以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下に記述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
図1は本発明が適用される画像形成装置の構成例を示す概略図である。本明細書においては、画像形成装置の奥行き方向をX軸方向、画像形成装置の幅方向をY軸方向、画像形成装置の高さ方向をZ軸方向と定義する。図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味する。X軸方向及びY軸方向は水平2軸方向となっており、Z軸方向は垂直方向(鉛直方向)となっている。このため、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する軸となる。ここで定義するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の直交3軸方向は、画像形成装置全体にわたって各部の構造や位置関係を特定するために随時用いる。また、X軸方向は、その向きによってX方向と−X方向に区分する。同様に、Y軸方向はY方向と−Y方向に区分し、Z軸方向はZ方向と−Z方向に区分する。
図1において、画像形成装置Uは、上面に透明な原稿台であるプラテンガラスPGを有する画像形成装置本体としてのデジタル式の複写機U1と、プラテンガラスPG上に着脱自在に装着される自動原稿搬送装置U2とを備えている。自動原稿搬送装置U2は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて載置される原稿給紙トレイTG1を有している。原稿給紙トレイTG1に載置された複数の各原稿Giは順次プラテンガラスPG上の原稿読み取り位置F1を通過して原稿排紙トレイTG2に排出されるように構成されている。
複写機U1は、画像形成装置の使用者が指示を入力する動作指示入力部U0と、プラテンガラスPGの下方に順次配置された画像読取部U1a及び画像記録部U1bと、画像読取部U1a又は画像記録部U1bに設けられた画像処理部GSとを有している。複写機本体U1上面の透明なプラテンガラスPGの下方に配置された原稿読取装置としての画像読取部U1aは、プラテンレジ位置(OPT位置)に配置された露光系レジセンサ(プラテンレジセンサ)Sp、及び露光光学系Aを有している。
露光光学系Aは、その移動及び停止が露光系レジセンサSpの検出信号により制御され、待機時はホーム位置に停止している。自動原稿搬送装置U2を使用して複写を行なう自動原稿搬送モードの場合は、露光光学系Aはホーム位置に停止した状態で、プラテンガラスPG上の原稿読み取りF1を順次通過する各原稿Giを露光する。原稿Giを使用者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行なうプラテンモードの場合、露光光学系Aは移動しながらプラテンガラスPG上の原稿を露光走査する。露光された原稿Giからの反射光は、露光光学系Aを通って固体撮像素子であるCCD上に収束される。CCDは、その撮像面上に収束された原稿反射光を電気信号に変換する。
画像処理部GSは、画像読取部U1aのCCDから入力された読取画像信号をデジタルの画像書込信号に変換して画像形成部U1bのレーザ駆動信号出力装置DLに出力する。レーザ駆動信号出力装置DLは、入力された画像データに応じたレーザ駆動信号を露光装置ROSに出力する。
露光装置ROSの下方に配置された感光体ドラムPRは、矢印Ya方向に回転する。感光体ドラムPR表面は、帯電領域Q0において帯電ロールCRにより−(マイナス)700Vに帯電された後、潜像書込位置Q1において露光装置ROSのレーザビームLにより露光走査されて−(マイナス)300Vの静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体ドラムPR表面は回転移動して現像領域Q2、シート転写領域Q3を順次通過する。
現像装置Gは、−(マイナス)極性に帯電するトナー及び+(プラス)極性に帯電するキャリアからなる二成分現像剤を用いて、感光体ドラムPR上の静電潜像をトナー像に現像するものである。現像装置Gは、トナー及びキャリアを含む現像剤を現像ロールR0により現像領域Q2に搬送し、現像領域Q2を通過する静電潜像をトナーの付着によってトナー像に現像する。なお、本実施形態においては、二成分現像剤を用いて静電潜像を現像する場合を想定しているが、本発明はこれに限らず、一成分現像剤を用いて静電潜像を現像する場合に適用してもよい。
感光体ドラムPR表面のトナー像はシート転写領域Q3に搬送される。現像剤補給装置GHは、現像剤を消費する現像装置Gに対して、現像剤収容容器Kに収容(貯蔵)された現像剤を補給するものである。現像剤収容容器Kは、容器装着部KSに着脱可能に装着される。現像剤補給装置GHは、現像剤搬送容器RTを用いて構成されている。現像剤搬送容器RTは、現像装置Gに補給すべき現像剤を撹拌しつつ搬送するための容器である。現像剤搬送容器RTは、容器装着部KSの下方に配置されている。
シート転写領域Q3において感光体ドラムPRに対向して配置された転写ユニットTUは、駆動ロールRd及び従動ロールRfを有するベルト支持ロール(Rd,Rf)により回転可能に支持された転写ベルトTBと、この転写ベルトTBを介して感光体ドラムPRと対向する転写ロールTRと、転写ベルトTBからシートを剥離させる剥離爪SCと、転写ベルトTBを清掃するベルトクリーナCLb等を有している。転写ロールTRは、感光体ドラムPR表面のトナー像をシートSに転写する部材であり、現像装置Gで使用される現像用のトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧が電源回路Eから供給される。電源回路Eは制御手段の一例としてのコントローラCにより制御される。
給紙トレイTR1〜TR4に収容されたシートSは、シート供給路SH1によりシート転写領域Q3に搬送される。すなわち、各給紙トレイTR1〜TR4に記録媒体として収容されたシートSは、所定のタイミングでピックアップロールRpにより取り出され、さばきロールRsで1枚ずつ分離されて、複数の搬送ロールRaによりレジロールRrに搬送される。また、容器装着部KS及び現像剤搬送容器RTの左方(図1の−Y方向)には、手差し給紙部材の一例である手差しトレイTRtが設置されており、手差しトレイTRtから給紙されたシートSも、所定のシート転写領域Q3に搬送される。画像形成装置Uでは、手差しトレイTRtは、回転中心TRt0を中心として回転可能に支持されており、手差しトレイTRtが画像形成装置U内部に収容された状態(図1の実線参照)では、手差しトレイTRtの回転中心TRt0側の一部TRt1が、容器装着部KSの下方で且つ現像剤搬送容器RTの左方の空間に進入した状態で収容され、画像形成装置U全体が省スペースでコンパクト化された状態で手差しトレイTRtが収容される。レジロールRrに搬送されたシートSは、感光体ドラムPR上のトナー像がシート転写領域Q3に移動するのにタイミングを合わせて、転写前シートガイドSG1から転写ユニットTUの転写ベルトTBへと搬送される。転写ベルトTBは搬送されたシートSをシート転写領域Q3に搬送する。
感光体ドラムPR表面に現像されたトナー像Tnは、シート転写領域Q3において、転写ロールTRによりシートSに転写される。転写後、感光体ドラムPR表面は、感光体クリーナCLpにより清掃されて残留トナーが除去された後、帯電ロールCRにより再帯電される。
シート転写領域Q3において転写ロールTRによりトナー像が転写されたシートSは、シート転写領域Q3の下流側の剥離爪SCにより転写ベルトTBの表面から剥離される。剥離されたシートSは、加熱ロールFh及び加圧ロールFpを有する定着器Fでトナー像が加熱定着されてから弾性シート製のゲートMGを通ってシート排出路SH2の正逆回転可能な搬送ロールRbに搬送される。ゲートMGは弾性変形して、定着器Fを通過したシートSをシート排出路SH2に向かわせる。排紙トレイTRhに排出されるべきシートSは正逆回転可能な搬送ロールRb及び複数の搬送ロールRaが配置されたシート排出路SH2を搬送される。シート排出路SH2の下流端部には切り替えゲートGT1が配置されている。切り替えゲートGT1は、画像形成装置に後処理装置(図示せず)が接続されている場合には、搬送されてきたシートSを排紙トレイTRh又は図示しない後処理装置のいずれかに排出するように切替えられる。なお、後処理装置が装着されていない状態では、切り替えゲートGT1は、シート排出路SH2の下流端部に搬送されたシートSを、排紙トレイTRhに排出する。
