JP5304706B2 - インフレーター - Google Patents

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Description

本発明は、車両の運転席用や助手席用等のエアバッグ装置のエアバッグを膨らませるためのガスを吐出させるインフレーターに関し、特に、ガス発生剤を収納したり加圧ガスを封入しているハウジングが、二部品から構成されているインフレーターに関する。
従来のインフレーター、例えば、円板状のパイロタイプのインフレーターでは、燃焼時にガスを発生させるガス発生剤を収納した封入室を、円環状に配設させ、その中央の下部側のガス発生源室に、スクイブを配設して、その上方の中間室に、スクイブにより点火されて封入室内のガス発生剤を着火させる着火剤を、収納させていた(例えば、特許文献1)。このインフレーターでは、周囲を囲うハウジングが、相互に対向する天板部及び底板部と、天板部と底板部との外周縁相互を連結して形成する外側周壁部と、天板部と底板部との中央付近相互を連結する内側区画壁部と、を備えて構成されていた。内側区画壁部の周囲の外側周壁部との間は、封入室を構成して、内側区画壁部の内側は、ガス発生源室と中間室とを構成していた。そして、このインフレーターでは、ハウジングが、天板部、外側周壁部、及び、内側区画壁部を有した天井側部と、底板部を有した底側部と、の二部品を溶接して形成されており、構成部品点数の多いハウジングを備えたインフレーター(例えば、特許文献2,3参照)に比べて、簡便に、製造することができた。
実用新案登録第3035865号公報 実用新案登録第3046039号公報 特開平9−123865号公報
しかし、二部品からハウジングを構成した従来のインフレーターでは、着火剤の火炎をガス発生剤に案内するように、内側区画壁部における着火剤を収納する中間室の部位に、内外周を貫通する連通口を開口させる必要がある。そして、この従来のインフレーターでは、連通口の配置位置が、天井側部の外側周壁部よって邪魔されて、連通口を開口させ難く、一層簡便に、ハウジングを形成する点で、改善の余地があった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、簡便にハウジングを形成することができるインフレーターを提供することを目的とする。
本発明に係るインフレーターは、周囲を囲むハウジングが、
相互に対向する天板部及び底板部と、天板部と底板部との外周縁相互を連結して形成する外側周壁部と、天板部と底板部との中央付近相互を連結して、ガス発生源室を配置させた中央室を形成する内側区画壁部と、を備え、
内側区画壁部における底板部側に配置させたガス発生源室から離れた天板部側に、内外周を貫通する連通口を開口させて、構成されるとともに、
天板部を有した天井側部と、底板部を有した底側部と、の二部品を溶接して形成されるインフレーターであって、
天井側部と底側部とが、相互に対応して、外側周壁部を形成する周壁構成部、及び、内側区画壁部を形成する内側構成部、を備え、
底側部の内側構成部が、連通口を配置させる連通口側構成部として、底板部からハウジングの軸心に沿って延びるように、形成され、
底側部の周壁構成部が、連通口側構成部の連通口の開口位置より、ハウジングの軸心に沿う底板部からの高さを低くして、構成され
外側周壁部と内側区画壁部とが、同心として円筒状に形成され、
底側部の連通口側構成部と周壁構成部とが、それぞれ、
先端面を、先端面より広い平面状とした部位となる天井側部の天板部の下面と、天井側部の周壁壁部の先端に設けられたフランジ部と、に対し、摩擦溶接して、
天井側部に、接合され、
底側部の底板部が、連通口側構成部の内周側を開口させる挿通孔を備え、
内側区画壁部が、中央室をガス発生源室とガス発生源室からの燃焼ガスを流入させる中間室との2室にハウジングの軸心に沿って区画し、かつ、燃焼ガスを中間室に噴出させる噴出口を有した中間壁部、を備え、
