以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。
(1)第1実施形態
初めに、図1を参照して、本発明を実施するための最良の形態として、第1実施形態に係る無線端末を備える無線通信システムについて説明する。ここに、図1は、第1実施形態に係る無線通信システムの基本構成を示すブロック図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る無線通信システム1は、無線端末10と、無線基地局20とを備えている。
無線基地局20は、無線端末10と無線通信を行う。無線基地局20と無線端末10との間の無線通信は、例えば、複数のサブキャリアを用いたマルチキャリア変調方式(例えば、OFDMA等)により変調される送信フレームの送受信によって実現される。また、無線基地局20は、無線基地局20と有線又は無線のネットワークを介して接続されるサービス局から提供されるサービス(言い換えれば、アプリケーション)を無線端末10が利用するための中継局として機能してもよい。
無線端末10は、無線基地局20と無線通信を行う。特に、無線端末10は、無線基地局20に対してなんらかのデータを含む送信フレームを送信する。また、無線端末10は、無線基地局20から送信される送信フレームを受信することが好ましい。ここで、無線端末10は特に、無線基地局20に対してデータを含む送信フレームを送信するために必要な総送信電力を算出するために、第1算出部11と、第2算出部12とを備えている。
第1算出部11は、サブキャリア毎に要求される送信電力を算出する第1の演算を用いて総送信電力を算出する。つまり、第1算出部11は、サブキャリア毎の送信電力を厳密に算出することで、無線端末10全体としての総送信電力を厳密に算出する。その結果、第1算出部11は、総送信電力を相対的に高精度に算出することができる。特に、第1算出部11による総送信電力の算出は、無線端末10から無線基地局20へと送信される送信フレームのフレーム構造(例えば、送信フレームに含まれるバーストの割り当ての態様等)が、前回送信された(或いは、前回総送信電力が算出されたタイミングで送信された)送信フレームのフレーム構造と同等でない場合に行われる。ここで、「フレーム構造が同等」となる場合の具体例については後に詳述するが、典型的には、例えば、フレーム構造が同一である場合、同一ではないが、総送信電力が大きく変化しない程度にしかフレーム構造が変化していないような同等とみなせる場合や、送信フレーム中に含まれる複数のバーストのうちの支配的なバーストのサイズや送信電力が同一であって同等とみなせる場合等が一例としてあげられる。
他方で、第2算出部12は、前回算出された総送信電力に対して、送信フレームの送信先である無線基地局20の制御に起因する総送信電力の調整量(例えば、電力制御プロトコルに起因する調整量)を加算する第2の演算を用いて総送信電力を算出する。言い換えれば、第2算出部12は、前回算出された総送信電力に対して、無線基地局20からの制御ないしは指示によって行われる複数のサブキャリア全体の送信電力の調整に伴う調整量を加算する第2の演算を用いて総送信電力を算出する。つまり、第2算出部12は、第1の演算よりも相対的には簡略化された第2の演算を用いて、前回算出された総送信電力と調整量とを加算すれば総送信電力を算出することができる。特に、第2算出部12による総送信電力の算出は、無線端末10から無線基地局20へと送信される送信フレームのフレーム構造が、前回送信された送信フレームのフレーム構造と同等である場合に行われる。
このような第1実施形態に係る無線通信システム1によれば、無線端末10は、送信フレームのフレーム構造が前回送信時のフレーム構造と同等でない場合(言い換えれば、送信フレームのフレーム構造に変化がある場合)に選択的に、サブキャリア毎の送信電力を算出する高精度な演算である第1の演算を用いて総送信電力を算出すれば足りる。言い換えれば、無線端末10は、送信フレームのフレーム構造が前回送信時のフレーム構造と同等である場合(言い換えれば、送信フレームのフレーム構造に変化がない場合)には、高精度な演算である第1の演算を用いて総送信電力を算出する必要が必ずしもない。従って、第1実施形態に係る無線端末10によれば、常に高精度な演算である第1の演算を用いて総送信電力を算出する必要がある無線端末と比較して、無線端末10の処理負荷を相対的に低減させることができる。従って、総送信電力を相対的には簡便に算出することができる。
また、第1算出部11又は第2算出部12が総送信電力を対数軸上の値(つまり、デジベル値)として算出しており且つ調整量が対数軸上の値として管理されているのであれば、第2算出部12は、単純な加算によって総送信電力を比較的容易に算出することができる。言い換えれば、第2算出部12は、総送信電力や調整量について、対数軸上の値からリニア軸上の値に変換して加算した後に再度対数軸上の値に変換する必要は必ずしもない。このため、無線端末10の処理負荷をより一層低減させることができる。
そして、算出された総送信電力が許容範囲を超えているのであれば、総送信電力が許容範囲内に収まるように無線端末全体としての総送信電力を制御することで、安定的な無線通信を行うことができる。
(2)第2実施形態
続いて、以上の無線通信システムのより具体的な実施形態である第2実施形態について説明する。
(2−1)第2実施形態の無線通信システムの基本構成
初めに、図2を参照して、第2実施形態に係る無線通信システム1000の基本構成について説明する。ここに、図2は、第2実施形態に係る無線通信システム1000の基本構成を示す構成図である。
図2に示すように、第2実施形態に係る無線通信システム1000は、一又は複数のMS(Mobile Station:無線端末)100と、一又は複数のBS(Base Station:無線基地局)200とを備えている。
尚、第2実施形態では、WiMAXシステムである無線通信システム1000について以下の説明を進める。但し、WiMAXシステムに限らず、他の無線通信システム(例えば、IMT−2000システム等)においても、当該無線通信システムの仕様を考慮した上で、以下に説明する構成及び動作を採用してもよい。
MS100は、自身が位置するセル210に対応するBS200との間でコネクションを確立すると共に、無線通信を行う。具体的には、MS100は、BS200から送信されるフレーム400(図3参照)を受信する。また、MS100は、BS200の夫々に対してフレーム400を送信する。このようなMS100として、例えば携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistant)や、その他無線通信機能を有する各種情報機器等が一例としてあげられる。
BS200は、各BS200に対応するセル210内に位置するMS100との間でコネクションを確立すると共に、実際に無線通信を行う。具体的には、BS200は、対応するセル210内に位置するMS100に対してフレーム400を送信する。加えて、BS200は、対応するセル210内に位置するMS100から送信されるフレーム400を受信する。
更に、第2実施形態に係る無線通信システム1000では、MS100とBS200との間において、例えば、WiMAXに準拠した通信方式におけるフレーム400を送受信することで、無線通信が行われる。従って、第2実施形態に係る無線通信システム1000では、複数のサブキャリアを用いるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)方式或いはサブキャリアを分割した周波数軸上の論理チャネルとシンボルの組み合わせからなるサブチャネルを用いるOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式における所定フォーマットのフレーム400を送受信することで、無線通信が行われる。
ここで、図3を参照しながらWiMAXにおけるフレーム400の構成について説明する。ここに、図3は、WiMAXにおけるフレーム400の構成を概念的に示すフレーム構成図である。
図3(a)に示すように、フレーム400は、サブキャリア(つまり、周波数)及びシンボル(つまり、時間)によって特定されるOFDMフレーム(或いは、OFDMAフレーム)の単位で構成される。フレーム400は、制御情報を含むヘッダ部分410と、DL(Down Link)サブフレーム部分420と、UL(Up Link)サブフレーム部分430とを含んでいる。
