JP5292207B2 - 舗装用遅蒸発型即脱ブロック - Google Patents

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Description

本発明は、インターロッキングブロック等の舗装用即脱ブロックに関し、特に、降雨等による吸水後の該ブロック表面からの水分の蒸発を遅くすることで、夏季の直射日光による舗装面上の温度の上昇を抑制する効果を、長時間に亘って発揮することのできる舗装用遅蒸発型即脱ブロックに関する。
最近、都市部では、コンクリートやアスファルトなどによる路面の舗装整備により、夏期の路面温度は非常に高くなり、いわゆるヒートアイランド現象の問題が発生している。そのため、路面温度の高温化を防ぐべく、舗装材料や舗装方法について様々な検討がなされている。また、その中で、廃ガラス等の産業廃棄物の有効利用についても、併せて検討されてきている。
一例として、無機系粉体および/または産業廃棄物の無機系粉体からなる人工骨材中に、ガラスのビーズまたはカレットが分散されて硬化してなる硬化体である昇温抑制骨材が提案されている(特許文献1)。
他の例として、廃ガラス等の骨材100質量部に対してセメント1〜25質量部、アスファルト乳剤1〜25質量部からなる組成物を所定の形状に成形した後、養生し硬化させた舗装用透水性コンクリート製品が提案されている(特許文献2)。
上記例では、路面温度の高温化を防ぐための舗装材の材料として、廃ガラスが使用されている。
一方、従来より、意匠性を高めるため、また、廃ガラスの有効利用の観点から、舗装材の材料としてガラスカレットを用いる技術が知られている。
一例として、粒度が2〜10mmの色ガラスを重量比20〜70%の割合で色ガラスと粒度が同程度の砂利と混練し、これにバインダーとしてエポキシ系樹脂を重量比6〜12%の割合で加え、さらに硅砂を加えて混合した舗装材料を作成し、この舗装材料をよく乾燥させた下地上に敷き均して表面をこて仕上げし、養生させることを特徴とする舗装方法が提案されている(特許文献3)。
該文献には、色ガラスとして、各家庭から排出されるガラス瓶等の産廃ガラスを使用することができると記載されている。
他の例として、天然石100体積部と、ガラスカレット10〜80体積部と、ゴムチップ10〜60体積部と、を有する骨材混合物100重量部と、エポキシ系バインダー4〜15重量部と、を一体混練し板状に形成されていることを特徴とする透水性弾性舗装材が提案されている(特許文献4)。
該文献には、ガラスカレットとして、産業廃棄物の一つであるガラス瓶屑が用いられると記載されている。また、該文献には、透水性等の観点から、ガラスカレットの粒径が2〜5mmであることが好ましいと記載されている。
特開2006−169745号公報 特開2003−206504号公報 特開平6−128902号公報 特開平11−1903号公報
上述のとおり、路面温度の高温化抑制あるいは意匠性等に優れる舗装体を形成するための材料の1つとして、また、廃ガラスの有効利用を促進するために、ガラス瓶等に由来するガラスカレットを用いうることは知られている。しかし、ワイン瓶等の有色瓶に由来するガラスカレットは、十分有効利用されていない。
また、路面温度の高温化抑制効果を有する舗装体の多くは透水性のものであり、上述の文献に記載されたガラスカレットは、いずれも、透水性等の観点から、粒径が2mm以上のものが好ましいとされている。
しかし、舗装体の透水性が大きく、舗装体の内部を水分が速やかに移動する場合、降雨等による吸水後に、舗装体の舗装面表面からの水分蒸発速度が大きく、短時間で舗装面表面が乾いてしまうため、舗装面上の温度の上昇を抑制する効果が、長続きしないという問題がある。
