以下、この発明の一実施の形態に係る改札機及び改札方法について図面を参照して説明する。
図1に示すように、この実施の形態に係る改札システムは、上位機器(外部機器)として機能するホストコンピュータ10を備えている。このホストコンピュータ10は、駅に設置された複数の改札機100−1、100−2…と通信回線20を介して接続されており、これらの改札機100を監視する。
ホストコンピュータ10は、装置全体を制御するとともに下位に接続された各種機器を制御するものであって、複数の改札機100を統括して制御するCPU11を有している。このCPU11には、メモリ部12、表示部13、入力部14、通信制御部15などが接続されている。
メモリ部12は、ホストコンピュータ10自体及び改札機100などの下位の機器を制御するための制御データなどの各種データを記憶している。また、このメモリ部12は、事前に予約・登録された予約情報に対応したデータも記憶している。この予約情報は、例えば、利用者に関する情報(名前、住所、電話番号、識別情報など)や、改札処理に必要な情報(利用区間、有効期限、利用額、利用する列車に関する情報、予約した座席に関する情報など)を含んでいる。
表示部13は、ホストコンピュータ10自体の動作状態、下位の機器の動作状態などを表示する。入力部14は、各改札機100の動作モードなど種々の情報を入力するためのキーボードや、接触を検知したのに基づいて対応する情報を出力するタッチパネルなどを有している。通信制御部15は、下位の機器との間で通信回線20を介して種々の情報の送受信を行う。
次に、図1に示した改札システムに適用可能な改札機100の構成について説明する。図2に示すような改札機100は、利用者が通行可能な改札通路に沿って配置されている。入場処理や出場処理などの処理を行う改札機100で利用可能な券媒体としては、普通乗車券、定期券、特急券、回数券、入場券、プリペイドカードなどの機能を有する券媒体であり、無線式の券媒体及び磁気式の券媒体のいずれも対象となる。なお、無線式の券媒体とは、改札機100側との無線通信が可能なICチップを内蔵した携帯電話などの携帯端末機器、ICチップを内蔵したICカードなどである。
これら券媒体は、券媒体固有の識別情報(ID)や、券媒体の有効性を判定する処理に必要な改札情報などを有している。改札情報としては、例えば、利用可能な区間情報、有効期限情報、入場記録情報、出場記録情報、利用者情報、利用額に対応した情報などを有している。このような識別情報や改札情報などの各種情報は、無線式券媒体のメモリ部に所定形式で記憶されている。磁気式券媒体では、識別情報や改札情報などの各種情報は、その券面の磁気記録層に所定形式で磁気記録されている。
すなわち、図2に示すように、改札機100は、筐体1を備えている。ここでは、無線式及び磁気式の券媒体を利用可能な改札機について説明する。
改札機100の筐体1は、投入口2、排出口3、案内手段としての機能を有する表示部4、ドア機構5、フレーム6、人間検知センサ7、表示器8、案内手段としての機能を有するスピーカ80、無線通信手段としての機能を有する無線通信処理ユニット110などを備えている。投入口2は、筐体1において、改札通路の進行方向(図2中の矢印A)上流側に設置され、施設内への入場時または施設内からの出場時に投入された磁気式の券媒体を受け取り可能である。投入口2の近傍には、券媒体の投入を阻止するためのシャッタが設けられている。また、排出口3は、筐体1における進行方向下流側に設けられ、投入口2から受け取った券媒体を必要に応じて排出する他に、後述する予約情報を有する情報券媒体も排出する。
表示部4及びスピーカ80は、利用者の進行方向Aに対して筐体1における排出口3の前方に配置され、利用者や係員などに対して種々の情報、操作案内や有効性判定処理の結果などに対応した各種情報を出力して案内する機能を有している。表示部4は、例えば利用時の利用額やエラー内容などに対応した案内画面を所定の表示パターンで表示する。この表示部4は、例えばカラー画像を表示可能に構成されている。また、スピーカ80は、各種情報に対応した音声を出力するように構成されている。
