JP5295948B2 - 液晶材料として使用するためのキラル硫酸ビナフチル類 - Google Patents

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Description

本発明は、キラル化合物類、それらの調製方法、および光学的、電気光学的、電子、半導体または発光素子または装置、および装飾、セキュリティー、化粧または診断用途におけるそれらの使用に関する。
キラルな液晶(LC)材料は多くの用途にとって有益であり、例えば、捩れた構造を備えるLCディスプレイ(LCD)または高分子フィルムである。通常、それらは、所望の螺旋的な捩れを誘発する1種類以上のキラルドーパントを含むLCホスト材料よりなる。液晶ホスト材料中に螺旋的に捩れた分子構造を誘発するキラル化合物の能力は、それのいわゆる螺旋捩れ力(HTP)により記述される。HTPは、殆どの実用的な用途には十分である一次近似において、式(1)によって与えられる:
Figure 0005295948
ただし、cはホスト材料中におけるキラル化合物の濃度、pは螺旋のピッチである。
式(1)より分かる通り、キラル化合物を多量に使用するか、HTPの絶対値が高いキラル化合物を使用することにより、短いピッチを達成できる。よって、HTPの低いキラル化合物を使用する場合、短いピッチを誘発するには多量に必要となる。このことは、キラルドーパントが、透明点、誘電異方性、粘度、駆動電圧またはスイッチ時間などのLCホスト混合物の特性に負に影響する場合、不都合となり得る。また、典型的にはキラルドーパントは純粋なエナンチオマーとして使用され、高価な場合があり合成が難しい場合もある。
安価で、安定で、キラルな重合性ドーパントは、ディスプレイ用途のために反応性メソゲンより作製されるコレステリックおよび他のキラルな光学的高分子フィルムの大量生産にとって不可欠な成分である。また、例えば、反応性メソゲンより作製されるセキュリティーフィルムの大量生産、および例えば、スイッチングの媒体として電気光学的ブルー相を利用するLCD、または表面安定化コレステリックテクスチャー(SSCT)ディスプレイなどのLCD用途においてもキラルドーパントが必要とされる。
しかしながら、先行技術に記載される多くのキラルドーパントは、出発物質のコストまたは最終化合物を製造するために必要な多数の工程のため高価である。加えて、先行技術に記載される多くのキラルドーパントは非常に高い捩れ力(即ち、HTPの高い絶対値)を有しているわけではなく、上で示される通り、適切な螺旋の程度および選択的なブラッグ反射を達成するためには多量のドーパントが必要となることを意味する。このため、LC材料が高価となる。
また、先行技術から既知のキラルドーパントはLCホスト材料中において低溶解性を示すことが多く、低温において望ましくない結晶化へと至る。この不都合を克服するために、典型的には、2種類以上の異なるキラルドーパントをホスト混合物に添加しなければならない。このことはより高いコストを意味し、また、それらの捩れの温度係数を互いに補償するように異なるドーパントを選択しなければならず、通常、材料の温度を補償する付加的な労力も必要とされる。
結果として、高い捩れ力を有し、容易に製造され、少量で使用でき、例えば一定の反射波長を使用するために捩れ力が低い温度依存性を示し、LCホスト材料中で良好な溶解性を示し、LCホストの特性に対して負の影響を与えないキラル化合物に対する多大な要求がある。
本発明は、これらの特性を有し、先行技術のキラル化合物の上記不都合を有していないキラル化合物を提供することを目的とする。本発明のもう1つ目的は、専門家が利用可能なキラル化合物の貯えを広げることである。他の目的は、専門家には、以下の記述より直ちに明白となる。
本発明の発明者らは、置換された1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイルの硫酸エステルより誘導される、本発明で請求される通りのキラル化合物類を提供することで、これらの目的を達成できることを見出した。
硫酸1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイルはC.Koyら、Sulfur Letters 1998年、21巻(2号)、75〜88頁中で開示されている。しかしながら、本発明中で請求されるような置換されたビナフチルの硫酸エステルは開示されていない。
本発明は、式Iの化合物類に関する。
Figure 0005295948
ただし、
1〜4は、それぞれ互いに独立に、H、F、Cl、Br、I、CN、NCS、SF、または直鎖状、分岐状または環状で1〜30個のC原子を有するアルキル、アリールまたはヘテロアリールを表し、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれの場合に互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、または、−(Z−A−RまたはP−Sp−を表し、
は、−(Z−A−Rとは異なるRの意味の1つを有し、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
は、複数存在する場合は互いに独立に、芳香族または脂環式基であり、N、OおよびSより選択されるヘテロ原子を1個以上含んでいてもよく、Rで一置換または多置換されていてもよく、
は、複数存在する場合は互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−S−CO−、−CO−S−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR00、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−(CH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合を表し、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表し、
mは、0、1、2、3または4であり、
ただし、該ビナフチル基は更なる位置が1個以上の同一または異なる基Rで置換されていてもよく、ただし、化合物は、Hと異なる置換基R1〜4を少なくとも1つ含む。
本発明は、更に、式Iの化合物を調製する方法およびそれで使用される新規な中間体に関する。
本発明は、更に、式Iの化合物を1種類以上含むLC材料に関する。
本発明は、更に、好ましくはその配向状態で薄膜の形式である、上および下で記載される通りの式Iの化合物またはLC材料を重合して得られるキラル異方性高分子に関する。
本発明は、更に、電気光学的ディスプレイ、LCD、光学的フィルム、偏光子、補償子、ビームスプリッター、反射フィルム、配向層、カラーフィルター、ホログラフィック素子、ホットスタンプ箔、有色画像、装飾またはセキュリティーマーク、LC顔料、接着剤、化粧品、診断剤、非線形光学、光学的情報記憶装置、電子装置、有機半導体、電界効果トランジスター(FET)、集積回路工学(IC)の部品、薄膜トランジスター(TFT)、無線高周波識別用(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、電子発光ディスプレイ、照明装置、光起電装置、センサー装置、電極材料、光伝導体、電子写真記録、レーザー材料または装置中におけるか、またはキラルドーパントとしての上および下で記載される通りの化合物類、材料類および高分子類の使用に関する。
<用語および定義>
用語「フィルム」は、硬式、軟式、自己支持性または独立して立つ機械的に安定なフィルムを含み、支持基体上または2つの基体間の被膜または層も含む。
用語「液晶またはメソゲン材料」または「液晶またはメソゲン化合物」は、1個以上の棒状、板形状(カラミティック)またはディスク形状(ディスコティック)のメソゲン基、即ち、液晶(LC)相挙動を誘発できる基を含む材料または化合物を意味する。メソゲン基を含む化合物または材料は、それ自身では必ずしもLC相を示す必要はない。他の化合物と混合することによってのみ、またはメソゲン化合物または材料、またはその混合物を重合した際にLC相挙動を示すことも可能である。
簡単のため、以降では、用語「液晶材料」をメソゲンおよびLC材料の両者で使用する。
また、1個の重合性基を有する重合性化合物を「一反応性」化合物、2個の重合性基を有する化合物を「二反応性」化合物、2個より多い重合性基を有する化合物を「多反応性」化合物と呼ぶ。また、重合性基を有さない化合物を「非反応性」化合物と呼ぶ。
用語「反応性メソゲン」(RM)は、重合性メソゲンまたは液晶化合物を意味する。
上および下で記載される通りの式Iの化合物はキラルで、純粋なS,S−およびR,R−アイソマーとして、またはそれらの混合物として、またはそれらのラセミ混合物(ラセミ体)として使用できる。エナンチオマー的に純粋な化合物、更にラセミ体が特に好ましい。他に明言しない限り、上および下の式Iのビナフチル類に関連する式、サブ式および他の開示は、S,S−およびR,R−アイソマーの両者およびそれらのラセミ混合物を含む。
<発明の詳細な記述>
式Iの化合物は光学的フィルムを作製するために使用でき、特には光学的位相差または補償フィルム、LCD用の配向層または偏光子であり、特にそれらが重合性基を有している場合である。また、それらは重合性基を必要としない用途においても有用な場合があり、例えば、SSCTまたは電気光学的ブルー相LCD中のドーパントとしてである。