ヘッダ部分410には、プリアンブル信号411と、FCH(Frame Control Header:フレーム制御ヘッダ)412と、DL−MAP(Down Link Mapping message:下りリンクマップ情報)413と、UL−MAP(Up Link Mapping message:上りリンクマップ情報)414とが含まれている。
プリアンブル信号411は、通信の初期段階でMS100がBS200との間で同期を確立したり或いはBS200から送信されるフレーム400の品質を計測したりするために用いられる信号である。
FCH412は、後続するDL−MAP413やUL−MAP414等の制御情報をMS100が正しく読み取ることができるように、DL−MAP413やUL−MAP414の変調方式や符号化方式などを端末に伝えるために送信される報知情報である。
DL−MAP413及びUL−MAP414は、DLサブフレーム部分420やULサブフレーム部分430中に含まれる各種データの位置を示す制御情報である。例えば、DLサブフレーム部分420やULサブフレーム部分430中において、各種データがバーストの単位で含まれている場合には、DL−MAP413及びUL−MAP414は、バーストの特性(例えば、各バーストのサイズや、各バーストの位置や、各バーストの変調方式や、各バーストの符号化方式や、各バーストの送信電力を指定するゲイン等)を示す制御情報(例えば、DIUC(Downlink Interval Usage Code)やUIUC(Uplink Interval Usage Code)等のバーストプロファイル情報)を含んでいる。
DLサブフレーム部分420は、BS200からMS100へ送信するデータを含んでいる。より具体的には、DLサブフレーム部分420は、DLサブフレーム部分420中にて正方形ないしは長方形の領域を占める一又は複数のバーストによって分割されている。各バーストのサイズや各バーストの位置(言い換えれば、各バーストに属するシンボル数)や各バーストに属するサブキャリアの変調方式や各バーストに属するデータの符号化方式や各バーストに属するサブキャリアの送信電力を指定するゲイン等は、上述したDL−MAP413中のバーストプロファイル情報によって特定される。また、図示しないが、DLサブフレーム部分420を複数のZoneに分割するように構成してもよい。
ULサブフレーム部分430は、MS100からBS200へ送信するデータを含む。より具体的には、図3(b)に示すように、ULサブフレーム部分430は、複数のZone(Zone#1、Zone#2、・・・)等に分割されている。また、各Zoneは、各Zone中にて矩形の領域を占める一又は複数のバーストによって分割されている。尚、図3(b)では、4つのバーストによって分割されている例を示している。各バーストのサイズや各バーストの位置(言い換えれば、各バーストに属するシンボル数)や各バーストに属するサブキャリアの変調方式や各バーストに属するデータの符号化方式や各バーストに属するサブキャリアの送信電力を指定するゲイン等は、上述したUL−MAP414中のバーストプロファイル情報によって特定される。また、図3(b)に示す例では、ULサブフレーム部分430を複数のZone(Zone#1、Zone#2、・・・)に分割すると共に、各Zoneが一又は複数のバーストによって分割されている例について説明している。しかしながら、ULサブフレーム部分430を複数のZoneに分割することなく1つの領域として扱うように構成してもよい。
尚、図3(b)では、シンボル方向(つまり、時間軸方向)における送信電力の変化についても示している。具体的には、図3(b)は、シンボル方向における時刻T1からT6の夫々のタイミングでの、サブキャリア毎の(或いは、バースト毎のないしはサブチャネル毎の)送信電力を示している。第2実施形態に係るMS100は、上述したUIUCに基づいてサブキャリア毎の(或いは、バースト毎のないしはサブチャネル毎の)送信電力を調整すると共に、BS200から送信される送信電力制御プロトコルに応じた制御メッセージに基づいて、MS100全体としての最終的な総送信電力(つまり、図3(b)の各時刻の送信電力の総和)を調整している。更には、総送信電力が安定的な無線通信を行うことが可能な最大送信電力を超過しないように、必要に応じて総送信電力を調整している。以下、このような動作を行うMS100の構成及び動作についてより詳細に説明する。
(2−2)MS(無線端末)の基本構成
続いて、図4を参照して、第2実施形態に係るMS100の基本構成について説明する。ここに、図4は、第2実施形態に係るMS100の基本構成を示すブロック図である。
図4に示すように、MS100は、その要部に着目すれば、制御回路110と、ベースバンド処理回路120と、送信回路130とを備えている。
制御回路110は、MS100全体の動作を制御する。制御回路110としては、例えば所定のファームウェアに基づいて動作するCPU(Central Processor Unit)等が一例としてあげられる。このような動作を行うために、制御回路110は特に、その内部に構成される論理的な若しくは機能的な処理ブロック又は物理的な処理回路として、送信電力決定部111と、ゲイン振分処理部112と、プロトコル処理部113とを備えている。
送信電力決定部111は、上述したUIUCに基づいてバースト毎の送信電力のゲインを決定すると共に、決定されたゲインをサブキャリア毎ゲイン調整部123に対して指示値として出力する。尚、UIUCは、例えば、バーストの変調方式を特定すると共に、変調方式の種別に応じた相対ゲインを設定している。従って、送信電力決定部111は、UIUCにより特定される相対ゲインをサブキャリア毎ゲイン調整部123に対して出力してもよい。この場合、サブキャリア毎ゲイン調整部123は、サブキャリア毎の所定の基準電力に対して相対ゲインだけ送信電力を増加又は減少させることで、サブキャリア毎の送信電力を調整する。
また、送信電力決定部111は、「第1算出部」、「第2算出部」及び「第3算出部」として機能する処理部を示し、MS100全体としての総送信電力を算出すると共に、算出された総送信電力及びBS200から送信される電力制御プロトコルに応じた制御メッセージが指定するゲインの夫々に基づいて、MS100全体としての総送信電力のゲインを決定する。また、送信電力決定部111は、決定した総送信電力のゲインを、ゲイン振分処理部112に対して指示値として出力する。
ゲイン振分処理部112は、本発明における「調整部」の一例を構成しており、送信電力決定部111において決定されたゲインに基づいて、ベースバンドゲイン調整部126のゲインG_DBB及びRFゲイン調整部131のゲインG_RFの夫々を決定する。また、ゲイン振分処理部112は、ゲインG_DBBをベースバンドゲイン調整部126に対して指示値として出力すると共に、ゲインG_RFをRFゲイン調整部131に対して指示値として出力する。
プロトコル処理部113は、MS100がフレーム400を生成するために必要な各種制御情報(例えば、UL−MAP414等)を、BS200から送信されるフレーム400からを抽出すると共に、該制御情報をベースバンド処理回路120に出力する。また、プロトコル処理部113は、MS100からBS200に対して送信するべき送信データをベースバンド処理回路120に出力する。その結果、ベースバンド処理回路120は、各種変調処理や符号化処理等を行うことで、送信データを含むフレーム400の生成処理を行う。また、プロトコル処理部113は、BS200より送信される電力制御プロトコルに応じた制御メッセージを解析すると共に、該制御メッセージを送信電力決定部111に対して出力する。その結果、送信電力決定部111は、BS200より送信される電力制御プロトコルに応じた制御メッセージに基づいて、各種ゲインを決定する。
ベースバンド処理回路120は、送信データを含むフレーム400を送信するためのベースバンド信号を生成すると共に、該ベースバンド信号をアナログ信号に変換した送信信号を送信回路130に対して出力する。このような動作を行うために、ベースバンド処理回路120は特に、送信タイミング生成回路121と、OFDMA信号生成部122と、サブキャリア毎ゲイン調整部123と、送信フレーム構成データ制御部124と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)部125と、ベースバンドゲイン調整部126と、D/A(Digital to Analogue)変換部127とを備えている。
送信タイミング生成回路121は、フレーム400を送信するタイミングに同期する同期信号をOFDMA信号生成部122やサブキャリア毎ゲイン調整部123に対して指示する。その結果、OFDMA信号生成部122やサブキャリア毎ゲイン調整部123は、フレーム400を送信するタイミングに同期しながらフレーム400を適宜生成することができる。
