JP5297898B2 - 鋼管杭施工用治具および鋼管杭の施工方法 - Google Patents
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Description
一方、鋼管杭としては、上杭および下杭あるいは上杭、中杭および下杭などのように上下に複数の杭体を備え、これらの杭体同士を連結装置で接続して構成されるものがある。このような上下の杭体同士を接続する連結装置として、下側の杭体の上端部に固定されるプラグ部材と、上側の杭体の下端部に固定されるソケット部材とを備え、プラグ部材をソケット部材に嵌入するとともに、これらの側方からキーを貫通させることで上下の杭体を接続する機械的な接続構造(機械式継手)が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
一方、前記特許文献2に記載されたように機械的に杭体同士を接続する構造を採用した場合には、プラグ部材やソケット部材と併せて係合コマも溶接固定するために、この場合でも鋼材量や溶接量が増加してコスト高になってしまう。
さらに、本発明の鋼管杭施工用治具では、治具連結材に設けた被係止部を治具接続部に設けた係止部で係止して治具連結材の脱落を防止することで、比較的簡単な構造で脱落防止手段を構成することができるとともに、鋼管杭施工用治具の仮固定作業および取り外し作業を迅速に行うことができ、施工時間の短縮化を促進させることができる。ここで、係止部および被係止部の構造としては、下杭体および鋼管杭施工用治具を吊り上げ搬送したり、回転キャップを係合部に係合させたり、下杭体を杭打ち機で回転貫入したりする際に、発生する振動や衝撃、傾き等によって外れない程度の係止力を有したものであればよく、その具体的な構造は、特に限定されない。
このような構成によれば、治具接続凹部に第1接続凸部を嵌挿するように構成したことで、治具接続凹部の外側から径方向内側に向かって治具連結材を治具連結孔および連結孔に挿通し、これにより治具接続凹部と第1接続凸部とを連結するとともに、治具接続凹部の外周側に設けた脱落防止手段で治具連結材の脱落を防止することができる。従って、治具接続凹部の外周側つまり下杭体や鋼管杭施工用治具の外部から、治具連結材の連結作業や脱落防止作業、取り外し作業を容易に実施することができ、作業性をさらに向上させることができる。
このような構成によれば、下杭体の上端部の第1接続凹部に治具接続凸部を嵌挿するように構成したことで、治具接続凸部の内側から径方向外側に向かって治具連結材を治具連結孔および連結孔に挿通し、これにより治具接続凸部と第1接続凹部とを連結するとともに、治具接続凸部の内周側に設けた脱落防止手段で治具連結材の脱落を防止することができる。従って、治具接続凸部の外周側に脱落防止手段が突出しないため、脱落防止手段と杭打ち機の回転キャップとが干渉することがなく、この回転キャップと係合する係合部から治具接続凸部までの距離を短くすることができ、鋼管杭施工用治具の長さ寸法を短縮して小型化を図ることができる。このように鋼管杭施工用治具が小型化できることで、杭打ち機が施工可能な長さ(高さ)寸法に対して下杭体の長さ寸法を相対的に長く設定することができ、鋼管杭全長における杭体の段数が増加することを防止できる。特に、施工現場に高さ制限があり、杭打ち機の高さが制限される場合には、杭体の段数増加を防止することで、施工効率を格段に向上させることができる。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
図1は、本発明の実施形態に係る鋼管杭1の接続部分を示す斜視図である。図2は、鋼管杭1の接続部分を示す縦断面図である。図3は、鋼管杭1の接続部分を示す横断面図である。
図1〜図3において、鋼管杭1は、それぞれ円形鋼管で形成された上杭体2および下杭体3と、下杭体3の上端部に固定される第1接続部としての接続雌部材4と、上杭体2の下端部に固定される第2接続部としての接続雄部材5と、これらの接続雌部材4と接続雄部材5とを連結する連結材としての複数(本実施形態では、6つ)の連結ピン6と、これらの連結ピン6を接続雄部材5に固定する固定ねじ7とを有して構成されている。そして、下杭体3の先端部には、図示しない螺旋状の羽根が固定され、後述する杭打ち機Mにより回転されることで、鋼管杭1は、地盤Gに貫入されるようになっている。
鋼管杭施工用治具10は、後述する杭打ち機Mの回転キャップCと係合するとともに、接続雌部材4に仮固定されて回転キャップCの回転を下杭体3に伝達するものであって、上杭体2の下端部および接続雄部材5と略同一形状を有して構成されている。この鋼管杭施工用治具10は、上杭体2および下杭体3と同径の円形鋼管からなる治具本体11と、この治具本体11の外周から突出して溶接固定されて回転キャップCと係合可能な係合部としての2つの係合コマ12と、治具本体11の下端部に固定される治具接続部としての治具雄部材13と、この治具雄部材13を接続雌部材4に連結して仮固定する治具連結材としての治具連結ピン14と、この治具連結ピン14の脱落防止手段としての係止機構16,17とを有して構成されている。
