JP5297940B2 - シフト切替装置 - Google Patents
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[1]本発明は、第1及び第2の位置の間で移動する第1のシフト部材と、前記第1のシフト部材が前記第1の位置にあるとき、前記第2の位置に対応した待機位置にあり、前記第1のシフト部材が前記第2の位置にあるとき、前記第1の位置に対応した待機位置にある第2のシフト部材と、前記第2のシフト部材が前記第1又は第2の待機位置にあるとき、前記第1のシフト部材を前記第1及び第2の位置の間で移動させる移動力を蓄積する蓄力バネと、前記蓄力バネが前記移動力を蓄積しているとき、前記移動力に基づく前記第1のシフト部材の移動の規制及びこの規制を解除する規制手段と、前記第1のシフト部材及び前記第2のシフト部材を移動させる駆動源と、前記第1のシフト部材を前記第1の位置から前記第2の位置へ、あるいは前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させる移動指令を入力したとき、前記駆動源の駆動によって前記規制手段による前記規制を解除して前記蓄力バネの前記移動力によって前記第1のシフト部材を前記第2の位置あるいは前記第1の位置へ移動させるように前記駆動源を制御する制御手段とを備え、前記規制手段は、前記駆動源の回転運動を直線運動に変換するドラムカムを有し、前記ドラムカムには、第1カム溝と第2カム溝とが軸線方向に独立して形成され、前記第1カム溝には、前記第1のシフト部材の移動を禁止する第1禁止領域、及び前記第1のシフト部材の移動を許容する第1許容領域が形成され、前記第2カム溝には、前記第1禁止領域に対応して前記第2のシフト部材の移動を許容する第2許容領域、及び前記第1許容領域に対応して前記第2のシフト部材の移動を禁止する第2禁止領域が形成され、前記第1のシフト部材を前記第1禁止領域に係合させるとともに、前記第2のシフト部材を前記第2許容領域に係合させ、前記駆動源の駆動により前記第2のシフト部材を前記待機位置に移動させることで前記蓄力バネを圧縮させて前記移動力を蓄積し、前記駆動源の駆動により、前記第1のシフト部材を前記第1禁止領域から前記第1許容領域に係合させるとともに、前記第2のシフト部材を前記第2許容領域から前記第2禁止領域に係合させ、前記圧縮した蓄力バネの付勢力により前記第1のシフト部材を前記第2の位置あるいは前記第1の位置へ移動させることを特徴とするシフト切替装置にある。
[2]上記[1]記載の発明にあって、前記第1カム溝は、軸線方向に並べた一対の前記第1禁止領域の間に、周方向に並べた一対の前記第1許容領域の端部を連接した環状の凹溝であり、前記第2カム溝は、周方向に延びる一対の前記第2禁止領域の間に、周方向に傾斜して延びる前記第2許容領域の端部を連接した蛇行状の凹溝であることを特徴としている。
[3]上記[1]記載の発明にあって、前記第1のシフト部材は、2輪駆動と4輪駆動とに切替えるためのシフトフォークであり、前記第2のシフト部材は、前記シフトフォークを移動させるためのシフトロッドであることを特徴としている。
[4]上記[1]記載の発明にあって、前記第1のシフト部材は、少なくとも高速段と低速段とに切替えるためのシフトフォークであり、前記第2のシフト部材は、前記シフトフォークを移動させるためのシフトロッドであることを特徴としている。
[5]上記[1]記載の発明にあって、前記駆動源は、正逆回転可能なモータを有してなることを特徴としている。
(シフト切替装置の構成)
図1において、全体として示す符号1は、この第1の実施の形態におけるシフト切替装置である。図示例によるシフト切替装置1は、例えばFR(フロントエンジン、リヤドライブ)方式をベースにしたパートタイム四輪駆動車における二輪駆動・四輪駆動(2WD・4WD)への切替えに適用されるものであり、トランスファ装置2とアクチュエータ装置3とを備えている。
