JP5297070B2 - 健康医療用器具 - Google Patents

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Description

本発明は、健康医療用や美容用に供するべく、人体や動物の皮膚上を転がしてローリングマッサージが行え、かつ身体に変動する微弱電流を導通させ、皮膚の損傷の改善や身体の治癒に寄与する健康医療用器具に関するものである。
近年、高齢者の増加に伴い、健康医療や美容に関する社会的な関心は非常に高くなってきている。特に日本の繁栄を支えてきた団塊の世代の退職、高齢化と共に、その世代を中心に元気で健康であり、かつ美しく老いて行きたいという要求が強くあり、今後益々健康医療や美容に対する関心は高まって来ると考えられる。
特に、社会生活を送る上で重要な要素である若さや美しさを演出する美容や美顔に関しては、様々な器具や器機が発明、考案されている。回転するローラを用いて顔や身体を転がして美顔、美容に供しようとするものもその一つであり、ローラを回転させて顔や身体のマッサージを行い、リンパ液の循環や血行を促進することによって、潤った肌を作り出す効果や、体脂肪の燃焼や脂質を取り除き、痩身のボディーの形成する等の効果があるとされている。
このローラタイプの美顔器は、単に皮膚上を転がして、転がる効果のみで美顔や美肌の効果を得ようとするエネルギー源のないパッシブタイプのものと、AC電源や電池等をエネルギー源として用い、単純に手動で転がる効果のみより、電動もしくは電磁気を利用してより高い効果を実現しようとするアクティブタイプものがある。
特許文献1はパッシブタイプの典型的な例であり、ローラの回転時に、ローラの外周に配した複数枚のプレートで身体に回転打撃を与え、皮膚下に溜まった酸化脂質を取り除き、痩身の身体を実現することを唱っている。
この打撃効果よりも、高い効果を実現する為に、皮膚に能動的に振動を与えるアクティブタイプのものも開示されている。つまり、特許文献2では回転可能に支持されたローラとローラ内部に設けられた振動発生装置であるモータによって、充電式の電池から供給される電力を用いることでローラに振動を発生させる。そして、振動するローラによって首をローリングすることで、首がマッサージされ、血行が促進されるとともに首の皮膚に刺激が与えられるので、しわやたるみが改善されるという効果を唱っている。
また、特許文献3は、電気の供給源が明確に書かれていないが、パワースイッチを入力してイオントフレーゼ回路とマイクロカレント回路を切り替えて動作させるとしており、回路を動作させる電池もしくはAC電源からの電気エネルギーを用いたアクティブタイプの例である。特許文献3では皮膚に接触可能な一対のローラと美容器具本体に揺動可能に取り付けられたローラアームを持ち、イオントフレーゼ回路からはイオンの導入を行い、マイクロカレント回路からは微少な交流電流を流すことによって、皮膚細胞の活性化を促進し、肌のはりや艶を増すという効果を唱っている。
アクティブタイプの美容や美顔器は、単なるパッシブのものと比較して、エネルギーを体内に導入している分だけ効果が高いと考えられるが、どうしてもそのためにはエネルギーを供給する為の電池や蓄電装置もしくはAC電源を用いる必要があり、また、特定の機能を実現するための電子回路も用いる必要があることから、器機が複雑になり、故障しやすくなるという問題があった。
また、アクティブタイプのものは、部品点数が多くなっているだけ器機のトラブルも多く、製品寿命が短い割には値段が高くなるという課題もあった。また、アクティブタイプのものは、既に述べた様に、内部に電池や電子回路を有しているため、あらゆる状態での使用を考えようとすると、内部に水が入ることを避けなくてはならず、温度変化時の回路特性の変化も考慮する必要があり、利用しうる材料や半導体部品の制約も大きい。