本発明は、十分有効利用されていないワイン瓶等の有色ガラス瓶等に由来するガラスカレットを材料の一つとして用いた舗装用即脱ブロックであって、透水性に優れるとともに、導水性及び保水性にも優れ、吸水した水分の舗装面からの蒸発速度を抑制して舗装面表面の濡れ時間を長くすることにより、舗装面上の温度の上昇を抑制する効果を、長時間に亘って発揮することのできる舗装用遅蒸発型即脱ブロックを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、表層と基層とからなる舗装用即脱ブロックにおいて、基層に保水機能を持たせるとともに、表層においては、有色のものを含む任意の種類の瓶ガラス等を破砕、分級及びエッジ処理して、得られたエッジ処理済みの特定粒度のガラスカレットを、細骨材の一部として用いれば、導水機能と保水機能が簡単に得られ、該ガラスカレットを用いない場合に比べて、降雨等による該ブロックへの水の供給後における舗装面の水分による濡れ時間を長くすることができ、その結果、夏季の直射日光による舗装面の温度上昇を抑制する効果の持続時間を延ばすことができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6](請求項1〜6に対応)の舗装用遅蒸発型即脱ブロックを提供するものである。
[1] 導水機能及び保水機能を有する多孔質モルタル硬化体からなる表層と、保水機能を有するモルタル硬化体もしくは保水機能を有するコンクリート硬化体からなる基層とが積層されてなる舗装用即脱ブロックであって、前記表層を形成する多孔質モルタル硬化体には、エッジ処理されたガラスカレットからなる細骨材が含まれており、該細骨材は、該細骨材の全量を100質量%として、粒度0.3〜2.0mmのものが80質量%以上を占めるものであることを特徴とする舗装用遅蒸発型即脱ブロック。
なお、本発明で言う「舗装用遅蒸発型即脱ブロック」とは、歩道、車道、公園等に敷設するためのインターロッキングブロック、カラー平板等の即時脱型(即脱)成型される積層ブロックであって、降雨等による水の供給後(吸水後)における即脱ブロック表層の舗装面表面からの水の蒸発の速度が、特定のガラスカレットからなる細骨材による導水機能及び保水機能を有するゆえに、従来の細骨材のみを用いる場合に比べて遅いものをいう。
また、「導水機能」とは、下部や内部から上部や表面に向かって水分を導く機能を言い、「保水機能」とは、水分を保持する機能を言う。なお、「透水性」とは、ここでは、降雨等の外部からの水を舗装体(舗装ブロック等)の下部や内部に浸み込ませる性能(機能)を言う。
また、「粒度」とは、粒体における最長寸法をいう。
[2] 上記ガラスカレットは、ドライビスコシティ試験で、ガラスカレット100質量部に対して0.5質量部(以下、0.5%ともいう。)の水分が付着している場合に、ガラスカレットからなる試料がオリフィスに詰まって流下せず、測定不可となるものである前記[1]に記載の舗装用遅蒸発型即脱ブロック。
[3] 上記ガラスカレットからなる細骨材は、有色のものを含む瓶ガラスの粉砕物である前記[1]又は[2]に記載の舗装用遅蒸発型即脱ブロック。
[4] 上記ガラスカレットからなる細骨材以外の細骨材であって、該細骨材の全量を100質量%として、粒度0.3〜2.0mmのものが80質量%以上を占める細骨材を含み、かつ、上記ガラスカレットからなる細骨材と上記ガラスカレットからなる細骨材以外の細骨材との合計量中の上記ガラスカレットからなる細骨材の割合が、30〜95質量%である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の舗装用遅蒸発型即脱ブロック。
[5] 上記舗装用遅蒸発型即脱ブロックは、JIPEA−TM−7に規定された方法により測定された保水量が0.15g/cm3以上、JIPEA−TM−8に規定された方法により測定された吸上げ高さが70%以上である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の舗装用遅蒸発型即脱ブロック。
[6] 上記表層の表面は、研磨加工またはショットブラスト加工が施されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の舗装用遅蒸発型即脱ブロック。
