JP5290788B2 - アルカリ蓄電池 - Google Patents

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Description

本発明は、アルカリ蓄電池に関し、特には、アルカリ蓄電池の電極に用いられる結着剤に関する。
近年、省エネルギーやCO削減への配慮から、自動車や電車などの車両に搭載する、充放電可能な二次電池が開発されている。車両に二次電池を搭載した場合には、ブレーキ時の回生電力をこの搭載電池に蓄えておき、車両の動力源として使用することができるので、車両運行のエネルギー効率を高め、COの排出量を削減することができる。このように車両に搭載する二次電池としては、エネルギー密度、負荷変動追従性、耐久性、製造コストなどの諸条件から、例えばニッケル水素二次電池が適しているとされる(特許文献1)。
一般に、ニッケル水素二次電池においては、多孔質の発泡ニッケルやニッケル焼結体のような基板に形成された空孔ないし間隙に、活物質、結着剤、導電助材などからなる合材を充填して正極体を作製している。このようにして正極を作製することにより、活物質の基板への密着性が高まり、電池の信頼性向上が図られる。
正極体および負極体の作製に用いられる結着剤には、耐アルカリ性、耐水性、耐熱性などの特性が要求され、一般的に、エチレン酢酸ビニル共重合ポリマー(EVA)のようなポリマーを、有機溶剤に溶いた有機溶剤系のものが用いられている。このような有機溶剤系の結着剤は、正極および負極活物質を各基板に固定する密着性や、耐アルカリ性に優れるが、有機溶剤は高価であると同時に、人体および環境に対する負荷が大きいので、製造工程における取り扱いが難しい。
一方、水性の結着剤は、一般に、有機溶剤系結着剤に比べて密着性に劣るものが多い。結着剤の密着性が不十分である場合には、電池が充放電を繰り返すうちに、活物質と基板との間に剥離が生じ、内部抵抗が上昇することにより電池性能が低下する。また、非水性結着剤と同等の密着性を有する水性結着剤として、ポリテトラフルオロエチレン(poly tetra fluoro ethilene;PTFE)が知られている。しかしながら、PTFEはフッ素元素を含有しているので、人体に対する安全性の観点、および、環境、特に地球温暖化に対する影響の観点から、製造工程における取り扱いが容易でない。
特開2001−110381号公報 再表2005−054341号公報
そこで、フッ素を含有しない水性結着剤についてさらに検討を進めたところ、接着剤やシーリング材、コーティング剤などに使用される物質として、一液架橋性を有する、水性の特殊アクリルエマルジョンの存在が見出された。Si−O結合を含有するアクリル系−ウレタン系共重合体からなるこの特殊アクリルエマルジョンは、水性でありながら、耐アルカリ性、耐水性、耐熱水性、耐熱性に優れるという特質を有している(特許文献2)。したがって、このような物質の中から、特にアルカリ蓄電池の電極用結着剤に適した特性を有するものを見出して応用することにより、優れた長期充放電サイクル性能を有しながら、製造が容易なアルカリ蓄電池を実現することが考えられる。
本発明の目的は、上記の課題を解決するために、水性でかつフッ素元素を含まないことから製造工程における取り扱いが容易で、しかも密着性および長期耐久性に優れる結着剤を電極に用いることにより、十分な長期充放電サイクル性能を確保しつつ、人体や環境への負荷が小さく、かつ安価に製造できるアルカリ蓄電池を提供することである。
前記した目的を達成するために、本発明に係るアルカリ蓄電池は、アルカリ系水溶液からなる電解液と、正極活物質を含む正極合材を基板に塗布してなる正極体と、負極活物質を含む負極合材を基板に塗布してなる負極体とを備え、前記正極合材および負極合材の少なくとも一方が、フッ素元素を含まない水性かつ一液架橋性の材料であって、アクリル系重合体鎖部、ウレタン系重合体鎖部、およびこれらアクリル系重合体鎖部とウレタン系重合体鎖部を結合するシリコーン系重合体鎖部を有するアクリル系−シリコーン系−ウレタン系共重合体と、シリカとをハイブリッド化した有機無機ハイブリッド材料を含む電極用結着剤を含んでいる。
この構成によれば、電極に用いられる結着剤が水性でかつフッ素元素を含まないことから、人体や環境に対する負荷が小さく、製造工程における取り扱いが容易である。しかも、上記電極用結着剤が、シリカを含む有機無機ハイブリッド材料を含んでいることにより、密着性および長期耐久性に優れる。これにより、十分な長期充放電サイクル性能を確保しつつ、人体や環境への負荷を抑えて、安価に製造可能なアルカリ蓄電池を実現できる。
特には、本発明に係るアルカリ蓄電池において、前記アクリル系重合体の理論ガラス転移温度が10〜55℃の範囲内にある場合に、特に顕著に電池の長期充放電サイクル性能が向上する。
本発明に係るアルカリ蓄電池において、前記有機無機ハイブリッド材料が、アクリル系−シリコーン系−ウレタン系共重合体100重量部に対して5〜200重量部のシリカを含んでいることが好ましい。
