図1は、本発明の第1の実施形態のネットワークシステム構成を示す説明図である。
図1に示すセル101−1、101−2、端末102−1〜102−6、ベースバンドモデム103−1、103−2、光ファイバ104−1、104−3、およびフロントエンド部105−1〜105−8は、図38または図39と同じである。図1に示すネットワークシステムは、モデム−RRU間スイッチ108、DFT処理部109、および制御部110を備える。
図1に示すベースバンドモデム103は、複数のアンテナに割り当てられる各々の入出力ポートを持ち、ネットワークシステムに一つまたは複数配置される。ベースバンドモデム103は、ベースバンドモデム103とモデム−RRU間スイッチ108(RRU:Remote Radio Unit)との間でサブバンドごとのベースバンド信号を通信し、また、コアネットワークとの間でデータビット系列を通信する。また、ベースバンドモデム103は、制御部110にモデム−RRU間スイッチ108を切り替えるためのトラフィック情報を送信する。ベースバンドモデム103は、ASICやFPGAなどの論理回路によって実装される。また、ベースバンドモデム103は、必要とする処理能力によってDSPまたはCPUなどのプロセッサによっても実装される。
制御部110は、モデム−RRU間スイッチ108をサブバンドごとに制御する機能を持つ。具体的には、制御部110は、ベースバンドモデム103からトラフィック情報を受信し、受信したトラフィック情報に従ってモデム−RRU間スイッチ108をサブバンドごとに制御する。制御部110は、ASICもしくはFPGAなどの論理回路、またはDSPもしくはCPUなどのプロセッサによって実装される。なお、制御部110は、制御アルゴリズムの更新が容易なDSPなどのプロセッサによって実装されるのが望ましい。
モデム−RRU間スイッチ108は、ベースバンドモデム103の各アンテナに割り当てられる入出力ポート(アンテナポート)と、フロントエンド部105との間の信号を伝送するルートを、サブバンドごとに切り替える機能を持ち、論理回路、光スイッチ、またはロータリースイッチなどの機械的なスイッチによって実装される。なお、モデム−RRU間スイッチ108は、複数のアンテナポートおよびフロントエンド部105への信号の分配および結合が加減算によって容易に可能であり、また、配線の自由度が高い論理回路によって実装されるのが望ましい。
DFT処理部109は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を使用する無線通信システムにおけるフーリエ変換および逆フーリエ変換の機能を持つ。DFT処理部109は、フロントエンド部105ごとにフーリエ変換および逆フーリエ変換をする。
DFT処理部109から端末102に向けて通信する下り通信の場合、DFT処理部109は、各々のサブバンドを割り当てられた複数のモデム−RRUスイッチ108からの入力信号を併せて、OFDMシンボルごとの周波数領域の信号を生成し、逆フーリエ変換によって時間領域の下り送信信号を生成する。端末102からDFT処理部109に向けて通信する上り通信の場合、DFT処理部109は、時間領域の上り受信信号をフーリエ変換し、周波数領域の信号をサブバンドごとに別々のモデム−RRUスイッチ108に送信する。このフーリエ変換および逆フーリエ変換は、OFDM信号処理において特にリアルタイム処理が必要な部分であるため、DFT処理部109は、論理回路によって実装されるのが望ましい。
DFT処理部109とフロントエンド部105との間は、光ファイバ104によって接続される。光ファイバ104の両端には、光変復調器と光/電気変換器とが備わる。光ファイバ104は、ベースバンドデジタル信号、または無線周波数帯アナログ信号を伝送する。
光ファイバ104の終端には、フロントエンド部105が接続される。フロントエンド部105は、無線信号を送受信する機能を持つが、光ファイバ104によって伝送される信号の種類によって構成が異なる。本実施形態のフロントエンド部105は、デジタルアナログ変換器(DAC)と、アナログデジタル変換器(ADC)と、ベースバンド信号を無線周波数帯に引き上げるためのアップコンバータおよび逆変換となるダウンコンバータと、増幅器であるパワーアンプおよびローノイズアンプと、上り無線信号および下り無線信号においてアンテナを共用するためのフィルタを有するデュプレクサと、アンテナとを備える。
図2Aおよび図2Bは、本発明の第1の実施形態のサブバンドごとにセル101の形状が変化する効果を示す説明図である。
サブバンドのセル101の形状は、モデム−RRU間スイッチ108によって接続を切り替えられることによって、変化する。
図2Aに示すサブバンド#1において、左右4個ずつのフロントエンド部105によって各々セル101−1およびセル101−2が形成される。サブバンド#1において、端末102は、セル101−1およびセル101−2の境界に位置する。
図2Bに示すサブバンド#2は、モデム−RRU間スイッチ108が図2Aに示す接続と異なる接続をすることによって、中央4個のフロントエンド部105によって構成されるセル101−1と、両端2個ずつの合計4個のフロントエンド部105によって構成されるセル101−2とを形成する。
モデム−RRU間スイッチ108が接続を切り替えることによって、図2Aのサブバンド#1においてはセル101の境界(以降、セル境界と表記)に位置していた端末102は、図2Bのサブバンド#2においてセル中央に位置する。端末102は、自身にとって最も通信容量を確保できるサブバンドを選択し、基地局との通信チャネルを確保するため、CQI(Channel Quality Indicator)を基地局にフィードバックする(例えば、非特許文献2参照)。CQIをフィードバックすることによって、端末102は、端末102がセル境界に位置することとなるサブバンドではなく、端末102がセル境界に位置しないサブバンドを選択する。すなわち、無線通信プロトコルに影響を与えることなくセル境界をなくし、セル101間の干渉を低減することができる。
前述のように、サブバンドごとにセル101の形状を変化させる無線通信システムを用いる場合、従来の無線通信システムにはなかった新たな課題が生じる。新たな課題とは、全サブバンドのセルを形成し、制御するための同期信号およびセル内の共通制御信号をどのように生成し、送受信するかである。
新たな課題への最も単純な解決方法は、サブバンドごとに同期信号および共通制御信号を伝送することである。しかし、サブバンドごとに同期信号および共通制御信号を伝送した場合、サブバンドの数に比例して、同期信号および共通制御信号のオーバヘッドが増大するため、システムにおけるデータを伝送する効率が低下する。
従って本実施形態において、無線周波数帯域は、セル共通の同期信号および共通制御信号を伝送するためのアンカーサブバンドとそれ以外のサブバンドとに分割される。そして、本実施形態のアンカーサブバンドのセルは、その他のサブバンドのセルと一部重なる。すなわち、アンカーサブバンドと各その他のサブバンドとは、一部フロントエンド部105を共用する。これによって、本実施形態の全サブバンドは、アンカーサブバンドによって伝送された同期信号および共通制御信号を用いて、セル101を形成することが可能となる。
図3は、本発明の第1の実施形態のアンカーサブバンドとその他のサブバンドとを示す説明図である。
図3に示す全サブバンド(本実施形態においては、五つのサブバンドに分割)のうち、サブバンド#3は、アンカーサブバンドと定められる。サブバンド#3は、同期信号および共通制御信号を伝送する。サブバンド#1、2、4、5は、それぞれアンカーサブバンドであるサブバンド#3と、一部フロントエンド部105を共用する。
なお、同期信号および共通制御信号の伝送方法は、アンカーサブバンドによって伝送されてもよいし、アンカーシンボルを用いて伝送されてもよい。
図40は、本発明の第1の実施形態のアンカーシンボルとその他のシンボルにおけるサブバンドとを示す説明図である。
図3に示すサブバンドは、ある特定のサブバンドをアンカーサブバンドとした。一方、図40に示すサブバンドは、ある特定の時間シンボル(OFDMシンボル)をアンカーシンボルとし、アンカーシンボルによって、全サブバンドに跨って同期信号および共通制御信号が伝送される。
図4Aおよび図4Bは、アンカーサブバンドとその他サブバンドとにおけるセル101の構成を示す。
なお、図4Aおよび図4Bには、セル101とフロントエンド部105と端末102とを記載しており、その他装置の表記は省略する。
図4Aは、本発明の第1の実施形態のアンカーサブバンドにおけるセル101の構成を示す説明図である。
図4Aおよび図4Bに示すセル101とフロンドエンド部105との対応の識別するため、中心のセル101を形成するフロントエンド部105は、黒く塗りつぶして表記される。以下において、セル101のうち、中心に位置するセル101を中心セル、中心セルの上側に位置するセル101を上側セルと表記する。
同じ同期信号および共通制御信号が、セル101内のフロントエンド部105から同時に送信される。図4Aに、中心セル101のフロントエンド部105のうち少なくとも一つのフロントエンド部105からの同期信号および共通制御信号が最も強く受信できる端末102が五つ表記される。このアンカーサブバンドにおいて、五つの端末102のうち中央の端末のみがセル境界ではない位置であり、残りの四つの端末がセル境界に位置する。以下において、五つの端末102は、図4Aに示す配置に基づいて、それぞれ上側端末、左側端末、中心端末、右側端末、および下側端末と表記する。
図4Bは、本発明の第1の実施形態のその他サブバンドにおけるセル101の構成を示す説明図である。
図4Bにおけるセル101は、図4Aにおける全てのセル101を、図4Aに示すセル101と比較して、下側にオフセットさせた結果である。中心セルも下側にオフセットされている。五つの端末102のうち下側端末は、中心セルの中心に位置し、代わりに図4Aに示すアンカーサブバンドにおいて中心セルの中心に位置していた中心端末は、セル境界に位置する。これによって、中心端末と下側端末とは、少なくとも一つのサブバンドにおいてセル境界に位置しない。
また、五つの端末102のうち上側端末もセル境界に位置していないが、中心セルの中心ではなく上側セルの中心となる。上側端末は、上側セルと中心であるため、上側端末がアンカーサブバンドにおける中心セルに同期して、中心セルをサービングセルとしている場合、中心セルの全てのフロントエンド部105からの距離が遠くなるため、当該サブバンドにおける上側端末の通信品質は低くなる。この上側端末の通信品質を改善するためには、図4Aに示す全てのセル101を上側にオフセットさせたサブバンドを別途生成する必要がある。
右側端末および左側端末についても同様に、全てのセル101を右側および左側にオフセットさせることが必要である。
図41および図42は、アンカーシンボルと、アンカーシンボル以外のあるサブバンドにおけるセル101の構成を示す。
図41は、本発明の第1の実施形態のアンカーシンボルにおけるセル101の構成を示す説明図である。
図41に示すセル101の構成において、フロントエンド部105は28個配置され、各々のセル101は、四つのフロントエンド部105によって形成される。各々のセル101は、端末102が最も強く受信できる信号の送信元となるフロントエンド部105が属する四つのフロントエンド部105の組によって、形成されるエリアである。図41に示す各々のセル101は、セル#1〜セル#7によって示される。
