JP2014215159A - 放射線検出器およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】防湿体とアレイ基板との接着品位を向上させる。【解決手段】放射線検出器11はアレイ基板12とシンチレータ層13と防湿体15と接着層91とを有する。アレイ基板12は、基板上に光電変換素子を二次元配列したものである。シンチレータ層13は、アレイ基板12の光電変換素子が配列された領域を覆い放射線を蛍光に変換する。防湿体15は、シンチレータ層を覆う成形体であって、アレイ基板12のシンチレータ層13を囲む部分に対向する鍔部50を備える。接着層91は、鍔部50とアレイ基板12との間に形成されて防湿体15とアレイ基板12とを接着させる。鍔部50の接着層91に接する接着面は、他の部分に比べて表面粗さが大きい。【選択図】図1
Description
本実施形態は、概して、放射線検出器およびその製造方法に関する。
新世代のX線診断用検出器として、アクティブマトリクスを用いた平面形のX線検出器が開発されている。このX線検出器に照射されたX線を検出することにより、X線撮影像、あるいはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。そして、このX線検出器では、X線をシンチレータ層により可視光すなわち蛍光に変換させ、この蛍光をアモルファスシリコン(a−Si)フォトダイオード、あるいはCCD(Charge Coupled Device)などの光電変換素子で信号電荷に変換することで画像を取得している。
シンチレータ層の材料としては、一般的にヨウ化セシウム(CsI):ナトリウム(Na)、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、あるいは酸硫化ガドリニウム(Gd2O2S)などが用いられる。Gd2O2Sは、焼結体の粉体をバインダ樹脂と混合して塗膜により形成したり、一体の焼結体として用いたりする。また、これらの塗膜または焼結体にダイシングなどにより溝を形成して解像度を上げる方法なども考えられている。CsI:Tl膜やCsI:Na膜は、真空蒸着法により柱状構造が形成されるようにすることで、解像度特性を向上させることができる。シンチレータの材料としては上述の通り種々のものがあり、用途や必要な特性によって使い分けられる。
シンチレータ層の上部には、蛍光の利用効率を高めて感度特性を改善するために、反射膜を形成する場合がある。すなわち、シンチレータ層で発光した蛍光のうち光電変換素子側に対して反対側に向かう蛍光を反射膜で反射させて、光電変換素子側に到達する蛍光を増大させるものである。
反射膜の例としては、銀合金やアルミニウムなど蛍光反射率の高い金属層をシンチレータ層上に成膜する方法や、TiO2などの光散乱性物質とバインダ樹脂とから成る光散乱反射性の反射膜を塗布形成する方法などが知られている。また、シンチレータ膜上に形成するのではなく、アルミなどの金属表面を持つ反射板をシンチレータ層に密着させてシンチレータ光を反射させる方式も実用化されている。
シンチレータ層や反射層あるいは反射板などを外部雰囲気から保護して湿度などによる特性の劣化を抑えるための防湿構造は、検出器を実用的な製品とする上で重要な構成要素となる。特に湿度に対して劣化の大きい材料であるCsI:Tl膜やCsI:Na膜をシンチレータ層とする場合には高い防湿性能が要求される。
防湿構造としては、ポリパラキシリレンのCVD膜を用いる方法、あるいは、シンチレータの周囲を包囲部材で囲って防湿層との組み合わせで封止する構造などがある。更に高い防湿性能を得られる構造として、防湿性能の優れたアルミニウム箔などを、シンチレータ層を包含するハット状に加工して、シンチレータの周辺で接着層により封止する構造などが知られている。この防湿構造で、接着層に無機フィラーを添加したシール材を用いた場合には、更に優れた防湿性能を得ることも可能である。
シンチレータなどの防湿体としてハット形状の金属箔または薄板を用い、ハット鍔部と基板表面を接着封止する方法が一般的に知られている。基板は、ガラス基板にTFTやフォトダイオードの画素を形成したものである。
防湿体と基板との接着には、紫外線硬化型または熱硬化型の樹脂接着剤が使用される。しかし、Alなどの金属箔は表面エネルギーが小さく、濡れ性が低いため、樹脂接着剤との付着力が悪い。よって、通常の圧延材料のままでは、十分な密着力の確保が難しい。
また、ハット形状の防湿体を基板と接着封止させる構造では、有効画素が存在するエリアから基板エッジまでの距離が限られている場合が多く、十分の接着幅が得られず、付着力不足になる可能性が高い。防湿層接着部の密着力低下によって、防湿構造内部へのリークパスが発生した場合、シンチレータ層の吸湿による解像度低下などの重大な問題を引き起こす。
