JP5305996B2 - 放射線検出器およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射線を検出する放射線検出器およびその製造方法に関する。
新世代のX線診断用検出器として、アクティブマトリクスを用いた平面形のX線検出器が開発されている。このX線検出器に照射されたX線を検出することにより、X線撮影像、あるいはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。そして、このX線検出器では、X線をシンチレータ層により可視光すなわち蛍光に変換させ、この蛍光をアモルファスシリコン(a−Si)フォトダイオード、あるいはCCD(Charge Coupled Device)等の光電変換素子で信号電荷に変換することで画像を取得している。
シンチレータ層は、材料として、一般的にヨウ化セシウム(CsI):ナトリウム(Na)、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、あるいは酸硫化ガドリニウム(Gd22S)等が用いられ、ダイシング等により溝を形成したり、柱状構造が形成されるように蒸着法で堆積したりすることで、解像度特性を向上させることができる。シンチレータの材料としては上記の通り種々のものがあり、用途や必要な特性によって使い分けられている。
そして、シンチレータ層からの蛍光の利用効率を高めて感度特性を改善するために、シンチレータ層上に反射層を形成する方法がある。即ち、シンチレータ層で発光した蛍光のうち光電変換素子側に対して反対側に向かう蛍光を反射層で反射させて、光電変換素子側に到達する蛍光を増大させるものである。
反射層の例としては、銀合金やアルミニウム等、蛍光反射率の高い金属層をシンチレータ層上に成膜する方法や、TiO2等の光散乱性物質とバインダ樹脂とから成る光散乱反射性の反射層を塗布形成する方法等が知られている。また、シンチレータ層上に形成するのではなく、アルミニウム等の金属表面を持つ反射板をシンチレータ層に密着させてシンチレータ光を反射させる方式も実用化されている。
また、シンチレータ層や反射層あるいは反射板等を外部雰囲気から保護して湿度等による特性の劣化を抑えるための防湿構造は、放射線検出器を実用的な製品とするうえで重要な構成要素となる。特に湿度に対して劣化の大きい材料であるCsI:Tl膜やCsI:Na膜をシンチレータ層とする場合には高い防湿性能が要求される。
従来の防湿構造としては、基板上にシンチレータ層の周囲を囲う包囲部材を接着剤で接着するとともに包囲部材上に防湿カバーを接着剤で接着してシンチレータ層を封止する構造等がある(例えば、特許文献1参照。)。
特開平5−242841号公報(第3−5頁、図1)
しかしながら、従来の防湿構造では以下のような問題がある。
先に挙げた防湿構造では、防湿カバーとして金属箔または薄板を用いる場合が一般的に知られている。あるいは防湿カバーとして樹脂と無機薄膜の多層構造からなる低透湿のフィルム材を用いる場合等もある。基板としてはガラス基板にTFTやフォトダイオードの画素を形成したものである。これらの防湿カバーと基板とが周辺部で接着されてなる構造体が、製造工程中の高温環境または低温環境にさらされた場合に、金属や多層化フィルムとガラスとの熱膨張率の差異により、防湿カバーまたは基板または接着封止部にストレスを発生して、基板の反りを生じる。また、製造された後も含めて、その温度変化が繰り返された場合には接着封止部等の破壊を生じ易い。因みに、アルミニウムまたはアルミニウム合金の熱膨張係数は概ね24ppm/deg程度であり、TFT用途等に用いられる一般的なガラス基板の熱膨脹係数は概ね4ppm/deg程度である。すなわち20ppm/deg程度の熱膨張係数の差異がある。多層化フィルムの熱膨張係数はそれを構成する樹脂材質や無機薄膜の熱膨張係数により種々であるが、樹脂材料の熱膨張係数は一般的にアルミニウム等よりも大きい。従って、多層化フィルム等の樹脂を用いた防湿カバーの場合にも、基板との熱膨張係数の差異はそれなりに大きい値を有すると考えられる。