このトランスファ装置2は、図1に示すように、フロントケース4及びリアケース5からなるケース内に、図示しない入力軸に入力するエンジンの駆動力を伝達する主軸6を備えている。トランスファ装置2は更に、主軸6の外周にスプライン嵌合された4WD用ギア(クラッチギア)7と、主軸6の外周に相対回転可能に形成された2WD用ギア(スプロケットの歯)8と、2WD選択時に2WD用ギア8に噛合し、4WD選択時に4WD用、及び2WD用の両ギア7,8に噛合するスリーブクラッチ9と、円筒状のドラムカム30とを備えている。このドラムカム30の外周面に独立して形成された第1及び第2カム溝31,32のそれぞれには、シフトロッド10及びシフトフォーク11からなる2つのシフト手段が係合されている。
アクチュエータ装置3は、図1に示すように、出力軸21に駆動ロッド22を介して連結されたドラムカム30を回転駆動させることで、シフトロッド10を軸方向に直線的に移動させるものであり、ハウジングに内蔵されたモータ20と、そのモータ20の回転出力を減速して出力軸21に伝達するための図示しないギア手段による減速機構とを備えている。アクチュエータ装置3では、制御部70が駆動ロッド22を正逆方向に回転駆動するように信号を受けて、モータ20により駆動ロッド22を正逆回転させるようになっている。
図2を参照すると、この第1の実施の形態の特徴部を有するドラムカム30の第1カム溝31は、2WDシフト完了位置(移動終了位置)A1を有する2WD停止領域A1B1と、4WDシフト完了位置(移動終了位置)C1を有する4WD停止領域C1D1とが2段階に形成され、2WD停止領域A1B1と4WD停止領域C1D1との間に、2WD・4WD切替え領域B1C1と、4WD・2WD切替え領域D1A1とのそれぞれの端部を連接する環状の凹溝に形成されている。2WD・4WD切替え領域B1C1と4WD・2WD切替え領域D1A1とでシフトフォーク11の軸方向移動を許可する移動許可領域とされている。それ以外の2WD停止領域A1B1と4WD停止領域C1D1とはシフトフォーク11の軸方向移動を規制する移動禁止領域とされている。
図示例によるシフト切替装置1のもう一つの特徴部を有する構成は、モータ20からスリーブクラッチ9までの駆動伝達経路上に、スリーブクラッチ9を移動終了位置に移動させる指令が出力される前にシフトフォーク11を待機位置に変位させ、シフトフォーク11を待機位置から移動終了位置に移動させる必要な力をスプリング18に蓄えておく蓄力機構と、その蓄力機構の動作を規制する上記ドラムカム30によるシフト規制機構とを設けたことにある。この蓄力機構及びシフト規制機構は、エンジンの停止時、エンジンの再始動時、車両の2WD走行時、車両の4WD走行時、あるいは車両の一時停止時などにかかわらず、蓄力状態(事前巻き状態)を常に維持している。
表1は、ドラムカム30のシフト位置と、シフトロッド10及びシフトフォーク11の切替えモードとの関係を示している。ここで、表1に示すシフト位置A〜Dは、図2に示すドラムカム30の第1カム溝31のカム位置A1〜D1、及び第2カム溝32のカム位置A2〜D2とそれぞれ対応している。
図3を参照すると、図3には2WD及び4WDに切替える手順が例示されている。フォーク駆動ピン11eが4WDシフト完了位置C1に達するまでは、シフトフォーク11のスリーブクラッチ9は4WD用ギア7と噛み合っていない2WD状態にある(図3に示すステップS1、上記表1に示すシフト位置A)。この2WD状態にあるときに、出力軸21及び駆動ロッド22を2WDシフト完了位置A1から4WD待機位置B1へ至る範囲で時計回りに正回転させる(図3のS2)。すると、ロッド駆動ピン12bは、第2カム溝32の2WD駆動停止領域A2D2から切替え駆動領域D2B2のカム斜面を介して4WD駆動待機位置B2に移動し、シフトロッド10は、図1の右方向に移動する。一方、フォーク駆動ピン11eは、2WD停止領域A1B1上を変位することから、シフトフォーク11の移動は禁止されている。以上より、シフトロッド10は、第2カム溝32の4WD駆動待機位置B2でスプリング18を圧縮し、圧縮されたスプリング18の復元力(付勢力)により、シフトフォーク11は4WDシフト完了位置C1側へ付勢した蓄力状態(事前巻き状態)で4WD待機位置B1に停止している(図3のS3、上記表1のシフト位置B)。