本発明に係るアルカリ蓄電池において、前記正極合材および前記負極合材のいずれもが前記電極用結着剤を含んでいることが好ましい。すなわち、従来のアルカリ蓄電池では、負極体には結着剤を用いずに、発泡ニッケルに活物質を充填してプレスをかけることのみによって負極体を作製していたが、本発明に係るアルカリ蓄電池に用いられる電極用結着剤は、正極用のみならず、負極用の結着剤としても用いることが可能である。負極体の作製に結着剤を用いることにより、負極体作製時のプレス圧を低減することが可能になり、プレス用設備の小型化が可能となる。また、負極体を折り曲げたときの活物質の剥離を抑制することが可能となり、電池の長期充放電サイクル性能が向上する。
本発明に係るアルカリ蓄電池を、例えば、前記正極活物質が水酸化ニッケルを含み、前記負極活物質が水素吸蔵合金を含むニッケル水素二次電池として構成することができる。
本発明に係るアルカリ蓄電池は、上記のように、水性でかつフッ素元素を含まない材料を電極用結着剤として用いながらも、十分な長期充放電性能を有することを特徴としているが、この「十分な長期充放電サイクル性能」の指標としては、例えば、充放電を1000サイクル行った後の放電容量維持率が80%以上であることが挙げられる。
本発明に係るアルカリ蓄電池の電極用結着剤は、アルカリ蓄電池の正極体および負極体の少なくとも一方に用いられる結着剤であって、アクリル系重合体鎖部、ウレタン系重合体鎖部、およびこれらアクリル系重合体鎖部とウレタン系重合体鎖部とを結合するシリコーン系重合体鎖部を有するアクリル系−シリコーン系−ウレタン系共重合体と、シリカとをハイブリッド化した有機無機ハイブリッド材料、ならびに水性媒体を含んでいる。
上述のように、アクリル系−シリコーン系−ウレタン系の3元系共重合体とシリカとをハイブリッド化することにより、耐アルカリ性に優れる材料が得られることが見出された。したがって、このような有機無機ハイブリッド材料をアルカリ蓄電池の結着剤として用いることにより、水性結着剤として、有機溶剤系の結着剤を用いる場合に比べて環境負荷を低減し、作業安全性を向上させながら、十分な電池の長期充放電性能を確保することができる。
以上のように、本発明に係るアルカリ蓄電池によれば、水性でかつフッ素元素を含まないことから工程における取り扱いが容易で、しかも密着性および長期耐久性に優れる結着剤を電極に用いることにより、十分な長期充放電サイクル性能を確保し、人体や環境への負荷を抑制しながら、安価に製造することが可能になる。
本発明の一実施形態に係るアルカリ蓄電池の構成例を示す断面図である。 本発明に係る実施例および比較例充放電試験用電池の構造を示す概略図であり、(a)は電極体を、(b)はケーシングをそれぞれ示している。
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
本発明に係るアルカリ蓄電池は、アルカリ水溶液からなる電解液と、正極活物質を含む正極合材を基板に塗布してなる正極体と、負極活物質を含む負極合材を基板に塗布してなる負極体とを備えており、正極合材および負極合材の少なくとも一方が、フッ素元素を含まない水性かつ一液架橋性の材料であって、アクリル系−シリコーン系−ウレタン系共重合体とシリカとをハイブリッド化した有機無機ハイブリッド材料からなる電極用結着剤を含んでいれば、どのような構造を有していてもよいが、例えば、図1の断面図に示すような構成とすることができる。
同図に示す、本発明の一実施形態に係るアルカリ蓄電池(以下単に「電池」という)1は、水酸化ニッケルを主要な正極活物質とし、水素吸蔵合金を主要な負極活物質とし、アルカリ系水溶液を電解液とするニッケル水素二次電池として構成されており、正極および負極の集電体である平板状の正極集電板3および負極集電板5と、両集電板3,5間に介在する絶縁素材からなる矩形の枠形部材7によって、電池1の角形のケーシング9が構成されている。正極集電板3および負極集電板5は、その周縁部が折曲されて枠形部材7の外面に圧接されることにより、枠形部材7に連結されている。
正極集電板3と負極集電板5とは、互いに対向するように配置されており、これら両集電板3,5の間、つまりケーシング9の内方には、プリーツ状に折り曲げられたセパレータ11、正極体13、および負極体15からなる電極体17が収容されている。正極体13と負極体15とは、両集電板3,5の対向方向に直交する方向に、セパレータ11を介して交互に積層されている。
セパレータ11は、疎水性材料(親水処理が施されていない材料)で形成されていることが好ましい。さらには、セパレータ11は、耐アルカリ系水溶液性を有する材料で形成されていることが好ましく、例えば、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維などのポリオレフィン系繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリフルオロエチレン系繊維、ポリアミド系繊維などを使用することができる。また、電解液としては、アルカリ系水溶液、例えば、KOH水溶液、NaOH水溶液、LiOH水溶液などを用いることができる。
