JP5294744B2 - 親水性ポリオレフィン焼結体 - Google Patents
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すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと下記一般式(1)
(2)親水性ポリオレフィン焼結体の空孔内壁に保持される共重合体中の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンモノマーユニット含有率が、3〜95モル%であることを特徴とする、上記(1)に記載の親水性ポリオレフィン焼結体。
(3)親水性ポリオレフィン焼結体の空孔内壁に保持される共重合体の保持率が、0.01〜50重量%であることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の親水性ポリオレフィン焼結体。
(4)親水性ポリオレフィン焼結体が、平均空孔率20〜80容積%、平均空孔径1〜150μmの連続空孔を有することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の親水性ポリオレフィン焼結体。
(5)親水性ポリオレフィン焼結体を構成するポリオレフィン樹脂粒子が、エチレンの単独重合体又はエチレンと炭素数が3以上のオレフィンとの共重合体であることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の親水性ポリオレフィン焼結体。
(6)親水性ポリオレフィン焼結体を構成するポリオレフィン樹脂粒子が、平均粒径10〜350μm、90重量%以上の粒径が1〜500μmの範囲内、嵩密度0.20〜0.55g/cm3、密度0.850〜0.970g/cm3、かつ、粘度平均分子量5万〜700万であることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の親水性ポリオレフィン焼結体。
(7)2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと下記一般式(1)
本発明に用いるポリオレフィン樹脂粒子としては、粒子状のポリオレフィンであれば特に限定されないが、焼結成形に好適な粒子が容易に得られる、焼結成形が容易であり賦形性に優れる、適度に柔らかく適度に剛性がある、耐薬品性に優れる、焼結体に成形した後も加工性に優れる、素材の吸湿性および吸水性が低いことにより吸水時の寸法安定性に優れる等の理由から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の単独重合体、エチレンやプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸およびこれらのエステルとの共重合体であることが好ましく、エチレンの単独重合体あるいはエチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合体であることが特に好ましい。エチレンと共重合する炭素数3以上のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。このうちのいくつかを組み合わせて、エチレンと共重合することもできる。また、ブタジエン、イソプレン等のジエンの共存下にオレフィンを重合することも可能であり、さらにはジエンを重合することも可能である。
本発明に用いるポリオレフィン樹脂粒子の形状について、特に制限はない。真球状でも不定形でもよく、一次粒子からなるものでも、一次粒子が複数個凝集し一体化した二次粒子でも、二次粒子をさらに粉砕したものでも構わない。
子が得られるスラリー法又は気相法を用いることが好ましく、特にスラリー法を用いることが好ましい。製造時の重合圧力について特に制限はなく、通常はゲージ圧として0.1MPa〜300MPaであるが、スラリー法の場合には常圧〜10MPaが好ましい。
重合温度について特に制限はなく、通常は25℃〜300℃であるが、スラリー法の場合には25℃〜120℃が好ましく、50℃〜100℃が特に好ましい。スラリー法の溶媒としては、通常使用される不活性炭化水素溶媒が用いられ、例えば、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、又は、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。
本発明におけるポリオレフィン樹脂粒子の密度とは、ポリオレフィン樹脂粒子のプレスシートから切り出した切片を用い、JIS K 7112に準じて測定した値であり、特に制限はないが、親水性ポリオレフィン焼結体としての柔軟性を損なわずに剛性や耐薬品性を確保するには、0.850〜0.970g/cm3の範囲にあることが好ましく、0.920〜0.960g/cm3の範囲にあることが特に好ましい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂粒子の粘度平均分子量とはポリマー溶液の比粘度から求めた極限粘度を粘度平均分子量に換算した値であり、特に制限はないが、焼結成形時に空孔の形成を阻害する要因となる樹脂の流動が少なく、かつ、隣り合うポリオレフィン樹脂粒子の融着性に優れるため、5万〜700万の範囲にあることが好ましく、10万〜500万の範囲にあることがより好ましく、20万〜400万の範囲にあることが特に好ましい。
焼結体の形状について、特に制限はないが、例えば板状、円筒状、円柱状、角柱状、球状、直方体、立方体、その他異形品等の形状にすることが可能である。
引き起こす可能性があることから、振動充填に要する時間は充填装置に合わせて必要最小限にすることが好ましい。
金型の材質について特に制限はなく、例えば鉄、ステンレス、真鍮、アルミニウム等が用いられるが、耐久性があり、熱容量が小さく、軽量で取扱いが容易であることから、アルミニウムが好ましい。金型の形状は、2枚の平板を平行に配した板用の物、直径の異なる円筒状のものを二重に配した円筒用の物等、粒子の充填が可能であれば特に制限はない。