式Iの化合物自身は、LC相を示す必要はない。しかしながら、それらは部分的に棒状構造から成っているので、それらが溶解されるLCホストの電気光学的特性を損なうことはなく、例えば、透明点が著しく低下することはない。
式Iの化合物は高い極性を有している。従って、それらは高い接着性の高分子フィルムを達成するために有用である。加えて、それらは、より極性の低いドーパントと比較して、極性LC混合物中で非常に良好な溶解性を有する。これに対し、これまでに先行技術で既知の殆ど全てのキラルドーパントは誘電的に中性である。
加えて、式Iの化合物は以下の利点を有する
・それらは安価で容易に入手可能な出発材料より少ない製造工程で良好な収率により、また、文献より既知の標準的な方法を使用して広範囲の誘導体を、数百グラムの大規模で調製が可能であり、
・出発材料は商業的に入手でき、
・それらは、異なる対称性(左手および右手)の化合物としてエナンチオマー的に純粋に調製でき、特にセキュリティーフィルム用途に有用なネマチックホスト中に左および右手の螺旋を形成することが可能となり、
・それらは高いHTPを示す。
特に好ましい式Iの化合物は:
−RおよびRは、同一の基である。
−RおよびRは、同一の基である。
−Rおよび/またはRは、Hと異なる。
−Rおよび/またはRは、Hと異なる。
−Rおよび/またはRは、P−Sp−である。
−Rおよび/またはRは、P−Sp−である。
−P−Sp−はP−(CH−(O)−であり、aは1〜12の整数で、好ましくは1〜6であり、bは0または1である。
−1個以上のR1〜4は、フッ素化されていてもよい1〜12個のC原子を有する同一または異なるアルキルまたはアルコキシより選択される。
−化合物類はP−Sp−である基R1〜4またはRを少なくとも1つ含んでいる。
−Rおよび/またはRは−(Z−A−Rを表し、R、Z、Aおよびmは上で定義される通りである。
−Rおよび/またはRは−(Z−A−Rを表し、R、Z、Aおよびmは上で定義される通りである。
−Rは、P−Sp−である。
−Rは、フッ素化されていてもよい1〜12個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシである。
−mは、1、2または3である。
−少なくとも1個の基Z、好ましくはビナフトール基に結合しているものは、−C≡C−である。
−少なくとも1個の基Z、好ましくはビナフトール基に結合しているものは、単結合である。
好ましいシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール基としては、限定することなく、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、フェニレン、シクロヘキシレン、ビシクロオクチレン、シクロヘキセニレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、アズレン、インダン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アントラセンおよびフェナントレンが挙げられ、全て1個以上の基Lで置換されていてもよく、Lは式Iで与えられるRの意味の1つを有する。
特に好ましいシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、ビシクロオクチレンまたは1,4−シクロヘキシレンから選択され、ただし、1個または2個の隣接していないCH基はOおよび/またはSで置き換えられていてもよく、ただし、これらの基は無置換であるか、上で定義される通りのLで一置換または多置換されている。
好ましくは、Lは、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)OR、−C(=O)R、−C(=O)X、−NR00、−OH、−SF、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有する置換されていてもよいシリル、アリール、および1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシから選択され、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、RおよびR00は上で定義される通りであり、Xはハロゲンである。
より好ましくは、Lは、F、Cl、CN、NOまたは1〜12個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシから選択され、ただし、アルキル基はペルフルオロ化されていてもよい。
最も好ましくは、Lは、F、Cl、CN、NO、CH、C、C(CH、CH(CH、CHCH(CH)C、OCH、OC、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、OCF、OCHFまたはOCから選択され、特に、F、Cl、CN、CH、C、C(CH、CH(CH、OCH、COCHまたはOCF、最も好ましくは、F、Cl、CH、C(CH、OCHまたはCOCHである。
幾つかの好ましい基−(Z−A−を下に列記する。簡単であるとの理由から、これらの基の中のPheは1,4−フェニレン、PheLは1〜4個の式Iで定義される通りの基Lで置換されている1,4−フェニレン、Cycは1,4−シクロヘキシレンであり、Zは式I中のZの意味の1つを有する。リストは以下のサブ式のみならずその鏡像も含む。
Figure 0005295948
Zは、好ましくは、−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−または単結合である。
非常に好ましくは、基−(Z−A−は、以下の式およびその鏡像から選ばれ、ただし、Zはビナフトール基へ繋がっていることを表す。
Figure 0005295948
Figure 0005295948
ただし、LおよびZは上で定義される通りで、Zは特に好ましくは−C≡C−または単結合であり、rは0、1、2、3または4、好ましくは、0、1または2である。
rが0とは異なる以下の基
Figure 0005295948
は、好ましくは、
Figure 0005295948
を表し、更に、
Figure 0005295948
を表し、Lはそれぞれ独立に上で与えられる意味の1つを有する。
式Iの非常に好ましい化合物は、rが1である以下の基を少なくとも2個
Figure 0005295948
または、rが2である以下の基を少なくとも1個含む。
Figure 0005295948
アルキルまたはアルコキシ基、即ち、末端CH基が−O−で置き換えられているものは、直鎖状または分岐状でよい。それは、好ましくは、直鎖状で、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有しており、従って、好ましくは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシで、更に、例えば、メチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノナオキシ、デカオキシ、ウンデカオキシ、ドデカオキシ、トリデカオキシまたはテトラデカオキシである。
オキサアルキル、即ち、1個のCH基が−O−で置き換えられているものは、好ましくは、例えば、直鎖状の2−オキサプロピル(即ち、メトキシメチル)、2−(即ち、エトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち、2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
1個以上のCH基が−CH=CH−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状または分岐状でよい。それは、好ましくは、直鎖状で、2〜10個のC原子を有しており、従って、好ましくは、ビニル、プロパ−1−、またはプロパ−2−エニル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニルである。
特に好ましいアルケニル基は、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニル、C−C−4−アルケニル、C−C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特に、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニルおよびC−C−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までのC原子を有する基が一般に好ましい。
1個のCH基が−O−によりおよび1個が−CO−により置き換えられているアルキル基において、これらの基は好ましくは隣り合っている。従って、これらの基は一緒となってカルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を形成する。好ましくは、この基は直鎖状で、2〜6個のC原子を有している。それは、従って、好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)−ブチルである。
