JP5295386B2 - エレベータ用ロープ及びエレベータ装置 - Google Patents

エレベータ用ロープ及びエレベータ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5295386B2
JP5295386B2 JP2011544146A JP2011544146A JP5295386B2 JP 5295386 B2 JP5295386 B2 JP 5295386B2 JP 2011544146 A JP2011544146 A JP 2011544146A JP 2011544146 A JP2011544146 A JP 2011544146A JP 5295386 B2 JP5295386 B2 JP 5295386B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rope
elevator
resin
coating layer
resin component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011544146A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2011067839A1 (ja
Inventor
道雄 村井
厚 光井
博之 中川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Publication of JPWO2011067839A1 publication Critical patent/JPWO2011067839A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5295386B2 publication Critical patent/JP5295386B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B1/00Constructional features of ropes or cables
    • D07B1/16Ropes or cables with an enveloping sheathing or inlays of rubber or plastics
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B66HOISTING; LIFTING; HAULING
    • B66BELEVATORS; ESCALATORS OR MOVING WALKWAYS
    • B66B7/00Other common features of elevators
    • B66B7/06Arrangements of ropes or cables
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B66HOISTING; LIFTING; HAULING
    • B66BELEVATORS; ESCALATORS OR MOVING WALKWAYS
    • B66B7/00Other common features of elevators
    • B66B7/06Arrangements of ropes or cables
    • B66B7/062Belts
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B5/00Making ropes or cables from special materials or of particular form
    • D07B5/005Making ropes or cables from special materials or of particular form characterised by their outer shape or surface properties
    • D07B5/006Making ropes or cables from special materials or of particular form characterised by their outer shape or surface properties by the properties of an outer surface polymeric coating
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B1/00Constructional features of ropes or cables
    • D07B1/06Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
    • D07B1/0673Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core having a rope configuration
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B1/00Constructional features of ropes or cables
    • D07B1/16Ropes or cables with an enveloping sheathing or inlays of rubber or plastics
    • D07B1/162Ropes or cables with an enveloping sheathing or inlays of rubber or plastics characterised by a plastic or rubber enveloping sheathing
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B2201/00Ropes or cables
    • D07B2201/20Rope or cable components
    • D07B2201/2083Jackets or coverings
    • D07B2201/2087Jackets or coverings being of the coated type
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B2201/00Ropes or cables
    • D07B2201/20Rope or cable components
    • D07B2201/2083Jackets or coverings
    • D07B2201/2092Jackets or coverings characterised by the materials used
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B2205/00Rope or cable materials
    • D07B2205/20Organic high polymers
    • D07B2205/2003Thermoplastics
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B2205/00Rope or cable materials
    • D07B2205/20Organic high polymers
    • D07B2205/2064Polyurethane resins
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B2501/00Application field
    • D07B2501/20Application field related to ropes or cables
    • D07B2501/2007Elevators

Landscapes

  • Lift-Guide Devices, And Elevator Ropes And Cables (AREA)
  • Ropes Or Cables (AREA)