本発明の舗装用遅蒸発型即脱ブロックは、吸水した水分の蒸発速度が遅く、降雨等による該ブロックへの水の供給後(浸透後)における該ブロック舗装面表面の水による濡れ時間が長くなるので、夏季の直射日光による舗装面上の温度の上昇を抑制する効果の持続時間を延ばして、ヒートアイランド現象を緩和することができる。
また、ガラスカレットからなる細骨材の原料として、有色のものを含む任意の種類の瓶ガラス等の廃ガラスを用いることができるため、特に、再資源化の需要が乏しくて、これまで埋め立て以外の処理方法が見出し難かったワイン瓶ガラス等の有色の瓶ガラスの有効利用を図ることができる。
本発明の舗装用即脱ブロックの一例を示す断面図である。 舗装面温度の経時変化を示すグラフである。 ガラスカレットからなる細骨材と珪砂との粒体の形状の相違を確認するための試験器を説明するための図である。 水分蒸発量の経時変化を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の舗装用即脱ブロックを説明する。
図1中、本発明の舗装用遅蒸発型即脱ブロック1は、導水機能及び保水機能を有する多孔質モルタル硬化体からなる表層2と、保水機能を有するモルタル硬化体もしくは保水機能を有するコンクリート硬化体からなる基層3とが積層されてなるものである。
なお、図1中、基層3は、コンクリート硬化体からなるものを示す。
表層2を形成する多孔質モルタル硬化体には、エッジ処理されたガラスカレットからなる細骨材4と、ガラスカレットからなる細骨材以外の細骨材5が含まれている。
ガラスカレットからなる細骨材4(100質量%)中の粒度0.3〜2.0mmの粒体の割合は、80質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。なお、より好ましい実施形態において、ガラスカレットからなる細骨材4(100質量%)中の粒度0.3〜1.5mmの粒体の割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
ガラスカレットからなる細骨材4(100質量%)中の粒度0.3mm未満の粒体の割合は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、特に好ましくは8質量%以下である。該割合が15質量%を超えると、透水性が低下し、降雨等の水の供給時における水はけが悪くなることがある。
ガラスカレットからなる細骨材4(100質量%)中の粒度2.0mmを超える粒体の割合は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。該割合が5質量%を超えると、導水機能及び保水機能が低下し、降雨等の水の供給後における即脱ブロックの舗装面表面の水による濡れ時間が長くならないことがある。
ガラスカレットからなる細骨材4以外の細骨材5(100質量%)中の粒度0.3〜2.0mmの粒体の割合、粒度0.3mm未満の粒体の割合、及び、粒度2.0mmを超える粒体の割合は、ガラスカレットからなる細骨材4と同様である。なお、細骨材5についても、細骨材4と同様に、より好ましい実施形態において、細骨材5(100質量%)中の粒度0.3〜1.5mmの粒体の割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
細骨材4,5は、セメントペーストマトリックス6によって互いに固着されている。また、細骨材4,5間のセメントペーストマトリックス6が存在しない部分は、空隙であって、降雨等の水が下方向に浸透するための連続空隙(図示は省略する。)を形成している。
基層3を形成するコンクリート硬化体には、細骨材7及び粗骨材8が含まれている。細骨材7及び粗骨材8は、セメントペーストマトリックス9によって互いに固着されている。また、骨材(細骨材7、粗骨材8)間のセメントペーストマトリックス9が存在しない部分は、空隙であって、降雨等の水が下方向に浸透するための連続空隙(図示は省略する。)を形成している。
なお、表層2の表面10は、舗装面を形成する面である。