2WDから4WDに切替える切替え指令がアクチュエータ装置3に出力されると(図3のS4)、出力軸21及び駆動ロッド22を第1カム溝31の4WD待機位置B1から4WDシフト完了位置C1へ至る範囲で時計回りに正回転させ、ドラムカム30を4WD待機位置B1から4WDシフト完了位置C1へ回転させる(図3のS5)。ロッド駆動ピン12bは、第2カム溝32の4WD駆動待機位置B2から4WD駆動停止位置C2に変位する。一方、シフトフォーク11のスリーブクラッチ9が4WD用ギア7と同期すると、スプリング18の復元力により、第1カム溝31の4WD駆動停止領域B1C1を介してフォーク駆動ピン11eを移動させることになるから、4WD待機位置B1で待機状態にあったシフトフォーク11は瞬時に4WD待機位置B1から4WDシフト完了位置C1に切替わる(図3のS6)。
フォーク駆動ピン11eが第1カム溝31の4WDシフト完了位置C1に切替わったことを回転位置検出手段であるポジションスイッチにより電気的に検出されると、出力軸21及び駆動ロッド22を4WDシフト完了位置C1から2WD待機位置D1へ至る範囲で反時計回りに逆回転させる(図3のS8)。すると、ロッド駆動ピン12bは、第2カム溝32の4WD駆動停止領域C2B2から切替え駆動領域B2D2のカム斜面を介して2WD駆動待機位置D2に移動し、シフトロッド10は、図1の左方向に移動する。一方、フォーク駆動ピン11eは、第1カム溝31の4WD停止領域C1D1上を変位することから、シフトフォーク11の移動は禁止される。以上より、シフトロッド10は、2WD駆動待機位置D2でスプリング18を圧縮した蓄力状態(事前巻き状態)で待機し、シフトフォーク11は、圧縮されたスプリング18の復元力により2WDシフト完了位置A1側へ付勢した待ち状態で2WD待機位置D1に停止する(図3のS9、上記表1のシフト位置D)。
4WDから2WDに切替える切替え指令がアクチュエータ装置3に出力されると(図3のS10)、出力軸21及び駆動ロッド22を第1カム溝31の2WD待機位置D1から2WDシフト完了位置A1へ至る範囲で逆回転させ、ドラムカム30を第1カム溝31の2WD待機位置D1から2WDシフト完了位置A1へ回転させる(図3のS11)。ロッド駆動ピン12bは、2WD駆動待機位置D2から2WD駆動停止位置A2に変位する。一方、スプリング18の復元力によりシフトフォーク11のスリーブクラッチ9が4WD用ギア7から脱すると、第1カム溝31の2WD待機位置D1から2WDシフト完了位置A1へフォーク駆動ピン11eを移動させることになるから、2WD待機位置D1で停止状態にあったシフトフォーク11は、スプリング18の復元力により瞬時に2WD待機位置D1から2WDシフト完了位置A1に切替わる(図3のS12、上記表1のシフト位置A)。
上記のように構成された第1の実施の形態に係るシフト切替装置1によると、以下の効果が得られる。
(1)第1カム溝31の2WDシフト完了位置A1から4WD待機位置B1までの2WD停止領域A1B1と、第1カム溝31の4WDシフト完了位置C1から2WD待機位置D1までの4WD停止領域C1D1とで、シフトフォーク11の切替え指令がアクチュエータ装置3に出力される前に、シフトフォーク11の移動のためのエネルギーをスプリング18に蓄えておく構成となっている。そのため、一方から他方への切替えを要求する切替え指令が出力されてからシフト操作が完了するまでの時間(シフトフォーク11のシフト時間)は、モータ20の出力トルクに左右されることなく、第1カム溝31の4WD・2WD切替え領域D1A1、あるいは2WD・4WD切替え領域B1C1の僅かな回転変位とスプリング18の解放時間のみになる。