正極体13は、多孔質の発泡ニッケルやニッケル焼結体等からなる基板に、正極活物質、正極用結着剤および導電助材を含む正極合材を塗布したものを用いている。本実施形態における導電助材としては、カーボン、またはニッケルのような耐アルカリ性、耐酸化金属性を有する金属が好ましく用いられ、本実施形態においてはカーボンブラックを用いている。正極用結着剤については後に詳述する。
負極体15には、ニッケルめっきを施した鋼板に多数の孔を形成したパンチングメタルや、多孔質の発泡ニッケル等からなる基板に、負極活物質、負極用結着剤および導電助材を含む合材を塗布したものを用いている。本実施形態における導電助材としては、正極体の場合と同様、カーボン、またはニッケルのような耐アルカリ性、耐酸化金属性を有する金属が好ましく用いられ、本実施形態においてはカーボンブラックを用いている。負極用結着剤については後に詳述する。
[電極用結着剤]
本実施形態における電極用結着剤、つまり正極用および負極用結着剤としては、水性であって、かつ、フッ素元素を含まない一液架橋性を有する物質を使用している。
より具体的には、この結着剤は、アクリル系重合体鎖部、ウレタン系重合体鎖部、およびこれらアクリル系重合体鎖部とウレタン系重合体鎖部を結合するシリコーン系重合体鎖部を有するアクリル系−シリコーン系−ウレタン系共重合体と、シリカとをハイブリッド化した有機無機ハイブリッド材料からなる。なお、本明細書において、この有機無機ハイブリッド材料を、単に「特定ハイブリッド材料」と称することがある。以下に、特定ハイブリッド材料を構成する各要素について詳しく説明する。
本実施形態に使用する特定ハイブリッド材料は、アクリル系重合体鎖部(a)、ウレタン系重合体鎖部(b)、シリコーン系重合体鎖部(c)を有するアクリル系−シリコーン系−ウレタン系3元共重合体(以下、単に「特定3元共重合体」と略すことがある。)と、シリカ(d)とをハイブリッド化した4成分からなる有機無機ハイブリッド材料である。これらのうち、特に3元共重合体は、公知の方法、例えば、再表2005−054341号公報に記載される方法で得ることができるが、本実施形態に係る特定ハイブリッド材料は、特定3元共重合体に、さらにシリカをハイブリッド化させて得られた材料である。
[アクリル系重合体鎖部(a)]
本実施形態におけるアクリル系重合体鎖部(a)は、主鎖がアクリル系単量体(a1)の重合体であり、側鎖または末端に加水分解性珪素原子含有基を有するアクリル系重合体の残基である。加水分解性珪素原子含有基は、アルコキシシリル基であることが好ましい。アクリル系単量体(a1)としては、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸エステル]等が挙げられる。また、アクリル系単量体(a1)とともに、これらと共重合が可能な公知のエチレン性不飽和単量体を用いてもよい。
また、加水分解性珪素原子含有基の導入方法としては、例えば、加水分解性珪素原子含有基およびエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物(a2)、例えば、いわゆる(メタ)アクリルシラン等を用いる方法や、加水分解性珪素原子含有基および連鎖移動性基を含有する化合物(a3)、例えば、いわゆるメルカプトシラン等を用いる方法が挙げられる。
アクリル系重合体鎖部(a)を構成する、側鎖または末端に加水分解性珪素原子含有基を有するアクリル系重合体の理論ガラス転移温度は、10℃以上55℃以下の範囲にあることが好適であり、15℃以上30℃以下の範囲にあることがより好適である。なお、本明細書における「理論ガラス転移温度」は、側鎖または末端に加水分解性珪素原子含有基を有するアクリル系重合体を得るために用いられるアクリル系単量体(a1)(使用する場合には化合物(a2)も含む)のホモポリマーのガラス転移温度から、以下のFOX(Gordon−Taylor)の式を用いて求められる。
FOXの式: 1/Tg=(w1/Tg1)+・・・+(wn/Tgn)
上記FOXの式において、
Tg:理論ガラス転移温度(単位:K)、
Tgn:使用されるアクリル系重合体(a1)、加水分解性珪素原子含有基およびエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物(a2)または他のエチレン性不飽和単量体のうち、第n番目の単量体のホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)、
wn:使用されるアクリル系重合体(a1)、加水分解性珪素原子含有基およびエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物(a2)または他のエチレン性不飽和単量体のうち、第n番目の単量体の重量分率
n:使用される単量体の数
を表わす。
