JP5303311B2 - 光学活性含フッ素アルキニル化生成物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、重要な医農薬中間体に成り得る光学活性含フッ素アルキニル化生成物の製造方法に関する。
本発明で対象とする光学活性含フッ素アルキニル化生成物は、重要な医農薬中間体に成り得る。ラセミ体の製造方法は非特許文献1および非特許文献2に報告されているが、光学活性体の製造方法は未だ報告されておらず、該活性体自体が新規化合物である。また、本発明に関連する従来技術として、ルイス酸触媒によるトリフルオロピルビン酸エステルと「プロパルギル位に水素原子を有する末端アセチレン」のカルボニル−イン反応が非特許文献3に報告されている(スキーム1を参照)。
Synlett(ドイツ),2008年,第10号,p.1571−1573 Zeitschrift fuer Naturforschung,B:Chemical Sciences(ドイツ),1990年,第45巻,第6号,p.871−875 Tetrahedron(英国),2003年,第59巻,第9号,p.1389−1394
本発明の目的は、重要な医農薬中間体に成り得る光学活性含フッ素アルキニル化生成物の実用的な製造方法を提供することにある。非特許文献1および非特許文献2はラセミ体の製造方法であり、本発明で対象とする光学活性体を製造することはできない。本発明で用いるシリルアセチレンにはプロパルギル位に水素原子を有するものもあるが、非特許文献3の様なカルボニル−イン反応に優先して、所望のアルキニル化反応が選択的に進行するかは不明であった。さらに、目的とする光学活性含フッ素アルキニル化生成物が収率および光学純度において実用的なレベルで製造できるかも不明であった。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、一般式[1]で示される含フッ素α−ケトエステルと、一般式[2]で示されるシリルアセチレンを「光学活性な配位子を有する遷移金属錯体」の存在下に反応させ、引き続いて加水分解することにより、一般式[3]で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物が製造できることを見出した。
一般式[1]で示される含フッ素α−ケトエステルとしては、パーフルオロアルキル基がトリフルオロメチル基であり、エステル部位のアルキル基がメチル基またはエチル基であるものが好ましく、大量規模での入手が容易である。一般式[2]で示されるシリルアセチレンとしては、sp炭素原子上の置換基がアルキル基であり、ケイ素原子上の3つの置換基がそれぞれ独立にアルキル基であるものが好ましく、大量規模での入手が安価である。「光学活性な配位子を有する遷移金属錯体」としては、「光学活性な配位子を有する2価カチオン性の遷移金属錯体」が好ましく、「光学活性な配位子を有する2価カチオン性のパラジウム錯体」が特に好ましく、所望の反応が良好に進行する。
本発明の製造方法では、一般式[1]で示される含フッ素α−ケトエステルと一般式[2]で示されるシリルアセチレンを「光学活性な配位子を有する遷移金属錯体」の存在下に反応させた後に引き続いて加水分解を行うが、該加水分解としては、酸加水分解が好ましく、所望の反応を効果的に行うことができる。
本発明の製造方法で得られる一般式[3]で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物は新規化合物であり、重要な医農薬中間体に成り得る。該生成物の中でもパーフルオロアルキル基がトリフルオロメチル基であり、エステル部位のアルキル基がメチル基またはエチル基であり、sp炭素原子上の置換基がアルキル基であるものが好ましく、大量規模での製造が可能で、特に重要な医農薬中間体に成り得る。
この様に、新規化合物である光学活性含フッ素アルキニル化生成物の有用な製造方法を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は[発明1]から[発明5]を含み、重要な医農薬中間体に成り得る光学活性含フッ素アルキニル化生成物の実用的な製造方法を提供する。
[発明1]
一般式[1]
[式中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、Rはアルキル基を表す]で示される含フッ素α−ケトエステルと、一般式[2]
[式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基または置換アルキル基を表す]で示されるシリルアセチレンを「光学活性な配位子を有する遷移金属錯体」の存在下に反応させ、引き続いて加水分解することにより、一般式[3]
[式中、Rf、RおよびRは上記と同じ置換基を表し、*は不斉炭素を表す]で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物を製造する方法。
[発明2]
一般式[4]
[式中、Rはメチル基またはエチル基を表す]で示される含フッ素α−ケトエステルと、一般式[5]
[式中、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立にアルキル基を表す]で示されるシリルアセチレンを「光学活性な配位子を有する2価カチオン性の遷移金属錯体」の存在下に反応させ、引き続いて酸加水分解することにより、一般式[6]