基板の反りは、その後の実装工程や筐体への組み込み工程で、または組み込んだ後でも不具合を生じる要因となる。また、接着封止部の破壊は、防湿構造が機能しなくなったことを意味し、破壊部からの湿度透過等により内部CsI:Tl膜等の特性劣化に直結する。アルミニウム等の金属は例えば0.1mm程度の箔状と薄くしてもそれなりの剛性を有しており、基板に対してストレスを与える。ストレスを低減しようとして極端に薄い、例えば30μm以下の箔とかにした場合には、箔材のピンホールリスクが増大し、防湿カバーの信頼性が格段に低くなってしまう。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、温度変化に対する信頼性が高い放射線検出器およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、光電変換素子を有する基板と、この光電変換素子上に形成され、放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、このシンチレータ層を覆うとともに、一部に前記基板との熱膨張差を吸収する熱膨張差吸収部が設けられた保護体と、前記基板と前記保護体の周辺部とを接着封止する接着層とを具備し、前記熱膨張差吸収部は、前記保護体の一面が凸状、他面が凹状となる起伏構造に形成されているものである。
本発明によれば、シンチレータ層を覆うとともに周辺部を基板に接着封止する保護体に、基板との熱膨張差を吸収する熱膨張差吸収部を設けているため、高温環境下または低温環境下、あるいは温度変化を繰り返す環境下において、保護体の熱膨張係数と基板の熱膨張係数及び接着層の熱膨張係数との違いによって生じる基板や接着層へのストレスを低減し、基板の反りや接着層の破壊を防ぐことができる。
本発明の放射線検出器の第1の実施の形態を示すX線検出器の保護体を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。 同上X線検出器の断面図である。 同上X線検出器の斜視図である。 同上図1に示す保護体を用いて、加熱硬化温度に対する基板の反り量を試験したグラフである。 同上図6に示す保護体を用いて、加熱硬化温度に対する基板の反り量を試験したグラフである。 同上図5に示す試験に用いた保護体の正面図である。 同上エンボス無しの保護体を示し、(a)は冷熱サイクル試験前の斜視図、(b)は冷熱サイクル試験後の斜視図である。 同上エンボス有りの保護体を示し、(a)は冷熱サイクル試験前の斜視図、(b)は冷熱サイクル試験後の斜視図である。 同上保護体の対角線から外した位置にエンボスを配置した例を示す正面図である。 同上保護体の中央寄りにエンボスを配置した例を示す他の例を示す正面図である。 同上保護体の全体にエンボスを配置した例を示す正面図ある。 同上保護体の全体にエンボスを配置した他の例を示す正面図である。 同上保護体の各例で冷熱サイクル試験を行った結果を示す表である。 本発明の放射線検出器の第2の実施の形態を示すX線検出器の断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1ないし図13に第1の実施の形態を示す。
図2及び図3に示すように、11は放射線検出器としてのX線検出器で、このX線検出器11は、放射線像であるX線像を検出するX線平面センサであり、例えば一般医療用途等に用いられている。そして、このX線検出器11は、蛍光を電気信号に変換する基板として光電変換基板であるアレイ基板12、このアレイ基板12の一主面である表面上に設けられ入射するX線を蛍光に変換するX線変換部であるシンチレータ層13、このシンチレータ層13上に設けられシンチレータ層13からの蛍光をアレイ基板12側へ反射させる反射層14、シンチレータ層13および反射層14を覆ってこれらを外気や湿度から保護する防湿構造としてハット状の保護体(または防湿体)15を備えている。
そして、アレイ基板12は、シンチレータ層13によりX線から可視光に変換された蛍光を電気信号に変換するもので、ガラス基板16、このガラス基板16上に設けられて光センサとして機能する略矩形状の複数の光電変換部17、行方向に沿って配設された複数の制御ライン(またはゲートライン)18、列方向に沿って配設された複数のデータライン(またはシグナルライン)19、各制御ライン18が電気的に接続された図示しない制御回路と、各データライン19が電気的に接続された図示しない増幅/変換部を備えている。
アレイ基板12には、それぞれ同構造を有する画素20がマトリクス状に形成されているとともに、各画素20内にそれぞれ光電変換素子としてのフォトダイオード21が配設されている。これらフォトダイオード21はシンチレータ層13の下部に配設されている。