天板部が、ガス吐出口を配設させた吐出室を、流出口を介在させて中間室と連通させつつ、中央から突出させるように、構成されて、
噴出口と流出口とが、それぞれ、燃焼ガスの発生時に破裂可能な破裂板により塞がれ、
燃焼ガスを発生させるガス発生剤とガス発生剤を燃焼させるように着火させるスクイブとを有して構成されるガス発生器が、連通口側構成部の内周側の前記ガス発生源室内に収納固定され、
加圧ガスが、ハウジング内の中央室の周囲に封入されて、
作動時に、燃焼ガスと加圧ガスとをガス吐出口から吐出させるハイブリッドインフレーターとして構成されていることを特徴とする。
本発明に係るインフレーターでは、底側部の周壁構成部が、連通口側構成部の連通口の開口位置より、ハウジングの軸心に沿う底板部からの高さを低くするように構成され、底側部の連通口側構成部の連通口が、底側部自体の周壁構成部の先端より、高い位置に配置されることとなる。そのため、底側部の形成時において、連通口を穴開け加工する際、周壁構成部に邪魔されること無く、連通口側構成部の周囲から、連通口の加工位置に対し、筒状の連通口側構成部の軸直交方向に沿って、容易に、ドリル等の切削加工具を配置させることができ、円滑に穴開け加工することができて、簡便にハウジングを形成することができる。
したがって、本発明に係るインフレーターでは、連通口を形成する穴開け加工が容易となって、簡便に、ハウジングを形成することができる。
そして、本発明に係るインフレーターでは、外側周壁部と内側区画壁部とを、同心として円筒状に形成して、
底側部の連通口側構成部と周壁構成部との先端面を、それらの先端面より広い平面状とした部位となる天井側部の天板部の下面と、天井側部の前記周壁壁部の先端に設けられたフランジ部と、に対し、摩擦溶接して、
底側部の連通口側構成部と周壁構成部とを、天井側部に接合させている
このような構成では、底側部の側の連通口側構成部と周壁構成部との各々の先端面を、ともに、天井側部の広い平面状の部位に対して、溶接する態様であって、溶接部位が二箇所あっても、溶融する溶接代分を、主に、底側部の側で設定すればよく、寸法精度よく、溶接することができる。さらに、外側周壁部と内側区画壁部とが、同心とした円筒状であって、底側部の側の連通口側構成部と周壁構成部との先端面相互が、同心とした円環状となり、天井側部と底側部との溶接部位相互を突き合わせて、ハウジングの軸心を中心として、天井側部と底側部とを相対的に回転させるだけで、精度よく、簡便に、両者を摩擦溶接することができる。
また、本発明に係るインフレーターは、ハイブリッドインフレーターとして使用することができるこのハイブリッドインフレーターでは、作動時に、スクイブの着火によりガス発生剤が燃焼して燃焼ガスを発生させる。そして、噴出口が破裂板を破裂させて開口することから、燃焼ガスは、噴出口から中間室に流入し、さらに、連通口を経て、ガス封入室内の加圧ガスを昇温昇圧する。そのため、流出口が、加圧ガスの昇圧された圧力と燃焼ガスの圧力とによって、破裂板を破裂させて開口することから、燃焼ガスと加圧ガスとが、流出口を経て、吐出室に流入し、吐出室のガス吐出口から吐出されることとなる。
そして、このハイブリッドインフレーターでは、溶接完了後のハウジングに対して、ガス発生器と加圧ガスとを組み付けたり封入することができて、ハウジングの溶接途中で、ガス発生器等をハウジング内に配設しなくともよく、容易に製造することができる。
この場合、底側部の底板部に、挿通孔の周縁から外方へ突出する組付筒部を設け、組付筒部を、ガス発生源室内に収納されたガス発生器の底部側を押えるように、挿通孔側に折り曲げてかしめることによって、ガス発生器をガス発生源室内に固定する構成とすれば、ガス発生器の固定も容易となり、一層、簡便に、インフレーターを製造することができる。
