JP5308378B2 - Dpfの強制再生用マップの検証方法および検証装置 - Google Patents
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DPFは、フィルターを用いたPM捕集装置であり、排ガス温度が低いエンジン運転状態では、このDPFにPMが貯まり続けるので、強制的に温度を上げてPMを燃焼する必要がある。
このため、DPFの上流側に前段酸化触媒(Diesel Oxidation Catalyst、以下DOCと略す)を設けて、該DOCに燃料の供給を行い、酸化熱によりDPF入口温度を昇温して、所定の温度に制御する必要がある。
このDOCへの燃料供給は、例えば、エンジンの燃焼室内に燃焼に寄与しないタイミングで燃料を噴射して、排気通路を通って燃料をDOCへ到達させるレイトポスト(LatePost)噴射によって行われている。
また、特許文献2には、DPFの強制再生時のシリンダ内燃料噴射のマルチ噴射において、第1排気ガス昇温制御で行うマルチ噴射の噴射量と噴射タイミングを、第1マルチ噴射用マップデータに基づいて算出し、第2排気ガス昇温制御で行うマルチ噴射の噴射量と噴射タイミングを、前記第1マルチ噴射用マップデータとは異なる第2マルチ噴射用マップデータに基づいて算出することが開示されている。
また、解析的にマップデータを算出する場合もあるが、制約条件の設け方で何パターンも作成することができるため、その中から最良のマップを選定して確認試験を実施する場合においても、最良マップの選定、および確認試験の実施において多くの工数と労力を要する。
このため、適合試験の回数を低減して効率よく、マップデータを設定できることが望まれるとともに、経年変化によってDPFの前段に設置されるDOCの触媒能力が劣化した場合においても、マップデータの適合性を容易に検証できることが望まれている。すなわち、製品当初の場合における適合性の確認のみでなく、製品稼働後においてもマップデータの適合性の確認を簡単な手法で実施できることが望まれている。
また、第2発明において好ましくは、前記判定手段は、前記許容温度範囲を超える領域が集中している時間帯がある場合にはその時間帯のエンジン運転条件における噴射量が過大と判定し、低下している領域が集中している時間帯がある場合にはその時間帯のエンジン運条件における噴射量が過小と判定するとよい。
また、第2発明において好ましくは、前記DPF入口温度算出手段に、DOCの触媒性能の経年劣化係数が組み入れられるとよい。
また、第2発明において好ましくは、前記DPF入口温度算出手段に、燃焼室に噴射したレイトポスト噴射量がDOCに到達する有効率が組み入れられるとよい。
また、DOCの経年劣化係数が組み入れられてDPFの入口温度が解析的に算出されるので、経年変化によってDOCの性能劣化が生じた場合においても、マップの適合性の検証ができるようになる。
図1に示すように、ディーゼルエンジン(以下エンジンという)1の排気通路3には、DOC(前段酸化触媒)5と該DOC5の下流側にPMを捕集するDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)7とからなる排ガス後処理装置9が設けられている。
強制再生の制御が開始されると、DOC5を活性化するためのDOC昇温制御が実行される。このDOC昇温制御は、吸気スロットルバルブ21を絞ったり、さらに図示しないエンジン制御手段によって燃焼室内への主噴射後にアーリーポスト噴射等を実施することによって行われる。
このDPF燃焼制御では、レイトポスト噴射制御手段49によってアーリーポスト噴射後の燃焼に寄与しないクランク角(例えばTDC(上死点)後約180deg一定)において、レイトポスト噴射を実施する。
図2のレイトポスト基本制御部53においては、トータル噴射量およびエンジン回転数の信号が入力されて、レイトポスト基本量マップ55に基づいて、フィードフォワード制御がなされて、レイトポスト基本量成分として出力される。
また、レイトポスト微調整制御部50おいては、目標DPF入口温度の600℃と、DOC入口温度センサ41からの計測値の実DPF入口温度との偏差が不図示のPID器によってフィードバック制御がなされて、レイトポスト微調整量成分として出力される。
すなわち、制御ロジックの概要は、レイトポスト基本量マップ55の基本量成分で、DPF入口温度を目標の600℃近傍にして、さらにレイトポスト微調整量成分で微調整するものである。従って、DPF7の入口温度を目標とする600℃への応答性を高めて安定して収束できるようになっている。
また、レイトポスト基本量マップ55の概要は図10に示すように、トータル噴射量およびエンジン回転数に対するレイトポスト基本量が設定されている3次元マップによって構成されている。