ドア機構5は、筐体1における改札通路側の側面に設置され、利用者の通行を制御するために開閉可能に構成されている。このドア機構5は、利用者の通行を可能とする場合(有効性判定;改札処理における判定OKの場合)に改札通路を開放し、また、利用者の通行を阻止する場合(有効性判定;改札処理における判定NGの場合)に改札通路を閉鎖する。
フレーム6は、筐体1の上部に設けられ、改札通路を規定するための仕切りとなる。複数の人間検知センサ7は、筐体1及びフレーム6における改札通路側の側面に設置されている。これらの人間検知センサ7は、利用者の改札通路内での移動(改札通路内の所定位置での利用者の有無)を検知するための信号を出力する。表示器8は、フレーム6に配置され、小児券、無効券、または異常券の投入や、機器の異常など装置の動作状態を報知する。
無線通信処理ユニット110は、筐体1における投入口2よりも進行方向下流側に配置されたアンテナ部113を備え、無線式の券媒体との間で無線通信を行う。
図3に示すように、改札機100の内部において、投入口2と排出口3との間には、投入口2から投入された券媒体を矢印aで示したように搬送方向(排出口3などが設けられた下流側に向かう方向であり、改札通路の進行方向Aと同一方向である)に沿って搬送する搬送機構が設けられている。投入口2から排出口3までの間には、分離部31、整列部32、磁気処理部30、パンチ部36、印刷部37、集積放出部38などが配置されている。
分離部31は、投入口2に一括して複数枚重ねて投入された磁気式の券媒体を一時的に保留するとともに、これらの券媒体を搬送方向aに沿ってずらして1枚ずつ分離する。整列部32は、分離部31から送出されてきた1枚ずつの券媒体をサイズに応じて所定の姿勢に整列して後段の磁気処理部30に向けて送出する。
磁気処理部30は、搬送方向aに沿って順に配置された読取部33、書込部34、及び、ベリファイ部35を備えている。読取部33は、券媒体の磁気記録層に記録されているエンコード磁気情報を読み取る。書込部34は、券媒体の磁気記録層に対してエンコード磁気情報、例えば入場記録情報や出場記録情報などを記録する。ベリファイ部35は、書込部34で記録されたエンコード磁気情報を読み取る。
パンチ部36は、券媒体に対して必要に応じて穿孔処理を施す(つまり、パンチ孔を形成する)穿孔手段としての機能を有している。このパンチ部36においては、穿孔処理の際に券媒体の搬送を一時的に停止させる必要がある。このため、パンチ部36は、ストッパS4を備えており、券媒体を一時的に保留可能な構成となっている。このように、パンチ部36は、保留手段としての機能も有している。
印刷部37は、券媒体に対して必要に応じてその表面に日付や改札場所名等の所定の情報を印刷する。また、この印刷部37は、券媒体に対してエラー内容を印刷する印刷手段としての機能も有している。集積放出部38は、一括投入された複数の券媒体、さらには後述する情報券媒体をサイズに応じて重ねて合わせて集積し、排出口3から一括して機体外に放出する。
読取部33と書込部34との間には、反転部39が配置されている。この反転部39は、読取部33を通過した券媒体がその裏面を上に向けた状態の場合、券媒体を取り込み、券媒体の表裏を反転する。ベリファイ部35の下流側と書込部34の上流側とを結合する循環経路上に保留部40が配置されている。この保留部40は、投入された券媒体を一時的に保留する。
印刷部37と集積放出部38との間には、集札部43及び別集札部44が配置されている。集札部43には、改札処理により集札すべきと判定された券媒体(正常券のうち、利用者に返却する必要のない券媒体)などが回収される。この集札部43は、後述する情報券媒体を必要に応じて集札する集札手段としての機能も有している。別集札部44には、排出口3から放出された後に所定時間放置された券媒体(取り忘れ券媒体)などが回収される。また、集札部43及び別集札部44とは別に、図3に示した例のように、後述する情報券媒体を専用に集札する専用集札部45を設けても良い。このような専用集札部45を設けた場合、専用集札部45が集札手段として機能する。