本発明に係る一実施形態のインフレーターの縦断面図である。 実施形態のインフレーターの斜視図である。 実施形態のインフレーターの概略横断面であり、図1のIII−III部位に対応する。 実施形態のインフレーターの概略横断面であり、図1のIV−IV部位に対応する。 実施形態のインフレーターの作動時の状態を順に示す縦断面図である。 実施形態のハウジングの製造を示す縦断面図である。 実施形態のインフレーターの製造を示す縦断面図である。 実施形態のハウジングの底側部の製造を順に示す図である。 実施形態のハウジングの底側部を製造を順に示す図であり、図8の後を示す。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のインフレーター1は、図1〜3に示すように、ディスクタイプとしたハイブリッドインフレーターであり、円柱状のハウジング3内の外周側に、円環状のガス封入室22を配設させるとともに、ガス封入室22の内側において、下方から上方にかけて、直列的に、ガス発生源室26、中間室37、及び、吐出室45、を配設させて構成されている。そして、ハウジング3は、相互に対向する天板部5及び底板部12と、天板部5と底板部12との外周縁相互を連結して形成する外側周壁部3aと、天板部5と底板部12との中央付近相互を連結して、ガス発生源室26を配置させた中央室25を形成する内側区画壁部3bと、を備えて構成されてい。内側区画壁部3bには、底板部12側に、ガス発生源室26が配設され、底板部12から離れた天板部5側に、内外周を貫通する複数の連通口40が、開口されている。さらに、このハウジング3は、鋼等の金属から形成されて、天板部5を有した天井側部4と、底板部12を有した底側部11と、の二部品を摩擦溶接して形成されている。
天井側部4は、ハウジング3の上部側に配置されて、円板状の既述の天板部5と、天板部5の外周縁から底側部11側の下方へ円筒状に延びる周壁構成部8と、を備えて構成されている。周壁構成部8の下端には、外方へ突出するフランジ部9が配設され、フランジ部9には、インフレーター1を所定箇所に取り付けるための取付孔9aが、配設されている。この周壁構成部8は、底側部11の後述する周壁構成部20と接合されて、ハウジング3の円筒状の外側周壁部3aを形成している。
天井側部4の天板部5の中央には、円柱状に上方へ突出する突出部6が配設されている。突出部6は、吐出室45の外壁を構成するものであり、円筒状の周壁6aには、ハウジング3の軸心Oと直交するように混合ガスCG(図5のB参照)を吐出する円形に開口した複数のガス吐出口47が、配設されている。ガス吐出口47は、実施形態の場合、ハウジング3の軸心Oを中心とした周方向に沿って等間隔として、4個配設されている。
底側部11は、ハウジング3の下部側に配置されて、円環状の底板部12と、底板部12の外縁から天板部5側の上方へ延びる周壁構成部20と、を備えて構成されている。周壁構成部20は、天井側部4の周壁構成部8のフランジ部9の下面9bと接合されて、ハウジング3の外側周壁部3aを形成している。
底板部12の中央に開口している挿通孔12aの内縁には、天板部5側の上方へ延びる円筒状の連通口側構成部15と、下方に延びる組付筒部13と、が配設されている。さらに、連通口側構成部15の内周側には、連通口側構成部15の内周側を塞ぐように、円板状の中間壁部18が形成されている。
連通口側構成部15は、中間壁部18を間にして、底板部12側の内底側壁部16と、天板部5側の内天側壁部17と、から構成されている。中間壁部18は、ガス発生源室26と中間室37とを区画する部位であり、中央に、円形に開口した噴出口34が形成されている。この連通口側構成部15は、天井側部4の側の内側構成部10とともに、ハウジング3の内側区画壁部3bを構成することとなる底側部11の側の内側構成部14、としている。なお、実施形態の場合、天井側部4の内側構成部10は、天板部5の下面5a側における突出部6の周縁における平面の円環状の部位から構成され、底側部11の内側構成部14は、中央室25の周囲の底板部12から天板部5までの全域に配置される連通口側構成部15から、構成されている。また、実施形態の場合、外側周壁部3aと、内側区画壁部3bを構成する連通口側構成部15と、は、ハウジング3の軸心Oの位置に、相互の中心を一致させた同心として構成されて、ともに、円筒状に形成されている。