また、ホモポリマーのガラス転移温度は、「T.G.Fox,Bulletin Am.Physics Sci.,1(3),123(1956).」等の文献に記載されている値から求められる。例えば、メタクリル酸メチルのホモポリマーガラス転移温度は105℃、メタクリル酸2−エチルヘキシルのホモポリマーのガラス転移温度は−70℃である(株式会社高分子刊行会発行「合成ラテックスの応用」1993年7月10日第一版158ページ参照)。
[ウレタン系重合体鎖部(b)]
本実施形態におけるウレタン系重合体鎖部(b)は、主鎖または骨格にウレタン結合を有し、末端に加水分解性珪素原子含有基を有するウレタン系重合体の残基である。ウレタン系重合体鎖部(b)を構成する、加水分解性珪素原子含有基を有するウレタン系重合体は、その分子中に親水性基を含有するものであることが好ましい。また、加水分解性珪素原子含有基は、アルコキシシリル基であることが好ましい。一例を示せば、親水性基非含有で、かつ複数のイソシアネート反応性基を含有する化合物(b1)と、親水性基および複数のイソシアネート反応性基を含有する化合物(b2)と、ポリイソシアネート化合物(b3)とを反応させることで、末端にイソシアネート基を有し親水性基を含有するウレタンプレポリマー(b4)を得、その後、ウレタンプレポリマー(b4)とイソシアネート反応性基および加水分解性珪素原子含有基を含有する化合物(b5)とを反応させることによって、親水性基含有および加水分解性珪素原子含有基を含有するウレタン系重合体を得ることができる。
上記の、親水性基非含有でかつ複数のイソシアネート反応性基を含有する化合物(b1)の例としては、公知のいわゆるポリオール化合物や、ポリアミン化合物等が挙げられる。特には、ポリオール化合物であるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を用いるのが好ましい。化合物(b1)の分子量としては特に制限されないが、通常は1000〜2000程度のものが好適に用いられる。
上記の、親水性基および複数のイソシアネート反応性基を含有する化合物(b2)としては、分子内に少なくとも1つの親水性基、例えば、アニオン性基、カチオン性基またはノニオン性基などを有しており、かつ、分子内に少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する化合物であれば特に制限されない。特に親水性基としてカルボキシル基を有するポリヒドロキシカルボン酸を好適に用いることができる。特には、ジメチロールブタン酸に代表される、ジメチロールアルカン酸が好適である。
上記のポリイソシアネート化合物(b3)の例としては、分子中に複数個の、好ましくは平均2〜3個のイソシアネート基を有する、公知の脂肪族、芳香族、脂環族等のポリイソシアネート化合物が挙げられる。具体的には、例えば、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’−および/または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、その粗製品、これらの異性体混合物あるいはこれらのカルボジイミド変性物、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビュレットポリイソシアネート化合物、イソシアネート環を有するポリイソシアネート化合物、アダクトポリイソシアネート化合物、および、これらのポリイソシアネート化合物の不飽和二重結合を水素添加した化合物等がある。これらのなかでも、特に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が好ましい。
上記のイソシアネート反応性基および加水分解性珪素原子含有基を含有する化合物(b5)としては、分子内に少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有しており、かつ、分子内に少なくとも1つの加水分解性珪素原子含有基を有する、いわゆるシラン化合物であれば特に制限されない。化合物(b5)は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。特には、下式(1)〜(3)で表されるアミノ基含有特殊アルコキシシラン化合物が好ましい。
Figure 0005290788
Figure 0005290788
Figure 0005290788
上式において、Rは炭素数1〜6個のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜6個のアルキル基、RおよびRは炭素数1〜10個の、側鎖があってもよいアルキレン基またはアリーレン基、Rは炭素数1〜20個のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、Rは水素原子または式−COOR(Rは炭素数1〜20個のアルキル基)で示される基である。mは1〜3の任意の整数である。
[調製方法]