そこで、実施形態は、放射線検出器の防湿体と基板との接着品位を向上させることを目的とする。
上述の目的を達成するため、実施形態によれば、放射線検出器は、基板上に光電変換素子を二次元配列したアレイ基板と、前記アレイ基板の前記光電変換素子が配列された領域を覆い放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、前記シンチレータ層を覆う成形体であって前記アレイ基板の前記シンチレータ層を囲む部分に対向する鍔部を備えた防湿体と、前記鍔部と前記アレイ基板との間に形成されて前記防湿体と前記アレイ基板とを接着させる接着層と、を具備し、前記鍔部の前記接着層に接する接着面は他の部分に比べて表面粗さが大きいことを特徴とする。
また、実施形態によれば、放射線検出器の製造方法は、基板上に光電変換素子を二次元配列したアレイ基板を形成するアレイ基板形成工程と、前記アレイ基板の前記光電変換素子が配列された領域を覆い放射線を蛍光に変換するシンチレータ層を形成するシンチレータ層形成工程と、前記アレイ基板の前記シンチレータ層を囲む部分に対向する接着面を備えた防湿体を形成する防湿体形成工程と、前記接着面を前記防湿体の他の部分よりも表面を粗くする表面処理工程と、前記接着面と前記アレイ基板との間に接着層を介在させて前記接着面と前記アレイ基板を接着させる接着工程と、を具備することを特徴とする。
一実施形態による放射線検出器を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、一実施形態による放射線検出装置の模式的斜視図である。図2は、本実施形態による放射線検出器のアレイ基板の回路図である。図3は、本実施形態による放射線検出装置のブロック図である。図4は、本実施形態による放射線検出器の断面の一部拡大断面図である。図5は、本実施形態による放射線検出器の上面図である。図6は、本実施形態による放射線検出器の側面図である。
本実施形態の放射線検出器11は、放射線像であるX線画像を検出するX線平面センサであり、たとえば一般医療用途などに用いられる。放射線検出装置10は、この放射線検出器11と、支持板31と、回路基板30と、フレキシブル基板32とを有している。放射線検出器11は、アレイ基板12とシンチレータ層13とを有している。放射線検出器11は、入射したX線を検出して蛍光に変換し、その蛍光を電気信号に変換する。放射線検出装置10は、放射線検出器11を駆動し、放射線検出器11から出力された電気信号を画像情報として出力する。放射線検出装置10が出力した画像情報は、外部のディスプレイなどに表示される。
アレイ基板12は、蛍光を電気信号に変換する光電変換基板である。アレイ基板12は、ガラス基板16を有している。ガラス基板16の表面には、複数の微細な画素20が正方格子状に配列されている。画素20は、たとえば対角線の長さが13インチの長方形の画素領域(アクティブ領域)内にマトリクス状に配列される。それぞれの画素20は、薄膜トランジスタ22とフォトダイオード21とを有している。また、ガラス基板16の表面には、画素20が配列された正方格子の行に沿って制御ライン18が各画素20の間を延びている。さらに、ガラス基板16の表面には、画素20が配列された正方格子の列に沿って同数のデータライン19が各画素20の間を延びている。シンチレータ層13は、アレイ基板12の画素20が配列された領域の表面に形成されている。
シンチレータ層13は、アレイ基板12の表面に設けられ、X線が入射すると可視光領域の蛍光を発生する。発生した蛍光は、アレイ基板12の表面に到達する。
シンチレータ層13は、たとえばヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、あるいはヨウ化ナトリウム(NaI):タリウム(Tl)などを真空蒸着法で柱状構造に形成したものである。たとえば、シンチレータ層13にはCsI:Tlの蒸着膜を用い、その膜厚は約600μmである。CsI:Tlの柱状構造結晶の柱(ピラー)の太さは、最表面でたとえば8〜12μm程度である。あるいは、酸硫化ガドリニウム(Gd2O2S)蛍光体粒子をバインダ材と混合し、アレイ基板12上に塗布して焼成および硬化し、ダイサによりダイシングするなどで溝部を形成して四角柱状に形成してシンチレータ層13を形成してもよい。これらの柱間には、大気、あるいは酸化防止用の窒素(N2)などの不活性ガスが封入され、あるいは真空状態としてもよい。
アレイ基板12は、シンチレータ層13で発生した蛍光を受光して電気信号を発生する。その結果、入射したX線によってシンチレータ層13で発生した可視光像は、電気信号で表現された画像情報に変換される。