読取部33と書込部34との間には、発行ユニット50が配置されている。この発行ユニット50は、無線式券媒体から読み取った予約情報を有する情報券媒体を発行する発行手段としての機能を有しており、ロール紙を所定のサイズに切断して情報券媒体用の券紙を発券する発券部51と、発券部51により発券された券紙を発行指示が出るまで保留するとともに発行指示が出た後に券紙に対して予約情報に基づいて所定情報を印刷する印刷部52と、を備えて構成されている。なお、発券部51は、所定のサイズに予めカットされた券紙を繰り出して発券する構成であっても良い。また、発行ユニット50を構成する印刷部としては、印刷部37を適用しても良い。
図4に示すように、改札機は、装置全体の制御を司るCPU60を備えている。このCPU60は、券媒体が有する情報に基づいて種々の判定処理を行う判定手段としての機能を有している。例えば、CPU60は、券媒体が有する情報に基づいて券媒体の有効性を判定する有効性判定処理、つまり、利用者の改札通路の通過を許可するか否かの改札処理を行う機能に加えて、無線通信処理ユニット110により無線式券媒体から読み取った情報に基づいて、情報券媒体を発行する必要があるか否かを判定する機能を兼ね備えている。
このCPU60には、メモリ部61、表示制御回路62、ドア制御回路63、通過検知回路64、表示器制御回路65、音声出力制御回路66などが接続されている。
メモリ部61は、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)、運賃メモリなどを含んでいる。ROMは、CPU60の制御プログラムなどを記憶している。RAMは、制御プログラムのバッファとして情報を記憶するとともに、券媒体から読み取った情報などの各種情報を記憶する。運賃メモリは、入場駅から設置駅までの利用額に対応した運賃情報を記憶している。
表示制御回路62は、操作案内や有効性判定処理の結果などに対応した画像を表示するように表示部4を制御する。ドア制御回路63は、有効性判定処理の結果に対応して改札通路を開閉するようにドア機構5の駆動を制御する。通過検知回路64は、人間検知センサ7からの出力信号に基づいて利用者の通過(移動位置)を検知する。表示器制御回路65は、改札機の動作状態などに応じたパターンで点灯するように表示器8を制御する。音声出力制御回路66は、操作案内や有効性判定処理の結果などに対応した音声を出力するようにスピーカ80を駆動する。
また、CPU60には、磁気処理ユニット制御部67、無線通信処理ユニット制御部68、発行ユニット制御部69、通信制御部70などが接続されている。
磁気処理ユニット制御部67は、CPU60の制御に基づいて、磁気式の券媒体に対して所定の処理を施すように、図3に示したような磁気処理ユニットの各機構を制御する機能を有している。すなわち、磁気処理ユニット制御部67は、読取部33を制御する読取回路、書込部34を制御する書込回路と、ベリファイ部35を制御する読取回路、パンチ部36を制御するパンチ制御回路、印刷部37を構成するサーマルヘッドを制御する印刷制御回路、反転部39を駆動する反転部駆動回路、搬送機構において搬送経路中に配置された複数の振り分けゲートを制御する振り分け制御回路、搬送機構において搬送経路中に配置されて券媒体を一時的に保留するための複数のストッパ(例えばS1、S2、S3、S4、S5)を制御するストッパ制御回路、搬送経路中に配置された複数のセンサからの出力信号を基に券媒体の搬送状況を検知する検知回路、搬送経路に沿って券媒体を搬送する複数のモータを制御する搬送制御回路などの機能を含んでいる。
無線通信処理ユニット制御部68は、CPU60の制御に基づいて、無線式の券媒体に対して所定の処理を施す機能を有している。無線通信処理ユニット110は、図5及び図6を参照して後述するように、無線通信処理ユニット制御部68による制御により、無線通信可能な通信エリアに翳された無線式の券媒体との間で無線通信を行い、無線式の券媒体から有効性判定処理に必要な情報を読み取る機能を有するとともに、有効性判定処理の結果に対応した情報を無線式の券媒体に書き込む、あるいは、券媒体から情報を消去する機能を有している。