ここで、本発明の背景技術である微少電流による人体への作用や治癒原理について若干説明を行う。この微少電流(マイクロカレント)療法は、本発明において利用している基本技術であり、痛みの癒しや骨折等の治療にも用いられるばかりでなく美容や美顔にも使用され著しい効果を上げている。近年、この微少電流による治療例として、有名なサッカー選手が骨折治療にこの微少電流治療を用い、短期間で治癒に至った実績が報告されている。また、その他にも多くの臨床報告がされており、鎮痛や治癒に非常に有効な方法として、近年注目を浴びるに至っている。非特許文献1には、この微少電流治療が副作用なく、痛み等の治癒に有効であることについての解説が述べられている。
しかしながら、従来この様な治療を行う装置は、非常に高価であり、特定の医療機関で用いられても、一般に用いられることはあまりなかった。これは、主としてこの様な装置を作製するためには、回路や電源等多くの部品と、電子回路の高い技術が必要であったためである。また、通常皮膚に微弱電流を導入する為に、静止した2つの端子を用いていたため、あまり広い範囲の損傷に対応できないという問題もあった。
ローリングを行いつつ微弱電流を導入する方法は特許文献3等にも見られるが、従来のこの様な外部電源と電子回路を用いた方法では、装置構成が複雑になるのみでなく、回転部と微弱電流の発生源が別々に構成されいるので、電流を回転部に導通する必要があり、回転部の水分等による故障、電流もれなど多くの問題があった。
特開平6−190014 実開平5−84328 特開2003−52841 Journal of Advancementin Medicine:Vol.8, No.2,1995,p107〜p120: "The Basis for Microcurrent Eletrical Therapy in Conventional Medical Practice"
本発明は、上記の様な状況に鑑みてなされたものであり、従来のアクティブタイプの美容や美顔器のように、電源や電池の様なエネルギー源を特別に用意することなく、自己の器具内部に電気エネルギーを生み出す機構を有し、単純な構成で、起電力を発生させ、かつ変動させた電気エネルギーを身体の比較的広い場所に与える方法を提案するものであり、顔や皮膚をローラによってマッサージすることに加えて、微弱な変動する電流を体内に導入させることで、リンパ液の循環を促進し、肌に潤いを与え、且つ細胞レベルでの損傷や老化をも改善しようとするものである。
上記の様な目的を達成するために、本発明の健康医療用器具は、ローリングマッサージを行うことのできる回転ヘッドに電極を形成すると共に、回転ヘッドに電圧が生じる様にし、回転ヘッドを身体、特に皮膚上を転動もしくは回転させた際、もしくは光の変化等による周囲環境の変化によって、回転ヘッドに設けた電極に電圧変動が生じるようにし、その電極から皮膚に変動する電圧が伝わる様にしたものである。
また、電圧を生じさせる機構は回転ヘッドの回転による電磁起電力、または外部から与えられる光の起電力によっており、電磁起電力は回転式の発電機(もしくはモータ)によって得られ、光起電力は太陽電池によって得られる。
発電機を用いる場合、発電機は回転ヘッド内に一体化して固定され、発電機の軸は本発明の健康医療用器具を手で保持する部分である柄に固定される。発電機は回転ヘッドと共に回転して、起電力を生じるがこの電磁起電力は回転ヘッドに形成された電極から皮膚に伝えられる。
起電力が光起電力である場合は、電圧は太陽電池から供給されるが、太陽電池は回転ヘッドに固定されており、回転ヘッドが転動もしくは回転すると、太陽電池に入射する光量が変化し起電力が変化する。また、回転ヘッドを静止状態に保っておいても、周囲の外光の変化することによって太陽電池の起電力が変化する。この太陽電池で発生した直流電圧もしくは、変動電圧は回転ヘッドに配置された電極から皮膚に伝えられる。
太陽電池は通常の板状のものでも良いが、美観や高い電圧を得るべく球状のものを用い、回転ヘッドの表層近くに固定され、複数個を連結して構成する。