本発明における親水性ポリオレフィン焼結体の連続空孔とは、焼結体のある面からその他の面へ連続している空孔である。この空孔は、直線的であっても曲線的であっても良い。また、全体が均一な寸法であっても良いし、例えば表層と内部、あるいは一方の表層と他方の表層とで空孔の寸法を変えたものであっても良い。
平均空孔率(容積%)=[(真の密度−見掛けの密度)/真の密度]×100
ここで、真の密度(g/cm3)とはポリオレフィン樹脂粒子の密度であり、見かけの密度(g/cm3)とは焼結体の重量を焼結体の外寸から算出した容積で割った値である。なお、焼結体の空孔は全体に均一であっても良いし、不均一であっても良い。
本発明における2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとは、以下の化学式
本発明における下記一般式(1)
上記の式中R2で表される炭素数2〜20の炭化水素基としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−メチルプロピル基、ペンチル基、2−メチルブチル基、2−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、オクチル基、2−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、2−メチルオクチル基、2−エチルヘプチル基、デシル基、2−メチルノニル基、2−エチルオクチル基、ラウリル基、ミスチル基、セチル基、ステアリル基等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基、tert−ブチルシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2−ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましい。
なお、上記の式中R2で表される炭化水素基の炭素数が2〜20の範囲にあることによって、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとの共重合体の疎水性およびガラス転移温度の低下が抑制され、かつ、モノマー自体の取り扱い性に優れる等の利点がある。
含有率(モル%)=[A/(A+B)]×100
(上記の式中、Aは2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのモル数、Bは上記一般式(1)で示されるエチレン性不飽和基含有モノマーのモル数である。)
、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと上記一般式(1)で示されるエチレン性不飽和基含有モノマーとを溶媒中で開始剤の存在下で反応させて得られる。
本発明において親水性ポリオレフィン焼結体の空孔内壁に保持される共重合体を重合する際の溶媒としては、モノマーが均一溶解するものであれば特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルムおよびこれらの混合物等が挙げられる。
本発明における親水性ポリオレフィン焼結体は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと上記一般式(1)で示されるエチレン性不飽和基含有モノマーとの共重合体がポリオレフィン樹脂粒子からなる焼結体の空孔内壁に保持されていることを特徴としている。
また、空孔内壁に保持されている状態とは、空孔内壁に上記共重合体の被覆層が形成されている状態である。ポリオレフィン樹脂粒子の多孔質焼結体は元々が疎水性であるため、空孔内壁に保持される共重合体の疎水性成分であるメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルのモノマーユニットが疎水/疎水相互作用で強く吸着しており、安定に保持される。さらに、細胞膜の主要構成成分であるリン脂質に類似した2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンモノマーユニットが表面に出るため、極めて生体親和性に優れたものになる。これは、界面活性剤によって親水化した従来の親水性ポリオレフィン焼結体では得られない効果である。
なお、本発明における保持率とは、以下の式に従って算出された値である。
保持率(重量%)=[(保持後の重量−保持前の重量)/保持前の重量]×100
できる液相で行う方法が好ましい。
また、均一性を高めるために、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの共重合体はあらかじめ溶媒中に溶解させてから用いることが好ましい。具体的には、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの共重合体を適切な溶媒に溶解させた共重合体溶液を調製し、ポリオレフィン樹脂粒子からなる焼結体の空孔内壁にこの共重合体溶液を接触させ、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの共重合体を吸着させる。その後、過剰の共重合体溶液を除去し、必要に応じて乾燥を行うことにより、焼結体の空孔内壁に2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの共重合体が被覆層となって保持される。
さらに、焼結体の空孔内部にまで均一に保持することができるため、共重合体溶液に焼結体を浸漬する際は、減圧下にて浸漬することが好ましい。減圧時の真空度は、焼結体の空孔内部から気泡が除去できれば特に制限はなく、減圧によって溶媒が蒸発しても良い。加えて、焼結体の空孔内壁に共重合体溶液を接触させる前には、脱気することが好ましい。脱気した反応容器に共重合体溶液を吸引導入することにより、焼結体の空孔内部にまで均一に保持することができる。脱気する際の反応容器内の真空度は0〜1340Paの範囲にあることが好ましく、0〜134Paの範囲にあることがより好ましく、0〜13.4Paの範囲にあることが特に好ましい。
