JP5305683B2 - 立方晶窒化硼素含有皮膜の形成方法 - Google Patents

立方晶窒化硼素含有皮膜の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、立方晶窒化硼素含有皮膜の形成方法に関するものであり、特に、マグネトロンスパッタリング法により立方晶窒化硼素含有皮膜を形成する方法に関するものである。
立方晶窒化硼素(以下「cBN」ということがある。)は、高硬度、高耐酸化性を示し、かつ鉄との反応性が低いことから、例えば切削工具、金属成型用の金型や治工具等の耐摩耗性皮膜として従来より好適に用いられており、このcBNを主体とする膜を形成する手法が種々提案されている。
例えば、CVD(化学蒸着)法で上記cBNを主体とする膜を製造する方法として、Bを含有するガスと窒素含有ガスのプラズマ中での反応により形成する方法が挙げられる。しかし、上記CVD法では、原料ガスとしてBHやBF等といった取り扱いの危険なガスを使用することが避けられない、といった問題がある。
一方、PVD(物理蒸着)法で製造する方法として、例えばマグネトロンスパッタリング法で、B(硼素)含有ターゲットを使用し、窒素含有雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことが挙げられる。
上記PVD法で使用されるB含有ターゲットとして、六方晶窒化硼素(hBN)ターゲットが挙げられるが、このhBNは導電性を示さないため、電源が高価かつ構造が複雑な高周波(RF)スパッタリングを行う必要があり、産業上の適用が制限される。
この問題を解決した技術として、特許文献1には、直流アークまたは直流マグネトロンカソードでプラズマを発生させ、高周波または直流電圧を印加してスパッタリングを行うことにより、立方晶窒化硼素を製造する方法であって、ターゲットとして、導電性炭化硼素よりなるターゲット(好ましくはBC(炭化四硼素)よりなるターゲット)を使用し、該ターゲットに印加する面積電力をコントロールすることが示されている。
ところで、PVD法でcBNを主体とする膜を形成する場合、準安定状態にあるcBNを成膜時に安定化させるため、成膜中にイオンを照射して皮膜に高エネルギーを付与する必要がある。例えば、雰囲気ガスに(Ar+窒素)ガスを用い、ターゲットに上記BCよりなるターゲットを用いた場合、蒸着される原子とイオンのうち、イオンの割合が多いほど形成される皮膜に付与されるエネルギーを大きくすることができるが、上記特許文献1の方法では、イオン化されるのが主に膜中元素として主ではないArなどの希ガスであり、膜の主成分となるターゲット構成物質は数%程度しかイオン化されない。この様に、Bのイオン濃度が小さい場合、イオン照射により大きなエネルギーを膜に付与するには、個々のイオンに対し高いイオンエネルギーを与える必要があり、そのためには、基板に印加するバイアス電圧を高くする必要がある。しかし、該バイアス電圧を高くすると、形成される皮膜の残留応力(以下「膜応力」ということがある)が高くなり、皮膜の剥離等が生じる原因となる。
上記問題を解決しうる技術として、非特許文献1には、硼素ターゲットを800℃程度に加熱して導電性を持たせ、アーク放電を利用することで、硼素をイオン化し、Si基板上に形成されたアモルファスBNやhBNの上層に、cBNを堆積させることが示されている。該方法によれば、高いイオンエネルギーを与えることなくcBN膜を形成することができる。しかし、ターゲットを上記高温にまで加熱する必要があるため、機構が複雑になることや、産業上適用するにあたり放電の安定性が十分でない等の問題がある。
特表平9−510500号公報 G.Krannich et al.「Formation of cubic boron nitride thin films by reactive cathodic arc evaporation」,Diamond and Related Materials 6(1997)p.1005−1009
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、立方晶窒化硼素含有皮膜(以下「cBN膜」ということがある。)を、マグネトロンスパッタリング法で導電性のBC含有ターゲットを用いて形成するにあたり、雰囲気ガス(窒素含有ガス)のイオン化に加えて、上記ターゲットの構成元素のイオン化を促進させることにより、基板に与えるバイアス電圧を低く抑えて、従来よりも膜応力の低いcBN膜を形成する方法を提供することにある。