[式中、RおよびRは上記と同じ置換基を表し、*は不斉炭素を表す]で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物を製造する方法。
[発明3]
発明2において、「光学活性な配位子を有する2価カチオン性の遷移金属錯体」が「光学活性な配位子を有する2価カチオン性のパラジウム錯体」であることを特徴とする、発明2に記載の光学活性含フッ素アルキニル化生成物の製造方法。
[発明4]
一般式[3]
[式中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、Rはアルキル基を表し、Rはアルキル基または置換アルキル基を表し、*は不斉炭素を表す]で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物。
[発明5]
一般式[6]
[式中、Rはメチル基またはエチル基を表し、Rはアルキル基を表し、*は不斉炭素を表す]で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物。
本発明の製造方法は触媒的な不斉合成法であり、量論量の不斉源を必要としない。さらに、目的とする光学活性含フッ素アルキニル化生成物が収率良く極めて高い光学純度で得られるため、その有用性は明らかである。また、プロパルギル位に水素原子を有するシリルアセチレンを用いても、所望のアルキニル化生成物のみが選択的に得られ、カルボニル−イン生成物は殆ど副生しない。よって、分離の難しい不純物が含まれず、化学純度の高い生成物を得ることができる。
この様に、本発明は、重要な医農薬中間体に成り得る光学活性含フッ素アルキニル化生成物の実用的な製造方法を提供するものである。
本発明の光学活性含フッ素アルキニル化生成物の製造方法について詳細に説明する。
一般式[1]で示される含フッ素α−ケトエステルのRfはパーフルオロアルキル基を表し、炭素数が1から12のものが挙げられ、炭素数が3以上のものは直鎖、分枝または環式を採ることができる。一般式[1]で示される含フッ素α−ケトエステルのRはアルキル基を表し、炭素数が1から12のものが挙げられ、炭素数が3以上のものは直鎖、分枝または環式を採ることができる。含フッ素α−ケトエステルの中でも容易に製造でき工業的な利用も可能な、Rfがトリフルオロメチル基で、且つRがメチル基またはエチル基のものが好ましく、光学活性含フッ素アルキニル化生成物の製造に好適である。
一般式[1]で示される含フッ素α−ケトエステルの使用量は、一般式[2]で示されるシリルアセチレン1モルに対して0.2モル以上を用いれば良く、0.3から7モルが好ましく、0.4から5モルが特に好ましい。
一般式[2]で示されるシリルアセチレンのR、R、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基または置換アルキル基を表し、炭素数が1から12のものが挙げられ、炭素数が3以上のものは直鎖、分枝または環式を採ることができる。置換アルキル基は、アルキル基の任意の炭素原子上に、任意の数でさらに任意の組み合わせで、置換基を有することができる。係る置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、アジド基、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基等の低級アルキル基、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基等の低級ハロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の低級アルコキシ基、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基等の低級ハロアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基等の低級アルキルアミノ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等の低級アルキルチオ基、シアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジプロピルアミノカルボニル基等の低級アルキルアミノカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基等の不飽和基、フェニル基、ナフチル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基等の芳香環基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピロリルオキシ基、フリルオキシ基、チエニルオキシ基等の芳香環オキシ基、ピペリジル基、ピペリジノ基、モルホリニル基等の脂肪族複素環基、ヒドロキシル基、ヒドロキシル基の保護体、アミノ基(アミノ酸またはペプチド残基も含む)、アミノ基の保護体、チオール基、チオール基の保護体、アルデヒド基、アルデヒド基の保護体、カルボキシル基、カルボキシル基の保護体等が挙げられる。なお、本明細書において、次の各用語は、それぞれ次に掲げる意味で用いられる。“低級”とは、炭素数が1から6の、直鎖または枝分れの鎖式、または環式(炭素数が3以上の場合)を意味する。“不飽和基”が二重結合の場合(アルケニル基)は、E体またはZ体の両方の幾何異性を採ることができる。“ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、アルデヒド基およびカルボキシル基の保護基”としては、Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,1999,John Wiley & Sons,Inc.に記載された保護基等を用いることができる(2つ以上の官能基を1つの保護基で同時に保護することもできる)。また、“不飽和基”、“芳香環基”、“芳香環オキシ基”および“脂肪族複素環基”には、ハロゲン原子、アジド基、ニトロ基、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、低級ハロアルコキシ基、低級アルキルアミノ基、低級アルキルチオ基、シアノ基、低級アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、低級アルキルアミノカルボニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシル基の保護体、アミノ基、アミノ基の保護体、チオール基、チオール基の保護体、アルデヒド基、アルデヒド基の保護体、カルボキシル基、カルボキシル基の保護体等が置換することもできる。これらの置換基の中には、副反応に関与するものもあるが、好適な反応条件を採用することにより所望の反応を良好に行うことができる。シリルアセチレンの中でも安価に製造でき工業的な利用も可能な、R、R、RおよびRがそれぞれ独立にアルキル基のものが好ましく、光学活性含フッ素アルキニル化生成物の製造に好適である。
「光学活性な配位子を有する遷移金属錯体」としては、一般式[7]
[式中、X−*−Xは光学活性SEGPHOS誘導体(図A)、光学活性BINAP誘導体(図B)、光学活性BIPHEP誘導体(図C)、光学活性P−Phos誘導体(図D)、光学活性PhanePhos誘導体(図E)、光学活性1,4−Et−cyclo−C−NUPHOS(図F)または光学活性BOX誘導体(図G)等を表し、YはNi、Pd、PtまたはCuを表し、ZはSbF、ClO、BF、OTf(Tf;CFSO)、AsF、PFまたはB(3,5−(CFを表す]で示される「光学活性な配位子を有する2価カチオン性の遷移金属錯体」
または、一般式[8]
[式中、Rは水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはトリフルオロメチル基を表し、Meはメチル基を表す]で示されるBINOL−Ti錯体等が挙げられる。
その中でも「光学活性な配位子を有する2価カチオン性の遷移金属錯体」が好ましく、「光学活性な配位子を有する2価カチオン性のパラジウム錯体」が特に好ましい(光学活性な配位子としては代表的なものを挙げており、CATALYTIC ASYMMETRIC SYNTHESIS,Second Edition,2000,Wiley−VCH,Inc.に記載されたものを適宜使用することができる。また、Zとしては、SbF、BF、OTfおよびB(3,5−(CFが好ましく、SbF、OTfおよびB(3,5−(CFが特に好ましい)。
これらの錯体は公知の方法により調製することができ(例えば、Tetrahedron Letters(英国),2004年,第45巻,p.183−185、Tetrahedron:Asymmetry(英国),2004年,第15巻,p.3885−3889、Angew.Chem.Int.Ed.(ドイツ国),2005年,第44巻,p.7257−7260、J.Org.Chem.(米国),2006年,第71巻,p.9751−9764、J.Am.Chem.Soc.(米国),1999年,第121巻,p.686−699、nature(英国),1997年,第385巻,p.613−615等)、単離した錯体は当然、それ以外に、反応系中で予め調製し単離せずに用いることもできる。これらの錯体には水やアセトニトリル等の有機溶媒が配位(溶媒和)したものを用いることもできる。
また、一般式[9]
[式中、X−*−X、YおよびZは一般式[7]と同じものを表す]で示される「光学活性な配位子を有するカチオン性2核の遷移金属錯体」も、一般式[7]で示される「光学活性な配位子を有する2価カチオン性の遷移金属錯体」と同様に用いることができる場合がある。
光学活性な配位子の立体化学[(R)、(S)、(R,R)、(S,S)等]としては、目的とする光学活性含フッ素アルキニル化生成物の立体化学に応じて適宜使い分けることができる。光学活性な配位子の光学純度としては、目標とする光学活性含フッ素アルキニル化生成物の光学純度に応じて適宜設定すれば良く、通常は95%ee(エナンチオマー過剰率)以上を用いれば良く、97%ee以上が好ましく、99%ee以上が特に好ましい。これらの光学活性な配位子の中でも、BINAP誘導体が両エナンチオマーを最も安価に入手することができ、かつ不斉触媒に誘導した時の活性も極めて高いため好適であり、BINAPおよびTol−BINAPが好ましく、BINAPが特に好ましい。
「光学活性な配位子を有する遷移金属錯体」の使用量は、一般式[2]で示されるシリルアセチレン1モルに対して0.4モル以下を用いれば良く、0.3から0.00001モルが好ましく、0.2から0.0001モルが特に好ましい。
反応溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系等が挙げられる。その中でも芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系およびエーテル系が好ましく、芳香族炭化水素系およびハロゲン化炭化水素系が特に好ましい。これらの反応溶媒は単独または組み合わせて用いることができる。また、本発明の製造方法は反応溶媒の非存在下に行うこともできる。