範囲にあることが特に好ましい。
本発明によって得られる親水性ポリオレフィン焼結体は、一般工業部材として利用可能であるほか、イムノクロマト法による迅速検査キットの支持体、アフェレシス治療用のフィルター、人工透析等用のフィルター、各種インプラント、生体分析キット等のプレフィルター、剛性の低いフィルター等の支持体、イオン交換樹脂の支持体等のライフサイエンス分野や、プリンタヘッド用インク吸収体、固体電解質の支持体、燃料電池用部材等のエレクトロニクス分野においても利用可能である。
次に、実施例および比較例によって本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本発明の実施例および比較例における焼結体の作製は、以下の方法によって行った。まず、厚さ2mmのアルミニウム板を用いて、外寸が厚さ6mm、幅112mm、高さ108mm、内寸が厚さ2mm、幅100mm、高さ100mmの金型を作製した。金型の上蓋となるアルミニウム板を外し、30秒間バイブレーターで振動を与えながらポリオレフィン樹脂粒子を充填した。上蓋を元に戻した後、150℃のオーブンで25分間加熱して平板状の焼結体を得た。
本発明の実施例および比較例における平均空孔率は、以下の式に従って算出した。
平均空孔率(容積%)=[(真の密度−見掛けの密度)/真の密度]×100
ここで、真の密度(g/cm3)とはポリオレフィン樹脂粒子の密度であり、見かけの密度(g/cm3)とは焼結体の重量を焼結体の外寸から算出した容積で割った値である。[平均空孔径の測定]
本発明の実施例および比較例における平均空孔径は、ユアサアイオニクス株式会社製ポアサイズメーターPSM165、および、株式会社島津製作所製自動ポロシメータオートポアIV9510を用いて求めた。自動ポロシメータの測定条件は、低圧部測定範囲0.54〜40psia、低圧部測定点数46点、高圧部測定範囲50〜6000psia、高圧部測定点数43点とした。
本発明の実施例および比較例における水滴吸収時間の測定は、以下の方法によって行った。まず、縦50mm、横50mm、厚さ2mmの焼結体を、大気圧下、25℃にて24時間水中に浸漬し静置した。その後、大気圧下、25℃にて焼結体を取り出し、連続空孔中の水分をガーゼで吸い取ったらすぐさま、焼結体の中央にエッペンドルフ株式会社製マ
イクロピペットを用いて高さ20mmの位置から35μlの水滴を滴下して、全量が焼結体内部に吸収されるまでに要する時間を測定し、この時間を水滴吸収時間とした。なお、本発明の実施例および比較例における水は、イオン交換水(岡山汽水工業有限会社製、採水時の抵抗率が200万Ω・cm以上)を使用した。
本発明の実施例および比較例におけるポリオレフィン樹脂粒子の平均粒径は、株式会社島津製作所製SALD−2100を用い、メタノールを分散媒として測定することによって求めた。また、1〜500μmの範囲の累積重量を算出し、測定粒子全体の90重量%以上であるか否かを判定した。
[嵩密度の測定]
本発明の実施例および比較例におけるポリオレフィン樹脂粒子の嵩密度は、該ポリオレフィン樹脂粒子に滑剤等の添加剤を添加することなく、JIS K 6892に準じて測定することによって求めた。
本発明の実施例および比較例におけるポリオレフィン樹脂粒子の密度は、ポリオレフィン樹脂粒子のプレスシートから切り出した切片を120℃で1時間アニーリングし、その後25℃で1時間冷却したものを密度測定用サンプルとして用い、JIS K 7112に準じて測定することによって求めた。なお、ポリオレフィン樹脂粒子のプレスシートは、縦60mm、横60mm、厚み2mmの金型を用い、ASTM D 1928 Procedure Cに準じて作製した。
本発明の実施例および比較例におけるポリオレフィン樹脂粒子の粘度平均分子量は、以下に示す方法によって求めた。まず、20cm3のデカリン(デカヒドロナフタレン)にポリマー10mgをいれ、150℃で2時間攪拌してポリマーを溶解させた。その溶液を135℃の恒温槽で、ウベローデタイプの粘度計を用いて、標線間の落下時間(ts)を測定した。同様に、ポリマー5mgの場合についても測定した。ブランクとしてポリマーを入れていない、デカリンのみの落下時間(tb)を測定した。以下の式に従って求めたポリマーの比粘度(ηsp/C)をそれぞれプロットして濃度(C)とポリマーの比粘度(ηsp/C)の直線式を導き、濃度0に外挿した極限粘度(η)を求めた。
ηsp/C=(ts/tb−1)/0.1
この極限粘度(η)から以下の式に従い、粘度平均分子量(Mv)を求めた。
Mv=5.34×104η1.49
本発明の実施例および比較例における2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの共重合体の重量平均分子量は、以下に示す方法によって求めた。まず、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの共重合体を1mg/mlになるよう溶出溶媒を用いて希釈し、この溶液を孔径0.45μmのメンブランフィルタで濾過し、試験溶液とした。ポリエチレングリコールを標準サンプルとして以下に示す条件でGPC測定を行った。
カラム;Shodex OHpak SB−804HQ×1本
溶出溶媒;[LiBr]=10mmol/l、MeOH/H2O=7/3溶液
標準物質;ポリエチレングリコール(東ソー株式会社製)
検出;視差屈折計
流速;0.5ml/分
試料溶液使用量;100μl
カラム温度;25℃
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量測定(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)の計算;日本分光ChromNAVを使用