正逆回転可能な搬送ロールRbは、両面コピーを行なうための片面記録済シートが搬送された場合には、片面記録済シートSの後端が搬送ロールRbを通過する直前に逆回転し、片面記録済シートSをスイッチバックさせる。ゲートMGは、搬送ロールRbによりスイッチバックして来たシートSをシート循環搬送路SH3に向かわせる。シート循環搬送路SH3に搬送された片面記録済シートSは表裏反転した状態で転写領域Q3に再送される。シート転写領域Q3に再送された片面記録済シートSは、2面目にトナー像が転写される。なお、符号SH1〜SH3,Rp,Rs,Rr,Ra,Rb,MG等で示す構成要素から用紙搬送装置SHが構成される。
図2は現像剤補給装置及び現像装置の正面図である。図3は図2示す現像装置の説明図である。図4は図3のIV−IV線断面図である。図2〜図4において、現像装置Gは、現像領域Q2で感光体ドラムPRに対向して配置されている。現像装置Gは現像容器Vを有している(図3参照)。現像容器Vは、現像容器本体1とその上端を塞ぐ現像容器カバー2と現像容器本体1の前端に連結された現像剤補給筒3とを有している(図4参照)。
図3において、現像容器本体1はその内側に、現像ロールR0を収容する現像ロール室4と、現像ロール室4に隣接する第1攪拌室6と、第1攪拌室6に隣接する第2攪拌室7とを有している。現像容器カバー2は現像ロール室4を形成するロール収容壁2aと、第2攪拌室7上に配置される上壁2bと、上壁2bの右側(図3のY方向側)から下方に延びて現像容器本体1の側壁に当接する被係止壁2cとを有している。ロール収容壁2aは頂壁2a1及び側壁2a2を有しており、頂壁2a1の内面側の現像ロール室4内には、現像容器カバー2が現像容器本体に装着されたときに現像ロールR0表面の現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材8が設けられている。現像容器カバー2が現像容器本体1に装着された際には、被係止壁2cに形成された係止口2c1(図3参照)が現像容器本体1の外側面に形成された係止爪1aにより係止される。
図3、図4において、第1攪拌室6の左側には、現像剤補給筒3内部の補給室6a(図4参照)が接続されている。現像容器本体1の内側で第1攪拌室6と第2攪拌室7との間には、両端部以外の部分に仕切壁9が形成されている。図3において、仕切壁9の上端は、ロール収容壁2aの側壁2a2の下端(図3の−Z方向端)に当接している。第1攪拌室6及び第2攪拌室7はその前後方向(X軸方向)両端部の前側連通部E1及び後側連通部E2において通じており、現像剤が流入可能に構成されている(図4参照)。第1攪拌室6及び第2攪拌室7によって循環攪拌室(6+7)が構成されている。図4において、第2攪拌室7の後部には、劣化した現像剤をオーバーフローさせて少しずつ排出するための現像剤排出口7aが形成されている。現像剤排出口7aの上流側にはトナー濃度センサSUが配置されている。トナー濃度センサSUは、現像装置Gにおけるトナーの濃度(混合比)を検出するものである。現像剤排出口7aから排出された現像剤は図示しない現像剤回収容器に回収される構成となっている。また、現像剤補給筒3の内部には補給室3aが形成されており、上部には補給口3bが形成されている。補給室3aは第1攪拌室6の前部に接続されている。
現像ロールR0は、例えば磁石ロールを内蔵する磁性ロールの外側にスリーブを設けた構造になっている。第1攪拌室6の現像剤は磁性ロールの磁力によって現像ロールR0の表面に吸着されるとともに、現像ロールR0の回転によって現像領域Q2に搬送される。現像ロールR0のロール軸R0aは現像容器本体1の前面壁と後面壁によって回転自由に支持されており、ロール軸R0aの後端(図4の−X方向端)には歯車G0が固定されている。現像ロールR0の下方には、現像ロールR0と同じバイアスが印加され且つ逆方向に回転するシールロール11が支持されており、シールロール11表面にはスクレーパ12が接触している。シールロール11は、現像領域Q2で現像ロールR0と感光体PRとの間で発生するトナークラウド(雲状の浮遊トナー)を吸着、回収して、スクレーパ12で掻き取ることにより第1撹拌室6内にトナーを戻して再利用している。
第1攪拌室6及び補給室3a内には、現像剤を攪拌しながら搬送する第1攪拌部材R1が配置されている。第1攪拌部材R1は、現像ロールR0の軸方向に延びる第1回転軸R1aと、回転軸R1aの外周に支持された攪拌羽根部R1bと逆羽根部R1cとを有している。攪拌羽根部R1bは、現像剤を後側(図4の−X方向側)から前側(図4のX方向側)に搬送するために後側連通部E2から前側連通部E1にかけて設けられている。逆羽根部R1c(図4参照)は補給室3a内に設けられており、補給口3bから補給された現像剤を攪拌羽根部R1bの搬送方向の逆方向(後方、図4の−X方向)に搬送している。逆羽根部R1cにより後方に搬送された現像剤及び攪拌羽根部R1bにより前方に搬送された現像剤は、前側連通部E1から第2攪拌室に送り出される。回転軸R1aは補給筒3の前面壁と現像容器本体1の後面壁によって回転自由に支持されており、回転軸R1aの後端部(図4の−X方向端)には歯車G1が固定されている。
第2攪拌室7には現像剤を攪拌しながら後方に搬送する第2攪拌部材R2が配置されている。第2攪拌部材R2は、第2回転軸R2a、攪拌羽根部R2b及び逆羽根部R2cを有している。攪拌羽根部R2bは現像剤を前側(図4のX方向側)から後側(図4の−X方向側)に搬送するために現像剤補給口3bから後側連通部E2にかけて設けられている。逆羽根部R1c(図4参照)は後側連通部E2の後端側(図4の−X方向側)に設けられており、現像剤を攪拌羽根部R2bの搬送方向の逆方向である前側(X方向側)に搬送することによって、現像剤を第2攪拌室7から第1攪拌室6に流入させている。第2回転軸R2aは現像容器本体1の前面壁と後面壁とによって回転自由に支持され、後端部に歯車G2が固定されている。
図2、図4において、ロール軸R0aの歯車G0は第1回転軸R1aの歯車G1と噛み合っており、歯車G1は第2回転軸R2aの歯車G2と噛み合っている。歯車G0は現像装置用モータ(図示せず)の駆動にしたがって回転するものである。歯車G0が回転すると、歯車G1は歯車G0と逆方向に回転し、歯車G1と歯車G2は互いに逆方向に回転する。このため、歯車G1及び歯車G2と一体に回転する第1攪拌部材R1及び第2攪拌部材R2は、互いに逆方向に回転する。したがって、第1攪拌部材R1及び第2攪拌部材R2の回転によって、第1攪拌室6及び第2攪拌室7の中の現像剤は互いに逆方向に搬送される。以上述べた補給筒3、現像容器V、現像ロール室4、循環攪拌室(6+7)、第1攪拌部材R1及び第2攪拌部材R2を用いて現像装置Gが構成されている。
図5は現像剤補給装置の斜視図であり、図6は容器装着部の斜視図である。また、図7は現像剤収容容器を容器装着部に装着する状態を示す断面図である。図5〜図7において、容器装着部KSは、現像剤収容容器Kが着脱可能に装着される部分である。容器装着部KSは、半円筒部22と後端壁23とを有している。半円筒部22の内面の下部には前後に延びるガイド溝22aとガイド溝22aの後端に接続する補給口22bとが形成されている。後端壁23には、円弧状の2個の位置決めピン挿入孔23a,23aが形成されている。後端壁23の中央部には、ベアリング24(図7参照)を介して回転軸25が回転可能に支持されている。後端壁23を貫通する回転軸25の前端にはカプラ26が固定されており、後端には歯車G9が固定されている。歯車G9は、モータM1の駆動にしたがって回転するものである。
図7において、容器装着部KSに着脱可能に装着される現像剤収容容器Kは、補給用の現像剤が収容される現像剤収容容器本体28を有している。本実施形態においては、補給用の現像剤として、現像剤収容容器Kにトナーを収容する場合を想定するが、これに限らず、現像剤収容容器K内のトナーに一定量のキャリアを混入させておき、現像装置G内の劣化キャリアを、現像剤収容容器Kからの現像剤の補給により交換させるようにしてもよい。現像剤収容容器本体28の前端壁の前面には操作用の取っ手29が設けられている。現像剤収容容器本体28の後端壁には位置決めピン30,30が後方に突出して設けられている。現像剤収容容器本体28の後端壁の中央部にはカプラ軸31aが貫通しており、カプラ軸31aの後端にはカプラ31が設けられている。カプラ軸31aの前端には、補給源搬送部材32の後端が連結されている。現像剤収容容器本体28の円筒壁の後部には現像剤排出用の排出口33、円周方向に延びるガイドレール34、及びガイドレール34によりガイドされて円周方向に移動可能なシャッタ35が設けられている。