各画素20は、フォトダイオード21に電気的に接続されたスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)22、フォトダイオード21にて変換した信号電荷を蓄積する電荷蓄積部としての図示しない蓄積キャパシタを具備している。但し、蓄積キャパシタは、フォトダイオード21の容量が兼ねる場合もあり、必ずしも必要ではない。
各薄膜トランジスタ22は、フォトダイオード21への蛍光の入射にて発生した電荷を蓄積及び放出させるスイッチング機能を担う。結晶性を有する半導体材料である非晶質半導体としてのアモルファスシリコン(a−Si)、あるいは多結晶半導体であるポリシリコン(P−Si)等の半導体材料にて少なくとも一部が構成されている。また、薄膜トランジスタ22は、ゲート電極23、ソース電極24およびドレイン電極25のそれぞれを有している。このドレイン電極25は、フォトダイオード21および蓄積キャパシタに電気的に接続されている。蓄積キャパシタは、矩形平板状に形成され、各フォトダイオード21の下部に対向して設けられている。
制御ライン18は、各画素20間に行方向に沿って配設され、同じ行の各画素20の薄膜トランジスタ22のゲート電極23に電気的に接続されている。
データライン(シグナルライン)19は、各画素20間に列方向に沿って配設され、同じ列の各画素20の薄膜トランジスタ22のソース電極24に電気的に接続されている。
制御回路は、各薄膜トランジスタ22の動作状態、即ちオンおよびオフを制御するもので、ガラス基板16の表面における行方向に沿った側縁に実装されている。
増幅/変換部は、例えば各データライン19に対応してそれぞれ配設された複数の電荷増幅器、これら電荷増幅器が電気的に接続された並列/直列変換器、この並列/直列変換器が電気的に接続されたアナログ−デジタル変換器を有している。並列/直列変換器には、画像を転送する画像転送部26が接続されている。
アレイ基板12の表面には樹脂製の保護層27が形成されている。
また、シンチレータ層13は、入射するX線を可視光すなわち蛍光に変換するもので、例えばヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、あるいはヨウ化ナトリウム(NaI):タリウム(Tl)等により真空蒸着法で柱状構造に形成したもの、あるいは酸硫化ガドリニウム(Gd22S)蛍光体粒子をバインダ材と混合し、アレイ基板12上に塗布して焼成及び硬化し、ダイサによりダイシングする等で溝部を形成して四角柱状に形成したもの等である。これら柱間には、大気、あるいは酸化防止用の窒素(N2)等の不活性ガスが封入され、あるいは真空状態とすることも可能である。そして、以下に示す各実施例では、シンチレータ層13にCsI:Tlの蒸着膜を用い、膜厚は約600μm、CsI:Tlの柱状構造結晶の柱(ピラー)の太さは最表面で8〜12μm程度のものが用いられる。
また、図1及び図2に示すように、保護体15には、シンチレータ層13の表面に対向される覆い部31が形成され、この覆い部31の周辺からシンチレータ層13を包含する深さを有する側面部32が形成され、この側面部32の先端側から周辺に突出する鍔部33が形成されている。この保護体15は、4個所のコーナー部および四辺の辺部を有する概略四角形であり、例えばアルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料の箔や薄板をプレス加工してハット状に成形されている。
鍔部33は、保護体15の周辺から突出した環状で、アレイ基板12の表面と平行に形成されており、接着剤を用いた接着層34を介してアレイ基板12に接着封止されている。
保護体15は、反射層14と接触してもしなくても良いが、通常は反射層14との間に隙間35が存在する。
図1に示すように、保護体15の覆い部31には、保護体15とアレイ基板12や接着層34との熱膨張差を吸収するための熱膨張差吸収部37が設けられている。この熱膨張差吸収部37は、アレイ基板12に対して反対となる一面側を覆い部31の外面、アレイ基板12に対向する他面側を覆い部31の内面として、覆い部31の外面側に凸状、内面側に凹状となるか、あるいは覆い部31の外面側に凹状、内面側に凸状となる起伏構造である。以下、このような起伏構造のことをエンボス38と呼ぶ。このエンボス38は、例えば凹凸形状を有するプレス刻印金型によるプレス加工によって成形される。
