以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1乃至図4は、本発明による実施例1の液晶表示装置の概略構成の一例を説明するための模式図である。
図1は、実施例1の液晶表示装置における液晶表示パネルの概略構成の一例を示す模式分解斜視図である。図2は、TFT基板における画素の回路構成の一例を示す模式回路図である。図3は、TFT基板の透過領域の一例を示す模式平面図である。図4は、図3のA−A’線における液晶表示パネルの断面構成の一例を示す模式断面図である。
実施例1の液晶表示装置は、たとえば、図1に示すように、液晶表示パネル1とバックライトユニット2とを有する。また、実施例1の液晶表示装置は、そのほかに、たとえば、液晶表示パネル1を駆動させる駆動回路や、バックライトユニットの明るさを制御する回路などを有する。
実施例1の液晶表示装置における液晶表示パネル1は、たとえば、TFT基板3、対向基板4、第1の偏光板5、第2の偏光板6、第1のレンチキュラレンズ7、および第2のレンチキュラレンズ8と、TFT基板3と対向基板4との間に封入された液晶層(図示しない)とを有し、第1の偏光板5、第2のレンチキュラレンズ8、第1のレンチキュラレンズ7、TFT基板3、液晶層、対向基板4、第2の偏光板6の順で積層されている。このとき、液晶表示パネル1は、第1の偏光板5がバックライトユニット2と対向するように配置する。
また、実施例1の液晶表示パネル1は、アクティブマトリクス方式であり、かつ、RGB方式のカラー表示に対応している透過型TFT液晶表示パネルとする。また、実施例1の液晶表示パネル1は、第1の偏光板5、TFT基板3、対向基板4、および第2の偏光板6の積層方向(図1に示したz軸方向)から見たときの平面形状が概略長方形であるとする。また、実施例1では、図1に示すように、当該液晶表示パネル1をz軸方向から見たときの短手方向をx軸方向とし、長手方向をy軸方向とする。したがって、以下の説明では、液晶表示パネル1の短手方向のことをx軸方向と呼び、長手方向のことをy軸方向と呼ぶ。
また、実施例1の液晶表示パネル1は、第1のレンチキュラレンズ7および第2のレンチキュラレンズ8を除いた他の部分の構成、すなわちTFT基板3、対向基板4、第1の偏光板5、第2の偏光板6、および液晶層の構成は、従来の透過型TFT液晶表示パネルで適用されている構成のいずれかであればよい。そのため、実施例1では、これらの構成(TFT基板3、対向基板4、第1の偏光板5、第2の偏光板6、および液晶層)に関する詳細な説明を省略し、本発明を説明する上で欠くことができない点を中心に、液晶表示パネル1の構成を説明する。
液晶表示パネル1の表示領域AR1は、x軸方向およびy軸方向にマトリクス状に配置された多数の画素からなる。また、RGB方式のカラー表示に対応している場合、1つの画素は、たとえば、赤色系の光の輝度(階調)を制御する第1のサブ画素、緑色系の光の輝度を制御する第2のサブ画素、および青色系の光の輝度を制御する第3のサブ画素の3つのサブ画素で構成される。このとき、それぞれのサブ画素は、TFT素子、画素電極、共通電極、および液晶層を有する。また、第1のサブ画素は、TFT素子などの他に、赤色系の光のみが透過するカラーフィルタ(赤色フィルタ)を有する。また、第2のサブ画素は、TFT素子などの他に、緑色系の光のみが透過するカラーフィルタ(緑色フィルタ)を有する。また、第3のサブ画素は、TFT素子などの他に、青色系の光のみが透過するカラーフィルタ(青色フィルタ)を有する。またこのとき、TFT素子および画素電極はTFT基板3に設けられており、カラーフィルタは対向基板4に設けられている。また、共通電極は、TFT基板3に設けられている場合もあるし、対向基板4に設けられている場合もある。
TFT基板3は、ガラス基板などの透明な絶縁基板の表面上に走査信号線、映像信号線、TFT素子、画素電極、複数の絶縁層、および配向膜などが形成された基板である。このとき、TFT基板3の構成を回路的に見ると、表示領域AR1には、たとえば、図2に示すように、各サブ画素のTFT素子9および画素電極10がマトリクス状に配置されている。また、TFT基板3には、表示領域AR1を通る複数本の走査信号線11および複数本の映像信号線12が配置されている。なお、実施例1の液晶表示パネル1では、各走査信号線11のうちの表示領域AR1を通る部分がx軸方向に延びており、各映像信号線12のうちの表示領域AR1を通る部分がy軸方向に延びているとする。
このとき、TFT素子9は、ゲート電極が1本の走査信号線11に接続しており、第1のソース-ドレイン電極が1本の映像信号線12に接続している。また、TFT素子9は、第2のソース−ドレイン電極が画素電極10と接続している。なお、TFT素子9における第1のソース-ドレイン電極と第2のソース-ドレイン電極とは、一方がソース電極として機能するときに他方がドレイン電極として機能する。このとき、第1のソース-ドレイン電極と第2のソース-ドレイン電極のどちらがソース電極として機能するかは、TFT素子9がオンになったときの映像信号線12の電位と画素電極10の電位との高低の関係によって決まる。
また、図2において、画素電極10に示した(R)、(G)、および(B)は、当該サブ画素が有するカラーフィルタの色を示しており、それぞれ、赤色フィルタ、緑色フィルタ、および青色フィルタを有することを意味する。このとき、1つの画素は、走査信号線11の延びる方向(x軸方向)に並んでいる連続した3つのサブ画素からなる。
また、TFT基板3に配置される走査信号線11、映像信号線12、第1のソース-ドレイン電極、および第2のソース-ドレイン電極は、たとえば、アルミニウムなどの金属膜をエッチングして形成された遮光性(光反射率)の高い導電膜である。そのため、TFT基板3の表示領域AR1には、バックライトユニット2からの光が透過しない領域(以下、遮光領域と呼ぶ)が存在する。
TFT基板3の表示領域AR1には、図2に示したような回路があり、複数の走査信号線11と複数の映像信号線12とによる格子が形成されている。そのため、表示領域AR1は、バックライトユニット2からの光が透過するか否かの観点で図示すると、たとえば、図3に示すように、格子状の遮光領域13を有する。このとき、遮光領域13の格子の目に相当する長方形の領域14はバックライトユニット2からの光が透過する領域(以下、透過領域と呼ぶ)である。なお、実際のTFT基板3における透過領域14は、図3に示したような長方形にならない場合も多いが、本明細書では、説明を簡単にするために、個々の透過領域14を長方形にしている。
一般的な液晶表示パネル1の場合、TFT基板3には、1つのサブ画素に1つの透過領域14が存在する。そのため、1つの画素を構成する3つのサブ画素をx軸方向に並べる場合、1つのサブ画素のx軸方向の寸法Pcx’は、たとえば、1つの画素のx軸方向の寸法Pcxの1/3になる。なお、実際の液晶表示パネル1では、たとえば、所望の特性(色再現性など)を得るために、1つの画素を構成する3つのサブ画素のx軸方向の寸法の比を1:1:1にしないこともある。しかしながら、本明細書では、説明を簡単にするために、1つの画素を構成する3つのサブ画素のx軸方向の寸法の比を1:1:1にし、すべてのサブ画素のx軸方向の寸法を同じ値Pcx’にしている。
また、1つの画素を構成する3つのサブ画素をx軸方向に並べる場合、1つのサブ画素のy軸方向の寸法は、1つの画素のy軸方向の寸法Pcyになる。また、一般的な液晶表示パネル1における1つの画素は、x軸方向の寸法Pcxとy軸方向の寸法Pcyとが概ね等しい。そのため、1つのサブ画素は、x軸方向の寸法Pcx’がy軸方向の寸法Pcyの約1/3になり、y軸方向を長手方向とする長方形になる。したがって、各サブ画素における透過領域14は、通常、図3に示したように、y軸方向の寸法Wayがx軸方向の寸法Waxよりも大きくなる。なお、実際の液晶表示パネル1では、たとえば、1つの画素を構成する3つのサブ画素の透過領域14の面積の比を1:1:1にしないこともある。しかしながら、本明細書では、説明を簡単にするために、1つの画素を構成する3つのサブ画素の透過領域14の面積の比を1:1:1にし、すべてのサブ画素の透過領域14の面積を同じ値(Wax×Way)にしている。
さて、TFT基板3は、前述のように、ガラス基板などの透明な絶縁基板の表面上に走査信号線11、映像信号線12、TFT素子9、画素電極10、複数の絶縁層、および配向膜などが形成された基板である。すなわち、TFT基板3は、たとえば、図4に示すように、第1の絶縁基板301と、第1の絶縁基板301の表面上に形成された第1の薄膜積層体302とを有する。第1の絶縁基板301は、ガラス基板または樹脂基板などの透明な絶縁基板である。第1の薄膜積層体302は、たとえば、走査信号線11、映像信号線12、TFT素子9、画素電極10、複数の絶縁層、および第1の配向膜などを有する薄膜積層体であり、第1の絶縁基板301と液晶層15との間に配置される。また、第1の薄膜積層体302は、前述のように、遮光領域13と透過領域14とを有する。
一方、対向基板4は、たとえば、図4に示すように、第2の絶縁基板401と、第2の絶縁基板401の表面上に形成された第2の薄膜積層体402とを有する。第2の絶縁基板401は、ガラス基板または樹脂基板などの透明な絶縁基板である。第2の薄膜積層体402は、たとえば、ブラックマトリクス、カラーフィルタ、平坦化膜、柱状スペーサ、および第2の配向膜などを有する薄膜積層体であり、第2の絶縁基板401と液晶層15との間に配置される。
また、液晶表示パネル1がIPS方式などの横電界駆動方式の場合、共通電極は、TFT基板3(第1の薄膜積層体302)に形成される。また、液晶表示パネル1がVA方式やTN方式などの縦電界駆動方式の場合、共通電極は、対向基板4(第2の薄膜積層体402)に形成される。
液晶層15は、電界の印加方式によって使用する材料が異なる。液晶表示パネル1がIPS方式の場合、液晶層15には、たとえば、室温を含む広い温度範囲でネマチック層を示し、かつ、誘電率異方性が正である液晶材料が用いられる。
第1の偏光板5および第2の偏光板6は、たとえば、配向処理されたヨウ素系色素を含み、その2色性により自然光を偏光に変換する光学部品である。このとき、第1の偏光板5と第2の偏光板6とは、一般に、互いの吸収軸が直交するように配置される。
また、実施例1の液晶表示パネル1は、上記のような構成に加え、TFT基板3(第1の絶縁基板301)と第1の偏光板5との間に配置された、第1のレンチキュラレンズ7および第2のレンチキュラレンズ8を有する。