図7に示すように、現像剤収容容器Kを前方から後方に挿入すると、現像剤収容容器Kのガイドレール34及びシャッタ35は容器装着部KSのガイド溝22aにガイドされて後方に移動する。さらに図7に示す状態から、現像剤収容容器Kを後方に挿入すると、ピン30,30は円弧状の位置決めピン挿入孔23a,23aに挿入される。その挿入状態では、現像剤収容容器Kのカプラ31と容器装着部KSのカプラ26とが結合する。挿入状態で現像剤収容容器Kを回転させると、シャッタ35は回転せず停止した状態で現像剤収容容器本体28及びガイドレール34が回転する。このとき、排出口33は補給口22b(図6、図7参照)に通じる位置に回転移動する。補給口22bは現像剤搬送容器RT内部に通じているので、現像剤収容容器K内部の補給用の現像剤を排出口33及び補給口22bから、現像剤搬送容器RT内に自重落下で供給することが可能となる。
図8は現像剤補給装置が備える現像剤補給搬送系の斜視図であり、図9は現像剤搬送容器の一部を拡大した断面図である。また、図10は現像剤搬送容器に組み込まれる現像剤撹拌搬送機構の説明図である。現像剤搬送容器RTは、第1の現像剤搬送容器RT1と第2の現像剤搬送容器RT2を有している。第1の現像剤搬送容器RT1と第2の現像剤搬送容器RT2は、円筒状の中継部52を介して互いに連結されている。第1の現像剤搬送容器RT1、第2の現像剤搬送容器RT2及び中継部52は、現像剤補給装置GHにおける現像剤の搬送路を形成するものである。第1の現像剤搬送容器RT1は、現像剤収容容器Kの下側に、現像剤収容容器Kの軸方向に沿って配置されている。第1の現像剤搬送容器RT1と現像剤収容容器Kは、いずれもX軸方向に平行な向きで水平に配置されている。中継部52は、第1の現像剤搬送容器RT1から連続するかたちで現像剤の搬送路を形成するものである。第2の現像剤搬送容器RT2は、第1の現像剤搬送容器RT1及び中継部52によって形成される現像剤の搬送路の終端部から直角に曲がるかたちで、斜め上方に延びる現像剤の搬送路を形成するものである。
第1の現像剤搬送容器RT1は、例えば直径30mmのコイル状の第1の現像剤搬送部材43を収容し、且つ全長が500mm程度と長いため、容積が比較的大きく、現像剤補給搬送系の中で現像剤を一時的に貯留する予備タンクの役目を果たす。これにより、現像剤収容容器Kがほぼ空になったとしても、第1の現像剤搬送容器RT1内に保持してある現像剤を現像装置Gに供給することで、使用者が未使用(通常は新品)の現像剤収容容器Kを準備するまでの時間的な余裕を持たせることができる。第1の現像剤搬送容器RT1の前端部には円筒状の前端部RT1a(図9参照)が形成されている。前端部RT1aの上面には、円周方向に沿った係合溝RT1bが形成されている。図8において、第1の現像剤搬送容器RT1の後端部には補給口33を通じて現像剤収容容器Kの現像剤が供給される。第1の現像剤搬送容器RT1の右側壁には現像剤量センサSNCが装着されている。現像剤量センサSNCは、現像剤収容容器Kから第1の現像剤搬送容器RT1に自重落下で現像剤が供給される位置の近傍に設けられている。
現像剤量センサSNCは、第1の現像剤搬送容器RT1における現像剤の充填量を検出するものである。ここでは一例として圧電型のセンサを用いて現像剤剤センサSNCを構成している。第1の現像剤搬送容器RT1に充填されている現像剤の量が相対的に多くなると、現像剤量センサSNCのセンサ面に加わる圧力が相対的に大きくなり、逆に、第1の現像剤搬送容器RT1に充填されている現像剤の量が相対的に少なくなると、現像剤量センサSNCのセンサ面に加わる圧力が相対的に小さくなる。これに対して、現像剤量センサSNCは、自身のセンサ面に加わる圧力の大きさに応じた電気信号(電圧)を出力する。このため、現像剤量センサSNCから出力される電気信号に基づいて、第1の現像剤搬送容器RT1における現像剤の充填量を検出することが可能である。ちなみに、画像形成装置Uでは、現像剤量センサSNCの検出結果に基づいてコントローラCがモータM1を駆動制御することにより、現像剤収容容器Kから所定量の現像剤が第1の現像剤搬送容器RT1に供給される仕組みになっている。
第1の現像剤搬送容器RT1内には、現像剤撹拌搬送機構41が組み込まれている。現像剤撹拌搬送機構41は、第1の現像剤搬送容器RT1の後端壁に回転可能に支持されたホルダ42と、このホルダ42に後端部が支持されたコイル状の第1の現像剤搬送部材43と、ホルダ42に後端部が支持され且つコイル状の第1の現像剤搬送部材43の内部を貫通した状態で支持された現像剤崩し部材44とを有する。
第1の現像剤搬送部材43は、回転時に現像剤搬送容器RT内の現像剤を第1の現像剤搬送容器RT1の長手方向に沿って後方から前方(図8のX方向)に搬送するものである。第1の現像剤搬送部材43は、例えば線径1〜3mm程度のステンレス線材を直径10〜50mm程度のコイル状に成型したものが望ましい。第1の現像剤搬送部材43のコイル直径は、第1の現像剤搬送容器RT1内に保持される現像剤量決定するパラメータとなる。すなわち、第1の現像剤搬送部材43のコイル直径が大きくなると、第1の現像剤搬送容器RT1内に保持される現像剤量が多くなり、第1の現像剤搬送部材43のコイル直径が小さくなると、第1の現像剤搬送容器RT1内に保持される現像剤量が少なくなる。このため、第1の現像剤搬送容器RT1を予備タンクとして機能させる場合は、できるだけ現像剤の保持容量が多くなるように、第1の現像剤搬送部材43のコイル直径を、第1の現像剤搬送容器RT1のU字形断面部の内径よりも若干(例えば、1〜2mm)小さい径に設定することが望ましい。第1の現像剤搬送部材43の一方のコイル端はホルダ42に固定され、同他方のコイル端は自由端となっている。したがって、ホルダ42と一体に第1の現像剤搬送部材43が回転すると、第1の現像剤搬送部材43のコイル部分は第1の現像剤搬送容器RT1の底面を擦りながら、その容器内に保持された現像剤を下流側(X方向側)に搬送する仕組みになっている。
現像剤崩し部材44は、第1の現像剤搬送部材43の内部を貫通し且つ第1の現像剤搬送部材43の回転中心軸に沿って配置された回転軸44aを有し、この回転軸44aの前端部で且つ回転軸44aの外周面に螺旋状の羽根部44bが一体に形成されている。現像剤崩し部材44の前端部は、回転軸44aと羽根部44bによって形成されるオーガ構造になっており、軸方向に現像剤を搬送する機能と、第1の現像剤搬送部材43で搬送される現像剤を崩す機能を併せ持っている。回転軸44aは、例えば直径3〜8mm程度の硬質の樹脂又は金属であることが望ましい。回転軸44aの直径が過度に大きいと、第1の現像剤搬送部材43のコイル内部の空隙が小さくなることで現像剤の搬送能力が低下したり、現像剤収容容器Kからの現像剤の落下の抵抗となったりするため注意が必要である。また、回転軸44aの長さは数十cmと長くなるため、後述する第2の現像剤搬送部材57に駆動力を伝達する場合に、小径でねじれやたわみを防止できるという観点で、樹脂よりも金属であることが好ましい。羽根部44bは、X軸方向で第1の現像剤搬送部材43と重なるように配置されている。また、回転軸44aの現像剤量センサSNCに対応する位置には、針金をU字状に折り曲げて形成された弾性のあるセンサ清掃部材46が設けられている。センサ清掃部材46は、回転軸44aの回転に伴って周期的に現像剤量センサSNCのセンサ面を清掃するものである。
回転軸44aの後端には、搬送部材駆動用の歯車47(図8参照)が固定支持されている。歯車47は、モータ48(図5参照)の駆動にしたがって回転するものである。したがって、モータ48の駆動にしたがって歯車47と一体に回転軸44a及びホルダ42が回転すると、これにしたがって現像剤搬送部材43が回転する。また、第1の現像剤搬送部材43が回転すると、第1の現像剤搬送容器RT1内の現像剤が後方(−X方向)から前方(X方向)へ搬送される。また、図9に示すように、回転軸44aの前端部には断面D字状の軸部44a1が形成されている。回転軸44aの軸部44a1には、断面D字状の貫通孔を有する駆動伝達用の歯車49が嵌合されている。このため、回転軸44aと歯車49は一体に回転するようになっている。
