Figure 0005308420
Figure 0005308420
キラル剤(B):特開2002−80478号の例示化合物5
Figure 0005308420
キラル剤(C):特開2002−80478号公報の例示化合物7
Figure 0005308420
次に図3に記載の製造設備を用いて、光反射性フィルムを製膜した。
上記表1の原料溶液を原料タンク1で調製し、ポンプ4を通じて塗布装置11へ送液した。フィルター5を通過した後、送液管2の途中で上記表2のキラル剤をキラル材用タンク7からキラル剤用送液管8を通じてポンプ9によってインライン添加し、静的混合器6で混合し、塗布液を調製した。完成した膜の反射中心波長が1000nmになるように下記表3に記載のとおりに添加剤濃度を調整した。実施例1などにおけるインライン添加の場合には、インラインの測定器(図示せず)の光学データをフィードバックしながら、塗布は連続的に行なったままで、キラル剤の添加量を調整し、光学性能を合わせ込んだ。
なお、このとき、キラル剤は上記表2に記載の溶剤に溶解させてインライン添加した。
(塗布・製膜)
調製した塗布液はワイヤーバーを用いて、乾燥後の乾膜の厚みが4〜5μm程度になるように、厚み50μmの富士フイルム製PETフィルム上に、室温にて塗布し;
室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で4分間加熱し、コレステリック液晶相とし;
その後30℃でアイグラフィック製メタルハライドランプにて出力を調整して、窒素置換下において、照度28.3mW/cm2で3秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定して実施例1の光反射性フィルムを作製した。
[実施例2および比較例1〜4]
下記表3に記載したとおりにキラル剤の種類、添加量、インライン添加の有無を変更した以外は実施例1と同様にして、各実施例および比較例の光反射性フィルムを製膜した。
インライン添加無しの比較例2〜4では、キラル剤を予め原料タンクに投入し塗布液を調製した。作製した膜の反射波長の中心波長が1000nmに対してずれている場合には、タンクにキラル剤を添加する場合には、作製した膜のデータをもとに添加量を決定し、送液ライン、塗布部を洗浄した後、再度送液、塗布を行い、光学性能を合わせ込んだ。
(反射中心波長の目標値からのズレ)
各実施例および比較例の条件で光反射性フィルムをそれぞれ10回ずつ上記の方法でフィードバック制御しながら製造し、得られた10枚の光反射性フィルムの反射中心波長の目標値(1000nm)からのズレを測定した。その平均値を計算して求めた結果を、下記表3に示す。
(ヘイズ)
コレステリック液晶層の配向が悪化すると反射率が低下するのみならず、ヘイズが顕著に上昇するので、コレステリック液晶層の配向性の指標として、光反射性フィルム全体のヘイズを測定した。ヘイズは、JIS K 7136:2000(プラスチック−透明材料のヘーズの求め方)に準拠して測定した。
以下の表3に得られた結果を示す。なお、ヘイズは光反射層(コレステリック液晶層)を樹脂フィルム上に1層積層した態様で測定したものである。
Figure 0005308420
表3より、本発明の光反射性フィルムは、反射中心波長の目標値からのズレが小さく、ヘイズも小さかった。すなわち、本発明の光反射性フィルムは、高精度な光反射特性を示し、配向性が良好であることがわかった。
一方、比較例1はHTPが本発明の範囲を下回るキラル剤を用いた例であり、ヘイズが大きくなってしまうことがわかった。比較例2〜4は、インラインでキラル剤を添加せず、原料溶液を調製するときに、硬化性液晶化合物とあらかじめ混合して製膜した水準であり、反射中心波長の目標値からのズレが大きくなることがわかった。特に、比較例4より、HTPが本発明の範囲を下回るキラル剤を多量に用いて、従来公知の方法を採用してインラインでキラル剤を添加しなかった場合、反射中心波長の目標値からのズレを小さくするにつれてヘイズが上昇してしまい、両者を両立することができないことがわかった。
[実施例101]
実施例1で積層した光反射層(第1層という)を室温まで冷却した後、実施例1においてキラル剤Aを右捻れ用の下記構造のキラル剤Dをインラインで混合した以外は同様にして、1層下の光反射層の上に第2層を形成した。なお、第2層の反射波長のピークは1000nmである。
さらに、第2層の上に、第3層および第4層として反射波長のピークが1120nmとなるように前記キラル剤Aと下記キラル剤Dをそれぞれ濃度調製して用いて実施例1と同様に積層し、さらにその上に第5層および第6層として反射波長のピークが1240nmとなるように前記キラル剤Aと下記キラル剤Dをそれぞれ濃度調製して用いて実施例1と同様に積層した。
得られた光反射性フィルムは、実施例1と同様の傾向を示した。