そして、連通口側構成部15の中間壁部18より下方の内底側壁部16は、ガス発生源室26とガス封入室22とを区画する円筒状の区画壁を構成し、中間壁部18より上方の内天側壁部17は、ガス封入室22と中間室37とを区画する円筒状の区画壁を構成している。さらに、内天側壁部17は、天板部5より中間壁部18に接近した位置に、円形に開口させた複数の連通口40を開口させている。そして、連通口40のハウジング3の軸心Oに沿った(軸方向に沿った)開口位置は、底側部11の周壁構成部20の先端20aより、天板部5側に接近するように、底板部12からの高さを、高くするように、構成されている。すなわち、底板部12からの連通口40までの高さ寸法H2が、底板部12からの周壁構成部20の先端20aまでの高さ寸法H1より、大きく設定されている(図6のA参照)。
さらに、連通口40は、ハウジング3の軸心Oを中心として、放射状に8個配設され、それぞれ、一個分のガス吐出口47の開口より大きく開口されている。そして、これらの連通口40は、ガス発生源室26で発生した燃焼ガスFGをガス封入室22側に導入させ、かつ、燃焼ガスFGに昇温昇圧されたガス封入室22内の加圧ガスPGを、中間室37側に流入させる昇温用連通路39を構成している(図5参照)。
底板部12の挿通孔12aの内縁から下方に延びる組付筒部13は、ガス発生器27をガス発生源室26に固定するかしめ部位としている。
そして、このインフレーター1では、加圧ガスPGを封入させたガス封入室22が、円環状として、天井側部4の天板部5と底側部11の底板部12との間で、内外周を、連通口側構成部15と周壁構成部8,20相互とにより、囲まれて形成されている。実施形態の場合、加圧ガスPGは、アルゴン等の不活性ガスが使用されている。なお、底板部12には、加圧ガスPGをガス封入室22に封入するために開口させた封入口23と、加圧ガスPGを封入した後に、封入口23を塞ぐ封止ピン24と、が配設されている。
ガス発生源室26は、ガス封入室22の内側の底板部12側に設けられ、中間壁部18の底板部12側における内底側壁部16に囲まれて配設されている。ガス発生源室26には、組付筒部13の下端のかしめ部13aのかしめにより、ホルダ30の底部側の鍔部30aが、底板部12の挿通孔12aの周縁に固定されて、ガス発生器27が、配設されている。ガス発生器27は、燃焼時に、火炎を含んだ窒素ガス等の燃焼ガスFGを発生させるガス発生剤29が、アルミニウム合金等のカップ31内に収納されるとともに、ガス発生剤29を着火させるスクイブ28とカップ31とが円板状のホルダ30に組み付けられて構成されている。ホルダ30から離れたカップ31の天井壁32には、ガス発生剤29が燃焼して発生した燃焼ガスFGに押し開かれる複数の三角板状のフラップ32aが配設されている。フラップ32aの周縁には、切れ目を入れた破断予定部32bが放射状に配設され、各フラップ32aが、ハウジング3の軸心O側から周縁に向かって開くように、構成されている。
なお、ガス発生剤29の燃焼した燃焼ガスFGは、加圧ガスPGを昇温昇圧させる加熱媒体FGとも言えることから、ガス発生剤29は、燃焼させて加熱媒体FGを発生させる熱媒体発生剤29、ガス発生源室26は、熱媒体発生源室26、ガス発生器27は、熱媒体発生器27、と言い換えることもできる。
また、実施形態では、ガス発生剤(熱媒体発生剤)29を構成する組成物が、主成分のMg/Al合金に酸化剤やバインダを含有させたものが使用されており、その燃焼時、高温の気体成分より火炎を多く発生させた状態の加熱媒体(燃焼ガス)FGとなって、その火炎成分の多い燃焼ガスFGにより、主に、加圧ガスPGの昇温を促進させている。