図11は現像剤補給装置の要部断面図であり、図12は現像剤補給装置における現像剤搬送部材の位置関係及び駆動伝達系の説明図である。第1の現像剤搬送容器RT1の前端部RT1aには中継部52が接続されている。第1の現像剤搬送部材43は、第1の現像剤搬送容器RT1から連続するかたちで中継部52まで進出した状態に配置され、羽根部46は、中継部52内に配置されている。中継部52の後端部には、第1の現像剤搬送容器RT1の前端部RT1aの係合溝RT1bに係合する係合爪52a(図8参照)が形成されている。したがって、円周方向に沿って形成された係合溝RT1bと係合爪52aとの嵌合により、第1の現像剤搬送容器RT1の前端部RT1aに中継部52が回転可能に抜け止めされた状態で連結されている。
第2の現像剤搬送容器RT2は、中継部52の終端部から斜め上方に延在するように設けられている。第2の現像剤搬送容器RT2は、円筒状の容器本体53を有している。容器本体53の右上端部には、円筒状のシャッタ支持部53aが形成されている。シャッタ支持部53aの後端側外表面にはジョイントパイプ支持部53b(図8参照)が形成されている。シャッタ支持部53aには、円筒状のシャッタ部材54が挿入されている。シャッタ部材54の右上端部には、シャッタ側開口54aが形成されている。シャッタ部材54の外周面には、外側に突出するシャッタ開閉用ハンドル54bが形成されている。
容器本体53のジョイントパイプ支持部53bには、シャッタ部材54の外周を囲むジョイントパイプ56が支持されている。ジョイントパイプ56の下側には、シャッタ側開口54aに対応する外側開口56aが形成されている。図8において、ジョイントパイプ56の左下端と、シャッタ支持部53aの右上端との間には、シャッタ開閉用ハンドル54bが通過可能な円周方向に沿った帯状のハンドル通過隙間SKが形成されている。したがって、シャッタ部材54は、シャッタ開閉用ハンドル54bを手動で回転させることにより、開口54a、56aを開閉し得る構成になっている。
容器本体53の内部には第2の現像剤搬送部材57が配置されている。第2の現像剤搬送部材57は、回転軸57aと、回転軸57aの外周面に螺旋状に形成された羽根部57bとを有する、いわゆるスクリューオーガ構造になっている。第2の現像剤搬送部材57は、第1の現像剤搬送容器RT1から中継部52を経て第2の現像剤搬送容器RT2に受け渡された現像剤を、容器本体53に沿って斜め方向に搬送するものである。第2の現像剤搬送部材57は、コイル状の第1の現像剤搬送部材43の前端よりも前方で且つ鉛直方向上方から見たときに(図12参照)現像剤崩し部材44の羽根部44bと重なる(交差する)ように配置されている。第2の現像剤搬送部材57の一端部には歯車58が設けられている。歯車58は、第2の現像剤搬送部材57の回転軸57aに固定され、この回転軸57aと一体に回転するものである。第2の現像剤搬送部材57は、補給源搬送部材32と同様にコイル状に形成されたものでもよいが、現像剤を重力に逆らって斜めに上方に搬送する場合は、より搬送能力の高いスクリューオーガ構造とするのが好ましい。
容器本体53の前側には、前述した歯車49,58と4つの歯車62〜65を含む歯車列が設けられている。このうち、歯車49,62,63,64はそれぞれ「平歯車」によって構成され、歯車58,65はそれぞれ「はすば歯車」によって構成されている。歯車62は、回転軸44aの端部に一体に固定された歯車49に噛み合っている。歯車62と歯車63の間には電磁クラッチ61が設けられている。電磁クラッチ61は、歯車62と歯車63との間の動力伝達をオン・オフ(入・切)するものである。電磁クラッチ61のオン・オフ状態は、コントローラCによって切り替え制御される。すなわち、コントローラCは、電磁クラッチ61をオン状態とする場合は、電磁クラッチ61に駆動電圧を印加し、電磁クラッチ61をオフ状態とする場合は、電磁クラッチ61に駆動電圧を印加しないように制御する。歯車62と歯車63は同軸上に配置されている。歯車63は歯車64に噛み合っている。歯車65は歯車64と同軸で一体に回転するものである。歯車65は、回転軸57aの一端に固定された歯車58に噛み合っている。回転軸44a,57aは互いに直交する向きで配置されている。このため、歯車58,65の回転軸も互いに直交する向きで配置されている。
上記の歯車列において、電磁クラッチ61をオンした状態では、モータ48(図5参照)の駆動にしたがって歯車47と一体に回転軸44aが回転した場合に、その駆動力が歯車49,62及び電磁クラッチ61を経由して歯車63に伝達されるため、歯車63の回転にしたがって歯車64,65,58が回転する。このため、回転軸44aと回転軸57aが同時に回転する。したがって、第1の現像剤搬送容器RT1内では第1の現像剤搬送部材43が駆動し、それと同時に第2の現像剤搬送容器RT2内では第2の現像剤搬送部材57が駆動することになる。
これに対して、電磁クラッチ61をオフした状態では、モータ48の駆動にしたがって歯車47と一体に回転軸44aが回転した場合に、その駆動力が歯車49,62に伝達されるものの、歯車62から歯車63への動力伝達が電磁クラッチ61によって断たれる。このため、回転軸57aが停止したまま、回転軸44aだけが回転する。したがって、第2の現像剤搬送容器RT2内で第2の現像剤搬送部材57が停止したまま、第1の現像剤搬送容器RT1内で第1の現像剤搬送部材43が駆動することになる。
本明細書においては、現像剤搬送容器RT(RT1,RT2)における現像剤搬送部材の駆動形態として、電磁クラッチ61をオン状態とすることで、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57とを同時に駆動する形態を「同時駆動」と定義し、電磁クラッチ61をオフ状態とすることで、第2の現像剤搬送部材57を停止したまま第1の現像剤搬送部材43を単独で駆動する形態を「単独駆動」と定義する。
第2の現像剤搬送容器RT2内で第2の現像剤搬送部材57により搬送された現像剤は、第2の現像剤搬送容器RT2の搬送終端に設けられた現像剤排出口(不図示)から自重落下方式で現像装置Gの補給口3b(図4参照)に供給されるようになっている。
上記構成からなる現像剤補給装置を備えた画像形成装置において、補給源搬送部材32、第1の現像剤搬送部材43及び第2の現像剤搬送部材57の駆動は、コントローラC(図1参照)によって制御される。すなわち、コントローラCは、現像装置Gが備えるトナー濃度センサSUの検出結果に基づいて、第1の現像剤搬送部材43及び第2の現像剤搬送部材57の共通駆動源となるモータ48の駆動を制御する。ここで、現像剤収容容器Kに規定量以上の現像剤が残っている状態を「定常状態(定常時)」と定義すると、コントローラCは、定常状態でモータ48を駆動する場合に、当該モータ48の駆動期間にわたって電磁クラッチ61をオン状態に保持する。このため、定常状態でコントローラCがモータ48を駆動すると、これにしたがって第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57が同時に駆動することになる。
コントローラCは、例えば、トナー濃度センサSUによって検出されたトナー濃度が規定濃度未満となった場合に、予め設定された時間だけモータ48を駆動することにより、当該駆動時間に対応する量の現像剤を現像装置Gに供給(補給)する。現像装置Gに現像剤(本形態例ではトナー)を補給する仕組みは、トナー濃度センサSUの検出結果だけでなく、画像形成の対象となる画像のピクセル数を計数し、この計数結果とトナー濃度センサSUの検出結果に基づいて、モータ48の駆動を制御する仕組みであってもよい。この場合、画像のピクセル数は、現像に消費されるトナーの量を予測する目安となる。
上述のようにモータ48の駆動によって第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57を同時に駆動すると、第1の現像剤搬送容器RT1内で第2の現像剤搬送容器RT2に向けて現像剤が搬送されるとともに、第2の現像剤搬送容器RT2から現像容器3に現像剤が排出される。このため、第1の現像剤搬送容器RT1における現像剤の充填量が少なくなる。
そこで、コントローラCは、第1の現像剤搬送容器RT1に取り付けられた現像剤量センサSNCの検出結果に基づいて、補給源搬送部材32の駆動源であるモータM1の駆動を制御する。具体的には、現像剤量センサSNCで検出した現像剤の充填量が所定量未満となった場合に、予め設定された時間(例えば、10秒間)だけモータM1を駆動することにより、当該駆動時間に対応する量の現像剤を第1の現像剤搬送容器RT1に供給する。この場合、モータM1の駆動時間は、補給源搬送部材32の駆動によって現像剤収容容器Kから第1の現像剤搬送容器RT1に供給される現像剤の高さが、現像剤量センサSNCのセンサ面よりも高くなるように設定されている。このため、上述した定常状態で補給源搬送部材32を駆動すると、第1の現像剤搬送容器RT1に現像剤が供給されることで当該現像剤の充填量が回復(増加)し、現像剤量センサSNCで検出される現像剤の充填量が所定量を超えた状態になる。また、第1の現像剤搬送容器RT1における現像剤の充填量は、第1の現像剤搬送部材43の駆動時間にほぼ比例して低下する。このため、現像剤収容容器K内に規定量以上の現像剤が残っている状況(定常状態)では、コントローラCは、第1の現像剤搬送部材43の駆動時間に対して、補給源搬送部材32をほぼ一定の時間間隔で駆動するように、モータM1,48の駆動を制御することになる。