発行ユニット制御部69は、CPU60の制御に基づき、発行ユニット50を制御して情報券媒体を発行する機能を有している。すなわち、この発行ユニット制御部69は、発券部51においてロール紙を発券する券媒体のサイズに合わせて切断するためのカッターを駆動するカッター制御回路、印刷部52を構成するサーマルヘッドを制御する印刷制御回路などの機能を含んでいる。
通信制御部70は、CPU60の制御に基づき、改札機100より上位の機器、例えばホストコンピュータ10との間で情報通信を行う。また、この通信制御部70は、無線通信処理ユニット110を介して無線式券媒体から読み取った情報に基づいて、情報券媒体を発行するのに必要な予約情報の詳細を上位の機器、例えばホストコンピュータ10から取得可能に構成されている。
次に、無線式の券媒体の構成例について説明する。
図5に示すように、無線式の券媒体Cは、無線通信処理ユニット110との間での無線通信を制御するCPU201、CPU201に対して駆動電源を供給する電源202などを備えている。このCPU201には、ROMやRAMなどで構成されたメモリ部203や、アンテナ204を介して無線通信処理ユニット110から送信されたデータを受信したり、無線通信処理ユニット110に対してデータを送信したりする通信制御部205などが接続されている。
図6に示すように、無線通信処理ユニット110は、アンテナ部113を介して、無線式の券媒体Cに対して一定時間の間隔でポーリングコマンド信号を発信している。利用者が券媒体Cをアンテナ部113にかざすと、無線通信によるデータのやり取りが開始される。つまり、このポーリングコマンド信号に対して、券媒体Cから返信信号が無線通信処理ユニット110に向けて送信される(ポーリングレスポンス)。
そして、無線通信処理ユニット110から券媒体Cに対して各種情報を含むデータの送信を要求する(リードコマンド)。券媒体Cの通信制御部205は、アンテナ204を介して無線通信処理ユニット110からのデータ送信要求を受信したのに基づいて、CPU201の制御に基づきメモリ部203に記憶していた各種情報を含むデータをアンテナ204を介して無線通信処理ユニット110に向けて送信する(リードレスポンス)。
無線通信処理ユニット110が無線式券媒体Cからデータを受信したのに基づき、改札機におけるCPU60は、受信したデータ(通信結果)に基づいて有効性判定や情報券媒体の発行可否判定などの判定処理を行う(判定)。
そして、無線通信処理ユニット110は、必要なデータの書込処理を行う。すなわち、無線通信処理ユニット110は、CPU60における判定処理の結果に相当する判定結果情報を含むデータを券媒体Cに送信する(判定結果送信、ライトコマンド)。その後、券媒体Cの通信制御部205は、アンテナ204を介して無線通信処理ユニット110から送信されたライトコマンドを受信したのに基づいて、CPU201の制御に基づきメモリ部203に受信したデータを記憶する。そして、通信制御部205は、アンテナ204を介して無線通信処理ユニット110に向けてデータが正常に書き込まれ一連の処理が完了したことを通知する(ライトレスポンス)。
その後、無線通信処理ユニット110は、クローズ処理を行う。すなわち、無線通信処理ユニット110は、券媒体Cからライトレスポンスを受信したのに基づいて、券媒体Cに対して処理を終了するためのクローズコマンドを送信する。券媒体Cは、無線通信処理ユニット110からのクローズコマンドを受信したのに基づいて、無線通信処理ユニット110に対してクローズレスポンスを送信する。無線通信処理ユニット110は、券媒体Cからクローズレスポンスを受信したのに基づいて、改札機におけるCPU60に対して一連の無線通信処理が正常に終了した旨を通知する。
このようなデータのやり取りにより、券媒体Cと改札機100における無線通信処理ユニット110との間で有効性判定処理に必要な改札情報の無線通信が行われる。