本発明の健康医療用器具は、ローリングマッサージを行うことのできる回転ヘッドに設けた電極から、人間自らの動作もしくは自然エネルギーによって、複雑な電子回路を用いず、微弱な変動する電圧を発生させ、その電圧を肌に印加する様にしたものであり、顔や皮膚をローラによってマッサージすることに加えて、微弱な直流や変動電流を体内に導入させることで、リンパ液の循環を促進し、肌に潤いを与え、且つ細胞レベルでの損傷や老化をも改善することができる。
本発明では特に、変動する電圧を回転ローラの回転による電磁起電力もしくは太陽電池による光起電力によって得ており、エネルギーを外部から身体に導入する治癒効果の高いアクティブな方法であるにも関わらず、別途、電気エネルギー源を必要としないシンプルな構造を実現している。
そのため、従来の様に電池や蓄電装置もしくはAC電源を必要とせず、器具が単純な分だけ、寿命が長く、故障が少なく、且つ製造コストも安くでき、健康医療、美容に顕著な効果を発揮する健康医療用器具を実現することができるのである。
本発明は、回転ヘッドに設けた電極から、複雑な構造や電子回路を用いず、自ら発電した微弱な電圧を変動させて肌に伝えることができる構成を有し、顔や身体をローリングマッサージすることに加えて、微弱な直流や変動電流を体内に導入させるようにしたものであり、リンパ液の循環を促進し、肌に潤いを与え、且つ細胞レベルでの損傷や老化をも改善することができるものである。以下に具体的な構成を上げて、実施例にて発明を開示する。
図1は、本発明の健康医療用器具の第1番目の実施例であり、(a)は外観側面図、(b)は(a)のAA断面図である。図1において、回転ローラ101は基体が透明な樹脂によって形成されており、メタルブッシュ105、上リング電極102,中リング電極103、下リング電極104は基体の樹脂と一体化形成されている。回転ローラ101に固定されたメタルブッシュ105内には、柄109と一体化された軸106が挿入されており、回転ローラ101に回転力を与えると、軸106を中心に容易に回転ローラ101が回転する。
この回転ローラ101の上リング電極102、中リング電極103,下リング電極104は、殺菌性と通電性を目的として、銀材料を用いて樹脂に固定されており、上リング電極102と中リング電極103の間および、中リング電極103と下リング電極104の間には外径が1mm程度の球状の太陽電池107がそれぞれリード線108によって5個直列に接続されて、上下3列づつ計6列配置されている。
この直列に5個接続された太陽電池107は光が照射されることによって約2.5Vの電圧を出力する。このため、上リング電極102と中リング電極103間に2.5V、中リング電極103と下リング電極104の間には約2.5Vがそれぞれ発生し、上リング電極102と下リング電極104間では合計5V程度の電圧が発生する。但し、本実施例では太陽電池107を各リング電極間で直線上に5個配置したが、より電圧を高くしたい場合は、個数を増やせば良いし、逆に低くしたい場合は、個数を減らせば良い。また、電流量を変えるには、列数を増減させれば良いことは言うまでもない。
この直線上に配置した太陽電池107は、図1の(b)のAA断面図に示したように、円周上の偏った位置に配置されている。それ故、この回転ローラ101を皮膚上で前後に転動させた場合、それぞれのリング電極102,103,104に印加される電圧は回転ローラ101の回転位置によって変動することになる。つまり、太陽電池107が皮膚に接して光があたりにくくなると、太陽電池107のキャリアが減少するため内部抵抗が急激に増加し、皮膚に電流が流れなくなる。また逆に、回転ローラ101の回転によって、太陽電池107が照明光に対向する様になれば、太陽電池107が光を十分に吸収するようになり、太陽電池107の内部でキャリアが増加するので内部抵抗が減少し、より多くの電流を皮膚に流すことができる様になる。