本実施形態のセル101の形状を、六角形と仮定する。一つのセル101を形成する一組のフロントエンド部105は、1台のベースバンドモデム103に接続される。同期信号および共通制御信号は、各々のベースバンドモデム103によって独立して生成され、ベースバンドモデム103に接続する全てのフロントエンド部105によって同一の同期信号および共通制御信号が送信される。
六角形のセル101内に存在する端末102は、セル101を形成するフロントエンド部105から送信される同期信号および共通制御信号を最も強く受信できる。このため、端末102は、フロントエンド部105に接続されるベースバンドモデム103の管理下に置かれたとみなすことができる。従って、端末102へのデータ信号およびデータ信号に関する参照信号も、ベースバンドモデム103によって生成される。ただし、セル101を形成するフロントエンド部105の組合せは、各々のサブバンドによって異なる。
図42は、本発明の第1の実施形態のアンカーシンボル以外のサブバンドにおけるセル101の構成を示す説明図である。
図42に示すセル101の構成は、データ信号等を送信するためのサブバンドおよび時間シンボル(OFDMシンボル)におけるセル101の構成の一例を示す。
図41に示す同期信号および共通制御信号を送信するためのセル101を、全体的に下側にオフセットさせたオフセットセル119を、データ信号およびデータ信号に関する参照信号を送信するために生成する。
図42に示す実線は、オフセットセル119を示し、破線は、同期信号および共通制御信号を送信するためのセル101を示す。また、図42に示すオフセットセル119における各々のセル101に、対応する図41に示すセル#1〜セル#7を表記した。
図42に示すオフセットセル119は、システム全体に存在する複数のサブバンドのうち一部のサブバンドによって形成される。他のサブバンドのオフセットセル119は、セル101のオフセット方向を上や左などに変えて生成する。
図41に示す同期信号および共通制御信号を生成するセル#1は、図42に示すセル121である。セル121に存在する端末102は、黒に塗りつぶされたフロントエンド部105(図41においてセル#1を形成するフロントエンド部105)から同期信号および共通制御信号を送信するベースバンドモデム103の管理下にある。
ただし、図42に示すオフセットセル119において、ベースバンドモデム103は、図41に示すセル101に接続されるフロントエンド部105とは異なるフロントエンド部105に接続される。つまり、ベースバンドモデム103に接続されるフロントエンド部105は、図42に示すオフセットセル119のセル#1を形成するフロントエンド部105であり、具体的には黒く塗りつぶされた2つのフロントエンド部105と、その下に記載された白く塗りつぶされた2つのフロントエンド部105である。
図42に示すセル101の構成の結果、図42に示すセル101及びオフセットセル119を形成するサブバンドおよび時間シンボルにおいて、セル121の下側の境界120に位置する端末102の通信品質が改善される。
境界120に位置する端末102の通信品質が改善される理由の一つは、境界120に位置する端末102の周囲の全てのフロントエンド部105は、端末102が所望する信号を端末102に送信するためである。また、理由の二つ目は、端末102に干渉信号を送信するフロントエンド部105は遠くに位置するため、境界120に位置する端末102の信号電力対干渉信号電力比SIR(Signal to Interference Ratio)が改善するためである。
一方、セル121の上側に位置する端末102は、オフセットセル119におけるセル#1を形成するフロントエンド部105を管理するベースバンドモデム103との通信が極めて困難となる。つまり、セル121の上側に位置する端末102の周囲の全てのフロントエンド部105は、セル121の上側に位置する端末102に対し干渉信号を送信するためである。
セル121の上側に位置する端末102への干渉信号の送信元は、オフセットセル119におけるセル#7を形成するフロントエンド部105を管理するベースバンドモデム103である。セル121の上側に位置する端末102にとって、オフセットセル119におけるセル#1を形成するフロントエンド部105を管理するベースバンドモデム103は、遠くに位置する。セル121の上側に位置する端末102が、セル#1を形成するベースバンドモデム103とデータ通信する場合は、オフセットセル119をセル101に対して全体的に上側にシフトさせるサブバンドを新たに生成する必要がある。
なお、図42に示すセル#3、#4、#5は、セル101に対してオフセットセル119を下側にオフセットさせたため、上側に折り返す。
図5は、本発明の第1の実施形態のネットワーク装置構成を示す説明図である。
ベースバンドモデム103は、複数のアンテナポートを備え(図5において、アンテナポートは4本)、アンテナポートによって、ベースバンドモデム103とモデム−RRU間スイッチ108との間でベースバンドデジタル信号を送受信する。また、ベースバンドモデム103は、IPパケット化したデータ信号を、ゲートウェイ113と送受信する。ベースバンドモデム103は、IPパケットとベースバンドデジタル信号とを変換する。
ベースバンドモデム103は、サブバンドごとに別々のモデム−RRU間スイッチ108とデータ通信する。このため、ベースバンドモデム103とモデム−RRU間スイッチ108との間のサブバンドごとのスイッチングが別途必要となり、スイッチングを制御する装置が、後述の制御部110である。
ゲートウェイ113は、無線通信システムにおけるネットワークの終端装置であり、コアネットワークとの間でプロトコル変換をする。
制御部110は、一つまたは複数のベースバンドモデム103から端末のトラフィック分布の情報を受信し、受信したトラフィック分布の情報に従ってモデム−RRU間スイッチ108をサブバンドごとに制御する機能を持つ。トラフィック分布の情報の受信方法、およびスイッチングを制御する情報の生成方法については、後述する。
モデム−RRU間スイッチ108は、ベースバンドモデム103の各アンテナポートと各フロントエンド部105との間の信号を伝送するルートを、サブバンドごとに切り替える機能を持つ。また、複数のフロントエンド部105に対して同じベースバンド信号をコピーし、また、複数のフロントエンド部105からのベースバンド信号を結合する。なお、モデム−RRU間スイッチ108は、サブバンドごとに物理的に分割されていても、物理的には一つ一つの装置に実装され論理的に時分割されてもよい。
DFT処理部109は、OFDMを使用する無線通信システムにおけるフーリエ変換および逆フーリエ変換の機能を持つ。DFT処理部109は、フロントエンド部105ごとにフーリエ変換および逆フーリエ変換する。下り通信の場合は、DFT処理部109は、各々のサブバンドを割り当てられた複数のモデム−RRUスイッチ108からの入力信号を併せて、OFDMシンボルごとの周波数領域の信号を生成し、逆フーリエ変換によって時間領域の下り送信信号を生成する。上り通信の場合は、DFT処理部109は、時間領域の上り受信信号をフーリエ変換し、生成された周波数領域の信号をサブバンドごとに別々のモデム−RRUスイッチ108に送信する。
フロントエンド部105は、無線信号を送受信する機能を持ち、無線通信のためのアンテナを備える。フロントエンド部105は、光ファイバ104によって伝送される信号の種類によって構成が異なる。本実施形態のフロントエンド部105は、デジタルアナログ変換器(DAC)、アナログデジタル変換器(ADC)、ベースバンド信号を無線周波数帯に引き上げるためのアップコンバータ、逆変換となるダウンコンバータ、増幅器であるパワーアンプとローノイズアンプ、上り無線信号と下り無線信号とにおいてアンテナを共用するためのフィルタを有するデュプレクサ、およびアンテナによって構成される。
図6Aは、本発明の第1の実施形態のモデム−RRU間スイッチ108を示す説明図である。
図6Aに示すモデム−RRU間スイッチ108は、論理回路によって実装される。
モデム−RRU間スイッチ108は、最初に入力ポートからの入力信号をそれぞれ出力ポート数分コピーし、出力ポートに入力信号を分配後、分配後の入力信号にビットマスク処理をする。モデム−RRU間スイッチ108は、入力信号を通過させる場合は、入力信号に全ビット1のANDマスク、入力信号を通さない場合は、入力信号に全ビット0のANDマスクをする。出力ポートごとにマスク処理をした後、モデム−RRU間スイッチ108は、マスク処理をされた入力信号を全入力ポート分加算し、加算した信号を出力する。
モデム−RRU間スイッチ108は、上り通信と下り通信とにおいて個別に備えられる。モデム−RRU間スイッチ108は、下り通信の場合、図6Aに示す通り、入力ポートがベースバンドモデム103の各アンテナポート出力と接続され、出力ポートが各フロントエンド部105と接続される。また、モデム−RRU間スイッチ108は、上り通信の場合、入力ポートが各フロントエンド部105と接続され、出力ポートがベースバンドモデム103の各アンテナポート出力と接続される。
図6Bは、本発明の第1の実施形態のモデム−RRU間スイッチ108をサブバンド間で共有して物理的に一つにまとめた場合のタイミングチャートを示す説明図である。
モデム−RRU間スイッチ108は、入力ポートから、OFDMシンボル長、または一般的なマルチキャリアシステムにおいてはサブフレーム長の信号を送信する時間間隔内で、異なるサブバンドの信号が順番に入力される。モデム−RRU間スイッチ108の入力側において、スイッチ切替えのためのパルスが挿入されることが望ましい。制御部110は、予め制御部110内に備わるレジスタにスイッチ切替え情報であるマスクパタンを記録しておき、スイッチ切替えパルスをモデム−RRU間スイッチ108の入力側に挿入し、スイッチ切替えパルスのタイミングに従ってマスクを切り替える。モデム−RRU間スイッチ108に入力された信号は、マスク処理の後、加算処理後に加算処理分の遅延を受けて出力ポートから信号が出力される。
図43は、本発明の第1の実施形態のアンカーシンボルを用いる場合のモデム−RRU間スイッチ108のタイミングチャートを示す説明図である。
図6Bに示すタイムチャートと異なり、アンカーシンボルを用いる場合のタイミングチャートは、アンカーシンボルには全サブバンドに跨ってモデム−RRU間スイッチ108を固定し、アンカーシンボル以外の時間シンボルには図6Bと同様にサブバンド毎にモデム−RRU間スイッチ108を切り替える。
図7は、本発明の第1の実施形態のネットワーク装置構成を詳細に示す説明図である。
ベースバンドモデム103は、下り送信データを一時記録する送信バッファ201と、コードワードごとに符号化および変調を行う符号化変調部202と、符号化変調部202からの出力である一次変調シンボルを、同じ時間および周波数によって空間多重するレイヤごとの信号に整列させるレイヤマッピング203と、レイヤごとの送信信号を構成要素とする送信信号ベクトルにプレコーディング行列を作用させるプレコーダ204と、上り受信データに含まれる受信側において既知の参照信号から無線伝搬路の応答を推定するチャネル推定部205と、レイヤマッピング203の逆処理でありレイヤごとの受信信号をコードワード単位に整列させるレイヤデマッピング206と、チャネル推定結果から生成される送信シンボル候補と受信信号の受信点とのユークリッド距離から尤度推定を行い、尤度比を元に送信信号の復号を行う復調復号部207と、復調復号部207の出力を一時的に蓄積する受信バッファ208とを備える。送信バッファ201と受信バッファ208とは、ゲートウェイ113とのデータ通信におけるバッファの機能も持つ。