実施例1の液晶表示パネル1における第1のレンチキュラレンズ7は、y軸方向に並んだ複数のシリンドリカルレンズ7S(以下、第1のシリンドリカルレンズと呼ぶ。)からなる。このとき、第1のシリンドリカルレンズ7Sは、たとえば、図1および図4に示したように、バックライトユニット2からの光に対して凸平レンズになり、かつ、シリンドリカル面の周方向(以下、曲率方向と呼ぶ。)がy軸方向と平行になるように配置する。またこのとき、第1のシリンドリカルレンズ7Sは、たとえば、曲率方向の寸法Wr(以下、幅と呼ぶ。)をWay<Wr≦Pcyにし、画素のy軸方向の寸法Pcyと同じ間隔で配置する。また、第1のシリンドリカルレンズ7Sは、稜線7SRLが透過領域14のy軸方向の中心付近を通るように配置する。
一方、実施例1の液晶表示パネル1における第2のレンチキュラレンズ8は、x軸方向に並んだ複数のシリンドリカルレンズ8S(以下、第2のシリンドリカルレンズと呼ぶ。)からなる。このとき、第2のシリンドリカルレンズ8Sは、たとえば、図1および図4に示したように、バックライトユニット2からの光に対して平凸レンズになり、かつ、曲率方向(シリンドリカル面の周方向)がx軸方向と平行になるように配置する。
なお、第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLおよび第2のシリンドリカルレンズ8Sの稜線8SRLは、それぞれ、曲率方向と直交する方向で見たときの各位置において最も厚い部分の軌跡を意味する。しかしながら、本発明における第1のレンチキュラレンズ7および第2のレンチキュラレンズ8を後述するような印刷法で形成した場合、レンズの光学中心と稜線とは概ね一致する。そのため、本明細書におけるレンズの稜線は、光学中心の意味も持つ。
このような液晶表示パネル1を有する液晶表示装置の作用効果を説明するにあたり、まず、バックライトユニット2からの光が平行光であり、図4に示したように、液晶表示パネル1(第1の偏光板5)の入光面に対して垂直に入射する場合の、当該光の光路について簡単に説明する。
バックライト2からの光16が第1の偏光板5に入射すると、当該光16のうちの、振動方向が第1の偏光板5の透過軸方向(吸収軸と直交する方向)と概ね平行な成分のみが第1の偏光板5を透過する。そして、第1の偏光板5を透過した光16は、第2のレンチキュラレンズ8、第1のレンチキュラレンズ7、TFT基板3、液晶層15、および対向基板4を通過して第2の偏光板6に入射する。
このとき、液晶表示パネル1をy軸方向と平行な断面(以下、yz面と呼ぶ。)で見ると、図4に示したように、第1の偏光板5を透過した光16は、第2のシリンドリカルレンズ8Sの集光機能の影響をほとんど受けることがなく、概ね平行光のまま第1のシリンドリカルレンズ7Sに入射する。そして、第1のシリンドリカルレンズ7Sに入射した光16は、当該第1のシリンドリカルレンズ7Sを通過した後、集光され、y軸方向の拡がり角がθLyの光となって第2の偏光板6に入射する。したがって、第2の偏光板6を透過して観察者に向かう光は、液晶表示パネル1のy軸方向の拡がり角がθLyになる。このとき、第2の偏光板6を透過して観察者に向かう光の拡がり角θLyは、主として、第1のシリンドリカルレンズ7Sの光学特性と、透過領域14のy方向の寸法Wayとによって決まる。
またこのとき、第1のシリンドリカルレンズ7Sの焦点の位置が、たとえば、第1の薄膜積層体302内またはその近傍にくるようにしておくと、1つのシリンドリカルレンズ7Sに入射する光16をyz面で見たときの両端の成分16a,16bのように、第1の偏光板5のうちの、第1の薄膜積層体302の遮光領域13と重なる領域を透過した光も第2の偏光板6に入射させることができる。
一方、液晶表示パネル1をx軸方向と平行な断面(以下、zx面と呼ぶ。)で見ると、第1の偏光板5を透過した光16は、第2のシリンドリカルレンズ8Sを通過することにより集光され、x方向の拡がり角がθLxの光となって第2の偏光板6に入射する。したがって、第2の偏光板6を透過して観察者に向かう光は、液晶表示パネル1のx軸方向の拡がり角がθLxになる。
なお、第2のシリンドリカルレンズ8Sを通過した光16は、その後、第1のシリンドリカルレンズ7Sを通過するが、第1のシリンドリカルレンズ7Sの曲率方向はy軸方向である。そのため、zx面で見た場合、第1のシリンドリカルレンズ7Sを通過する光16は、当該第1のシリンドリカルレンズ7Sの界面で屈折するものの、第1のシリンドリカルレンズ7Sの集光機能の影響はほとんど受けない。そのため、第2の偏光板6を透過して観察者に向かう光の拡がり角θLxは、主として、第2のシリンドリカルレンズ8Sの光学特性によって決まる。
このように、実施例1の液晶表示装置は、バックライトユニット2からの光が平行光であっても、液晶表示パネル1を透過した光は短手方向(x軸方向)の拡がり角がθLx、長手方向(y軸方向)の拡がり角がθLyになるので、輝度視野角を広げることができる。
また、実施例1の液晶表示装置では、液晶表示パネル1を透過した光の短手方向の拡がり角θLxと長手方向の拡がり角θLyとを独立して調整することができる。そのため、実施例1の液晶表示装置は、用途に応じた輝度視野角の調整が容易である。
また、第1のシリンドリカルレンズ7Sの焦点の位置が、たとえば、第1の薄膜積層体302内またはその近傍にくるようにすると、第1の偏光板5のうちの、遮光領域13と重なる領域を通過した光16a,16bも透過領域14を通る。そのため、実施例1の液晶表示装置は、第1の偏光板5を透過した光の利用効率を高めることができる。
また、実施例1の液晶表示装置では、第1のシリンドリカルレンズ7Sおよび第2のシリンドリカルレンズ8Sを、それぞれ、バックライトユニット2からの光に対して凸平レンズおよび平凸レンズになるようにしている。このとき、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8とは、図4に示したように、複数の点で接触する。また、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との接触点は、表示領域AR1の全域にわたってマトリクス状に存在する。そのため、実施例1の液晶表示装置では、たとえば、表示領域AR1の内部における第1の偏光板5と第1の絶縁基板301との距離を均一に保つことが容易になる。
ところで、実施例1の液晶表示装置において、違和感なく表示が良好に見えるようにするには、液晶表示パネル1の長手方向の輝度視野角および短手方向の輝度視野角を広くすることが望ましく、特に、上下方向(実施例1においては長手方向)の視野角に比べて左右方向(実施例1においては短手方向)の視野角が広いことが望ましい。このとき、左右方向(実施例1においては短手方向)の視野角は、半値全角で40度以上にすることが望まれる。なお、本明細書における半値全角は、液晶表示パネル1から出射する光のうちの、出光面の法線方向を進行方向とする成分の強度を1としたときの相対強度が0.5以上になる光の進行方向の角度範囲のことである。
このようなことから、実施例1の液晶表示装置におけるバックライトユニット2は、第1のシリンドリカルレンズ7Sによって透過領域14を透過する光量を向上するために第1のシリンドリカルレンズ7Sの集光方向は指向性が高いことが望ましく、第2のシリンドリカルレンズ8Sの集光方向(実施例1においては液晶表示パネル1の短手方向)は拡がり角は広いことが望ましい。そのため、実施例1の液晶表示装置におけるバックライトユニット2は、たとえば、図5乃至図7に示すような構成であることが望ましい。この場合、液晶表示パネル1の短手方向の拡がり角θLxは、第2のシリンドリカルレンズ8Sの光学特性(幅Wq、曲率、焦点距離など)を調整することで、バックライトユニット2からの光をさらに広げることができる。
図5乃至図7は、実施例1の液晶表示装置に用いるバックライトユニットの概略構成の一例を説明するための模式図である。
図5は、実施例1の液晶表示装置に用いるバックライトユニットの概略構成の一例を示す模式分解斜視図である。図6は、図5のC−C’線における断面構成の一例を示す模式断面図である。図7は、図5のD−D’線における断面構成の一例を示す模式断面図である。
実施例1の液晶表示装置におけるバックライトユニット2は、たとえば、図5に示すように、導光板17、複数の光源18、第1のプリズムシート19、第2のプリズムシート20、および反射シート21を有する構成にする。このとき、導光板17、第1のプリズムシート19、第2のプリズムシート20、および反射シート21は、図6および図7に示すように、液晶表示パネル1側から第2のプリズムシート20、第1のプリズムシート19、導光板17、反射シート21の順に並ぶように積層する。
導光板17は、光源18が発した光16を面状光線に変換する光学部品である。このとき、導光板17に取り込まれた光16は、主として、液晶表示パネル1の表示領域AR1と重なる領域AR2から、液晶表示パネル1に向けて出射する。
光源18は、白色LEDなどの白色発光素子であり、たとえば、出光面が導光板17の短手方向(x軸方向)の側面と対向するように配置されている。このとき、導光板17に取り込まれた光16は、たとえば、図6に示した光16e,16fのように、導光板17の第1の主面(液晶表示パネル1と対向する面)およびその反対側の第2の主面で全反射をしながら、導光板17を伝播する。
また、導光板17に光16を取り込む際には、第1の主面および第2の主面に対する入射角が全反射条件を満たす角度(臨界角)よりも大きな角度になるよう調整される。そのため、第1の主面および第2の主面が平坦な面であると、導光板17を伝播する光16(16e,16f)を液晶表示パネル1側に出射させることができない。したがって、導光板17には、たとえば、図6に示したように、第2の主面に、当該第2の主面(xy平面)に対して所定の角度だけ傾いた傾斜面を有する反射溝17aを設けている。導光板17を伝播する光16(16e,16f)が反射溝17aの傾斜面で反射すると、反射後の光16の第1の主面への入射角は、反射前の入射角よりも小さくなる。このとき、当該反射後の入射角が臨界角よりも小さくなっていれば、図6に示したように、光16(16e,16f)は第1の主面で屈折し、液晶表示パネル1側に出射する。導光板17から液晶表示パネル1側に出射した光16は、第1のプリズムシート19および第2のプリズムシート20を透過して液晶表示パネル1(第1の偏光板5)に入射する。