OFDMA信号生成部122は、OFDMA信号を生成する。つまり、OFDMA信号生成部122は、送信データの符号化(例えば、畳込み符号やターボ符号等の誤り訂正符号化)処理や、QPSK変調や64QAM変調等の変調処理を行うことで、送信データを含むOFDMA信号を生成する。また、OFDMA信号生成部122は、生成したOFDMA信号をサブキャリア毎ゲイン調整部123へ出力する。
サブキャリア毎ゲイン調整部123は、送信電力決定部111により指定されるゲインにて、サブキャリア毎の送信電力を調整する。具体的には、送信電力決定部111によりバースト毎のゲインが指定されるため、サブキャリア毎ゲイン調整部123は、各サブキャリアがどのバーストに属するかを適宜判定しながら、サブキャリア毎の送信電力を調整する。
送信フレーム構成データ制御部124は、プロトコル処理部113より出力される制御情報に基づいて、フレーム400の形式を有するOFDMA信号を生成するようにOFDMA信号生成部122やサブキャリア毎ゲイン調整部123の夫々の動作を制御する。
IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)部125と、OFDMA信号生成部122により周波数軸上の信号として生成されるOFDMA信号を、時間軸上の信号に変換する。つまり、IFFT部125は、サブキャリア毎に(言い換えれば、周波数毎に)生成された各種変調信号を集約することで、ベースバンド信号を生成する。また、IFFT部125は、ベースバンド信号をベースバンドゲイン調整部126へ出力する。
ベースバンドゲイン調整部126は、送信電力決定部111により指定されるゲインG_DBBにて、ベースバンド信号の送信電力を調整する。また、ベースバンドゲイン調整部126は、送信電力を調整したベースバンド信号をD/A変換部127へ出力する。
D/A(Digital to Analogue)変換部127は、ベースバンド信号をアナログ信号に変換することで送信信号を生成する。また、D/A変換部127は、生成した送信信号を送信回路130へ出力する。
送信回路130は、ベースバンド処理回路120において生成された送信信号を、実際にBS200に対して送信する。このような動作を行うために、送信回路130は特に、RFゲイン調整部131と、アンテナ132とを備えている。
RFゲイン調整部131は、ベースバンド処理回路120より出力される送信信号を、所望の送信周波数に変調された信号に変換すると共に、送信電力決定部111により指定されるゲインG_RFにて送信信号の送信電力を調整する。その結果、送信信号は、アンテナ132からBS200に向けて空間に放射される。
尚、図4では、MS100の送信系の回路構成を示しているが、MS100が受信系の回路構成を有していてもよいことはいうまでもない。
(2−3)MS(無線端末)の動作
続いて、図5及び図6を参照して、第2実施形態に係る無線通信システム1000のうちのMS100動作の流れについて説明する。ここに、図5は、第2実施形態に係るMS100の動作の全体の流れを示すフローチャートであり、図6は、送信電力許容値P_limitを概念的に示すグラフである。尚、図5では、MS100の総送信電力が安定的な無線通信を行うことが可能な最大の送信電力である送信電力最大値P_maxを超過しないように総送信電力を調整する際の動作について説明する。従って、図5には図示しないが、図5に示す動作と並行して、MS100からBS200へのフレーム400の送信動作が行われていることが好ましい。
図5に示すように、まず、送信電力決定部111の動作により、本発明における「第3の演算」の一例を構成する簡略化演算を用いて、MS100がフレーム400を送信するために必要な総送信電力P_all’が算出される(ステップS101)。このとき、UIUCに基づくサブキャリア毎ゲイン調整部123の動作によってバースト毎の送信電力の調整が行われた後に、ステップS101における処理が行われることが好ましい。但し、サブキャリア毎ゲイン調整部123によるバースト毎の送信電力の調整が行われる前に、ステップS101における処理が行われてもよい。
ここで、ステップS101において用いられる簡略化演算として、複数のサブキャリアのうち送信電力が最大となるサブキャリアの送信電力(以降、適宜“最大サブキャリア電力”と称する)及びMS100からのデータの送信に実際に使用されるサブキャリアの本数(つまり、データの送信に実際に使用されるバーストに属するサブキャリアの本数であり、以降適宜“送信サブキャリア数”と称する)に基づいて、総送信電力P_all’を算出する演算方法が一例としてあげられる。この演算方法では、最大サブキャリア電力と送信サブキャリア数との乗算結果を、総送信電力P_all’として取り扱うことが好ましい。
最大サブキャリア電力は、データの送信に実際に使用されるバーストに属するサブキャリアのうちの送信電力が最大となるサブキャリアの送信電力であってもよい。この場合、最大サブキャリア電力は、UIUCにより指定されるバーストの相対ゲインを参照することで比較的容易に算出することができる。つまり、UIUCにより指定される相対ゲインのうち最大の相対ゲインで送信電力の調整を行った後のサブキャリアの送信電力が、最大サブキャリア電力となる。或いは、最大サブキャリア電力は、サブキャリアが実際にバーストに属するか否かに関わらず(つまり、サブキャリアが実際のデータの送信に使用されるか否かに関わらず)、UIUC等により指定される全てのサブキャリアの送信電力のうちの最大となる送信電力であってもよい。或いは、最大サブキャリア電力は、UIUCにより指定される相対ゲインでの送信電力の調整を行う前のサブキャリアの送信電力(つまり、サブキャリア毎の基準電力)であってもよい。
また、送信サブキャリア数は、ULサブフレーム部分430に属するバーストのサイズ(言い換えれば、シンボル数)とULサブフレーム部分430(或いは、ULサブフレーム部分430を更に分割したZone)のサイズとに基づいて算出することができる。これらのサイズは、UL−MAP414を参照することで特定することができる。この場合、送信サブキャリア数は、フレーム400に属するバーストのサイズ/ULサブフレーム部分430(或いは、ULサブフレーム部分430を更に分割したZone)のサイズにて特定される。但し、簡略化演算であることを考慮して、フレーム400に属するバーストのサイズ/ULサブフレーム部分430(或いは、ULサブフレーム部分430を更に分割したZone)のサイズの端数部分(小数点以下の部分)は切り上げることが好ましい。
但し、ULサブフレーム部分430では、UL−MAP414によってバーストの開始点とバーストのサイズとが指定されることで、各バーストが特定される。つまり、各バーストは、ULサブフレーム部分430の境界(或いは、Zoneの境界)にて折り返すような形状を有する。従って、サブキャリア毎に且つシンボル毎にいずれのバーストに属するかを判定することで、送信サブキャリア数を相応に厳密に算出してもよい。
ここで、簡略化演算の一例を、図3(b)に示したULサブフレーム部分430の例を用いながら具体的に説明する。ここで、図3(b)に示すULサブフレーム部分430を分割して得られるZone#1のサイズが6シンボルであるとする。また、Zone#1に属するバースト#1のシンボル数が20シンボルであり、Zone#1に属するバースト#2のシンボル数が8シンボルであり且つZone#1に属するバースト#3のシンボル数が10シンボルであるとする。この場合、バースト#1に属するサブキャリアの本数は、20/6=3.33・・・≒4本となる。同様に、バースト#2に属するサブキャリアの本数は、8/6=1.33・・・≒2本となる。同様に、バースト#3に属するサブキャリアの本数は、10/6=1.66・・・≒2本となる。従って、送信サブキャリア数は、4+2+2=8本となる。