2個以上のCH基が−O−および/または−COO−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状または分岐状でよい。それは、好ましくは、直鎖状で、3〜12個のC原子を有する。従って、それは、好ましくは、ビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
CNまたはCFで一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは、直鎖状である。CNまたはCFによる置換は、任意の所望の位置でよい。
ハロゲンによって少なくとも一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは、直鎖状である。ハロゲンは、好ましくは、FまたはClで、多置換の場合、好ましくは、Fである。得られる基は、ペルフルオロ化された基も含む。一置換の場合、FまたはCl置換は任意の所望の位置でよいが、好ましくはω位である。末端F置換を有する特に好ましい直鎖状の基の例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルである。しかしながら、Fの他の位置が除外されるものではない。
ハロゲンは、好ましくは、FまたはClである。
重合性基Pは、ラジカル性またはイオン性鎖重合、重付加または重縮合のような重合反応に関与できるか、または、例えば縮合または付加により、高分子類似反応において高分子主鎖上へグラフトできる基である。特に好ましくは、ラジカル性、カチオン性またはアニオン性重合のような鎖重合反応のための重合性基である。非常に好ましくは、C−C二重または三重結合を含む重合性基であり、オキセタン類またはエポキシド類のような開環反応により重合できる重合性基である。
非常に好ましくは、重合性基Pは、CH=CW−COO−、CH=CW−CO−、
Figure 0005295948
CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−、およびWSi−から選択され、WはH、F、Cl、CN、CF、フェニルまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、特に、H、ClまたはCHであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、特にH、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、Pheは、上で定義される1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンであり、kおよびkは、それぞれ互いに独立に、0または1である。
特に好ましい基Pは、CH=CH−COO−、CH=C(CH)−COO−、CH=CH−、CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、
Figure 0005295948
である。
特に好ましくは、Pgは、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、オキセタン基またはエポキシ基であり、特に好ましくは、アクリレートまたはメタクリレート基である。
非常に好ましくは、アクリレートおよびオキセタン基である。オキセタンは重合(架橋)時に収縮が少なく、結果としてフィルム中での応力の発生が少なく、配列が高度に保たれ欠陥が少なくなる。また、オキセタン架橋はカチオン性開始剤を必要とするため、フリーラジカル開始剤と異なり酸素に対して不活性である。
用語「スペーサー基」は先行技術で既知であり、適切なスペーサー基Spは通常の専門家に既知である(例えば、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)参照)。スペーサー基Spは、好ましくは、P−Sp−がP−Sp’−X’−であるような式Sp’−X’である。
ただし、Sp’は、1〜20個のC原子、好ましくは1〜12個のC原子のアルキレンで、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、ただし、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないような方法で、1個以上の隣接していないCH基が、それぞれの場合で互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、
およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNである。
X’は、好ましくは、−O−、−S−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−または単結合である。
典型的なスペーサー基Sp’は、例えば、−(CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−または−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00−O)−であり、pは2〜12の整数、qは1〜3の整数、およびRおよびR00は上で与えられる意味を有する。
好ましい基Sp’は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
更に好ましくは、Spが単結合である1個または2個の基P−Sp−を有する化合物である。2個の基P−Spを有する化合物の場合、2個の重合性基Pおよび2個のスペーサー基Spは、それぞれ同一または異なっていてよい。
式Iの特に好ましい化合物は、以下の式のものである。
Figure 0005295948
Figure 0005295948
Figure 0005295948
ただし、PおよびSpは上で定義される通りであり、Rは上で与えられるRの意味の1つを有し、Zは上で与えられるZの意味の1つを有する。
式Ia、Ib、Ic、IgおよびIhの化合物が特に好ましく、ただしRはアルキルまたはアルコキシで、非常に好ましくは直鎖状で1〜6個のC原子を有する。
式IfおよびImの化合物が更に好ましく、ただしZは−COO−または−OCO−である。
式Id、Ie、If、Ii、IkおよびImの化合物が更に好ましく、ただしP−SpはCH=CW−COO−(CH−(O)−で、ただしWはHまたはCHであり、aおよびbは上で定義される通りである。
式Iの化合物は、文献および例えば、Houben−Weyl著、Methoden der organischen Chemie、Thieme−Verlag社、Stuttgart市のような有機化学の標準的な書物に記載されている、それ自身既知の方法に従うか類似して合成できる。好ましくは、化合物は、以下の方法に従うか類似して合成される。
Figure 0005295948
ただし、Rは、アルキル、R−アリール、P−Sp−またはP−Sp−アリールである。
Figure 0005295948
Figure 0005295948
ただし、RはアルキルまたはPである。
工程1:グリニャール形成、ホウ酸トリイソプロピルと反応後、加水分解してボロン酸中間体を得る。
工程2:Hと反応させてフェノールを得る。
工程3:RCOCl、トリエチルアミンを用いてエステル化。
工程4:RBr、KCO、ブタノンを用いてエーテル化。
工程5:RBr、Pd(PPhで、鈴木反応の条件下によるパラジウムC−Cクロスカップリング
工程6:RB(OH)、Pd(PPhで、鈴木反応の条件下によるパラジウムC−Cクロスカップリング
上および下で示される方法およびそこで使用される中間体は、本発明のもう1つの態様である。
以下の方法および中間体が特に好ましい(スキーム1および2参照):
a)ビナフトールを臭素と反応させ、
b)中間体である6,6’−ジブロモ−[1,1’]ビナフタレニル−2,2’−ジオールを塩化スルフリルまたは他の硫酸誘導体と反応させ、硫酸ジブロモビナフトール中間体を形成し、および
c1)該硫酸ジブロモビナフトール中間体を芳香族または脂環式アセチレン化合物と、塩基、および触媒量の銅塩およびパラジウム触媒の存在下で反応させ、所望の生成物を形成するか、または
c2)該硫酸ジブロモビナフトール中間体をホウ酸エステルとグリニャール反応後、加水分解してボロン酸中間体を得て、
d2)該ボロン酸中間体をHと反応させてフェノールを得て、
e2)該フェノールを、脂環式または芳香族カルボン酸誘導体で塩基存在下においてエステル化するか、または
c3)該硫酸ジブロモビナフトール中間体をホウ酸エステルとグリニャール反応後、加水分解してボロン酸中間体を得て、
d3)該ボロン酸中間体をHと反応させてフェノールを得て、
e3)該フェノールを、脂環式または芳香族ハロゲン化物により塩基存在下においてエーテル化するか、または
c4)該硫酸ジブロモビナフトール中間体をホウ酸エステルとグリニャール反応後、加水分解してボロン酸中間体を得て、
d4)脂環式または芳香族ハロゲン化物で鈴木反応の条件下により、該ボロン酸中間体のパラジウムC−Cクロスカップリングを行うか、または
c5)脂環式または芳香族ボロン酸で鈴木反応の条件下により、該硫酸ジブロモビナフトール中間体のパラジウムC−Cクロスカップリングを行う