図7において、係止機構17は、治具連結ピン14に固定された被係止部としての係止リング142と、嵌合凸部132の内周面に固定された係止部としての上下の係止ブラケット136と、上下の係止ブラケット136に渡るとともに係止リング142に挿通される係止部としての係止ピン137とを有して構成されている。この係止機構17では、治具連結ピン14を治具連結孔133に挿通してから、上側の係止ブラケット136、係止リング142および下側の係止ブラケット136に係止ピン137を挿通させることで、この係止ピン137の重みによって係止状態が維持され、治具連結ピン14が治具連結孔133から脱落することが防止できるようになっている。
図9(A)〜(D)および図10(A)〜(D)は、鋼管杭1の施工手順を説明する図である。
ここでは、上下二段の杭体である上杭体2と下杭体3とを連結して鋼管杭1を構成する場合について説明するが、三段以上の杭体で鋼管杭1を構成する場合でも、略同様の手順で施工することができる。
先ず、杭頭部に接続雌部材4を固定した下杭体3に対し、建設現場において、鋼管杭施工用治具10を接続雌部材4に連結して下杭体3に仮固定しておき、この状態の下杭体3を図9(A)に示すように、杭打ち機Mで吊り上げる。
次に、図9(C)に示すように、杭打ち機Mによって回転キャップCを回転させ、下杭体3先端の羽根を地盤Gにねじ込むことで下杭体3を地盤Gに貫入する。
そして、図9(D)に示すように、下杭体3の杭頭部が地表付近の作業員が作業可能な位置まで下がった状態において、回転キャップCを鋼管杭施工用治具10から外すとともに、下杭体3の杭頭部から鋼管杭施工用治具10を取り外す。
次に、図10(B)に示すように、杭打ち機Mによって回転キャップCを回転させ、下杭体3の羽根をさらに地盤Gにねじ込むことで一体化された上下の杭体2,3を地盤Gに貫入する。そして、上杭体2の杭頭部が地表付近まで下がった状態において、図10(C)に示すように、回転キャップCに延長具C1を接続し、上杭体2の杭頭部が地表面から所定の深さ位置になるまで上下の杭体2,3を地盤Gに貫入する。
その後、杭打ち機Mによって回転キャップCを引き上げ、上杭体2の上側に土を埋め戻して鋼管杭1の施工が完了する。
(1)すなわち、鋼管杭施工用治具10を介して下杭体3や中杭体を地盤Gに回転貫入することができ、下杭体3や中杭体の杭頭部に係合コマ等を溶接固定する必要がないことから、使用する鋼材量や溶接量、加工工数を抑制して製造コストを低減させることができる。さらに、鋼管杭施工用治具10の治具雄部材13と上杭体2の接続雄部材5とが同一部材で構成され、これらと下杭体3の接続雌部材4とが機械的に接続可能に構成されているので、下杭体3に対する鋼管杭施工用治具10の仮固定および取り外しの作業と上杭体2の接続作業とが迅速に実施でき、施工性を向上させることができて工期の短縮を図ることができる。
17が設けられていることで、鋼管杭施工用治具10の外周側に係止機構16,17が突出しないため、係止機構16,17と杭打ち機Mの回転キャップCとの干渉を防止することができる。従って、回転キャップCと係合する係合コマ12から嵌合凸部132までの距離を短くすることができ、鋼管杭施工用治具10の長さ寸法を短縮して小型化を図ることができる。
図11は、本発明の第2実施形態に係る鋼管杭施工用治具20を示す側面図である。図12は、鋼管杭施工用治具20を示す縦断面図である。
本実施形態において、鋼管杭1は、上杭体2および下杭体3と、下杭体3の上端部に固定される第1接続部としての接続雄部材5と、上杭体2の下端部に固定される第2接続部としての接続雌部材4とを有して構成されている。すなわち、前記第1実施形態と比較して本実施形態では、上杭体2および下杭体3に対して、接続雌部材4と接続雄部材5とが上下逆転した状態で固定され、接続雄部材5の嵌合凸部53で第1接続凸部が構成され、接続雌部材4の嵌合凹部42で第2接続凹部が構成されている。なお、接続雌部材4と接続雄部材5との連結構造は、前記第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
図14において、係止機構27は、治具連結ピン14に固定された被係止部としての係止鋼棒242と、嵌合凹部231の外周面に固定されて係止鋼棒242を受け入れ可能な係止部としての係止鉤部234とを有して構成されている。この係止機構27では、治具連結ピン24を治具連結孔232に挿通してから、治具連結ピン24を回転させて係止鋼棒242の先端側を係止鉤部234に係止させることで、治具連結ピン24の脱落が防止できるようになっている。
(4)すなわち、鋼管杭施工用治具20の治具連結ピン24が治具連結孔232および連結孔54に治具雌部材23の外周側から挿入され、治具雌部材23の外周側に係止機構26,27が設けられていることで、下杭体3や鋼管杭施工用治具20の外部から、治具連結ピン24の連結作業や係止機構26,27による脱落防止作業、治具連結ピン24の取り外し作業を容易に実施することができ、作業性をさらに向上させることができる。