レイトポスト基本量マップ検証装置70は、図2に示すように、検証対象のマップであるレイトポスト基本量マップ55を用いて強制再生時のエンジン運転条件を基にレイトポスト噴射量を一定時間(例えば1200秒を1単位とするデータ収集時間)に亘って算出するレイトポスト噴射量算出手段72を備えている。
さらに、このレイトポスト噴射量算出手段72によって算出されたレイトポスト噴射量を基にDPF7の入口温度を前記一定時間(1200秒)に亘って解析的に算出するDPF入口温度算出手段74を備えている。
さらに、このDPF入口温度算出手段74によって算出されたDPF7の入口温度のうち許容温度範囲、例えば450℃〜750℃の範囲を外れている運転領域が前記一定時間の全時間帯内において、集中して発生しているかを判定する判定手段76を備えている。そして、判定手段76において、集中している領域がある場合にはその運転領域において噴射量が適合しないと判定する。
ステップS1で開始すると、ステップS2では検証対象のマップとなるレイトポスト基本量マップ55を用いて強制再生時のエンジン運転条件を基にレイトポスト噴射量を一定時間(例えば1200秒を1単位とするデータ収集時間)に亘って算出する。この算出結果の一例を図4に示す。
強制再生時のエンジン運転条件としてのトータル噴射量(1サイクル中に噴射した燃料から燃焼に寄与しないレイトポスト噴射量を除いた燃料噴射量)と、エンジン回転数のデータは、DPF強制再生時の条件であればどのようなデータでよく、例えば、レイトポスト基本量マップ検証装置70内に記憶されている過去の強制再生時のデータが用いられる。この強制再生時のデータの一例を図6(a)、(b)に示す。図6(a)はエンジン回転数を示し、(b)はトータル噴射量を示す。
DPF入口温度TDPF
=TDOC+QP/GE×排ガス平均分子量/排ガス定圧モル比熱 (℃) (2)
このDPF入口温度TDPFの算出結果の一例を図5に示す。
すなわち、図5において、DPF入口温度が過大(750℃以上)と判定、または過小(450℃以下)と判定されて抽出された時間における、エンジン回転数とトータル噴射量に基づいて、DPF入口温度過大(750℃以上)の分布、または過小(450℃以下)をプロットする。この入口温度過大(750℃以上)の分布例を図7に示す。また、入口温度過小(450℃以下)の分布例を図8に示す。例えば、図5のY点で750℃を超過した場合には、その時間t0における、図6(a)、(b)のエンジン回転数とトータル噴射量を読み取って、図7の縦軸のトータル噴射量と、横軸のエンジン回転数における点にプロットして分布状態を見る。
なお、ステップS5で過大となっていると判定した場合には、ステップS6に進んで、集中している運転領域のレイトポスト基本量のマップデータを小さくする修正を行う。
これは、解析的に求めたレイトポスト基本量マップの1200rpm−10mg/inj近傍の値が小さいことが原因である。レイトポスト量が少ないため温度上昇が少なくなるためである。
また、ステップS7で入口温度過小(450℃以上)の分布が特定の運転領域に集中していないと判定した場合には、特定の運転領域でレイトポスト基本量が過小となっていることはないと判定して、ステップS10に進んで終了する。
次に、第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、第1実施形態のステップS3において、DPF7の入口温度を1200秒の一定時間に亘って解析的に算出する際に、DOCの触媒性能の経年劣化係数η1が組み入れられることを特徴とする。
次に、第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、第1実施形態のステップS3において、DPF7の入口温度を1200秒の一定時間に亘って解析的に算出する際に、燃焼室に噴射したレイトポスト噴射量がDOC5に到達する有効率η2が組み入れられていることを特徴とする。
3 排気通路
5 DOC(前段酸化触媒)
7 DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)
29 強制再生制御装置
49 レイトポスト噴射制御手段
50 レイトポスト微調整制御部
53 レイトポスト基本制御部
55 レイトポスト基本量マップ(レイトポスト噴射用の制御マップ)
70 レイトポスト基本量マップ検証装置(制御マップの検証装置)
72 レイトポスト噴射量算出手段
74 DPF入口温度算出手段
76 判定手段
η1 浄化率(経年劣化係数)
η2 有効率
Claims (8)
- 排気通路に前段酸化触媒(DOC)および該DOCの後流側に排気微粒子(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)を備え、該DPFに捕集されたPMを強制再生するDPFの強制再生用マップの検証方法において、