ガラスカレットからなる細骨材4は、例えば、ワイン瓶等の有色のものを含む任意の種類のガラス瓶を破砕して、ガラスカレットを得た後、このガラスカレットを篩い分けして、特定の粒度のガラスカレットを得て、次いで、この特定の粒度のガラスカレットをエッジ処理することによって得ることができる。
エッジ処理とは、ガラスカレットの角部を丸くするために行なうモミスリ加工を言う。エッジ処理は、例えば、平衡ミキサを用いて20分間処理することによって行なわれる。ガラスカレットは瓶ガラス以外の廃板ガラスに由来するものを用いてもよい。有色のものを使用することにより、熱吸収、熱反射、光吸収、光反射等が変わり、極くわずかであるが、温度上昇の抑制に寄与すると思われる。
ガラスカレットからなる細骨材4は、ドライビスコシティ試験で、ガラスカレット100質量部に対して0.5質量部(好ましくは0.25質量部)の水分が付着している場合に、試料(細骨材4)がオリフィスに詰まって流下せず、測定不可となるものであることが好ましい。
ドライビスコシティ試験は、図3に示す外観の試験器を用いて一定質量(500g)の試料がオリフィスを流下する時間をストップウォッチにより計測するものである。
ドライビスコシティ試験は、直径1cmのオリフィス(図3参照)を流下する時間を計測するため、粒度の大きな粒体が多数含まれると、試料はオリフィスに詰まり流下せず測定不可となるが、本発明で言う好ましいものは、上述の粒度の細骨材4であって、上記ドライビスコシティ試験で試料に微量の水分が付着することにより該試料がオリフィスに詰まり流下しなくなるものである。エッジ処理されたガラスカレットを用いることによって、このような細骨材4は容易に得られる。
このように、特定の粒度を有しかつ微量の水分が付着している場合にドライビスコシティ試験での測定が不可となる細骨材を用いることにより、導水機能と保水機能を併せ持った細骨材が得られ易くなるので好ましい。
表層2を形成する前記多孔質モルタル硬化体は、ガラスカレットからなる細骨材4に加えて、珪砂等の他の細骨材5を含む。他の細骨材5としては、従来からモルタルやコンクリートの細骨材として用いられているものであればよく、珪砂、山砂、川砂、海砂、砕砂、再生細骨材、セラミック細骨材、原料造粒物を焼成してなる焼成細骨材、廃コンクリートからの再生細骨材、軽量骨材(フライアッシュ、パーライト等)等が挙げられる。強度改善を目的とする場合は、珪砂等の強度及び耐久性のある骨材を用いることが好ましい。
表層2を形成する前記モルタル硬化体に含まれる細骨材4、5全量中のガラスカレットからなる細骨材4の割合は、好ましくは30〜95質量%、より好ましくは50〜90質量%、特に好ましくは60〜85質量%である。該割合が30質量%未満であると、導水機能及び保水機能が低下し、降雨等の水の供給後における即脱ブロックの舗装面表面の水による濡れ時間が長くならない。また、該割合が95質量%を超えると、成形性が悪くなる場合がある。
細骨材4、5の全量(合計量)は、セメント及び必要に応じて混和される後述の混和材からなる粉体の合計量100質量部に対して、好ましくは350〜550質量部であり、より好ましくは400〜500質量部である。該量が350質量部未満では、透水性が低下し、降雨等の水の供給時における水はけが悪くなることがある。該量が550質量部を超えると、表層2を形成するモルタル硬化体の強度(例えば、曲げ強度)が低下することがある。
表層2の材料としては、上記細骨材以外にセメント、混練水等が用いられる。また、必要に応じて、減水剤、混和材等を用いてもよい。
セメントは、従来からインターロッキングブロックや舗装平板等の舗装ブロックに用いられているものであれば特に限定されない。普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントの他、高炉セメント等の混合セメント、白色セメント、エコセメント等が挙げられる。