下り通信のプレコーダ204からの出力信号は、アンテナポートごとの出力であり、それぞれモデム−RRU間スイッチ108へ別の入力ポートから入力される。図7に示す第1の実施形態においては、サブバンドごとにモデム−RRU間スイッチ108を備えられているが、図6Bに示すように複数のサブバンド間で一つのモデム−RRU間スイッチ108を共用する場合、上り下りそれぞれ一つのモデム−RRU間スイッチ108を用意すればよい。
上り通信のチャネル推定部205への入力信号は、それぞれモデム−RRU間スイッチ108からの別の出力ポートから出力される。上り通信におけるモデム−RRU間スイッチ108への入力は、フロントエンド部105からの受信信号である。チャネル推定部205は、複数のサブバンド分の受信信号が入力される。これら複数のサブバンド分の受信信号は、一旦チャネル推定部205内のバッファに蓄えられ、サブバンドごとに順次処理される。または、サブバンドごとにチャネル推定回路を備えられ、全サブバンド分の受信信号を一斉に処理されてもよい。
モデム−RRU間スイッチ108のフロントエンド部105側には、複数のサブバンドの信号を下り通信においては結合、上り通信においては分離するための機能を持つ、DFT処理部109または後述するマルチキャリア結合分離部111が備わる。DFT処理部109または後述するマルチキャリア結合分離部111とフロントエンド部105との間は光ファイバ104によって接続される。また、光ファイバ104の両端には、光変復調器および電気/光変換器が備わる。上り通信用および下り通信用において各々光ファイバ104を備えてもよいし、上り下り共用の光ファイバ104を備えても良い。
図8は、本発明の第1の実施形態のOFDMシステムを前提としたモデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との間の接続を示すブロック図である。
図8に示す構成は、ベースバンドデジタル信号を、光ファイバ104を介して伝送するための構成である。この伝送の方法は、CPRI(Common Public Radio Interface)と呼ばれる通信規格に基づく(例えば、非特許文献4参照)。
図8に示す構成は、下り通信用モデム−RRU間スイッチ108−1、上り通信用モデム−RRU間スイッチ108−2、IFFT処理部109−1、FFT処理部109−2、デジタルアナログ変換器(DAC)301、アナログデジタル変換器(ADC)304、アップコンバータ302、ダウンコンバータ305、パワーアンプ303、ローノイズアンプ306、デュプレクサ307、およびアンテナ308を備える。
モデム−RRU間スイッチ108は、下り通信および上り通信ごとに、下り通信用モデム−RRU間スイッチ108−1および上り通信用モデム−RRU間スイッチ108−2が備えられる。下り通信用モデム−RRU間スイッチ108−1は、それぞれDFT処理部109の下り通信部であるIFFT処理部109−1と接続される。上り通信用モデム−RRU間スイッチ108−2は、DFT処理部109の上り通信部であるFFT処理部109−2と接続される。
IFFT処理部109−1は、複数の下り通信用モデム−RRU間スイッチ108−1から入力信号を受信し、受信した信号を逆フーリエ変換し、DAC301に送信する。FFT処理部109−2は、ADC304から受信した入力信号をフーリエ変換し、複数の上り通信用モデム−RRU間スイッチ108−2に、サブバンドごとに出力する。
IFFT処理部109−1およびFFT処理部109−2と、DAC301およびADC304との間は、光ファイバ104によって接続される。また、光ファイバ104の両端は、図示しない光変復調器と電気/光変換器とを備える。
図8において、光ファイバ104よりも右側がフロントエンド部105である。
DAC301の出力先には、ベースバンド帯−無線周波数帯の変換を行うアップコンバータ302が備わり、アップコンバータ302の出力先には、下り方向の無線周波数帯に変換された信号を増幅するためのパワーアンプ303が備わる。また、ADC304への入力元には、無線周波数帯−ベースバンド帯の変換を行うダウンコンバータ305が備わり、ダウンコンバータ305への入力元には、上り無線周波数帯信号を増幅するためのローノイズアンプ306が備わる。
パワーアンプ303およびローノイズアンプ306とアンテナ308との間には、上り信号と下り信号においてアンテナを共用するためのバンドパスフィルタを持つデュプレクサ307が備わる。
次に、図17から図28を用いて、無線通信システム全体のベースバンドモデム103の負荷分散によって、無線通信システム全体でベースバンドモデムの消費電力を低減する構成を示す。
図9Aおよび図9Bは、本発明の第1の実施形態のアンカーサブバンドまたはアンカーシンボルにおけるフロントエンド部105とセル101との対応を示す説明図である。
図9Aは、フロントエンド部105とセル101との対応を示す。図9Bは、図9Aのうち、セル101のみを抽出した図である。図9Bに示すセル101の番号、すなわち、セル#1〜#9は、それぞれのセル101を一意に示す番号である。
図9Cおよび図9Dは、本発明の第1の実施形態のその他の第1のサブバンドにおけるフロントエンド部105とセル101との対応関係を示す説明図である。
図9Cおよび図9Dに示すセル101は、図9Aおよび図9Bに示すセル101をフロントエンド部105と比較して上側にセル101全体をオフセットさせたセル101である。このため、図9Cおよび図9Dに示すセル#1、セル#2、およびセル#3は、フロントエンド部105全体のうち、上端のフロントエンド部105と下端のフロントエンド部105とによって生成される。モデム−RRU間スイッチは、図9A〜図9Dに示すセル105とフロントエンド部105との対応になるよう、フロントエンド部105によるセルの生成を制御する。
図10Aは、本発明の第1の実施形態の制御部110に含まれるトラフィック情報を示す説明図である。
図10Aに示す説明図は、アンカーサブバンドまたはアンカーシンボルにおける各セル101がどのベースバンドモデム103に接続されているかを示す。また、制御部110は、各セル101に含まれるフロントエンド部105と端末102との間で無線信号が最も強く送受信できる端末102の数と、各セル101において伝送されたデータの総量とを単位時間ごとに集計し、図10Aに示す説明図に表記する。図10Aに示す下り通信データ量および上り通信データ量は、Gbit/hourが単位であるが、セル101間でデータ通信量が比較できればいずれの単位でもよい。
図10Bは、本発明の第1の実施形態の制御部110に含まれるベースバンドモデム103とフロントエンド部105が構成するセル101との対応と、ベースバンドモデム103の動作状態を示す説明図である。
図10Bに示すベースバンドモデム103の動作状態は、ベースバンドモデム103が動作している場合は"状態"列に"Active"、ベースバンドモデム103が"停止している場合は"状態"列に"Inactive"を表記する。ベースバンドモデム103ごとの端末102数およびデータ量を含むトラフィック情報を集計する場合、制御部110は、図10Bのセル番号に相当する図10Aのトラフィック情報を集計することによって取得する。
図11は、本発明の第1の実施形態のベースバンドモデム103ごとにトラフィック情報を集計する処理を示すフローチャートである。
最初に、制御部110は、ベースバンドモデム103にトラフィック情報の集計を開始するよう指示する(S1001)。なお、トラフィック情報を集計する時間は、あらかじめ定められ、S1001において制御部110からベースバンドモデム103に指示されてもよいし、管理者によってベースバンドモデム103にあらかじめ設定されていてもよい。本実施形態において、トラフィック情報を集計する時間は、1時間とする。
ベースバンドモデム103は、制御部110からの指示を受けると、自らのメモリに記憶していた上りおよび下りのデータ通信量を0に初期化する(S1002)。また、ベースバンドモデム103は、あらかじめメモリに記憶していたセル101ごとに所属する端末102を示す端末IDの配列(メモリ)を、現時点、すなわちS1001の指示を受けた時点の端末102のIDの配列に初期化する(S1003)。また、ベースバンドモデム103は、あらかじめ定められた時間のトラフィック情報を集計するために、マルチキャリアシステムにおけるサブフレーム等の、データ送信間隔ごとにカウントアップするカウンタを0に初期化する(S1004)。なお、ベースバンドモデム103は、データ送信間隔ごとにカウントアップするカウンタを、あらかじめ含む。
ベースバンドモデム103は、以降の処理を、マルチキャリアシステムにおけるサブフレーム等のデータ送信間隔ごとに、あらかじめ定められたトラフィック情報を集計する時間に達するまで、繰り返す。
ベースバンドモデム103は、データ送信間隔ごとに、S1003において初期化したセル101ごとに所属する端末102を示す端末IDの配列に、S1003の時点においては含まれていない新規端末からの接続があるか否かを判定し、新規端末からの接続がある場合S1006へ、新規端末からの接続がない場合S1007へ進む(S1005)。
S1005において、新規端末からの接続があると判定された場合、ベースバンドモデム103は、S1005において判定された新規に接続された端末のIDを、端末IDの配列に追加する(S1006)。次に、ベースバンドモデム103は、端末IDの配列に含まれる端末102に、下り通信において送信した送信データのビット数、および、端末IDの配列に含まれる端末102から上り通信において受信した受信データのビット数をそれぞれ累算する(S1007)。
ベースバンドモデム103は、S1004において初期化したカウンタがしきい値(例えば、データ送信間隔が1msであり、トラフィック情報を集計する時間が1時間である場合、カウンタのしきい値は3600000)以上となったか否かを判定する(S1008)。S1008において、カウンタの値がしきい値を超えていると判定された場合は、トラフィック情報を集計する時間が経過したため、ベースバンドモデム103はS1010に進む。また、S1008において、カウンタの値がしきい値以下であると判定された場合は、ベースバンドモデム103はS1009に進む。
S1009において、ベースバンドモデムは、カウンタに1を加え、S1005へ戻る。
S1010において、ベースバンドモデム103は、端末IDの配列に格納されている端末IDの数を端末102の数として算出し、算出された端末102の数と、S1007において累算された上り/下りデータ通信量とを制御部110へ通知する。制御部110は、ベースバンドモデム103から送信された端末102の数と、上り/下りデータ通信量とを、集計したトラフィック情報として、受信する。
前述の図11に示す処理によって、単位時間ごと(例えば、1時間ごと)にベースバンドモデム103に接続された端末102の数、およびベースバンドモデム103における上り/下りデータ通信量がベースバンドモデム103によって集計され、制御部110に通知される。その結果、制御部110は、トラフィック情報に基づく後述するモデム−RRU間スイッチの制御が可能となる。