エンボス38は、保護体15の覆い部31に対して所定の突出量あるいは所定の深さ量を有し、短手方向と長手方向とを有する細長い形状で、その断面形状は例えば円弧状である。
エンボス38は、保護体15の4箇所のコーナー部近傍と四辺の辺部近傍とにそれぞれ形成されている。保護体15のコーナー部近傍においては、保護体15の対角線上に沿ってエンボス38が配置されるとともに、保護体15の対角線に直交する方向に沿ってエンボス38が配置され、これらエンボス38が中央で交差して×印のエンボス刻印となっている。保護体15の辺部近傍においては、保護体15の辺部に平行な−印のエンボス38が配置されている。保護体15のコーナー部近傍のエンボス38と辺部近傍のエンボス38とは離反されている。
そして、以下に本発明の実施例を説明する。
各実施例において、本来の薄膜トランジスタ22やフォトダイオード21を配したアレイ基板12が大変高価であることから、アレイ基板12に変えてガラス基板16のみを用いたダミーサンプルを試作して評価した。この後述べる、本発明に係るX線検出器11としての反り低減効果や、冷熱サイクル試験における接着層34の破壊低減効果に関しては、ガラス基板16のみを用いたダミーサンプルの試作にて十分に同等の比較評価が可能である。
ガラス基板16は、一辺が400mmの四角形で厚さ0.7mmのAN100ガラス基板を用いた。シンチレータ層13は、ガラス基板16上に一辺が約360mmの四角形のエリアに対して膜厚600μmのCsI:Tl膜を真空蒸着法で形成した。反射層14は、TiO2のサブミクロン粉体とバインダ樹脂及び溶媒を混合した塗液をシンチレータ層13上に塗布・乾燥して形成した。
本実施例の保護体15は、厚み0.1mmのアルミニウム合金箔(A1N30−O材)を、周辺部に5mm幅の鍔部33を持つ構造にプレス成形してハット状とした後、図1に示すようなエンボス38の形状と配置で、約0.5mmのエンボス高さになるようプレス成形で刻印した。
比較例としては、エンボス38が無い以外は本実施例と同じ条件の保護体15を用いた。
本実施例及び比較例に対して、それぞれ、鍔部33に接着層34を構成する接着剤をディスペンサーにより塗布し、シンチレータ層13及び反射層14が形成されたガラス基板と貼り合わせた。接着剤は、一般に市販されているエポキシ系の接着剤で、加熱硬化型及び紫外線硬化型の両方の種類につき夫々試作した。
図4には、エンボス38の高さ(深さ)が0.2mmおよび0.3mmの各エンボス有りの本実施例の保護体15と、エンボス無しの比較例の保護体15とで、接着剤の加熱硬化工程後におけるガラス基板16の反り量を測定した結果を示す。ガラス基板16の反り量は、加熱後に室温まで冷却した後に生じている反り量を、ガラス基板16の4箇所のコーナー部に対して隙間ゲージで測定し、4箇所の平均値で示している。
図4から分かるように、ガラス基板16の反り量は、エンボス有りの本実施例の保護体15がエンボス無しの比較例の保護体15により明らかに低減しており、またその反り量の低減効果はエンボス38の高さ(深さ)にも依存していることが分かる。
また、図5には、図6に示す保護体15のようにエンボス38の位置を図1の保護体15に示すエンボス38の位置より少し内側に位置させた例であって、エンボス38の高さ(深さ)が0.3mmおよび0.5mmの各エンボス有りの本実施例の保護体15と、エンボス無しの比較例の保護体15とで、接着剤の加熱硬化工程後におけるガラス基板16の反り量を測定した結果を示す。測定方法は図4の場合と同様である。
図5から分かるように、ガラス基板16の反り量は、エンボス有りの本実施例の保護体15がエンボス無しの比較例の保護体15により明らかに低減しており、またその反り量の低減効果はエンボス38の高さ(深さ)にも依存していることが分かる。
ここで補足として、保護体15を室温から加熱して室温に戻したにも関わらずガラス基板16に反りを発生する原因について述べる。この現象の要因は、種々の温度条件を変えた実験結果や、温度以外の外力で強制的にガラス基板16に反りを与えたり、あるいはそのガラス基板16の反り強制の時間を長短で比較したりした結果等から以下の通り推測される。