これに対して、現像剤収容容器K内の現像剤残量が規定量よりも少なくなると、それ以降は、同じ条件(駆動時間)でモータM1を駆動しても、現像剤収容容器Kから第1の現像剤搬送容器RT1に供給される単位駆動時間あたりの現像剤量が徐々に減少していく。したがって、現像剤量センサSNCのセンサ面を覆う高さまで第1の現像剤搬送容器RT1に現像剤が充填されるのに必要となる第1の現像剤搬送部材43の駆動時間が長くなる。そして、現像剤収容容器K内の現像剤が空に近い状態まで減少すると、それ以降はモータM1で補給源搬送部材32を駆動しても、現像剤収容容器Kから第1の現像剤搬送容器RT1に僅かな量の現像剤しか供給されなくなる。その結果、第1の現像剤搬送容器RT1における現像剤の充填量が現像剤量センサSNCによって所定量未満と検出される状況が連続的に続くことになる。
図13は第1の現像剤搬送部材と第2の現像剤搬送部材を同時駆動した場合の累積駆動時間と現像剤搬送レートの関係を実験的に求めた図である。この実験では、第1の現像剤搬送容器RT1及び第2の現像剤搬送容器RT2のいずれも空の状態で、現像剤が満タンに収容された現像剤収容容器Kをセットし、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57を連続で同時駆動して、第2の現像剤搬送容器RT2の搬送終端の現像剤排出口から排出される現像剤の質量(g)を、現像剤収容容器K、第1の現像剤搬送容器RT1及び第2の現像剤搬送容器RT2がほぼ空になるまで計測した。この計測によって得られた測定データを、単位時間(秒)あたりの現像剤の搬送量(搬送レート)で表したグラフが図13である。
この場合、現像剤収容容器K内の補給源搬送部材32の駆動は、現像剤量センサSNCが0.5秒間にわたって第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量未満と検出するごとに、補給源搬送部材32(モータM1)を10秒間だけ回転駆動するように、コントローラCで制御した。そうしたところ、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の同時駆動を開始してから約200秒後に上記現像剤排出口から現像剤の排出が開始され、そこを起点に現像剤の搬送レートが急上昇した後、ほぼ一定の搬送レートで推移した。その後、現像剤収容容器K内の現像剤残量が少なくなると、搬送レートが急激に低下し、最終的には搬送レートがほぼ0となった。これは、現像剤量センサSNCの位置から現像剤排出口までの搬送距離が長いことによるタイムラグの影響である。搬送レートがほぼ0となった状態から現像剤収容容器Kを交換すると、初期の搬送レートが極端に低くなるため、特に画像密度の高い画像を出力する場合は、現像剤の搬送(補給)が間に合わずに、現像剤収容容器K内のトナー濃度が低下して所望の濃度に達しない状況が発生することになる。
そのため、コントローラCは、現像剤量センサSNCが第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量未満と検出し始めてから、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57を同時駆動した累積駆動時間が、予め設定された所定時間に達した段階で、現像剤収容容器Kの交換を促すメッセージ(交換通知メッセージ)を、例えば画像形成装置のコントロールパネル(操作パネル)に表示することで、未使用(新品)の容器への交換を使用者に促す。そして、交換通知メッセージの表示後も容器交換が行なわれないまま、現像装置Gで現像剤が消費され続けた場合は、現像剤収容容器K内の現像剤残量がほぼ空に近い状態になった段階で、画像形成を強制的に停止させた後、その強制停止状態を、使用者によって現像剤収容容器Kの交換が行なわれるまで継続する。画像形成を強制停止した状態では、使用者がコントロールパネル等で画像形成ジョブの実行を指示しても、コントローラCは、少なくとも現像剤収容容器Kの交換が行なわれるまでは、当該画像形成ジョブに基づく画像形成動作を開始しないように制御する。また、コントローラCは、画像形成を強制停止する場合に、交換通知メッセージに代えて、現像剤収容容器Kの交換を要求するメッセージ(以下、「交換要求メッセージ」とも記す)をコントロールパネルに表示する。交換通知メッセージの具体例としては、「トナー残量が少なくなりました。」などのメッセージが考えられる。また、交換要求メッセージの一例としては、「トナーカートリッジを交換してください。」などのメッセージが考えられる。
実際に画像形成を強制停止してから現像剤収容容器Kを交換した後、上記同様に搬送レートを測定したところ、図14のような結果が得られた。この測定結果から、現像剤収容容器Kがほぼ空の状態になっても、前述の理由から搬送レートはすぐには最小にならず、容器交換後に時間をおいて搬送レートが下限になる。その後は、交換した現像剤収容容器K内の現像剤が第2の現像剤搬送容器RT2の現像剤排出口まで達することで、急激に搬送レートが上昇する経過を辿る。したがって、現像剤収容容器K内の現像剤を無駄なくほぼ空に近い状態まで使用した後、新品の現像剤収容容器Kに交換し、その交換直後に画像密度の高い画像(例えば平均画像密度が60%)を連続で出力(形成)する場合には、現像装置Gに供給される単位時間あたりの現像剤補給量(搬送レート)に比較して、現像装置Gで消費される単位時間あたりの現像剤消費量(消費レート)がそれを上回る期間が存在する。このため、その間は現像装置G内のトナー濃度が一時的に低下し、画像濃度の低下などを招くことになる。
一方、画像形成の強制停止を早期に行ない、第1の現像剤搬送容器RT1内に現像剤がある程度残っている状態で、現像剤収容容器Kを交換させることも可能であるが、その場合は、強制停止の段階で現像剤収容容器K内に残っている現像剤が無駄になる。また、現像剤量センサSNCが第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量未満と検出し始めてからの経過時間が短いタイミングで画像形成を強制停止して、使用者に現像剤収容容器Kの交換を強いることになる。このため、コントロールパネルに表示された交換通知メッセージを使用者が確認してから、画像形成が強制停止されるまでの間に、交換のための現像剤収容容器Kの準備が間に合わない可能性がある。
図15は第1の現像剤搬送容器における現像剤充填状態の経時的な変化を説明する図である。まず、図15(A)は第1の現像剤搬送容器RT1内に十分な量の現像剤が充填されている状態を示している。図15(A)に示す状態から、上記のモータ48によって第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57を同時に駆動すると、第1の現像剤搬送容器RT1内では第1の現像剤搬送部材43の回転によって現像剤がX方向に搬送される。このため、第1の現像剤搬送容器RT1内では、第1の現像剤搬送部材43による現像剤搬送方向の上流側(−X方向側)で現像剤の量が徐々に少なくなる。そして、例えば図15(B)に示すように、現像剤量センサSNCのセンサ面よりも現像剤の充填高さが低くなると、現像剤量センサSNCが現像剤の充填量を所定量未満と検出するようになる。そうすると、コントローラCは、現像剤量センサSNCが現像剤の充填量を所定量未満と検出した状況で、現像剤収容容器K内の補給源搬送部材32を所定時間だけ駆動することにより、排出口33及び補給口22b(図7参照)を通して現像剤収容容器Kから第1の現像剤搬送容器RT1に現像剤を供給する。これにより、補給口22b又はその近くまで盛り上がるように現像剤が供給されるため、第1の現像剤搬送容器RT1内では現像剤の充填高さが現像剤量センサSNCのセンサ面よりも高くなる。したがって、現像剤量センサSNCは現像剤の充填量を所定量以上と検出するようになる。前述した定常状態では、このような動作を繰り返すことにより、第1の現像剤搬送容器RT1内に適量の現像剤を充填した状態が維持される。