ことによる式Iの化合物を調製する方法である。
上および下で示される方法およびそこで使用される中間体は、本発明のもう1つの態様である。
式Iの化合物は、例えばマルチプレックスまたはアクティブマトリックスアドレスの捩れまたは超捩れネマチック(TN、STN)ディスプレイのような捩れ構造を示すLCD用のLC混合物中において、または、ピッチを変えることができるLCD用に国際公開第92/19695号公報、国際公開第93/23496号公報、米国特許第5,453,863号公報または米国特許第5,493,430号公報中で記載されているような表面安定化または高分子安定化コレステリックテクスチャディスプレイ(SSCT、PSCT)のような、国際公開第98/57223号公報中で記載されているようなマルチ−ドメインLCDのようなコレステリックディスプレイ中において、米国特許第5,668,614号中で記載されているような多色性コレステリックディスプレイ、または国際公開第02/93244号公報中で記載されているような等方性またはブルー相中で動作するキラルLC媒体を備えるディスプレイで使用できる。また、それらは、例えば英国特許第2356629号中で記載されるようなフレキソ電気的ディスプレイ中でも使用できる。
また、式Iの本発明の化合物は、温度変化または光の照射によりそれぞれ色を変えるサーモクロミックまたはホトクロミックLC媒体中での使用にも適している。
よって、本発明のもう1つの態様は、式Iの少なくとも1種類のキラル化合物を含むLC混合物である。また、本発明のもう1つの態様は、式Iの少なくとも1種類のキラル化合物を含むコレステリックLC媒体を備えるコレステリックLCDである。
式Iの化合物はLCホスト混合物中で良好な溶解性を有しており、混合物の相挙動および電気光学的特性に著しく影響を与えることなく多量にLCホストに対してドーパントとして添加できる。よって、低温における望ましくない自発的な結晶化が低減され、混合物の動作温度範囲を広くできる。更に、混合物の特性に影響を与えることなく低い値のピッチ(即ち、大きい捩れ)を生じるためにドーパントの濃度を増加できるため、仮に低いHTPを有している場合でも、大きく捩れたLC媒体を調製するために、式Iの化合物を使用できる。よって、結晶化を避けるために頻繁に添加される第2のドーパントの使用を、避けることができる。式Iのキラル化合物は高い値のHTPを示すため、これらの化合物を非常に少量添加することで、大きな螺旋捩れ、即ち低いピッチのLC混合物を調製できる。
そのようなLC混合物は、好ましくは0.1〜30重量%、特には1〜25重量%、非常に特に好ましくは2〜15重量%の式Iのキラル化合物を含む。好ましくは、1〜3種類の式Iのキラル化合物を含む。
本発明の好ましい実施形態において、LC混合物は2〜25種類、好ましくは3〜15種類の化合物より成り、そのうちの少なくとも1つは式Iのキラル化合物である。他の化合物は、好ましくは、ネマチックまたはネマトゲニック物質より選択される低分子量LC化合物であり、例えば、アゾキシベンゼン類、ベンジリデン−アニリン類、ビフェニル類、ターフェニル類、フェニルまたはシクロヘキシル安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシル安息香酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸およびシクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のシクロヘキシルフェニルエステル類、フェニルシクロヘキサン類、シクロヘキシルビフェニル類、フェニルシクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキセン類、シクロヘキシルシクロヘキシルシクロヘキセン類、1,4−ビス−シクロヘキシルベンゼン類、4’,4’−ビス−シクロヘキシルビフェニル類、フェニル−またはシクロヘキシルピリミジン類、フェニル−またはシクロヘキシルピリジン類、フェニル−またはシクロヘキシルピリダジン類、フェニル−またはシクロヘキシルジオキサン類、フェニル−またはシクロヘキシル−1,3−ジチアン類、1,2−ジフェニルエタン類、1,2−ジシクロヘキシルエタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシルエタン類、1−シクロヘキシル−2−(4−フェニルシクロヘキシル)エタン類、1−シクロヘキシル−2−ビフェニルエタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシルフェニルエタン類、ハロゲン化されていてもよいスチルベン類、ベンジルフェニルエーテル、トラン類および置換桂皮酸類および更なる種類のネマチックまたはネマトゲニック物質の既知の種類より選ばれる。また、これらの合物中の1,4−フェニレン基は、横方向に一フッ素化または多フッ素化されていてもよい。LC混合物は、好ましくは、この型のアキラルな化合物に基づく。
LC混合物の成分として使用できる最も重要な化合物は、以下の式で特徴付けることができる。
R’−L’−G’−E−R”
式中、L’およびEは同一でも異なっていてもよく、それぞれの場合で互いに独立に、−Phe−、−Cyc−、−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−Pyr−、−Dio−、−B−Phe−および−B−Cyc−およびそれらの鏡像により形成される群より選ばれる2価の基であり、ただし、Pheは無置換またはフッ素置換された1,4−フェニレンであり、Cycはトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−シクロヘキセニレンであり、Pyrはピリミジン−2,5−ジイルまたはピリジン−2,5−ジイルであり、Dioは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、Bは2−(トランス−1,4−シクロヘキシル)エチル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである。
これらの化合物中のG’は、以下の2価の基、−CH=CH−、−N(O)N−、−CH=CY−、−CH=N(O)−、−C≡C−、−CH−CH−、−CO−O−、−CH−O−、−CO−S−、−CH−S−、−CH=N−、−COO−Phe−COO−または単結合より選択され、Yはハロゲン、好ましくは塩素または−CNである。
R’およびR”は、それぞれの場合で互いに独立に、1〜18個、好ましくは3〜12個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニルまたはアルコキシカルボニルオキシであるか、またはR’およびR”の1つは、F、CF、OCF、Cl、NCSまたはCNである。
これらの化合物の殆どにおいて、R’およびR”は、それぞれの場合で互いに独立に、異なる鎖長のアルキル、アルケニルまたはアルコキシで、ただし、ネマチック媒体中のC原子の総和は一般に2および9の間、好ましくは2および7の間である。
これらの化合物およびそれの混合物の多くは、商業的に入手できる。これらの化合物の全ては既知であるか、文献(例えば、Houben−Weyl著、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Thieme−Verlag社、Stuttgart市のような標準的な書物)に記載されているようにそれ自身既知の方法で調製でき、既知で前記反応に適する反応条件下で正確にできる。それ自身既知であるがここでは述べない変法を、ここで使用することもできる。
式Iの化合物の好ましい使用は、重合性LC混合物、異方性高分子ゲルおよび異方性高分子フィルム、特に、均一な平面配向で螺旋捩れ分子構造を示す、即ち、配向コレステリックフィルムのように螺旋軸がフィルム面に対して垂直に配向している高分子フィルムの調製においてである。
それらを含む異方性高分子ゲルおよびディスプレイは、例えば、独国特許第19504224号および英国特許第2279659号に開示されている。
配向コレステリック高分子フィルムは、例えば、ブロードバンド反射偏光子、カラーフィルター、セキュリティーマークとして、またはLC顔料の調製のために使用できる。
よって、本発明のもう1つの態様は、式Iの1種類以上の化合物と、それも重合できるおよび/またはLC化合物である更なる1種類以上の化合物とを含む重合性LC材料である。
重合性LC材料は、好ましくは、2種類以上の化合物の混合物で、それらの少なくとも1つは重合性または架橋性化合物である。1個の重合性基を有する重合性化合物を、以降、「一反応性」とも呼ぶ。架橋性化合物、即ち、2個以上の重合性基を有するものを、以降、「二反応性または多反応性」とも呼ぶ。
重合性のメソゲン性またはLC化合物は、好ましくは単量体で、非常に好ましくはカラミティック単量体である。これらの材料は、典型的には、色度が低減されているなどの良好な光学特性を有しており、所望の方向へ簡単および迅速に配向させることができ、それは大規模な高分子フィルムの工業的生産にとって特に重要である。また、重合性材料は、1種類以上のディスコティック単量体を含むことも可能である。
上および下で記載されるように、重合性材料は本発明のもう1つの態様である。