先にも述べたが、アルミニウムまたはアルミニウム合金の室温付近での熱膨張係数は約24ppm/degであり、それに対してアレイ基板12として用いられる例えばAN100等のガラス基板16の熱膨張係数は約4ppm/degで、約20ppm/degの熱膨張率差がある。加熱状態では、保護体15の熱膨張がガラス基板16に対して大きいために、保護体15がガラス基板16に対して接着層34を介して外側に応力を及ぼし、その結果としてガラス基板16の保護体15側の面が突出する凸反りを生じる。実際に加熱状態で観察すると、加熱温度に応じてガラス基板16に凸反りが生じている。一方、ガラス基板16には凸反り状態から戻ろうとする弾性力が働く。この結果、保護体15の鍔部33とガラス基板16との接着層34では、接着位置をガラス基板16の外側方向にずらそうとする応力が働く。従って、この応力が一定時間維持すると、接着層34の接着剤のクリープ現象により、接着位置がガラス基板16の外側方向にずれる。その状態での保持時間と共に接着位置に漸次ずれを生じる。接着剤は樹脂ベースの材料であるため、たとえ硬化していてもクリープ現象を生じるものと考えられる。
このような接着位置ずれを生じた状態で室温に冷却して熱膨張が元に戻った場合、接着位置が初期の(加熱前の)接着位置に対して若干外側にずれていることにより、室温状態では保護体15がガラス基板16に対して接着層34を介して内側に引張る応力を生じる。このため、ガラス基板16自体はガラス基板16の保護体15側の面が凹む凹反りを呈することになる。このガラス基板16の凹反り量は加熱状態での凸反り量に比べて絶対値としては数分の一程度に小さく、この凹反りにより接着位置を内側に戻そうとする力は、加熱時の外側にずらそうとする応力に比べて十分に小さい。そのため、室温に戻した状態でのガラス基板16の凹反りは、殆どその状態を維持し続ける。あるいは元の平坦な状態に漸近するにしても、かなりの長時間を要する。
ガラス基板16を低温側に冷却した場合には、反りに関して高温側に加熱した場合と略逆方向の現象を生じる。この場合も、実際に−20℃に冷却した状態ではガラス基板16に大きな凹反りを生じており、室温に戻した場合には僅かであるがガラス基板16に逆方向の凸反りを残すことが判明している。
次に、保護体15とガラス基板16との接着層34による接着封止の信頼性評価として、冷熱サイクル試験に供した結果を説明する。
冷熱サイクル試験の条件は、−20℃×1h、室温×30分、50℃×1h、室温×30を1サイクルとし、50サイクル実施した。
図7には、エンボス無しの比較例の保護体15を示し、(a)は冷熱サイクル試験前の斜視図、(b)は冷熱サイクル試験後の斜視図である。図7から分かるように、特に保護体15のコーナー部に顕著な皺を生じている。保護体15とガラス基板16との間の凹反りと凸反りの繰り返しにより、特に応力の集中し易いコーナー部近傍のアルミニウム箔が耐えられなくなって変形し、皺を発生したものと考えられる。これらの皺は、方向としては応力の集中し易い部位に、かつ温度変化によるアルミニウム箔の伸縮が大きい方向に皺を発生し易い傾向を持っている。しかし、皺の大小や位置、凹凸の方向や高さ(深さ)は無秩序である。これらの中でも特に皺の大きい部分等で、保護体15の内部の反射層14やシンチレータ層13にストレスを与えていると推測される。
図8には、エンボス有りの本実施例の保護体15を示し、(a)は冷熱サイクル試験前の斜視図、(b)は冷熱サイクル試験後の斜視図である。図8から分かるように、エンボス38の模様(×印や−印)の延長線上に皺の発生が見られるが、それ以外には皺を生じていない。これは、エンボス38の部分が熱膨張による伸び縮みを吸収して、他の部分に余分な応力を発生させなかったものと考えられる。また、エンボス38の延長線上に生じた皺の方向は、エンボス38の長手方向と同じ凹側または凸側の皺として生じている。エンボス38の形状かまたはその拡張形状に皺が発生することから、エンボス38が無い場合の無秩序な皺の発生とはならず、保護体15の内部の反射層14やシンチレータ層13への局部的なダメージ等を防ぐことができる。
実際に分解調査した結果では、エンボス無しの比較例の保護体15は、皺の発生している部分の一部で反射層14のクラックやシンチレータ層13のクラックが観察された。一方、同じ条件で冷熱衝撃試験を実施したエンボス有りの本実施例の保護体15は、反射層14やシンチレータ層13のクラックは見られなかった。
