JP5298517B2 - 含フッ素成形品およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物にガンマ線などの放射線を照射する含フッ素成形品の製造方法、および含フッ素成形品に関する。
かかる含フッ素成形品は、例えば電線などの各種被覆体、電子機器部品などとして有用である。
フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子を含む組成物は種々知られており、フッ素樹脂とフッ素ゴム粒子を選択することにより、各種の成形品、例えば燃料ホース、燃料容器、シール材などに使用されている(例えば、特許文献1および特許文献2)。
しかし、従来のフッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物は著しく高い耐熱性が必要とされないという理由から、フッ素樹脂を架橋することは行なわれていない。
また、特許文献3には、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)やポリビニリデンフルオライド(PVdF)などのフッ素樹脂と含フッ素熱可塑性エラストマーと架橋剤との組成物を電離性放射線の照射に供して架橋処理することにより、強度および弾性率を高め、かつ伸びの少ない電線被覆材料が得られることが記載されている。
しかし、特許文献1または2に記載されているようにフッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子を含む組成物をそのまま成形した場合、成形品の機械的性質や熱的性質がフッ素樹脂の機械的性質や熱的性質に依存し、耐熱寸法安定性などの耐熱性および強度や弾性率、伸びなどの機械的特性は原料組成物を超えることはない。
特許文献3に記載されているフッ素樹脂も含フッ素熱可塑性エラストマーのいずれも未架橋の組成物に照射による架橋処理を施すと、得られる成形品は引張強度だけでなく弾性率も大きく向上すると共に伸びは低下してしまい、その結果、柔軟性に欠けたものになってしまう。
国際公開2006/057331号パンフレット 特開平06−248146号公報 特表平01−502676号公報
本発明は、原料であるフッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子を含む組成物を超える耐熱寸法安定性などの耐熱性を有し、かつ機械的強度に優れるうえに柔軟性にも優れる含フッ素成形品を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物に放射線を照射する工程を含む含フッ素成形品の製造方法に関する。
本発明の製造方法は、前記放射線の照射工程前にフッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物を成形する工程をさらに含んでいてもよい。
その成形工程で架橋剤を新たに追加しない、すなわち照射工程で新たな架橋剤を存在させなくても、本発明の課題を達成できる。
前記フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物としては、フッ素樹脂を連続相とし、その中に架橋フッ素ゴム粒子が分散している組成物であることが好ましい。
また、前記フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物としては、フッ素樹脂と未架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物を動的架橋して得られる組成物、またはフッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とをブレンドして得られる組成物が採用できる。
前記放射線としては、ガンマ線が好ましい。また照射線量としては20〜150kGyであることが好ましい。
前記フッ素樹脂としては、非パーフルオロ樹脂、特にエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体およびポリビニリデンフルオライドよりなる群れから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の製造方法は、電線の絶縁被覆体またはジャケットといった成形品の製造方法として好適である。
本発明はまた、架橋フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物からなり、該架橋フッ素樹脂を連続相とし、その中に架橋フッ素ゴム粒子が分散している含フッ素成形品にも関する。
かかる含フッ素成形品は、例えば前記本発明の製造方法により製造することができる。
前記フッ素樹脂としては、非パーフルオロ樹脂、特にエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体およびポリビニリデンフルオライドよりなる群れから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の成形品は、電線の絶縁被覆体またはジャケットとして好適である。
本発明の製造方法によれば、成形後に放射線を照射するという簡便な方法で、原料であるフッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物を超える耐熱寸法安定性などの耐熱性を有し、かつ機械的強度に優れるうえに柔軟性にも優れる含フッ素成形品を提供することができる。
本発明によれば、特許文献1および2の未架橋フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子との組成物に放射線を照射することにより、低い弾性率を維持し、強度と伸びを向上させることができる。
また本発明は、フッ素樹脂と含フッ素熱可塑性エラストマーと架橋剤との組成物を電離性放射線の照射に供して架橋処理する特許文献3記載の方法とは、本発明では予めフッ素ゴム粒子として架橋したものを使用する点で異なり、予め架橋したフッ素ゴム粒子を使用することで、放射線の照射後も低い弾性率を維持し、強度と伸びを向上させることができる。