本発明に適する重合性でメソゲン性の一反応性、二反応性および多反応性化合物は、例えば、Houben−Weyl著、Methoden der organischen Chemie、Thieme−Verlag社、Stuttgart市のような有機化学の標準的な書物に記載されている、それ自身既知の方法で調製できる。
重合性LC混合物中の単量体または共単量体としての使用に適する重合性のメソゲン性またはLC化合物は、例えば、国際公開第93/22397号公報、欧州特許第0261712号、独国特許第19504224号、国際公開第95/22586号公報、国際公開第97/00600号公報、米国特許第5,518,652号、米国特許第5,750,051号、米国特許第5,770,107号および米国特許第6,514,578号に開示されている。
適切で好ましい重合性のメソゲン性またはLC化合物(反応性メソゲン)の例を、以下のリストに示す。
Figure 0005295948
Figure 0005295948

Figure 0005295948

Figure 0005295948
ただし、
は、複数出現する場合、互いに独立に重合性基であり、好ましくは、アクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
rは、0、1、2、3または4であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に0または同一または異なって1〜12の整数であり、
zは0または1であり、隣接するxまたはyが0の場合zは0であり、
は、複数出現する場合、互いに独立に、1、2、3または4個の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレン、またはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
uおよびvは、それぞれ互いに独立に、0または1であり、
は、複数出現する場合、互いに独立に、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
は、1個以上、好ましくは1〜15個のC原子を有し、フッ素化されていてもよいアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、または、YまたはP−(CH−(O)−であり、
は、F、Cl、CN、NO、OCH、OCN、SCN、SF、1〜4個のC原子を有し、フッ素化されていてもよいアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、または、1〜4個のC原子を有し、一フッ素化、オリゴフッ素化またはポリフッ素化されたアルキルまたはアルコキシであり、
01、02は、それぞれ互いに独立に、H、RまたはYであり、
は、2−メチルブチル、2−メチルオクチル、2−メチルブトキシまたは2−メチルオクトキシなどの、4個以上、好ましくは4〜12個のC原子を有するキラルなアルキルまたはアルコキシ基であり、
Chは、メンチルまたはシトロネリルなどの、コレステリル、エストラジオール、またはテルペノイド基より選択されるキラル基であり、
Lは、複数出現する場合、互いに独立に、H、F、Cl、CNまたは1〜5個のC原子を有し、ハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
ただし、ベンゼン環は、1個以上の同一または異なる基Lで付加的に置換されていてもよい。
式Iの化合物に加え、重合性材料は1種類以上の重合性または非重合性キラル化合物を更に含んでもよい。
適切な非重合性キラル化合物は、例えば、R−またはS−811、R−またはS−1011、R−またはS−2011、R−またはS−3011、R−またはS−4011、R−またはS−5011、またはCB15(全て、メルク社、Darmstadt市、ドイツ国より入手可)などの標準的なキラルドーパント、国際公開第98/00428号公報に記載されるようなソルビトール類、英国特許第2,328,207号に記載されるようなヒドロベンゾイン類、国際公開第02/94805号公報に記載されるようなキラルなビナフトール類、国際公開第02/34739号公報に記載されるようなキラルなビナフトールアセタール類、国際公開第02/06265号公報に記載されるようなキラルなTADDOL類、または国際公開第02/06196号公報または国際公開第02/06195号公報に記載されるようなフッ素化された架橋基を有するキラル化合物である。適切な重合性キラル化合物は、例えば、上にリストされるもの、または重合性キラル材料Paliocolor(登録商標)LC756(BASF社、Ludwigshafen市、ドイツ国製)である。
本発明による高分子LCフィルムの一般的な調製は通常の専門家に既知であり、文献に記載されている。典型的には、重合性LC材料を基体上に塗工またはそうでなければ塗布し、そこで均一な方向に配向させ、例えば、熱または化学線照射に曝露して、好ましくは光重合により、非常に好ましくはUV−光重合により、選択された温度においてLC相中でその場で重合し、LC分子の配向を固定する。必要に応じて、LC材料をせん断またはアニールする、基体の表面処理、またはLC材料に界面活性剤を添加するなどの付加的な方法により均一な配向を促進できる。
基体として、例えば、ガラスまたは石英シートまたはプラスチックフィルムを使用できる。重合前および/または重合中および/または重合後において、被覆された材料の最表面上に第2の基体を配置することも可能である。重合後、基体を取り除いても取り除かなくても構わない。2つの基体を使用して化学線照射により硬化する場合、少なくとも一方の基体は、重合のために使用される化学線照射に対して透過性を有していなければならない。等方性または複屈折性の基体を使用できる。重合後に重合されたフィルムから基体を取り除かない場合、好ましくは等方性基体を使用する。
適切で好ましいプラスチック基体は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)またはトリアセチルセルロース(TAC)、非常に好ましくはPETまたはTACフィルムである。複屈折性基体としては、例えば、一軸延伸プラスチックフィルムを使用できる。PETフィルムは、例えば、帝人デュポンフィルム株式会社より商標名Melinex(登録商標)で商業的に入手可能である。
重合性材料は、スピンコートまたはブレードコートなどの従来の塗工技術により、基体上に塗布できる。また、従来の印刷技術によっても基体上に塗布でき、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、オープンリール式印刷、レタープレス印刷、グラビア印刷、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷、インタリオ印刷、パッド印刷、熱シール印刷、インクジェット印刷またはスタンプまたは印刷板を利用する印刷など専門家に既知である。
重合性材料を適切な溶媒に溶解することも可能である。次いで、この溶液を、例えば、スピンコートまたはプリントまたは他の既知の技術により、基体上に塗工または印刷し、重合前に溶媒を蒸発し除去する。多くの場合、溶媒の蒸発を促進するために、混合物を加熱することが適切である。溶媒としては、例えば、標準的な有機溶媒を使用できる。溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンまたはシクロヘキサノンなどのケトン類;メチル、エチルまたはブチルアセテートまたはメチルアセトアセテートなどの酢酸エステル類;メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールなどのアルコール類;トルエンまたはキシレンなどの芳香族溶媒類;ジ−またはトリ−クロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類;PGMEA(プロピルグリコールモノメチルエーテルアセテート)などのグリコール類またはそれらのエステル類、γ-ブチロラクトンなどから選択できる。また、上の溶媒の2重または3重以上の混合物も使用できる。
重合性LC材料の初期配向(例えば、平面配向)は、例えば、基体をラビング処理する、塗工中または後に材料をせん断する、重合前に材料をアニールする、配向層を塗布する、塗工された材料に磁場または電場を印加する、または材料に表面活性化合物を添加することで達成できる。配向技術の総説が、例えば、I.Sage、「Thermotropic Liquid Crystals」中、G.W.Gray編、John Wiley & Sons社、1987年刊、75〜77頁;およびT.UchidaおよびH.Seki、「Liquid Crystals−Applications and Uses、第3巻」中、B.Bahadur編、World Scientific Publishing社、Singapore、1992年刊、1〜63頁に与えられている。配向材料および技術の総説が、J.Cognard著、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、78巻、補足1(1981年刊)、1〜77頁に与えられている。