導光板17と液晶表示パネル1との間に配置された第1のプリズムシート19および第2のプリズムシート20は、導光板17から液晶表示パネル1側に出射した光の進行方向を調整するための光学部品である。このとき、第1のプリズムシート19および第2のプリズムシート20は、それぞれ、図5に示したように、液晶表示パネル1と対向する面に頂角(稜線)を有する複数のプリズムからなる。またこのとき、第1のプリズムシート19および第2のプリズムシート20は、それぞれ、プリズムの稜線が液晶表示パネル1の短手方向(x軸方向)に延びるように配置する。
また、第1のプリズムシート19のプリズムの2つの底角は、同じ角度でも、異なる角度でも構わない。同様に、第2のプリズムシート20のプリズムの2つの底角は、同じ角度でも、異なる角度でも構わない。またこのとき、第1のプリズムシート19のプリズムの底角の組み合わせと、第2のプリズムシート20のプリズムの底角の組み合わせとは、同じ組み合わせでも、異なる組み合わせでも構わない。
導光板17から液晶表示パネル1側に出射する光16(16e,16f)の進行方向は、液晶表示装置を導光板17の長手方向と平行な断面(yz面)で見ると、図6に示したように、導光板17の第1の主面の法線方向(z軸方向)から光の伝播方向に傾いている。また、yz面で見た第1のプリズムシート19および第2のプリズムシート20は、液晶表示パネル1と対向する面が三角波状である。そのため、第1のプリズムシート19および第2のプリズムシート20を通過して液晶表示パネル1に向かう光16の進行方向は、yz面で見ると、液晶表示パネル1の入光面の法線方向(z軸方向)と概ね平行になる。
しかしながら、導光板17を伝播する光16には、たとえば、図6に示した実線の光路をたどる光16eと点線の光路をたどる光16fのように、第1の主面および第2の主面に対する入射角が異なる光が複数存在する。そのため、液晶表示装置をyz面で見たときに導光板17から液晶表示パネル1側に出射する光の出射角度には、ある範囲の拡がり(分布)が生じる。実施例1の液晶表示装置では、yz面で見たときの、導光板17から出射する光の出射角度の拡がりを小さくすることが望ましい。この出射角度の拡がりを小さくするには、たとえば、導光板17の光16を取り入れる部分の形状などを調整し、伝播する光16の第1の主面および第2の主面への入射角の拡がりを小さくすればよい。
またこのとき、導光板17の反射溝17aの傾斜角、第1のプリズムシート19および第2のプリズムシート20のプリズムの底角は、第1のプリズムシート19および第2のプリズムシート20を通過して液晶表示パネル1に入射する光の拡がり角θSyが極力小さくなる組み合わせにすることが望ましい。実施例1の液晶表示装置では、光の拡がり角θSyが14度以下になるようにすることが望ましく、10度以下になるようにするとさらに望ましい。
ところで、実施例1の液晶表示装置で用いる光源18が発する光16は、たとえば、図5に示したように、出光面の法線方向を中心とする放射状の光である。そのため、液晶表示装置を、たとえば、図7に示すように、導光板17の短手方向と平行な断面(zx面)で見ると、導光板17を伝播する光16は、x軸方向の位置がほとんど変化しない光16g、−x方向に変位しながら伝播する光16h、および+x方向に変位しながら伝播する光16jの3種類に大別される。
光源18が発する光16の強度は、前述のように、出光面の法線方向に出射する成分の強度が最も強く、当該法線方向と出射方向との角度(傾き)が大きくなるにつれて急速に低下する。そのため、x軸方向に変位しながら伝播する光16h,16jの強度は、一般に、変位量が大きくなるほど強度が低くなる。したがって、第2のプリズムシート20を通過して液晶表示パネル1に向かう光は、液晶表示パネル1の入光面の法線方向(z軸方向)からの傾きが大きくなるほど、強度が低くなる。このとき、導光板17の短手方向と平行な断面(zx平面)で見たときの光の拡がり角θSxを半値全角とすると、当該拡がり角θSxは、たとえば、35度程度になる。
このように、図5乃至図7に示したような構成のバックライトユニット2を用いると、当該バックライトユニット2から出射する光は、導光板17(液晶表示パネル1)の長手方向の拡がり角θSyが小さく、短手方向の拡がり角θSxが大きい光になる。すなわち、液晶表示パネル1に入射する光は、長手方向の指向性が高く、短手方向の指向性が低い光になる。
さて、実施例1の液晶表示装置をzx面で見た場合、液晶表示パネル1に入射する光の拡がり角がθSxであるとすると、第2のシリンドリカルレンズ8Sを通過して第2の偏光板6に入射する光の拡がり角θDxは、下記数式1で表される。
θDx=(θSx 2+θLx 2)1/2 ・・・(数式1)
なお、数式1におけるθLxは、液晶表示パネル1に平行光を入射したときに、第2の偏光板6に入射する光のx軸方向(zx面)での拡がり角である。
実施例1の液晶表示装置において、液晶表示パネル1の短手方向で違和感なく表示が良好に見えるようにするには、前述のように当該短手方向の輝度視野角を半値全角で40度以上にすることが望まれる。これに対し、図5乃至図7に示したような構成のバックライトユニット2からの出射光における当該短手方向の拡がり角θSxは、前述のように35度程度である。そのため、θDx=40度、θSx=35度として数式1を解くと、θLxは、約20度になる。したがって、実施例1の液晶表示装置における第2のシリンドリカルレンズ8Sは、平行光を入射したときの出射光の拡がり角θLxが20度以上になるようにすることが望まれる。この条件を満たすには、たとえば、第2のシリンドリカルレンズ8Sのレンズ幅Wqと焦点距離との比が0.36以上になるようにすればよい。このとき、第2のシリンドリカルレンズ8Sの屈折率を1.5とすると、当該第2のシリンドリカルレンズ8Sは、レンズの高さ(最も厚い部分の厚さ)とレンズ幅Wqとの比が0.06以上になるようにすることが望ましい。
また、液晶表示装置の観察者は、たとえば、光の拡がり角θDxが1度以上大きくなると、光(輝度視野角)の拡がりを有意に感じることができる。実施例1の液晶表示装置において、仮に、第2のレンチキュラレンズ8を設けていないとすると、液晶表示パネル1から出射する光の短手方向の拡がり角は、バックライトユニット2からの出射光の拡がり角θSxと概ね等しくなる。したがって、バックライトユニット2からの出射光の拡がり角θSxが35度の場合、液晶表示パネル1から出射する光の短手方向の拡がり角θDxが36度以上になると、有意に光の拡がりを感じることができる。
すなわち、バックライトユニット2からの出射光における当該短手方向の拡がり角θSxが35度の場合、数式1から、第2のシリンドリカルレンズ8Sに平行光を入射したときの出射光の拡がり角θLxが半値全角で8度以上あれば、第2のレンチキュラレンズ8による輝度視野角の拡大効果を期待できるといえる。この条件を満たすには、たとえば、第2のシリンドリカルレンズ8Sのレンズ幅Wqと焦点距離との比が0.14以上になるようにすればよい。このとき、第2のシリンドリカルレンズ8Sの屈折率を1.5とすると、当該第2のシリンドリカルレンズ8Sは、レンズの高さ(最も厚い部分の厚さ)とレンズ幅Wqとの比が0.035以上になるようにすることが望ましい。
またこのとき、第2のレンチキュラレンズ8の集光機能が、液晶表示パネル1の長手方向の光の拡がり角に影響しないようにするためには、たとえば、第2のシリンドリカルレンズ8Sに平行光を入射したときに、出射光の稜線方向の拡がり角が1度以下になるようにすることが望ましく、特に、0.5度以下になるようにすることが望ましい。また、第2のレンチキュラレンズ8は、平行光を入射したときに、出射光の稜線方向の拡がり角が0.2度以下になるようにすると、さらに望ましい。
また、液晶表示パネル1の長手方向(y軸方向)の輝度視野角を所望の角度にする場合は、上記の第2のシリンドリカルレンズ8Sの光学特性の調整と同様の考え方で、第1のシリンドリカルレンズ7Sの光学特性を調整すればよい。そのため、実施例1では、第1のシリンドリカルレンズ7Sの光学特性の調整方法に関する説明を省略する。
次に、第1のレンチキュラレンズ7および第2のレンチキュラレンズ8の形成方法について簡単に説明する。第1のレンチキュラレンズ7および第2のレンチキュラレンズ8は、それぞれ、たとえば、オフセット印刷法を用いることで容易に形成することができる。
オフセット印刷法で第2のレンチキュラレンズ8を形成する場合は、たとえば、第2のシリンドリカルレンズ8Sの形状に合わせたくぼみを設けた凹版にレンズ材料を埋め込み、当該レンズ材料を、ブランケットを備えた転写ローラーに付着させた後、第1の偏光板5の表面に転写する。第1の偏光板5に転写されたレンズ材料は、表面張力によって表面(露出面)が丸くなり、レンズ形状が形成される。このとき、レンズ材料としては、たとえば、アクリル系、エポキシ系、アクリルエポキシ系などのUV硬化樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。UV硬化樹脂を用いる場合には、レンズ材料を第1の偏光板5の表面に転写した後、所定の波長の紫外線を照射して当該レンズ材料を硬化させる。
また、第2のレンチキュラレンズ8は、たとえば、インクジェット印刷法を用いて形成することもできる。インクジェット印刷法で第2のレンチキュラレンズ8を形成するには、たとえば、未硬化のUV硬化樹脂または熱硬化性樹脂を含むインクを用い、第1の偏光板5の上に当該インクを直接印刷した後、所定の条件で硬化させればよい。
また、印刷法で第2のレンチキュラレンズ8を形成するときには、たとえば、第1の偏光板5の表面のうちの、レンズの隙間となる箇所に撥液処理を施しておくと、印刷したレンズ材料の拡がりを抑えることができ、それぞれの第2のシリンドリカルレンズ8Sの形状の精度を向上させることができる。
また、第2のレンチキュラレンズ8は、上記の印刷法に限らず、たとえば、金型を用いて未硬化のUV硬化樹脂または熱硬化性樹脂を型押しした後、所定の条件で硬化させて形成してもよい。この場合、ロール状の金型を用いることで、第2のレンチキュラレンズ8を連続的に形成することができる。
また、詳細な説明は省略するが、第1のレンチキュラレンズ7は、第2のレンチキュラレンズ8と同様の方法で形成することができ、たとえば、印刷法を用いて第1の絶縁基板301の表面に印刷したレンズ材料を、所定の条件で硬化させて形成すればよい。