本発明は、フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物に放射線を照射する工程を含む含フッ素成形品の製造方法に関する。
フッ素樹脂としては、特に限定されるものではないが、少なくとも1種の含フッ素エチレン性重合体を含むフッ素樹脂であることが好ましい。含フッ素エチレン性重合体は少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体由来の構造単位を有することが好ましい。含フッ素エチレン性単量体由来の構造単位を有すると、耐熱性、耐薬品性、電気特性などが良好になる。
本発明においては、放射線を照射することでフッ素樹脂にラジカルを発生させてラジカル反応を生起させるものであるので、フッ素樹脂自体に架橋性の官能基(例えば不飽和基、水酸基、アミノ基、カルボニル基、ハロゲンなど)を導入する必要はない。架橋性基を導入すると却って放射線の照射時に重合鎖の開裂が進み強度の低下などを引き起こすほか、着色、発泡などが生じてしまうことがある。
含フッ素エチレン性単量体としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は、−CF3および/または−ORf 2;Rf 2は、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物などのパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル、式:
CH2=CX2(CF2n3
(式中、X2は、水素原子またはフッ素原子;X3は、水素原子、フッ素原子または塩素原子;nは、1〜10の整数)などのフルオロオレフィンなどをあげることができる。
そして、含フッ素エチレン性重合体は前記含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位を有してもよく、このような単量体としては、前記フルオロオレフィン、パーフルオロオレフィン以外の非フッ素エチレン性単量体をあげることができる。非フッ素エチレン性単量体の選定は、当業者に周知のそれぞれの非フッ素エチレン性単量体が付与できる特性や機能を考慮して、用途に合わせて行なえばよい。
非フッ素エチレン性単量体の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;アルキルビニルエーテル類などをあげることができる。ここで、アルキルビニルエーテルは、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルビニルエーテルをいう。
これらの中でも、得られるフッ素樹脂組成物の耐熱性・耐薬品性・耐油性が優れ、かつ成形加工性が容易になる点から、含フッ素エチレン性重合体として、つぎの(1)〜(6)が特に好ましいものとして例示できるが、これらに限定されるものではなく、目的用途に応じて使用すればよい。
(1)TFEとエチレンからなるエチレン−TFE共重合体(以下、ETFEともいう)
ETFEの場合、力学物性や燃料バリア性、架橋容易性などが発現する点で好ましい。TFE単位とエチレン単位との含有モル比は(20〜90)/(80〜10)が好ましく、(37〜85)/(63〜15)がより好ましく、(38〜80)/(62〜20)が特に好ましい。また、第3成分を含有していてもよく、第3成分としてはTFEおよびエチレンと共重合可能なものであればその種類は限定されない。第3成分としては、通常、式:
CH2=CX4f 3、CF2=CFRf 3、CF2=CFORf 3、CH2=C(Rf 32
(式中、X4は水素原子またはフッ素原子;Rf 3はエーテル結合性酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基)で示されるモノマーが用いられ、これらの中でも、CH2=CX4f 3で示される含フッ素ビニルモノマーがより好ましく、Rf 3の炭素数が1〜8のモノマーが特に好ましい。
前記式で示される含フッ素ビニルモノマーの具体例としては、1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロパーフルオロブテン−1、1,1,5−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,1,7−トリヒドロパーフルオロへプテン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロヘキセン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロオクテン−1、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルビニルエーテル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロブテン−1、3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロペン−1、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH2=CFCF2CF2CF2H)があげられる。
第3成分の含有量は、含フッ素エチレン性重合体に対して0.1〜10モル%が好ましく、0.1〜5モル%がより好ましく、0.2〜4モル%が特に好ましい。
(2)TFE、エチレンおよび式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3および/または−ORf 2;Rf 2は炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるエチレン−TFE−HFP共重合体、エチレン−TFE−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体などのエチレン−TFE−パーフルオロエチレン性不飽和化合物共重合体