混和材としては、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、シリカフューム、石灰石粉末、珪石粉末等の1種または2種以上の組み合わせが挙げられる。混和材は、セメントに対し、従来からの混和量(例えば、セメント100質量部に対して30質量部以内)で混和して用いることができる。
また、舗装用遅蒸発型即脱ブロック1の着色材料として、インターロッキングブロックやカラー平板に使用されている各種顔料を用いることもできる。
減水剤は、必要に応じて、カルボン酸系高性能減水剤等の従来から用いられているものを必要な添加量(例えば、セメント100質量部に対して固形分換算で0.1〜0.5質量部)添加して用いればよい。
混練水としては、水道水、工業用水、回収水等が使用される。混練水の量は、透水性インターロッキングブロック等のセメント系透水性即脱ブロックやセメント系透水性即脱平板に使用される量と同じであり、セメント100質量部に対して、好ましくは25〜35質量部である。この範囲を外れると、良好な透水性を有する即脱ブロックが得難くなる。
表層2を形成するモルタル硬化体を得るための好ましいモルタル配合は、例えば、(a)セメント100質量部、(b)混和材0〜30質量部、(c)ガラスカレットからなる細骨材40〜550質量部、(d)砂0〜500質量部、(e)減水剤0〜0.5質量部(液状の場合は固形分換算値である。)、(f)混練水20〜30質量部である。
基層3は、保水機能を有するモルタル硬化体もしくは保水機能を有するコンクリート硬化体からなる。これらの硬化体としては、従来の保水性ブロックを形成するモルタル硬化体やコンクリート硬化体を使用することができる。
基層3の材料としては、通常、セメント、保水材、細骨材、混練水等が用いられる。また、必要に応じて、減水剤、粗骨材、混和材等を用いてもよい。
セメント及び混和材としては、表層2を構成するものと同様のものが用いられる。
保水材としては、保水性モルタルや保水性コンクリートに使用されている各種保水材を使用することができ、例えば、水砕スラグ、ケイソウ土、パーライト、ペーパースラッジ、発泡樹脂等が挙げられる。なお、このうち、水砕スラグ、パーライト、ペーパースラッジ、発泡樹脂は、骨材にも該当する場合がある。
保水材の中でも、水砕スラグは、保水性、吸水性及び強度の観点から好ましく用いられる。水砕スラグは、好ましくは、水砕スラグの全量(100質量%)中、粒度0.3〜2.5mmのものが80質量%以上を占めるものであり、より好ましくは、粒度0.3〜2.5mmのものが90質量%以上を占めるものである。この場合、水砕スラグは、保水材と細骨材を兼ねる。
保水材の量は、セメント100質量部に対して、好ましくは100〜600質量部、より好ましくは200〜450質量部である。該量が100質量部未満では、基層3の保水性の低下に伴って、表層2の導水機能及び保水機能が低下することがある。該量が600質量部を超えると、基層3の保水性が大き過ぎて、即脱ブロック1全体の透水性が低下し、降雨等の水の供給時の水はけが悪くなることがある。また、基層3の必要強度を確保し難くなる。
細骨材7の種類としては、表層2の細骨材5と同様のものが挙げられる。細骨材7の粒度は5mm以下が好ましい。
細骨材7の量は、セメント、保水材(ただし、粉体に限る。)、及び必要に応じて混和される他の混和材からなる粉体の合計量100質量部に対して、好ましくは100〜550質量部、より好ましくは100〜500質量部である。該量が550質量部を超えると、十分な保水性と強度を確保し難くなる。
混練水の種類及び量は、表層2と同様である。
基層3を形成するモルタル硬化体を得るための好ましいモルタル配合は、例えば、(a)セメント100質量部、(b)保水材(ただし、粉体に限る。)0〜450質量部、(c)混和材0〜30質量部、(d)細骨材(保水材であって細骨材にも該当する場合を含む。)100〜550質量部、(e)減水剤0〜0.5質量部(液状の場合、固形分換算値である。)、(f)混練水20〜30質量部である。
基層3は、骨材として細骨材に加えて粗骨材を用い、コンクリート硬化体とすることができる。