前記マップは、主噴射後の2回目のポスト噴射であって燃焼室内の燃焼に寄与しないタイミングで燃料を噴射するレイトポスト噴射の噴射量を制御するレイトポスト噴射用の制御マップであり、該マップはエンジン回転数及びトータル噴射量を含むエンジン運転条件に対してレイトポスト噴射量のデータが設定されており、
検証対象のマップを用いて強制再生時のエンジン運転条件を基にレイトポスト噴射量を一定時間に亘って算出するステップと、
前記レイトポスト噴射量を基にDPFの入口温度を前記一定時間に亘って解析的に算出するステップと、
前記算出したDPFの入口温度のうち許容温度範囲を外れている時間を抽出し、該抽出した時間におけるエンジン回転数及びトータル噴射量を算出して、一がエンジン回転数、他がトータル噴射量からなる二次元領域にデータ点として関連づけし、前記二次元領域の任意の範囲内におけるデータ点数が予め定めた点数を上回る場合には、特定の運転領域に集中していると判定する判定ステップと、
を有し、前記集中している特定の運転領域がある場合にはその領域においてレイトポスト噴射量が適合しないと判定することを特徴とするDPFの強制再生用マップの検証方法。 - 前記判定ステップは、前記集中している特定の運転領域における前記算出したDPFの入口温度が前記許容温度範囲を超えている場合にはその時間帯のエンジン運転条件における噴射量が過大と判定し、前記集中している特定の運転領域における前記算出したDPFの入口温度が前記許容温度範囲を下回っている場合にはその時間帯のエンジン運転条件における噴射量が過小と判定することを特徴とする請求項1記載のDPFの強制再生用マップの検証方法。
- 前記DPFの入口温度を前記一定時間に亘って解析的に算出するステップに、DOCの触媒性能の経年劣化係数が組み入れられることを特徴とする請求項1または2記載のDPFの強制再生用マップの検証方法。
- 前記DPFの入口温度を前記一定時間に亘って解析的に算出するステップに、燃焼室に噴射したレイトポスト噴射量がDOCに到達する有効率が組み入れられることを特徴とする請求項1または2記載のDPFの強制再生用マップの検証方法。
- 排気通路に前段酸化触媒(DOC)および該DOCの後流側に排気微粒子(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)を備え、該DPFに捕集されたPMを強制再生するDPFの強制再生用マップの検証装置において、
前記マップは、主噴射後の2回目のポスト噴射であって燃焼室内の燃焼に寄与しないタイミングで燃料を噴射するレイトポスト噴射の噴射量を制御するレイトポスト噴射用の制御マップであり、該マップはエンジン回転数及びトータル噴射量を含むエンジン運転条件に対してレイトポスト噴射量のデータが設定されており、
検証対象のマップを用いて強制再生時のエンジン運転条件を基にレイトポスト噴射量を一定時間に亘って算出するレイトポスト噴射量算出手段と、
前記レイトポスト噴射量を基にDPFの入口温度を前記一定時間に亘って解析的に算出するDPF入口温度算出手段と、
前記算出したDPFの入口温度のうち許容温度範囲を外れている時間を抽出し、該抽出した時間におけるエンジン回転数及びトータル噴射量を算出して、一がエンジン回転数、他がトータル噴射量からなる二次元領域にデータ点として関連づけし、前記二次元領域の任意の範囲内におけるデータ点数が予め定めた点数を上回る場合には、特定の運転領域に集中していると判定する判定手段と、
を備え、前記集中している特定の運転領域がある場合にはその領域においてレイトポスト噴射量が適合しないと判定することを特徴とするDPFの強制再生用マップの検証装置。 - 前記判定ステップは、前記集中している特定の運転領域における前記算出したDPFの入口温度が前記許容温度範囲を超えている場合にはその時間帯のエンジン運転条件におけるレイトポスト噴射量が過大と判定し、前記集中している特定の運転領域における前記算出したDPFの入口温度が前記許容温度範囲を下回っている場合にはその時間帯のエンジン運転条件におけるレイトポスト噴射量が過小と判定することを特徴とする請求項5記載のDPFの強制再生用マップの検証装置。
- 前記DPF入口温度算出手段に、DOCの触媒性能の経年劣化係数が組み入れられることを特徴とする請求項5または6記載のDPFの強制再生用マップの検証装置。
- 前記DPF入口温度算出手段に、燃焼室に噴射したレイトポスト噴射量がDOCに到達する有効率が組み入れられることを特徴とする請求項5または6記載のDPFの強制再生用マップの検証装置。
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