次に、上述した上述した改札機に適用可能な改札方法について説明する。
ここでは、例えば、無線式券媒体(ID確認ツール)の処理を実施し、その際に、情報券媒体を発行する必要があった場合について説明する。情報券媒体を発行する必要がある場合とは、例えば、無線式券媒体から読み取った情報例えば識別情報などのIDに関連付けられた予約情報が事前に登録されている場合である。このような予約情報の登録は、例えば、通信回線等を介して利用者が所持している無線式券媒体の識別情報等の所定情報を事前に登録し、施設への入場・施設内や列車の座席を予約することによってなされる。
すなわち、図7に示すように、改札機において、電源ONし立ち上がると同時に、CPU60は、待機状態において、発行ユニット制御部69による制御に基づいて発行ユニット50の発券部51から情報券媒体用の券紙を発券する(ST11)。すなわち、発行ユニット50では、発券部51のロール紙を所定の大きさにカットして繰り出し、印刷部52に一時的に保留する。この状態が改札機の使用可能状態であり、この状態になった後、無線式及び磁気式の券媒体の受付が許可される。
そして、CPU60は、無線通信処理ユニット制御部68による制御に基づいて無線通信処理ユニット110のアンテナ部113からポーリングコマンド信号を発信させ、無線式券媒体との間での無線通信を受け付ける(ST12)。つまり、無線通信処理ユニット110は、無線式券媒体のアンテナ部113への翳し待ちの状態となる。
そして、CPU60は、アンテナ部113を介して無線通信処理ユニット110と無線式券媒体との間での無線通信が開始された場合(つまり、アンテナ部113に無線式券媒体が翳され、無線式券媒体からのポーリングレスポンスを受信した場合)には(ST12、YES)、図6を参照して説明したような一連の無線通信処理を行う。
無線通信処理において、まず、CPU60は、無線通信処理ユニット110により無線式券媒体から必要な各種情報を読み取る読取処理を行う(ST13)。CPU60は、無線式券媒体から読み取った情報をメモリ部61に記憶する。そして、CPU60は、無線式券媒体から読み取った情報に基づいて、判定処理を行う(ST14)。この実施の形態では、CPU60は、情報券媒体の発行の必要性及び券媒体の有効性についてそれぞれ判定する。
CPU60は、第1に、無線式券媒体から読み取った情報に基づき、券媒体の有効性を判定する(第1判定処理)(ST15)。すなわち、CPU60は、当駅が有効区間内であるか否か、処理当日が有効期限内であるか否かなどに基づき、券媒体の有効性を判定する。
CPU60は、有効性判定処理の結果、判定NGと判定した場合には(ST15、NO)、NG処理を行う(ST16)。すなわち、CPU60は、ドア制御回路63による制御に基づいてドア機構5を駆動して改札通路を閉鎖する。また、CPU60は、表示制御回路62による制御に基づいて表示部4に有効性判定処理の結果に対応した案内画面を表示させる。また、CPU60は、音声出力制御回路66による制御に基づいてスピーカ80から有効性判定処理の結果に対応した音声を出力させる。
CPU60は、有効性判定処理の結果、判定OKと判定した場合には(ST15、YES)、このような有効性の判定に続いて、第2に、無線式券媒体から読み取った情報に基づき、予約情報を有する情報券媒体を発行する必要があるか否かを判定する(第2判定処理)(ST17)。例えば、CPU60は、無線式券媒体から読み取った識別情報に基づいて該当する識別情報に関連付けられた予約情報を検索し、該当する予約情報が検索されたか否かによって情報券媒体の発行の必要性を判定する。
CPU60は、情報券媒体を発行する必要があると判定した場合には(ST17、YES)、発行ユニット制御部69による制御に基づいて印刷部52での券紙の保留を解除し(ST18)、印刷部52により繰り出された券紙に対して、取得した予約情報に基づいた所定情報、例えば座席番号や列車番号などの情報、乗車区間、乗車口、利用日時、料金、有効期間などの各種情報を印刷部52において印刷し(ST19)、情報券媒体として発行する。