本発明に係る立方晶窒化硼素含有皮膜の形成方法とは、BC(炭化四硼素)含有ターゲットを用い、マグネトロンスパッタリング法により、前記ターゲットを構成する硼素と窒素含有ガス中の窒素を反応させて立方晶窒化硼素含有皮膜を形成するにあたり、下記条件(a)(b)および(c)を満たすようにして前記ターゲットを構成する硼素のイオン化を促進させつつ、上記皮膜を形成するところに特徴を有する。
(a)電力投入方法:パルス状
(b)投入電力パルス幅:100μs以下(好ましくは30μs以下)
(c)前記ターゲットのエロージョンエリアにおける最大投入電力密度:0.33kW/cm以上
本発明の形成方法において、更に、(平均電力/前記ターゲットの面積)が82W/cm以下となるようにすることが好ましい。
尚、上記「平均電力」は、下記式(1)から求められるものをいう(以下、同じ)。投入時の電力が一定であるとすれば、平均電力は、(投入電力×デューティ比)で表される(但し、デューティ比(―)=パルス幅×周波数)。
Figure 0005305683
また、上記「立方晶窒化硼素含有皮膜」(cBN膜)とは、下記式(2)で定義されるcBNの割合が50%以上のものをいう(以下、同じ)。上記cBN膜は、cBN以外に、六方晶窒化硼素(hBN)や、BN中のBと結合しているC等を含みうるものである。
cBNの割合(%)=〔(cBNのピーク強度)/(cBNのピーク強度+hBNのピーク強度)〕×100 …(2)
但し、上記「cBNのピーク強度」および「hBNのピーク強度」は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)により分析したピーク強度(ピーク高さ)をいう。
本発明によれば、cBN膜をマグネトロンスパッタリング法でBC含有ターゲットを用いて形成するにあたり、成膜時に、雰囲気ガスのイオン化に加えて、ターゲットを構成する元素(特に硼素)のイオン化を促進でき、基板に与えるバイアス電圧を低く抑えることができるので、従来よりも膜応力の低いcBN膜を形成することができる。また、上記非特許文献1の様に、機構が複雑になったり放電が不安定になること等もないため、上記膜応力の小さなcBN膜の安定的な形成を産業的に行うことができる。
本発明者らは、従来よりも膜応力の低いcBN膜をマグネトロンスパッタリング法で安定して形成する方法を確立すべく、成膜時に、特にターゲットを構成する硼素のイオン化を促進させて、基板に与えるバイアス電圧を従来よりも低減するための具体的手段について鋭意研究を行った。その結果、導電性を示すBC含有ターゲットを用い、該ターゲットを構成する硼素と窒素含有ガス中の窒素を反応させて立方晶窒化硼素含有皮膜を形成するにあたり、マグネトロンスパッタ蒸発源に、数μ秒〜数百μ秒といった非常に短い時間に大電力を加えることのできるスパッタリング(ハイパワーパルススパッタやHIPIMS(High Power Impulse Magnetron Sputtering)ともいわれている)装置を用い、下記条件(a)(b)および(c)を満たすようにして前記ターゲットを構成する特に硼素のイオン化を促進させつつ、上記皮膜を形成すればよいことを見出した。
(a)電力投入方法:パルス状
(b)投入電力パルス幅:100μs以下
(c)前記ターゲットのエロージョンエリアにおける最大投入電力密度:0.33kW/cm以上
以下、本発明について詳述する。まず、本発明では、BC含有ターゲットのエロージョンエリア(イオン等の衝突により削られる領域)の最大投入電力密度を、0.33kW/cm以上として、特に上記ターゲットを構成する硼素のイオン化を進めつつ立方晶窒化硼素含有皮膜を形成する。従来の方法ではAr等のスパッタガス(雰囲気ガス)しかイオン化されないところ、上記最大投入電力を0.33kW/cm以上とすれば、雰囲気ガスのイオン化に加えて、ターゲットからスパッタされたターゲット構成物質(特に硼素)のイオン化も促進できる。その結果、基板に与えるバイアス電圧を従来よりも著しく低減でき、従来レベルの直流の電力を印加して成膜した場合よりも、cBN膜の残留応力を十分に低減できる。上記最大投入電力密度は、より好ましくは1kW/cm以上である。
尚、上記最大投入電力密度は高いほど好ましく、その上限は特に制限されないが、市販の電源(18MW程度)を用いる場合には、その上限が90kW/cm程度となる。尚、最大投入電力密度を著しく高めても、膜応力の低減の効果は飽和する傾向にあるため、最大投入電力密度を好ましくは0.55(より好ましくは1)〜2.7kW/cmの範囲内とするのがよい。
一方、このような大電力を連続的に投入(印加)すると、ターゲットの過熱による溶解や、アーキングの発生によるターゲットの損傷などの問題が生じることから、連続的に投入できる電力に限界が生じる。そこで本発明では、上記大電力をパルス状にして投入する。該方法を採用することにより、投入電力を増加させたときに電圧が不安定となることも回避できる。特にターゲットにおけるマイクロアークの発生を抑えることができ、上記ターゲットの損傷等の機械的ダメージを抑制しつつ、上記の通り膜応力の抑えられたcBN膜を形成できる。