(3)ポリフッ化ビニリデン(PVdF)
(4)CTFEとエチレンからなるエチレン−CTFE共重合体(以下、ECTFEともいう
(5)TFEと前記式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるTFE−PAVE共重合体(PFA)またはTFE−HFP共重合体(FEP)
PFAまたはFEPの場合、前記の作用効果においてとりわけ耐熱性が優れたものとなり、また前記の作用効果に加えて優れた燃料バリア性、耐薬品性、電気特性が発現する点で好ましい。特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%と式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%と式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。また、TFEおよび式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなる含フッ素エチレン性重合体は、第3成分を含有していてもよく、第3成分としてはTFEおよび式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物と共重合可能なものであればその種類は限定されない。
(6)CTFE、TFE、さらに要すれば前記式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるCTFE−TFE−パーフルオロエチレン性不飽和化合物共重合体
CTFE−TFE系共重合体の場合、CTFE単位とTFE単位の含有モル比は、CTFE/TFE=(2〜98)/(98〜2)であることが好ましく、(5〜90)/(95〜10)であることがより好ましい。CTFE単位が2モル%未満であると薬液不透過性が悪化しまた溶融加工が困難になる傾向があり、98モル%をこえると成形時の耐熱性、耐薬品性が悪化する場合がある。また、パーフルオロエチレン性不飽和化合物を共重合することが好ましく、CTFE単位とTFE単位の合計に対して、パーフルオロエチレン性不飽和化合物単位は0.1〜10モル%であり、CTFE単位およびTFE単位は合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。パーフルオロエチレン性不飽和化合物単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性および耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると薬液低透過性、耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
これらのなかでも、特に架橋が容易なことから、(1)〜(4)で表される非パーフルオロ樹脂が好ましい。
数平均分子量は用途などによって異なるが、例えば機械物性と成形加工性が良好な点で1000〜1000000、さらには5000〜500000の範囲のものが好ましい。
架橋フッ素ゴム粒子を構成するフッ素ゴムとしては、フッ素樹脂との組成物に適切な弾性と柔軟性を与えることができるもので架橋可能なフッ素ゴムであれば特に限定されない。
好適なフッ素ゴムとしては、例えばテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドおよび式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが、ゴム弾性体としての性質をもつ粒子が得られる点から好ましい。
フッ素ゴムとしてはまた、非パーフルオロフッ素ゴムおよびパーフルオロフッ素ゴムが好ましい。
非パーフルオロフッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、またはフルオロホスファゼン系フッ素ゴムなどが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組合わせて用いることができる。これらの中でも、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムや、テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムがより好適である。
具体的には、上記VdF系ゴムは、VdF繰り返し単位が、VdF繰り返し単位とその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数の20モル%以上、90モル%以下が好ましく、40モル%以上、85モル%以下であることがより好ましい。さらに好ましい下限は45モル%、特に好ましい下限は50モル%であり、さらに好ましい上限は80モル%である。
そして、上記VdF系ゴムにおけるその他の単量体としてはVdFと共重合可能であれば特に限定されず、例えば、TFE、HFP、PAVE、CTFE、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、フッ化ビニル、ヨウ素含有フッ素化ビニルエーテルなどのフッ素含有単量体;エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体などがあげられ、これらのフッ素含有単量体およびフッ素非含有単量体のなかから1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。前記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が好ましく、特にパーフルオロ(メチルビニルエーテル)が好ましい。