その後、CPU60は、磁気処理ユニット制御部67による制御に基づいて発行ユニット50から発行された情報券媒体を後段処理部に向けて搬送する。このとき、CPU60は、パンチ部36にて情報券媒体を保留するように、ストッパS4により搬送経路を塞ぐような制御を行う(ST20)。すなわち、情報券媒体は、反転部39を通り、主搬送路上を搬送され、書込部34及びベリファイ部35を経由してパンチ部36のストッパS4にて搬送停止される。つまり、無線式券媒体と無線通信処理ユニット110との間での無線通信において、無線式券媒体へのデータの書込処理、及び、クローズ処理が完了する前に情報券媒体の発行を開始する(より具体的には印刷を開始する)ため、見切り発車での発行となっている。
なお、このステップST19における印刷工程においては、券紙への予約情報に基づいた所定情報の印刷は、印刷部37で行っても良い。また、印刷部52を通過した情報券媒体に対しては、書込部34を介して必要な情報を書き込んでもよいし、この場合には、ベリファイ部35を介して正常に情報が書き込まれたか否かを確認するようにしても良い。
また、ステップST20における情報券媒体の一時保留工程においては、パンチ部36に限らず、さらに後段の集積放出部38において行っても良い。すなわち、主搬送路上に繰り出された情報券媒体は、集積放出部38のストッパS5にて搬送停止されても良い。この場合、より排出口3に近い位置で一時保留されるため、保留解除後に排出口3から排出されるまでの時間が短縮される。
そして、CPU60は、情報券媒体の発行の必要性の有無に関わらず、有効性判定処理の結果、判定OKと判定した券媒体に対して、判定OKのOK処理を行う。すなわち、CPU60は、無線通信処理ユニット110による無線通信において、無線式券媒体に対して必要なデータの書込処理を行い(ST21)、さらに、クローズ処理を行う(ST22)。
そして、CPU60は、一連の無線通信処理において処理未了が発生したか否かを判断する(ST23)。すなわち、CPU60は、アンテナ部113にかざされた無線式券媒体と無線通信処理ユニット110との間での無線通信処理において、クローズ処理が完了する以前に無線式券媒体がアンテナ部113から離れた場合(より厳密には無線式券媒体が無線通信処理ユニット110の通信エリアから外れた場合)には処理未了が発生したと判断する。
CPU60は、処理未了が発生しなかったと判断した場合には(ST23、NO)、磁気処理ユニット制御部67による制御に基づきパンチ部36にて保留されていた情報券媒体の保留を解除する(ST24)。保留を解除された情報券媒体は、さらに後段処理部に向けて搬送される。そして、CPU60は、情報券媒体を印刷部37及び集積放出部38に向けて搬送した後に、排出口3から放出する(ST25)。また、CPU60は、ドア制御回路63による制御に基づいてドア機構5を駆動して改札通路を開放する。また、CPU60は、表示制御回路62による制御に基づいて表示部4に有効性判定処理の結果に対応した案内画面を表示させる。また、CPU60は、音声出力制御回路66による制御に基づいてスピーカ80から有効性判定処理の結果に対応した音声を出力させる。
そして、CPU60は、図示しないセンサからの出力信号に基づいて排出口3から放出した情報券媒体が抜き取られたことを検知し(ST26)、しかも、人間検知センサ7からの出力信号に基づいて利用者が改札通路を通過したことを検知した場合(ST27)には、一連の改札方法の処理を終了し、次の利用者の改札処理を受け付ける。なお、情報券媒体の発行動作を実施すると、印刷部52に保留していた券紙が無くなってしまうため、発券部51のロール紙を所定の大きさにカットして印刷部52に一時保留し、当初の状態、つまり、装置の使用可能状態に戻す。この状態になった後、再び、無線式及び磁気式の券媒体の受付が許可される。
一方、CPU60は、ステップST23において、処理未了が発生したと判断した場合には(ST23、YES)、パンチ部36にて保留されていた情報券媒体の集札処理を行う(ST28)。