そして、中間壁部18に設けられた噴出口34は、金属板等からなる第1破裂板35によって塞がれており、第1破裂板35は、燃焼ガスFGの発生時に、その衝撃波や圧力、あるいは、熱等により、破裂される。
中間室37は、天板部5と中間壁部18との間で、換言すれば、吐出室45とガス発生源室26との間で、内天側壁部17で囲まれた部位に配設されている。中間室37は、既述したように、内天側壁部17に設けられた昇温用連通路39を構成する複数(実施形態では6個)の連通口40により、ガス封入室22と連通されている。
吐出室45は、天板部5の突出部6内に設けられて、既述したように、複数(実施形態では4個)のガス吐出口47を備えて構成されている。そして、吐出室45は、中間室37との間に、金属製の第2破裂板43によって塞がれた流出口42を配設させている。流出口42は、天板部5の突出部6の内周縁に配設され、昇温昇圧された加圧ガスPGと燃焼ガスFGとの混合ガスCGの圧力の作用時、第2破裂板43が破裂することにより開口する。その際、混合ガスCGは、開口した流出口42を経て、中間室37から流出されて吐出室45内に流入し、そして、ガス吐出口47から吐出されることとなる。
なお、実施形態の場合、第2破裂板43は、ガス発生源室26内で発生した燃焼ガスFGが、第1破裂板35を破裂させて中間室37に流入しても、直ちに破裂しないように設定されている。すなわち、中間室37に流入した燃焼ガスFGが、昇温用連通路39を経て、ガス封入室22内の加圧ガスPGを昇温昇圧できるように、第2破裂板43は、中間壁部18からの距離Lや肉厚tが考慮されて、強度が設定されている。そして、実施形態の場合、第2破裂板43は、中間室37内が90MPa以上となった際に、破裂するように設定されている。ちなみに、ガス封入室22に封入した加圧ガスPGは、40MPaとしている。
この実施形態のインフレーター1の製造について説明すると、まず、天井側部4は、切削加工等で形成しておく。一方、底側部11は、主に、鍛造加工により形成するものであり、ブロック素材Bから、図8のA〜Dに示すように、底板部12と連通口側構成部15との一部を、順次、据込加工等により形成して、さらに、図8のE,Fに示すように、噴出口34を備えない状態の中間壁部18を形成するとともに、周壁構成部20の一部を形成する。そして、図9のA,Bに示すように、噴出口34を打ち抜いて形成するとともに、図9のD,Eに示すように、連通口側構成部15と周壁構成部20との底板部12からの高さ寸法を整える。そして、内天側壁部17に、連通口40を穴開け加工して形成すれば(図6のA参照)、底側部11を形成することができる。
その後、図6のAに示すように、天井側部4の流出口42の周縁に、第2破裂板43を固着させ、かつ、底側部11の噴出口34の周縁に、第1破裂板35を固着させる。ついで、図6のA,Bに示すように、天井側部4と底側部11とを、摩擦溶接により、相互に結合する。この時、底側部11の連通口側構成部15の先端15aの端面(先端面)15bを、天井側部4の天板部5の下面5aにおける平面状の内側構成部10に圧接させるとともに、底側部11の周壁構成部20の先端20aの端面(先端面)20bを、天井側部4の周壁構成部8の下端における平面状のフランジ部9の下面9bに圧接させて、ハウジング3の軸心3を回転中心として、相対的に逆方向に回転させ、その際の摩擦熱を利用して、両者を結合すれば、ハウジング3を製造することができる。
ハウジング3を製造したならば、図7のAに示すように、封入口23から加圧ガスPGをガス封入室22内に封入して、封止ピン24によって封入口23を塞ぐ。ついで、図7のBに示すように、挿通孔12aから連通口側構成部15のガス発生源室26内に、ガス発生器27を挿入し、ホルダ30の鍔部30aを内底側壁部16の段差部16aに当て、さらに、組付筒部13のかしめ部13aを、ホルダ30の底部側における鍔部30aの底面30bに当てるように、挿通孔12a側に折り曲げてかしめれば、ガス発生器27を、ガス発生源室26内に固定することができて、インフレーター1の製造を完了させることができる。