特に好ましくは、LC分子の特定の表面配向を促進する1種類以上の界面活性剤を含む重合性材料である。適切な界面活性剤は、例えば、J.Cognard、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、78巻、補足1、1〜77頁(1981年刊)に記載されている。平面配向のための好ましい配向剤は、例えば、非イオン性界面活性剤、好ましくは、商業的に入手可能なFluorad FC−171(登録商標)(3M社製)またはZonyl FSN(登録商標)(デュポン社製)などのフッ化炭素界面活性剤、英国特許第2383040号に記載されるような多重ブロック界面活性剤または欧州特許第1256617号に記載されるような重合性界面活性剤である。
また、基体上に配向層を塗布し、この配向層上に重合性材料を提供することも可能である。適切な配向層は、例えば、米国特許第5,602,661号、米国特許第5,389,698号または米国特許第6,717,644号に記載されるようにラビングされたポリイミドまたは光配向で調製された配向層など技術的に既知である。
また、好ましくは重合前に重合温度に昇温して、重合性LC材料をアニールすることで配向を導入または改良することも可能である。
重合は、例えば、重合性材料を熱または化学線照射に曝露することで達成される。化学線照射とは、UV光、IR光または可視光などの光の照射、X線またはガンマー線の照射またはイオンまたは電子などの高エネルギー粒子の照射を意味する。好ましい重合は、UV照射により行われる。化学線照射の線源としては、例えば、単一のUVランプまたはUVランプの組み合わせを使用できる。高いランプパワーを使用すれば、硬化時間を短縮できる。化学線照射のもう1つの可能な線源は、例えばUV、IRまたは可視光レーザーなどのレーザーである。
重合は、好ましくは、化学線照射の波長で吸収のある開始剤の存在下で行われる。例えば、UV光を利用する重合の場合、UV照射下で分解し、重合反応を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する光開始剤を使用できる。アクリレートまたはメタクリレート基の重合には、好ましくは、ラジカル光開始剤が使用される。ビニル、エポキシドまたはオキセタン基の重合には、好ましくは、カチオン性の光開始剤が使用される。また、加熱されると分解して重合を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する熱重合開始剤を使用することも可能である。典型的なラジカル性光開始剤は、例えば、商業的に入手可能なIrgacure(登録商標)またはDarocure(登録商標)(Ciba Geigy社、Basel市、スイス国)である。典型的なカチオン性光開始剤は、例えば、UVI6974(Union Carbide社)である。
また、重合性材料は、望ましくない自発的な重合を予防するため、例えば、商業的に入手可能なIrganox(登録商標)(Ciba Geigy社、Basel市、スイス国)などの安定剤または阻害剤を1種類以上含んでよい。
硬化時間は、重合性材料の反応性、塗工層の厚み、重合開始剤の型およびUVランプの出力にとりわけ依存する。硬化時間は、好ましくは5分以下、非常に好ましくは3分以下、最も好ましくは1分以下である。大量生産には、30秒以下の硬化時間が好ましい。
好ましくは、重合は、窒素またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気内で行う。
また、重合性材料は、重合で使用される照射の波長で吸収が最大となるよう調整された染料、例えば、4,4”−アゾキシアニソールまたはTinuvin(登録商標)染料(Ciba Geigy社製、Basel市、スイス国)などの特にUV染料を1種類以上含んでもよい。
もう1つの好ましい実施形態において、重合性材料は1種類以上の一反応性の重合性の非メソゲン性化合物を含み、好ましくは0〜50%の量、非常に好ましくは0〜20%の量である。典型的な例は、アルキルアクリレート類またはアルキルメタクリレート類である。
もう1つの好ましい実施形態において、二反応性または多反応性の重合性のメソゲン性化合物に代えるか加えて、重合性材料は1種類以上の二反応性または多反応性の重合性の非メソゲン性化合物を含み、好ましくは0〜50%の量、非常に好ましくは0〜20%の量である。二反応性の非メソゲン性化合物の典型的な例は、1〜20個のC原子のアルキル基を有するアルキルジアクリレート類またはアルキルジメタクリレート類である。多反応性の非メソゲン性化合物の典型的な例は、トリメチルプロパントリメタクリレートまたはペンタエリトリトールテトラアクリレートである。
また、高分子フィルムの物理的特性を修正するために、1種類以上の連鎖移動剤を重合性材料に加えることも可能である。特に好ましくはチオール化合物類で、例えば、ドデカンチオールなどの一官能性チオール類またはトリメチルプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)などの多官能性チオール類である。非常に好ましくは、例えば、国際公開第96/12209号公報、国際公開第96/25470号公報または米国特許第6,420,001号中に記載されるようなメソゲン性またはLCチオール類である。連鎖移動剤を使用することで、高分子フィルム中の自由な高分子鎖の長さおよび/または2つの架橋間の高分子鎖の長さを制御できる。連鎖移動剤の量を増加する場合、高分子フィルム中の高分子鎖長は減少する。
また、重合性材料は、高分子バインダーまたは高分子バインダーを形成できる1種類以上の単量体および/または1種類以上の分散助剤を含むことができる。適切なバインダーおよび分散助剤は、例えば、国際公開第96/02597号公報に開示されている。好ましくは、しかしながら、重合性材料は、バインダーおよび分散助剤を含まない。
重合性材料は、例えば、触媒、増感剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、共反応性単量体、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、粘着性剤、流動性改良剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助、着色剤、染料、顔料またはナノ粒子などの1種類以上の付加的な成分を付加的に含んで構わない。
本発明による高分子フィルムの厚みは、好ましくは0.3〜5ミクロン、非常に好ましくは0.5〜3ミクロン、最も好ましくは0.7〜1.5ミクロンである。配向層としての使用には、0.05〜1、好ましくは0.1〜0.4ミクロンの厚みの薄膜が好ましい。
本発明の高分子フィルムは、例えばLCD中において大きい視野角におけるコントラストおよび輝度を改良し色度を低減するために、位相差または補償フィルムとして使用できる。それはLCDのスイッチ可能なLCセルの外側または基体間で使用でき、基体は普通ガラス基体でスイッチ可能なLCセルを形成し、スイッチ可能なLC媒体を備えている(セル内での用途)。
また、本発明の高分子フィルムは、LC材料用の配向層としても使用できる。例えば、スイッチ可能なLC媒体の配向を誘発または改良するため、またはその上に塗工された重合性LC材料の次の層を配向するために、LCD中で使用できる。この方法で、重合性LCフィルムの積層を調製できる。
特に、本発明によるキラルな化合物、混合物、高分子および高分子フィルムは、英国特許第2315072号または国際公開第97/35219号公報に開示されるような反射偏光子、国際公開第01/20394号公報または国際公開第2004/013666号公報に開示されるような負のC位相差板、国際公開第2003/054111号公報に開示されるような2軸性の負のC位相差板、欧州特許第1376163号に開示されるような配向層、英国特許第2315760号、国際公開第02/85642号公報、欧州特許第1295929号または欧州特許第1381022号に開示されるような装飾またはセキュリティー用の使用のための複屈折性マークまたは画像において使用できる。
本発明の高分子フィルムは従来のLCディスプレイ中で使用でき、例えば、DAP(deformation of aligned phases)、ECB(electrically controlled birefringence)、CSH(colour super homeotropic)、VA(vertically aligned)、VANまたはVAC(vertically aligned nematicまたはcholesteric)、MVA(multi−domain vertically aligned)またはPVA(patterned vertically aligned)モードなどの垂直配向のディスプレイ;OCB(optically compensated bend cellまたはoptically compensated birefringence)、R−OCB(reflective OCB)、HAN(hybrid aligned nematic)またはパイ−セル(π−cell)モードなどの曲げまたはハイブリッド配向のディスプレイ;TN(twisted nematic)、HTN(highly twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、AMD−TN(active matrix driven TN)モードなどの捩れ配向ディスプレイ;IPS(in plane switching)モードのディスプレイ、または、例えば、国際公開第02/93244号公報に記載されるような光学的等方相またはブルー相中でスイッチするディスプレイである。