(2)スプリング18の解放時間は無視できるほど僅かであるので、シフトフォーク11のシフト時間は、第1カム溝31の4WD・2WD切替え領域D1A1、あるいは2WD・4WD切替え領域B1C1の回転角度と回転速度とで決めることが可能となり、従来のシフト切替装置のようにアクチュエータ装置の駆動力に依存することなく、シフトフォーク11のシフト時間を短縮することができる。
(3)第1カム溝31の2WD・4WD切替え領域B1C1、あるいは4WD・2WD切替え領域D1A1の回転角度を、例えばシフトフォーク11のシフトストローク全体分の回転角度に対して1/5に設定すると、シフトに要するアクチュエータ装置3の出力軸21の回転速度は1/5にすることができる。従来装置に対しシフト時間を同じに設定した場合は、アクチュエータ装置3内のギア比を5倍にすることができるようになり、モータ20単体の出力トルクを1/5にすることができる。
(4)以上より、アクチュエータ装置3やモータ20の小型化や低コスト化を達成することが可能になる。
上記のごとく構成されたシフト切替装置1は、少なくとも低速段及び高速段を有する副変速機構40に効果的に適用することができる。
図4において、全体として示す符号23は、入力軸24に入力するエンジンの駆動力を高速段Hと低速段Lとに切替えする副変速機構を概略的に示している。この副変速機23は、例えばFR方式をベースにしたパートタイム四輪駆動車における高速位置及び低速位置への切替えに適用されるものであり、遊星歯車機構25と、その遊星歯車機構25に同軸的に配されたスライドギア26とを備えている。
図5(a)を参照すると、図5(a)には2系統の第1カム溝31及び第2カム溝32が独立して穿設された速度位置切替え用のドラムカム30の展開図が模式的に示されている。上記第1の実施の形態における2WD・4WDの切替えにおいては、シフトフォーク11を2WD位置又は4WD位置の各ポジションから抜くときの切替え荷重をスプリング力により付与していたものを、この第2の実施の形態では、シフトフォーク11を高速位置及び低速位置の各ポジションから抜くときの切替え荷重をアクチュエータ装置3の駆動力により付与しており、高速位置及び低速位置の間にあるニュートラル位置Nから切替え先のポジションに入れるときの切替え荷重をスプリング力により付与している。
表2は、ドラムカム30のシフト位置と、シフトロッド10及びシフトフォーク11の切替えモードとの関係を示している。ここで、表2に示すシフト位置A〜Fは、図5(a)に示す第1カム溝31のカム位置A3〜F3、及び第2カム溝32のカム位置A4〜F4とそれぞれ対応している。
フォーク駆動ピン11eが第1カム溝31の高低速切替え待機位置B3から高低速中立位置C3を介して低速位置D3に達するまでは、シフトフォーク11はサンギア27と噛み合う高速状態にある(上記表2に示すシフト位置A)。フォーク駆動ピン11eが第1カム溝31の高速位置A3から高低速切替え待機位置B3に変位するときは、ロッド駆動ピン12bは、第2カム溝32の速度切替え領域A4B4のカム斜面を移動することから、圧縮されたスプリング18の復元力により低速駆動位置D4側へ付勢した蓄力状態(事前巻き状態)で速度切替え待機位置B4に停止している(上記表2に示すシフト位置B)。
高速駆動から低速駆動に切替える切替え指令がアクチュエータ装置3に出力されると、出力軸21及び駆動ロッド22を第1カム溝31の高低速切替え待機位置B3から低速位置D3へ至る範囲で正回転させ、高低速切替え待機位置B3で停止状態にあったフォーク駆動ピン11eはモータ20の回転駆動により第1カム溝31の高低速切替え待機位置B3から高低速中立位置C3を介して低速位置D3に移動する。