また、接着層34の接着封止部分を詳細に観察した結果、エンボス無しの比較例の保護体15を用いて試作したサンプルでは、10枚の試作サンプル中で7枚のサンプルに接着封止部分の破壊が生じていることが分かった。これはレッドチェック法により調査した。接着封止部分の外側から滴下したレッドチェック液が接着封止部分の内部まで浸み込む部分が有ることから判明した。
一方、エンボス有りの本実施例の保護体15を用いて試作したサンプルでは、10枚の試作サンプル全てで特に接着封止部分の破壊は見られなかった。エンボス有りの本実施例の保護体15で接着封止部分の破壊を生じなかった理由は、エンボス38により冷熱サイクル時に接着層34に加わるストレスの大きさが緩和された結果と考えられる。この結果から、エンボス有りの本実施例の保護体15を用いた場合、温度サイクルに関する信頼性を大きく改善することが分かった。
ここで、エンボス38の形成位置に関する効果の違いを説明する。図1の保護体15では、保護体15とガラス基板16との熱膨張差による伸縮の差異が最も集中し易いと思われる対角線上のコーナー部近傍には、応力の方向を吸収する向きとなるように×印のエンボス38を配し、また、熱膨脹差が接着層34に影響しやすいと思われる辺部近傍には、熱膨張差を吸収するように−印の刻印を配した。これと比較するために、図9ないし図12に示すエンボス38の位置を異ならせた保護体15のサンプルを試作した。
図9に示す保護体15の例では、図1に示す本実施例の保護体15に対し、同じデザインと深さのエンボス38を用い、夫々のコーナーからの距離は同じにし、エンボス38の位置を対角線の延長線上から外した。この例では、エンボス無しの比較例の保護体15に比べれば優れているが、先に示した加熱後のガラス基板16の反り量が大きめで、また冷熱サイクル後の接着層34の破壊確率もやや高い結果であった。
図10に示す保護体15の例では、図1に示す本実施例の保護体15に対し、同じデザインと深さのエンボス38を用い、×印の刻印の位置はコーナー部から離して中央寄りに、−印の刻印も辺部の近傍から離して中央寄りに配した。この例では、エンボス無しの比較例の保護体15に比べれば優れているが、加熱後のガラス基板16の反り量が大きめで、また冷熱サイクル後の接着層34の破壊率もやや高い結果であった。
図11または図12に示す保護体15の例では、図1に示す本実施例の保護体15に対し、同じデザインで同じ高さ(深さ)のエンボス38を用い、エンボス38を保護体15の略全面に配した。これらの場合、図1に示す本実施例の保護体15と同様に、加熱や冷却時に生じるガラス基板16の反りを低減し、また冷熱サイクル試験により生じる保護体15の無定形な皺や接着層34の破壊は低減される。更に、同じエンボス38の形状でコーナー部と辺部の近傍にのみ形成した例に比較して、反りの抑制効果は大きい。
図13には、以上の結果を簡単にまとめた表を示す。
これまで述べた以外の例として、保護体15へのエンボス38の形状や位置は、本実施例で図示したような×印とか−印に限らず、○形状(ディンプル)やその他の形状でもよい。他の形状の場合にも、亀裂を生じ易い極端な屈曲部や肉薄部分が無い設計とすることが望ましい。
また、エンボス38の配置に関しても任意ではあるが、保護体15とアレイ基板12の熱膨脹差による伸縮を効率的に吸収しやすい位置に配するのがより効果的である。更に、保護体15全体に対して局部的な配置にならないように、かつ極力対象的な配置となるように配慮するのが望ましい。
また、ここまでの説明では、保護体15として厚み0.1mmのアルミニウム合金箔(A1N30H材)を用いた例で述べた。保護体15やアレイ基板12のサイズ、アルミニウムまたはアルミニウム合金材の種類やH材またはO材の調質の差、更に材料の厚みにより前述したアレイ基板12の反り低減の値や冷熱サイクルでの効果の程度はそれなりに異なる。しかし、エンボス無しとの比較や実施例間の比較等において、効果の相対的な関係は成り立つことは幾つか別の実施例で確認した。
また、保護体15は、ハット状の構造に限らず、図14に示すように、平板状の構造とし、保護体15の周辺部にリング状の額縁部材41を配して、アレイ基板12と額縁部材41と保護体15との間を接着層34で接着封止する構造等、種々のバリエーションが可能である。