キラル剤D
Figure 0005308420
1 原料タンク
2 送液管
4 ポンプ
5 フィルター
6 静的混合器
7 キラル剤用タンク
8 キラル剤用送液管
9 ポンプ
10 フィルター
11 塗布装置
12 樹脂フィルム
14a、14b、16a、16b 光反射層
21 光反射性フィルム

Claims (14)

  1. 800〜2000nmのいずれかの波長の入射光を30%以上反射する、樹脂フィルム上に光反射層を有する光反射性フィルムの製造方法であって、
    硬化性液晶化合物を溶媒に溶解した原料溶液を送液しながら、下記式(1)で示すHTPが30μm-1以上のキラル剤をインラインで混合し、得られた塗布液を樹脂フィルム上に塗布し乾燥することにより形成したコレステリック液晶相をさらに硬化して光反射層を形成する工程
    を含むことを特徴とする光反射性フィルムの製造方法。
    式(1)
    HTP=硬化性液晶化合物の屈折率/{コレステリック液晶相の選択反射波長(単位:μm)×硬化性液晶化合物に対するキラル剤の比率}
  2. 800〜2000nmのいずれかの波長の入射光を30%以上反射する、樹脂フィルム上に光反射層を有する光反射性フィルムの製造方法であって、
    (a) 硬化性液晶化合物を原料タンクにおいて溶媒に溶解する工程と、
    (b) 前記原料溶液を、ポンプを使って前記原料タンクから送液管を通じて塗布装置へ送液する工程と、
    (c) 送液した前記原料溶液に、前記送液管の内部で下記式(1)で示すHTPが30μm-1以上のキラル剤を含む溶液をインラインで添加し、混合する工程と、
    (d) 混合後の硬化性液晶組成物を樹脂フィルム上に塗布する工程と、
    (e) 塗布された前記硬化性液晶組成物を乾燥して、コレステリック液晶相の状態とする工程と、
    (f) 前記硬化性液晶組成物の硬化反応を進行させてコレステリック液晶相を固定し、光反射層を形成する工程
    を含むことを特徴とする光反射性フィルムの製造方法。
    式(1)
    HTP=硬化性液晶化合物の屈折率/{コレステリック液晶相の選択反射波長(単位:μm)×硬化性液晶化合物に対するキラル剤の比率}
  3. 前記キラル剤のインライン添加および混合を前記送液管の内部に設けられた静的混合器により行うことを特徴とする請求項1または2に記載の光反射性フィルムの製造方法。
  4. 前記硬化性液晶化合物として、少なくとも1種のコレステリック液晶化合物を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
  5. 前記硬化性液晶組成物に、光重合開始剤を添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
  6. 前記硬化性液晶組成物に、配向制御剤を添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
  7. 前記硬化性液晶化合物に対する前記キラル剤の添加量が5.1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
  8. 前記キラル剤のHTPが35〜95μm-1であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
  9. 反射中心波長が950〜2000nmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
  10. 前記反射中心波長を測定する工程と、前記キラル剤の添加量を測定した反射中心波長からフィードバックして制御する工程を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
  11. (g) 前記光反射層の上で、 前記キラル剤の濃度または種類を変更して、前記(a)工程〜(f)工程を少なくとも1回繰り返して光反射層を積層する工程を含むことを特徴とする請求項〜10のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
  12. 前記(d)工程〜(e)工程において、右円偏光の光を反射する層及び左円偏光の光を反射する層を少なくとも一層ずつ形成することを特徴とする請求項11に記載の光反射性フィルムの製造方法。
  13. 前記樹脂フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
  14. 窓貼付用光反射性フィルムの製造方法であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の光反射性フィルムの製造方法。
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