粗骨材としては、砂利、陸砂利、砕石等が挙げられる。
粗骨材の粒度は、好ましくは5〜13mmである。粗骨材の配合量は、通常、セメント100質量部に対して、100質量部以下である。
次に、本発明の舗装用遅蒸発型即脱ブロック1の製造方法について説明する。
本発明の舗装用遅蒸発型即脱ブロック1の製造装置及び製造方法は、従来からのインターロッキングブロック等の舗装用即脱ブロックの製造装置及び製造方法を準用できる。モルタルの混練に用いるミキサー等の製造装置も、従来からの各製造装置を用いることができる。混練方法、成型方法も、従来からの混練方法、成型方法を採用することができる。
具体的には、例えば、混練した基層用の保水性モルタルもしくは保水性コンクリートを型枠内に投入、加圧した後、混練した表層用のモルタルを型枠内に投入し、外部振動を加えつつ上面(路面形成面)から加圧し、養生すればよい。振動数は通常5,000vpm程度であり、加圧力は2kg/cm2程度である。
なお、養生は、気中養生、蒸気養生、炭酸化養生等の従来から行なわれている方法のいずれでもよい。
表層の舗装面には、研磨加工またはショットブラスト加工を施すことができる。これらの加工を施すことにより、意匠性が高められるとともに、遮熱に対してもプラスの方向に働く。
本発明の舗装用遅蒸発型即脱ブロック1の外寸法、表層2と基層3の層厚寸法等は、従来のインターロッキングブロック等の舗装用即脱ブロックと同じである。例えば、表層2の層厚が4〜10mm、基層3の層厚が50〜76mmである。
次に、舗装用遅蒸発型即脱ブロック1の物性を示す。
舗装用遅蒸発型即脱ブロック1の保水量は、JIPEA−TM−7に規定された方法により測定された値として、0.15g/cm3以上である。該値が0.15g/cm3未満では、保水性が小さいために、降雨等の水の供給後における蒸発水分の量を十分確保し難くなる。なお、社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会(以下、協会と略す。)の規格値は、0.15g/cm3以上である。
舗装用遅蒸発型即脱ブロック1の吸上げ高さは、JIPEA−TM−8に規定された方法により測定された値(30分後の吸上げ高さ)として、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。なお、協会の規格値は、70%以上である。協会の上記各規格値を満たすことによって、バランスの良い透水性と保水機能が得られる。
本発明の舗装用遅蒸発型即脱ブロックと比較用の即脱ブロックを作製し、その性能確認を行なった。
1.使用材料及び配合割合
[表層用]
(1)セメント;普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
(2)ガラスカレットからなる細骨材(ワインガラス瓶を破砕しエッジ処理したもの、粒度:0.3〜1.4mmのものが92質量%以上:最大粒度:1.4mm、配合量:セメント100質量部に対して、細骨材の全量の配合量として500質量部、細骨材の全量中の割合:表1参照)
(3)ガラスカレットからなる細骨材以外の細骨材;珪砂(粒度:粒度0.3〜1.2mmのものが92質量%以上、細骨材の全量中の割合:表1参照)
(4)水;水道水(配合量:セメント100質量部に対して25質量部)
[基層用]
(1)セメント;普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
(2)保水材(細骨材にも該当するもの);水砕スラグ(粒度:粒度0.3〜2.5mmのものが90質量%以上、配合量:セメント100質量部に対して400質量部)
(3)水;水道水(配合量:セメント100質量部に対して30質量部)
2.試験体の作製
下記の表1に示すガラスカレットの配合に基づき、インターロッキングブロックの製造方法にのっとり、種々の試験体を作製した。具体的には、基層用の保水性コンクリートの混練物を型枠内に投入、加圧した後、表層用の多孔質モルタルを型枠内に投入し、5,000vpmの振動数で外部振動を加えつつ上面(舗装面)を2kgf/cm2で3秒間加圧し、その後、即脱した成形体を気中養生することによって、試験体である舗装用即脱ブロックを作製した。