このようにして製造した実施形態のインフレーター1では、作動時、まず、図1、図5のAに示すように、ガス発生源室26内のガス発生剤29が、スクイブ28の点火により着火されて燃焼し、燃焼ガスFGを発生させる。そして、その燃焼ガスFGの衝撃波、圧力、熱、あるいは、押し開かれるフラップ32aの衝突等により、第1破裂板35が破裂して、噴出口34が開口する。そのため、まず、燃焼ガスFGが、噴出口34を経て、ガス発生源室26から中間室37に流入する。そして、中間室37に流入した燃焼ガスFGは、昇温用連通路39の各連通口40を経て、ガス封入室22内に流入し、ガス封入室22内の加圧ガスPGが昇温される。そのため、ガス封入室22内の加圧ガスPGは、圧力が高まって、図5のBに示すように、燃焼ガスFGとともに、第2破裂板43を破裂させる。その結果、昇温昇圧された加圧ガスPGが、昇温用連通路39の連通口40を経て、ガス封入室22から中間室37に流入し、燃焼ガスFGと混合されて混合ガスCGとなり、この混合ガスCGが、第2破裂板43の破裂で開口した流出口42を経て、吐出室45に流入し、さらに、ガス吐出口47から吐出されることとなる。
そして、実施形態のインフレーター1では、底側部11の周壁構成部20が、連通口側構成部15の連通口40の開口位置より、ハウジング3の軸方向に沿う(軸心Oに沿う)底板部12からの高さを低くするように構成され、底側部11の連通口側構成部15の連通口40が、底側部11自体の周壁構成部20の先端20aより、高い位置に配置されている。そのため、底側部11の形成時において、連通口40を穴開け加工する際、周壁構成部20に邪魔されること無く、連通口側構成部15の周囲から、連通口40の加工位置に対し、筒状の連通口側構成部15の軸直交方向に沿って、容易に、ドリル等の切削加工具を配置させることができ、円滑に穴開け加工することができて、簡便にハウジング3を形成することができる。
したがって、実施形態のインフレーター1では、連通口40を形成する穴開け加工が容易となって、簡便に、ハウジング3を形成することができる。
そして、実施形態のインフレーター1では、外側周壁部3aと内側区画壁部3bとが、同心として円筒状に形成され、底側部11の連通口側構成部15と周壁構成部20との先端面15b,20bを、それらの先端面15b,20bより広い平面状とした部位となる天井側部4の天板部5の下面5aと、天井側部4の周壁構成部8の先端に設けられたフランジ部9の下面9bと、に対し、摩擦溶接して、底側部11の連通口側構成部15と周壁構成部20とを、天井側部4に接合させている。そのため、底側部11の側の連通口側構成部15と周壁構成部20との各々の先端面15b,20bを、ともに、天井側部4の広い平面状の部位に対して、溶接する態様であって、溶接部位W1,W2が二箇所あっても、溶融する溶接代分を、主に、底側部11の先端15a,20a側で設定すればよく、寸法精度よく、溶接することができる。さらに、外側周壁部3aと内側区画壁部3bとが、同心とした円筒状であって、底側部11の側の連通口側構成部15と周壁構成部20との先端面15b,20b相互が、同心とした円環状となり、天井側部4と底側部11との溶接部位W1,W2相互を突き合わせて、ハウジング3の軸心Oを中心として、天井側部4と底側部11とを相対的に回転させるだけで、精度よく、簡便に、両者を摩擦溶接することができる。
なお、上記の点を考慮しなければ、外側周壁部3aや内側区画壁部3bを、天井側部4と底側部11との両者から筒状に延ばした周壁構成部8,20や内側構成部10,14の端面相互を、突き合わせて溶接してもよい。さらに、溶接は、摩擦溶接ばかりで無く、抵抗溶接やレーザ溶接等を利用していもよい。但し、抵抗溶接では二箇所の溶接となって、大電流が必要となり、また、レーザ溶接では、内側区画壁部の部位の溶接に、何箇所もレーザを照射する必要が生じて、実施形態の摩擦溶接に比べて、簡便に、天井側部と底側部との溶接を行い難い。