なお、第1のレンチキュラレンズ7は、たとえば、第1の絶縁基板301の上に第1の薄膜積層体302を形成した後、またはTFT基板3と対向基板4とを貼り合わせた後に形成することが望ましい。そのため、第1のレンチキュラレンズ7は、画素の特性に影響しないような条件で形成することが望ましい。したがって、熱硬化性樹脂を用いて第1のレンチキュラレンズ7を形成する場合は、150℃以下、望ましくは100℃以下の温度で硬化する熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。
以上説明したように、実施例1の液晶表示装置では、液晶表示パネル1の長手方向の輝度視野角と、短手方向の輝度視野角とを独立して設定することができる。
また、実施例1の液晶表示装置では、たとえば、TFT基板3(第1の絶縁基板301)の厚さや、第1のレンチキュラレンズ7および第2のレンチキュラレンズ8の焦点距離を調整することで、透過領域14を通過する光の拡がり角を変えることができる。すなわち、実施例1の液晶表示装置では、たとえば、TFT基板3(第1の絶縁基板301)を薄くすると輝度視野角を広くすることができ、厚くすると正面輝度を高くすることができる。また、実施例1の液晶表示装置では、第1のレンチキュラレンズ7および第2のレンチキュラレンズ8の焦点距離を短くすると輝度視野角を広くすることができ、長くすると正面輝度を高くすることができる。そのため、実施例1の液晶表示装置は、従来の液晶表示装置に比べて、液晶表示パネル1の長手方向の輝度視野角および短手方向の輝度視野角の設定の自由度を容易に高くすることができる。
また、実施例1の液晶表示装置は、第1の偏光板5とTFT基板3との距離の均一化が容易である。
また、バックライトユニット2が、図5乃至図7に示したような構成である場合、導光板17から出射した光は、第1のプリズムシート19の入光面に対して角度を持って入射する。このとき、当該第1のプリズムシート19の入光面に入射した光の反射率は、P偏光とS偏光とで異なり、S偏光のほうが反射率が高い。同様に、第2のプリズムシート20の入光面に入射した光の反射率は、P偏光とS偏光とで異なり、S偏光のほうが反射率が高い。そのため、第1のプリズムシート19および第2のプリズムシート20を通過して液晶表示パネル1に向かう光は、P偏光成分、すなわち振動方向が液晶表示パネル1の長手方向と概ね平行な成分を多く含む部分偏光になっている。したがって、バックライトユニット2からの光の利用効率を高めるには、バックライトユニット2(第2のプリズムシート20)と液晶層15との間に配置されている第1の偏光板5の透過軸の方向を、液晶表示パネル1の長手方向と概ね平行になるようにすることが望ましい。
なお、バックライトユニット2の構成によっては、第2のプリズムシート20を通過して液晶表示パネル1に向かう光の主成分の振動方向が、当該液晶表示パネル1の長手方向と平行にならない場合がある。その場合は、第1の偏光板5の透過軸の方向をバックライトユニット2からの光の主成分の振動方向と概ね平行になるようにすると、バックライトユニット2からの光の利用効率を高めることができる。
また、第1の偏光板5の透過軸の方向をバックライトユニット2からの光の主成分の振動方向と合わせることができない場合は、たとえば、第2のプリズムシート20に複屈折性を持たせて偏光を解消する、または第2のプリズムシート20と第1の偏光板5との間に位相差シートを配置するといった方法で、第1の偏光板5を通過する光量を増やしてもよい。
また、実施例1では、液晶表示パネル1の透過領域14を、図3に示したように概略長方形にしているが、当該透過領域14は、前述のように長方形以外の任意の形状であることも多い。透過領域14が長方形以外の任意の形状で、その中心が明確でない場合は、たとえば、TFT基板3に対して垂直に光を入射したときに透過領域14から出射する光の輝度分布のピークが正面方向となるように、第1のシリンドリカルレンズ7Sを配置すればよい。
また、実施例1では第1の偏光板5および第2の偏光板6として、直線偏光を透過する偏光板を用いているが、液晶表示パネル1の表示モードによっては、第1の偏光板5および第2の偏光板6として、円偏光板を用いてもよいことはもちろんである。
また、実施例1の液晶表示装置では、たとえば、バックライトユニット2と液晶層との間に配置される第1の偏光板5として、反射型偏光板を用いてもよい。第1の偏光板5として反射型偏光板を用いた場合、バックライトユニット2からの光のうちの、振動方向が第1の偏光板5の吸収軸と概ね平行になる偏光成分が反射してバックライトユニット2に戻る。このとき、バックライトユニット2に戻った光が第2のプリズムシート20、第1のプリズムシート19、導光板17、および反射シート21のいずれかで反射すると、その反射光の一部または全部の偏光状態(振動方向)が変化し、第1の偏光板5を通過する成分が生じる。そのため、第1の偏光板5として反射型偏光板を用いると、バックライトユニット2からの光の利用効率を向上させることができる。またこのとき、第1の偏光板5を反射型偏光板にする代わりに、第1の偏光板5と第2のプリズムシート20との間に、別の反射型偏光板を配置してもよいことはもちろんである。
図8乃至図10は、実施例1の液晶表示装置の変形例を説明するための模式図である。
図8は、実施例1の液晶表示装置の第1の変形例を示す模式平面図である。図9は、実施例1の液晶表示装置の第2の変形例を示す模式平面図である。図10は、輝度視野角およびモアレ強度の稜線角度依存性の一例を示す模式図である。
実施例1の液晶表示装置では、たとえば、図8に示すように、第2のシリンドリカルレンズ8Sの幅Wqを、第1のシリンドリカルレンズ7Sの幅Wrと概ね等しくなるようにしてもよい。ただし、各サブ画素でのx方向の集光効果の均一性を考慮すると、第2のシリンドリカルレンズ8の幅Wqは、1つの画素の寸法Pcxよりも小さいことが望ましく、特に、1つのサブ画素の寸法Pcx’よりも小さいことが望ましい。
また、実施例1の液晶表示装置において、たとえば、第1のレンチキュラレンズ7の周期PL1(第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLの間隔)と第2のプリズムシート20のプリズムの周期Psとの組み合わせは、適宜変更可能であるが、後述するように、プリズムの周期Psを第1のレンチキュラレンズ7の周期PL1よりも小さくし、1つの第1のシリンドリカルレンズ7Sに対して複数のプリズム、特に3個以上のプリズムが割り当てられるようにすることが望ましい。
また、実施例1の液晶表示装置の一例として挙げた上記の構成では、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8とを、シリンドリカルレンズの稜線が互いに直交するように配置している。しかしながら、実施例1の液晶表示装置では、たとえば、図9に示すように、第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLと第2のシリンドリカルレンズ8Sの稜線8SRLとのなす角αが90度未満であってもよい。角αを90度未満とすることにより、たとえば、第2のシリンドリカルレンズ8Sと液晶表示パネル1との間で生じるモアレを低減することができる。一方、角αを90度未満とすると、液晶表示パネル1から観察者に向けて出射する光のx軸方向の輝度視野角θDxが減少するとともに、正面の輝度Icの低下が生じる。本願発明者らが、第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLと第2のシリンドリカルレンズ8Sの稜線8SRLとのなす角αを45度から90度の範囲で変えながら、液晶表示パネル1から観察者に向けて出射する光のx軸方向の輝度視野角θDxと、正面の輝度Icおよびモアレ強度MIとの関係を調べたところ、たとえば、図10に示すような結果が得られた。なお、図10は、横軸が第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLと第2のシリンドリカルレンズ8Sの稜線8SRLとのなす角α(単位は度)、左縦軸がx軸方向の輝度視野角θDxの相対値および正面輝度Ic、右縦軸がモアレ強度MIの相対値のグラフである。
また、図10に示した曲線F1は、x軸方向の輝度視野角θDxと稜線のなす角αとの関係を示しており、第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLと第2のレンチキュラレンズ8の稜線8SRLとのなす角αが90度のときの輝度視野角を1としている。また、図10に示した曲線F2は、モアレ強度MIと稜線のなす角αとの関係を示しており、第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLと第2のシリンドリカルレンズ8Sの稜線8SRLとのなす角αが90度のときのモアレ強度を1としている。またさらに、図10に示した曲線F3は、正面輝度Icと稜線のなす角αとの関係を示しており、第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLと第2のシリンドリカルレンズ8Sの稜線8SRLとのなす角αが90度のときの正面輝度Icを1としている。
図10の曲線F1からわかるように、x軸方向の輝度視野角θDxは、第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLと第2のレンチキュラレンズ8の稜線8SRLとのなす角αが小さくなるにつれて小さくなる。すなわち、第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLと第2のシリンドリカルレンズ8Sの稜線8SRLとのなす角αが小さくなるにつれて、x軸方向の光の拡がり角θDxが小さくなる。ただし、角αが60度以上の範囲では、x軸方向の光の拡がり角θDxの変化が小さく、ほぼ一定であった。
一方、図10の曲線F2からわかるように、モアレ強度MIは、第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLと第2のシリンドリカルレンズ8Sの稜線8SRLとのなす角αが70度付近のところに極小値を有し、それより小さくなると再び相対値が大きくなる。ただし、角αが70度以下の範囲においても、60度以上であればモアレが小さく許容範囲であった。