透水係数の制御は、成型時の振動数及び加圧力を調整することにより行なった。
試験体である舗装用即脱ブロックの寸法は、長さ198mm×幅98mm×厚さ60mmであった。表層の厚さは8mm、基層の厚さは52mmであった。
3.各種試験
A.導水機能、保水機能に関する試験
[実施例1〜3、比較例1〜2]
下記の表1に示すように、細骨材の全量中のガラスカレットからなる細骨材の質量割合を変えて、各種の試験体を作製した。これらの試験体について、協会で規定する上述の試験方法に準拠して、30分後の吸上げ高さ、及び保水量を測定した。結果を表1に示す。
表1から、実施例1〜4では、30分後の吸上げ高さが91〜94%であり、導水性が優れることがわかる。一方、比較例1では、30分後の吸上げ高さが82%であり、実施例1〜4に比べて、導水性が劣ることがわかる。
Figure 0005292207
B.舗装面温度の測定
[実施例5、比較例2〜3]
実施例3と同様の試験体(実施例5)、比較例1と同様の試験体(比較例2)、密粒度アスファルト(比較例3)の各試験体を用いて、夏季(8月)における降雨の終了時から3日間の晴天を経た後の舗装面上の温度を測定した。なお、温度は、舗装面上の5つの地点の平均値である。なお、密粒度アスファルトの試験体として、舗装性能評価法別冊(社団法人日本道路協会編)に示される標準供試体(寸法:300mm×300mm×50mm)を用いた。
その結果、最高温度は、実施例5で42.5℃、比較例2で46.4℃、比較例3で54.1℃であった。図2に、温度が高くなる11:00〜15:00の時間帯における舗装面温度の経時変化を示す。
なお、前記の温度の測定後、直射日光の照射下で60分間散水を行い、散水の終了時から1時間50分後に、各試験体の上面を観察したところ、実施例5では、上面の大半が濡れた状態を維持していたのに対し、比較例2〜3では、上面のほとんどが乾燥した状態となっていた。また、散水の翌日の曇天下において、実施例5では、上面が幾分、濡れた状態を維持していた。このように、本発明の舗装用遅蒸発型即脱ブロックでは、舗装面表面の水による濡れ時間が長くなる。
C.ドライビスコシティ試験
ワインガラス瓶を破砕しエッジ処理してなるガラスカレットからなる細骨材と珪砂との粒体の形状の相違を確認するために、以下のようにしてドライビスコシティ試験を行った。
ガラスカレットからなる細骨材と珪砂の各々を対象に、図3に示す試験器を用いて、一定(500g)の試料を用いた場合における、下記の表2に示す粒度での試験器のオリフィスの流下時間を測定した。結果を表2に示す。
表2から、ガラスカレットからなる細骨材と珪砂とは、粒度が同じであっても、ドライビスコシティ試験の結果が異なることがわかる。ガラスカレットからなる細骨材が、エッジ処理によって、水分量が0.25%と少量であっても、オリフィスを通過することができなくなる(測定不可となる)のに対し、珪砂は、粒体の表面が滑らかであるため、水分量が0〜2.0%の範囲内でオリフィスを通過することができると見られる。
Figure 0005292207
D.水分蒸発特性
[実施例6、比較例4]
実施例3と同様の試験体(実施例6)、比較例1と同様の試験体(比較例4)の各試験体を用いて、散水後の水分蒸発量を測定する試験を行なった。
具体的には、夏季(9月初旬)において、各試験体を敷き詰めて形成させた舗装面(14.4m2)に、午前9時から10時までの1時間に亘って288リットル(20リットル/m2)の水を散水した後、午前11時から午後3時(15時)まで1時間おきに、密閉式水分蒸発量測定器(商品名:H4300型、日機装ワイエスアイ社製)を用いて水分蒸発量を測定した。なお、測定は3地点で行ない、3地点の水分蒸発量の平均値を測定結果の値(図4の縦軸の値)とした。気温は、午前9時で30℃、午前10時で32℃、午前11時〜午後3時で33℃であった。天気は晴れで、直射日光が各試験体に照射される状態であった。