また、前述の図11に示す処理は、ベースバンドモデムごとではなくフロントエンド部ごとに集計してもよい。フロントエンド部105ごとに集計する場合、S1002とS1003とにおいて初期化される上り/下りデータ通信量と端末IDの配列、S1006において追加される端末IDの配列、S1007において累算される上り/下りデータ通信量を、ベースバンドモデム103がフロントエンド部ごとに持つ。
図12は、本発明の第1の実施形態の制御部110によるセル101とベースバンドモデム103との割り当て処理を示すフローチャートである。
なお、図12に示す説明図におけるセル101は、一つまたは複数のフロントエンド部105を含む。
なお、図12に示す処理は、指標として端末102の数を用いたが、指標としてデータ通信量を用いる場合も同じフローチャートを用いる。後述の処理において、端末102の数をデータ通信量によって置き換えることが可能である。
まず、制御部110は、全てのベースバンドモデム103が接続する端末102の数の合計(図10Aにおける端末102の数の合計)を算出する(S1101)。制御部110は、S1101において得た結果を、あらかじめ取得された、各ベースバンドモデム103において処理する適正な端末102の数(例えば各ベースバンドモデムの処理能力限界が250端末として、マージンを考慮して200端末とする。)によって除算して小数点以下を切り上げる。この除算によって、制御部110は、無線通信システム全体で必要とするベースバンドモデム103の数を計算する(S1102)。
制御部110は、表18Bに示す"状態"列が"Active"であるベースバンドモデム103(以下、Activeモデムと表記)の数と、S1102において算出された無線通信システム全体で必要とするベースバンドモデム103の数(以降、適正ベースバンドモデムと表記)とを比較し、Activeモデムの数よりも適正ベースバンドモデムの数が多い場合は、Activeモデムの数を増やすためS1104へ、Activeモデムの数よりも適正ベースバンドモデムの数が少ない場合はActiveモデムの数を減らすためS1107へ、Activeモデムの数と適正ベースバンドモデムの数とが等しい場合は図12に示す処理を終了する(S1103)。
S1103の結果、Activeモデムの数よりも適正ベースバンドモデムの数が多い場合、制御部110は、Activeモデムを追加できるか否かを判定するため、図10Bに示す情報を参照し、"Inactive"であるベースバンドモデム103(以下、Inactiveモデムと表記)があるか否かを判定する(S1104)。
S1104の結果、図10Bに示す情報にInactiveモデムがない場合、制御部110は、Activeモデムを増やすことができないため図12に示す処理を終了する。
S1104の結果、図10Bに示す情報にInactiveモデムがある場合、制御部110は、Activeモデムのうち接続される端末102が最も多いActiveモデムが、形成するセル101のうちの一部のセル101を、Inactiveモデムに割り当てる(S1105)。S1105の結果、セル101を割り当てられたInactiveモデムの状態は、Activeに遷移されるため、制御部110は、S1102において算出したActiveモデムの数に1を加えてS1103へ戻る(S1106)。
S1103の結果、Activeモデムの数よりも適正ベースバンドモデムの数が少ない場合、制御部110は、Activeモデムの数を減らすため、二つのActiveモデムを結合した場合に予想される端末102の数の合計を算出し、端末102の数の合計が最も小さいActiveモデムの組合せを抽出する。以下、抽出されたActiveモデムの組合せのうち、一つをActiveモデムA、もう一方をActiveモデムBと表記する。制御部110は、ActiveモデムBをActiveモデムAに統合する(S1107)。
統合されたActiveモデムBの状態はInactiveに遷移するため、制御部110は、S1102において算出したActiveモデム数から1を減ずる(S1108)。
なお、制御部110は、図12に示す処理においてベースバンドモデム103の状態が遷移する場合、図10Bに示す情報を更新する。
図12に示す処理の具体的な結果を、図13Aおよび図13Bに示す。
図13Aは、本発明の第1の実施形態の図12に示す処理の前におけるベースバンドモデム103とフロントエンド部105とセル101との関係を示す説明図である。
図13Bは、本発明の第1の実施形態の図12に示す処理の後におけるベースバンドモデム103とフロントエンド部105とセル101との関係を示す説明図である。
図13Aに示す説明図は、図10Bに示す説明図と同じである。図12に示すS1102において用いられるしきい値を200とする場合、図10Aに示すベースバンドモデム103の状態に基づいて、適正ベースバンドモデムの数は、4と算出される。算出された適正ベースバンドモデムの数によって、S1103において、制御部110は、Activeモデムの数よりも適正ベースバンドモデムの数が少ないと判定し、S1107に進む。
S1107において、制御部110は、図13Aに示す矢印の組合せのように、ベースバンドモデム103を統合する。S1107において統合された結果を、図13Bに示す。
図13Bに示す結果には、一つのベースバンドモデム103に一つまたは複数のセル101が割り当てられる場合と、図12に示す処理の前に状態が"Active"であったベースバンドモデム103が"Inactive"となる場合とがある。図13Bに示す端末102の数は、図10Aに示すセル101と端末102の数との対応に基づいて算出された、ベースバンドモデム103に接続される端末102の数である。図13Bに示すベースバンドモデム#1に接続される端末102の数は、240であり、S1102において用いたしきい値200よりも上回る。端末102の数図12に示す処理は、ベースバンドモデム103の数のみを適正な値にするため、端末102の数を適正な値にしない。従って、別途ベースバンドモデム103ごとに、ベースバンドモデム103に接続される端末102の数を適正な値にする処理を、図15において後述する。
図14Aは、本発明の第1の実施形態の図13Aの状態に対応するモデム−RRU間スイッチ108によるスイッチ制御の状態を示す説明図である。
図14Bは、本発明の第1の実施形態の図13Bの状態に対応するモデム−RRU間スイッチ108によるスイッチ制御の状態を示す説明図である。
図14Aに示す○印は、対応するベースバンドモデム103とセル101とが接続されていることを示し、×印は、対応するベースバンドモデム103とセル101とが接続されていないことを示す。なお、図6Aに示すモデム−RRU間スイッチ108を用いる場合、図14Aに示す○印は、全ビット1のANDマスクを用い、×印は、全ビット0のANDマスクを用いることを示す。制御部110は、図14Aに示すスイッチ制御の状態に対し、図12に示す処理を行うことによって、図14Bのようにベースバンドモデム103とセル101とを割り当てる。図12に示す処理の結果、変更されたベースバンドモデム103とセル101との対応は、背景が変更された部分が示す対応である。例えば、ベースバンドモデム#1は、セル#1、#3、#4、および#6に並列的に接続され、下り信号を送信する際これらセル#1、#3、#4、および#6に同一信号を送信し、上り信号を送信する際これらセル#1、#3、#4、および#6において受信された端末102からの信号を全て重畳して受信する。
従って図14Bの結果のようにベースバンドモデム103とセル101とを対応させた場合、上り通信において端末に周波数帯域などの通信リソースを割り当てる際、セル#1、#3、#4、および#6に所属する端末102に同じ通信リソースを割り当てると、端末102が送信する上りデータ信号が相互に干渉する。この上りデータ信号が相互に干渉することを防ぐためには、セル#1、#3、#4、および#6をひとつの大きなセル101とみなし、大きなセル101に所属する端末102すべてに通信リソースを割り当てる必要がある。
下り通信においては、これらセル#1、#3、#4、および#6が一つの大きなセル101になり、その中のセル101のいずれかに所属する端末102に送信するデータ信号は、これらセル#1、#3、#4、および#6の大きなセルによって同報される。
ただし、たとえばセル#6に所属する端末102にとっては、セル#1に所属する端末宛の下り信号は不要であり、セル#6周辺のセル101(セル#3、#5、#9)に不要な干渉を及ぼす結果になる。このため、セル#1、#3、#4、#6各々に対し不要な信号の放射を抑えるためのマスク処理を実現する必要がある。セル#1、#3、#4、#6各々に対し不要な信号の放射を抑えるためのマスク処理は、図26Aにおいて後述する。
図15は、本発明の第1の実施形態の制御部110によるセル101とベースバンドモデム103との割当て処理を示すフローチャートである。
図15に示す処理は、図12に示す処理に後続し、セル101と、セル101に含まれる一つまたは複数のフロントエンド部105と、ベースバンドモデム103との割当て処理である。なお、図15に示す処理は、指標として端末102の数を用いたが、指標としてデータ通信量を用いる場合も、同じフローチャートを用いる。端末102の数は、後述の処理において、データ通信量によって置き換えられることが可能である。
まず、制御部110は、接続される端末102の数がしきい値(図15においても図12と同じ、しきい値は200とする)よりも多いベースバンドモデム103が存在するか否かを判定する。接続される端末102の数がしきい値よりも多いベースバンドモデム103が存在しない場合、ベースバンドモデム103に接続される端末102の数は適切であるため、制御部110は、図15に示す処理を終了する。また、接続される端末102の数がしきい値よりも多いベースバンドモデム103が存在する場合、ベースバンドモデム103に接続される端末102の数は適切ではないため、制御部110は、S1202へ進む(S1201)。
次に、制御部110は、接続される端末102の数がしきい値よりも多いベースバンドモデム103の端末102の数を減らすため、すなわち、ベースバンドモデム103の負荷を他のベースバンドモデム103に分割するため、Inactiveモデムが存在するか否かを判定する。Inactiveモデムが存在しない場合、端末102を分割する先のベースバンドモデム103が存在しないため、制御部110は、図15に示す処理を終了する。Inactiveモデムが存在する場合、端末102を分割する先のベースバンドモデム103が存在するため、制御部110はS1203へ進む(S1202)。
S1202において、Inactiveモデムが存在する場合、制御部110は、S1201において、接続される端末102の数がしきい値を超えたベースバンドモデム103の端末102を、Inactiveモデムのうち一つに、分割する(S1203)。
制御部110は、端末102を分割されたInactiveモデムの状態を、Activeに遷移させ、Activeモデム数に1を加算する(S1204)。
前述の図15に示す処理の結果を、図16Aと図16Bとに示す。