また、図10の曲線F3からわかるように、正面輝度Icは、第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLと第2のシリンドリカルレンズ8Sの稜線8SRLとのなす角αが小さくなるにつれて小さくなる。ただし、角αが70度以上の範囲では変化は小さく、角αを70度以上とすれば、正面輝度Icはほぼ一定であった。
したがって、実施例1の液晶表示装置では、第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLと第2のシリンドリカルレンズ8Sの稜線8SRLとのなす角αを、たとえば、70度以上とすれば、x軸方向の輝度視野角θDx、正面輝度Icをほぼ低下させることなく、モアレを低減することができる。また、角αを60度以上とすれば、x軸方向の輝度視野角θDxをほぼ低下させることなくモアレを低減することができる。また、モアレ低減の効果に注目すると、角αを60度以上80度以下とすることでモアレを許容値以下とすることができ、特に70度前後にすると、液晶表示パネル1から出射する光のx軸方向の輝度視野角θDx、正面輝度Icへの影響を抑えつつ、モアレを低減することができる。一方、角αを90度に近くするとx軸方向の輝度視野角θDx、正面輝度Icを大きくすることができる。したがって、モアレが問題とならない場合には、角αを90度、または90度に近い値に設定することが望ましい。
図11乃至図13は、本発明による実施例2の液晶表示装置における第1のレンチキュラレンズの概略構成の一例を説明するための模式図である。
図11は、実施例2の液晶表示装置における第1のレンチキュラレンズの平面構成の一例を示す模式平面図である。図12は、第1のレンチキュラレンズの平面形状と第2のプリズムシートの平面形状との関係を説明するための模式平面図である。図13は、図12のE−E’線における第1のレンチキュラレンズの断面構成の一例を示す模式断面図である。
実施例2の液晶表示装置は、基本的には実施例1で挙げた液晶表示装置と同じ構成であり、液晶表示パネル1のTFT基板3と第1の偏光板5との間に、第1のレンチキュラレンズ7および第2のレンチキュラレンズ8とを配置する。また、液晶表示パネル1は、図1に示したように、z軸方向から見た平面形状が、x軸方向を短手方向、y軸方向を長手方向とする概略長方形である。また、バックライトユニット2は、図5に示したように、導光板17、第1のプリズムシート19、および第2のプリズムシート20が積層されており、複数の光源18は導光板17の短手方向の辺に沿って配置されている。また、第1のプリズムシート19および第2のプリズムシート20は、それぞれ、液晶表示パネル1の長手方向の断面(yz面)で見た断面形状が三角波状であり、かつ、各プリズムの稜線が液晶表示パネル1の短手方向と平行であるとする。
このとき、バックライトユニット2から出射して液晶表示パネル1に入射する光は、実施例1で説明したように、液晶表示パネル1の長手方向(y軸方向)の拡がり角θSyが小さく、短手方向(x軸方向)の拡がり角θSxが大きい。
実施例1の液晶表示装置では、第1のレンチキュラレンズ7を構成する集光素子が第1のシリンドリカルレンズ7Sであり、その稜線7SRLが、第2のプリズムシート20のプリズムの稜線と概ね平行であった。また、第1のシリンドリカルレンズ7Sの稜線7SRLおよび第2のプリズムシート20の稜線は、それぞれ、液晶表示パネル1の長手方向(y軸方向)に周期性を持っていた。そのため、実施例1の液晶表示装置では、たとえば、第1のレンチキュラレンズ7と第2のプリズムシート20とによるモアレが発生しやすい。このモアレを低減するためには、たとえば、第1のレンチキュラレンズ7を構成する集光素子の配置または形状、あるいはその両方の周期性を崩せばよい。
以上のようなことから、実施例2の液晶表示装置では、たとえば、図11に示すように、第1のレンチキュラレンズ7を構成する集光素子として、稜線7WRLを波型にウォーブリングさせた棒状のレンズ7Wを用いる。すなわち、実施例2の液晶表示装置では、各レンズ7Wの稜線7WRLのy方向の周期を崩すことで、第1のレンチキュラレンズ7と第2のプリズムシート20との間で生じるモアレを低減する。
なお、実施例2の液晶表示装置は、実施例1の液晶表示装置における第1のシリンドリカルレンズ7Sを、稜線をウォーブリングさせたレンズ7Wに変えただけである。そのため、実施例2の液晶表示装置においても、液晶表示パネル1の長手方向の輝度視野角と短手方向の輝度視野角とを独立して設定できることは、もちろんである。
実施例1のように、第1のレンチキュラレンズ7を構成する集光素子として第1のシリンドリカルレンズ7S、すなわち稜線をウォーブリングさせていない棒状の凸平レンズを用いた場合、稜線7SRLの周期PL1は画素の周期Pcyと等しくなる。このとき、第2のプリズムシート20と第1のレンチキュラレンズ7との間で生じるモアレの周期Pmは、第2のプリズムシート20のプリズムの周期をPsとすると、下記数式2で表される。
なお、数式2のkおよびnは、モアレを生じる次数を表す整数であり、一般には、1〜5程度の値をとる。
また、モアレ強度は、第1のレンチキュラレンズ7のk次の空間周波数成分(k/Pc)の強度と、第2のプリズムシート20のn次の空間周波数成分(n/Ps)の強度との積で表される。なお、第1のレンチキュラレンズ7の稜線7SRLの周期PL1が画素の周期Pcと異なる場合は、数式2における画素の周期Pcを稜線7SRLの周期PL1に置き換えればよい。
第1のレンチキュラレンズ7をウォーブリングさせるときは、たとえば、図12に示すように、レンズ7Wの稜線7WRL(中心)のy軸方向の位置を、幅Scで変動させる。このようにすると、レンズ7Wの稜線7WRLは、x軸方向の位置によって第2のプリズムシート20のプリズムとの相対位置が変化する。このとき、レンズ7Wの稜線7WRLのy軸方向の位置がPs/2だけずれている二点では、モアレの位相が反転し、明部と暗部の位置が入れ替わる。
したがって、実施例2の液晶表示装置では、第1のレンチキュラレンズ7をウォーブリングさせる際に、レンズ7Wの稜線7WRLのy方向の変動幅Scを、下記数式3を満たすようにする。
このようにすると、1つのレンズ7Wにおける稜線7WRLのy方向の位置は、第2のプリズムシート20のプリズムに対してPs/2以上変化するので、レンズ7Wの稜線7WRLが延びるx軸方向にはモアレによる濃淡の位相の反転が生じ、巨視的に見るとモアレが平均化される。そのため、実施例2の液晶表示装置は、第2のプリズムシート20と第1のレンチキュラレンズ7とによるモアレが見えにくくなり、画質の劣化を抑えることができる。特に、このモアレの位相変化が目の分解能に比較して細かくなるようにすると、モアレが見えなくなる。
また、実施例2の液晶表示装置では、第2のプリズムシート20と第1のレンチキュラレンズ7とによるモアレを低減するために、レンズ7Wの稜線7WRLの変動幅Scが数式3を満たすようにすることが望ましいが、これに限らず、たとえば、Sc≧Ps/8、あるいはSc≧Ps/16としてもよい。変動幅ScをSc≧Ps/8とした場合は、モアレの位置がPm/2以上(位相にすると90度以上)変化するので、モアレを低減する効果が得られる。また、変動幅ScをSc≧Ps/16とした場合は、モアレの位置がPm/4以上変化するので、モアレを低減する効果が得られる。
すなわち、第2のプリズムシート20のプリズムの周期Psが、たとえば、加工が容易な30μm以上の場合には、第1のレンチキュラレンズ7のレンズ7Wの稜線の変動幅Scを1.9μm以上、または3.8μm以上、あるいは7.5μm以上にすれば、モアレを低減する効果が得られ、特に、変動幅Scを7.5μm以上にすると、高いモアレ低減効果が得られる。また、第2のプリズムシート20のプリズムの周期Psが、たとえば、一般的な50μm以上の場合には、第1のレンチキュラレンズ7のレンズ7Wの稜線の変動幅Scを3.1μm以上、または6.3μm以上、あるいは12.5μm以上にすれば、モアレを低減する効果が得られ、特に、変動幅Scを12.5μm以上にすると、高いモアレ低減効果が得られる。
また、第2のプリズムシート20と第1のレンチキュラレンズ7とによるモアレをさらに低減するためには、たとえば、第2のプリズムシート20のプリズムの周期Psも場所によって変化させることが望ましい。このとき、数式2および数式3におけるPsは、たとえば、表示領域AR1の全域におけるプリズムの周期の平均値とすればよい。またこのとき、数式2および数式3におけるPsは、たとえば、プリズムの稜線位置をフーリエ変換した場合の空間周波数のピークから定めてもよい。
ところで、第1のレンチキュラレンズ7をウォーブリングする場合、レンズ7Wの稜線7WRLがサブ画素の透過領域14から外れると、液晶表示パネル1(第2の偏光板6)を通過して観察者に向かう光は、正面方向の輝度が低下する。そのため、このような正面方向の輝度の低下が起こらないようにするには、レンズ7Wの稜線の変動幅Scと、透過領域14のy方向の寸法Wayとの関係が、Sc<Wayとなるようにする必要がある。また、バックライトユニット2からの光にy軸方向の拡がりがあることを考慮すると、レンズ7Wの稜線の変動幅Scは、下記数式4を満たすようにすることが望ましい。
なお、数式4において、fは第1のレンチキュラレンズ7(レンズ7W)の焦点距離であり、θはバックライトユニット2からの光のy方向の拡がり角θSyの半分の値(θSy/2)である。
また、レンズ7Wの稜線の変動幅Scが数式4を満たすようにする場合、数式3および数式4から、プリズムの周期Psは、下記数式5を満たすようにすることが望ましいということが示される。
この数式5によると、透過領域14のy方向の寸法Wayが大きい場合は、プリズムの周期Psを大きくしても、第1のレンチキュラレンズ7のウォーブリングによる正面輝度の低下を抑えるとともに、モアレを抑制することができるということがわかる。たとえば、透過領域14のy方向の寸法Wayが50μm、焦点距離fが150μmであり、バックライトユニット2からの光の拡がり角θ(=θSy/2)が5度の場合は、数式5から、プリズムの周期Psを95μm以下にすればよいことがわかる。このように、プリズムの周期Psを大きくしても上記のような効果が得られるということは、第2のプリズムシート20の加工が容易になり、第2のプリズムシート20の形状精度の向上や、製造歩留まりの向上などが期待できる。