[2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと2−エチルヘキシルメタクリレートの共重合体の合成]
平均粒径が163μm、粒径が1〜500μmの範囲内の累積重量が90重量%以上、嵩密度が0.44g/cm3、密度が0.940g/cm3、粘度平均分子量が330万である超高分子量高密度ポリエチレンパウダー(旭化成ケミカルズ株式会社製サンファインTM UH901)を用いて平板状の焼結体を作製した。減圧下、25℃にて2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと2−エチルヘキシルメタクリレートの共重合体の0.3重量%エタノール溶液1000cm3に上記の焼結体を気泡が生じなくなるまで20分間浸漬した後、取り出して乾燥させることによって、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン共重合体の保持率0.40%の親水性多孔質焼結体を得た。得られた親水性多孔質焼結体の平均空孔率、平均空孔径、および水滴吸収時間を表1に示す。この親水性多孔質焼結体は、湿潤状態において優れた吸水機能を示した。
実施例1で使用した超高分子量高密度ポリエチレンパウダーを用いて平板状の焼結体を作製した。得られた多孔質焼結体の平均空孔率、平均空孔径、および水滴吸収時間を表1に示す。この多孔質焼結体に吸水機能は認められなかった。
実施例1で使用した超高分子量高密度ポリエチレンパウダーを用いて平板状の焼結体を作製した。大気圧下、25℃にて2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと2−エチルヘキシルメタクリレートの共重合体の0.3重量%エタノール溶液1000cm3に上記の焼結体を10分間浸漬した後、取り出して乾燥させることによって、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン共重合体の保持率0.25%の親水性多孔質焼結体を得た。得られた親水性多孔質焼結体の平均空孔率、平均空孔径、および水滴吸収時間を表2に示す。この親水性多孔質焼結体は、湿潤状態において優れた吸水機能を示した。
平均粒径が277μm、粒径が1〜500μmの範囲内の累積重量が90重量%以上、嵩密度が0.45g/cm3、密度が0.955g/cm3、粘度平均分子量が30万である高密度ポリエチレンパウダー(旭化成ケミカルズ株式会社製サンファインTM SH821)を用いた以外は、実施例1と同様の操作によって、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン共重合体の保持率0.40%の親水性多孔質焼結体を得た。得られた親水性多孔質焼結体の平均空孔率、平均空孔径、および水滴吸収時間を表2に示す。この親水性多孔質焼結体は、湿潤状態において優れた吸水機能を示した。
実施例3で使用した高密度ポリエチレンパウダーを用いた以外は、実施例2と同様の操作によって、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン共重合体の保持率0.30%の親水性多孔質焼結体を得た。得られた親水性多孔質焼結体の平均空孔率、平均空孔径、および水滴吸収時間を表2に示す。この親水性多孔質焼結体は、湿潤状態において優れた吸水機能を示した。
Claims (7)
- 2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと下記一般式(1)
で示されるエチレン性不飽和基含有モノマーとの共重合体がポリオレフィン樹脂粒子からなる焼結体の空孔内壁に保持されている親水性ポリオレフィン焼結体であって、かつ
親水性ポリオレフィン焼結体を構成するポリオレフィン樹脂粒子が、平均粒径10〜350μm、90重量%以上の粒径が1〜500μmの範囲内、嵩密度0.20〜0.55g/cm 3 、密度0.850〜0.970g/cm 3 、かつ、粘度平均分子量5万〜700万である、
ことを特徴とする親水性ポリオレフィン焼結体。 - 親水性ポリオレフィン焼結体の空孔内壁に保持される共重合体中の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンモノマーユニット含有率が、3〜95モル%であることを特徴とする、請求項1に記載の親水性ポリオレフィン焼結体。
- 親水性ポリオレフィン焼結体の空孔内壁に保持される共重合体の保持率が、0.01〜50重量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の親水性ポリオレフィン焼結体。
- 親水性ポリオレフィン焼結体が、平均空孔率20〜80容積%、平均空孔径1〜150μmの連続空孔を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の親水性ポリオレフィン焼結体。
- 親水性ポリオレフィン焼結体を構成するポリオレフィン樹脂粒子が、エチレンの単独重合体又はエチレンと炭素数が3以上のオレフィンとの共重合体であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の親水性ポリオレフィン焼結体。
- 一般式(1)で示されるエチレン性不飽和基含有モノマーが、2−エチルヘキシルメタクリレートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の親水性ポリオレフィン焼結体。
- 2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと下記一般式(1)
で示されるエチレン性不飽和基含有モノマーとの共重合体溶液にポリオレフィン樹脂粒子からなる焼結体を減圧下にて浸漬することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の親水性ポリオレフィン焼結体の製造方法。
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