また、実施形態のインフレーター1では、ハイブリッドインフレーターとして構成され、そして、天井側部4と底側部11との溶接完了後のハウジング3に対して、図7のA,Bに示すように、ガス発生器27と加圧ガスPGとを組み付けたり封入することができて、ハウジング3の溶接途中で、ガス発生器27等をハウジング3内に配設しなくともよく、容易に製造することができる。
さらに、実施形態の場合、底側部11の底板部12に、挿通孔12aの周縁から外方へ突出する組付筒部13が設けられ、組付筒部13を、ガス発生源室26内に収納されたガス発生器27の底部側のホルダ30の鍔部30aを押えるように、挿通孔12a側に折り曲げてかしめることによって、ガス発生器27をガス発生源室26内に固定している。そのため、このような構成では、ガス発生器27の固定も容易となり、一層、簡便に、インフレーター1を製造することができる。
勿論、上記の点を考慮しなければ、パイロタイプのインフレーターに、本願発明を適用してもよい。この場合、天板部5には、突出部6を設けずに、ガス封入室22にガス発生剤を封入し、中間室37に、ガス封入室22に封入したガス発生剤の着火剤を充填し、ガス発生源室にスクイブを収納し、ガス吐出口は、外側周壁部3aに配設させればよい。
また、実施形態のインフレーター1では、作動時におけるガス吐出口47から吐出される混合ガスCGの加圧ガスPG分は、作動前のガス封入室22に流入されていた状態より、昇温用連通路39を経てガス封入室22内に流入した燃焼ガスFGによって、積極的に、昇温昇圧されており、インフレーター1がコンパクトに構成されていても、混合ガスCGは、容積を増大させて、高い圧力の状態で、ガス吐出口47から吐出されることとなり、インフレーター1の出力が高められることとなる。
したがって、実施形態のインフレーター1では、高出力で、かつ、コンパクトに構成することができる。
さらに、実施形態のインフレーター1では、昇温用連通路39が、ガス封入室22と中間室37との間の円筒状の区画壁としての内天側壁部17に、周方向に沿って、放射状に複数の連通口40を設けて構成されるとともに、連通口40の開口面積の総和を、ガス吐出口47の開口面積の総和より、大きくするように設定されている。ちなみに、実施形態の場合、連通口40自体が、ガス吐出口47より大きな円形の開口として、そして、連通口40の数が、ガス吐出口47の4個より多い6個としており、連通口40の開口面積の総和が、ガス吐出口47の開口面積の総和より、大きくしている。そのため、実施形態では、第2破裂板43の破裂後にガス発生源室26内で燃焼ガスFGが発生していても、その燃焼ガスFGは、ガス吐出口47の開口面積が狭いことから、直ちに、中間室37と吐出室45とを経てガス吐出口47から流出せずに、開口面積の広い連通口40を経て、ガス封入室22内に残留している加圧ガスPGを昇温昇圧させることとなる。そのため、燃焼ガスFGが、ガス封入室22内に封入していた加圧ガスPGを、第2破裂板43の破裂前のみならず、破裂後においても、昇温昇圧させて、ガス吐出口47から吐出させることができる。
その結果、実施形態のインフレーター1は、混合ガスCGの吐出中においても、極力、高出力を維持して、混合ガスCGを吐出することができる。勿論、連通口40は、その開口面積が大きいことから、第2破裂板43を破裂させる前に、ガス発生源室26で発生させた燃焼ガスFGを、火炎を含めて、ガス封入室22に流入させ易く、ガス封入室22の加圧ガスPGを迅速に昇温昇圧することができて、インフレーター1の出力を高めることができる。
さらに実施形態では、連通口40が、内天側壁部17における吐出室45とガス発生源室26との間の中間位置より、ガス発生源室26側に片寄って配設されている。そのため、実施形態では、第2破裂板43を破裂させる前に、ガス発生源室26で発生させた燃焼ガスFGが、火炎を含めて、連通口40を経て、ガス封入室22に流入させ易くなって、一層、ガス封入室22の加圧ガスPGを迅速に昇温昇圧することができる。