Description

本発明は、エレベータに用いられ、乗りかごを吊り下げるエレベータ用ロープ及びエレベータ装置に関するものである。
エレベータ装置は、一般に、巻上機のモータに取り付けられたシーブにロープをかけ、ロープの一端に乗りかごを吊るし、ロープの他端に乗りかごとバランスさせるための錘を吊るした構成を有している。このような構成を有するエレベータ装置では、従来、ロープの早期の摩耗や断線を防止するため、ロープの直径(以下、ロープ径という。)の40倍以上の直径を持つシーブが使用されている。このシーブの直径(以下、シーブ径という。)は、乗りかごを昇降させるために必要なモータの駆動トルクと直接関係しているため、シーブ径を小さくすることにより、モータをはじめとしたエレベータ装置の各種部品の小型・軽量化が達成される。中でも、シーブ径を小さくするためには、上述の理由から、ロープ径も小さくしなければならない。
しかしながら、ロープの本数を変えずにロープ径を小さくすると、ロープの強度が低下し、エレベータの積載可能重量が低下する。他方、ロープの本数を増加すると、エレベータ装置の構成を複雑にしてしまう。また、シーブ径を小さくすると、ロープの曲げ疲労寿命が短くなり、ロープを頻繁に交換する必要がある。
これらの問題を解決する手段として、鋼製素線を複数本撚り合せてストランドとし、このストランドを複数本撚り合せてロープとし、このロープの最外周を樹脂材料で被覆したエレベータ用ロープが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このようなエレベータ用ロープを用いたエレベータ装置では、ロープの最外周を被覆する樹脂材料とシーブとの摩擦力によって駆動されるため、樹脂材料の摩擦特性の向上及び安定化が望まれる。
シーブとロープとの摩擦特性を向上させる方法としては、ワックスを含有しないポリウレタン被覆材でロープを被覆したエレベータ用ロープが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
ところで、一般に、樹脂材料の摩擦係数は、滑り速度や温度に大きく依存することが知られている。また、樹脂材料の動的粘弾性などの粘弾性特性は、滑り速度や温度との間に相関(Williams-Landel-Ferryの式(WLF式))があることも知られている。特に、ゴムの場合においても、粘弾性特性と滑り速度及び温度との間に同様の相関があることから、ゴムの粘弾性特性がゴムの摩擦特性に関係していることが示されている(例えば、非特許文献1を参照)。
特開2001−262482号公報 特表2004−538382号公報
K.A.グロッシェ(K.A.Grosch)、「ゴムの摩擦特性と粘弾性特性との関係(The relation between the friction and visco-elastic properties of rubber)」、プロシーディング・オブ・ザ・ロイヤル・ソサエティーA(Proceedings of the Royal Society A)、1963年6月25日、第274巻、第1356号、p.21−39
上述したように、ゴムを含む樹脂材料は、滑り速度や温度の変化によって摩擦係数が変化し、滑り速度の増加や温度の上昇に伴って摩擦係数が変動する。そのため、特許文献2に記載のワックスを含有しないポリウレタン被覆材であっても、滑り速度や温度が変化した場合には摩擦係数が変化し、乗りかごを安定して制動させることができないという問題があった。また、乗りかごを長時間停止させるためには、ロープとシーブとの摩擦力によって乗りかごの静止状態を維持する必要があるところ、特許文献2に記載のワックスを含有しないポリウレタン被覆材でロープを被覆したとても、ポリウレタン被覆材の摩擦係数の変動が大きいため、微小な滑り速度での摩擦係数を安定して維持できず、乗りかごの停止位置が経時的にずれるという問題があった。
従って、本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、温度や滑り速度に依存せずに安定した摩擦係数を有する樹脂材料でロープを被覆することにより、乗りかごの静止状態の維持に必要となる微小な滑り速度域から通常運転時の滑り速度に至る広範囲な滑り速度において乗りかごを安定して制動させ得るエレベータ用ロープ及びエレベータ装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題点を解決すべく、様々な樹脂材料の摩擦特性について鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
図1は、摩擦係数の滑り速度依存性が異なる樹脂材料(すなわち、滑り速度に対する摩擦係数の変動が異なる樹脂材料)における周波数と損失弾性率E”との関係を示すグラフの一例である。図1からわかるように、摩擦係数の滑り速度依存性が小さな樹脂材料では、損失弾性率E”の周波数依存性が小さい(すなわち、周波数が変化した場合に損失弾性率E”の変動が小さい)のに対し、摩擦係数の滑り速度依存性が大きな樹脂材料では、損失弾性率E”の周波数依存性が大きい(すなわち、周波数が変化した場合に損失弾性率E”の変動が大きい)。つまり、摩擦係数の滑り速度依存性と損失弾性率E”の周波数依存性とには相関があり、損失弾性率E”の周波数依存性を小さくすることで、摩擦係数の滑り速度依存性を小さくし得ることがわかった。
このような知見に基づいて、本発明者らは、樹脂材料の組成について更に検討した結果、ガラス転移温度の差が20℃以上である2種類の樹脂成分を用いると共に、この2種類の樹脂成分の質量比を所定の範囲とした樹脂組成物から得られる成形体が、損失弾性率の周波数依存性と共に摩擦係数の滑り速度依存性を小さくし得ることを見出した。
すなわち、本発明は、ロープ本体と、前記ロープ本体の外周を覆う樹脂被覆層とを備えるエレベータ用ロープであって、前記樹脂被覆層は、第1の樹脂成分と第2の樹脂成分とを90:10〜70:30の質量比で含み、且つ第1の樹脂成分と第2の樹脂成分とのガラス転移温度の差が20℃以上である樹脂組成物の成形体から構成されることを特徴とするエレベータ用ロープである。
また、本発明は、上記のエレベータ用ロープを備えることを特徴とするエレベータ装置である。
本発明によれば、温度や滑り速度に依存せずに安定した摩擦係数を有する樹脂材料でロープを被覆することにより、乗りかごの静止状態の維持に必要となる微小な滑り速度域から通常運転時の滑り速度に至る広範囲な滑り速度において乗りかごを安定して制動させ得るエレベータ用ロープ及びエレベータ装置を提供することができる。
摩擦係数の滑り速度依存性が異なる樹脂材料における周波数と損失弾性率との関係を示すグラフである。 本発明のエレベータ用ロープの断面図である。 一般的な樹脂材料の粘弾性スペクトルである。 摩擦係数の評価を行うためのシステム構成図である。
実施の形態1.
本発明のエレベータ用ロープは、ロープ本体と、ロープ本体の外周を覆う樹脂被覆層とを備える。