末端にイソシアネート基を有し親水性基を含有するウレタンプレポリマー(b4)を得るための反応条件としては、公知のウレタン化反応の反応条件を採用することができる。一例を挙げれば、まず、攪拌装置、加熱装置、減圧脱水装置および窒素気流装置を備えたウレタン重合装置に、化合物(b1)および化合物(b2)を投入し、80〜100℃の温度下で減圧脱水する。その後、窒素置換をおこない、窒素気流下で50℃程度に冷却し、NCO/OH比が1.02〜1.5、好ましくは1.05〜1.4となるように計算された量の化合物(b3)を添加する。その後、80〜100℃の温度下で4〜8時間程度反応させ、設計値のイソシアネート含有率に至れば、反応終点とする。この際、任意の段階において少量のジブチル錫ジラウリレート(DBTDL)のような重合触媒を配合してもよい。得られたウレタンプレポリマー(b4)のNCO含有率は、0.5〜4.0%の範囲内にあることが好まく、1.0〜3.0%の範囲内にあることがより好ましい。さらに、ウレタンプレポリマー(b4)と化合物(b5)とを反応させる条件としても、上記の反応条件を援用することができる。一例を挙げれば、上記方法においてウレタンポリマー(b4)が得られた後、続けて化合物(b5)を活性水素/NCO比が0.8〜1.2となるように添加し、その後、80〜100℃温度下で1〜4時間程度反応させる。その後、反応混合物中の化合物(b2)に起因する親水性基を中和した後、水を高速攪拌下で配合すれば、加水分解性珪素原子含有基を有するウレタン系重合体の水分散液が得られる。
[シリコーン系重合体鎖部(c)]
シリコーン系重合体鎖部(c)は、上記ウレタン系重合体鎖部(b)を構成する、加水分解性珪素原子含有基を有するウレタン系重合体における加水分解性珪素原子含有基と、アクリル系重合体鎖部(a)を構成する、加水分解性珪素原子含有基を有するアクリル系重合体における加水分解性珪素原子含有基と、シリカ(d)が有する親水性基(特に水酸基)とにより構成される。すなわち、シリコーン系重合体鎖部(c)は、基本的には、アクリル系重合体鎖部(a)、ウレタン系共重合体(b)およびシリカ(d)との結合部位を指している。なお、これらの結合をより確実かつ強固にするために、必要に応じて、加水分解性珪素原子含有基を有するシラン系化合物(e)をさらに反応させて形成してもよい。
上記シラン系化合物(e)としては、単量体の形態のシラン系化合物、例えばテトラアルコキシシラン、アルコキシトリアルコキシシラン、ジアルコキシジアルコキシシラン、各種シランカップリング剤等や、多量体の形態のシラン系化合物、例えばポリ(アルコキシアルコキシシラン)、ポリ(アルコキシシラン)、ポリ(アルコキシアルキルシラン)などが挙げられる。なお、上記の化合物(a2)や化合物(a3)も、シラン系化合物(e)として利用することができる場合がある。
[シリカ(d)]
シリカ(d)としては、公知のシリカ粒子(二酸化珪素からなる粒子)から適宜選択することができるが、特には、親水性基を含有するシリカ粒子(以下「親水性基含有シリカ」と称する場合がある)が好適に用いられる。親水性基含有シリカにおける親水性基としては、特にヒドロキシル基が好適である。親水性基含有シリカは、シリカ粒子単独の形態、例えば、粉末状の形態で用いられてもよく、水に分散された形態、例えば、水中にコロイド状に分散されたコロイド状の形態、つまりコロイダルシリカとして用いられてもよい。
親水性基含有シリカのうち、例えば、粉末状の形態の親水性基含有シリカとしては、例えば、日本アエロジル株式会社製の商品名「AEROSIL」シリーズ(例えば、商品名「AEROSIL 50」、商品名「AEROSIL 90G」、商品名「AEROSIL 130」、商品名「AEROSIL 200」、商品名「AEROSIL 200V」、商品名「AEROSIL 200CF」、商品名「AEROSIL 200FAD」、商品名「AEROSIL 300」、商品名「AEROSIL 300CF」、商品名「AEROSIL 380」など)等の市販品を用いることができる。また、親水性基含有シリカのうち、例えば、コロイド状の形態の親水性基含有シリカとしては、例えば、旭電化工業株式会社製の商品名「アデライト AT」シリーズ(例えば、商品名「アデライト AT−20」、商品名「アデライト AT−30」、商品名「アデライト AT−40」、商品名「アデライト AT−50」、商品名「アデライト AT−20N」など)や、日産化学株式会社製の商品名「スノーテックス」シリーズ(例えば、商品名「スノーテックス 20」、商品名「スノーテックス 30」、商品名「スノーテックス 40」、商品名「スノーテックス N」、商品名「スノーテックス NS」、商品名「スノーテックス NXS」など)等の市販品を用いることができる。