フォーク駆動ピン11eが第1カム溝31の低速位置D3に切替わり、シフト完了したことをポジションスイッチにより電気的に検出されると、出力軸21及び駆動ロッド22を第1カム溝31の低速位置D3から低高速切替え待機位置E3へ至る範囲で逆回転させる。ロッド駆動ピン12bは第2カム溝32の低速駆動位置D4から速度切替え領域D4E4のカム斜面を介して速度切替え待機位置E4に移動する。シフトロッド10は、図4の左方向に移動するので、この速度切替え待機位置E4においてスプリング18を圧縮した蓄力状態(事前巻き状態)で待機する。一方のフォーク駆動ピン11eは第1カム溝31の低速位置D3から低高速切替え待機位置E3上に変位することから、シフトフォーク11のスライドギア26の移動を禁止し、圧縮されたスプリング18の復元力により第1カム溝31の高速位置A3側へ付勢した待機状態で低高速切替え待機位置E3に停止する(上記表2に示すシフト位置E)。
低速駆動から高速駆動に切替える切替え指令がアクチュエータ装置3に出力されると、出力軸21及び駆動ロッド22を第1カム溝31の低高速切替え待機位置E3から高速位置A3へ至る範囲で逆回転させ、ドラムカム30を第1カム溝31の低高速切替え待機位置E3から高速位置A3へ回転させる。上記第1の実施の形態における2WD−4WDの切替えとは異なり、ロッド駆動ピン12bは、第2カム溝32の速度切替え待機位置E4から速度切替え領域E4F4のカム斜面を介して低速駆動位置A4に移動する。第2カム溝32の速度切替え領域E4F4のカム斜面は、第1カム溝31の低高速切替え領域E3F3と同一の傾斜角でロッド駆動ピン12bを移動させるため、フォーク駆動ピン11eは、蓄力機構であるスプリング18に蓄えられるシフト力を保持したままの状態で低高速中立位置F3に移動する。
フォーク駆動ピン11eが第1カム溝31の高速位置A3に切替わったことをポジションスイッチにより電気的に検出されると、出力軸21及び駆動ロッド22を第1カム溝31の高速位置A3から高低速切替え待機位置B3へ至る範囲で回転させ、ドラムカム30を高速位置A3から高低速切替え待機位置B3へ回転させる。ロッド駆動ピン12bは第2カム溝32の高速駆動位置A4から速度切替え領域A4B4のカム斜面を介して速度切替え待機位置B4に移動する。第1カム溝31の高速位置A3で停止状態にあったフォーク駆動ピン11eは、モータ20の回転駆動により高速位置A3から高低速中立位置B3に変位する(上記表2に示すシフト位置B)。以上の操作を繰り返すことで、高速駆動から低速駆動へ、あるいは低速駆動から高速駆動へのシフト操作が効果的に行われる。
以上のように構成された第2の実施の形態に係るシフト切替装置1によれば、以下の効果が得られる。
(1)第1カム溝31の高低速中立位置B3から低速位置D3までの高低速切替え領域B3D3と、第1カム溝31の低高速切替え待機位置E3から高速位置A3までの低高速切替え領域E3A3とにおいて、シフトフォーク11の切替え指令がアクチュエータ装置3に出力される前にシフトフォーク11の移動のためのエネルギーをスプリング18に蓄えておく構成となっている。そのため、シフトフォーク11のシフト時間は、第1カム溝31の低高速中立領域F3A3、あるいは高低速中立領域C3D3の回転角度と回転速度とで決めることができる。
(2)アクチュエータ装置3内のギア比を2倍に設定すると、モータ20単体の出力トルクを1/2にすることができる。その結果、モータ20の小型化や低コスト化を達成することが可能になる。
(3)以上より、上記第1の実施の形態と同様に、従来のシフト切替装置のようにアクチュエータ装置の駆動力に依存する必要がなくなり、シフトフォーク11のシフト時間を短縮することができるので、アクチュエータ装置3の小型化や低コスト化を達成することが可能になる。