図16Aは、本発明の第1の実施形態の図15に示す処理の前におけるベースバンドモデム103とフロントエンド部105とセル101との関係を示す説明図である。
図16Bは、本発明の第1の実施形態の図15に示す処理の後におけるベースバンドモデム103とフロントエンド部105とセル101との関係を示す説明図である。
図16Aは、図13Bと同じである。図16Aの状態を図15における初期状態とし、図15に示すしきい値を200とする場合、S1201における制御部110による判定によって、接続される端末102の数がしきい値を超えるベースバンドモデム103は、ベースバンドモデム#1であると判定される。
続いて、S1202の判定において、制御部110は、図16Aに示すInactiveモデムのベースバンドモデム3を選択する。S1202において、Inactiveモデムは複数あるが、制御部110は、任意のInactiveモデムを選択してよい。
制御部110は、S1203の処理によって、ベースバンドモデム1が管理していたセル#1、#3、#4、および#6のうちセル#4およびセル#6の二つのセル101を、ベースバンドモデム3に分割する。なお、S1203において、ベースバンドモデム3に分割されるセル101は、ランダムに選択されてよい。また、S1203において制御部110は、図10Aのようにセル101ごとに端末102の数が管理されている場合は、ベースバンドモデム1とベースバンドモデム3とによってセル101を分割した場合に、接続される端末102の数の各々の差が最小になるように、セル101を分割してもよい。
S1203において、制御部110によってセル101を分割された後のベースバンドモデム103とセル101の関係を、図16Bに示す。
なお、制御部110が、セル101(を構成する一つまたは複数のフロントエンド部)ごとに端末102の数を管理するためには、セル101固有の信号を送信する仕組みと、当該セルに対する端末からのアクセス信号を解析する仕組みとが必要である。この仕組みは、後述する。
図17Aは、本発明の第1の実施形態の図16Aの状態に対応するモデム−RRU間スイッチ108の制御の状態を示す説明図である。
図17Bは、本発明の第1の実施形態の図16Bの状態に対応するモデム−RRU間スイッチ108の制御の状態を示す説明図である。
図17Aおよび図17Bに示す○および×は、図14Aおよび図14Bに示す○および×と同じ意味である。
図17Aに示す説明図が、ベースバンドモデム#1とセル#4およびセル#6とが接続されており、ベースバンドモデム#3とセル#4およびセル#6とが接続されていないことを示すのに対し、図17Bに示す説明図は、ベースバンドモデム#1とセル#4およびセル#6とは接続されておらず、ベースバンドモデム#1とセル#4およびセル#6とが接続されていることを示す。
図18Aは、本発明の第1の実施形態のアンカーサブバンドまたはアンカーシンボルにおけるベースバンドモデム103とセル101との関係を示す説明図である。
図18Bは、本発明の第1の実施形態のその他の第1のサブバンドにおけるベースバンドモデム103とセル101との関係を示す説明図である。
図18Aおよび図18Bは、モデム−RRU間スイッチ108の切り替えを下り通信において入力を1、出力をNとし、上り通信において入力をN、出力を1とした場合の、ベースバンドモデムとセルとの関係を示す。図18Aおよび図18Bに示す説明図は、セル101に対応するベースバンドモデム103ごとに異なる背景によって表記される。図18Aおよび図18Bに示す説明図は、図17Bに示すモデム−RRU間スイッチ108の制御の状態に基づく。
モデム−RRU間スイッチ108が、制御部110から図14Aに示す関係を送信されることによって、図14Aに示す関係のようにベースバンドモデム103とセル101とを割り当てた場合、無線通信システムは、九つのセル101を九つのベースバンドモデム103によって形成する必要がある。これに対し、図18Aに示すベースバンドモデム103とセル101との関係を用いた場合、無線通信システムは、九つのセル101を五つのベースバンドモデム103によって形成するため、4つ分のベースバンドモデム103の消費電力を低減することができる。また、図18Aに示す関係を用いた場合、無線通信システムは、地理的に離れた複数のセル101が同じベースバンドモデム103をシェアすることもでき、トラフィック分布に従って柔軟にセル101を構成できる。
図18Bに示すベースバンドモデム103とセル101との関係は、図18Aに示すセル101と比較して全セル101が上側にオフセットされており、上端のセル101が下端に割り当てられている。図18Bに示す関係において、下端中央は、同じベースバンドモデム103のセル101が隣接する。図18Bに示す下端中央を拡大した図を、図18Cに示す。
図18Cは、本発明の第1の実施形態の同じベースバンドモデム103によって形成されるセル101が隣接する場合のフロントエンド部を示す説明図である。
ベースバンドモデム#2の4つのアンテナポートが、図18Cに示すようにフロントエンド部105に接続されている場合、下側4つのフロントエンド部105の間に存在するセル101の境界は、セル101が同じであるため、境界の場所に位置する端末にとってはセル境界ではない。すなわち、同じベースバンドモデム103が接続されたセルを隣接させた場合、隣接されたセルの境界をなくすことができる。
図19Aは、本発明の第1の実施形態のベースバンドモデム103の起動を示すフローチャートである。
図19Aに示すフローチャートは、制御部110によって管理されるベースバンドモデム103の状態が、図12や図15の動作フローに従い、InactiveからActiveに遷移する場合におけるベースバンドモデム103の起動の処理を示す。
まず、制御部110は、図12または図15に示す処理によって、新たにセル101または端末102を割り当てられ、状態をActiveにするように指示されたベースバンドモデム103が発生すると、Activeとなるベースバンドモデム103の状態を、Activeにしている状態であることを示す"Activating"に遷移させる(S1301)。制御部110は、状態をActivatingに遷移されたベースバンドモデム103と電源との間のスイッチをONに切り替える(S1302)。
その後、制御部110は、ベースバンドモデム103の起動処理(プロセッサや論理回路へのプログラム読み込み、初期化)を待ち(S1303)、起動処理をしたベースバンドモデム103からの起動処理終了通知を受信し(S1304)、その後、起動処理終了通知を送信したベースバンドモデム103の状態をActiveへ遷移させる(S1305)。
図19Bは、本発明の第1の実施形態のベースバンドモデム103の停止を示すフローチャートである。
図19Bに示すフローチャートは、制御部110によって管理されるベースバンドモデム103の状態が、図12や図15の動作フローに従い、ActiveからInactiveに遷移する場合におけるベースバンドモデム103の停止の処理を示す。
まず、制御部110は、図12または図15に示す処理によって、セル101または端末102をすべて切断され、状態をInactiveにするように指示されたベースバンドモデム103が発生すると、Inactiveとなるベースバンドモデム103の状態を、Inactiveにしている状態であることを示す"Inactivating"に遷移させる(S1401)。
制御部110は、状態をInactivatingにされたベースバンドモデム103における新規通信を停止させ、既存通信の終了を待つ(S1402)。状態をInactivatingにされたベースバンドモデムは、既存通信の終了を制御部110へ通知する(S1403)。制御部110は、既存通信が終了したベースバンドモデム103と電源との間のスイッチをOFFに切り替える(S1404)。
その後、制御部110は、電源との間のスイッチをOFFに切り替えられたベースバンドモデム103の状態をInactiveへ遷移させる(S1405)。
図20は、本発明の第1の実施形態のベースバンドモデム103の状態遷移を示す説明図である。
図20は、図18Aおよび図18Bにおいて示した状態遷移を示す。
図21A〜図21Cは、本発明の第1の実施形態のベースバンドモデムがinactiveからactiveに状態遷移する際のinactive状態におけるモデム−RRU間スイッチの接続を示す説明図である。
図21A〜図21Cは、図19Aに処理によって、ベースバンドモデム#2の状態をinactiveからactiveに遷移させる場合を示す。
図21Aは、ベースバンドモデム#2の状態がinactiveであるときのモデム−RRU間スイッチ108の接続を示す。図21Aに示すベースバンドモデム#1は、セル#1を形成する一つまたは複数のフロントエンド部と、セル#2を形成する一つまたは複数のフロントエンド部105との両方に接続される。制御部110は、ベースバンドモデム#2の電源を投入し、起動完了通知を受信した後に、図21Bに進む。
図21Bは、制御部110がベースバンドモデム#2の状態をinactiveからactivatingに遷移させた場合のモデム−RRU間スイッチ108の接続を示す。ベースバンドモデム#2の起動完了通知を受信した後、一時的に、セル#2を形成する一つまたは複数のフロントエンド部105は、ベースバンドモデム#1とベースバンドモデム#2との双方に接続される。セル#2に所属する端末102のデータ通信のうち、モデム−RRU間スイッチ108が接続を切り替える前からの継続データ通信(例えば、再送中のデータ通信)は、ベースバンドモデム#1によって処理される。
また、ベースバンドモデム#1にバッファリングされていた、セル#2に所属する端末102に送信する、リソース割り当てが未完のデータ通信は、制御部110を介して、または制御部110からの指示によってベースバンドモデム103間の通信によってベースバンドモデム#2に転送される。ゲートウェイ113から来る新規データ通信も、ベースバンドモデム#2に転送される。
ベースバンドモデム#1において、モデム−RRU間スイッチ108が接続を切り替える前からの継続データの通信が完了した後、モデム−RRU間スイッチ108は、図21Cに示す接続に切り替える。制御部110は、図21Cに示す接続に切り替えられた後、ベースバンドモデム#2の状態をActiveとする。
図22A〜図22Cは、ベースバンドモデムがactiveからinactiveに状態遷移する際のactive状態におけるモデム−RRU間スイッチ108の接続を示す説明図である。
図22A〜図22Cは、図19Bに示す処理によって、ベースバンドモデム#2の状態をactiveからinactiveに遷移させる場合を示す。
図22Aは、ベースバンドモデム#2の状態がactiveであるときのモデム−RRU間スイッチ108の接続を示す。図22Aに示すベースバンドモデム#1は、セル#1を形成する一つまたは複数のフロントエンド部105に接続され、図22Aに示すベースバンドモデム#2は、セル#2を形成する一つまたは複数のフロントエンド部105に接続される。
図22Bは、制御部110がベースバンドモデム#2の状態をactiveからinactivatingに遷移させた場合の、モデム−RRU間スイッチ108の接続を示す。制御部110によってベースバンドモデム#2の状態がactiveからinactivatingに遷移された後、一時的に、セル#2を形成する一つまたは複数のフロントエンド部は、ベースバンドモデム#1とベースバンドモデム#2との双方に接続される。セル#2に所属する端末102のデータ通信のうち、モデム−RRU間スイッチ108によって接続を切り替えられる前からの継続データ通信(例えば、再送中のデータ通信)はベースバンドモデム#2によって処理される。