また、モアレを低減するためには、第2のプリズムシート20のプリズムの周期Psを、第1のレンチキュラレンズ7のレンズ7Wの周期、言い換えると各レンズ7Wの稜線7WRLの平均位置の間隔よりも小さくすることが望ましい。またこのとき、プリズムの周期Psは、1つの画素に複数のプリズムが入るようにすることが望ましく、特に、1つの画素に3つ以上のプリズムが入るようにすることが望ましい。そのため、第1のレンチキュラレンズ7のレンズ7Wの周期を画素のy方向の寸法Pcyと等しくする場合、プリズムの周期Psは、Pcy≧3Psを満たすようにすることが望ましい。
またこのとき、数式2から、モアレ周期Pmが小さくなるようなプリズムの周期Psとレンズ7Wの周期の組み合わせを選ぶと、モアレが見えにくくなるので、より望ましい。このように、モアレの周期Pmを小さくするためには、第1のレンチキュラレンズ7のレンズ7Wの周期と、第2のプリズムシート20のプリズムの周期Pmとの差を大きくすることが望ましい。なお、実施例2の液晶表示装置では、第1のレンチキュラレンズ7をウォーブリングさせることでモアレを低減しているので、必ずしもプリズムの周期Psを小さくする必要はない。
さて、サブ画素の透過領域14を通過する光の光量は、第2のレンチキュラレンズ8および第1のレンチキュラレンズ7で集光した光のスポット径が最小となる最良集光位置が透過領域14を決める位置(たとえば、第1の薄膜積層体302の内部)にくるようにすると、最大になる。この最良集光位置は、たとえば、光線追跡などのシミュレーションを行うことで決定することができる。しかしながら、実施例2の液晶表示装置において、液晶表示パネル1の長手方向(y軸方向)の集光に着目すると、当該y軸方向の断面(yz面)で見た光は平行光に近い指向性の強い光であり、当該光を集光する第1のレンチキュラレンズ7のレンズ7Wは凸平の球面レンズである。凸平の球面レンズの空気中での近軸焦点距離fは、球面レンズの屈折率をn1、曲率半径をRとすると、下記数式6で表される。
ただし、球面レンズの場合、集光した光のスポット径が最小となる最良像点位置は、レンズの球面収差によって近軸焦点からレンズ側にずれる。球面レンズに平行光を入射した場合、空気中での最良像点距離f’は、下記数式7で表される。
なお、数式7において、n2はTFT基板3の屈折率であり、Dは球面レンズのレンズ幅である。
すなわち、TFT基板3の厚さTが定まっている場合は、たとえば、f’=T/n2となるようにレンズの曲率半径Rおよびレンズ幅Dを定めることで、第1の薄膜積層体302の内部にレンズの最良像点位置がくるようすることができ、透過領域14を通過する光量を最大にすることができる。
また、第1のレンチキュラレンズ7を構成する集光素子として非球面レンズを用いる場合には、近軸焦点距離fと最良像点距離f’を一致させることもできる。その場合は、TFT基板3の厚さTおよび屈折率n2にあわせて、f=T/n2となるようにレンズの曲率半径Rを定めれば、透過領域14を通過する光量を最大にすることができる。
実施例2の液晶表示装置で用いる第1のレンチキュラレンズ7のように、集光素子としてウォーブリングさせた凸平レンズ7Wを用いる場合も、当該レンズ7Wは、実施例1で説明したような方法で形成することができる。ただし、印刷法を用いて第1の絶縁基板301に印刷したレンズ材料を硬化させてレンズ7Wを形成する場合、レンズ7Wの中心(稜線7WRL)は、両端の位置の中央付近を通る。そのため、各レンズ7Wの稜線7WRLを変動幅Scで変動(ウォーブリング)させるには、たとえば、図12に示すように、レンズ7Wの第1の端7WE1および第2の端7WE2を正弦波状にウォーブリングさせ、かつ、互いの位相をずらす必要がある。
すなわち、y軸方向に並んだ複数のレンズ7Wに対して、一方の端に位置するレンズから順番に通し番号をつけたときに、n番目のレンズ7Wnにおける第1の端7WE1のy軸方向の位置f1 n(x)が下記数式8で表され、第2の端7WE2のy軸方向の位置f2 n(x)が下記数式9で表されるようにすればよい。
なお、数式8および数式9におけるPwは、レンズ7Wの端7WE1,7WE2のウォーブリングの周期である。また、数式8および数式9におけるWbは、ウォブル振幅であり、レンズ7Wの端7WE1,7WE2のy方向の変動幅の半分の値である。また、数式8および数式9におけるδnは、n番目のレンズ7Wnの第1の端7WE1の位相である。また、数式9におけるWeおよびDcは、それぞれ、平均レンズ幅および1つのレンズ7Wnにおける両端7WE1,7WE2の位相差である。
また、レンズ7Wの端7WE1,7WE2を正弦波状にウォーブリングさせる場合、その周期Pwは、ウォーブリングが見えない程度に細かくすることが望ましい。そのため、周期Pwはたとえば、眼の空間周波数感度のカットオフ(たとえば、50本/度程度)よりも小さくことが望ましい。液晶表示装置の観察者は、通常、30cm程度の距離から観察するので、ウォーブリングが見えないようにするには周期Pwを100μm以下にすることが望ましい。また、図12に示した例では、ウォーブリングの周期Pwがx軸方向に並んだサブ画素数個分(約7個分)になっているが、上記のような点を考慮すると、周期Pwは、画素のx軸方向の寸法Pcx以下にすることが望ましく、特に、サブ画素のx軸方向の寸法Pcx’以下にすることが望ましい。
ただし、レンズ7Wを端7WE1,7WE2をウォーブリングさせる場合、ウォーブリングの曲率が大きいと、レンズ7Wの形成が難しくなる。そのため、周期Pwは、稜線7WRLの変動幅Scよりも大きいことが望ましい。このとき、周期Pwは、稜線の変動幅Scの3倍以上にすることが望ましく、特に、稜線の変動幅Scの5倍以上にすることが望ましい。
印刷法を用いてレンズ7Wを形成する場合、レンズ7Wの稜線7WRLは、前述のように、両端の位置の中央付近を通る。そのため、第1のレンチキュラレンズ7の一端からn番目のレンズ7Wnにおける稜線7WRLのy軸方向の位置fc n(x)は、下記数式10のようになる。
したがって、このときのレンズ7Wの稜線の変動幅Scは、下記数式11で表される。
すなわち、実施例2の液晶表示装置では、数式11で表される稜線の変動幅Scの値が、前述のようにモアレを低減する程度の大きさになるようにすることが望ましい。また、正面輝度が低下しないようにするには、数式11で表される稜線の変動幅Scの値が、Sc<Way、または数式4を満たすようにすることが望ましい。
また、n番目のレンズ7Wnのレンズ幅Wr nは、下記数式12で表され、x方向の位置に応じて周期的に変動する。
このように、レンズ幅Wr nがx軸方向の位置に応じて変動する場合、たとえば、レンズ幅によらず曲率半径がほぼ一定であると、x軸方向の各位置における近軸焦点距離がほぼ一定になり、各サブ画素の透過領域14を通過した光のy軸方向の拡がり角がほぼ等しくなる。
しかしながら、印刷法などでレンズ7Wを形成する場合、一般に、レンズ幅が大きくなると曲率半径が大きくなる。また、印刷法などでレンズ7Wを形成する場合、レンズの高さは、レンズの曲率半径およびレンズの幅に応じて変化する。このとき、レンズの高さHrは、レンズの曲率半径Rおよびレンズの幅Wrとの間に、概ね、下記数式13で表される関係がある。
すなわち、ウォーブリングさせたレンズ7Wが印刷法などで形成されている場合、その稜線7WRLが延びるx軸方向と平行な断面(zx面)で見たレンズ7Wの断面形状は、たとえば、図13に示すようになり、x軸方向で見たときの厚さが周期的に変動する。このように、レンズ7Wのx軸方向の厚さが周期的に変動する場合、当該レンズ7Wには、本来の集光機能、すなわちy軸方向の集光機能に加え、x軸方向の集光機能または光拡散機能が発現する。そのため、第1のレンチキュラレンズ7の集光素子としてウォーブリングさせたレンズ7Wを用いた場合は、たとえば、当該レンズ7Wによってもx軸方向の輝度視野角を拡げることができる。また、第1のレンチキュラレンズ7を構成するレンズ7Wにx軸方向の集光機能または光拡散機能があると、たとえば、第2のプリズムシート20と第1のレンチキュラレンズ7とによるモアレを低減する効果がいっそう高まる。
また、実施例2の液晶表示装置で用いる第1のレンチキュラレンズ7のように、レンズ7Wの端を正弦波状にウォーブリングさせる場合、レンズ7Wの端7WE1,7WE2の位相は、隣接する他のレンズ7Wと接しないように変化させる必要がある。また、レンズ7Wによる集光効果(透過領域14を通過する光量を増やす効果)を大きくするためには、レンズ7Wの幅をできるだけ広くすることが望ましい。そのため、レンズ7Wの端7WE1,7WE2を正弦波状にウォーブリングさせる場合は、隣接する2つのレンズ7Wの端7WE1,7WE2のウォーブリングに相関を持たせることが望ましい。したがって、実施例2の液晶表示装置で用いる第1のレンチキュラレンズ7の一例として図12に挙げた構成では、n番目のレンズ7Wの第2の端7WE2と(n+1)番目のレンズ7Wの第1の端7WE1とが同位相になるようにして当該2つの端の間に一定の間隙を確保し、2つのレンズ7Wが接触することを防いでいる。また、n番目のレンズ7Wの第2の端7WE2と(n+1)番目のレンズ7Wの第1の端7WE1とが同位相の場合、当該2つの端の間の間隙は、たとえば、3μm程度まで小さくすることができるので、レンズ7Wの幅を広くして集光効果を大きくすることもできる。
このように、n番目のレンズ7Wの第2の端7WE2と(n+1)番目のレンズ7Wの第1の端7WE1とが同位相になるようにするには、n番目のレンズの位相δnを、下記数式14のようにすればよい。
このとき、数式10から求まる(n+1)番目のレンズ7Wの第1の端7WE1の位置を表す関数は、数式9から求まるn番目のレンズ7Wの第2の端7WE2の位置の変化を表す関数を、−y方向に平行移動させた関数になる。したがって、n番目のレンズの第1の端の位相δnが数式14で表される場合、n番目のレンズ7Wの第2の端と(n+1)番目のレンズの第1の端との距離は、図13に示したように、x軸方向の位置によらず概ね一定の値になる。
また、第1のレンチキュラレンズ7の一端からk番目のレンズ7Wの稜線と、(k+1)番目のレンズ7Wの稜線との距離をPl kとすると、当該距離Pl kは、下記数式15で表される。
このとき、数式15におけるδkが数式14であるとすると、当該数式15は、下記数式16のようになるので、1つのレンズ7Wにおける第1の端7WE1と第2の端7WE2の位相差Dcが、Dc≠mPw/2(mは整数)の場合、隣接する2つのレンズ7Wの中心間の距離Pl kは、レンズの位置kおよびx軸方向の位置によって変化する。
