JP5298517B2 - 含フッ素成形品およびその製造方法 - Google Patents
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CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は、−CF3および/または−ORf 2;Rf 2は、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物などのパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル、式:
CH2=CX2(CF2)nX3
(式中、X2は、水素原子またはフッ素原子;X3は、水素原子、フッ素原子または塩素原子;nは、1〜10の整数)などのフルオロオレフィンなどをあげることができる。
(1)TFEとエチレンからなるエチレン−TFE共重合体(以下、ETFEともいう)
ETFEの場合、力学物性や燃料バリア性、架橋容易性などが発現する点で好ましい。TFE単位とエチレン単位との含有モル比は(20〜90)/(80〜10)が好ましく、(37〜85)/(63〜15)がより好ましく、(38〜80)/(62〜20)が特に好ましい。また、第3成分を含有していてもよく、第3成分としてはTFEおよびエチレンと共重合可能なものであればその種類は限定されない。第3成分としては、通常、式:
CH2=CX4Rf 3、CF2=CFRf 3、CF2=CFORf 3、CH2=C(Rf 3)2
(式中、X4は水素原子またはフッ素原子;Rf 3はエーテル結合性酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基)で示されるモノマーが用いられ、これらの中でも、CH2=CX4Rf 3で示される含フッ素ビニルモノマーがより好ましく、Rf 3の炭素数が1〜8のモノマーが特に好ましい。
(2)TFE、エチレンおよび式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3および/または−ORf 2;Rf 2は炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるエチレン−TFE−HFP共重合体、エチレン−TFE−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体などのエチレン−TFE−パーフルオロエチレン性不飽和化合物共重合体
(3)ポリフッ化ビニリデン(PVdF)
(4)CTFEとエチレンからなるエチレン−CTFE共重合体(以下、ECTFEともいう
(5)TFEと前記式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるTFE−PAVE共重合体(PFA)またはTFE−HFP共重合体(FEP)
PFAまたはFEPの場合、前記の作用効果においてとりわけ耐熱性が優れたものとなり、また前記の作用効果に加えて優れた燃料バリア性、耐薬品性、電気特性が発現する点で好ましい。特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%と式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%と式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。また、TFEおよび式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなる含フッ素エチレン性重合体は、第3成分を含有していてもよく、第3成分としてはTFEおよび式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物と共重合可能なものであればその種類は限定されない。
(6)CTFE、TFE、さらに要すれば前記式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるCTFE−TFE−パーフルオロエチレン性不飽和化合物共重合体
CTFE−TFE系共重合体の場合、CTFE単位とTFE単位の含有モル比は、CTFE/TFE=(2〜98)/(98〜2)であることが好ましく、(5〜90)/(95〜10)であることがより好ましい。CTFE単位が2モル%未満であると薬液不透過性が悪化しまた溶融加工が困難になる傾向があり、98モル%をこえると成形時の耐熱性、耐薬品性が悪化する場合がある。また、パーフルオロエチレン性不飽和化合物を共重合することが好ましく、CTFE単位とTFE単位の合計に対して、パーフルオロエチレン性不飽和化合物単位は0.1〜10モル%であり、CTFE単位およびTFE単位は合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。パーフルオロエチレン性不飽和化合物単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性および耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると薬液低透過性、耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが、ゴム弾性体としての性質をもつ粒子が得られる点から好ましい。
本発明の含フッ素成形品は、以下に示す分野で好適に用いることができる。
電線の絶縁被覆体、ジャケット;特に耐熱性が要求される自動車や航空機、軍需車輌などの耐熱電線の絶縁被覆体やジャケット