特に好ましくは、TN、STN、VAおよびIPSディスプレイであり、特には、アクティブマトリックス型のものである。更に好ましくは、半透過型ディスプレイである。
他に明記しない限り、以上および以下において全ての温度は摂氏で与えられ、全てのパーセントは重量である。以下の略号を、LC相の挙動を説明するために使用する:C、Kは結晶;Nはネマチック;Sはスメクチック;N、Chはキラルネマチックまたはコレステリック;Iは等方相。これらの記号の間の数字は、相転移温度を摂氏で示す。更に、mpは融点であり、cpは透明点(℃)である。
他に明記しない限り、上および下で与えられるような重合性混合物の成分のパーセントは、混合重合性混合物中の固形分の総量によっており、即ち、溶媒を含まない。
LCホスト材料中のキラルドーパントのHTPはHTP=(p・c)−1(μm−1)の通り与えられ、ただし、pは分子螺旋のピッチ(μm)であり、cはホスト中のキラル化合物の濃度(重量%)である(例えば、1重量%の濃度は、c=0.01に対応する)。他に明記しない限り、上および下で与えられる特定のHTPの値は、20℃におけるLCホスト混合物MLC−6260(メルク社、Darmstadt市、ドイツ国)中の1%のドーパント濃度に関する。
以下の例は、制限することなく、本発明を説明するものである。例中で示される全てのビナフチル化合物の対応するS,S−またはR,R−アイソマーも、記載される方法に従うか類似して調製できる。
<例1>
反応スキーム1により、化合物(1)を調製する。
Figure 0005295948
<S−(−)−9,14−ビス−(4−ペンチル−フェニルエチニル)−3,5−ジオキサ−4−チア−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジナフタレン4,4−ジオキシド(1)の調製>
<工程1:6,6’−ジブロモ−[1,1’]ビナフタレニル−2,2’−ジオール>
Figure 0005295948
ジクロロメタン(100ml)中の臭素(15.0ml、30.0mmol)溶液を、ジクロロメタン(200ml)中のS−(−)−1,1’−ビナフトール(30.0g、10.5mmol)溶液に、−70℃で滴下により加える。反応物を放置して室温まで温め、一晩攪拌する。水性亜硫酸水素ナトリウムを添加して過剰の臭素を潰す。水層を除去する。ジクロロメタン層を塩化ナトリウム水溶液および水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶液を蒸発させて乾燥し、泡状の残渣をトルエンおよび石油エーテルより再結晶して、白色個体(41.4g、89%)を得る。モノ:ジ臭化ビナフトールの1:1混合物を単離する。両方の中間体に興味があるので、それぞれを単離する前に混合物で最終反応工程まで行う。H NMR、GCMSおよびHPLCは、期待されるシグナルを与えた。
<工程2:S−(−)−9,14−ジブロモ−3,5−ジオキサ−4−チア−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジナフタレン4,4−ジオキシド>
Figure 0005295948
塩化スルフリル(7.8ml、57.5mmol)を、ピリジン(100ml)中の6,6’−ジブロモ−[1,1’]ビナフタレニル−2,2’−ジオール(20.0g、45.0mmol)溶液に室温で加える。添加を完了後、溶液を90℃で30分攪拌する。混合物を50℃まで冷却し、水(50ml)を加える。混合物を、20%塩酸溶液(180ml)に滴下で加える。沈殿が生じ、濾過して別に置いておく。塩酸溶液(20ml、20%)を濾液に加え、濾液を温め、熱いままで濾過する。沈殿を合わせて、工業用変性アルコール中で加熱し、熱いままで濾過する。生じる濾液を蒸発させて乾燥すると、赤色固体が残る。粗生成物混合物を、溶離液としてジクロロメタンを使用しフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色味がかった油分を得る。H NMRは、モノおよびジ臭化生成物の1:1混合物(10g、53%)に期待されるシグナルを示した。これを、更に精製することなく工程3で使用する。
<工程3:S−(−)−9,14−ビス−(4−ペンチル−フェニルエチニル)−3,5−ジオキサ−4−チア−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジナフタレン4,4−ジオキシド>
Figure 0005295948
テトラヒドロフラン(20ml)中の1−エチニル−4−ペンチルベンゼン(3.4g、20.0mmol)を、テトラヒドロフラン(20ml)中の触媒量のPdCl(PPh(0.4g、0.56mmol)、触媒量のヨウ化銅(1)および9,14−ジブロモ−3,5−ジオキサ−4−チア−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジナフタレン4,4−ジオキシド(および工程2からのモノ臭化中間体)(5.0g、9.9mmol)に70℃で非常にゆっくりと加える。反応物を16時間攪拌し、室温まで冷却し、ジクロロメタンで希釈して、水で洗浄する。DCM層を取除き、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させて乾燥する。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、所望の生成物を白色結晶固体(2.1g、58%)として得る。H NMRは、期待されるシグナルを与えた。
次の相転移を光学顕微鏡により観測する:K 153.5 I。
外挿されたHTPは52である(メルク化学、英国より商業的に入手可能なネマチックLCホスト混合物であるBL087中の(1)の7.0重量%溶液より、くさび形セル法により決定)。
<例2>
以下の通り、化合物(2)を調製する。
Figure 0005295948
例1の工程3中の適切な画分をエバポレートして、化合物2、S−(−)−9−(4−ペンチル−フェニルエチニル)−3,5−ジオキサ−4−チア−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジナフタレン4,4−ジオキシドを白色粉体(0.9g)として得る。
次の相転移を光学顕微鏡により観測する:K 76 I。
外挿されたHTPは45である(メルク化学、英国より商業的に入手可能なネマチックLCホスト混合物であるBL087中の(2)の7.0重量%溶液より、くさび形セル法により決定)。
<例3>
反応スキーム6により、化合物(3)を調製する。
Figure 0005295948
<S−(−)−9,14−ビス−(4−ペンチル−フェニル)−3,5−ジオキサ−4−チア−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジナフタレン4,4−ジオキシドの調製>
S−(−)−9,14−ジブロモ−3,5−ジオキサ−4−チア−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジナフタレン4,4−ジオキシド(2.0g、3.95mmol)を、4−ペンチルフェニルボロン酸(1.5g、8.0mmol)、触媒量のテトラキス トリフェニルホスフィン パラジウム(0)、炭酸ナトリウム(0.8g、8.0mmol)と反応させ、テトラヒドロフラン(50ml)および水(10ml)の溶液中で80℃において一晩攪拌する。混合物を放置して冷却し、水およびジクロロメタンを加え、2層を震盪し、放置して分離させ、DCM層を除去し、水洗し、乾燥し、蒸発させて乾燥する。フラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、泡状の固体(0.8g)を得る。H NMRは、期待されるシグナルを与える。
次の相転移を光学顕微鏡により観測する:K 75 I。
外挿されたHTPは37である(メルク化学、英国より商業的に入手可能なネマチックLCホスト混合物であるBL087中の(2)の7.0重量%溶液より、くさび形セル法により決定)。

Claims (15)

  1. 式Iの化合物類。
    Figure 0005295948
    (ただし、
    1〜4は、それぞれ互いに独立に、H、F、Cl、Br、I、CN、NCS、SF、または直鎖状、分岐状または環状で1〜30個のC原子を有するアルキル、アリールまたはヘテロアリールを表し、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれの場合に互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、または、−(Z−A−RまたはP−Sp−を表し、
    は、−(Z−A−Rとは異なるRの意味の1つを有し、
    Pは、重合性基であり、
    Spは、スペーサー基または単結合であり、
    は、複数存在する場合は互いに独立に、芳香族または脂環式基であり、N、OおよびSより選択されるヘテロ原子を1個以上含んでいてもよく、Rで一置換または多置換されていてもよく、