つまり、回転ローラ101を皮膚上で転動させると、その転動状態に応じて、電流が変動しつつ身体に流れるのである。回転ローラ101の転動は柄109を保持する手の動作によって行われるが、手の動作はそれ程早くない為、電圧の変動速度は0.5Hzから幾ら早く回転させても100Hz以下になると思われる。
また、リング電極間で流れる電流に関しては、人体の抵抗と電圧、太陽電池のキャリア密度、言い換えれば内部抵抗を考慮する必要があるが、人体は0.9%の食塩水と同等の電解質であり、細胞内外で抵抗値は約1Ωm程度であるが、皮膚や脂肪は数10Ωmから数100Ωmの抵抗を持っていると言われている。そのため通常テスターなどで人体抵抗(皮膚抵抗)を測ると、皮膚の多発汗時と乾燥状態で数10kΩから数MΩに変化する。
それ故、5Vの電圧を皮膚に与えた場合、流れる電流は数μAから数100μAが流れることになる。本実施例で用いた太陽電池は、リング電極間で無負荷時に、蛍光灯下で300μA程度、太陽下ではその6倍程度の電流を流す能力を有するものであり、身体に流れる電流値は回転ローラ101の転動によって、数μAから数100μAの間になる。ただ、この電流値は5個直列に並んだ太陽電池107の列数をリング電極間で増減させることによって、自由に調整が可能である。
本発明による作用は、背景にて引用した非特許文献1にも詳しく解説されているが、数μAから数100μAの電流を0.5Hzから数10Hz程度のパルスで人体に与えることにより、痛みの緩和や損傷等の治癒に非常に有効な効果を発揮するという近年の多くの臨床例と実験による研究成果に基づいている。また、その他の文献によるとこの方法を用いることで、頭と首の癌患者の耐え難い痛みを癒すことが可能になったという報告もされている。
この基本的な原理は微弱電流によるATPつまりアデノシン三リン酸の増加にある。1982年にN.Chengらはヌードマウスの肌を利用し、μAオーダの微弱電流を流すことによって、ATPが増加し、プロテインが作り出されることを実験的に確かめた。このATPは生体のエネルギー通貨とも呼ばれ、肉体における全ての生体活動に関わるエネルギーの源である。即ち、身体の損傷を癒し、修復のためのエネルギーと材料をまかなうのがこのATPであるといえる。そして、そのATPの製造を促進するのがマイクロアンペア域の微弱電流である。
このマイクロアンペア域の微弱電流を、人間の皮膚、特に外部に露出した顔や手に対して処方すると、紫外線に晒され、損傷を受けた肌を細胞レベルで修復できる。つまり、長い年月にわたって紫外線に晒され続けた肌は、ATPの供給と需要のバランスが崩れ、ATP消費過多になり修復が追いつかず、結果的にたるみや、しみ、肌荒れ、しわ等多くの問題を引き起こしている。しかし、マイクロアンペア域の微弱電流を適度な周波数で通電し、ATPが十分に供給され、皮膚細胞の修復が十分に行われると、肌は、若々しくみずみずしく蘇生するのである。
本発明は、この様なATPの供給を簡単に行うことができる美容、美顔を含む医療健康用器具であり、従来の様に、外部電源や電子回路を必要とせず、自己内部で発電を行い、所定の電流と電流変動が得られるため、本発明を用いれば、非常に長い寿命をもつ安価で簡単な器具により、容易に肌が若返って、みずみずしくなり、しわ、肌荒れも改善するという効果がある。
また損傷部位の治癒という観点から、本発明の回転ヘッド101を怪我等による損傷部位近傍もしくはその上部で、回転ローラ101を転がすことによって、非常に早く治癒させることができるという効果もある。特に本実施例では、各リング電極102,103,104に銀電極を用いているため、電流と共に銀イオンが傷に浸透し、殺菌や除菌を行うという効果を生む。また文献によると、この微弱電流は、軟骨を作り出す効果もあり、骨粗鬆症で苦しむ患者の患部近傍の皮膚表面を回転ローラ101を転がすことによって、軟骨を再生し、苦痛を和らげるという効果も期待できるのではないかと考えられる。