1…(ハイブリッド)インフレーター、
3…ハウジング、
3a…外側周壁部、
3b…内側区画壁部、
4…天井側部、
5…天板部、
6…突出部、
8…(天井側部の)周壁構成部、
10…(天井側部の)内側構成部、
11…底側部、
12…底板部、
13…組付筒部、
14…(底側部の)内側構成部、
15…連通口側構成部、
17…(区画壁)内天側壁部、
20…(底側部の)周壁構成部、
22…ガス封入室、
25…中央室、
26…ガス発生源室、
27…ガス発生器、
28…スクイブ、
29…ガス発生剤、
34…噴出口、
35…第1破裂板、
37…中間室、
40…連通口、
42…流出口、
43…第2破裂板、
45…吐出室、
47…ガス吐出口、
PG…加圧ガス、
FG…燃焼ガス、
CG…混合ガス。

Claims (2)

  1. 周囲を囲むハウジングが、
    相互に対向する天板部及び底板部と、該天板部と底板部との外周縁相互を連結して形成する外側周壁部と、前記天板部と底板部との中央付近相互を連結して、ガス発生源室を配置させた中央室を形成する内側区画壁部と、を備え、
    前記内側区画壁部における前記底板部側に配置させた前記ガス発生源室から離れた前記天板部側に、内外周を貫通する連通口を開口させて、構成されるとともに、
    前記天板部を有した天井側部と、前記底板部を有した底側部と、の二部品を溶接して形成されるインフレーターであって、
    前記天井側部と前記底側部とが、相互に対応して、前記外側周壁部を形成する周壁構成部、及び、前記内側区画壁部を形成する内側構成部、を備え、
    前記底側部の前記内側構成部が、前記連通口を配置させる連通口側構成部として、前記底板部から前記ハウジングの軸心に沿って延びるように、形成され、
    前記底側部の前記周壁構成部が、前記連通口側構成部の前記連通口の開口位置より、前記ハウジングの軸心に沿う前記底板部からの高さを低くして、構成され
    前記外側周壁部と前記内側区画壁部とが、同心として円筒状に形成され、
    前記底側部の前記連通口側構成部と前記周壁構成部とが、それぞれ、
    先端面を、該先端面より広い平面状とした部位となる前記天井側部の前記天板部の下面と、前記天井側部の前記周壁壁部の先端に設けられたフランジ部と、に対し、摩擦溶接して、
    前記天井側部に、接合され、
    前記底側部の前記底板部が、前記連通口側構成部の内周側を開口させる挿通孔を備え、
    前記内側区画壁部が、前記中央室を前記ガス発生源室と該ガス発生源室からの燃焼ガスを流入させる中間室との2室に前記ハウジングの軸心に沿って区画し、かつ、前記燃焼ガスを前記中間室に噴出させる噴出口を有した中間壁部、を備え、
    前記天板部が、ガス吐出口を配設させた吐出室を、流出口を介在させて前記中間室と連通させつつ、中央から突出させるように、構成されて、
    前記噴出口と前記流出口とが、それぞれ、前記燃焼ガスの発生時に破裂可能な破裂板により塞がれ、
    前記燃焼ガスを発生させるガス発生剤と該ガス発生剤を燃焼させるように着火させるスクイブとを有して構成されるガス発生器が、前記連通口側構成部の内周側の前記ガス発生源室内に収納固定され、
    加圧ガスが、前記ハウジング内の前記中央室の周囲に封入されて、
    作動時に、前記燃焼ガスと前記加圧ガスとを前記ガス吐出口から吐出させるハイブリッドインフレーターとして構成されていることを特徴とするインフレーター。
  2. 前記底側部の前記底板部が、前記挿通孔の周縁から外方へ突出する組付筒部を備えて、構成され、
    前記組付筒部が、前記ガス発生源室内に収納された前記ガス発生器の底部側を押えるように、前記挿通孔側に折り曲げられてかしめられることにより、前記ガス発生器を前記ガス発生源室内に固定していることを特徴とする請求項1に記載のインフレーター。
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