これに対して、現像剤収容容器K内の現像剤が空に近い状態になると、補給源搬送部材32を駆動しても、現像剤収容容器Kから現像剤がほとんど供給されなくなる。このため、第1の現像剤搬送容器RT1内では、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の同時駆動に伴って、図15(C)に示すように、第1の現像剤搬送容器RT1内に残る現像剤量が少なくなっていく。ただし、図15(C)の段階では、第1の現像剤搬送容器RT1内に定常時の半分程度の現像剤が残っている。その後、図15(D)に示すように、第1の現像剤搬送容器RT1内の現像剤量が、上記図(A)に示す状態(定常状態)に比べて半分以下まで減少すると、コントローラCは画像形成を強制停止する。このため、現像剤収容容器Kの交換は、遅くとも図15(D)に示す段階で行なわれることになる。実際に、図15(D)の状態で現像剤収容容器Kを交換した後、上記同様の条件で補給源搬送部材32、第1の現像剤搬送部材43及び第2の現像剤搬送部材57を駆動すると、第1の現像剤搬送容器RT1内では、図15(E)に示すように、現像剤搬送方向の上流側で現像剤が多く、同下流側で現像剤が少ない状態となる。そして、この状態で第1の現像剤搬送容器RT1から第2の現像剤搬送容器RT2に搬送される単位時間あたりの現像剤量(搬送レート)が最小となり、これに伴って第2の現像剤搬送容器RT2の現像剤排出口からの現像剤の搬送レートが下限となる。
ちなみに、上記図14における時刻T1m〜Tm4のうち、時刻Tm1は、上記図15(B)に示すように、現像剤量センサSNCが第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量未満と検出し始める時刻を示し、時刻Tm2は、現像剤量センサSNCが第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量未満と検出し始めてから、同時駆動の累積駆動時間が所定時間に達した時刻を示している。また、時刻Tm3は、上記図15(D)に示すように、画像形成を強制停止する段階まで第1の現像剤搬送容器RT1内の現像剤が少なくなった時刻を示し、時刻Tm4は、現像剤の搬送レートが下限となった時刻を示している。
続いて、コントローラによって実行される制御処理について説明する。まず、コントローラCは、使用者から受け付けた画像形成ジョブに基づいて画像形成動作を行なう場合に、トナー濃度センサSUの検出信号を所定の時間刻み(例えば、m秒刻み)で取り込むことにより、現像装置Gのトナー濃度を検出し、そのトナー濃度が規定濃度未満になった場合は、予め設定された時間(例えば、1秒)だけモータ48を駆動することにより、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の同時駆動によって現像装置Gに現像剤を補給し、この補給によってトナー濃度が規定濃度まで回復しない場合は、再度モータ48を駆動して現像装置Gに現像剤を補給する。
また、コントローラCは、現像装置Gへの現像剤の補給と並行して、現像剤量センサSNCの検出信号を所定の時間刻み(例えば、m秒刻み)で取り込むことにより、第1の現像剤搬送容器RT1における現像剤の充填量を検出し、その充填量が所定量未満となった場合は、予め設定された時間(例えば、10秒)だけモータM1を駆動することにより、補給源搬送部材32の駆動によって現像剤収容容器Kから第1の現像剤搬送容器RT1に現像剤を供給(補充)する。現像剤収容容器K内に十分な量の現像剤が収容されている状況(定常状態)では、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57を同時駆動する時間に対して、補給源搬送部材32の駆動がほぼ一定の間隔で繰り返される。ちなみに、現像剤収容容器K内に十分な量の現像剤が収容されている状況とは、現像剤収容容器K内の補給源搬送部材32を一定時間だけ駆動した場合に、現像剤収容容器Kから第1の現像剤搬送容器RT1に供給される現像剤の量が、満タン時と同等量となる状況をいう。
一方、現像剤収容容器K内の現像剤の残量が少なくなってくると、前述のように現像剤量センサSNCの検出結果に基づいて補給源搬送部材32を駆動しても、第1の現像剤搬送容器RT1に十分な量の現像剤が充填されまでに必要となる駆動時間が長くなる。そして、その後、現像剤収容容器Kがほぼ空の状態になると、補給源搬送部材32を駆動しても現像剤収容容器Kからほとんど現像剤が供給されなくなるため、第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤の充填量が所定量を下回る状況が連続して続くことになる。
前述したように第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤の充填量が所定量を下回る状況が連続して続く場合、コントローラCは、例えば図16及び図17に示すような手順で制御処理を行なう。すなわち、コントローラCは、現像剤量センサSNCが第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量未満と検出し始めた時刻を起点として、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57を同時駆動した時間を累積して得られる累積駆動時間を求める(ステップS1)。
その場合、コントローラCは、例えば、現像剤量センサSNCが第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量未満と検出し始めてから、モータ48を例えば20回にわたって1秒ずつ駆動した場合は、その段階で第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の累積駆動時間を20秒と認識し、その後さらにモータ48を3秒駆動すると、その段階で第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の累積駆動時間を23秒と認識する。また、現像剤量センサSNCが第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量未満と検出し続けている間は、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57を同時駆動するたびに、それらの累積駆動時間を加算処理し、現像剤量センサSNCが第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量以上と検出すると、その段階で累積駆動時間を一旦零(ゼロ)にリセットする。
次に、コントローラCは、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の累積駆動時間が、予め設定された所定時間に達したかどうかを判断する(ステップS2)。ここで累積駆動時間が所定時間に達する状況とは、現像剤量センサSNCが第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量未満と検出し始めてから、第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量が一度も所定量以上に回復することなく、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の同時駆動によって現像装置Gへの現像剤の補給が所定時間以上にわたって継続された状況を意味する。
その後、コントローラCは、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の累積駆動時間が所定時間に達すると、使用者に対して現像剤収容容器Kの交換を促すメッセージ、すなわち交換通知メッセージをコントロールパネルに表示させる(ステップS3)。この段階では、上記図15(C)に示すように、第1の現像剤搬送容器RT1に定常時の半分程度の現像剤が残っているものとする。
次に、コントローラCは、現像剤収容容器Kの交換が行なわれたかどうかを判断する(ステップS4)。現像剤収容容器Kの交換が行なわれたかどうかに関しては、例えば、補給源搬送部材32の累積駆動時間を含む管理情報を記憶するためのメモリ基板が現像剤収容容器Kに搭載され、このメモリ基板に記憶された管理情報をコントローラCが読み出せる構成になっている場合は、画像形成装置Uの容器装着部KSで現像剤収容容器Kの着脱が行なわれた後で、現像剤収容容器Kのメモリ基板から読み出した管理情報に含まれる、補給源搬送部材32の累積駆動時間が初期値(通常は零)になっているかどうかにより判断すればよい。また、容器装着部KSでの現像剤収容容器Kの着脱の有無は、その着脱作業に伴って、コントローラCとメモリ基板との間の電気的な接続が一旦断たれた後、再び接続状態に戻った場合に、「着脱が行なわれた」と判断すればよい。