但し、ハット状の保護体15の場合には、その防湿材料の厚みを大きくしなくても内部に反射層14やシンチレータ層13を包含する高さを接着部分の近くで稼ぐことができる。従って、ハット状の保護体15の場合には、リング状の額縁部材41を必要とせず、アレイ基板12と直接接着することが可能となり、余分な部材(リング状の額縁部材41)や工程(額縁部材41の上下を接着する2回の工程)を減らして、接着封止部分の信頼性を高められる点で効果が大きい。
また、保護体15の材質も、アルミニウムやアルミニウム合金に限らず、他の金属材料や、無機膜と樹脂材との積層膜等を用いても同様である。但し、アルミニウムまたはアルミニウム合金箔材の場合には、金属材料としてはX線吸収係数が小さいために、保護体15内でのX線吸収ロスを抑えることができる点でメリットが大きい。また、保護体15をハット状に加工する場合や、エンボス38をプレス刻印する場合にも加工性に優れる。
また、保護体15の箔材または薄板材へのエンボス加工法は、材質や厚み、エンボス38の形状等により適宜選択されるが、本実施例で延べたように刻印金型を用いたプレス加工が品質が安定してばらつきが小さい製造法として好適である。
以上のように、本実施例によれば、シンチレータ層13を覆うとともに周辺部をアレイ基板12に接着封止する保護体15に、アレイ基板12との熱膨張差を吸収する熱膨張差吸収部37としてエンボス38を設けているため、高温環境下または低温環境下、あるいは温度変化を繰り返す環境下において、保護体15の熱膨張係数とアレイ基板12の熱膨張係数及び接着層34の熱膨張係数との違いによって生じるアレイ基板12や接着層34へのストレスを低減し、アレイ基板12の反りや接着層34の破壊を防ぐことができる。この結果、アレイ基板12の反りに起因して後工程の実装工程や筐体内で生じる不具合を防ぐことができる。また、温度変化が繰り返した場合にも接着層34への熱ストレスを低減して接着層34の破壊を生じ難くできる。これらの効果により、高信頼性のX線検出器11を実現できる。
11 放射線検出器としてのX線検出器
12 基板としてのアレイ基板
13 シンチレータ層
15 保護体
21 光電変換素子としてのフォトダイオード
33 鍔部
34 接着層
37 熱膨張差吸収部

Claims (7)

  1. 光電変換素子を有する基板と、
    この光電変換素子上に形成され、放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、
    このシンチレータ層を覆うとともに、一部に前記基板との熱膨張差を吸収する熱膨張差吸収部が設けられた保護体と、
    前記基板と前記保護体の周辺部とを接着封止する接着層と
    を具備し
    前記熱膨張差吸収部は、前記保護体の一面が凸状、他面が凹状となる起伏構造に形成されていることを特徴とする放射線検出器
  2. 前記保護体は、四角形で、その対角線上および対角線近傍の少なくともいずれか一方に前記熱膨張差吸収部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
  3. 前記保護体は、四角形で、その各コーナー部近傍および各辺部近傍に前記熱膨張差吸収部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
  4. 前記保護体の全面域に前記熱膨張差吸収部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
  5. 前記保護体は、アルミニウムおよびアルミニウム合金のいずれか一方の材料で、かつ箔および薄板のいずれか一方にて形成されている
    ことを特徴とする請求項1ないしいずれかに記載の放射線検出器。
  6. 前記保護体は、前記シンチレータ層を包含する深さを有するとともに、周辺部に前記接着層によって前記基板に接着封止される鍔部を有する形状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1ないしいずれかに記載の放射線検出器。
  7. 請求項1ないし6いずれかに記載の放射線検出器の製造方法において、
    前記保護体の熱膨張差吸収部は、プレス加工によって成形
    ことを特徴とする放射線検出器の製造方法
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