すなわち、実施例2の液晶表示装置に用いる第1のレンチキュラレンズ7の集光素子は、レンズ7Wの配置方向(y軸方向)に沿った断面(yz面)で見たときの2つのレンズ7Wの中心間の距離Pl kがy軸方向の位置によって変化する。このように、レンズ7Wの中心間の距離がy軸方向の位置によって変化すると、数式2からわかるようにモアレの周期Pmもy軸方向の位置によって変化するので、モアレパターンにy座標依存性が生じる。また、レンズ7Wの中心間の距離がy軸方向の位置によって変化するということは、レンズ7Wの稜線の周期性が低下するということである。そのため、実施例2の液晶表示装置では、数式2における空間周波数成分(k/Pc)の強度が低減し、その結果としてモアレ強度が低下する。
また、実施例2の液晶表示装置では、x軸方向についてもモアレの位置が変化しているので、モアレの位相が変化し、モアレが平均化されて見えづらくなる。
またさらに、実施例2の液晶表示装置に用いる第1のレンチキュラレンズ7は、レンズ7Wの中心間の距離が変化するので、数式2において周期Pcにより決まる空間周波数(1/Pc)の周りに空間周波数が異なる成分も重畳されるため、モアレを低減する効果がいっそう高まる。
また、実施例2の液晶表示装置に用いる第1のレンチキュラレンズ7は、1つのレンズ7Wにおける両端のウォブル振幅Wbが同じでも、位相差Dcの大きさによってレンズ7Wの形状が変化する。位相差Dcを0にすると、1つのレンズ7Wにおける第1の端7WE1のy軸方向の位置と第2の端7WE2のy軸方向の位置とが同位相で変動し、稜線の変動幅Scが大きくなるので、1つのレンズ7Wと第2のプリズムシート20の複数のプリズムとによるモアレを低減する効果が大きくなる。
また、位相差DcをDc≠mPwにすると、前述のように、1つのレンズ7Wにおける幅が変動し、その幅の変動に応じてx方軸向で見たレンズの高さ(中心の厚さ)が変動する。そのため、前述のように、モアレを低減する効果に加え、x軸方向の拡がり角(輝度視野角)を拡げる効果がある。
また、位相差DcをmPw/2にすると、1つのレンズ7Wにおける第1の端7WE1のy方向の位置と第2の端7WE2のy軸方向の位置とが逆位相で変動することになるので、レンズの幅の変動量が最大となり、x軸方向で見たレンズの高さの変動幅が最大になる。レンズ7Wの高さが変化していると、第2のレンチキュラレンズ8の頂部と接するのがレンズ7Wの山(最も高い部分)だけになり、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との接点の数が減る。またこのとき、第1のレンチキュラレンズ7の稜線の延びる方向と第2のレンチキュラレンズ8の稜線とのなす角が90度に近い角度になるようにすることで、確実に、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8とを点接触させることができる。そのため、位相差DcをmPw/2にすると、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との間の空隙(空気層)を確保しやすくなり、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との密着むらを防止する効果が高くなる。
また、実施例2の液晶表示装置において、上記のモアレを低減する効果と密着むらを防止する効果の両方を得るためには、位相差Dcを、0<Dc<Pw/2のいずれかの値にすればよく、特に、位相差Dcを、Pw/8<Dc<3Pw/8にすることが望ましい。またこのとき、8Dc≒Pw/4にするとさらに望ましい。
また、本願発明者らが、レンズ7Wの高さの変動幅と密着むらとの関係を調べたところ、変動幅を1.5μm以上にすると密着が起こりにくくなり、特に、3μm以上にすると確実に密着むらを防ぐことができ、良好な特性を得られることが確認された。したがって、レンズ7Wは、高さの変動幅が1.5μm以上(望ましくは3μm以上)になるように、ウォブル振幅Wbおよび両端の位相差Dcを設定することが望ましい。
また、本願発明者らが、レンズ7Wの中心間の距離の変動量とモアレ強度との関係を調べたところ、レンズ7Wの中心間の距離の変動量の最大値を、レンズの周期の4%以上にするとモアレを低減する効果が得られ、特に、レンズの周期の8%以上にするとよいことが確認された。なお、レンズの周期は、前述の通り各レンズ7Wの稜線7WRLの平均位置の間隔であり、実施例2の液晶表示装置では、画素のy軸方向の周期(寸法Pcy)に相当する。
すなわち、画素の周期Pcyが75μmの場合には、レンズ7Wの中心間の距離の変動量を3μm以上、特に、6μm以上にすることが望ましい。また、画素の周期Pcyが150μmの場合には、レンズ7Wの中心間の距離の変動量を6μm以上、特に、12μm以上にすることが望ましい。また、画素の周期Pcyが他の値である場合は、その値に応じてレンズ7Wの中心間の距離の変動量を、0.04Pcy以上(望ましくは0.08Pcy以上)にすればよい。また、レンズの周期が画素の周期Pcyと異なる場合は、レンズ7Wの中心間の距離の変動量を、レンズの周期の4%以上(望ましくは8%以上)にすればよい。
以上説明したように、実施例2の液晶表示装置によれば、液晶表示パネル1の長手方向の輝度視野角と短手方向の輝度視野角とを独立して設定できる。
また、実施例2の液晶表示装置によれば、第1のレンチキュラレンズ7と第2のプリズムシート20との間で発生するモアレの強度を小さくすることができ、モアレが見えにくくなる。
また、実施例1の液晶表示装置のように第1のレンチキュラレンズ7のレンズとしてシリンドリカルレンズを用いた場合、第2のプリズムシート20が上向きプリズム(いわゆる正プリズム)であると、プリズムと第1のレンチキュラレンズ7との距離が近くなり、モアレが発生しやすくなる。実施例2の液晶表示装置では、第1のレンチキュラレンズ7のレンズとしてウォーブリングさせたレンズ7Wを用いることで、モアレを低減している。そのため、実施例2の液晶表示装置は、第2のプリズムシート20のプリズムと第1のレンチキュラレンズ7との距離を近づけても、モアレを十分に低減することができる。
また、実施例1および実施例2の液晶表示装置では、第2のプリズムシート20が上向きプリズムであるが、第2のプリズムシート20は、下向きプリズム(いわゆる逆プリズム)であってもよい。第2のプリズムシート20を下向きプリズムにすると、プリズムと第1のレンチキュラレンズ7との距離が大きくなるので、モアレを低減する効果がさらに高まる。
また、レンズ7Wの端7WE1,7WE2のウォーブリングの周期Pwは、前述のように、100μm以下、または画素のx軸方向の寸法Pcx以下、あるいはサブ画素のx軸方向の寸法Pcx’以下にすることが望ましい。このとき、ウォーブリングの周期Pwは、上記の条件を満たし、かつ、透過領域14のx軸方向の周期性によるモアレが生じないような値を選ぶことが望ましい。またこのとき、ウォーブリングの周期Pwを一定値にせず、ランダムに変動させると、さらに望ましい。このようにウォーブリングの周期Pwも変化させる場合、数式8乃至数式12、および数式15乃至数式17におけるPwには、たとえば、1つのレンズ7Wにおける平均値、または1つの画素(あるいは1つのサブ画素)での平均値を用いればよい。また、ウォーブリングの周期Pwも変化させる場合、数式8乃至数式12、および数式14乃至数式16におけるPwは、たとえば、フーリエ変換することで得られる空間周波数のピークから定めてもよい。
また、実施例2の液晶表示装置は、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との接点の数が、実施例1の液晶表示装置よりも少なくなるので、たとえば、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との密着むらを低減できる。
図14は、実施例2の液晶表示装置の変形例を示す模式平面図である。
実施例2の液晶表示装置で用いる第1のレンチキュラレンズ7のように、レンズ7Wの端7WE1,7WE2を正弦波状にウォーブリングさせる場合には、前述のように、隣接するレンズ7Wが接しないようにする必要がある。そのため、実施例2の液晶表示装置で用いる第1のレンチキュラレンズ7の一例として図12に挙げた構成では、n番目のレンズ7Wの第2の端7WE2と(n+1)番目のレンズ7Wの第1の端7WE1とを同位相にして当該2つの端の間に一定の間隙を確保し、2つのレンズ7Wが接触することを防いでいる。
しかしながら、液状のレンズ材料を用いてレンチキュラレンズを形成する場合には、2つのレンズ7Wが接触することがない程度に間隔を確保すればよく、n番目のレンズ7Wの第2の端と(n+1)番目のレンズ7Wの第1の端とは、必ずしも同位相である必要はない。すなわち、n番目のレンズ7Wの第2の端7WE2と(n+1)番目のレンズ7Wの第1の端7WE1とは、たとえば、図14に示すように、位相がφだけずれていてもよい。
図15は、本発明による実施例3の液晶表示装置における第2のレンチキュラレンズの概略構成の一例を示す模式平面図である。
実施例2では、第2のプリズムシート20と第1のレンチキュラレンズ7との間で生じるモアレを低減するために、第1のレンチキュラレンズ7の集光素子として、稜線をウォーブリングさせたレンズ7Wを用いた。また、実施例2の液晶表示装置には、たとえば、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との密着むらを防ぐ効果もある。
しかしながら、実施例2の液晶表示装置の場合、第2のレンチキュラレンズ8の集光素子は、第2のシリンドリカルレンズ8Sであり、稜線方向の高さが一定である。そのため、レンズ7Wと第2のシリンドリカルレンズ8Sの交差領域であり、かつ、当該2つのレンズが接触していない部分では、その隙間が比較的狭く、密着むらの原因になるおそれがある。
そこで、実施例3では、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との密着むらを防ぐ効果をより高めるために、たとえば、図15に示すように、第2のレンチキュラレンズ8の集光素子も、稜線8WRLをウォーブリングさせたレンズ8Wにする。