以下、本発明のエレベータ用ロープの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図2はエレベータ用ロープの断面図である。図2において、エレベータ用ロープは、ロープ本体1と、ロープ本体1の外周を覆う樹脂被覆層2とを備える。
このエレベータ用ロープは、ロープ本体1の外周を覆う樹脂被覆層2に特徴があるため、樹脂被覆層2が形成されるロープ本体1については特に限定されず、公知のものを用いることができる。ロープ本体1の例としては、複数の鋼製素線を撚り合わせて形成されるストランドや、コードなどの荷重支持部材が挙げられる。また、この荷重支持部材は、ロープ状に限定されず、ベルト状であってもよい。なお、荷重支持部材については、特許文献1及び2、並びに国際公開第2003/050348号及び同第2004/002868号などに詳しく記載されており、これらは本明細書において参考として援用される。
樹脂被覆層2は、ガラス転移温度の差が20℃以上である2種類の樹脂成分(第1の樹脂成分及び第2の樹脂成分)を含む樹脂組成物の成形体から構成される。
ここで、一般的な樹脂材料(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)の粘弾性スペクトル(貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”及び損失正接tanδ)の一例を図3に示す。この粘弾性スペクトルにおいて、測定モードは曲げモード、測定周波数は10Hz、昇温速度は5℃/分である。図3からわかるように、損失弾性率E”のスペクトルは、約−40℃にピークがあり、この温度は熱可塑性ポリウレタンエラストマーのガラス転移温度に相当する。
本発明では、ガラス転移温度の差が20℃以上である2種類の樹脂成分を含む樹脂組成物を用いることにより、樹脂組成物の成形体から構成される樹脂被覆層2の損失弾性率E”のスペクトルにおいて、損失弾性率E”のピークがブロードになるか、又は2つの小さなピークに分割される。その結果、樹脂組成物の成形体から構成される樹脂被覆層2の損失弾性率の周波数依存性が小さくなる。
樹脂被覆層2を与える樹脂組成物に含まれる第1の樹脂成分は、第2の樹脂成分とのガラス転移温度の差が20℃以上であれば特に限定されないが、熱可塑性ポリウレタンエラストマーであることが好ましい。ここで、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとは、一般に、ウレタン構造のハードセグメントと、ポリオール原料由来のソフトセグメントとから構成され、室温でゴム弾性を示すものを意味する。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、使用するポリオール原料の種類によって、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、シリコーン系、オレフィン系などに分類される。
このような熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、一般に公知の方法によって製造することができる。例えば、イソシアネート、ポリオール及び鎖延長剤を原料として用い、これらを共重合させればよい。この重合反応は一般的に公知であり、原料の配合割合及び合成条件は、使用する原料に応じて適宜調整すればよく、特に限定されない。
また、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとして、一般に市販されているものを使用してもよい。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーを合成によって得る場合、イソシアネートとしては、トリレンジオソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネートメチルオクタン、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリエーテルポリオール、シリコーンポリオール、ポリオレフィンポリオールなどが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸又はそのエステル化合物若しくは酸無水物とジオールとの縮合反応で得られるポリエステルポリオール;ε−カプロラクトンなどのラクトンモノマーの開環重合で得られるポリラクトンジオールなどが挙げられる。ここで、ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環族ジカルボン酸が使用され、ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールなどが使用される。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコールなどの多価アルコールの1種以上と、ジエチレンカーボネート、ジエチルカーボネートなどとを反応させて得られるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。具体的には、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリトリメチレンカーボネートジオール、ポリ3−メチル(ペンタメチレン)カーボネートジオール、及びこれらの共重合体が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエステルエーテルポリオールとしては、上記の脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、または、そのエステル若しくは酸無水物と、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド付加物などのグリコールとの縮合反応物などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどの環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの他、これらのコポリエーテルなどが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリコーンポリオールとしては、末端に活性水素を2個有するジメチルポリシロキサンジオール、メチルフェニルポリシロキサンジオール、アミノ変性シリコーンオイル、両末端ジアミン変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、カルボキシル基変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイルなどが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリオレフィンポリオールとしては、ポリイソプレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、又はそれらのスチレン、アクリロニトリル共重合体及びそれらの水添物などを挙げることができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