    は、複数存在する場合は互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−S−CO−、−CO−S−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR00、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−(CH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH=CH−または単結合を表し、
    およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
    およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表し、
    mは、0、1、2、3または4であり、
    ただし、該ビナフチル基は更なる位置が1個以上の同一または異なる基Rで置換されていてもよく、ただし、化合物は、Hと異なる置換基R1〜4を少なくとも1つ含み、
    ただし、重合性基Pは、CH=CW−COO−、CH=CW−CO−、
    Figure 0005295948
    CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−、およびWSi−から選択され、WはH、F、Cl、CN、CF、フェニルまたは1〜5個のC原子のアルキルでありおよびWは、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、Pheは、置換されていてもよい1,4−フェニレンであり、kおよびkは、それぞれ互いに独立に、0または1であり、
    ただし、スペーサー基Spは、P−Sp−がP−Sp’−X’−であるような式Sp’−X’であり、
    ただし、Sp’は、1〜20個のC原子のアルキレンで、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、ただし、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないような方法で、1個以上の隣接していないCH基が、それぞれの場合で互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
    X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
    およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、
    およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNである。)
  2. 重合性基Pは、CH =CH−COO−、CH =C(CH )−COO−、CH =CH−、CH =CH−O−、(CH =CH) CH−OCO−、(CH =CH) CH−O−、
    Figure 0005295948
    から選択されることを特徴とする請求項1記載の化合物類。
  3. 重合性基Pは、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、オキセタン基またはエポキシ基であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物類。
  4. X’は、−O−、−S−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR −、−NR −CO−、−NR −CO−NR −または単結合であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物類。
  5. Sp’は、−(CH −、−(CH CH O) −CH CH −、−CH CH −S−CH CH −または−CH CH −NH−CH CH −または−(SiR 00 −O) −であり、pは2〜12の整数、qは1〜3の整数、およびR およびR 00 は請求項1で与えられる意味を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物類。
  6. P−Sp−であるR1〜4またはRを少なくとも1個含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物類。
  7. および/またはRまたはRおよび/またはRはP−Sp−を表すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物類。
  8. および/またはRまたはRおよび/またはRは−(Z−A−Rを表すことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物類。
  9. −(Z−A−は、以下の式およびそれらの鏡像体より選ばれることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物類。
    Figure 0005295948
    Figure 0005295948
    (ただし、Lは請求項1中のRの意味の1つを有し、Zは請求項1中のZの意味の1つを有し、rは0、1、2、3または4である。)
  10. 以下の式より選ばれることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物類。
    Figure 0005295948
    Figure 0005295948
    Figure 0005295948

    Figure 0005295948
    (ただし、Rは請求項1で与えられるRの意味の1つを有し、PおよびSpは請求項1で定義される通りであり、Zは請求項1で与えられるZの意味の1つを有する。)
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物を少なくとも1種類含むことを特徴とする液晶混合物。
  12. 液晶相および/または配向状態で、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物または混合物を重合して得られる高分子または異方性高分子フィルム。
  13. 電気光学的ディスプレイ、LCD、光学的フィルム、偏光子、補償子、ビームスプリッター、反射フィルム、配向層、カラーフィルター、ホログラフィック素子、ホットスタンプ箔、有色画像、装飾またはセキュリティーマーク、LC顔料、接着剤、化粧品、診断剤、非線形光学、光学的情報記憶装置、電子装置、有機半導体、電界効果トランジスター(FET)、集積回路工学(IC)の部品、薄膜トランジスター(TFT)、無線高周波識別用(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、電子発光ディスプレイ、照明装置、光起電装置、センサー装置、電極材料、光伝導体、電子写真記録、レーザー材料または装置中におけるか、またはキラルドーパントとしての請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物、混合物、高分子または高分子フィルムの使用。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物、混合物、高分子または高分子フィルムを備える液晶ディスプレイ、カラーフィルター、偏光子、位相差フィルム、配向層、認証、検証またはセキュリティーマーク、有色画像、有価物または証券。
  15. a)ビナフトールを臭素と反応させ、
    b)中間体である6,6’−ジブロモ−[1,1’]ビナフタレニル−2,2’−ジオールを塩化スルフリルまたは他の硫酸誘導体と反応させ、硫酸ジブロモビナフトール中間体を形成し、および
    c1)該硫酸ジブロモビナフトール中間体を芳香族または脂環式アセチレン化合物と、塩基、および触媒量の銅塩およびパラジウム触媒の存在下で反応させ、所望の生成物を形成するか、または
    c2)該硫酸ジブロモビナフトール中間体をホウ酸エステルとグリニャール反応後、加水分解してボロン酸中間体を得て、
    d2)該ボロン酸中間体をHと反応させてフェノールを得て、
    e2)該フェノールを、脂環式または芳香族カルボン酸誘導体で塩基存在下においてエステル化するか、または
    c3)該硫酸ジブロモビナフトール中間体をホウ酸エステルとグリニャール反応後、加水分解してボロン酸中間体を得て、
    d3)該ボロン酸中間体をHと反応させてフェノールを得て、
    e3)該フェノールを、脂環式または芳香族ハロゲン化物により塩基存在下においてエーテル化するか、または
    c4)該硫酸ジブロモビナフトール中間体をホウ酸エステルとグリニャール反応後、加水分解してボロン酸中間体を得て、
    d4)脂環式または芳香族ハロゲン化物で鈴木反応の条件下により、該ボロン酸中間体のパラジウムC−Cクロスカップリングを行うか、または
    c5)脂環式または芳香族ボロン酸で鈴木反応の条件下により、該硫酸ジブロモビナフトール中間体のパラジウムC−Cクロスカップリングを行う
    ことによる請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物を調製する方法。
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