具体的には、上記最大投入電力密度を0.33kW/cm以上とするにあたり、投入電力パルス幅(1パルスの長さ)を100μs(μ秒)以下とする。この様に投入電力パルス幅を制限して上記最大投入電力密度を高めることで、上記イオン化を促進させつつ、アークの発生等を十分に抑えて安定的に成膜を行うことができる。好ましくは30μ秒以下とすれば、より大きな電力を与えたときに生じやすいターゲットのマイクロアークを抑制することができ、瞬時に与える電力を、ターゲットの熱的限界レベルにまで高めることができる。そしてその結果、バイアス電圧を十分に低減でき、膜応力のより小さなcBN膜を得ることができる。
尚、投入電力パルス幅の下限は3μ秒程度である。本発明の方法では、成膜初期に雰囲気ガス(例えばAr)が励起され、3μ秒程度遅れて励起されたArや電子がターゲットに衝突し、ターゲット構成物質がイオン化し始めるため、投入電力パルス幅が3μ秒よりも短いと十分にイオン化されない。好ましくは、投入電力パルス幅を5μ秒以上とする。この様な観点からは、投入電力パルス幅を、100μ秒以下であって、放電電圧が不安定とならず、かつターゲットが過熱しない範囲内で長くすることが好ましい。
また、投入電力パルスの周期は、数十μ秒〜数秒の範囲で設定すればよい。
図1は、後述する実施例を用いて作成したグラフであり、cBN膜の形成に必要な最低バイアス電圧、該バイアス電圧で形成したcBN膜の残留応力(膜応力)と、最大投入電力密度との関係を示している。
この図1より次の様に考察できる。即ち、電力投入方法をパルス状とし、最大投入電力密度を大きくするにつれて、cBN膜の形成に必要な最低バイアス電圧を低減できることがわかる。これは、瞬時に与える電力を大きくすることで、特にターゲット構成元素が十分にイオン化され、バイアス電圧を高めることなくcBN安定化に必要なエネルギーを皮膜に付与でき、結果として、膜応力の小さなcBN膜を形成できることを示している。特に、最大投入電力密度を0.33kW/cm以上とすることで、従来レベルの投入電力密度で直流の電力を印加する場合(DCスパッタで形成する場合)よりも、cBN膜の膜応力を3GPa以下と著しく低減でき、基板との密着性の良好なcBN膜を形成できることがわかる。
更に本発明では、(平均電力/ターゲットの面積)を、82W/cm以下とすれば、ターゲットの過熱を抑制して、形成される皮膜表面にクラック、欠損または変形等の機械的不具合が生じるのを抑えることができるので好ましい。
投入電力は、一般的なマグネトロンで、ターゲットとして例えば直径が6インチのものを使用する場合、3kW以上500kW以下とすることが好ましい。3kW以上とすることで、ターゲット構成元素のイオン化を十分に促進でき、また、500kW以下とすることで、成膜時のターゲットの過熱を抑制して、表面性状の良好なcBN膜を形成できる。
尚、本発明では、雰囲気ガスとして窒素含有ガスを用いる。該窒素含有ガスとしては、NまたはNHと、例えば希ガス(Ar等)との混合ガス(この場合、NまたはNHの分圧比は10〜50%とするのがよい)が挙げられる。
また、本発明で用いるBC含有ターゲットは、BC以外にバインダー等を含みうる。該ターゲットに含まれる炭素は、成膜中に雰囲気中の窒素と反応し、不安定なC−N化合物となり、形成されるcBN膜から脱離するため、cBN膜中の炭素残留量は通常10at%以下となる。
本発明では、マグネトロンスパッタリング法として、アンバランスドマグネトロンスパッタリング法を採用することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
図2に概略的に示す装置(図2に、排気装置、ガス供給装置等は図示せず)を使用した。詳細には、直径6インチのBC含有ターゲット1を、放電面積(エロージョンエリアの面積)が約182.41cm(ここでは、ターゲットの面積=エロージョンエリアの面積としている。)となるマグネトロンスパッタ蒸発源に取り付けた。
成膜にあたり、チャンバ4内が真空になるように一旦排気し、その後、スパッタリングガス(雰囲気ガス)としてAr−N(N:50%)を導入し、チャンバ4内の圧力を0.4Paとした。そして、通常のDC電源(30kW)10を備えたスパッタパルス電源(5MW)2を用いて、表1に示す最大電力投入密度、パルス幅となるように電力を投入し、かつ、回転するバイアステーブル7上に設置された基板ホルダ9に取り付けた基板(Siウエハ)3に、バイアス電源6によってDCバイアス電圧を印加して、基板3の温度:500℃の条件で、60分間スパッタリングを行い、基板3上に皮膜(膜厚:約1μm)を形成した。尚、上記スパッタパルス電源2は、DC電源10の出力をスイッチング素子5の駆動によりパルス化することで形成されている。また、DCバイアス電圧は電圧測定器8で検出される。