図5(b)を参照すると、図5(b)には上記第2の実施の形態に係るドラムカム30の変形例が模式的に示されている。なお、上記第2の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、上記第2の実施の形態と実質的に同じ部材に関する詳細な説明は省略する。
図6(a)〜図6(c)を参照すると、これらの図には第3の実施の形態に係るシフト切替装置1の一構成例が模式的に示されている。上記第1及び第2の実施の形態にあっては、ドラムカム30の回転運動を直線運動に変換可能な運動変換機構を備えたシフト切替装置1を例示したが、この第3の実施の形態では、軸の回転運動を回転運動に変換可能な運動変換機構を備えたシフト切替装置1を例示している点で上記第1及び第2の実施の形態とは異なっている。
図6(a)〜図6(c)において、支持部材40にスライド自在に支持された規制部材41が入力回転軸42と出力回転軸46との軸方向に沿って並設されている。この規制部材41の軸方向両側には、第1及び第2スプリング43,44が介装されており、図示しないモータの駆動回転方向が正逆どちらであっても圧縮するスプリング43,44の弾力を一時的に蓄え、その蓄えた応力を規制部材41に伝えるスプリングによる蓄力機構が構成されている。
いま、モータの正回転により入力回転軸42が、図6(a)及び(b)に示すように、第1のリングカラー47の第1の係止孔47aから第2の係止孔47bへ至る範囲で時計回り方向に正回転すると、その入力回転軸42の正回転に伴い、規制部材41の第1の係合ピン41aが入力回転軸42のカム溝45における第1の切替え領域45cの始端から終端に沿って移動する。すると、規制部材41の第2の係合ピン41bが第1スプリング43の弾力に抗して出力回転軸46におけるリングカラー47の係止孔47aから出力回転軸46側に向けて離脱する前に、モータの正回転が一時的に停止する。規制部材41の第1の係合ピン41aは、カム溝45の第1の切替え領域45cの終端に一時的に停止する(待機状態)。
上記のように構成された第3の実施の形態に係るシフト切替装置1によれば、モータにより正逆回転される出力回転軸の往復回転運動を入力するピニオンと、ピニオンを直線運動に変換するラックとからなるラック・ピニオン機構、減速機などのギア機構、クラッチ機構、あるいは2WD−4WDの切替え用のシフトロッドなどの各種機構に効果的に使用することができる。
図7、図8(a)、及び図8(b)には、第4の実施の形態に係るシフト切替装置1の一構成例が模式的に示されている。なお、上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材に関する詳細な説明は省略する。
このトランスファ装置2の主軸6の外周には、図7に示すように、クラッチギア64、ハブ65、カウンタギア66、及びハイポイドギア67が同軸的に取り付けられている。シフトフォーク11のボス部11aは、スプリング18による蓄力機構を介してシフトロッド10に摺動可能に外嵌支持されている。シフトフォーク11のスリーブクラッチ9は、2WD選択時に2WD用のクラッチギア64に噛合し、4WD選択時に2WD用のクラッチギア64、及び4WD用のハブ65の双方に噛合する。
次に、この第4の実施の形態におけるシフト切替装置1の動作を図7、図8(a)、及び図8(b)を参照しながら説明する。いま、シフトフォーク11が2WD位置に切替わったことをポジションスイッチにより電気的に検出されると、モータ20が反時計回り方向に正回転する。その回転駆動力は、ピニオン60を介してシフトロッド10のラック61に伝達される。モータ20は、ピニオン軸の突出片60aがストッパーレバー62に係合する前に一時的に停止する。これにより、スプリング18の弾力に抗してシフトロッド10を図7の右方向である4WD側へ移動させておく。シフトフォーク11のストッパーピン63は、ストッパーレバー62の先端の2WD側支持面に係止されるので、シフトフォーク11は、4WD位置側へ付勢した蓄力状態(事前巻き状態)で2WD位置側に待機している。