上記ステップS4で現像剤収容容器Kの交換が行なわれたと判断すると、コントローラCは、その時点で認識している第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の累積駆動時間を、例えば、画像形成装置Uに内蔵されたメモリに書き込んで記録しておく(ステップS5)。
また、上記ステップS4で現像剤収容容器Kの交換が行なわれていないと判断すると、コントローラCは、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の累積駆動時間が、予め設定されたリミット時間に達したかどうかを確認する(ステップS6)。そして、累積駆動時間がリミット時間に達していない場合は、上記ステップS3に戻る。また、累積駆動時間がリミット時間に達した場合は、ステップS7において、画像形成を強制停止させるとともに、使用者に対して現像剤収容容器Kの交換を要求するメッセージ、すなわち交換要求メッセージをコントロールパネルに表示させる。その後、ステップS8で現像剤収容容器Kの交換が行なわれたと判断すると、上記ステップS5に移行して、その段階の累積駆動時間をメモリに記録する。
その後、コントローラCは、画像形成の準備動作として、例えば、現像剤収容容器K内の補給源搬送部材32を所定の駆動時間(例えば、10〜20秒)にわたって連続的に駆動する(ステップS9)。そして、準備動作を終えると、現像剤充填処理を開始する(ステップS10)。なお、前述した準備動作における補給源搬送部材32の連続駆動は、現像剤充填処理と同時に開始してもよい。現像剤充填処理は、電磁クラッチ61をオフ状態としてモータ48を駆動することにより、第2の現像剤搬送部材57を停止したまま第1の現像剤搬送部材43を所定の充填時間だけ単独で駆動する処理である。現像剤充填処理では、第2の現像剤搬送容器RT2から現像装置Gへの現像剤の供給を停止したままで、第1の現像剤搬送容器RT1内で第1の現像剤搬送部材43の駆動により現像剤が搬送される。このため、準備動作(又は現像剤充填処理)で現像剤収容容器Kから第1の現像剤搬送容器RT1に供給された現像剤が第1の現像剤搬送容器RT1全体に行き渡るように充填される。
また、現像剤充填処理中においては、コントローラCは、前述したように電磁クラッチ61をオフ状態として第1の現像剤搬送部材43を単独駆動した時間を累積して得られる累積駆動時間を、第1の現像剤搬送部材43の累積単独駆動時間として求める。例えば、現像剤充填処理を開始してから第1の現像剤搬送部材43を合計15秒間にわたって単独駆動した段階の累積単独駆動時間は15秒となり、その後さらに第1の現像剤搬送部材43を10秒間にわたって単独駆動した段階の累積単独駆動時間は25秒となる。また、現像剤充填処理中においては、コントローラCは、補給源搬送部材32を所定の条件で駆動する。一例として、定常時と同じ条件で補給源搬送部材32を駆動する場合は、前述したように現像剤量センサSNCの検出結果に基づいて補給源搬送部材32を駆動することになる。すなわち、現像剤充填処理中において、コントローラCは、現像剤量センサSNCで検出した現像剤の充填量が所定量未満となった場合に、予め設定された時間だけモータM1を駆動することにより、当該駆動時間に対応する量の現像剤を第1の現像剤搬送容器RT1に供給する。これにより、現像剤収容容器Kから第1の現像剤搬送容器RT1に過不足なく現像剤を供給することができる。
その後、コントローラCは、コントロールパネルを介して使用者から画像形成ジョブを受け付けたかどうかを判断し(ステップS11)、画像形成ジョブを受け付けていない場合は、現像剤充填処理を開始してからの第1の現像剤搬送部材43の累積単独駆動時間が所定の充填時間に達しかどうかを判断する(ステップS12)。そして、第1の現像剤搬送部材43の累積単独駆動時間が充填時間に達していないと判断すると、ステップS11に戻り、当該累積単独駆動時間が充填時間に達したと判断すると、その段階で、現像剤充填処理とともに一連の制御処理を終える。
その際、コントローラCは、上記ステップS5でメモリに記録した時間、すなわち現像剤量センサSNCが第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量未満と検出し始めてから、現像剤収容容器Kの交換が行なわれるまでの、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の同時駆動の累積駆動時間を「充填時間」として適用することにより、現像剤量センサSNCが第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量未満と検出し始めてから、現像剤収容容器Kの交換が行なわれるまでに、第1の現像剤搬送部材43の駆動によって搬送された現像剤とほぼ同量の現像剤を第1の現像剤搬送容器RT1に補充することができる。このため、第1の現像剤搬送容器RT1全体にわたって現像剤の充填量を定常時と同等レベルまで回復させることができる。
また、上記ステップS10で現像剤充填処理を開始してからの、第1の現像剤搬送部材43の累積単独駆動時間が充填時間に達する前に、ステップS11で画像形成ジョブを受け付けた場合は、コントローラCは、受け付けた画像形成ジョブにしたがって画像形成動作を開始する(ステップS13)。ただし、画像形成動作中であっても、実質的に現像装置Gが現像を行っていない期間(非現像期間)では、コントローラCは、第1の現像剤搬送部材43を単独駆動するように制御する。
非現像期間とは、例えば、画像形成動作のためのウォームアップ期間や、ウォームアップ後に現像領域Q2(図1、図3参照)に1ページ目の静電潜像が到達するまでの期間、又はNページ目の静電潜像が現像領域Q2を通過してからN+1ページ目の静電潜像が現像領域Q2に到達するまでの期間(画像インターバル期間)や、複数の画像形成ジョブを続けて受け付けた場合の先行ジョブと後続ジョブの間の期間(ジョブインターバル期間)などをいう。このような非現像期間に現像剤充填処理を行なった場合は、画像形成動作中であっても、電磁クラッチ61のオン・オフ状態の切り替えにより、第1の現像剤搬送部材43の単独駆動が断続的に行なわれるようになる。
次に、コントローラCは、画像形成動作の開始に伴って、現像装置Gへの現像剤の補給要求があるかどうかを、トナー濃度センサSUの検出結果に基づいて判断する(ステップS14)。すなわち、トナー濃度センサSUで検出した現像装置G内のトナー濃度が規定濃度未満となっていた場合は、現像剤の補給要求が有りと判断し、当該トナー濃度が規定濃度以上となっていた場合は、現像剤の補給要求が無しと判断する。そして、現像剤の補給要求が有りと判断した場合のみ、コントローラCは、電磁クラッチ61をオン状態にしてモータ48を駆動することにより、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57を予め設定された時間だけ同時駆動して、現像装置Gに現像剤を補給する(ステップS15)。このとき、コントローラCは、電磁クラッチ61をオン状態として第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57を同時に駆動した時間を累積して得られる累積駆動時間を、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の累積同時駆動時間として求める。
その後、コントローラCは、現像剤収容容器Kの交換後の現像剤充填処理中に求めた第1の現像剤搬送部材43の累積単独駆動時間から、上記ステップS15で求めた第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の累積同時駆動時間を減算し、これによって得られた時間値が、前述した所定の充填時間に達しかどうかを判断する(ステップS16)。そして、減算時間値が充填時間に達していない場合は、上記ステップS13に戻って画像形成動作を継続し、減算時間値が充填時間に達した場合は、その段階で、現像剤充填処理とともに一連の制御処理を終える。