上記VdF系ゴムとしては、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体、VdF/TFE/Pr共重合体、またはVdF/Et/HFP共重合体が好ましく、また、その他の単量体として、TFE、HFP、および/またはPAVEを有するものであることがより好ましく、特には、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、またはVdF/HFP/TFE/PAVE共重合が好ましい。
VdF/HFP共重合体は、VdF/HFPの組成が、(45〜85)/(55〜15)(モル%)であることが好ましく、より好ましくは(50〜80)/(50〜20)(モル%)であり、さらに好ましくは(60〜80)/(40〜20)(モル%)である。
VdF/HFP/TFE共重合体は、VdF/HFP/TFEの組成が(30〜80)/(10〜35)/(4〜35)(モル%)のものが好ましい。
VdF/PAVE共重合体としては、VdF/PAVEの組成が(65〜90)/(35〜10)(モル%)のものが好ましい。
VdF/TFE/PAVE共重合体としては、VdF/TFE/PAVEの組成が(40〜80)/(3〜40)/(15〜35)(モル%)のものが好ましい。
VdF/HFP/TFE/PAVE共重合としては、VdF/HFP/TFE/PAVEの組成が(40〜90)/(0〜25)/(0〜40)/(3〜35)(モル%)のものが好ましく、(40〜80)/(3〜25)/(3〜40)/(3〜25)(モル%)のものがより好ましい。
TFE/プロピレン系フッ素ゴムとは、TFE45〜70モル%、プロピレン55〜30モル%からなる含フッ素共重合体をいう。これら2成分に加えて、特定の第3成分(例えばPAVE)を0〜40モル%含んでいてもよい。
パーフルオロフッ素ゴムとしては、TFE/PAVEからなるものなどが挙げられる。TFE/PAVEの組成は、(50〜90)/(50〜10)(モル%)であることが好ましく、より好ましくは、(50〜80)/(50〜20)(モル%)であり、さらに好ましくは、(55〜75)/(45〜25)(モル%)である。
この場合のPAVEとしては、例えばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
また、フッ素ゴムは数平均分子量1000〜1200000のものが好ましく、5000〜900000のものがさらに好ましい。分子量が1000未満であると架橋が効率よく進行せず得られるフッ素樹脂との組成物の機械物性が劣る傾向があり、分子量が1200000以上であるとフッ素ゴムの生産性の問題から経済性に劣る。
以上説明した非パーフルオロフッ素ゴムおよびパーフルオロフッ素ゴムは、乳化重合、懸濁重合、溶液重合などの常法により製造することができる。特にヨウ素(臭素)移動重合として知られるヨウ素化合物を使用した重合法によれば、分子量分布が狭いフッ素ゴムを製造できる。
製造されたフッ素ゴムは、粒子状(例えば乳化重合または懸濁重合の場合)のときはそのままあるいはさらに粉砕して、溶液重合の場合は塊状物を粉砕して未架橋のフッ素ゴム粒子を得る。
フッ素ゴム粒子の平均粒子径は特に限定されないが、用途や要求特性などによって適宜選定すればよく、フッ素樹脂との複合分散性の向上と物性向上の点から0.01〜100μmであることが好ましい。さらに好ましくは30μm以下、特に10μm以下であるのが好ましい。
このフッ素ゴム粒子の架橋は、懸濁重合や溶液重合などで製造されたフッ素ゴムの場合は適切な粒子径まで粉砕して粒子化した未架橋フッ素ゴム粒子に行うか、または乳化重合で製造されたフッ素ゴム粒子の場合はそのまま架橋に供してもよい。あるいは、いわゆる動的架橋法によってフッ素樹脂との混練と同時に架橋する方法でもよい。動的架橋法については後述する。
フッ素ゴム粒子を架橋する架橋系は、フッ素ゴムに架橋性基(ヨウ素原子、臭素原子、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、水酸基など)が含まれる場合は、架橋性基の種類によって、またはフッ素樹脂との組成物の用途により適宜選択すればよい。架橋系としてはポリアミン架橋系、ポリオール架橋系、パーオキサイド架橋系、イミダゾール架橋系、トリアジン架橋系、オキサゾール架橋系、チアゾール架橋系などがあげられるが、これらの中で、架橋構造の耐熱性と経済性の観点からポリアミン架橋系、ポリオール架橋系、パーオキサイド架橋系が好ましい。
架橋剤としては、ポリオール系架橋剤、パーオキサイド系架橋剤、ポリアミン系架橋剤、イミダゾール系架橋剤、トリアジン系架橋剤、オキサゾール系架橋剤、およびチアゾール系架橋剤のいずれも採用できる。これらの架橋剤は、単独で使用してもよいしまたは併用してもよい。
架橋反応終了後、得られた架橋フッ素ゴム粒子は、凍結凝析法、塩析法、酸凝析法などの方法で分離回収することができる。なかでも、凝析後の粒子形状が良好な点から凍結凝析法が好ましい。
架橋フッ素ゴム粒子の平均粒子径は特に限定されないが、フッ素樹脂との複合分散性の向上と物性向上の点から0.01〜100μmであることが好ましい。さらに好ましくは30μm以下、特に10μm以下であるのが好ましい。
本発明の製造方法の出発材料であるフッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子との組成物(以下、「フッ素樹脂組成物」ということもある)の調製は、フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを混合する方法(ブレンド法)やフッ素樹脂と未架橋フッ素ゴムとを混練しながら架橋する方法(動的架橋法)などが好ましく採用できる。
ブレンド法には、バンバリーミキサーや回転撹拌装置などの混合機によるドライブレンド法のほか、架橋フッ素ゴム粒子の水性分散液(架橋後の水性分散液)とフッ素樹脂粒子の水性分散液とを混合し、共凝析させることにより均一な組成物を調製する共凝析法でもよい。これらの中でも、架橋フッ素ゴム粒子がフッ素樹脂中に均一分散しやすい点から共凝析法が好ましい。