本実施例では、数μAから数100μAの電流と0.5Hzから数10Hzの電流変動を生み出す為に、球状の太陽電池107を偏って配置しているところに特徴がある。回転ローラ101を転動させることによって、太陽電池107が皮膚側に来ると、太陽電池107に光が当たりにくくなるため、太陽電池107内部のキャリア発生が少なくなり、内部抵抗が大きくなるため、電流はあまり流れなくなる。一方、太陽電池107が太陽光や照明光の方に向くと、太陽電池107の内部にキャリアが発生し、内部抵抗が低下するため電流がリング電極102,103,104を通って人体を流れる。
本実施例では球状の太陽電池107は樹脂に埋め込まれて一体成形されているが、もし各々の太陽電池107が十分強度をもって連結されているなら、回転ローラ101をガラス管と銀リングで一体化して構成し、ガラス管内に太陽電池107を配置しても良い。また、太陽電池107を斜めに並べて配置することも可能である。この様に配置すれば、リング電極102,103,104から発生する電圧をより高く設定することが可能になる。
また、本実施例では、球状の太陽電池を連結することによって起電力を得ており、非常に美観的に優れていると共に、それぞれの球状太陽電池が小さいことから、連結個数を増加させることが容易であり、身体に電流を導入する際の印加電圧を高くすることが可能である。また、回転ローラ内で連結された太陽電池の配列を工夫することによって、回転ローラ101を回転させた際の、電圧変動の周波数を必要に応じて変化させることができ、治癒すべき場所、処方内容によって、効果の最も高い状態に配置を工夫することも容易である。
以上のように、本実施例を利用することによって、外部の電源や電子回路を必要とせず、マイクロアンペアオーダの電流を変動させて身体に導入できるので、医療用として、不調もしくは損傷部位の苦痛や痛みを緩和し、治癒速度を非常に速めることができる。また、美容や美顔に適用するとマッサージ効果だけでなく、皮膚の荒れやたるみ、しみ等の改善が可能になり、健康、医療、美容を問わず非常に幅広くその効果を期待できる。
図2は、本発明の健康医療用器具の第2番目の実施例であり、(a)は外観側面図、(b)は(a)のBB断面図である。図2において、回転ローラ201は白金製のヘッダー電極204と上リング電極202、下リング電極203が樹脂製の六角棒208の表面に固定されている。六角棒208は金属を用いても良いが、その場合はそれぞれの電極は絶縁して固定する必要がある。六角棒208の表面には直列に接続した1cm×0.5cm角の直列配列した太陽電池207が六角棒208の6面中3面に接着されている。太陽電池はその表面を透明な材料209で保護されている。本実施例では透明保護材料209はシリコン系樹脂を用いている。太陽電池207は陰極と陽極がそれぞれ上リング電極202と下リング電極203に電気的に接続されており、上リング電極とヘッダー電極204は同電位になるように配線されている。
柄は金属柄部205と樹脂柄部206からできており、金属柄部205は下リング電極203と導通するように構成されており、上リング電極202もしくはヘッダー電極204とは絶縁されている。金属柄部205と下リング電極203との導通は、金属柄部205に固定された回転軸210と下リング電極203と導通しているステンレス製の金属ブッシュ211との接触によっているが、より導通を確実に取るためにはDCモータで使われる様なスリップリングを用いる方法がある。
金属柄部205もしくは樹脂柄部206を手で持って、回転ローラ201を皮膚表面上に接触させて転がすと、太陽電池の光に対する入射角が変わるため、太陽電池出力が変化し、各電極から皮膚への流れる電流値が変化する。