本実施形態に係る特定ハイブリッド材料において、特定3元共重合体とシリカ(d)との比率は、好ましくは、特定3元共重合体(樹脂分)100重量部に対してシリカ(d)5〜200重量部である。この比率で特定3元共重合体とシリカとをハイブリッド化させることによって、特に良好な結着剤特性を得ることができる。また、特定3元共重合体における、アクリル系重合体鎖部(a)を構成するアクリル系重合体、ウレタン系重合体鎖部(b)を構成するウレタン系重合体、シリコーン系重合体鎖部(c)を構成するシリコーン系重合体との比率は、以下の範囲内である場合に、電池の電極用結着剤としての特に良好な性能が得られる。すなわち、アクリル系重合体100重量部に対して、シリコーン系重合体およびウレタン系重合体は合計で4〜100重量部であるのが好ましい。また、この場合において、アクリル系重合体100重量部に対して、シリコーン系重合体は0.5〜20重量部、ウレタン系重合体は、3.5〜99.5重量部の範囲内にあることが好ましい。
なお、本実施形態で用いる特定ハイブリッド材料は、電池の電極用結着剤として要求される性能に応じて、さらに、充填剤、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤(顔料や染料など)、防かび剤、濡れ促進剤、粘性改良剤、各種タッキーファイヤー、カップリング剤、乳化剤、界面活性剤、エマルジョンやラテックス、架橋剤、保湿剤、消泡剤などの各種添加剤または成分、溶剤などとともに用いられていてもよい。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[調製例1]
(イソシアネート反応性基および加水分解性珪素原子含有基を含有する化合物(b5)の調製)
N−β(アミノエチル)−γ−アミノブロピルトリメトキシシラン:1モルに対して、2−エチルヘキシルアクリレート:2モルの割合で配合し、混合して、50℃で7日間反応させて反応性生物であるアミノ基含有アルコキシシランを得た。
[調製例2]
(ウレタン系重合体鎖部(b)を構成するウレタン系重合体の調製)
攪拌装置、窒素導入管、温度計およびコンデンサを装着した4つ口セパラブルフラスコに、PTMG2000[ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量:2000、水酸基価:56.1mg−KOH/g]87重量部、イソホロンジイソシアネート[イソシアネート含有率(NCO含有率):37.8%、IPDI]48重量部、2,2−ジメチロールブタン酸15重量部、1,4−ブタンジオール4重量部、メチルメタクリレート80重量部、およびブチルメタクリレート80重量部を配合し、75〜80℃の温度で窒素気流下3時間反応を行い、残存イソシアネート基が1.2%のカルボキシル基含有イソシアネート基末端ポリマーの反応混合物全量に、調製例1で作製したアミノ基含有アルコキシシラン43重量部を配合して混合した。その後、75〜80℃の温度で窒素気流下1時間反応を行い、カルボキシル基含有アルコキシシリル化ウレタンポリマーを含む反応混合物を得た。次に、カルボキシル基含有アルコキシシリル化ウレタンポリマーを含む反応混合物のカルボキシル基をトリエタノールアミン5重量部で中和した後、40℃まで冷却し、脱イオン水1200重量部を高速攪拌下で配合して加水分解性シリル化ウレタン系重合体の分散液を得た。
[製造例1]
ブチルアクリレート(BA)80重量部、ブチルメタクリレート(BMA)140重量部、メチルメタアクリレート(MMA)140重量部、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10重量部をそれぞれ秤量し、これら単量体を、乳化剤としてアデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製)10重量部を使って水250重量部中で乳化させてモノマー乳化液を得た。攪拌装置、窒素導入管、温度計および還流冷却管を装着した4つ口セパラブルフラスコに、調製例2で作製した加水分解性シリル化ウレタン系重合体の分散液200重量部、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン15重量部、水300重量部を投入し、窒素雰囲気下で攪拌しながら40℃まで昇温した後、この温度を保ちながら1時間反応させてシリコーン系−ウレタン系共重合体を得た。
次に、セパラブルフラスコの液温を80℃に昇温した後、前述のモノマー乳化液と、重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(株式会社日本ファインケム製ABN−V)2重量部とを、それぞれ別の投入口から2時間かけて連続的に滴下し、更にコロイダルシリカとしてアデライトAT50(株式会社ADEKA製)150重量部を反応させて、アクリル系−シリコーン系−ウレタン系共重合体とシリカとをハイブリッド化させた「有機無機ハイブリッド材料」からなる結着剤Aを得た。なお、この有機無機ハイブリッド材料におけるアクリル系重合体の理論ガラス転移温度は25℃である。
[製造例2]
コロイダルシリカとしてアデライトAT50(株式会社ADEKA製)を使用しない以外は製造例1と同様にして、アクリル系−シリコーン系−ウレタン系共重合体からなる結着剤Bを得た。
[実施例1]
次に、本発明の実施例1に係るアルカリ蓄電池を、正極体に上記製造例1によって作製した結着剤Aを用いて、以下のようにして作製した。