動的架橋法は、フッ素樹脂およびフッ素ゴムを混合し、フッ素樹脂およびフッ素ゴムが溶融する温度下で混練しながらフッ素ゴムを架橋する方法である。溶融混練温度は、それぞれフッ素樹脂およびフッ素ゴムのガラス転移温度および/または融点により異なるが、120〜330℃であることが好ましく、130〜320℃であることがより好ましい。溶融混練温度が、120℃未満であると、フッ素樹脂とフッ素ゴムの間の分散が粗大化する傾向があり、330℃をこえると、フッ素ゴムが熱劣化する傾向がある。
得られたフッ素樹脂組成物は、フッ素樹脂が連続相を形成しかつ架橋フッ素ゴム粒子が分散相を形成する構造、またはフッ素樹脂と架橋フッ素ゴムが共連続を形成する構造を有することができるが、その中でも、フッ素樹脂が連続相を形成しかつ架橋フッ素ゴム粒子が分散相を形成する構造を有することが好ましい。
フッ素ゴムが、分散当初連続相を形成していた場合でも、架橋反応の進行に伴い、フッ素ゴムが架橋フッ素ゴムとなることで溶融粘度が上昇し、架橋フッ素ゴムが分散相になる、またはフッ素樹脂との共連続相を形成するものである。また、フッ素樹脂が連続相を形成し、かつ架橋フッ素ゴム粒子が分散相を形成する構造の一部に、フッ素樹脂と架橋フッ素ゴムとの共連続構造が含まれていてもよい。
このような連続相と分散相の構造を形成するとき、フッ素樹脂組成物は、優れた耐熱性、耐薬品性および耐油性を示すと共に、良好な成形加工性を有することとなる。その際、分散相の架橋フッ素ゴム粒子の平均粒子径は、流動性が良好な点から0.01〜30μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。
本発明において、フッ素樹脂組成物中の架橋フッ素ゴム粒子の平均粒子径は、ブレンド法であるか動的架橋法であるかを問わず、AFM、SEM、TEMのいずれか、あるいは組み合わせて使用することにより、確認することができる。例えば、AFMを使用する場合、連続相のフッ素樹脂と分散相の架橋フッ素ゴム粒子の表面情報から得られる差が明暗の像として得られ、明暗を階調分けすることにより2値化が可能となる。2値化位置は、階調分けされた中央のレベルとし、それにより明確なコントラストのついた像が得られ、分散相の架橋ゴム粒子径を読み取ることができる。またSEMを使用する場合は、反射電子像で得られた像に対し分散相の架橋フッ素ゴム粒子が明確となるようにコントラストを強調あるいは、明暗の調整または両方の調整を像に施すことによりAFM同様、分散相の架橋フッ素ゴム粒子径を読み取ることができる。TEMの場合もSEM同様、得られた像のコントラスト、あるいは明暗の調整または両方の調整を像に施すことによりAFMやSEM同様、分散相の架橋ゴム粒子径を読み取ることができる。
本発明の出発材料であるフッ素樹脂組成物の組成割合は、フッ素樹脂およびフッ素ゴムの種類、用途や要求特性、発現物性などによって適宜選定すればよく、例えばブレンド法であるか動的架橋法であるかを問わず、フッ素樹脂100質量部に対して架橋フッ素ゴム粒子を500〜5質量部という広い範囲で選定することができる。好ましくは、100質量部に対して架橋フッ素ゴム粒子を400〜10質量部、さらには300〜20質量部とすることがより好ましい。架橋フッ素ゴム粒子の割合が少なすぎると柔軟性が不足する傾向にあり、多すぎると機械強度が低下する傾向にある。
本発明の出発材料であるフッ素樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、流動性と成形加工性が良好な点から、0.5〜30g/10分であることが好ましく、1〜25g/10分であることがより好ましい。MFRの測定は、(株)東洋精機製作所製メルトフローレート測定装置を使用し、例えば297℃、5000g荷重の条件下にて行う。
本発明においては、出発材料であるフッ素樹脂組成物を調製するに際し、必要に応じて樹脂組成物に配合される通常の添加物、例えば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤などを配合することができる。しかし本発明では、架橋反応などは放射線の照射により行うので、常用の架橋剤や架橋助剤を新たに添加する必要はないことから、コストや製造工数の観点から有利である。架橋剤や架橋助剤の存在は却って放射線によるフッ素樹脂のラジカル発生効率を低下させたり、フッ素樹脂の開裂や分解を促進したりすることがあり、できるだけ避けるほうがよい。
本発明の含フッ素成形品の製造方法は、こうして調製されたフッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とのフッ素樹脂組成物に放射線を照射する。
フッ素樹脂組成物は、照射後に加工する場合などのときには特に成形しなくてもよいが、一般的に照射後では流動性などの加工性が著しく低下するので、予めフッ素樹脂組成物を所定の形態に成形してから放射線を照射することが好ましい。
成形は目的とする含フッ素成形品の用途、形状、生産性などによって異なり、それらに好適な成形法を採用すればよい。成形法としては、押出し成形法、射出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、真空成形法などがあげられる。
例えば電線の被覆体やジャケットなどに成形する場合は、従来公知の押出し成形法が条件も含め採用できる。
また、コネクターなどの電子部品などに成形する場合は、従来公知の射出成形法が条件も含め採用できる。
また、シートなどに成形する場合は、従来公知の圧縮成形法が条件も含め採用できる。
また、ボトルなどに成形する場合は、従来公知のブロー成形法が条件も含め採用できる。
照射する放射線としては、ガンマ線、X線などの電磁放射線のほか、電子線などの粒子線が例示できる。なかでも、常温で処理可能なこと、有害残留物がないことなどから、ガンマ線が好ましい。