また、ベースバンドモデム#2にバッファリングされていた、セル#2に所属する端末102に送信する、リソース割り当てが未完のデータ通信は、制御部110を介して、または制御部110からの指示によってベースバンドモデム103間の通信によってベースバンドモデム#1に転送される。ゲートウェイ113側から来る新規データ通信もベースバンドモデム#1に転送される。
ベースバンドモデム#2において、モデム−RRU間スイッチ108が接続を切り替える前からの継続データの通信が完了した後、モデム−RRU間スイッチ108は、図22Cに示す接続に切り替える。制御部110は、ベースバンドモデム#2の状態をInactiveとし、ベースバンドモデム#2の電源を遮断する。
図23Aは、本発明の第1の実施形態のベースバンドモデム103の起動の詳細な処理を示すフローチャートである。
図23Aは、図19Aの処理フローに、図21A〜図21Cに示すモデム−RRU間スイッチ108による処理フローを追加した処理フローである。
まず、制御部110は、状態をActiveに遷移させるベースバンドモデム103の電源のスイッチをONに切り替え(S1401)、状態をActiveに遷移されたベースバンドモデム103は、起動処理を実施する(S1402)。起動処理の完了後に起動したベースバンドモデム103から制御部110へ起動完了を通知する(S1403)。
制御部110は、起動完了の通知を受け、ベースバンドモデム103の状態をActivatingに遷移させる(S1404)。制御部110は、モデム−RRU間スイッチ108に指示を送ることによって、状態がActivatingとなったベースバンドモデム103と、そのベースバンドモデム103に処理を分割する他のベースバンドモデム103とを、同じセル101を形成するフロントエンド部に接続する(S1405)。
処理を分割する他のベースバンドモデムは、既存のデータ通信の完了を待ち(S1406)、既存のデータ通信が完了した旨の通知を制御部110に送る(S1407)。既存のデータ通信が完了した旨の通知を受け、制御部は、S1405において同じセルを形成するフロントエンド部に接続したベースバンドモデム103のうち、S1407において既存のデータ通信が完了した他のベースバンドモデム103側の接続を遮断する(S1408)。最後に、制御部110は、activating状態であったベースバンドモデムの状態を、Activeに遷移させる。
図23Bは、本発明の第1の実施形態のベースバンドモデム103の停止の詳細な処理を示すフローチャートである。
図23Bは、図19Bの処理フローに、図22A〜図22Cに示すモデム−RRU間スイッチ108による処理フローを追加した処理フローである。
まず、制御部110は、停止させるベースバンドモデム103の状態をinactivatingに遷移させ(S1501)、停止させるベースバンドモデム103と、停止させるベースバンドモデム103から処理を引き継ぐ他のベースバンドモデム103とを同じセルを形成するフロントエンド部105に接続する(S1502)。制御部110は、停止させるベースバンドモデム103の既存のデータ通信の完了を待つ(S1503)。停止するベースバンドモデム103は、既存のデータ通信が完了した旨の通知を制御部110に送る(S1504)。この通知を受け、制御部は、S1502において同じセル101を形成するフロントエンド部105に接続した複数ベースバンドモデム103のうち、S1504において既存のデータ通信が完了したベースバンドモデム103側の接続を遮断する(S1505)。その後、制御部110は、フロントエンド部105との接続を遮断されたベースバンドモデム103の電源スイッチをOFFとし(S1506)、当該ベースバンドモデムの状態をinactiveに遷移させる。
図24Aは、本発明の第1の実施形態のベースバンドモデムの起動の処理を示すシーケンス図である。
制御部110は、電源を投入し、状態をactiveにするベースバンドモデム#2の電源ONを、ベースバンドモデム#2に指示し、ベースバンドモデム#2の電源投入、起動処理を待つ。起動処理完了後、ベースバンドモデム#2は、制御部110に対し起動完了通知を送る。制御部110は、起動完了通知を受けると、ベースバンドモデム#2の状態をActivatingに遷移させる。これに伴い、制御部110は、ベースバンドモデム#1が管理していたセル101のうち、ベースバンドモデム#2に処理を引き継ぐセル101のフロントエンド部105(特定フロントエンド部)に対するモデム−RRU間スイッチ108の接続を、ベースバンドモデム#1とベースバンドモデム#2との両方に接続するようモデム−RRU間スイッチ108に指示する。併せて、制御部110は、ベースバンドモデム#1に、ベースバンドモデム#2に引き継ぐセル101に関するデータ信号の処理の、新規通信を停止する指示を送る。その後、ベースバンドモデム#1は、データ通信が継続中(例えば、再送中)の既存のデータ通信を完了させ、完了後に制御部110に既存のデータ通信が完了した旨の通知を送る。制御部110は、既存のデータ通信が完了した旨の通知を受けると、モデム−RRU間スイッチ108に、ベースバンドモデム#1とベースバンドモデム#2との両方に接続していたスイッチのうち、ベースバンドモデム#1側のスイッチを遮断するように指示する。その後、制御部110は、ベースバンドモデム#2の状態をActiveに遷移させる。
図24Bは、本発明の第1の実施形態のベースバンドモデムの停止の処理を示すシーケンス図である。
制御部110は、電源を遮断し、状態をinactive化するベースバンドモデム#2の状態をinactivatingに遷移させ、ベースバンドモデム#2に接続していた全てのセル101のフロントエンド部105(特定フロントエンド部)に対するモデム−RRU間スイッチ108の接続を、ベースバンドモデム#1とベースバンドモデム#2との両方に接続するようモデム−RRU間スイッチ108に指示する。併せて、制御部110は、ベースバンドモデム#2に、新規通信を停止する指示を送り、ベースバンドモデム#2は、データ通信が継続中(例えば、再送中)の既存のデータ通信を完了させ、完了後に制御部110に既存のデータ通信が完了した旨の通知を送る。制御部110は既存のデータ通信が完了した旨の通知を受けると、モデム−RRU間スイッチ108に、ベースバンドモデム#1とベースバンドモデム#2との両方に接続していたスイッチのうち、ベースバンドモデム#2側のスイッチを遮断するように指示する。その後、制御部110は、ベースバンドモデム#2の状態をinactiveに遷移させる。
図25は、本発明の第1の実施形態のシステム全体でベースバンドモデムの消費電力を低減するためのネットワーク装置構成を示すブロック図である。
図5に示すネットワーク装置構成に、ベースバンドモデム103間でデータを振り分けるルータ116、電源117、電源117と各ベースバンドモデム103との間に各ベースバンドモデム103への電源供給のON/OFFを制御するための電源スイッチ118、下り通信において干渉の不要な放射を防ぐためのデータマスク処理部115、および、一つまたは複数のフロントエンド部105によって形成されるセル101ごとの固有信号を挿入するためのセル固有信号挿入部114が追加された。
ルータ116は、制御部110からの指示を受け、端末102ごとのデータ通信をベースバンドモデム103に振り分ける。制御部110は、ベースバンドモデム103ごとに接続されるセル101、およびセル101に所属する端末102の情報を参照して、端末102ごとにベースバンドモデム103を割り当てる。
電源スイッチ118は、制御部110から、図23Aおよび図23Bに示す処理に従ってON/OFFを指示される。
データマスク処理部115は、下り通信用のモデム−RRU間スイッチ108の後段に位置し、干渉の不要な放射を防ぐためのデータマスク処理、すなわちデータ破棄をする。
図26Aは、本発明の第1の実施形態のデータマスク処理部115を示すブロック図である。
データマスク処理部115は、モデム−RRU間スイッチ108から送信されたデータ信号を、そのまま出力するか、または、0を出力し、受信したデータ信号を破棄するかの切替えをする。データマスク処理部115において、データ信号をそのまま送信する必要がないセル101へのデータ信号を破棄するため、データマスク処理部115は、あらかじめ制御部110から、受信した出力をそのまま出力する必要があるセル102のIDの情報を受信し、判定条件バッファに格納し、判定条件バッファに基づいてスイッチ制御をする。
ベースバンドモデム103は、データマスク処理部115によるデータ信号の切替えを有効にするため、図26Bに示すデータ信号を生成する。
図26Bは、本発明の第1の実施形態のデータマスク処理を実施するためのヘッダ付加を示す説明図である。
ベースバンドモデム103は、宛先となるセル101のIDの情報を含んだヘッダをデータ信号に付加し、付加されたヘッダが判定条件バッファに格納されているセル101のIDと一致した場合、データ信号をそのまま出力し、一致しない場合、0を出力する。
図27は、本発明の第1の実施形態のセル固有信号生成部114を示すブロック図である。
セル固有信号生成部114は、データマスク処理部115の出力と、セル固有信号生成手段出力との間でスイッチを切り替える。セル固有信号生成手段は、セル101に固有の信号を生成する手段であり、プロトコルによって規定された方法によって共通制御信号および同期信号を生成し、プロトコルによって規定されたリソースに共通制御信号および同期信号を割り当てるリソースマッピングの役割を持つ。
図28は、本発明の第1の実施形態のシステム全体でベースバンドモデム103の消費電力を低減するためのネットワーク装置構成の詳細を示す説明図である。
図28のネットワーク装置構成は、図7に示すネットワーク装置構成に、ヘッダ挿入部210と、アクセス信号解析部209と、データマスク部115およびセル固有信号挿入部114とを追加した。データマスク部115と、セル固有信号挿入部114に関しては、図25に示すデータマスク部115およびセル固有信号挿入部114と同じである。
ヘッダ挿入部210は、図28Bに示す、データ信号にヘッダを付加する機能を持つ。ヘッダ挿入部210は、送信バッファ201から特定の端末102宛のデータ信号を符号化変調部202に入力する際、端末102が所属するセル101のIDをヘッダに付加する。
アクセス信号解析部209は、端末102から送信されるアクセス信号を解析し、アクセス信号を送信した端末102が接続を要求しているセル101を識別する。端末102が送信するアクセス信号は、特定の低い相互相関のアクセス信号系列(例えばPN系列やZadoff−Chu系列)のサイクリックシフト量をセル101ごとに変えて含んでいる。アクセス信号解析部209は、そのサイクリックシフト量を特定することによって端末102とセル101との関係を明らかにする。ベースバンドモデム103は、複数のセル101と接続する場合があるため、その場合はサイクリックシフト量を、接続するセル101の数だけ変化させながらもっともそれらしいサイクリックシフト量を特定する。もっともそれらしいとは、端末102から受信したアクセス信号と、サイクリックシフト量を変えた既知のアクセス信号系列との相互相関を、例えばマッチドフィルタによって計算した結果、もっとも高い相互相関が得られるということである。