結果を表3及び図4に示す。
Figure 0005292207
表3及び図4に示すように、本発明による実施例6の試験体と従来からの比較例4の試験体とでは、顕著な差が見られた。比較例4では、散水後1時間経過時である11時に、水分蒸発量が最大値の161g/m2・hrを示し、以後、時間の経過とともに大きく低下したのに対し、実施例6では、散水後3時間経過時である13時に、水分蒸発量が最大値の135g/m2・hrを示し、以後、時間の経過とともに徐々に低下した。このように、ピーク値は実施例6より比較例4の方が高かった。しかし、散水後5時間経過時である15時の時点で比較すると、比較例4では、水分蒸発量が18g/m2・hrと少量であったのに対し、実施例6では、91g/m2・hrとまだ高い値を示した。さらに、11時〜15時の水分蒸発量の平均値について、比較例4では75g/m2・hrであったのに対し、実施例6では84g/m2・hrであった。このように、比較例4よりも実施例6のほうが、試験体の保水性が高く、試験体からの水分の蒸発が遅くかつ長続きすることがわかる。
以上の通り、本発明の舗装用遅蒸発型即脱ブロックは、従来の舗装用即脱ブロックに比べ、保水した水分の蒸発が遅くかつ長続きするので、舗装面表面の水による濡れ時間が長い。したがって、夏季の直射日光による舗装面上の温度の上昇を抑制する効果の持続時間が長く、ヒートアイランド現象の緩和効果が大きい。
1 舗装用遅蒸発型即脱ブロック
2 表層
3 基層
4 ガラスカレットからなる細骨材
5 ガラスカレット以外の細骨材(珪砂)
6 セメントペーストマトリックス
7 細骨材
8 粗骨材
9 セメントペーストマトリックス
10 表面

Claims (6)

  1. 導水機能及び保水機能を有する多孔質モルタル硬化体からなる表層と、保水機能を有するモルタル硬化体もしくは保水機能を有するコンクリート硬化体からなる基層とが積層されてなる舗装用即脱ブロックであって、前記表層を形成する多孔質モルタル硬化体には、エッジ処理されたガラスカレットからなる細骨材が含まれており、該細骨材は、該細骨材の全量を100質量%として、粒度0.3〜2.0mmのものが80質量%以上を占めるものであることを特徴とする舗装用遅蒸発型即脱ブロック。
  2. 上記ガラスカレットは、ドライビスコシティ試験で、ガラスカレット100質量部に対して0.5質量部の水分が付着した場合に、ガラスカレットからなる試料がオリフィスに詰まって流下せず、測定不可となるものである請求項1に記載の舗装用遅蒸発型即脱ブロック。
  3. 上記ガラスカレットからなる細骨材は、有色のものを含む瓶ガラスの粉砕物である請求項1又は2に記載の舗装用遅蒸発型即脱ブロック。
  4. 上記ガラスカレットからなる細骨材以外の細骨材であって、該細骨材の全量を100質量%として、粒度0.3〜2.0mmのものが80質量%以上を占める細骨材を含み、かつ、上記ガラスカレットからなる細骨材と上記ガラスカレットからなる細骨材以外の細骨材との合計量中の上記ガラスカレットからなる細骨材の割合が、30〜95質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の舗装用遅蒸発型即脱ブロック。
  5. 上記舗装用遅蒸発型即脱ブロックは、JIPEA−TM−7に規定された方法により測定された保水量が0.15g/cm3以上、JIPEA−TM−8に規定された方法により測定された吸上げ高さが70%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の舗装用遅蒸発型即脱ブロック。
  6. 上記表層の表面は、研磨加工またはショットブラスト加工が施されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の舗装用遅蒸発型即脱ブロック。
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