(正極体)
正極体の合材を形成する各要素として、下記の材料を各配合比にて用いた。
正極活物質:水酸化ニッケル(Ni(OH))(住友金属鉱山社製 type−C3);100重量部
結着剤:シリカ含有有機無機ハイブリッド材料;5重量部
導電助材:カーボンブラック(電気化学工業社製デンカブラック);5重量部
上記の材料に、水を30重量部加えたものを、ハイスピードミキサで混合し、粘度を約100Pa・sに調整した分散液を作製した。この分散液中に、発泡ニッケルで形成した厚さ0.6mmの平板状の基板を浸漬して、基板に分散液を含浸させた。その後、この基板を約0.6mmの隙間を通過させることにより、基板表面近傍の余剰液を除去してから、80℃の乾燥機中で乾燥させた。この乾燥した電極を20tのロールプレスによって圧縮して厚さを調整したものを、実施例1における正極体とした。
(負極体)
水素吸蔵合金粉末を発泡ニッケルに含浸・乾燥させたものを、20tのロールプレスによって圧縮して、厚さ0.35mmの平板状水素吸蔵合金シートを作製し、実施例1における負極体とした。
(試験電池の作製)
図2(a)に示すように、複数の上記の正極体53と、0.35mm厚の平板状水素吸蔵合金シートにより形成した負極体55とを、プリーツ形状のセパレータ51を介して交互に積層対向させて電極体57を作製した。この電極体57を、図2(b)に示す寸法のケーシング59に、電解液25gとともに収納して試験電池とした。電解液には、水酸化カリウム(KOH)と水酸化ナトリウム(NaOH)とを重量比4:1で混合し、濃度6Nの水溶液としたものを用いた。
[比較例1]
比較例1における正極用結着剤として、実施例1で用いた、製造例1によって作製したシリカを含む結着剤Aの代わりに、製造例2によって作製したシリカを含まない特定3元共重合体からなる結着剤Bを用いた。この点以外については実施例1と同様にして試験電池を作製した。
[比較例2]
比較例2では、正極用結着剤として、実施例1で用いた、製造例1によって作製したシリカを含む結着剤Aの代わりに、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)エマルジョン系結着剤(住化ケムテックス社製スミカフレックス400HQ)を使用した。この点以外については実施例1と同様にして試験電池を作製した。
[参考例]
従来の有機溶剤系結着剤を用いる電池を、参考例として作製した。具体的には、正極体の合材を形成する各要素として、下記の材料を各配合比にて用いた。
正極活物質:水酸化ニッケル(Ni(OH))(住友金属鉱山社製 type−C3);100重量部
結着剤:エチレン酢酸ビニル共重合体系結着剤(東ソー社製ウルトラセン);5重量部
導電助材:カーボンブラック(電気化学工業社製デンカブラック);5重量部
80℃に加熱したニーダ内に、上記EVA、カーボンブラック、および有機溶剤としてキシレン5重量部を投入して混練し、EVA中にカーボンブラックを分散させた導電性結着剤を作製した。次に、60℃に過熱した溶解槽に上記導電性結着剤、水酸化ニッケル、およびキシレン15重量部を投入して混合し、分散液を作製した。この分散液中に、発泡ニッケルで形成した厚さ0.6mmの平板状の基板を浸漬して、基板に分散液を含浸させた。その後、この基板を約0.6mmの隙間を通過させることにより、基板表面近傍の余剰液を除去してから、80℃の乾燥機中で乾燥させた。この乾燥した電極を20tのロールプレスによって圧縮し調厚したものを、参考例における正極体とした。
[充放電サイクル性能試験]
上記のように作製した実施例および比較例1,2の各試験電池について、充放電サイクル試験を行い、サイクル経過による充放電特性の推移を測定した。この充放電サイクル試験では、最初に活性化充放電を10サイクル行った後に高率充放電サイクルを行った。活性化充放電および高率充放電における試験条件はそれぞれ以下のとおりである。
(活性化充放電)
充電:定電流0.1C(定格充電容量の120%まで充電)
放電:定電流0.1C(放電終止電圧1.0V)
(高率充放電)
充電:定電流1.0C(定格充電容量の120%まで充電)
放電:定電流1.0C(放電終止電圧1.0V)
なお、ここでの「C」(時間率)とは、所定の容量を有する電池を1時間で100%充電または放電するために必要な電流値のことであり、例えば、容量1Ahの電池では1C=1Aである。
このような条件で充放電サイクル性能の比較を行った結果を、表1に示す。
Figure 0005290788
表1において、「放電容量維持率」とは、活性化充放電後の高率充放電サイクルにおける最大の放電容量に対する、各回の放電容量の割合のことであり、実施例1、および比較例1,2について、放電容量維持率が80%まで低下するのに要した充放電サイクル数を示している。表1に示すように、本発明の実施例1に係る、有機無機ハイブリッド材料を結着剤に使用した電池では、シリカを含まない結着剤を使用した比較例1,2に比べて、放電量および放電電圧のいずれにおいても、長期充放電サイクル性能が極めて優れており、実用上十分な性能を有していることが確認された。