上述したように、この実施の形態によれば、無線式券媒体をID確認ツールとして利用し、予約情報の登録を行った場合、この予約情報を可視化することができないが、この無線式券媒体を利用して改札機での処理を行った際に、予約情報を有する情報券媒体を発行することにより、従来のように予約した券媒体の発行要求のために券売機や施設窓口に出向く必要がない。また、予約情報を可視化することができるため、利用者にとっての利便性を向上することが可能となる。さらに、利用者が必要な情報のみを印刷して情報券媒体として発行することにより、省資源化が可能となる。
また、この実施の形態によれば、無線式券媒体との間での無線通信処理により情報券媒体の発行の必要性があると判定された場合には、無線通信処理が終了する前のタイミングで情報券媒体の発行を開始する。このため、情報券媒体の発行が必要な改札処理において、処理時間を短縮することが可能となる。
また、発行ユニット50は、印刷部52を備えている。このため、発券部51から繰り出された券紙に対して直後に配置された印刷部52にて印刷処理を行い、情報券媒体を発行している。磁気処理ユニット67は、印刷部37を備えているが、情報券媒体の発行に際して、この印刷部37において券紙に印刷処理を施そうとすると、高速で搬送してきた券紙を印刷部37での印刷のために一旦減速し、印刷終了後に再度加速するといった搬送制御が必要となる。一方、発行ユニット50が印刷部52を装備することにより、発行動作開始時、印刷時の低速で搬送を開始し、印刷終了後に加速し、その後、高速で搬送するため、搬送速度の加減速が1工程削減される。このため、処理時間の短縮が可能となる。
また、情報券媒体の発行処理に要する時間が短縮できるため、改札通路内での利用者の滞留が抑制され、改札効率を向上することが可能となる。
なお、ステップST20におけるパンチ部36や集積放出部38での情報券媒体の一時的な保留は、必須ではなく、券媒体の有効性判定処理により判定OKと判定され、且つ、情報券媒体がパンチ部36や集積放出部38に到達する以前に無線通信処理が正常に終了した場合(つまり処理未了が発生しなかった場合)には、情報券媒体はパンチ部36や集積放出部38にて保留されることなく、ノンストップで排出口3から排出される。このような制御により、情報券媒体を発行する際の処理時間をより短縮することが可能となる。
よって、利用者の利便性を向上することが可能となる。
また、無線通信処理が終了する前のタイミングで情報券媒体の発行を開始するため、無線通信処理の処理未了が発生した場合の情報券媒体の取り扱いが問題となるが、この場合には、発行された情報券媒体は集札処理される。このため、正常な無線通信処理が終了していない利用者に対して情報券媒体が発行されることはない。
次に、情報券媒体の集札処理についてより詳細に説明する。
まず、第1集札処理について図8を参照しながら説明する。
すなわち、CPU60は、ステップST23において、処理未了が発生したと判断した場合には(ST23、YES)、パンチ部36にて保留されていた情報券媒体の保留を解除する(ST31)。保留を解除された情報券媒体は、さらに後段処理部に向けて搬送される。そして、CPU60は、磁気処理ユニット制御部67による制御に基づいて、情報券媒体を印刷部37及び集積放出部38に向けて搬送した後に、集札部43に集札する(ST32)。また、図3に示した構成例のように、専用集札部45を設けた場合には、CPU60は、情報券媒体を専用集札部45に集札する。
一方で、CPU60は、ドア制御回路63による制御に基づいてドア機構5を駆動して改札通路を閉鎖する。また、CPU60は、表示制御回路62による制御に基づいて表示部4に有効性判定処理の結果に対応した案内画面を表示させる。また、CPU60は、音声出力制御回路66による制御に基づいてスピーカ80から有効性判定処理の結果に対応した音声を出力させる。
このような第1集札処理によれば、処理未了が発生した場合に確実に情報券媒体を集札することが可能である。