鎖延長剤としては、低分子量ポリオールを使用することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリンなどの脂肪族ポリオール;1,4−ジメチロールベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などの芳香族グリコールが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
各種の熱可塑性ポリウレタンエラストマーの中でも、第1の樹脂成分は、使用環境下で起こる加水分解を防ぐ観点から、ポリエステル系以外の熱可塑性ポリウレタンエラストマーであることが好ましく、エレベータ用ロープに要求される様々な特性(例えば、柔軟性、耐久性、耐寒性)を考慮すると、JIS A硬度(JIS K7215で規定されるタイプAデュロメータによる硬さ)が85以上95以下のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーであることがより好ましい。
樹脂被覆層2を与える樹脂組成物に含まれる第2の樹脂成分は、第1の樹脂成分のガラス転移温度よりも20℃以上高いか、又は20℃以上低いガラス転移温度を有する樹脂成分である。
このような特性を有する第2の樹脂成分としては、上記の条件を満たせば特に限定されないが、耐久性、耐摩耗性の観点から、第1の樹脂成分の熱可塑性ポリウレタンエラストマーとは異なるポリオールを原料に用いた熱可塑性ポリウレタンエラストマー、又はポリアミド樹脂であることが好ましい。また、各種の熱可塑性ポリウレタンエラストマーの中でも、第2の樹脂成分は、エレベータ用ロープに要求される様々な特性(例えば、柔軟性、耐久性、耐寒性)を考慮すると、JIS A硬度(JIS K7215で規定されるタイプAデュロメータによる硬さ)が85以上95以下のポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマーやシリコーン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好ましい。
ポリアミド樹脂としては、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂などが挙げられる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、一般に、ポリアミドのハードセグメントと、ポリエーテル又はポリエステルのソフトセグメントとから構成され、室温でゴム弾性を示すものを意味する。中でも、耐加水分解性の観点からは、ポリアミドのハードセグメントと、ポリエーテルのソフトセグメントとから構成されるポリアミド系熱可塑性エラストマーが好ましい。
ポリアミド系熱可塑性樹脂とは、一般に、分子鎖にポリアミド結合を有する熱可塑性樹脂を意味し、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などが例として挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1の樹脂成分と第2の樹脂成分との質量比は、90:10〜70:30である。第2の樹脂成分の質量比が低すぎると、第2の樹脂成分を配合することによる効果(特に、樹脂被覆層2における安定した摩擦係数)が得られない。逆に、第2の樹脂成分の質量比が高すぎると、第2の樹脂成分の特性が支配的になり、樹脂組成物の成形体から構成される樹脂被覆層2が硬くなりすぎてロープの柔軟性が損なわれたり、樹脂被覆層2の耐久性が低下する。その結果、このロープをエレベータ装置に用いて駆動させると、消費電力が増加したり、繰り返し屈曲したときの耐久性が悪くなるなどの問題が生じる。
樹脂被覆層2を与える樹脂組成物は、公知の手段を用いて上記の成分を混合することによって調製することができる。この樹脂組成物は、押出成形や射出成形などの公知の成形手段を用い、ロープ本体1の外周を覆うように成形することによって、樹脂被覆層2とすることができる。また、樹脂組成物の成形物の物性を安定させるために、加熱処理を施してもよい。加熱処理の条件は、使用する樹脂組成物にあわせて適宜調整すればよく、特に限定されない。
樹脂被覆層2のガラス転移温度は高くなるほど、摩擦係数の滑り速度依存性が小さくなる一方、樹脂被覆層2の弾性率が高くなる傾向にある。そのため、ガラス転移温度が高い樹脂被覆層2を形成したロープをエレベータ装置に用いた場合、ロープの柔軟性が損なわれたり、樹脂被覆層2のガラス転移温度よりも高い環境下でロープが繰り返し曲げられると、応力によって樹脂被覆層2の割れなどの疲労破壊が生じ易くなる傾向にある。そのため、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”のピーク温度により規定される樹脂被覆層2のガラス転移温度を、前記ピークが1つのみ存在する場合は、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−25℃以下とすることが望ましい。また、前記ピーク温度が2つ存在する場合は、樹脂被覆層2に含まれる第1の樹脂成分のガラス転移温度を好ましくは−20℃以下、より好ましくは−25℃以下とすることが望ましい。
また、樹脂被覆層2のJIS A硬度(JIS K7215で規定されるタイプAデュロメータによる硬さ)は、98を超えると、ロープの柔軟性が損なわれ、これをエレベータ装置に適用して駆動させた際に消費電力が増加する傾向にある。逆に、樹脂被覆層2のJIS A硬度が、85未満であると、エレベータ用ロープとして繰り返し屈曲させたときの耐久性が悪くなる傾向にある。そのため、樹脂被覆層2のJIS A硬度は、好ましくは85以上98以下とすることが望ましい。
エレベータ用ロープにおいて、ロープ本体1に対する樹脂被覆層2の密着性を向上させる観点から、ロープ本体1に接着剤を予め塗布した後に樹脂被覆層2を形成してもよい。接着剤としては、金属及びポリウレタン用接着剤であれば特に限定されず、例えば、ケムロック(登録商標)218(ロード・ファー・イースト・インコーポレイテッド製)が挙げられる。
以上のような特徴を有するエレベータ用ロープは、温度や滑り速度に依存せずに安定した摩擦係数を有する樹脂材料でロープを被覆しているため、エレベータ装置に用いた場合、乗りかごの静止状態の維持に必要となる微小な滑り速度域から通常運転時の滑り速度に至る広範囲な滑り速度において乗りかごを安定して制動させることができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリテトラメチレングリコール、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び1,4−ブタンジオールを反応させてなるポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマー(JIS A硬度95、ガラス転移温度−30℃)のペレットと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び1,4−ブタンジオールを反応させてなるポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマー(JIS A硬度95、ガラス転移温度5℃)のペレットとを90:10の質量比で混合して樹脂組成物を得た。