表1に示すcBN膜の形成に必要な最低バイアス電圧は次の様にして求めた。即ち、表1に示す各最大投入電力密度において、種々のバイアス電圧で上記成膜を行い、得られた皮膜のそれぞれをFTIR法で分析して、皮膜に占めるcBN、hBNのそれぞれのピーク強度を求め、下記式(2)よりcBNの割合を求めた。そして、このcBNの割合が50%以上であるcBN膜を形成することのできたバイアス電圧の最低値を求めた。
cBNの割合(%)=〔(cBNのピーク強度)/(cBNのピーク強度+hBNのピーク強度)〕×100 …(2)
但し、上記「cBNのピーク強度」および「hBNのピーク強度」は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)により分析したピーク強度(ピーク高さ)をいう。
更に、上記最低バイアス電圧を印加して形成されたcBN膜の残留応力(膜応力)を、0.1mm厚のSiウェハに成膜した上記cBN膜の反りによって計算で求めた。これらの結果を表1に示す。
Figure 0005305683
表1より次の様に考察できる(下記No.は表1の番号を示す)。即ち、No.5〜16は、本発明で規定する方法でcBN膜を形成しているので、cBN成膜のための最低バイアス電圧を低く抑えることができ、結果として、膜応力の小さなcBN膜が得られている。No.5〜16から、投入電力パルス幅が5μ秒、10μ秒、20μ秒の場合でも安定した成膜を行うことができ、かつ、cBN膜の残留応力が抑えられていることがわかる。この様に投入電力パルス幅を短くすることで、平均電力を抑えつつ瞬時に与える電力を大きく設定することができ、容量の小さな電源を用いた場合であっても、膜応力の小さなcBN膜を形成できる点で産業上有用である。
これに対し、No.1〜4、18は、規定の条件でcBN膜を形成していないため、cBN膜形成に必要な最低バイアス電圧が高くなり、結果として膜応力が大きくなるか、cBN膜の形成そのものが十分に行えない結果となった。
詳細には、No.1は直流の電力を投入したものであり、また、No.2〜4は、電力投入方法をパルス状としているが、最大投入電力密度が規定下限を下回っているので、いずれもcBN膜形成に必要な最低バイアス電圧を高めざるを得ず、その結果、膜応力の高いcBN膜が形成された。
No.18は、パルス幅が長すぎるため、最大投入電力密度を高めようとしたときに、ターゲットのエロージョンエリア以外でマイクロアークが発生し始め、パルス電力が不安定となって規定の条件で成膜できなかった。
尚、No.17から、ターゲットの過熱を抑制して、形成される皮膜表面にクラック、欠損または変形等の機械的不具合が生じるのを抑えるには、(平均電力)/(ターゲットの面積)を推奨される範囲内に抑えるのがよいことがわかる。尚、この様な場合であっても、冷却効率を高める(例えば、冷却水の流量を増加させる等)ことでターゲットの過熱を解消でき、cBN膜を形成することができる。
cBN膜の形成に必要な最低バイアス電圧、該バイアス電圧で形成したcBN膜の膜応力と、最大投入電力密度との関係を示すグラフである。 実施例で使用した成膜装置の概略説明図である。
符号の説明
1 BC含有ターゲット
2 スパッタパルス電源
3 基板
4 チャンバ
5 スイッチング素子
6 バイアス電源
7 バイアステーブル
8 電圧測定器
9 基板ホルダ
10 DC電源

Claims (3)

  1. 4C(炭化四硼素)含有ターゲットを用い、マグネトロンスパッタリング法により、前記ターゲットを構成する硼素と窒素含有ガス中の窒素を反応させて立方晶窒化硼素含有皮膜を基板上に形成するにあたり、前記基板に150V以下のバイアス電圧を印加した状態で、下記条件(a)(b)および(c)を満たすようにして前記ターゲットを構成する硼素のイオン化を促進させつつ、上記皮膜を形成することを特徴とする立方晶窒化硼素含有皮膜の形成方法。
    (a)電力投入方法:パルス状
    (b)投入電力パルス幅:100μs以下
    (c)前記ターゲットのエロージョンエリアにおける最大投入電力密度:0.33kW/cm2以上
  2. (平均電力/前記ターゲットの面積)が、82W/cm以下である請求項1に記載の形成方法。
  3. 前記投入電力パルス幅を30μs以下とする請求項1または2に記載の形成方法。
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