放射線検出器11は、シンチレータ層13が形成された面の反対側の面と支持板31とが接触するように、支持板31に支持されている。回路基板30は、支持板31の放射線検出器11に対して反対側に配置されている。放射線検出器11と回路基板30との間は、フレキシブル基板32で電気的に接続されている。
それぞれのフォトダイオード21は、スイッチング素子である薄膜トランジスタ22を介して制御ライン18およびデータライン19に接続されている。また、それぞれのフォトダイオード21には、下部に対向して配置され、矩形平板状に形成された蓄積キャパシタ27が並列に接続されている。なお、蓄積キャパシタ27は、フォトダイオード21の容量が兼ねる場合もあり、必ずしも必要ではない。
フォトダイオード21およびそれに並列に接続された蓄積キャパシタ27は、薄膜トランジスタ22のドレイン電極25に接続されている。薄膜トランジスタ22のゲート電極23は、制御ライン18に接続されている。薄膜トランジスタ22のソース電極24は、データライン19に接続されている。
配列の同じ行に位置する画素20の薄膜トランジスタ22のゲート電極23は、同一の制御ライン18に接続されている。配列の同じ列に位置する画素20の薄膜トランジスタ22のソース電極24は、同一のデータライン19に接続されている。
各薄膜トランジスタ22は、フォトダイオード21への蛍光の入射にて発生した電荷を蓄積および放出させるスイッチング機能を担う。薄膜トランジスタ22は、結晶性を有する半導体材料である非晶質半導体としてのアモルファスシリコン(a−Si)、あるいは多結晶半導体であるポリシリコン(P−Si)などの半導体材料にて少なくとも一部が構成されている。
なお、図1および図2において、画素は5行5列あるいは4行4列分しか記載していないが、実際にはもっと多く、解像度、撮像面積に応じて必要な画素が形成されている。
放射線検出装置10は、放射線検出器11と、ゲートドライバー39と、行選択回路35と、積分アンプ33と、A/D変換器34と、並列/直列変換器38と、画像合成回路36とを有している。ゲートドライバー39は、放射線検出器11の各制御ライン18に接続されている。ゲートドライバー39は、各薄膜トランジスタ22の動作状態、すなわちオンおよびオフを制御する。ゲートドライバー39は、たとえばアレイ基板12の表面における行方向に沿った側縁に実装されている。積分アンプ33は、放射線検出器11の各データライン19に接続されている。
行選択回路35は、ゲートドライバー39に接続されている。並列/直列変換器38は、積分アンプ33に接続されている。A/D変換器34は、並列/直列変換器38に接続されている。A/D変換器34は、画像合成回路36に接続されている。
積分アンプ33は、たとえば放射線検出器11と回路基板30とを接続するフレキシブル基板32上に設けられている。その他の素子は、たとえば回路基板30上に設けられている。
ゲートドライバー39は行選択回路35からの信号を受信して、各薄膜トランジスタ22の動作状態、すなわちオンおよびオフを制御する。つまり、制御ライン18の電圧を順番に変更していく。行選択回路35は、X線画像を走査する所定の行を選択するための信号をゲートドライバー39へと送る。積分アンプ33は、アレイ基板12からデータライン19を通じて出力される極めて微小な電荷信号を増幅し出力する。
アレイ基板12の表面には、フォトダイオード21および薄膜トランジスタ22などの検出素子、並びに、制御ライン18およびデータライン19などの金属配線を覆う絶縁性の保護膜が形成されている。シンチレータ層13は、保護膜の表面に、画素20が配列された領域を覆うように形成されている。
シンチレータ層13の表面には、反射膜14が設けられている場合が多い。反射膜14は、シンチレータ層13で発生した蛍光のうちアレイ基板12から遠ざかっていくものをアレイ基板12側へ反射させる。これにより、フォトダイオード21に到達する蛍光光量が増大する。
反射膜14は、銀合金やアルミニウムなど蛍光反射率の高い金属をシンチレータ層13上に成膜する方法で形成される。あるいは、アルミなどの金属表面を持つ反射板をシンチレータ層13に密着させたもの、TiO2などの光散乱性物質とバインダ樹脂とから成る拡散反射性の反射膜14を塗布形成してもよい。なお、反射膜14は、放射線検出器11に求められる解像度、輝度などの特性により、必ずしも必要ではない。
放射線検出器11には、シンチレータ層13および反射膜14を覆うように、防湿体15が設けられている。
防湿体15は、中央部が盛り上がったハット状に形成されている。防湿体15の周辺部分は、平坦な帯状の鍔部50となっている。鍔部50は、アレイ基板12の表面のシンチレータ層13が形成された領域の外側を取り囲む帯状に形成される。鍔部50の内側には、天板部51が形成されている。天板部51は、シンチレータ層13よりも若干大きい平板状の部分である。鍔部50と天板部51との間には、斜面部52が形成されている。