また、有機溶剤系の結着剤を用いた参考例に係る試験電池は、2000サイクル後の放電容量維持率が80%以上という良好なサイクル性能を示した。しかしながら、参考例では結着剤に有機溶剤を使用するため、電池の製造工程における人体および環境への負荷が大きく、かつ、爆発や燃焼の危険性がある。また、このような負荷を低減するための設備、および、爆発や燃焼に対する安全性を確保するための設備の設置が必要であり、電池の製造コストが多大になる。これに対して、本実施形態に係る電池1の結着剤は、水性であり、かつフッ素元素を含まないので、人体および環境に対する負荷が小さく、かつ安全である。したがって、製造工程における取り扱いが容易であり、また、環境対策や安全対策等のための設備が不要となるので、電池の製造コストが低減される。
[実施例2]
実施例2では、負極体として、実施例1における結着剤を含まない負極体の代わりに、製造例1によって作製した結着剤Aを含むものを用いた。具体的には、実施例2の負極体の合剤を形成する各要素として、下記の材料を各配合比にて用いた。
負極活物質:水素吸蔵合金粉末(三井金属鉱業type−6);100重量部
結着剤:シリカ含有有機無機ハイブリッド材料;2.5重量部
増粘剤:PVA1000;0.1重量部
上記の各材料に、水16重量を部加えたものを、ハイスピードミキサ(深江パウテック社製)で混合し、粘度を約100Pa・sに調整した分散液を作製した。この分散液中に、発泡ニッケルで形成した厚さ0.6mmの平板状の基板を浸漬して、基板に分散液を含浸させた。その後、この基板を約0.6mmの隙間を通過させることにより、基板表面近傍の余剰液を除去してから、80℃の乾燥機中で乾燥させた。この乾燥した電極を20tのロールプレスによって圧縮して調厚したものを、実施例2における負極体とした。この点以外については実施例1と同様にして、試験電池を作製した。
負極体にもシリカを含む有機無機ハイブリッド結着剤を使用した実施例2に係る試験電池では、実施例1と同等の充放電サイクル性能を示した。さらに、実施例1で使用した負極体は、結着剤を用いていないので、電池の製造過程で負極体を折り曲げたときに、折り目付近から活物質が剥離し易かった。これに対して、実施例2で使用した負極体では、折り曲げても活物質の剥離はほとんど起こらなかった。さらに、実施例1における負極体の作製においては、基板への活物質の定着を図るために、大型のロールプレスで圧縮する必要があったが、実施例2の負極体の作製においては、実施例1の場合よりも小型のロールプレスを用いて、実施例1の場合の10分の1程度のプレス圧で、十分に活物質を基板に定着させることができた。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
1 電池
9 ケーシング
11 セパレータ
13 正極体
15 負極体
17 電極体

Claims (7)

  1. アルカリ系水溶液からなる電解液と、
    正極活物質を含む正極合材を基板に塗布してなる正極体と、
    負極活物質を含む負極合材を基板に塗布してなる負極体と、
    を備え、
    前記正極合材および負極合材の少なくとも一方が、フッ素元素を含まない水性かつ一液架橋性の材料であって、アクリル系重合体鎖部、ウレタン系重合体鎖部、およびこれらアクリル系重合体鎖部とウレタン系重合体鎖部を結合するシリコーン系重合体鎖部を有するアクリル系−シリコーン系−ウレタン系共重合体と、シリカとをハイブリッド化した有機無機ハイブリッド材料を含む電極用結着剤を含んでいるアルカリ蓄電池。
  2. 請求項1において、前記アクリル系重合体の理論ガラス転移温度が10〜55℃の範囲内にあるアルカリ蓄電池。
  3. 請求項1または2において、前記有機無機ハイブリッド材料が、アクリル系−シリコーン系−ウレタン系共重合体100重量部に対して5〜200重量部のシリカを含んでいるアルカリ蓄電池。
  4. 請求項1から3のいずれか一項において、前記正極合材および前記負極合材のいずれもが前記電極用結着剤を含んでいるアルカリ蓄電池。
  5. 請求項1から4のいずれか一項において、前記正極活物質が水酸化ニッケルを含み、前記負極活物質が水素吸蔵合金を含むニッケル水素二次電池として構成されているアルカリ蓄電池。
  6. 請求項1から5のいずれか一項において、充放電を1000サイクル行った後の放電容量維持率が80%以上であるアルカリ蓄電池。
  7. アルカリ蓄電池の正極体および負極体の少なくとも一方に用いられる結着剤であって、
    アクリル系重合体鎖部、ウレタン系重合体鎖部、およびこれらアクリル系重合体鎖部とウレタン系重合体鎖部とを結合するシリコーン系重合体鎖部を有するアクリル系−シリコーン系−ウレタン系共重合体と、シリカとをハイブリッド化した有機無機ハイブリッド材料、ならびに
    水性媒体、
    を含むアルカリ蓄電池の電極用結着剤。
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