次に、この樹脂組成物を押出成形機に供給し、ロープ本体の外周を覆うように押出成形を行い、ロープ本体の外周に樹脂被覆層を成形した。ここで、ロープ本体には、国際公開第2003/050348号に記載されているような複数の鋼製素線を撚り合わせて形成されるストランドを用い、樹脂被覆層の形成前に、ケムロック(登録商標)218(ロード・ファー・イースト・インコーポレイテッド製)をロープ本体に予め塗布して乾燥させた。
次に、樹脂被覆層の物性を安定させるために、このロープを100℃で2時間加熱し、直径12mmのエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトルを測定したところ(この測定において、測定モードは曲げモード、測定周波数は10Hz、昇温速度は5℃/分とした。以下の実施例及び比較例においても同じ測定条件とした。)、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが1つ存在し、ガラス転移温度に相当するそのピーク温度は−30℃であった。また、このエレベータ用ロープの樹脂被覆層についてJIS A硬度を測定したところ、JIS A硬度は95であった。
(実施例2)
ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのペレットと、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのペレットとの質量比を80:20にしたこと以外は、実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトル及びJIS A硬度を測定したところ、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが1つ存在し、ガラス転移温度に相当するそのピーク温度は−28℃、JIS A硬度は95であった。
(実施例3)
ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのペレットと、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのペレットとの質量比を70:30にしたこと以外は、実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトル及びJIS A硬度を測定したところ、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが1つ存在し、ガラス転移温度に相当するそのピーク温度は−25℃、JIS A硬度は95であった。
(実施例4)
実施例1で使用したポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのペレットと、両末端カルビニール変性シロキサン、ポリテトラメチレングリコール、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び1,4−ブタンジオールを反応させてなるシリコーン系熱可塑性ポリウレタンエラストマー(JIS A硬度95、ガラス転移温度−50℃)のペレットとを80:20の質量比で混合して得られた樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトル及びJIS A硬度を測定したところ、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが1つ存在し、ガラス転移温度に相当するそのピーク温度は−32℃、JIS A硬度は95であった。
(実施例5)
実施例1で使用したポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのペレットと、ナイロン6(ガラス転移温度50℃)のペレットとを80:20の質量比で混合して得られた樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトル及びJIS A硬度を測定したところ、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが2つ存在し、第1の樹脂成分であるポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのガラス転移温度に相当するそのピーク温度は−28℃、JIS A硬度は97であった。
(実施例6)
実施例1で使用したポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのペレットと、ナイロン66(ガラス転移温度55℃)のペレットとを80:20の質量比で混合して得られた樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトル及びJIS A硬度を測定したところ、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが2つ存在し、第1の樹脂成分であるポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのガラス転移温度に相当するそのピーク温度は−30℃、JIS A硬度は98であった。
(実施例7)
実施例1で使用したポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのペレットと、ナイロン12(ガラス転移温度40℃)のペレットとを80:20の質量比で混合して得られた樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトル及びJIS A硬度を測定したところ、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが2つ存在し、第1の樹脂成分であるポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのガラス転移温度に相当するそのピーク温度は−30℃、JIS A硬度は97であった。
(比較例1)
実施例1で使用したポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのみを用いて樹脂被覆層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトル及びJIS A硬度を測定したところ、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが1つ存在し、ガラス転移温度に相当するそのピーク温度は−30℃、JIS A硬度は95であった。