照射線量は、機械強度などの要求物性などにより、例えば20〜150kGyの範囲で適宜選定することが好ましい。照射線量が少なすぎると架橋不足となる傾向にあり、一方、多くなりすぎるとポリマーの分解・劣化が受け入れ難くなる傾向にある。好ましい線量は、30〜130kGy、さらには50〜100kGyである。
照射方法としては、特に制限はなく、従来公知の装置と方法が採用できる。
本発明の製造方法によれば、放射線の照射で得られる含フッ素成形品は、弾性率を少なくとも維持したまま、機械的強度や伸びが向上し、しかも耐熱寸法安定性などの耐熱性が著しく向上する。
これらの効果は、明確ではないが、放射線の照射によりフッ素樹脂が架橋して3次元構造をとったからと推定される。また、架橋フッ素ゴム粒子との間にも何らかの化学反応が生じていることも考えられ、成形品全体としての機械的特性と形状安定性の向上に寄与しているものと推定される。
本発明はまた、架橋フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物からなり、該架橋フッ素樹脂を連続相とし、その中に架橋フッ素ゴム粒子が分散している含フッ素成形品にも関する。
本発明の含フッ素成形品におけるフッ素樹脂、フッ素ゴム、さらには架橋フッ素ゴム粒子としては、本発明の製造方法で説明したフッ素樹脂、フッ素ゴムおよび架橋フッ素ゴム粒子を好ましい範囲、例示を含めて用いることができる。
また本発明の含フッ素成形品は、出発材料であるフッ素樹脂とフッ素ゴム粒子の組成物に比して、弾性率を少なくとも維持したまま、機械的強度や伸びが向上し、しかも耐熱寸法安定性などの耐熱性が著しく向上したものである。
本発明の含フッ素成形品は、例えば前記本発明の製造方法により製造することができる。
本発明の含フッ素成形品は、以下に示す分野で好適に用いることができる。
(電線用途)
電線の絶縁被覆体、ジャケット;特に耐熱性が要求される自動車や航空機、軍需車輌などの耐熱電線の絶縁被覆体やジャケット
(半導体関連用途)
半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体関連分野では、O(角)リング、パッキン、シール材、チューブ、ロール、コーティング、ライニング、ガスケット、ダイアフラム、ホース等があげられ、これらはCVD装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置、薬液配管、ガス配管に用いることができる。具体的には、ゲートバルブのOリング、シール材として、クォーツウィンドウのOリング、シール材として、チャンバーのOリング、シール材として、ゲートのOリング、シール材として、ベルジャーのOリング、シール材として、カップリングのOリング、シール材として、ポンプのOリング、シール材、ダイアフラムとして、半導体用ガス制御装置のOリング、シール材として、レジスト現像液、剥離液用のOリング、シール材として、ウェハー洗浄液用のホース、チューブとして、ウェハー搬送用のロールとして、レジスト現像液槽、剥離液槽のライニング、コーティングとして、ウェハー洗浄液槽のライニング、コーティングとしてまたはウェットエッチング槽のライニング、コーティングとして用いることができる。さらに、封止材・シーリング剤、光ファイバーの石英の被覆材、絶縁、防振、防水、防湿を目的とした電子部品、回路基盤のポッティング、コーティング、接着シール、磁気記憶装置用ガスケット、エポキシ等の封止材料の変性材、クリーンルーム・クリーン設備用シーラント等として用いられる。
(自動車用途)
ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール、シール材およびホースはエンジンならびに周辺装置に用いることができ、ホースおよびシール材はAT装置に用いることができ、O(角)リング、チューブ、パッキン、バルブ芯材、ホース、シール材およびダイアフラムは燃料系統ならびに周辺装置に用いることができる。具体的には、エンジンヘッドガスケット、メタルガスケット、オイルパンガスケット、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、バルブステムシール、マニホールドパッキン、オイルホース、酸素センサー用シール、ATFホース、インジェクターOリング、インジェクターパッキン、燃料ポンプOリング、ダイアフラム、燃料ホース、クランクシャフトシール、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達のOリング、オイルシール、排ガス再燃焼装置のシール、ベアリングシール、EGRチューブ、ツインキャブチューブ、キャブレターのセンサー用ダイアフラム、防振ゴム(エンジンマウント、排気部等)、再燃焼装置用ホース、酸素センサーブッシュ等として用いることができる。
(航空機、ロケットおよび船舶用途)
ダイアフラム、O(角)リング、バルブ、チューブ、パッキン、ホース、シール材等があげられ、これらは燃料系統に用いることができる。具体的には、航空機分野では、ジェットエンジンバルブステムシール、燃料供給用ホース、ガスケットおよびOリング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シール等に用いられ、船舶分野では、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライ弁の軸シール等に用いられる。
(化学工業用途)
プラント等のライニング、バルブ、パッキン、ロール、ホース、ダイアフラム、O(角)リング、チューブ、シール材、耐薬品用コーティング等があげられ、これらは医薬、農薬、塗料、樹脂等化学品製造工程に用いることができる。具体的には、化学薬品用ポンプ、流動計、配管のシール、熱交換器のシール、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキング、農薬散布機、農薬移送ポンプのシール、ガス配管のシール、メッキ液用シール、高温真空乾燥機のパッキン、製紙用ベルトのコロシール、燃料電池のシール、風洞のジョイントシール、耐トリクレン用ロール(繊維染色用)、耐酸ホース(濃硫酸用)、ガスクロマトグラフィー、pHメーターのチューブ結合部のパッキン、塩素ガス移送ホース、ベンゼン、トルエン貯槽の雨水ドレンホース、分析機器、理化学機器のシール、チューブ、ダイアフラム、弁部品等として用いることができる。