2WDから4WDに切替える切替え指令がアクチュエータ装置3に出力されると、出力軸21をピニオン軸の突出片60aを含む半周面を超える範囲に至るまで、正回転方向へ回転駆動させる。その回転駆動力は、図8(b)に示すように、ピニオン60を介してシフトロッド10のラック61に伝達される。ストッパーレバー62の基端部はピニオン軸の突出片60aにより押圧される。ストッパーレバー62はレバー支軸62aを中心として揺動し、ストッパーレバー62とストッパーピン63との係合が解除される。
シフトフォーク11が4WD位置に切替わったことをポジションスイッチにより電気的に検出されると、出力軸21が逆回転方向(時計回り方向)に回転駆動する。その回転駆動力は、ピニオン60を介してシフトロッド10のラック61に伝達され、スプリング18の弾力に抗してシフトロッド10を図7の左方向である2WD側へ移動させる。シフトフォーク11のストッパーピン63はストッパーレバー62の先端の4WD側支持面に係止されるので、シフトフォーク11は2WD位置側へ付勢した蓄力状態(事前巻き状態)で4WD待機位置に待機する。4WD切替え前と2WD切替え前の上記操作を繰り返して2WDから4WDへ、あるいは4WDから2WDへのシフト操作が効果的に行われる。
以上のように構成された第4の実施の形態に係るシフト切替装置1によれば、上記第1及び第2の実施の形態の効果と同様に、アクチュエータ装置3の設計の自由度を向上させることができる。
2 トランスファ装置
3 アクチュエータ装置
4 フロントケース
5 リアケース
6 主軸
7 4WD用ギア(クラッチギア)
8 2WD用ギア(スプロケットの歯)
9 スリーブクラッチ
10 シフトロッド
11 シフトフォーク
11a ボス部
11b 切欠スリット
11c 小径円筒部
11d 大径円筒部
11e フォーク駆動ピン
12 シフトブラケット
12a 腕部
12b ロッド駆動ピン
13 スプリングピン
14,15 カラー部材
16,17 スナップリング
18,43,44,49 スプリング
20 モータ
21 出力軸
22 駆動ロッド
23 副変速機構
24 入力軸
25 遊星歯車機構
26 スライドギア
27 高速用ギア
28 低速用ギア
28a ピニオンギアの軸
28b スプラインギア
29 リングギア
30 ドラムカム
31 第1カム溝
32 第2カム溝
40 支持部材
41 規制部材
42 入力回転軸
45 カム溝
45a,45b 回転規制領域
45c,45d 切替え領域
46 出力回転軸
47,48 リングカラー
47a,47b 係止孔
41a,41b 係合ピン
60 ピニオン
60a 突出片
61 ラック
62 ストッパーレバー
62a レバー支軸
63 ストッパーピン
64 クラッチギア
65 ハブ
66 カウンタギア
67 ハイポイドギア
68 リターンスプリング
70 制御部
A1 2WDシフト完了位置(移動終了位置)
A1B1 2WD停止領域(移動禁止領域)
B1 4WD待機位置
B1C1 2WD・4WD切替え領域(移動許可領域)
B1D1 4WD停止領域(移動禁止領域)
C1 4WDシフト完了位置(移動終了位置)
C1D1 4WD停止領域(移動禁止領域)
D1 2WD待機位置
D1A1 4WD・2WD切替え領域(移動許可領域)
D1B1 2WD停止領域(移動禁止領域)
A2 2WD駆動停止位置
A2D2(D2A2) 2WD駆動停止領域
B2 4WD駆動待機位置
B2C2(C2B2) 4WD駆動停止領域
C2 4WD駆動停止位置
D2 2WD駆動待機位置
D2B2(B2D2) 切替え駆動領域
A3 高速位置
A3B3 高速領域
B3 高低速切替え待機位置
B3C3 高低速切替え領域