(比較例2)
実施例1で使用したポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのみを用いて樹脂被覆層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトル及びJIS A硬度を測定したところ、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが1つ存在し、ガラス転移温度に相当するそのピーク温度は5℃、JIS A硬度は95であった。
(比較例3)
実施例4で使用したシリコーン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのみを用いて樹脂被覆層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトル及びJIS A硬度を測定したところ、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが1つ存在し、ガラス転移温度に相当するそのピーク温度は−50℃、JIS A硬度は95であった。
(比較例4)
実施例7で使用したナイロン12のみを用いて樹脂被覆層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトル及びJIS A硬度を測定したところ、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが1つ存在し、ガラス転移温度に相当するそのピーク温度は40℃、JIS A硬度は100であった。
(比較例5)
ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのペレットと、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのペレットとの質量比を60:40にしたこと以外は、実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトル及びJIS A硬度を測定したところ、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが1つ存在し、ガラス転移温度に相当するそのピーク温度は−15℃、JIS A硬度は95であった。
(比較例6)
実施例1で使用したポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、ポリカプロラクトンジオールと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと1,4−ブタンジオールを反応させてなるポリエステル系熱可塑性ポリウレタンエラストマー(JIS D硬度60、ガラス転移温度−20℃)のペレットとを80:20の質量比で混合して得られた樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。このエレベータ用ロープの樹脂被覆層について粘弾性スペクトル及びJIS A硬度を測定したところ、粘弾性スペクトルの損失弾性率E”にはピークが1つ存在し、ガラス転移温度に相当するそのピーク温度は−28℃、JIS A硬度は97であった。
上記の実施例及び比較例で得られたエレベータ用ロープについて摩擦係数の評価を行った。なお、比較例4及び5のエレベータ用ロープについては、樹脂被覆層が硬く、ロープとして繰り返し屈曲可能な柔軟性を有するものが得られなかったため、本評価は行わなかった。
摩擦係数の評価は、微小な滑り速度及び通常運転滑り速度の両方に対して行った。この評価を行うためのシステム構成図を図4に示す。図4に示すように、実施例及び比較例で得られたエレベータ用ロープ10をシーブ11に対して180度巻き付け、その一端を錘12に接続し、他端を地面13に固定した。そして、錘12側のロープ張力(T1)を測定するため、エレベータ用ロープ10と錘12との連結部付近にロードセル14を設けた。同様に、地面13側のロープ張力(T2)を測定するため、エレベータ用ロープ10と地面13との連結部付近にロードセル14を設けた。
このシステムにおいて、シーブ11を所定の速度で時計回りに回転させると、エレベータ用ロープ10とシーブ11との間に生じる摩擦力の分だけ、地面13側のロープ張力(T2)が低下し、錘12側のロープ張力(T1)との間で張力差が発生する。この時のロープ張力(T1及びT2)をロードセル14によって測定し、下記の一般式に代入することでエレベータ用ロープ10とシーブ11との間の摩擦係数を求めた。なお、ロープ張力(T1及びT2)の測定は、微小な滑り速度の場合を1×10-5mm/秒、通常運転滑り速度の場合を0.01mm/秒、及び1mm/秒と定義し、これらの速度でシーブ11を時計回りに回転させて実施した。また、この測定の際の温度は25℃とした。
Figure 0005295386
上記式中、θはロープ巻き付け角(すなわち、180度)、K2はシーブ溝の形状で決まる係数(すなわち、1.19)である。
上記式で得られた摩擦係数の結果について、滑り速度1mm/秒の場合の摩擦係数を100とし、この摩擦係数に対して滑り速度0.01mm/秒、及び1×10-5mm/秒の場合の摩擦係数を相対値で表した結果を表1に示す。
Figure 0005295386
表1の結果からわかるように、実施例及び比較例で得られたエレベータ用ロープの摩擦係数は、滑り速度が小さくなるにつれて低下する傾向を示した。しかし、実施例で得られたエレベータ用ロープでは、滑り速度1×10-5mm/秒の場合の摩擦係数を、1mm/秒の場合の摩擦係数の75%以上に維持することができ、摩擦係数の変動が少なかった。これに対して比較例で得られたエレベータ用ロープでは、滑り速度1×10-5mm/秒の場合の摩擦係数が、1mm/秒の場合の摩擦係数の45%以下にまで低下し、摩擦係数の変動が大きかった。
また、実施例1〜3及び比較例5の結果からわかるように、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマーの比率が高くなるほど摩擦係数の変動が小さくなるが、ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーに対するポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマーの質量比が高すぎると、エレベータ用ロープの被覆樹脂層が硬くなり過ぎてしまい、ロープとして繰り返し屈曲可能な柔軟性を有するものが得られなくなった。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、温度や滑り速度に依存せずに安定した摩擦係数を有する樹脂材料でロープを被覆することにより、乗りかごの静止状態の維持に必要となる微小な滑り速度域から通常運転時の滑り速度に至る広範囲な滑り速度において乗りかごを安定して制動させ得るエレベータ用ロープ及びエレベータ装置を提供することができる。