半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体関連分野では、O(角)リング、パッキン、シール材、チューブ、ロール、コーティング、ライニング、ガスケット、ダイアフラム、ホース等があげられ、これらはCVD装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置、薬液配管、ガス配管に用いることができる。具体的には、ゲートバルブのOリング、シール材として、クォーツウィンドウのOリング、シール材として、チャンバーのOリング、シール材として、ゲートのOリング、シール材として、ベルジャーのOリング、シール材として、カップリングのOリング、シール材として、ポンプのOリング、シール材、ダイアフラムとして、半導体用ガス制御装置のOリング、シール材として、レジスト現像液、剥離液用のOリング、シール材として、ウェハー洗浄液用のホース、チューブとして、ウェハー搬送用のロールとして、レジスト現像液槽、剥離液槽のライニング、コーティングとして、ウェハー洗浄液槽のライニング、コーティングとしてまたはウェットエッチング槽のライニング、コーティングとして用いることができる。さらに、封止材・シーリング剤、光ファイバーの石英の被覆材、絶縁、防振、防水、防湿を目的とした電子部品、回路基盤のポッティング、コーティング、接着シール、磁気記憶装置用ガスケット、エポキシ等の封止材料の変性材、クリーンルーム・クリーン設備用シーラント等として用いられる。
ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール、シール材およびホースはエンジンならびに周辺装置に用いることができ、ホースおよびシール材はAT装置に用いることができ、O(角)リング、チューブ、パッキン、バルブ芯材、ホース、シール材およびダイアフラムは燃料系統ならびに周辺装置に用いることができる。具体的には、エンジンヘッドガスケット、メタルガスケット、オイルパンガスケット、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、バルブステムシール、マニホールドパッキン、オイルホース、酸素センサー用シール、ATFホース、インジェクターOリング、インジェクターパッキン、燃料ポンプOリング、ダイアフラム、燃料ホース、クランクシャフトシール、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達のOリング、オイルシール、排ガス再燃焼装置のシール、ベアリングシール、EGRチューブ、ツインキャブチューブ、キャブレターのセンサー用ダイアフラム、防振ゴム(エンジンマウント、排気部等)、再燃焼装置用ホース、酸素センサーブッシュ等として用いることができる。
ダイアフラム、O(角)リング、バルブ、チューブ、パッキン、ホース、シール材等があげられ、これらは燃料系統に用いることができる。具体的には、航空機分野では、ジェットエンジンバルブステムシール、燃料供給用ホース、ガスケットおよびOリング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シール等に用いられ、船舶分野では、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライ弁の軸シール等に用いられる。
プラント等のライニング、バルブ、パッキン、ロール、ホース、ダイアフラム、O(角)リング、チューブ、シール材、耐薬品用コーティング等があげられ、これらは医薬、農薬、塗料、樹脂等化学品製造工程に用いることができる。具体的には、化学薬品用ポンプ、流動計、配管のシール、熱交換器のシール、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキング、農薬散布機、農薬移送ポンプのシール、ガス配管のシール、メッキ液用シール、高温真空乾燥機のパッキン、製紙用ベルトのコロシール、燃料電池のシール、風洞のジョイントシール、耐トリクレン用ロール(繊維染色用)、耐酸ホース(濃硫酸用)、ガスクロマトグラフィー、pHメーターのチューブ結合部のパッキン、塩素ガス移送ホース、ベンゼン、トルエン貯槽の雨水ドレンホース、分析機器、理化学機器のシール、チューブ、ダイアフラム、弁部品等として用いることができる。
医薬品等の薬品分野では、薬栓等として用いることができる。
現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野および塗装設備等の塗装分野では、ロール等があげられ、それぞれフィルム現像機・X線フィルム現像機、印刷ロールおよび塗装ロールに用いることができる。具体的には、フィルム現像機・X線フィルム現像機の現像ロールとして、印刷ロールのグラビアロール、ガイドロールとして、塗装ロールの磁気テープ製造塗工ラインのグラビアロール、磁気テープ製造塗工ラインのガイドロール、各種コーティングロール等として用いることができる。さらに、乾式複写機のシール、印刷設備の印刷ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、塗布、塗装設備の塗布ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、プリンターのインキチューブ、ロール、ベルト、乾式複写機のベルト、ロール、印刷機のロール、ベルト等として用いることができる。またチューブを分析・理化学機分野に用いることができる。
ライニング、バルブ、パッキン、ロール、ホース、ダイアフラム、O(角)リング、チューブ、シール材、ベルト等があげられ、食品製造工程に用いることができる。具体的には、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シール等として用いることができる。
パッキン、Oリング、ホース、シール材、ダイアフラム、バルブ、ロール、チューブ等があげられる。
鉄板加工設備等の鉄鋼分野では、ロール等があげられ、鉄板加工ロール等に用いることができる。
パッキング、Oリング、ホース、シール材、ダイアフラム、バルブ、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴム板、ウェザーストリップ、PPC複写機のロール、ロールブレード、ベルト等があげられる。具体的には、油圧、潤滑機械のシール、ベアリングシール、ドライクリーニング機器の窓、その他のシール、六フッ化ウランの濃縮装置のシール、サイクロトロンのシール(真空)バルブ、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガス、塩素ガス分析用ポンプのダイアフラム(公害測定器)、印刷機のロール、ベルト、酸洗い用絞りロール等に用いられる。