以上のような制御処理を行なうことにより、現像剤充填処理を開始してからの第1の現像剤搬送部材43の累積単独駆動時間が、所定の充填時間に達する前の段階(充填途中の段階)では、例えば図18(A)に示すように、第1の現像剤搬送容器RT1内で第1の現像剤搬送部材43の単独駆動により現像剤が徐々に充填されていく。また、第1の現像剤搬送容器RT1内では、現像剤収容容器Kから供給された現像剤が、第1の現像剤搬送部材43による現像剤搬送方向の下流側に徐々に押し込まれるため、この下流側で現像剤の嵩が徐々に増していく。そして、現像剤充填処理を開始してからの第1の現像剤搬送部材43の累積単独駆動時間が、所定の充填時間に達した段階(充填完了の段階)では、図18(B)に示すように、第1の現像剤搬送容器RT1内にほぼ均一に現像剤が充填された状態となり、この状態で現像剤充填処理が終了となる。
したがって、例えば図19に示すように、コントローラCが画像形成を強制停止(交換要求メッセージを表示)してから、使用者が現像剤収容容器Kを交換した場合には、容器交換後に所定の充填時間T12(=T11)だけ第1の現像剤搬送部材43を単独駆動することにより、画像形成ジョブに基づく画像形成動作を開始してから、現像剤の搬送レートが定常時と同等レベルまで回復するまでの所要時間が、当該単独駆動を行わない場合に比較して大幅に短くなり、搬送レートの下限レベルも高くなる。このため、現像装置G内のトナー濃度を適正に維持することができる。ちなみに、図18における時間T11は、現像剤量センサSNCが第1の現像剤搬送容器RT1の現像剤充填量を所定量未満と検出し始めてから、画像形成の強制停止に伴って現像剤収容容器Kの交換が行われるまでの間に、第1の現像剤搬送部材43を単独駆動した累積駆動時間を示している。
また、コントローラCは、第1の現像剤搬送容器RT1における現像剤の充填量が所定量未満となってから現像剤収容容器Kの交換が行なわれるまでの間に第1の現像剤搬送部材43を駆動した累積駆動時間を上記ステップS5でメモリに記録しておき、現像剤収容容器Kの交換後に現像剤充填処理を行なう場合に、当該現像剤充填処理で第1の現像剤搬送部材43を単独駆動する時間(充填時間)を、メモリに記憶しておいた時間に応じて設定するため、現像剤収容容器Kの交換前に第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57の同時駆動により第1の現像剤搬送容器RT1で不足した分の現像剤を、現像剤収容容器Kの交換後に第1の現像剤搬送部材43の単独駆動によって第1の現像剤搬送容器RT1に補充することができる。ちなみに、現像剤充填処理に適用される充填時間を設定する場合は、メモリに記憶してある時間をそのまま充填時間として設定してもよいし、メモリに記憶してある時間に係数を乗算して得られる時間値を充填時間として設定してもよい。
また、コントローラCは、現像剤収容容器Kの交換後の非現像期間に第1の現像剤搬送部材43を単独駆動するように制御するため、現像剤充填処理を開始した直後やその途中で画像形成ジョブを受け付けた場合でも、現像剤充填処理を終えるまで画像形成ジョブの開始を遅らせることなく(換言すると、ジョブ待ち時間を発生させることなく)、現像剤充填処理を早期に終了させることができる。
ただし、現像剤収容容器Kの交換直後に、画像形成の対象となる画像の密度が高い画像形成ジョブを受け付けた場合は、その画像形成ジョブにしたがって画像形成を行なったときに、現像装置Gでの現像剤の消費レートが高くなる。このため、現像装置Gでの現像剤の消費に対して、現像装置Gに対する現像剤の補給が間に合わず、現像装置G内のトナー濃度が規定濃度未満まで低下する恐れがある。
そうした場合への対処として、コントローラCは、上記ステップS11の段階、すなわち現像剤収容容器Kの交換後で且つ現像剤充填処理を終える前の段階で、画像形成ジョブを受け付けた場合に、現像剤充填処理を終えてから画像形成ジョブを開始するか、現像剤充填処理の途中で画像形成ジョブを開始するかを、画像形成の対象となる画像の密度に応じて切り替えるように制御するものとしてもよい。
その場合、コントローラCは、上記ステップS11で画像形成ジョブを受け付けた場合に、図示はしないが、画像形成の対象となる画像の密度と予め設定された基準密度(例えば、60%)とを比較し、この比較結果に基づいて、現像剤充填処理を終えてから画像形成ジョブを開始するか、現像剤充填処理の途中で画像形成ジョブを開始するかを切り替える。具体的には、画像密度が基準密度を超える場合は、現像剤充填処理を終えてから画像形成ジョブを開始するように制御し、画像密度が基準密度以下の場合は、現像剤充填処理の途中で画像形成ジョブを開始するように制御する。
画像形成の対象となる画像の密度(%)は、1ページ分の画像であれば、そのページサイズに対応した全画素数(有効画素数+無効画素数)で有効画素数を除算した値をパーセント表記に変換(×100)して得られる平均画像密度となり、複数ページ分の画像であれば、ページごとに求めた平均画素密度を、ページ総数で除算して得られる平均画像密度となる。
このように画像形成ジョブの開始時期を画像密度に応じて制御することにより、現像剤収容容器Kの交換直後に画像密度が高い画像を出力する場合でも、第1の現像剤搬送容器RT1に十分な量の現像剤を充填し終わってから、画像形成ジョブにしたがって画像形成動作が行なわれることになる。このため、現像装置G内のトナー濃度を適正なレベルに維持することができる。
なお、上記実施形態においては、現像剤収容容器Kの交換直後に現像剤充填処理を開始するものとなっているが、画像形成装置の運用上、コントローラCが交換通知メッセージの表示を開始してから画像形成を強制停止するまでの期間であれば、使用者はいつでも現像剤収容容器Kを交換することができる。また、現像剤収容容器Kを交換するまでは、通常通りに画像形成ジョブを実行させてシートに画像を出力させることができる。
したがって、例えば、交換要求メッセージを表示した段階(画像形成を強制停止した段階)で使用者が現像剤収容容器Kを交換した場合は、上記図15(D)に示すように、第1の現像剤搬送容器RT1に残っている現像剤が定常時の半分以下に減った状況で現像剤収容容器Kの交換が行なわれるため、現像剤収容容器Kの交換直後に現像剤充填処理を行なう緊急性が高くなる。このような場合は、上記実施形態と同様に、現像剤収容容器Kの交換直後に現像剤充填処理を開始することが望ましい。
これに対して、例えば、交換通知メッセージの表示を開始した直後に使用者が現像剤収容容器Kを交換した場合は、上記図15(C)に示すように、第1の現像剤搬送容器RT1に定常時の半分程度の現像剤が残っている状況で現像剤収容容器Kの交換が行なわれるため、現像剤収容容器Kの交換直後に現像剤充填処理を行なう緊急性が低くなる。
このような場合は、現像剤収容容器Kの交換直後に現像剤充填処理を開始してもかまわないが、それよりもむしろ、容器交換後の画像形成ジョブに基づく画像形成動作中に第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57とを所定の時間だけ同時駆動した段階、具体的には、例えば上記図15(D)に示すように、第1の現像剤搬送容器RT1に残っている現像剤が定常時の半分以下に減った段階で、現像剤充填処理を開始するように、コントローラCで制御することが望ましい。現像剤充填処理の開始時刻を規定する「所定の時間」は、交換通知メッセージの表示を開始してから画像形成を強制停止するまでの期間内に、現像剤充填処理を開始する条件で設定すればよい。一例として、現像剤収容容器Kを交換した段階でメモリに記録されている累積駆動時間と前述したリミット時間との差分を求め、その差分値又はそれに1未満の係数を乗算した値を「所定の時間」として設定すればよい。
また、上記実施形態においては、回転軸44aの端部に設けられた歯車49と回転軸57Aの端部に設けられた歯車58との間の動力伝達を、電磁クラッチ61と複数の歯車62〜65を用いて行なうことにより、共通(同一)のモータ48を駆動源として、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57を同時に駆動し得る構成としたが、これに限らず、例えば図20に示すように、回転軸57Aの端部に設けられた歯車58を、モータ66の駆動にしたがって回転する歯車67と噛み合わせることにより、第1の現像剤搬送部材43と第2の現像剤搬送部材57を別々の駆動源(48,66)で同時に駆動したり個別に駆動したりする構成を採用してもよい。
C…コントローラ、G…現像装置、GH…現像剤補給装置、K…現像剤収容容器、RT1…第1の現像剤搬送容器RT1、RT2…第2の現像剤搬送容器、32…補給源搬送部材、43…第1の現像剤搬送部材、57…第2の現像剤搬送部材