尚、ULサブフレーム部分430に支配項となり得る程度にサイズが大きいバーストが存在するか否かに応じて、上述した簡略化演算の態様を変更するように構成してもよい。具体的には、ULサブフレーム部分430に支配項となり得る程度にサイズが大きいバーストが存在する場合には、支配項となり得る程度にサイズが大きいバーストに属するサブキャリアの送信電力を最大サブキャリア電力として算出してもよい。これは、支配項となり得る程度にサイズが大きいバーストが存在しているのであれば、そのバーストが総送信電力の値に対して大きく寄与するからである。他方で、ULサブフレーム部分430に支配項となり得る程度にサイズが大きいバーストが存在しない場合には、上述のように複数のサブキャリアのうち送信電力が最大となるサブキャリアの送信電力が最大サブキャリア電力となる。この場合、ULサブフレーム部分430に支配項となり得る程度にサイズが大きいバーストが存在するか否かの判定は、個別のバーストのサイズと、全てのバーストのサイズの総和との割合に応じて行われることが好ましい。例えば、個別のバーストのサイズが、全てのバーストのサイズの総和に対して所定割合以上(例えば、50%以上)となる場合に、ULサブフレーム部分430に支配項となり得る程度にサイズが大きいバーストが存在すると判定されてもよい。例えば、図3(b)に示すULサブフレーム部分430において、Zone#1に属するバースト#1のシンボル数が20シンボルであり、Zone#1に属するバースト#2のシンボル数が8シンボルであり且つZone#1に属するバースト#3のシンボル数が10シンボルである場合について説明する。この場合、全てのバーストのサイズの総和は、20+8+10=38となる。従って、バースト#1のサイズと全てのバーストのサイズの総和との割合は、20/38=52.6%>50%となる。従って、この場合は、ULサブフレーム部分430に支配項となり得る程度にサイズが大きいバースト#1が存在すると判定される。従って、バースト#1に属するサブキャリアの送信電力が、最大サブキャリア電力として算出される。
再び図5において、続いて、送信電力決定部111の動作により、ステップS101において算出された総送信電力P_all’が、所定の送信電力許容値P_limit以下であるか否かが判定される(ステップS102)。送信電力許容値P_limitとしては、図6に示すように、安定的な無線通信を行うことができる送信電力の最大値である送信電力最大値P_maxから、簡略化演算により生ずる誤差を差し引いた値を設定してもよい。
ステップS102における判定の結果、総送信電力P_all’が送信電力許容値P_limit以下であると判定された場合には(ステップS102:Yes)、実際の総送信電力が、送信電力最大値P_maxを超えることはないと推定される。従って、送信電力決定部111及びゲイン振分処理部112の動作により、ベースバンド処理回路120の出力が適切な信号レベルとなるようにゲインG_DBBが設定されると共に、BS200から送信される電力制御プロトコルに応じた制御メッセージが指定する送信電力でのフレーム400の送信が行われるようにゲインG_RFが設定される(ステップS103)。
尚、RFゲイン調整部131の回路特性を考慮すれば、RFゲイン調整部131への入力電力レベルを一定にすることが好ましい場合がある。このため、ステップS103では、RFゲイン調整部131への目標入力電力レベルと、簡略化演算により算出された総送信電力P_all’との差分に基づいて、ゲインG_DBBを設定してもよい。
他方、ステップS102における判定の結果、総送信電力P_all’が送信電力許容値P_limit以下でないと判定された場合には(ステップS102:No)、実際の総送信電力が送信電力最大値P_maxを超えているかもしれないと推定される。従って、この場合は、送信電力決定部111の動作により、本発明における「第1の演算」の一例を構成する高精度演算を用いて、MS100がフレーム400を送信するために必要な総送信電力P_allが算出される(ステップS104)。尚、高精度演算としては、上述した簡略化演算と比較して演算の精度が高い限りは任意の演算方法を採用してもよいが、一例として特開2004−519182号公報に開示されている演算方法があげられる。この演算方法では、時間軸方向のフレーム構造の変化(例えば、バースト割り当ての態様の変化)を考慮し且つ各サブキャリアがいずれのバーストに属するものであるかを判定しながら、サブキャリア毎の送信電力の総和を逐次算出することで総送信電力P_allを算出している。
その後、送信電力決定部111の動作により、ステップS104において算出された総送信電力P_allが送信電力最大値P_max以下であるか否かが判定される(ステップS105)。
ステップS105における判定の結果、総送信電力P_allが送信電力最大値P_max以下であると判定された場合には(ステップS105:Yes)、送信電力決定部111及びゲイン振分処理部112の動作により、ベースバンド処理回路120の出力が適切な信号レベルとなるようにゲインG_DBBが設定されると共に、BS200から送信される電力制御プロトコルに応じた制御メッセージが指定する送信電力でのフレーム400の送信が行われるようにゲインG_RFが設定される(ステップS103)。
他方、ステップS105における判定の結果、総送信電力P_allが送信電力最大値P_max以下でないと判定された場合には(ステップS105:No)、例えば波形歪み等が生じて安定的な無線通信を行うことができないと推定される。従って、この場合は、送信電力決定部111の動作により、送信電力飽和補正制御が行なわれる(ステップS106)。具体的には、送信電力決定部111の動作により、送信電力最大値P_maxを超過している分だけ総送信電力P_allが小さくなるように、総送信電力のゲインが決定される。その後、ゲイン振分処理部112の動作により、送信電力飽和補正制御によって決定されたゲインに応じて、ゲインG_DBB及びゲインG_RFが設定される(ステップS103)。
以上説明したように、第2実施形態に係るMS100は、簡略化演算によって算出された総送信電力P_all’が送信電力許容値P_limit以下でない場合に選択的に、サブキャリア毎の送信電力を厳密に算出する高精度演算を用いて総送信電力P_allを算出すれば足りる。言い換えれば、MS100は、簡略化演算によって算出された総送信電力P_all’が送信電力許容値P_limit以下である場合には、高精度演算を用いて総送信電力P_allを算出する必要が必ずしもない。従って、第2実施形態に係るMS100によれば、常に高精度演算を用いて総送信電力P_allを算出する必要があるMSと比較して、MS100の処理負荷を相対的に低減させることができる。従って、総送信電力を相対的には簡便に算出すると共に、相対的には簡便に送信電力飽和補正制御を行うことができる。
また、最大サブキャリア電力と送信サブキャリア数とに基づいて総送信電力P_all’を算出する簡略化演算を用いることで、比較的容易に総送信電力P_all’を算出することができる。更には、対数軸上の値(デジベル値)として表現されるバーストの相対ゲインをリニア軸上の値に変換することなく総送信電力P_all’を算出することも可能であるため、MS100の処理負荷を相対的に低減させることができる。
加えて、ULサブフレーム部分430に支配項となり得る程度にサイズが大きいバーストが存在するか否かに応じて簡略化演算の態様を変更することで、簡略化演算であっても総送信電力P_all’を相応に高精度に算出することができる。
(3)第3実施形態
続いて、図7を参照して、第3実施形態に係るMS100aについて説明する。ここに、図7は、第3実施形態に係るMS100aの基本構成を示すブロック図である。なお、第3実施形態においては、第2実施形態に係るMS100と同様の構成については同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図7に示すように、第3実施形態に係るMS100aは、第2実施形態に係るMS100と同様に、その要部に着目すれば、ベースバンド処理回路120と、送信回路130とを備えている。また、第3実施形態に係るMS100aは、送信電力決定部111と、ゲイン振分処理部112と、プロトコル処理部113とを備える制御回路110aを備えている。
第3実施形態に係るMS100aでは特に、制御回路110aは、処理負荷判定部114aを備えている。処理負荷判定部114aは、制御回路110aの処理負荷を適宜モニタリング可能に構成されている。そして、制御回路110aの処理負荷が所定負荷以上となった場合(例えば、CPU使用率が80%以上となった場合等)には、処理負荷判定部114aは、処理負荷が所定負荷以上であることを示す制御信号を送信電力決定部111に対して出力する。
送信電力決定部111は、処理負荷判定部114aから処理負荷が所定負荷以上であることを示す制御信号が出力された場合には、上述した高精度演算を行わない。この場合、送信電力決定部111は、簡略化演算により算出された総送信電力P_all’が送信電力最大値P_max以上である場合に、送信電力飽和制御を行なう。