その電流の流れは、樹脂柄部206を手に持って回転ローラ201を皮膚に接触させる場合には、上リング電極202もしくはヘッダー電極204と下リング電極203の間で生じる。また一方、手を金属柄部205に触れ、下リング203を皮膚から浮かせてヘッダー電極204もしくは上リング電極202のみを皮膚に接触させると、太陽電池207にて発生した電流はヘッダー電極204もしくは上リング電極202に触れている皮膚を介して身体に流れ込み、柄205を持つ手から太陽電池に戻る。
本実施例では、上リング電極202もしくはヘッダー電極204を太陽電池207のプラス側電位となるように構成している。これは、細胞が損傷を受けた場合には、細胞膜外の電位がマイナスになることが分かっており、回復させる為には細胞膜外電位をプラスにしてやる必要があるからである。ヘッダー電極204もしくは上リング電極202をプラスにして損傷した細胞に近づけると、損傷した細胞周囲のマイナスイオンは中和され、より正常に近づいて行く。しかし残念ながら、まだこの極性の問題に関しては全ての症例について十分な検証がなされていないため、症状によって、ヘッダー電極204もしくは上リング電極202をマイナス側に変更する必要が生じる。しかし、その場合には、太陽電池の配列方向を変えればよいだけであり、この変更は容易である。
本実施例に於いても、その効果はほぼ実施例1と同じであり、皮膚上をローリングマッサージを行うことによって、外部電源や電子回路なしで、電極を皮膚に接触させるだけで微弱電流が身体に導入され、身体の損傷部位を癒すことができる。また、美容に利用すれば肌が若返り、みずみずしくなり、しわ、肌荒れも改善するという効果がある。しかも、本実施例に於いては、電流導入の極性を金属柄部205に手を接触させるかどうかで、変化させることができるという機能が加えられている。つまり、下リング電極203と金属柄部205を導通状態にしたので、金属柄部205に手を触れることによって、上リング電極202もしくはヘッダー電極204から皮膚に一定の極性を持つ電流を流せる様になる。また金属柄部205に手を触れることことなく、樹脂柄部206のみをもって、回転ローラ201を皮膚上で転動させた場合には、上リング電極202またはヘッダー電極204と下リング電極203の間で微弱電流が流れる様にすることができる。そのため、より多様性のある様々な治療に本実施例を用いることができる。
また、実施例1もしくは実施例2においては、太陽電池を回転ローラの偏った位置に設ける例を示したが、場合によって、六角棒208の全面に太陽電池を配置したり、フレキシブルなアモルファスシリコン太陽電池を回転ローラの全周囲に設けてもよい。この様な方法を用いれば、ローリングによる電流の変動はなくなるが、周囲環境の変化による電流変動を生じさせることができる。例えば、屋外で本発明を利用する場合などでは、雲による太陽光の変化や、利用者の移動による照度の変化等によって、太陽電池から出力される電流量が変化するので、適度で緩やかな電流変動により、自然と調和した治癒効果も期待できるのである。
図3は、本発明の健康医療用器具の第3番目の実施例であり、(a)は外観側面図、(b)は(a)のCC断面図、(c)は(a)のDD断面図である。図3において、回転ローラ301は、外観的には絶縁物基体302と複数の金製のリング電極303及びヘッダー電極304によって構成されている。このリング電極303は図3(b)に示した様に、リード線310によって発電機のそれぞれ出力端子と接合される。発電機は、発電機筐体311、永久磁石305、コイル308を巻いたロータ307から構成されており、ロータ軸306を中心に回転する。ロータ軸306は図3(c)に示した様に、柄309に固定されており、回転ローラ301を皮膚上で転動させると、コイル308を巻いたロータ307は静止したままで、永久磁石305及びそれを固定した発電機筐体311が回転ローラ301と共にロータ307の回りを回転し、コイル308に起電力が発生する。