鍔部50は、アレイ基板12と対向している。鍔部50とアレイ基板12との間は接着されている。アレイ基板12上に形成されたシンチレータ層13および反射膜14は、防湿体15の天板部51および斜面部52で覆われている。防湿体15は、シンチレータ層13および反射膜14を外気や湿度から保護し、湿度などによる特性劣化を抑制する。
防湿体15は、たとえばアルミニウムやアルミニウム合金の箔で形成されている。本実施例として防湿体15は、0.1mmのA1N30−O材(純アルミニウム系材料のアニール材)により形成される。鍔部50の幅は、たとえば2〜5mmである。
アレイ基板12には、制御ライン18およびデータライン19のそれぞれの端部が露出したパッド29が配列されて、端子群26が形成されている。端子群26は、アレイ基板12の辺に沿って配列されている。制御ライン18につながる端子群26と、データライン19につながる端子群26は、異なる辺に沿って配列されている。これらの端子群26は、フレキシブル基板32を介して、回路基板30と電気的に接続されている。さらに、これらを筐体構造に組み込んで、放射線検出装置10が完成する。
図7は、本実施形態による放射線検出器の外周部近傍の拡大断面図である。
アレイ基板12の中央部のX線画像を取得するアクティブエリアから、基板周辺部に配列されたパッド29までのそれぞれには、リード配線62が延びている。アレイ基板12の最表層には保護膜28が形成されている。リード配線としては、TFT駆動のための制御ライン18、X線画像に対応する電荷を読み出すデータライン19、および、フォトダイオード21を動作させるためのバイアス電圧を加えるためのバイアス線がある。
防湿体15は、AL合金箔のロール材を裁断後、プレス加工してハット状とする。防湿体15とアレイ基板12とは、接着層91によって接着されている。防湿体15の鍔部50のアレイ基板12に対向する面は、すなわち防湿体15の接着層91に接する部分は、他の部分に比べて表面粗さが大きい。防湿構造は、ALハット状の防湿体15の鍔部50に接着剤をディスペンサーにより塗布し、シンチレータ層13および反射膜14の形成されたアレイ基板12と貼り合せた構造をとる。接着層91を形成する接着剤は、一般に市販されている加熱硬化型または紫外線硬化型のエポキシ系の接着材である。
アルミニウムは、表面エネルギーが小さく濡れ性が低い。また、アルミニウムの圧延材は、表面積が小さく、十分な接着面積が確保できない。このため、AL合金箔とエポキシ系の接着材の付着力は低く、このままでは十分な密着力の確保が難しい。また、本実施形態の本防湿構造では、有効画素が存在するエリアからアレイ基板12のエッジまでの間に接着エリアが必要である。防湿体15の鍔部50の幅が小さい狭額縁構造で、接着エリアの確保が難しい場合、狭い接着幅で十分な強度を得る必要があり、接着面積の確保がより厳しくなる。防湿層接着部の付着力不足は、防湿構造内部へのリークパスが発生し、シンチレータ層の吸湿による解像度低下などの重大な問題を引き起こす。
そこで、本実施形態では、ALハットとエポキシ系接着剤との付着力を改善するために、防湿体15の鍔部50の接着面側表面に適切な表面処理を施している。防湿体15の鍔部50の表面処理としては、接着表面積を増やすために表面を荒らすことが上げられる。表面粗しの方法としては、サンドペーパーによる研磨、サンドブラストなどが上げられる。
図8は、サンドブラスト処理前のAL箔表面のSEM像である。図9は、サンドブラスト処理後のAL箔表面のSEM像である。
サンドブラスト処理前は、圧延方向と直角方向でRa=0.5μm程度、圧延方向と平行方向でRa=0.1μm以下となっている。#320アルミナビーズ(平均粒径40μm、ブラスト圧:0.08MPaでのサンドブラスト処理後の表面は、全面が面方向によらずRa=1.0μm以上となっている。サンドブラスト処理したAL表面は、表面凹凸によって、表面積が格段に大きくなり、接着面積増による付着力が向上する。
ここで、ブラスト圧は0.08MPa〜0.20MPaで実験を行ったが、ブラスト圧が大きいと、ALの変形を引き起こしてしまい、防湿体15の鍔部50の撓みによる接着不良に繋がってしまうため、低ブラスト圧でRa=1.0〜2.0μmが得られる条件がよい。
サンドブラストにより表面を荒らして、表面積を大きくしたAL表面には、圧延時およびブラスト処理時の汚染があるため、接着材塗布前には、表面洗浄が必要となる。まずアセトンなどによって払拭し、表面を脱脂する。続いて、化学反応により電気的極性を持つ官能基を表面に形成して、親水性と接着力を高めるUVオゾン洗浄を行う。
サンドブラスト処理、脱脂処理、UVオゾン洗浄を実施した防湿体15の鍔部50は、接着表面積確保とアンカー効果、化学反応の効果によってエポキシ系接着剤と強固に密着する。また、防湿体15の鍔部50をシランカップリング剤または金属キレート剤にて処理して密着層を形成することは、本実施形態のようにサンドブラスト処理などにより表面を荒らした防湿体15でも密着力向上に有効である。