第2集札処理について図9を参照しながら説明する。
すなわち、CPU60は、ステップST23において、処理未了が発生したと判断した場合には(ST23、YES)、処理異常とせず、再度同一の無線式券媒体との無線通信処理を行うように利用者に対して案内する(ST41)。すなわち、CPU60は、表示制御回路62による制御に基づいて表示部4に無線式券媒体を再度アンテナ部113にかざす旨の案内画面を表示させる。また、CPU60は、音声出力制御回路66による制御に基づいてスピーカ80から無線式券媒体を再度アンテナ部113にかざす旨の音声を出力させる。
そして、CPU60は、無線通信処理ユニット制御部68による制御に基づいて無線通信処理ユニット110のアンテナ部113からポーリングコマンド信号を発信させ、無線式券媒体との間での無線通信を受け付ける(ST42)。そして、CPU60は、アンテナ部113を介して無線通信処理ユニット110と無線式券媒体との間での無線通信が開始された場合には(ST42、YES)、図6を参照して説明したような一連の無線通信処理を行う。
そして、CPU60は、無線通信処理により券媒体から読み取った情報に基づき、先にステップST23において処理未了と判断された無線式券媒体との同一性を判断する(ST43)。すなわち、CPU60は、ステップST42で無線式券媒体から読み取った情報に含まれる券媒体の識別情報と、先にメモリ部61に記憶した情報券媒体の情報に含まれる識別情報とを照合し、同一性を判断する。
CPU60は、同一であると判断した場合には(ST43、YES)、図7に示したステップST21に戻り、無線通信処理を再開して書き込み処理及びクローズ処理を行う。一方、CPU60は、無線通信が行われることなく(ST42、NO)、所定時間が経過した場合(ST44、YES)、あるいは、同一ではないと判断した場合には(ST43、NO)、パンチ部36にて保留されていた情報券媒体の保留を解除する(ST45)。そして、CPU60は、磁気処理ユニット制御部67による制御に基づいて、情報券媒体を印刷部37及び集積放出部38に向けて搬送した後に、集札部43または専用集札部45に集札する(ST46)。
一方で、CPU60は、ドア制御回路63による制御に基づいてドア機構5を駆動して改札通路を閉鎖する。また、CPU60は、表示制御回路62による制御に基づいて表示部4に有効性判定処理の結果に対応した案内画面を表示させる。また、CPU60は、音声出力制御回路66による制御に基づいてスピーカ80から有効性判定処理の結果に対応した音声を出力させる。
このような第2集札処理によれば、処理未了が発生した場合に、直ちに情報券媒体を集札するのではなく、再度無線式券媒体との無線通信処理を行う機会を与え、同一性を判定することにより、処理未了となった無線通信処理を再開可能とする。このため、集札される情報券媒体を低減し、省資源化が可能となる。
上述した第1集札処理及び第2集札処理において、特に、集札部43に情報券媒体を集札する場合、通常の改札処理で集札された正常券との区別を容易にするための処理を追加しても良い。
すなわち、パンチ部36にて一時的に保留されていた情報券媒体を集札する際、パンチ部36にて情報券媒体に穿孔を形成する穿孔処理を行っても良い。例えば、図10に示すように、正常券に形成される穿孔の位置と、情報券媒体を集札する際に形成される穿孔の位置とを変えることにより、両者を容易に区別することが可能となる。
また、パンチ部での情報券媒体の保留を解除した後に、印刷部37にてエラー内容を印刷する印刷処理を行っても良い。例えば、図11に示すように、情報券媒体の表面に「処理未了」などのエラー内容を印刷することにより、正常券と情報券媒体とを容易に区別することが可能となる。当然のことながら、穿孔処理と印刷処理とを組み合わせて行っても良い。また、専用集札部45に集札される情報券媒体についても、穿孔処理及び印刷処理の少なくとも一方を行っても良い。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。