電気分野では、具体的には、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール、油井ケーブルのジャケット等として用いられる。
電極、セパレーター間のシール材や水素・酸素・生成水配管のシール等として用いられる。
放熱材原料、電磁波シールド材原料、エポキシ等のプリント配線板プリプレグ樹脂の変性材、電球等の飛散防止材、コンピューターのハードディスクドライブのガスケット等に用いられる。
(1)機械的特性(引張強度、弾性率、引張伸び)
出発材料のフッ素樹脂組成物または含フッ素成形品を金型にセットし、ヒートプレス機により、260〜290℃にて15〜30分間保持して溶融状態にした後、3〜5MPaの負荷を1分間与え圧縮成形し、2mm厚さのシートを作製する。このシートをASTM D638のV型ダンベルを用いて幅3.18mm、標線間距離7.6mmのダンベル状試験片に打ち抜く。得られたダンベル状試験片を用いて、オートグラフ((株)島津製作所製 AGS−J 5kN)を使用して、ASTM D638に準じて、室温において50mm/minの引張速度で引張試験を行い、引張強度、弾性率、引張伸びを測定する。
(2)MFR
メルトインデクサー(東洋精機製作所製)を用い、主に297℃において、5kg荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)あたりに流出するポリマーの質量(g)を測定する。
(3)耐熱寸法安定性
測定方法:ペレット状の試料5gをシャーレに入れ、電気炉中300℃で5分間加熱し、加熱後の形状を目視にて判定する。
評価基準:
◎:ペレットの原形を完全に保持している。
VdF系ゴム(VdF/TFE/HFP=50/20/30モル比、100℃でのムーニー粘度87)100質量部、架橋剤ビスフェノールAF(ダイキン工業(株)製)2.0質量部、架橋促進剤BTPPC(北興化学工業(株)製)1.0質量部、酸化マグネシウム(キョーワマグ150、協和化学工業(株))3.0質量部を、8インチオープンロールを用いて混練し、VdF系ゴムのフルコンパウンドを得た。
混合比率を、VdF系ゴムのフルコンパウンド30質量部、ETFE70質量部としたほかは、製造例1と同様にしてフッ素樹脂組成物2を製造した。
混合比率を、VdF系ゴムのフルコンパウンド50質量部、ETFE50質量部としたほかは、製造例1と同様にしてフッ素樹脂組成物3を製造した。
製造例1で製造したフッ素樹脂組成物1をヒートプレス機により、2mm厚さのシートに圧縮成形し、試験シート1を作製した。NORDION社製JS−8500型ガンマ線照射装置にて、この試験シート1に大気雰囲気下、室温でガンマ線を50kGy、100kGyおよび150kGy照射した。それぞれの照射線量で得られたシートについて、機械的特性および耐熱寸法安定性を調べた。結果を表1に示す。なお、MFRを測定するためにメルトインデクサーでシートを溶融しようとしたが、まったく溶けずMFRは測定できなかった。
試験シート2として製造例2で製造したフッ素樹脂組成物2をシートに成形したものを用いたほかは実施例1と同様にしてガンマ線を照射し、それぞれの照射線量で得られたシートについて、機械的特性および耐熱寸法安定性を調べた。結果を表1に示す。なお、MFRを測定するためにメルトインデクサーでシートを溶融しようとしたが、まったく溶けずMFRは測定できなかった。
試験シート3として製造例3で製造したフッ素樹脂組成物3をシートに成形したものを用いたほかは実施例1と同様にしてガンマ線を照射し、それぞれの照射線量で得られたシートについて、機械的特性および耐熱寸法安定性を調べた。結果を表1に示す。なお、MFRを測定するためにメルトインデクサーでシートを溶融しようとしたが、まったく溶けずMFRは測定できなかった。
Claims (9)
- 未架橋フッ素ゴム粒子と架橋剤とを含む組成物を混練することによりフルコンパウンドを製造する工程、前記フルコンパウンドにフッ素樹脂を加えて溶融混練することにより、フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物を製造する工程、及び、前記フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物に放射線を照射する工程を含む含フッ素成形品の製造方法。
- 前記放射線の照射工程前にフッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物を成形する工程をさらに含む請求項1記載の製造方法。
- 前記成形工程で架橋剤を新たに追加しない請求項2記載の製造方法。
- 前記フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物が、フッ素樹脂を連続相とし、その中に架橋フッ素ゴム粒子が分散している組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記放射線がガンマ線である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 照射線量が20〜150kGyである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 前記フッ素樹脂が非パーフルオロ樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 前記非パーフルオロ樹脂が、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体およびポリビニリデンフルオライドよりなる群れから選ばれる少なくとも1種である請求項7記載の製造方法。
- 成形品が電線の絶縁被覆体またはジャケットである請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
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