この起電力は内部に接地されたスリップリング(図示せず)に伝えられ、コイル308から各リード線310を伝わって、各リング電極303および、ヘッダー電極304から、各電極に接する皮膚に電流が流れる。 リング電極303及びヘッダー電極304への電圧の向きは任意であるが、本実施例では、ヘッダー電極304から各リング電極303へ順を追って、プラスマイナスが交互になる様にしている。
また、本実施例での発電機は、永久磁石305が発電機筐体311に固定されたものを示したが、発電機筐体にコイルが固定され、内部を永久磁石が回転するものを用いてもよく、この場合はスリップリングが必要がないため、より装置が簡単になる。
本実施例では、回転ローラ301の回転方向によって、電圧が正負逆転する。それ故、皮膚上で前後に回転ローラ301を転動させると、各リング電極間で電流の向きが逆転する。また一方、回転ローラ301を同じ場所で繰り返して一方向にのみ回転させると、極性の向きが同じ電流が間欠的に皮膚を流れることになる。
本実施例に於いても、基本的にはその効果は実施例1、実施例2と同じであり、皮膚上をローリングマッサージを行うことによって、外部電源や電子回路なしで、自己発電した微弱電流が身体に導入され、医療面では身体の損傷部位を癒すことができる。また美容面では、肌が若返り、みずみずしくなり、しわ、肌荒れも改善するという効果がある。
ただ、本実施例に於いては、実施例1及び実施例2が太陽電池を用いていたのに対し、内部の発電機によって、微弱電流の皮膚への導入を行っている点が異なっている。本実施例を用いれば、太陽電池を用いた実施例1及び実施例2と異なり、暗闇でも利用が可能である。例えば寝ながら布団の中でも利用が可能であるという特徴がある。
また、本実施例では、回転ローラ301の回転方向によって、出力が逆転するという特徴があり、同じ向きの電流もしくは電圧を皮膚に印加したい場合は、一方向に間欠的に繰り返して回転ローラ301を回転させ、電流もしくは電圧を逆転させて用いたい場合は、回転ローラ301を前後に転動させることによって実現できる。
この様に、本実施例は実施例1及び実施例2にない特徴を持っており、その効果は著しいと考えられる。
以上のように、本発明を実施することによって、非常に簡単な構造で、身体の損傷部位を癒し、美容にも効果がある健康医療用器具を実現できる。しかも本発明は自己発電によって電力を供給し、しかも複雑な電子回路を必要としないため、非常に長寿命であり、長期間に渡って、人を癒す器具となりうるのである。
本発明の健康医療用器具は、美顔や美容に用いることができるだけでなく、骨折や裂傷等の身体の損傷部位を速やかに治療する治療具として利用できる。
本発明の健康医療用器具の第1番目の実施例であり、(a)は外観側面図、(b)は(a)のAA断面図である 本発明の健康医療用器具の第2番目の実施例であり、(a)は外観側面図、(b)は(a)のBB断面図である。 本発明の健康医療用器具の第3番目の実施例であり、(a)は外観側面図、(b)は(a)のCC断面図、(c)は(a)のDD断面図である。
符号の説明
101 回転ローラ
102 上リング電極
103 中リング電極
104 下リング電極
105 メタルブッシュ
106 軸
107 太陽電池
108 リード線
109 柄

Claims (2)

  1. 回転ヘッドを転動させてローリングマッサージを行うことができる健康医療用器具であって、前記回転ヘッドに電極が形成されており、前記回転ヘッドが皮膚に接触する際に電圧を前記電極から前記皮膚に印加することができる様に構成され、前記電圧が、前記回転ヘッドに固定された太陽電池によって生じ、前記回転ヘッドの転動時に前記太陽電池の出力が変動すべく構成されていることを特徴とする健康医療用器具
  2. 前記太陽電池が、球状であり、前記回転ヘッドの表層近くに固定され、複数個が連結されていることを特徴とする請求項1に記載の健康医療用器具
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