(薬品用途)
医薬品等の薬品分野では、薬栓等として用いることができる。
(写真、印刷、塗装用途)
現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野および塗装設備等の塗装分野では、ロール等があげられ、それぞれフィルム現像機・X線フィルム現像機、印刷ロールおよび塗装ロールに用いることができる。具体的には、フィルム現像機・X線フィルム現像機の現像ロールとして、印刷ロールのグラビアロール、ガイドロールとして、塗装ロールの磁気テープ製造塗工ラインのグラビアロール、磁気テープ製造塗工ラインのガイドロール、各種コーティングロール等として用いることができる。さらに、乾式複写機のシール、印刷設備の印刷ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、塗布、塗装設備の塗布ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、プリンターのインキチューブ、ロール、ベルト、乾式複写機のベルト、ロール、印刷機のロール、ベルト等として用いることができる。またチューブを分析・理化学機分野に用いることができる。
(食品プラント機器用途)
ライニング、バルブ、パッキン、ロール、ホース、ダイアフラム、O(角)リング、チューブ、シール材、ベルト等があげられ、食品製造工程に用いることができる。具体的には、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シール等として用いることができる。
(原子力プラント機器用途)
パッキン、Oリング、ホース、シール材、ダイアフラム、バルブ、ロール、チューブ等があげられる。
(金属加工用途)
鉄板加工設備等の鉄鋼分野では、ロール等があげられ、鉄板加工ロール等に用いることができる。
(一般工業用途)
パッキング、Oリング、ホース、シール材、ダイアフラム、バルブ、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴム板、ウェザーストリップ、PPC複写機のロール、ロールブレード、ベルト等があげられる。具体的には、油圧、潤滑機械のシール、ベアリングシール、ドライクリーニング機器の窓、その他のシール、六フッ化ウランの濃縮装置のシール、サイクロトロンのシール(真空)バルブ、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガス、塩素ガス分析用ポンプのダイアフラム(公害測定器)、印刷機のロール、ベルト、酸洗い用絞りロール等に用いられる。
(耐油性用途)
電気分野では、具体的には、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール、油井ケーブルのジャケット等として用いられる。
(燃料電池用途)
電極、セパレーター間のシール材や水素・酸素・生成水配管のシール等として用いられる。
(電子部品用途)
放熱材原料、電磁波シールド材原料、エポキシ等のプリント配線板プリプレグ樹脂の変性材、電球等の飛散防止材、コンピューターのハードディスクドライブのガスケット等に用いられる。
そのほか現場施工型の成形に用いることができ、例えば自動車エンジン用メタルガスケットのコーティング剤、エンジンのオイルパンのガスケット、複写機・プリンター用のロール、建築用シーリング剤、磁気記録装置用のガスケット、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤、プリント基盤のコーティング剤、電気・電子部品の固定剤、電気機器リード線端子の絶縁防湿処理、電気炉等のオーブンのシール、シーズヒーターの末端処理、電子レンジの窓枠シール、CRTウェッジおよびネックの接着、自動車電装部品の接着、厨房、浴室、洗面所等の目地シール等があげられる。
これらの中でも本発明の成形品は、電線、特に耐熱電線の絶縁被覆体またはジャケットとして好適である。
つぎに実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
なお、特性の評価に使用した装置および測定条件は以下のとおりである。
(1)機械的特性(引張強度、弾性率、引張伸び)
出発材料のフッ素樹脂組成物または含フッ素成形品を金型にセットし、ヒートプレス機により、260〜290℃にて15〜30分間保持して溶融状態にした後、3〜5MPaの負荷を1分間与え圧縮成形し、2mm厚さのシートを作製する。このシートをASTM D638のV型ダンベルを用いて幅3.18mm、標線間距離7.6mmのダンベル状試験片に打ち抜く。得られたダンベル状試験片を用いて、オートグラフ((株)島津製作所製 AGS−J 5kN)を使用して、ASTM D638に準じて、室温において50mm/minの引張速度で引張試験を行い、引張強度、弾性率、引張伸びを測定する。
(2)MFR
メルトインデクサー(東洋精機製作所製)を用い、主に297℃において、5kg荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)あたりに流出するポリマーの質量(g)を測定する。
(3)耐熱寸法安定性
測定方法:ペレット状の試料5gをシャーレに入れ、電気炉中300℃で5分間加熱し、加熱後の形状を目視にて判定する。
評価基準:
◎:ペレットの原形を完全に保持している。
○:ペレット状態は保っているものの、ペレット端部が部分的に変形している。
△:大部分流動しているが、ペレット状のものも残っている。
×:完全に溶融して流れており、ペレットの痕跡は見当たらない。
製造例1(ETFEと架橋VdF系ゴム粒子とを含む組成物の調製)