これにより、上述した第2実施形態に係るMS100が享受する効果を享受しつつも、本来であれば高精度演算に割り当てられる処理負荷を、その他の処理(例えば、データの送受信処理等)のために使用することができる。特に、処理負荷を下げなければデータの送受信処理に欠落が生じてしまうような状況では、高精度演算により算出された総送信電力P_allに基づいて送信電力飽和制御を行なうことよりも、データの送受信処理を優先させることが、安定的な無線通信という観点からは好ましい。このため、第3実施形態に係るMS100aによれば、MS100aの本来の機能である無線通信に悪影響を与えることはなくなる。それでいて、簡略化演算により算出された総送信電力P_all’に基づいて送信電力飽和制御を行なうことができるため、送信電力最大値P_max以上の過大な総送信電力でフレーム400が送信されてしまう不都合をも相応に防ぐことができる。
(4)第4実施形態
続いて、図8及び図9を参照して、第4実施形態に係るMS100bについて説明する。ここに、図8は、第4実施形態に係るMS100bの基本構成を示すブロック図であり、図9は、第4実施形態に係るMS100bの動作の流れを示すフローチャートである。
図8に示すように、第4実施形態に係るMS100bは、第2実施形態に係るMS100と同様に、その要部に着目すれば、ベースバンド処理回路120と、送信回路130とを備えている。また、第4実施形態に係るMS100bは、送信電力決定部111と、ゲイン振分処理部112と、プロトコル処理部113とを備える制御回路110bを備えている。
第4実施形態に係るMS100bでは特に、制御回路110bは、送信形式判定部115bを備えている。送信形式判定部115bは、今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400のフレーム構造が、前回総送信電力P_allの算出の対象となった送信されたフレーム400のフレーム構造と同等であるか否かを適宜判定可能に構成されている。以下、送信形式判定部115bのより詳細な動作を含めて、第4実施形態に係るMS100bの動作について、図9を参照しながら説明する。尚、図9において、図5に示す動作を同様の動作については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明については省略する。
図9に示すように、第4実施形態に係るMS100bにおいても、上述した第2実施形態に係るMS100と同様に、ステップS101及びS102の動作が行われる。
ステップS102における判定の結果、総送信電力P_all’が送信電力許容値P_limit以下であると判定された場合には(ステップS102:Yes)、送信電力決定部111及びゲイン振分処理部112の動作により、ベースバンド処理回路120の出力が適切な信号レベルとなるようにゲインG_DBBが設定されると共に、BS200から送信される電力制御プロトコルに応じた制御メッセージが指定する送信電力でのフレーム400の送信が行われるようにゲインG_RFが設定される(ステップS103)。
他方、ステップS102における判定の結果、総送信電力P_all’が送信電力許容値P_limit以下でないと判定された場合には(ステップS102:No)、続いて、送信形式判定部115bの動作により、今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400のフレーム構造が、前回総送信電力P_allの算出の対象となったフレーム400のフレーム構造と同等であるか否かが判定される(ステップS201)。つまり、前回総送信電力P_allの算出の対象となったフレーム400のフレーム構造と比較して、今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400のフレーム構造が変化しているか否かが判定される。
ここで、フレーム構造が変化しているか否かの判定は、例えば、(i)今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズが、前回総送信電力P_allの算出の対象となったフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズと同等であるか否か、(ii)今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのゲインが、前回総送信電力P_allの算出の対象となったフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのゲインと同等であるか否か、及び(iii)ULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズが所定サイズ以上であるか否かに応じて行われることが好ましい。この判定の根拠となるパラメータ(つまり、バーストのサイズやゲイン等)は、上述したUL−MAP414等を参照することで比較的容易に特定することができる。例えば、(i)今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズが、前回総送信電力P_allの算出の対象となったフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズと同等であり、(ii)今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのゲインが、前回総送信電力P_allの算出の対象となったフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのゲインと同等であり、且つ(iii)ULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズが所定サイズ以上である場合には、フレーム構造が変化していないと判定されることが好ましい。他方で、例えば、(i)今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズが、前回総送信電力P_allの算出の対象となったフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズと同等でない、(ii)今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのゲインが、前回総送信電力P_allの算出の対象となったフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのゲインと同等でない、又は(iii)ULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズが所定サイズ以上でない場合には、フレーム構造が変化していると判定されることが好ましい。
もちろん、これ以外の方法で、フレーム構造が変化しているか否かを判定してもよい。但し、どのような方法を採用する場合であっても、バーストのサイズ(或いは、バーストの形状や割り当ての態様等)及びゲインそのものに起因した総送信電力が大きく変化すると想定される場合にはフレーム構造が変化していると判定されることが好ましく、且つバーストのサイズ(或いは、バーストの形状や割り当ての態様等)及びゲインそのものに起因した総送信電力が大きく変化しない或いは同等であると想定される場合にはフレーム構造が変化してないと判定されることが好ましい。
ステップS201における判定の結果、前回総送信電力P_allの算出の対象となったフレーム400のフレーム構造と比較して、今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400のフレーム構造が変化していないと判定された場合には(ステップS201:No)、送信電力決定部111の動作により、本発明の「第2の演算」の一例を構成する差分演算により、総送信電力P_allが算出される(ステップS202)。ここで、差分演算は、前回算出された総送信電力P_allに対して、BS200からの制御による総送信電力の調整量(特に、前回総送信電力P_allを算出してから今回総送信電力P_allを算出するまでの調整量)を加算する演算が一例としてあげられる。言い換えれば、差分演算は、前回算出された総送信電力P_allに対して、フレーム400自身或いはサブキャリアそのものに依存しない総送信電力の調整量を加算する演算が一例としてあげられる。このような差分演算は、具体的には例えば、前回算出された総送信電力P_allに対して、BS200から送信される電力制御プロトコルに応じた制御メッセージ等の指示によるサブキャリア全体の送信電力の調整量を加算する演算が一例としてあげられる。