反応溶媒を用いる場合、反応溶媒の使用量は、一般式[2]で示されるシリルアセチレン1モルに対して0.3L以上を用いれば良く、0.4から50Lが好ましく、0.5から30Lが特に好ましい。
反応温度は、−80から+150℃の範囲で行えば良く、−70から+125℃が好ましく、−60から+100℃が特に好ましい。
反応時間は、72時間以内の範囲で行えば良く、原料基質、不斉触媒および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴(NMR)等の分析手段により反応の進行状況をモニターし、原料基質が殆ど消失した時点を終点とすることが好ましい。
本発明の製造方法では、一般式[1]で示される含フッ素α−ケトエステルと一般式[2]で示されるシリルアセチレンを「光学活性な配位子を有する遷移金属錯体」の存在下に反応させた後に引き続いて加水分解を行うが、該加水分解前の反応混合液には、一般式[3]で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物と、一般式[10]
[式中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、Rはアルキル基を表し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基または置換アルキル基を表し、*は不斉炭素を表す]で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物のシリルエーテル体の混合物として存在する。よって、該シリルエーテル体の酸素−ケイ素結合の加水分解により、目的とする一般式[3]で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物に全てを完全に変換することができる。係る加水分解としては、Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,1999,John Wiley & Sons,Inc.に記載された、ヒドロキシル基のシリル保護体の脱保護条件等を採用することができる。その中でも酸性条件下での加水分解(酸加水分解)が好ましく、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸の水溶液による加水分解が特に好ましい。加アルコール分解も加水分解と同等の効果を得ることができるため、本発明の請求項の加水分解には加アルコール分解も含まれる。また、これらの分解は必要に応じて反応溶媒の存在下に行うこともできる。
後処理は、反応終了液に対して有機合成における一般的な操作を行うことにより、目的とする一般式[3]で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物を得ることができる。粗生成物は必要に応じて活性炭処理、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の操作により、高い純度に精製することができる。加水分解前の反応混合液に含まれる不斉触媒をショートカラムで取り除き、濾洗液を濃縮し、引き続いて酸加水分解または酸加アルコール分解し、反応終了液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、比較的簡便な操作で高純度品を得ることができる。
[実施例]
実施例により本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
塩化メチレン4.0mLに、下記式
で示される(S)−BINAP−PdCl16mg(0.02mmol)とAgSbF15.2mg(0.044mmol)を窒素雰囲気下で加え、室温で30分間攪拌した(一般式[7]で示される「光学活性な配位子を有する2価カチオン性の遷移金属錯体(X−*−X;(S)−BINAP、Y;Pd、Z;SbF)」が反応系中で生成)。下記式
で示される含フッ素α−ケトエステル136mg(0.8mmol)と、下記式
で示されるシリルアセチレン44.9mg(0.4mmol)を−40℃で加え、同温度で19時間攪拌した。反応混合液を直接、ショートカラム(シリカゲル/酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)に付し、「光学活性な配位子を有する2価カチオン性のパラジウム錯体」を取り除き、濾洗液を減圧濃縮し、テトラヒドロフラン5.0mLと10%塩酸エタノール1.0mLを加え、室温で1時間攪拌した。反応終了液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/酢酸エチル:n−ヘキサン=1:5)で精製することにより、下記式
で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物の−体を58.0mg得た。収率は69%であった。光学純度はキラルガスクロマトグラフィー(CP−Chirasil−Dex CB)により>99%eeであった。比旋光度は[α] 25 −20.04(c=0.54 in CHCl)であった。Hおよび19F−NMRを下に示す。
H−NMR(300MHz,CDCl,(CHSi)δ1.37(t,J=7.2Hz,3H),1.91(s,3H),4.13(s,1H),4.38−4.45(m,2H).