Claims (5)

  1. ロープ本体と、前記ロープ本体の外周を覆う樹脂被覆層とを備えるエレベータ用ロープであって、
    前記樹脂被覆層は、第1の樹脂成分と第2の樹脂成分とを90:10〜70:30の質量比で含み、且つ第1の樹脂成分と第2の樹脂成分とのガラス転移温度の差が20℃以上である樹脂組成物の成形体から構成されることを特徴とするエレベータ用ロープ。
  2. 前記第1の樹脂成分及び前記第2の樹脂成分は、異なるポリオールを原料に用いた熱可塑性ポリウレタンエラストマーであることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用ロープ。
  3. 前記第1の樹脂成分はポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーであり、且つ前記第2の樹脂成分はポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマー及びシリコーン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータ用ロープ。
  4. 前記第1の樹脂成分はポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーであり、且つ前記第2の樹脂成分はポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用ロープ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレベータ用ロープを備えることを特徴とするエレベータ装置。
JP2011544146A 2009-12-02 2009-12-02 エレベータ用ロープ及びエレベータ装置 Active JP5295386B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2009/070233 WO2011067839A1 (ja) 2009-12-02 2009-12-02 エレベータ用ロープ及びエレベータ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2011067839A1 JPWO2011067839A1 (ja) 2013-04-18
JP5295386B2 true JP5295386B2 (ja) 2013-09-18