尚、今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのゲインが、他のバーストのゲインと比較して相対的に大きい場合には、該サイズが最大となるバーストが総送信電力の算出に対して大きく寄与すると考えられる。従って、サイズが最大となるバーストのゲインが、他のバーストのゲインと比較して相対的に大きい場合には、BS200からの制御による総送信電力の調整量に加えて、サイズが最大となるバーストのゲインの変化量(例えば、今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのゲインと、前回総送信電力P_allの算出の対象となったフレーム400中のULサブフレーム部分430に含まれるバーストのうちサイズが最大となるバーストのゲインとの差分)に応じた送信電力の調整量を更に加算するように構成してもよい。
その後、送信電力決定部の動作により、ステップS202において算出された総送信電力P_allが送信電力最大値P_max以下であるか否かが判定される(ステップS203)。
ステップS202における判定の結果、総送信電力P_allが送信電力最大値P_max以下であると判定された場合には(ステップS203:Yes)、実際の総送信電力が、送信電力最大値P_maxを超えることはないと推定される。従って、送信電力決定部111及びゲイン振分処理部112の動作により、ベースバンド処理回路120の出力が適切な信号レベルとなるようにゲインG_DBBが設定されると共に、BS200から送信される電力制御プロトコルに応じた制御メッセージが指定する送信電力でのフレーム400の送信が行われるようにゲインG_RFが設定される(ステップS103)。
他方で、ステップS202における判定の結果、総送信電力P_allが送信電力最大値P_max以下でないと判定された場合には(ステップS203:No)、送信電力決定部111の動作により、送信電力飽和補正制御が行なわれる(ステップS106)。具体的には、送信電力決定部111の動作により、送信電力最大値P_maxを超過している分だけ総送信電力P_allが小さくなるように、総送信電力のゲインが決定される。その後、ゲイン振分処理部112の動作により、送信電力飽和補正制御によって決定されたゲインに応じて、ゲインG_DBB及びゲインG_RFが設定される(ステップS103)。
他方で、ステップS201における判定の結果、前回総送信電力P_allの算出の対象となったフレーム400のフレーム構造と比較して、今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400のフレーム構造が変化していると判定された場合には(ステップS201:Yes)、続いて、送信電力決定部111の動作により、ステップS101において算出された総送信電力P_all’が送信電力最大値P_max以下であるか否かが判定される(ステップS211)。
ステップS211における判定の結果、総送信電力P_all’が送信電力最大値P_max以下であると判定された場合には(ステップS211:Yes)、実際の総送信電力が、送信電力最大値P_maxを超えることはないと推定される。従って、送信電力決定部111及びゲイン振分処理部112の動作により、ベースバンド処理回路120の出力が適切な信号レベルとなるようにゲインG_DBBが設定されると共に、BS200から送信される電力制御プロトコルに応じた制御メッセージが指定する送信電力でのフレーム400の送信が行われるようにゲインG_RFが設定される(ステップS103)。
他方、ステップS211における判定の結果、総送信電力P_all’が送信電力最大値P_max以下でないと判定された場合には(ステップS211:No)、実際の総送信電力が送信電力最大値P_maxを超えているかもしれないと推定される。但し、第3実施形態において説明したように、高精度演算を行う程度にMS100cの処理能力に余裕がなければ、データ送受信処理を優先させるために、高精度演算を行わないことが好ましい。従って、この場合、不図示の処理負荷判定部114bの動作により、制御回路110cの処理能力に余裕があるか否かが判定される(ステップS212)。つまり、制御回路110cが行っている処理の処理負荷が所定負荷(例えば、80%)以上であるか否かが判定される(ステップS212)。但し、この判定動作を行うことなく、直接ステップS104へ進んでもよい。
ステップS212における判定の結果、制御回路110cの処理能力に余裕がない(つまり、制御回路110cが行っている処理の処理負荷が所定負荷以上である)と判定された場合には(ステップS212:No)、高精度演算を行うことなく、ステップS101の簡略化演算により算出された総送信電力P_all’に基づいて、送信電力飽和補正制御が行なわれる(ステップS106)。つまり、送信電力決定部111の動作により、送信電力最大値P_maxを超過している分だけ総送信電力P_all’が小さくなるように、総送信電力のゲインが決定される。その後、ゲイン振分処理部112の動作により、送信電力飽和補正制御によって決定されたゲインに応じて、ゲインG_DBB及びゲインG_RFが設定される(ステップS103)。
他方、ステップS212における判定の結果、制御回路110cの処理能力に余裕がある(つまり、制御回路110cが行っている処理の処理負荷が所定負荷以上でない)と判定された場合には(ステップS212:Yes)、送信電力決定部111の動作により、高精度演算を用いて総送信電力P_allが算出される(ステップS104)。
その後、送信電力決定部111の動作により、ステップS104において算出された総送信電力P_allが送信電力最大値P_max以下であるか否かが判定される(ステップS105)。
ステップS105における判定の結果、総送信電力P_allが送信電力最大値P_max以下であると判定された場合には(ステップS105:Yes)、送信電力決定部111及びゲイン振分処理部112の動作により、ベースバンド処理回路120の出力が適切な信号レベルとなるようにゲインG_DBBが設定されると共に、BS200から送信される電力制御プロトコルに応じた制御メッセージが指定する送信電力でのフレーム400の送信が行われるようにゲインG_RFが設定される(ステップS103)。
他方、ステップS105における判定の結果、総送信電力P_allが送信電力最大値P_max以下でないと判定された場合には(ステップS105:No)、送信電力決定部111の動作により、送信電力飽和補正制御が行なわれる(ステップS106)。具体的には、送信電力決定部111の動作により、送信電力最大値P_maxを超過している分だけ総送信電力P_allが小さくなるように、総送信電力のゲインが決定される。その後、ゲイン振分処理部112の動作により、送信電力飽和補正制御によって決定されたゲインに応じて、ゲインG_DBB及びゲインG_RFが設定される(ステップS103)。
以上説明したように、第4実施形態に係るMS100cは、上述した第2実施形態に係るMS100が享受する効果を享受しつつ、フレーム構造に変化がない場合には高精度演算よりも簡略化された差分演算を用いて総送信電力P_allを算出することができる。従って、フレーム構造に変化がない場合には、高精度演算を行う必要がなくなる。このため、常に高精度演算を用いて総送信電力P_allを算出する必要があるMSと比較して、MS100cの処理負荷を相対的に低減させることができる。
加えて、対数軸上の値(つまり、デジベル値)として算出されている前回の総送信電力P_allと対数軸上の値として管理されているBS200からの制御による総送信電力の調整量とを単純に加算することで、今回の総送信電力P_allを比較的容易に算出することができる。言い換えれば、総送信電力P_allを算出するために、総送信電力P_allや調整量を対数軸上の値からリニア軸上の値に変換して加算した後に再度対数軸上の値に変換する必要は必ずしもない。このため、MS100bの処理負荷を相対的に低減させることができる。
尚、図9の説明では、簡略化演算を行っているが、簡略化演算を必ずしも行わなくともよい。例えば、図9のステップS101からS102を行うことなく、フレーム構造が変化しているか否かの判定に応じて、差分演算の結果に基づく送信電力飽和補正制御を行うか又は高精度演算の結果に基づく送信電力飽和補正制御を行うかを決定するように構成しても、よい。このように構成しても、高精度演算よりも簡略化された差分演算を用いている以上、少なくとも常に高精度演算を用いて総送信電力P_allを算出必要があるMSと比較して、MS100bの処理負荷を相対的に低減させることができる。
(5)第5実施形態
続いて、図10を参照して、第5実施形態に係るMS100cについて説明する。ここに、図10は、第5実施形態に係るMS100cの基本構成を示すブロック図である。