19F−NMR(282MHz,CDCl,CCF)δ−78.63.
[実施例2]
塩化メチレン20mLに、下記式
で示される(S)−BINAP−PdCl200mg(0.25mmol)とAgSbF189mg(0.55mmol)を窒素雰囲気下で加え、室温で30分間攪拌した(一般式[7]で示される「光学活性な配位子を有する2価カチオン性の遷移金属錯体(X−*−X;(S)−BINAP、Y;Pd、Z;SbF)」が反応系中で生成)。下記式
で示される含フッ素α−ケトエステル2.55g(15.0mmol)と、下記式
で示されるシリルアセチレン772mg(5.0mmol)を0℃で加え、室温で48時間攪拌した。反応混合液を直接、ショートカラム(シリカゲル/酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)に付し、「光学活性な配位子を有する2価カチオン性のパラジウム錯体」を取り除き、濾洗液を減圧濃縮し、テトラヒドロフラン15.0mLと10%塩酸エタノール5.0mLを加え、室温で1時間攪拌した。反応終了液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/酢酸エチル:n−ヘキサン=1:5)で精製することにより、下記式
で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物の−体を883mg得た。収率は70%であった。光学純度はキラルガスクロマトグラフィー(CP−Chirasil−Dex CB)により98%eeであった。比旋光度は[α] 26 −24.28(c=1.13 in CHCl)であった。H,13C,19F−NMRおよびHRMSを下に示す。
H−NMR(300MHz,CDCl,(CHSi)δ0.91(t,J=7.2Hz,3H),1.37(t,J=6.9Hz,3H),1.40−1.45(m,2H),1.51−1.56(m,2H),2.27(t,J=6.9Hz,2H),4.09(s,1H),4.38−4.46(m,2H).
13C−NMR(75MHz,CDCl,(CHSi)δ13.29,13.61,18.16,21.66,29.79,64.62,71.22(q,JC−F=33.8Hz),71.40(q,JC−F=1.4Hz),88.99,121.75(q,JC−F=284.3Hz),166.76.
19F−NMR(282MHz,CDCl,CCF)δ−78.65.
HRMS(ESI−TOF)Calcd for C1115Na[M+Na]:275.0871,Found:275.0665.