Family

ID=44114704

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011544146A Active JP5295386B2 (ja) 2009-12-02 2009-12-02 エレベータ用ロープ及びエレベータ装置

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP2508459B1 (ja)
JP (1) JP5295386B2 (ja)
KR (1) KR101329386B1 (ja)
CN (1) CN102666344B (ja)
WO (1) WO2011067839A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5586699B2 (ja) * 2010-09-09 2014-09-10 三菱電機株式会社 エレベータ用ロープ
JP2017191879A (ja) * 2016-04-14 2017-10-19 株式会社小糸製作所 発光モジュール
WO2018015173A1 (en) 2016-07-19 2018-01-25 Bekaert Advanced Cords Aalter Nv An evelator tension member with a hard thermoplastic polyurethane elastomer jacket

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1142693A (ja) * 1997-07-29 1999-02-16 Shin Etsu Polymer Co Ltd 結束紐
JP2002533488A (ja) * 1998-12-18 2002-10-08 バイエル アクチェンゲゼルシャフト 向上した耐衝撃性、高安定性および良好な光学特性を有する水性二成分ポリウレタン系、その製造方法およびその使用
JP2003048937A (ja) * 2001-08-06 2003-02-21 Toyo Tire & Rubber Co Ltd クッション構造体とその製造方法
JP3756878B2 (ja) * 2002-12-18 2006-03-15 東京製綱株式会社 被覆ワイヤロープ
JP2008530342A (ja) * 2005-02-17 2008-08-07 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ ポリ(アリーレンエーテル)組成物及び物品

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3724322B2 (ja) 2000-03-15 2005-12-07 株式会社日立製作所 ワイヤロープとそれを用いたエレベータ
US20050208286A1 (en) * 2000-09-21 2005-09-22 Hartmann Mark H Polymeric composites having enhanced reversible thermal properties and methods of forming thereof
US20030024770A1 (en) 2001-08-03 2003-02-06 O'donnell Hugh James Elevator belt assembly with waxless coating
WO2003025278A1 (fr) 2001-09-12 2003-03-27 Hitachi, Ltd. Corde
WO2003050348A1 (fr) 2001-12-12 2003-06-19 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Cable d'ascenseur et dispositif d'ascenseur
CN1625618A (zh) 2002-01-30 2005-06-08 泰盛电梯资金股份有限公司 升降机用的合成纤维绳索
WO2004002868A1 (ja) 2002-06-27 2004-01-08 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha エレベータ用ロープ及びその製造方法
JP4374293B2 (ja) * 2004-07-15 2009-12-02 株式会社日立製作所 ワイヤロープおよびワイヤロープの劣化検出方法
CN1936137A (zh) * 2006-08-18 2007-03-28 上海兰度科技有限公司 纳米纤维包覆的线性复合材料及其制备方法
JP5281883B2 (ja) * 2008-03-07 2013-09-04 株式会社日立製作所 エレベータ用ロープおよびエレベータ用ベルト

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1142693A (ja) * 1997-07-29 1999-02-16 Shin Etsu Polymer Co Ltd 結束紐
JP3048540B2 (ja) * 1997-07-29 2000-06-05 信越ポリマー株式会社 結束紐
JP2002533488A (ja) * 1998-12-18 2002-10-08 バイエル アクチェンゲゼルシャフト 向上した耐衝撃性、高安定性および良好な光学特性を有する水性二成分ポリウレタン系、その製造方法およびその使用
JP2003048937A (ja) * 2001-08-06 2003-02-21 Toyo Tire & Rubber Co Ltd クッション構造体とその製造方法
JP3756878B2 (ja) * 2002-12-18 2006-03-15 東京製綱株式会社 被覆ワイヤロープ
JP2008530342A (ja) * 2005-02-17 2008-08-07 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ ポリ(アリーレンエーテル)組成物及び物品

Also Published As

Publication number Publication date
WO2011067839A1 (ja) 2011-06-09
EP2508459A1 (en) 2012-10-10
JPWO2011067839A1 (ja) 2013-04-18
CN102666344A (zh) 2012-09-12
EP2508459A4 (en) 2014-12-17
KR20120088812A (ko) 2012-08-08
KR101329386B1 (ko) 2013-11-14
CN102666344B (zh) 2014-11-05
EP2508459B1 (en) 2015-09-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5300868B2 (ja) エレベータ用ロープ
JP5295386B2 (ja) エレベータ用ロープ及びエレベータ装置
JP2018025296A (ja) 熱硬化性ポリウレタン組成物及びその用途
JP5409905B2 (ja) エレベータ用ロープ
JP5586699B2 (ja) エレベータ用ロープ
JP4031330B2 (ja) ゴルフボールのカバー材用シリコーン変性熱可塑性ポリウレタンおよびゴルフボールのカバー成形用組成物
JP5832727B2 (ja) エレベータ用ロープの製造方法
WO2018021454A1 (ja) 熱硬化性ポリウレタン組成物及びその用途
JP6927454B2 (ja) ウレタン樹脂組成物及びフィルム
WO2013145130A1 (ja) エレベータ用ロープ及びエレベータ装置
JP4749843B2 (ja) 歯付ベルト歯面の表面状態測定方法
JP2023001696A (ja) 艶消し剤を含有するゴルフボール及びその製造方法
JP5436190B2 (ja) エレベータ用ロープ
JP6927453B2 (ja) 樹脂成形体
JP2018087313A (ja) 熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物
JP6858572B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物
JP2000073242A (ja) 仮撚ディスク

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130514

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130611

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5295386

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250