図10に示すように、第5実施形態に係るMS100cは、第2実施形態に係るMS100と同様に、その要部に着目すれば、ベースバンド処理回路120と、送信回路130とを備えている。また、第5実施形態に係るMS100cは、送信電力決定部111と、ゲイン振分処理部112と、プロトコル処理部113とを備える制御回路110cを備えている。
第5実施形態に係るMS100cでは特に、制御回路110cは、送受信データ量制御部116cを備えている。送受信データ量制御部116cは、送信電力決定部111により算出される総送信電力P_all’(或いは、P_all)が、送信電力最大値P_maxとなる又は送信電力最大値P_maxに近い値をとる(例えば、送信電力最大値P_maxに対して80%から95%ないしは100%程度の値をとる)場合に、MS100cから送受信されるデータのデータ量を減少させるようにベースバンド処理回路120を制御する。言い換えれば、送受信データ量制御部116cは、送信電力決定部111により算出される総送信電力P_all’(或いは、P_all)が、送信電力最大値P_maxとなる又は送信電力最大値P_maxに近い値をとる場合に、総送信電力P_all’(或いは、P_all)が送信電力最大値P_maxに近い値をとらない場合と比較して、MS100cから送受信されるデータのデータ量を減少させるようにベースバンド処理回路120を制御する。
これにより、MS100cから送受信されるデータのデータ量を減少させた分だけ制御回路110cの処理負荷が低減するため、上述の図5や図9等で示した送信電力飽和補正制御を適切に行なうことができる。仮に、MS100cから送受信されるデータのデータ量を減少させなければ、制御回路110の処理負荷が高くなってしまいかねない。その結果、制御部110cは、上述の図5や図9等で示した送信電力飽和補正制御を適切に行なうための処理能力を確保することができなくなってしまいかねない。これは、送信電力最大値P_maxよりも高い総送信電力でフレーム400の送信が行われてしまうことにもつながりかねない。しかるに、第5実施形態によれば、上述の図5や図9等で示した送信電力飽和補正制御を適切に行なうための処理能力を確保することができるため、上述の図5や図9等で示した送信電力飽和補正制御を適切に行ないながら安定的な無線通信を行うことができる。
尚、上述の説明では、送受信データ量制御部116cが明示的にMS100cから送受信されるデータのデータ量を減少させるようにベースバンド処理回路120を制御している。しかしながら、総送信電力P_all’(或いは、P_all)の算出及び送信電力飽和補正制御の優先度を、データの送受信処理の優先度よりも高くするように制御回路110cが動作してもよい。つまり、明示的にMS100cから送受信されるデータのデータ量を減少させることに代えて、処理負荷が高い場合には優先的に総送信電力P_all’(或いは、P_all)の算出及び送信電力飽和補正制御を行なうように構成してもよい。これにより、データの送受信処理に割り当てられる処理負荷が減少するため、結果として、送受信データ量が減少する。このため、送受信データ量制御部116cが明示的にMS100cから送受信されるデータのデータ量を減少させる場合と同様の効果を享受することができる。
また、制御回路110等の処理負荷が高くなってしまう不都合は、特に相対的に高い処理負荷が要求される高精度演算を用いて総送信電力P_allを算出する際に顕著になる。従って、送受信データ量制御部116cは、高精度演算を行う必要がない場合には、MS100cから送受信されるデータのデータ量を減少させるようにベースバンド処理回路120を制御しなくともよい。例えば、第4実施形態において説明したように、フレーム構造が変化していない場合には、高精度演算と比較して相対的に低い処理負荷が要求される差分演算によって総送信電力P_allを算出し且つ送信電力飽和補正制御を行なうことができる。従って、送受信データ量制御部116cは、送信電力決定部111により算出される総送信電力P_all’(或いは、P_all)が送信電力最大値P_maxとなる又は送信電力最大値P_maxに近い値をとっている場合であっても、今回総送信電力P_allの算出の対象となっているフレーム400のフレーム構造が、前回総送信電力P_allの算出の対象となったフレーム400のフレーム構造と同等である場合には、MS100cから送受信されるデータのデータ量を減少させなくともよい。言い換えれば、送受信データ量制御部116cは、送信電力決定部111により算出される総送信電力P_all’(或いは、P_all)が送信電力最大値P_maxに近い値をとり且つフレーム構造が変化している場合に、MS100cから送受信されるデータのデータ量を減少させるようにベースバンド処理回路120を制御してもよい。
(6)第6実施形態
続いて、図11を参照して、第5実施形態に係るMS100dについて説明する。ここに、図11は、第6実施形態に係るMS100dの基本構成を示すブロック図である。
図11に示すように、第6実施形態に係るMS100dは、第2実施形態に係るMS100と同様に、その要部に着目すれば、ベースバンド処理回路120と、送信回路130とを備えている。また、第6実施形態に係るMS100dは、送信電力決定部111と、ゲイン振分処理部112と、プロトコル処理部113とを備える制御回路110dを備えている。
第6実施形態に係るMS100dでは特に、制御回路110dは、送受信データ量計測部117cを備えている。送受信データ量計測部117dは、MS100から送受信されるデータのデータ量を適宜計測可能に構成されている。特に、送受信データ量計測部117dは、制御回路110dの処理負荷に大きく関わるパラメータ(例えば、送受信PDU数等)を適宜計測可能に構成されていることが好ましい。
送受信データ量計測部117dにより計測されるデータ量がMS100の送信量限界値となる又は送信量限界値に近い値をとる場合には、送信電力決定部111及びゲイン振分処理部112は、上述した簡略化演算により算出される総送信電力P_all’が送信電力最大値P_max(或いは、送信電力許容値P_limit)を超えなくなる程度に総送信電力を減少させる。この制御は、総送信電力P_all’が実際に送信電力最大値P_max(或いは、送信電力許容値P_limit)以上であるか否かに関わらずに行われることが好ましい。つまり、送受信データ量計測部117dにより計測されるデータ量が送信量限界値となる又は送信量限界値に近い値をとる場合には、送信電力決定部111及びゲイン振分処理部112は、総送信電力P_all’が送信電力最大値P_max(或いは送信電力許容値P_limit)を超えなくなると想定される程度にまで総送信電力を予め減少させることが好ましい。
ここで、MS100から送受信されるデータのデータ量が送信量限界値となる又は送信量限界値に近い値をとる場合には、データの送受信処理に制御回路110dの処理能力の多くが占有されていると考えられる。このため、上述の図5や図9等で示した送信電力飽和補正制御を適切に行なうための処理能力を確保することができなくなってしまいかねない。これは、送信電力最大値P_maxよりも高い総送信電力でのフレーム400の送信が行われてしまうことにもつながりかねない。しかるに、第6実施形態によれば、データ量が送信量限界値となる又は送信量限界値に近い値をとる場合には、予め総送信電力を減少させておくことで、送受信されるデータのデータ量を維持しつつも、送信電力飽和補正制御(特に、高精度演算を用いた総送信電力P_allの算出)を行なう必要性を相対的に低くしている。従って、データ量が送信量限界値となる又は送信量限界値に近い値をとる場合であっても、予め総送信電力を減少させておくことで、送受信されるデータのデータ量を維持しつつも、制御回路110dの処理負荷が膨れ上がってしまうという不都合を好適に防止することができる。
尚、上述した第1実施形態から第6実施形態に係るMS100では、例えば制御回路110、ベースバンド処理回路120及び送信回路130の夫々が専用の回路として設けられていても良い。或いは、制御回路110、ベースバンド処理回路120及び送信回路130の少なくとも1つが、汎用のCPU上でのプログラムの動作として実現される機能ブロックないしは処理ブロックとして設けられていてもよい。いずれの場合であっても、上述した各種効果を享受することができることは言うまでもない。
以上説明した第1実施形態から第6実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