また、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との密着むらを防ぐ効果を高めるには、第1のレンチキュラレンズ7と同様に、第2のレンチキュラレンズ8のレンズ8Wの稜線方向の高さを変動させることが望ましいのはもちろんである。そのため、実施例3の液晶表示装置では、図15に示したように、各レンズ8Wの端もウォーブリングさせて幅を変化させる。
このとき、レンズ8Wをウォーブリングさせる方法は、実施例2で説明した第1のレンチキュラレンズ7のレンズ7Wのウォーブリングと同じ方法でよい。すなわち、レンズ8Wをウォーブリングさせる場合は、数式8乃至数式10、数式12、数式15、および数式16における変数xをyに置き換えて考えればよい。またこのとき、各レンズ8Wの稜線8WRLの変動幅は、たとえば、数式11のようにすればよい。
またこのとき、レンズ8Wの周期、言い換えると各レンズ8Wの稜線8WRLの間隔は、実施例1と同様に画素のx方向の寸法Pcx以下、特に、サブ画素のx方向の寸法Pcx’以下にすることが望ましい。
このようなレンズ8Wを印刷法で形成すると、実施例2で説明したように、幅が狭い部分は低くなり、広い部分は高くなる。そのため、実施例3の液晶表示装置は、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との接点の数が、実施例2の液晶表示装置よりもさらに少なくなる。
また、実施例3の液晶表示装置では、レンズ7Wとレンズ8Wの交差領域であり、かつ、当該2つのレンズが接触していない部分の隙間が、実施例2の液晶表示装置よりも広くなる。そのため、実施例3の液晶表示装置は、実施例2の液晶表示装置に比べ、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との密着ムラを防止する効果が高くなる。
また、印刷法によってレンズ8Wを形成する場合は、隣接するレンズ8Wが接しないようスペースを確保することが望ましく、隣接するレンズ8Wの端の位相を変化させる必要である。そのため、スペースを確保し、かつ、レンズ8Wの幅を大きくして拡がり角拡大効果を大きくするためには、実施例2で説明したレンズ7Wの端7WE1,7WE2と同様に、隣接するレンズ8Wの端のウォーブリングに相関を持たせることが望ましい。
なお、第2のレンチキュラレンズ8のレンズ8Wは、必ずしも周期的に配置する必要はなく、たとえば、平均レンズ幅をランダムに変化させ、レンズの周期をランダムにしてもよい。また、第2レンチキュラレンズ8のレンズ8Wは、連続したレンズ形状でなくてもよくてもよい。レンズ8Wの周期がランダムで周期を定めることができない場合には、周期の平均値とすればよい。また、レンズ8Wの周期をランダムにした場合、その周期は、レンズの中心位置をフーリエ変換した場合の空間周波数のピークから定めてもよい。
また、ここまでの説明では、第2のレンチキュラレンズ8のレンズ形状を凸形状としているが、第2のレンチキュラレンズ8のレンズ形状は凹形状でもよく、また凹凸の混じった形状でもよい。このような凹形状や凹凸形状、ランダム構造を有するレンズ8Wを形成には、ロール金型を用いる形成方法が適している。ただし、実施例3のように複数のレンズ8Wを並べてレンチキュラレンズ状とする場合、レンズ8Wの形状は、その稜線8WRLが延びるy軸方向の光の拡がり角に影響を与えず、指向性を損なわないようにすることが望ましい。また、第2のレンチキュラレンズ8をランダム構造とする場合においても、一軸方向の拡がり角を大きくし、もう一軸方向はバックライト出射光の指向性をできるだけ損なわないような光拡散分布を有する構造にすることが望ましい。
また、第2のレンチキュラレンズ8を形成するときには、たとえば、レンズ8Wの高さよりも大きなビーズなどを、レンズ8Wの稜線方向の視野角を低下させてない程度に混ぜて形成することで、レンズ8Wの高さを変動させてもよい。
また、実施例3の液晶表示装置では、たとえば、画素のx軸方向の寸法Pcxと、レンズ8Wの周期Pxとの関係が、下記数式17の関係を満たすとモアレが強く出る。
なお、数式17のn,mは、それぞれ、自然数である。
これに対し、実施例3の液晶表示装置では、たとえば、画素のx軸方向の寸法Pcxと、レンズ8Wの周期Pxとの関係が、下記数式18の関係を満たすようにすると、モアレが細かくなり見えにくくなる。
また、画素のx軸方向の寸法Pcxとレンズ8Wの周期Pxとの関係によるモアレは、通常、nが1から3程度の場合に生じる。そのため、実施例3の液晶表示装置では、nを1乃至3のいずれかの自然数にしたときに数式18を満たすようにレンズの周期Pxを選ぶことが望ましい。
以上説明したように、実施例3の液晶表示装置によれば、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との密着むらを防ぐ効果がよりいっそう高まる。
また、実施例3の液晶表示装置では、第2のレンチキュラレンズ8と液晶表示パネル1とによるモアレを低減することができる。
図16および図17は、本発明による実施例4の液晶表示パネルの概略構成を示す模式図である。
図16は、実施例4の液晶表示パネルのyz面での断面構成の一例を示す模式断面図である。図17は、実施例4の液晶表示パネルのzx面での断面構成の一例を示す模式断面図である。
すなわち、図16の断面図は、図3のA−A’線における断面図に相当し、図17の断面図は、図5のD−D’線方向における断面図に相当する。
実施例1乃至実施例3の液晶表示パネル1は、たとえば、図4に示したように、第2のレンチキュラレンズ8を、第1の偏光板5の表面に直接形成(配置)している。このような液晶表示パネル1を製造するときには、たとえば、TFT基板3と対向基板4とを貼り合わせ、TFT基板3(第1の絶縁基板301)に第1のレンチキュラレンズ7を形成した後、第2のレンチキュラレンズ8を形成した第1の偏光板5を貼り合わせる。
一般的な液晶表示パネル1における第1の偏光板5は、たとえば、厚さが100μm程度のフィルム状の光学部品であり、可撓性が高い。そのため、このようなフィルム状の第1の偏光板5の表面に第2のレンチキュラレンズ8を直接形成すると、たとえば、当該第1の偏光板5をTFT基板3に貼り付けるときに、たわみやねじれが生じ、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との間に密着むらが生じやすくなる。そのため、実施例4の液晶表示パネル1では、たとえば、図16および図17に示すように、透明な基材22の上に第2のレンチキュラレンズ8を形成し、当該基材22を第1の偏光板5に貼り付けている。
基材22には、たとえば、第1の絶縁基板301よりも薄いガラス基板や樹脂基板、樹脂フィルムなどを用いることができる。このとき、基材22として、たとえば、第1の絶縁基板301と同じ材質のガラス基板を用いた場合は、たとえば、液晶表示装置を使用している際の熱による液晶表示パネル1の反りを低減することもできる。
なお、基材22は、たとえば、複屈折性が無く、第1の偏光板5を通過した光の偏光状態が維持される材料で形成することが望ましい。しかしながら、基材22は、これに限らず、たとえば、液晶表示装置の視野角を制御するため位相差板として機能するものであってもよい。
以上説明したように、実施例4の液晶表示パネル1によれば、第1の偏光板5のたわみや、第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8との密着むらを防ぐことができる。
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
たとえば、本発明の液晶表示パネルにおける第1のレンチキュラレンズ7と第2のレンチキュラレンズ8とは、その位置関係が逆、すなわち、TFT基板3に第2のレンチキュラレンズ8が設け、第1の偏光板5に第1のレンチキュラレンズ7が設けてもよいことはもちろんである。
また、実施例1乃至実施例4では、第2のレンチキュラレンズ8の集光素子として、バックライトユニット2からの光に対して平凸レンズとなるレンズを用いて、第1のレンチキュラレンズ7の稜線方向の光の拡がり角を調整している。しかしながら、本発明における第2のレンチキュラレンズ8の集光素子は、これに限らず、主として第1のレンチキュラレンズ7の稜線方向の光の拡がり角を変化させる一軸性の集光素子であればよい。すなわち、第2のレンチキュラレンズ8の集光素子は、たとえば、実施例3でも触れたように、凹形状のレンズ、または凹凸形状のレンズなどであってもよいことはもちろんである。
また、実施例1乃至実施例4では、TFT基板3と第1の偏光板5との間に配置された第1のレンチキュラレンズ7および第2のレンチキュラレンズ8により液晶表示装置の輝度視野角を調整している。しかしながら、本発明の液晶表示装置では、これら2つのレンチキュラレンズのみでなく、たとえば、第1の偏光板5とバックライトユニット2との間に第3のレンチキュラレンズを配置してもよいことはもちろんである。
このように、第3のレンチキュラレンズを配置する場合、当該レンズの集光方向(曲率方向)を第2のレンチキュラレンズ8の曲率方向と一致させれば、液晶表示パネル1の短手方向(x軸方向)の輝度視野角をより拡げることができる。
また、実施例1では、液晶表示パネル1を長手方向と平行な断面(yz面)で見たときの、バックライトユニット2から光の輝度ピークが正面方向、すなわち液晶表示パネルの入光面の法線方向になるようにしている。しかしながら、本発明の液晶表示装置では、バックライトユニット2から光の輝度ピークが正面方向にする必要は無い。すなわち、バックライトユニット2から光の輝度ピークが正面方向に対して少し傾いているほうが指向性を強くでき、ピークの輝度を高くできる場合には、第1のレンチキュラレンズ7によって、輝度ピークを正面方向に変えてもよい。この場合は、液晶表示パネル1に入射する光の輝度ピークの方向に合わせて、第1のレンチキュラレンズ7のレンズの中心(稜線)の位置を透過領域14の中心からずらせばよい。
また、本発明に関わる液晶表示装置は、バックライトユニット2を有する液晶表示装置であればよく、画素の駆動方法は問わない。すなわち、実施例1乃至実施例4で挙げた構成における液晶表示パネル1は、IPS方式のような横電界駆動方式であってもよいし、VA方式やTN方式などの縦電界駆動方式であってもよいことはもちろんである。
また、本発明に関わる液晶表示パネル1として、実施例1で挙げた構成では、走査信号線11の延びる方向が液晶表示パネル1の短手方向であるが、本発明は、これに限らず、走査信号線11の延びる方向が液晶表示パネル1の長手方向であってもよいことはもちろんである。