以降に記載する実施形態は、本発明の第1の実施形態において用いたネットワーク構成とは異なるネットワーク構成を用いる。
図29は、本発明の第2の実施形態のネットワークシステム構成を示す説明図である。
第1の実施形態がOFDM無線通信システムを用いていたのに対し、図29に示す第2の実施形態は、一般的なマルチキャリア無線通信システムを用いる。第1の実施形態の構成との違いは、光ファイバ104の両端である。マルチキャリア無線通信システムにおける各キャリアの信号に、それぞれ個別に光ファイバを割り当てる場合、無線通信システムは、光ファイバごとに光変復調器と光/電気変換器とを備えることによって実装できる。しかし、各キャリアごとに光ファイバを割り当てると、光ファイバを敷設するコストが増大するため、複数のキャリアの信号は1本の光ファイバによって伝送されるのが望ましい。そのため、第2の実施形態の無線通信システムは、光ファイバ104の両端に、複数のキャリアの信号を結合し、また、分離するためのマルチキャリア結合分離部111、およびマルチキャリア結合分離部112を備える。マルチキャリア結合分離部111は、下りマルチプレクサおよび上りデマルチプレクサを備える。また、マルチキャリア結合分離部112は、上りマルチプレクサ112および下りデマルチプレクサを備える。複数のキャリアの信号を多重化する方法は、時分割多重、周波数分割多重および波長多重などである。
図30は、本発明の第2の実施形態のネットワーク装置構成を示す説明図である。
図5に示す第1の実施形態のネットワーク装置構成との違いは、DFT処理部109の代わりに、光ファイバ104の両端に、複数のキャリアの信号を結合し、また、分離するためのマルチキャリア結合分離部111、およびマルチキャリア結合分離部112を備える点である。マルチキャリア結合分離部111は、下りマルチプレクサおよび上りデマルチプレクサを備える。また、マルチキャリア結合分離部112は、上りマルチプレクサ112および下りデマルチプレクサを備える。複数のキャリアの信号を多重化する方法は、時分割多重、周波数分割多重および波長多重などである。
図31は、本発明の第3の実施形態のネットワーク装置構成を示す説明図である。
光ファイバ104の終端は、図5に示す第1の実施形態においてはDFT処理部109であり、図30に示す第2の実施形態においてはマルチキャリア結合分離部111である。
第3の実施形態のネットワーク装置構成は、モデム−RRU間スイッチ108の制御単位であるサブバンドの信号処理を、各ベースバンドモデム103が複数のアンテナポートに一括して行う。第3の実施形態によれば、ベースバンドモデム103とモデム−RRU間スイッチ108との間のサブバンドごとのスイッチングが不要になり、これに伴い同区間の配置配線が容易になる。
図32は、本発明の第4の実施形態のモデム−RRU間スイッチ108を示す説明図である。
図32に示すモデム−RRU間スイッチ108は、3D−MEMS(3Dimensions−Micro Electro Mechanical Systems)光スイッチによって実装される。
入力ポート側のミラーは、全ての出力側ミラーに入力信号を反射できるように並べられ、例えば高さ方向に並べられてもよい。出力ポート側のミラーは、どの入力ポート側ミラーから反射された信号においても当該出力ポートに出力できるように並べられ、例えば平面方向に並べられてもよい。制御部110は、サブバンドごとにミラーの向きを制御する。
モデム−RRU間スイッチ108の入力側には電気/光変換器(E/O)、出力側には光/電気変換器(O/E)を備える。ただし、本発明の無線通信システムが、一般のマルチキャリア無線通信システムのようにDFT処理を必要とするシステムではない場合、フロントエンド部105側(下り通信においては出力、上り通信においては入力)は光信号でよいため、下り出力側のO/E変換、および上り入力側のE/O変換は不要となる。併せて、モデム−RRU間スイッチ108側の光ファイバ104終端の下りE/O変換と上りO/E変換は不要となる。
図33は、本発明の第5の実施形態のモデム−RRU間スイッチ108を示す説明図である。
図33に示すモデム−RRU間スイッチ108は、ロータリースイッチによって実装される。ロータリースイッチは、手動によって切り替えられるため、小規模な無線通信システムにおいてセル101の構成を固定して運用する場合に適用される。図33に示すモデム−RRU間スイッチ108は、入力ポートごとにロータリースイッチを備え、出力ポートごとに全入力ポートのロータリースイッチ出力を合成して出力する。サブバンドごとにモデム−RRU間スイッチ108を備え、各々のスイッチ設定を変えることによって実装できる。
図34は、本発明の第6の実施形態のOFDMシステムを前提としたモデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との間の接続を示すブロック図である。
図34は、無線周波数帯のアナログ信号を光ファイバ104によって伝送する構成である。図34に示す構成は、一般にRoF(Radio on Fiber)と呼ばれる。
図34に示す構成の特徴は、図8に示すアップコンバータ302およびダウンコンバータ305までを、モデム−RRU間スイッチ側に備え、光ファイバ104を図34に示す位置に備えることによって、フロントエンド部105を簡易に実装できる点である。ただし、アナログ信号を光ファイバによって伝送すると、光ファイバ内での群遅延によって信号のEVM(エラーベクトル振幅)が増大し、信号のSINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)の上限が下がるため、アナログ信号を高速に伝送することは難しい。また、EVMは、光ファイバ104において信号が伝送される距離が伸びるほど増大する。
このような特徴から、図34に示す構成は光ファイバの配線長が短い屋内(例えばビルや地下など)にフロントエンド部105を大量に配置する場合に適する。なお、図8の構成は、ベースバンドデジタル信号の伝送であるためEVM劣化は少なく、光ファイバ104において信号を長距離にかつ高速に伝送することができる。従って、図8に示す構成は、屋外にフロントエンド部105を備えるセルラシステムに適する。
図35は、本発明の第7の実施形態の一般的なマルチキャリアシステムにおけるモデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との間の接続を示すブロック図である。
図35に示す構成は、二つのキャリアを用いる場合の構成であり、3キャリア以上を用いる場合のマルチキャリアシステムも、図35に示す構成と同様の構成によって実装される。また、図35に示す構成は、図8に示す構成が基本であるが、図34に示す構成を基本とする場合、マルチキャリア結合分離部111、112は、下り通信においてはアップコンバータ302とパワーアンプ303との間、上り通信においてはローノイズアンプ306とダウンコンバータ305との間にそれぞれ備えられ、サブバンドごとのDAC301およびADC304は、サブバンドごとのモデム−RRU間スイッチ108と直接接続される。
図35に示す構成の特徴は、複数サブバンド分の信号を1本の光ファイバ104によって伝送するために、光ファイバ104の両端にマルチキャリア結合分離部111、112が備わる点である。フロントエンド部105内では、サブバンドごとのアナログ信号を各々処理する。また、アップコンバータ302とダウンコンバータ305とは、通信をサブバンドごとに異なる無線周波数によって送信するため、必ずサブバンドごとに別々に備えられ、並列に処理をする。
なお、アップコンバータ302およびダウンコンバータ305以外の装置は、サブバンド間で共用化してもよい。DAC301およびADC304は、サンプリングレートがサブバンド間で異なるため共用化は難しいが、パワーアンプ303およびローノイズアンプ306は、各アンプが性能を保証できる周波数帯範囲に複数のサブバンドが収まっていればサブバンド間で共用化できる。パワーアンプ303およびローノイズアンプ306をサブバンド間で共用化する場合、パワーアンプ303の入力元にマルチプレクサを追加する。
図36は、本発明の第8の実施形態のモデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との間を無線によって接続する場合の構成を示すブロック図である。
図36に示すフロントエンド部105は、信号を増幅して中継するリピータの機能を持つ。
図36の上半分に示すモデム−RRU間スイッチ108は、IFFT処理部109−1、FFT処理部109−2、DAC301、ADC304、アップコンバータ302、ダウンコンバータ305、パワーアンプ303、ローノイズアンプ306、デュプレクサ307、アンテナ308−1を追加される。モデム−RRU間スイッチ108は、アンテナ308−1によって、図36の下半分に示すフロントエンド部105と無線によって通信する。
フロントエンド部105は、モデム−RRU間スイッチ108と無線通信するためのアンテナ308−2と、アンテナ308−2を上り通信と下り通信とにおいて共用するためのデュプレクサ307−2とを持つ。
フロントエンド部105は、モデム−RRU間スイッチ108から下り信号を受信すると、受信した下り信号、すなわち下り方向の無線周波数帯に変換された信号をローノイズアンプ306−2によって増幅し、増幅された下り信号を、ダウンコンバータ305−2によってベースバンド帯に戻す。次に、ベースバンド帯に戻された下り信号は、下り信号を端末102と無線通信する周波数帯に変換するためのアップコンバータ302−2、および同無線信号を増幅するパワーアンプ303−2を介し、端末側のデュプレクサ307−3とアンテナ308−3とを経て端末102に送信される。
端末102から送信された上り方向の無線周波数帯の信号は、アンテナ308−3およびデュプレクサ308−3を介して受信される。受信された上り信号は、ローノイズアンプ306−3によって増幅され、端末102においてアップコンバートされた上り信号をベースバンド帯に戻すためのダウンコンバータ305−3を伝送される。上り信号は、次にモデム−RRU間スイッチ108と無線通信する周波数帯に変換するためのアップコンバータ302−3、同無線信号を増幅するパワーアンプ303−3を介して、デュプレクサ307−2、アンテナ308−2を経てアンテナ308−1に送信される。
図36に示す構成において、モデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との間の無線周波数帯、およびフロントエンド部と端末との間の無線周波数帯は、同じ周波数帯域であっても、別の周波数帯域であっても良い。
図36に示す構成によれば、モデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との間の光ファイバ104を敷設するコストを低減することができる。しかし、図36に示す構成は、モデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105とに備える無線信号を送受信するための装置の追加によって、多くのコストが必要となり、また、無線周波数帯域を新たに必要とするため、既存の無線周波数帯域を逼迫させる。