マルチキャリア変調方式により変調される送信フレームのフレーム構造が前回送信時のフレーム構造と同等でない場合には、サブキャリア毎に要求される送信電力を算出する第1の演算により前記送信フレームを送信するために必要な総送信電力を算出する第1算出部と、前記送信フレームのフレーム構造が前回送信時のフレーム構造と同等である場合には、前回算出された前記総送信電力に対して、前記送信フレームの送信先である無線基地局の制御による前記総送信電力の調整量を加算する第2の演算により前記総送信電力を算出する第2算出部とを備える無線端末。
(付記2)
前記送信フレームには、情報送信単位であるバーストが複数含まれており、前記複数のバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズ及び該サイズが最大となるバーストのゲインの夫々が前回送信時のサイズ及びゲインの夫々と同一であり、且つ前記サイズが最大となるバーストのサイズが所定サイズ以上である場合に、前記送信フレームのフレーム構造が前回送信時のフレーム構造と同等であると判定される付記1に記載の無線端末。
(付記3)
前記第2算出部は、前回算出された前記総送信電力に対して、前記無線基地局の制御による前記総送信電力の調整量に加えて、前記サイズが最大となるバーストのゲインの変化量に応じた送信電力の調整量を加算することで前記総送信電力を算出する付記2に記載の無線端末。
(付記4)
前記第1の演算よりも簡略化された第3の演算により前記総送信電力を算出する第3算出部を更に備え、前記第1算出部は、前記第3算出部により算出される前記総送信電力が所定の閾値以上である場合に、前記第1の演算により前記総送信電力を算出し、前記第2算出部は、前記第3算出部により算出される前記総送信電力が前記所定の閾値以上である場合に、前記第2の演算により前記総送信電力を算出する付記1から3のいずれか一項に記載の無線端末。
(付記5)
前記第3の演算は、複数のサブキャリアのうち送信電力が最大となるサブキャリアの送信電力及び当該無線端末からの情報の送信に使用されるサブキャリアの本数の夫々に基づく演算である付記4に記載の無線端末。
(付記6)
前記送信フレームには、情報送信単位であるバーストが複数含まれており、前記第3の演算は、(i)前記複数のバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズが所定サイズ以上である場合には、該サイズが最大となるバーストの送信に使用されるサブキャリアの送信電力に基づく演算であり、(ii)前記複数のバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズが前記所定サイズ未満である場合には、複数のサブキャリアのうち送信電力が最大となるサブキャリアの送信電力に基づく演算である付記5に記載の無線端末。
(付記7)
前記第1算出部、前記第2算出部及び前記第3算出部の少なくとも一つにより算出された前記総送信電力に応じて、前記総送信電力を調整する調整部を更に備え、当該無線端末の処理負荷が所定負荷以上である場合には、前記第1算出部は、前記第3算出部により算出される前記総送信電力が前記所定の閾値以上である場合であっても、前記第1の演算により前記総送信電力を算出せず、前記調整部は、前記第2算出部及び前記第3算出部の少なくとも一つにより算出された前記総送信電力に応じて、前記総送信電力を調整する付記4から6のいずれか一項に記載の無線端末。
(付記8)
前記総送信電力が当該無線端末の送信電力限界値に対して所定割合以上の値となる場合に、前記送信フレームの送信レートを低下させる低下部を更に備える付記1から7のいずれか一項に記載の無線端末。
(付記9)
前記送信フレームの送信レートが当該無線端末の送信能力限界値に対して所定の第1割合以上の値となり且つ前記総送信電力が当該無線端末の送信電力限界値に対して所定の第2割合以上となる場合に、前記総送信電力を低下させる低下部を更に備える付記1から7のいずれか一項に記載の無線端末。
(付記10)
マルチキャリア変調方式により変調される送信フレームを送信するために必要な総送信電力を第1の演算により算出する第1算出部と、前記第1算出部により算出される送信電力が所定の閾値以上である場合に、前記第1の演算よりも高精度な第2の演算により前記総送信電力を算出する第2算出部とを備える無線端末。
(付記11)
前記第1の演算は、複数のサブキャリアのうち送信電力が最大となるサブキャリアの送信電力及び当該無線端末からの情報の送信に使用されるサブキャリアの本数の夫々に基づく演算であることを特徴とする付記10に記載の無線端末。
(付記12)
前記送信フレームには、情報送信単位であるバーストが複数含まれており、前記第3の演算は、(i)前記複数のバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズが所定サイズ以上である場合には、該サイズが最大となるバーストの送信に使用されるサブキャリアの送信電力に基づく演算であり、(ii)前記複数のバーストのうちサイズが最大となるバーストのサイズが前記所定サイズ未満である場合には、複数のサブキャリアのうち送信電力が最大となるサブキャリアの送信電力に基づく演算である付記11に記載の無線端末。
(付記13)
前記第1算出部及び前記第2算出部の少なくとも一つにより算出された前記総送信電力に応じて、前記総送信電力を調整する調整部を更に備え、
当該無線端末の処理負荷が所定負荷以上である場合には、前記第2算出部は、前記第1算出部により算出される前記総送信電力が前記所定の閾値以上である場合であっても、前記第2の演算により前記総送信電力を算出せず、前記調整部は、前記第1算出部により算出された前記総送信電力に応じて、前記総送信電力を調整する付記10から12のいずれか一項に記載の無線端末。
(付記14)
前記総送信電力が当該無線端末の送信電力限界値に対して所定割合以上の値となる場合に、前記送信フレームの送信レートを低下させる低下部を更に備える付記10から13のいずれか一項に記載の無線端末。
(付記15)
前記送信フレームの送信レートが当該無線端末の送信能力限界値に対して所定割合以上の値となる場合に、前記総送信電力を低下させる低下部を更に備える付記10から14のいずれか一項に記載の無線端末。
(付記16)
マルチキャリア変調方式により変調された送信フレームを送信するために必要な総送信電力を第1の演算により算出する第1算出部と、前記第1算出部により算出された前記総送信電力が所定の閾値以上の場合に、前記送信フレームの送信レートを低下させる低下部とを備える無線端末。
(付記17)
マルチキャリア変調方式により変調された送信フレームを送信するために必要な総送信電力を第1の演算により算出する第1算出部と、前記送信フレームの送信レートが当該無線端末の送信能力限界値に対して所定の第1割合以上の値となり且つ前記第1算出部により算出された前記総送信電力が当該無線端末の送信電力限界値に対して所定の第2割合以上となる場合に、前記総送信電力を低下させる低下部とを備える無線端末。
(付記18)
マルチキャリア変調方式により変調される送信フレームのフレーム構造が前回送信時のフレーム構造と同等である場合には、サブキャリア毎に要求される送信電力を算出する第1の演算により前記送信フレームを送信するために必要な総送信電力を算出する第1算出工程と、前記送信フレームのフレーム構造が前回送信時のフレーム構造と同等でない場合には、前回算出された前記総送信電力に対して、前記送信フレームの送信先である基地局の制御による前記総送信電力の調整量を加算する第2の演算により前記総送信電力を算出する第2算出工程とを備える無線端末における送信電力算出方法。
(付記19)
マルチキャリア変調方式により変調される送信フレームを送信する無線端末を動作させるコンピュータプログラムであって、前記無線端末に、マルチキャリア変調方式により変調される送信フレームのフレーム構造が前回送信時のフレーム構造と同等である場合には、サブキャリア毎に要求される送信電力を算出する第1の演算により前記送信フレームを送信するために必要な総送信電力を算出する第1算出工程と、前記送信フレームのフレーム構造が前回送信時のフレーム構造と同等でない場合には、前回算出された前記総送信電力に対して、前記送信フレームの送信先である基地局の制御による前記総送信電力の調整量を加算する第2の演算により前記総送信電力を算出する第2算出工程とを実行させるコンピュータプログラム。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう無線端末、無線端末における送信電力算出方法及びコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。