VdF系ゴム(VdF/TFE/HFP=50/20/30モル比、100℃でのムーニー粘度87)100質量部、架橋剤ビスフェノールAF(ダイキン工業(株)製)2.0質量部、架橋促進剤BTPPC(北興化学工業(株)製)1.0質量部、酸化マグネシウム(キョーワマグ150、協和化学工業(株))3.0質量部を、8インチオープンロールを用いて混練し、VdF系ゴムのフルコンパウンドを得た。
ETFE(エチレン/TFE=35/65モル比、融点220℃、MFR(297℃)30.0g/10分)80質量部に、上記VdF系ゴムのフルコンパウンド20質量部を(株)東洋精機製作所製ラボプラストミルミキサーに仕込み、260℃で15分間100rpmで混練して、フッ素樹脂組成物1を製造した。
得られたフッ素樹脂組成物1について、架橋フッ素ゴム粒子の平均粒径、MFR、機械的特性および耐熱寸法安定性を調べた。架橋フッ素ゴム粒子の平均粒径は0.9μmであり、MFR(297℃)は21.3g/10分であった。機械的特性および耐熱寸法安定性の結果を照射線量が0kGyのデータとして表1に示す。
製造例2(ETFEと架橋VdF系ゴムとを含む組成物の調製)
混合比率を、VdF系ゴムのフルコンパウンド30質量部、ETFE70質量部としたほかは、製造例1と同様にしてフッ素樹脂組成物2を製造した。
得られたフッ素樹脂組成物2について、架橋フッ素ゴム粒子の平均粒径、MFR、機械的特性および耐熱寸法安定性を調べた。架橋フッ素ゴム粒子の平均粒径は1.0μmであり、MFR(297℃)は14.7g/10分であった。機械的特性および耐熱寸法安定性の結果を照射線量が0kGyのデータとして表1に示す。
製造例3(ETFEと架橋VdF系ゴムを含む組成物の調製)
混合比率を、VdF系ゴムのフルコンパウンド50質量部、ETFE50質量部としたほかは、製造例1と同様にしてフッ素樹脂組成物3を製造した。
得られたフッ素樹脂組成物3について、架橋フッ素ゴム粒子の平均粒径、MFR、機械的特性および耐熱寸法安定性を調べた。架橋フッ素ゴム粒子の平均粒径は1.1μmであり、MFR(297℃)は4.3g/10分であった。機械的特性および耐熱寸法安定性の結果を照射線量が0kGyのデータとして表1に示す。
実施例1
製造例1で製造したフッ素樹脂組成物1をヒートプレス機により、2mm厚さのシートに圧縮成形し、試験シート1を作製した。NORDION社製JS−8500型ガンマ線照射装置にて、この試験シート1に大気雰囲気下、室温でガンマ線を50kGy、100kGyおよび150kGy照射した。それぞれの照射線量で得られたシートについて、機械的特性および耐熱寸法安定性を調べた。結果を表1に示す。なお、MFRを測定するためにメルトインデクサーでシートを溶融しようとしたが、まったく溶けずMFRは測定できなかった。
実施例2
試験シート2として製造例2で製造したフッ素樹脂組成物2をシートに成形したものを用いたほかは実施例1と同様にしてガンマ線を照射し、それぞれの照射線量で得られたシートについて、機械的特性および耐熱寸法安定性を調べた。結果を表1に示す。なお、MFRを測定するためにメルトインデクサーでシートを溶融しようとしたが、まったく溶けずMFRは測定できなかった。
実施例3
試験シート3として製造例3で製造したフッ素樹脂組成物3をシートに成形したものを用いたほかは実施例1と同様にしてガンマ線を照射し、それぞれの照射線量で得られたシートについて、機械的特性および耐熱寸法安定性を調べた。結果を表1に示す。なお、MFRを測定するためにメルトインデクサーでシートを溶融しようとしたが、まったく溶けずMFRは測定できなかった。
Figure 0005298517
表1から分かるように、ガンマ線を照射することにより弾性率を維持しながら強度と引張伸びが向上する。また、融点以上であっても溶融せず、耐熱寸法安定性が格段に向上している。
この傾向は、架橋フッ素ゴムの配合量を増やしていっても同様に認められる。

Claims (9)

  1. 未架橋フッ素ゴム粒子と架橋剤とを含む組成物を混練することによりフルコンパウンドを製造する工程、前記フルコンパウンドにフッ素樹脂を加えて溶融混練することにより、フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物を製造する工程、及び、前記フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物に放射線を照射する工程を含む含フッ素成形品の製造方法。
  2. 前記放射線の照射工程前にフッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物を成形する工程をさらに含む請求項1記載の製造方法。
  3. 前記成形工程で架橋剤を新たに追加しない請求項2記載の製造方法。
  4. 前記フッ素樹脂と架橋フッ素ゴム粒子とを含む組成物が、フッ素樹脂を連続相とし、その中に架橋フッ素ゴム粒子が分散している組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記放射線がガンマ線である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  6. 照射線量が20〜150kGyである請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記フッ素樹脂が非パーフルオロ樹脂である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記非パーフルオロ樹脂が、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体およびポリビニリデンフルオライドよりなる群れから選ばれる少なくとも1種である請求項記載の製造方法。
  9. 成形品が電線の絶縁被覆体またはジャケットである請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
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