[実施例3]
1,2−ジクロロエタン2.0mLに、下記式
で示される(S)−BINAP−PdCl8.0mg(0.01mmol)とAgSbF7.8mg(0.022mmol)を窒素雰囲気下で加え、室温で30分間攪拌した(一般式[7]で示される「光学活性な配位子を有する2価カチオン性の遷移金属錯体(X−*−X;(S)−BINAP、Y;Pd、Z;SbF)」が反応系中で生成)。下記式
で示される含フッ素α−ケトエステル51.0mg(0.3mmol)と、下記式
で示されるシリルアセチレン15.4mg(0.1mmol)を室温で加え、50℃で48時間攪拌した。反応混合液を直接、ショートカラム(シリカゲル/酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)に付し、「光学活性な配位子を有する2価カチオン性のパラジウム錯体」を取り除き、濾洗液を減圧濃縮し、テトラヒドロフラン2.5mLと10%塩酸エタノール0.5mLを加え、室温で1時間攪拌した。反応終了液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/酢酸エチル:n−ヘキサン=1:5)で精製することにより、下記式
で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物の−体を15.6mg得た。収率は62%であった。光学純度はキラルガスクロマトグラフィー(CP−Chirasil−Dex CB)により33%eeであった。比旋光度は[α] 25 −3.47(c=0.33 in CHCl)であった。Hおよび19F−NMRを下に示す。
H−NMR(300MHz,CDCl,(CHSi)δ1.24(s,9H),1.36(t,J=7.2Hz,3H),4.07(s,1H),4.37−4.45(m,2H).
19F−NMR(282MHz,CDCl,CCF)δ−78.94.
[実施例4]
1,2−ジクロロエタン4.0mLに、下記式
で示される(S)−BINAP−PdCl16mg(0.02mmol)とAgSbF15.2mg(0.044mmol)を窒素雰囲気下で加え、室温で30分間攪拌した(一般式[7]で示される「光学活性な配位子を有する2価カチオン性の遷移金属錯体(X−*−X;(S)−BINAP、Y;Pd、Z;SbF)」が反応系中で生成)。下記式
で示される含フッ素α−ケトエステル102mg(0.6mmol)と、下記式
で示されるシリルアセチレン73.7mg(0.2mmol)を室温で加え、70℃で48時間攪拌した。反応混合液を直接、ショートカラム(シリカゲル/酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)に付し、「光学活性な配位子を有する2価カチオン性のパラジウム錯体」を取り除き、濾洗液を減圧濃縮し、テトラヒドロフラン5.0mLと10%塩酸エタノール1.0mLを加え、室温で1時間攪拌した。反応終了液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/酢酸エチル:n−ヘキサン=1:5)で精製することにより、下記式
で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物の−体を39.0mg得た。収率は42%であった。光学純度はキラル高速液体クロマトグラフィー(DAICEL CHIRALCEL AD−H)により94%eeであった。比旋光度は[α] 25 −20.42(c=1.02 in CHCl)であった。Hおよび19F−NMRを下に示す。
H−NMR(300MHz,CDCl,(CHSi)δ1.06(s,9H),1.34(t,J=7.2Hz,3H),4.08(s,1H),4.31−4.47(m,2H),4.37(s,2H),7.37−7.45(m,3H),7.68−7.71(m,2H).
19F−NMR(282MHz,CDCl,CCF)δ−78.25.

Claims (3)

  1. 一般式[1]
    [式中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、Rはアルキル基を表す]で示される含フッ素α−ケトエステルと、一般式[2]
    [式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基または置換アルキル基を表す]で示されるシリルアセチレンを「光学活性な配位子を有する遷移金属錯体」の存在下に反応させ、引き続いて加水分解することにより、一般式[3]
    [式中、Rf、RおよびRは上記と同じ置換基を表し、*は不斉炭素を表す]で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物を製造する方法。
  2. 一般式[4]
    [式中、Rはメチル基またはエチル基を表す]で示される含フッ素α−ケトエステルと、一般式[5]
    [式中、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立にアルキル基を表す]で示される
    シリルアセチレンを「光学活性な配位子を有する2価カチオン性の遷移金属錯体」の存在下に反応させ、引き続いて酸加水分解することにより、一般式[6]
    [式中、RおよびRは上記と同じ置換基を表し、*は不斉炭素を表す]で示される光学活性含フッ素アルキニル化生成物を製造する方法。
  3. 請求項2において、「光学活性な配位子を有する2価カチオン性の遷移金属錯体」が「光学活性な配位子を有する2価カチオン性のパラジウム錯体」であることを特徴とする、請求項2に記載の光学活性含フッ素アルキニル化生成物の製造方法。
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