防湿体15の材質は、ALやAL合金に限らず、他の金属材料を用いてもよい。AL又はAL合金箔材の場合には、金属材料としてはX線吸収係数が小さいため、防湿体15内でのX線吸収ロスを抑えることができる点でメリットが大きく、ハット状に加工する場合にも加工性に優れる。
防湿体15のアレイ基板12への接着を減圧雰囲気にて行うと、飛行機輸送を想定した減圧下での機械的強度に優れた防湿構造を形成できる点でも有効である。減圧雰囲気下で封止した場合は、防湿体15が外部大気圧で押されるため、接着層91の破壊のリスクは増大する。しかし、本実施の形態によれば、防湿体15とアレイ基板12との接着強度が増大するため、減圧雰囲気下で封止した場合の接着部信頼性向上にもつながる。
狭額縁構造の放射線検出器11では、広い有効エリアを確保できるが、ハット状の防湿体15の接着エリアが狭くなり、付着力低下により接着部の信頼性は下がってしまう傾向にある。しかし、本実施形態のように、接着面の表面を荒らすことで、狭い接着エリアでも、実質的な接着面積を広く取る事ができるため、狭額縁構造における接着部信頼性向上に大変有効である。
このように、本実施形態によれば、防湿体15とアレイ基板12との接着品位が改善され、信頼性の高い放射線検出器11が得られる。
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…放射線検出装置、11…放射線検出器、12…アレイ基板、13…シンチレータ層、14…反射膜、15…防湿体、16…ガラス基板、18…制御ライン、19…データライン、20…画素、21…フォトダイオード、22…薄膜トランジスタ、23…ゲート電極、24…ソース電極、25…ドレイン電極、26…端子群、27…蓄積キャパシタ、28…保護膜、29…パッド、30…回路基板、31…支持板、32…フレキシブル基板、33…積分アンプ、34…A/D変換器、35…行選択回路、36…画像合成回路、38…並列/直列変換器、39…ゲートドライバー、50…鍔部、51…天板部、52…斜面部、62…リード配線、91…接着層
Claims (7)
- 基板上に光電変換素子を二次元配列したアレイ基板と、
前記アレイ基板の前記光電変換素子が配列された領域を覆い放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、
前記シンチレータ層を覆う成形体であって前記アレイ基板の前記シンチレータ層を囲む部分に対向する鍔部を備えた防湿体と、
前記鍔部と前記アレイ基板との間に形成されて前記防湿体と前記アレイ基板とを接着させる接着層と、
を具備し、
前記鍔部の前記接着層に接する接着面は他の部分に比べて表面粗さが大きいことを特徴とする放射線検出器。 - 前記接着面の表面粗さが1.0〜2.0μmRaであることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
- 前記防湿体はアルミニウムまたはアルミニウム合金の箔または薄板で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線検出器。
- 基板上に光電変換素子を二次元配列したアレイ基板を形成するアレイ基板形成工程と、
前記アレイ基板の前記光電変換素子が配列された領域を覆い放射線を蛍光に変換するシンチレータ層を形成するシンチレータ層形成工程と、
前記アレイ基板の前記シンチレータ層を囲む部分に対向する接着面を備えた防湿体を形成する防湿体形成工程と、
前記接着面を前記防湿体の他の部分よりも表面を粗くする表面処理工程と、
前記接着面と前記アレイ基板との間に接着層を介在させて前記接着面と前記アレイ基板を接着させる接着工程と、
を具備することを特徴とする放射線検出器の製造方法。 - 前記表面処理工程は前記接着面をサンドブラストおよびサンドペーパーによる研磨のいずれかの方法で研磨する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の放射線検出器の製造方法。
- 前記表面処理工程は前記接着面をシランカップリング剤または金属キレート剤により処理する工程を含むことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の放射線検出器の製造方法。
- 前記表面処理工程は前記接着面を脱脂処理およびUV処理する工程を含むことを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の放射線検出器の製造方法。
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