図37は、本発明の第9の実施形態のモデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との間を無線によって接続する構成を示すブロック図である。
図37に示すフロントエンド部105は、ベースバンドモデム103の機能であるエンコーダとデコーダを追加され、再生中継(伝送によって雑音が加わった信号を、伝送する前の信号に戻す機能)をするリピータの機能を持つ。図37に示すフロントエンド部105と通信するモデム−RRU間スイッチ108は、図36の上半分に示すモデム−RRU間スイッチ108およびモデム−RRU間スイッチ108に追加された構成と同じであるため、図37において省略する。
フロントエンド部105は、モデム−RRU間スイッチ108から受信した下り信号を、ローノイズアンプ306−2によって増幅し、ダウンコンバータ305−2によってダウンコンバートした後、アナログデジタル変換器304−2によってベースバンドデジタル信号に変換する。その後、フロントエンド部105は、チャネル推定および復号を行うデコーダ309−1によって、下り信号を復号する。フロントエンド部105は、復号した下り信号を再生中継するため、エンコーダ310−1において符号化変調からIFFTまでの処理を下り信号に行う。フロントエンド部105は、エンコーダ310−1からの出力を、デジタルアナログ変換器301−2によってベースバンドアナログ信号へ変換し、アップコンバータ302−2によって無線周波数帯アナログ信号へ変換し、パワーアンプ303−2によって増幅する。増幅された信号は、デュプレクサ307−3とアンテナ308−3とを経て端末102に無線伝送される。端末102からの上り信号は、下り信号に行われた処理の逆の処理をされ、モデム−RRU間スイッチ108に送信される。
本発明の第1の実施形態によれば、図1に示すネットワークシステム構成の通り、ベースバンドモデム103とフロントエンド部105との間のスイッチをサブバンドごとに切替え可能なモデム−RRU間スイッチ108とすることによって、本発明の課題を解決できる。
具体的には、図2Aに示すように、従来技術と同様にモデム−RRU間スイッチ108を設定するサブバンドと、図2Aとは異なるセル形状を図2Bに示すセル101の形状のようにサブバンドごとに形成することによって、端末102は、図2Aのサブバンドにおいてはセル境界に位置するが、図2Bのサブバンドにおいてはセル境界ではない場所(図2Bの例ではセル中央)に位置することになり、セル境界をなくすという課題を解決できる。
また、このモデム−RRU間スイッチ108を端末102のトラフィック分布に従って切り替えることによって、ベースバンドモデム103間の負荷を分散でき、無線通信システム全体の消費電力を低減する。
サブバンドごとに切替え可能なモデム−RRU間スイッチ108を導入することによって、無線通信システム全体でセル101の境界をなくすことと、負荷分散によるシステム全体の消費電力低減とを両立することができる。
また、本発明の第1の実施形態によれば、サブバンドごとにセル101を形成するフロントエンド部105またはその組合せを個別に選択できることであり、サブバンドごとのセル101の形状が変化させることができ、あるサブバンドではセル境界に位置した端末が他のサブバンドではセル境界でない場所に位置することになるため、各端末の通信品質が向上する。
また、サブバンド間または時間シンボル間で少なくとも一つのフロントエンド部105を共用することによって、共用のフロントエンド部105が、サブバンド間において共通の制御信号および同期信号を、サブバンドごとに送信することができ、サブバンド間の煩雑な制御信号や同期信号の管理、運用が不要となる。
また、アンカーサブバンドまたはアンカーシンボルの位置をシステムの既定とし、アンカーサブバンドまたはアンカーシンボルによってサブバンド間共通の制御信号および同期信号を送信することができる。また、端末102は、アンカーサブバンドまたはアンカーシンボルの位置を既定値としてあらかじめ設定されているため、制御信号および同期信号の把握が容易となる。
また、信号処理の負荷に従ってフロントエンド部105またはその組合せを選択することによって、負荷が軽いフロントエンド部105またはその組合せを複数選択し、複数のフロントエンド部105またはその組み合わせによって同じデータ信号を同報することができる。その結果、データ信号処理を実施する装置の数、または該装置の稼動数に比例する消費電力を減らすことができる。
また、フロントエンド部105またはその組合せごとに負荷情報を収集でき、これに基づいて、必要に従って複数のフロントエンド部105またはその組合せによって同じデータ信号を同報することができる。その結果、同じデータ信号を同報する数に比例してベースバンドモデム103の数、またはベースバンドモデム103の稼動数を減らすことができ、消費電力が低減される。
また、ベースバンドモデム103ごとに負荷情報を収集でき、負荷が重いベースバンドモデム103には少ないフロントエンド部105またはその組合せを割当て、負荷が軽いベースバンドモデム103には多くのフロントエンド部105またはその組合せを割り当てることによって、ベースバンドモデム103間の負荷を分散できる。その結果、ベースバンドモデム103の数、またはベースバンドモデム103の稼動数に比例する消費電力を減らすことができる。
また、ベースバンドモデム103とフロントエンド部105との間にモデム−RRU間スイッチ108を導入し、かつモデム−RRU間スイッチ108がサブバンドごとに個別に制御されることによって、端末102にとって、セル101の境界を少なくとも一つのサブバンドにおいてなくすことによって通信品質が向上する。
また、負荷情報に基づいてモデム−RRU間スイッチ108を切り替えることによって、消費電力が低減される。
また、ベースバンドモデム103からの送信信号を、モデム−RRU間スイッチ108によって複数のフロントエンド部105へ出力することによって、ベースバンドモデム103が接続するセルおよびサービスエリアを広げることができる。その結果、全てのサービスエリアをカバーするのに必要なベースバンドモデム103の数を減らすことができ、消費電力が低減される。
また、複数の出力ポートに対してコピーして出力された信号に対し、出力ポートごとに個別にデータ信号の一部、つまり出力ポートに接続されるフロントエンド部105と通信できない端末102宛のデータ信号を破棄することによって、フロントエンド部105の周囲のフロントエンド部105から送信されるデータ信号に対する不要な干渉を減らす。
また、複数フロントエンド部105によって受信された受信信号を、モデム−RRU間スイッチ108によって合成して一つのベースバンドモデム103に入力することによって、ベースバンドモデム103がカバーするサービスエリアを広げることができる。その結果、消費電力が低減される。
また、モデム−RRU間スイッチ108の切替えによってフロントエンド部105と接続されなくなるベースバンドモデム103は、モデム−RRU間スイッチ108によって通信路が遮断された状態となる。通信路が遮断されたベースバンドモデム103は、電源が遮断されてもシステムが止まることは無い。そのため、ベースバンドモデム103の電源を遮断することによって消費電力が低減される。
また、モデム−RRU間スイッチ108の切替えによってフロントエンド部105と接続を開始するのに合わせて、ベースバンドモデム103の電源を投入する。これによって、システム全体の信号処理の負荷状況が飽和してきた時に、電源を遮断していたベースバンドモデム103の電源を投入することによって、システム全体の信号処理許容量が増加し、システム全体および端末当りのスループット増加を向上することができる。
また、ベースバンドモデム103の処理能力と実際の処理量を考慮して適正なベースバンドモデム103の数を計算し、計算結果と、計算をした時点における動作中のベースバンドモデム103の数との比較結果に基づき、ベースバンドモデム103の状態を遷移させることによって、トラフィック状況に従ってベースバンドモデム103の稼動数を適正化させ、例えばベースバンドモデム103稼動数がトラフィック状況に対して多すぎてベースバンドモデム103の無駄な電力消費が発生すること、ならびにベースバンドモデム103稼動数がトラフィック状況に対して少なすぎてベースバンドモデム103あたりが処理する端末102の数が多くなり、端末102当りのスループットが低下することを防ぐ。
また、動作中から停止中に遷移するベースバンドモデム103の処理を、別の動作中のベースバンドモデム103に引き継ぐことによって、稼動するベースバンドモデム103の数の低減による消費電力低減効果を、端末の通信相手となるベースバンドモデム103の変更によるベースバンドモデム103−端末102間の通信を遮断することなく実現できる。
また、停止中から動作中に遷移するベースバンドモデム103に、別の動作中のベースバンドモデム103から処理を引き継ぐことによって、ベースバンドモデム103−端末間102の通信を遮断することなく、稼動するベースバンドモデム103の数を増加させることができる。その結果、各ベースバンドモデム103が処理する端末102の数が減少し、端末102当りのスループットが向上する。
第2の実施形態によれば、サブバンド毎個別に制御できるモデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との間の区間で、複数サブバンドの信号を束ねるマルチプレクサと、束ねられた信号をサブバンドごとに解くデマルチプレクサとのうち、少なくともどちらかを具備し、区間の信号伝送を複数サブバンド分束ねて実施することによって、複数サブバンド各々に独立の通信路を確保する必要がなくなるため、区間における通信路構築のためのコストを下げることができる。
第7の実施形態によれば、モデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との間の区間を有線ケーブルによって接続し、ベースバンド帯デジタル信号の複数サブバンド分を束ねた信号を伝送することによって、ケーブルにおける群遅延によるEVM劣化を抑えることができ、長距離のケーブル配線が可能となる。その結果、より多くのフロントエンド部105をベースバンドモデム103に集約することができ、統計多重効果によってベースバンドモデム103の数、またはその稼動数減少による消費電力低減の効果を高めることができる。
第6の実施形態によれば、モデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との間の区間を有線ケーブルによって接続し、無線周波数帯のアナログ信号の複数サブバンド分を束ねた信号を伝送することによって、フロントエンド部105側の装置構成を簡素化できるため、フロントエンド部105の設置コストを低減できる。
第8の実施形態によれば、モデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との間の区間を無線通信によって伝送し、モデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との双方に、区間で無線通信を実施するための無線通信手段を別途具備することによって、モデム−RRU間スイッチ108とフロントエンド部105との間のケーブル配線が不要となる。