C3 高低速中立位置
C3D3 高低速中立領域
D3 低速位置
D3E3 低速領域
E3 低高速切替え待機位置
F3A3 高低速中立領域
F3 低高速中立位置
E3F3 低高速切替え領域
A4 高速駆動位置
B4(E4) 速度切替え待機位置
A4B4(E4F4) 速度切替え領域
B4C4(D4E4) 速度切替え領域
B4E4(E4B4) 速度切替え領域
D4 低速駆動位置
Claims (5)
- 第1及び第2の位置の間で移動する第1のシフト部材と、
前記第1のシフト部材が前記第1の位置にあるとき、前記第2の位置に対応した待機位置にあり、前記第1のシフト部材が前記第2の位置にあるとき、前記第1の位置に対応した待機位置にある第2のシフト部材と、
前記第2のシフト部材が前記第1又は第2の待機位置にあるとき、前記第1のシフト部材を前記第1及び第2の位置の間で移動させる移動力を蓄積する蓄力バネと、
前記蓄力バネが前記移動力を蓄積しているとき、前記移動力に基づく前記第1のシフト部材の移動の規制及びこの規制を解除する規制手段と、
前記第1のシフト部材及び前記第2のシフト部材を移動させる駆動源と、
前記第1のシフト部材を前記第1の位置から前記第2の位置へ、あるいは前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させる移動指令を入力したとき、前記駆動源の駆動によって前記規制手段による前記規制を解除して前記蓄力バネの前記移動力によって前記第1のシフト部材を前記第2の位置あるいは前記第1の位置へ移動させるように前記駆動源を制御する制御手段とを備え、
前記規制手段は、前記駆動源の回転運動を直線運動に変換するドラムカムを有し、
前記ドラムカムには、第1カム溝と第2カム溝とが軸線方向に独立して形成され、
前記第1カム溝には、前記第1のシフト部材の移動を禁止する第1禁止領域、及び前記第1のシフト部材の移動を許容する第1許容領域が形成され、
前記第2カム溝には、前記第1禁止領域に対応して前記第2のシフト部材の移動を許容する第2許容領域、及び前記第1許容領域に対応して前記第2のシフト部材の移動を禁止する第2禁止領域が形成され、
前記第1のシフト部材を前記第1禁止領域に係合させるとともに、前記第2のシフト部材を前記第2許容領域に係合させ、前記駆動源の駆動により前記第2のシフト部材を前記待機位置に移動させることで前記蓄力バネを圧縮させて前記移動力を蓄積し、
前記駆動源の駆動により、前記第1のシフト部材を前記第1禁止領域から前記第1許容領域に係合させるとともに、前記第2のシフト部材を前記第2許容領域から前記第2禁止領域に係合させ、前記圧縮した蓄力バネの付勢力により前記第1のシフト部材を前記第2の位置あるいは前記第1の位置へ移動させることを特徴とするシフト切替装置。 - 前記第1カム溝は、軸線方向に並べた一対の前記第1禁止領域の間に、周方向に並べた一対の前記第1許容領域の端部を連接した環状の凹溝であり、
前記第2カム溝は、周方向に延びる一対の前記第2禁止領域の間に、周方向に傾斜して延びる前記第2許容領域の端部を連接した蛇行状の凹溝であることを特徴とする請求項1記載のシフト切替装置。 - 前記第1のシフト部材は、2輪駆動と4輪駆動とに切替えるためのシフトフォークであり、
前記第2のシフト部材は、前記シフトフォークを移動させるためのシフトロッドであることを特徴とする請求項1記載のシフト切替装置。 - 前記第1のシフト部材は、少なくとも高速段と低速段とに切替えるためのシフトフォークであり、
前記第2のシフト部材は、前記シフトフォークを移動させるためのシフトロッドであることを特徴とする請求項1記載のシフト切替装置。 - 前記駆動源は、正逆回転可能なモータを有してなることを特徴とする請求項1記載のシフト切替装置。
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