例えば、前記実施形態において、鋼管杭1を構成する上下の杭体2,3は、第1および第2の接続部としての接続雌部材4および接続雄部材5の凹凸嵌合に加えて、接続雌部材4および接続雄部材5に連結材としての連結ピン6を挿通することによって接続される構造を採用したが、杭体同士の接続構造としては、前記実施形態のものに限られない。すなわち、第1および第2の接続部としては、互いに凹凸嵌合するものに限らず、互いに複数の歯を有して噛合するものであってもよく、互いにねじを有して螺合するものであってもよい。また、連結材としても、連結ピン6に限らず、第1および第2の接続部の両方またはいずれか一方に螺合するねじ等であってもよい。
また、前記第1実施形態では、係止機構16,17,18を鋼管杭施工用治具10の内側に設け、前記第2実施形態では、係止機構26,27を鋼管杭施工用治具20の外側に設けたが、このような構成に限られない。すなわち、係止機構16,17,18と同様の脱落防止手段を鋼管杭施工用治具の外側に設けてもよく、また係止機構26,27と同様の脱落防止手段を鋼管杭施工用治具の内側に設けてもよい。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (4)
- 少なくとも上下二段の杭体と、これら上下の杭体のうち下杭体の上端部に設けられる第1接続部と、上杭体の下端部に設けられる第2接続部と、これら第1および第2の接続部を互いに連結する連結材と、を備える鋼管杭を施工する際に用いる鋼管杭施工用治具であって、
前記杭体を地盤に回転貫入する杭打ち機の回転キャップと係合可能な係合部を有した治具本体と、
前記治具本体に一体に設けられ前記第2接続部と同一形状を有する治具接続部と、
前記治具接続部を前記第1接続部に連結して仮固定する治具連結材と、
前記仮固定した状態の治具連結材の脱落を防止する脱落防止手段とを備え、
前記脱落防止手段は、前記治具連結材に設けられる被係止部と、前記治具接続部に設けられて前記被係止部を係止する係止部とを有して構成されていることを特徴とする鋼管杭施工用治具。 - 請求項1に記載の鋼管杭施工用治具において、
前記鋼管杭の第1接続部は、前記下杭体から上方に突出する第1接続凸部を有し、前記第2接続部は、前記第1接続凸部を嵌挿させる第2接続凹部を有し、これらの第1接続凸部および第2接続凹部の各々には、前記連結材を側方から径方向に挿通可能な連結孔が形成されており、
前記治具接続部は、前記第2接続凹部と同一形状で前記第1接続凸部を嵌挿可能な治具接続凹部を有して形成され、この治具接続凹部には、前記第1接続凸部の連結孔と連続して前記治具連結材を挿通可能な治具連結孔が形成され、当該治具接続凹部の外周側に前記脱落防止手段が設けられていることを特徴とする鋼管杭施工用治具。 - 請求項1に記載の鋼管杭施工用治具において、
前記鋼管杭の第1接続部は、前記下杭体の上端部にて上方に開口する第1接続凹部を有し、前記第2接続部は、前記上杭体の下端部から下方に突出して前記第1接続凹部に嵌挿可能な第2接続凸部を有し、これらの第1接続凹部および第2接続凸部の各々には、前記連結材を側方から径方向に挿通可能な連結孔が形成されており、
前記治具接続部は、前記第2接続凸部と同一形状で前記第1接続凹部に嵌挿可能な治具接続凸部を有して形成され、この治具接続凸部には、前記第1接続凹部の連結孔と連続して前記治具連結材を挿通可能な治具連結孔が形成され、当該治具接続凸部の内周側に前記脱落防止手段が設けられていることを特徴とする鋼管杭施工用治具。 - 少なくとも上下二段の杭体と、これら上下の杭体のうち下杭体の上端部に設けられる第1接続部と、上杭体の下端部に設けられる第2接続部と、これら第1および第2の接続部を互いに連結する連結材と、を備える鋼管杭を地盤に貫入する鋼管杭の施工方法であって、
前記杭体を地盤に回転貫入する杭打ち機の回転キャップと係合可能な係合部を有した治具本体と、前記治具本体に一体に設けられ前記第2接続部と同一形状を有する治具接続部と、前記治具接続部を前記第1接続部に連結して仮固定する治具連結材と、前記仮固定した状態の治具連結材の脱落を防止する脱落防止手段とを備える鋼管杭施工用治具を用い、
前記第1接続部に前記治具接続部を前記治具連結材で連結して前記下杭体に前記鋼管杭施工用治具を仮固定し、
前記杭打ち機の回転キャップを前記係合部と係合させ、当該回転キャップの回転により前記鋼管杭施工用治具を介して前記下杭体を回転させて地盤に貫入し、 前記下杭体を所定深さまで貫入した後に、前記治具連結材による連結を解除して前記鋼管杭施工用治具を前記第1接続部から取り外し、
前記第1接続部に前記第2接続部を前記連結材で連結して前記下杭体に前記上杭体を接続することを特徴とする鋼管杭の施工方法。
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