JP5290478B1 - レール固定部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震などの荷重がレールに加わってもレールを桁に固定しておくことができるレール固定部材を提供する。
【解決手段】ランウェイガーダGの頂板GPの端縁に取り付けられる連結部材10と、連結部材10とレールRとを連結する軸部材20と、を備えており、連結部材10は、一対の挟持部12,13と、一対の挟持部12,13の基端部間を連結する連結部14と、軸部材20が連結される軸部材連結部15と、を備えており、一対の挟持部12,13間に、先端部間の開口から連続する隙間11hが形成されるように配設されており、軸部材連結部15は、一方の挟持部12における先端部の外面に設けられており、連結部材10は、一対の挟持部12,13の先端部間を離間させる方向に力が加わった場合における一方の挟持部12と連結部14との連結部分の曲げ強度が、軸部材20の曲げ強度よりも小さくなるように形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、レール固定部材に関する。さらに詳しくは、天井クレーンや台車等の軌条走行機械が走行するレールを、レールを敷設する桁に固定するためのレール固定部材に関する。
天井クレーンや台車等の軌条走行機械は、倉庫等の天井や地面などに設置された桁の上に敷設されたレール上を車輪によって走行して移動する。かかる天井クレーンや台車等の安定した走行を実現する上では、桁にレールをしっかりと固定しておくことが必要となる。
従来、レールを桁に固定する部材として、フックボルトが使用されている(特許文献1、2参照)。かかるフックボルトは、一端に雄ねじが形成された鋼材の他端を略J字状に曲げて形成されたものである。このフックボルトでは、以下のようにしてレールと桁を固定する。
まず、フックボルトの一端部(雄ねじが形成されている端部)をレール垂直面に形成された貫通孔に通す。ついで、フックボルトの他端部を桁の頂面の一方の端縁に引っ掛ける。最後に、フックボルトの一端部にナットを螺合して閉めれば、フックボルトの軸方向がほぼ桁の頂面に沿って配置される。すると、桁の頂面に沿って、この桁の一方の端縁から離れる方向にレールが移動することを、フックボルトにより防止することができる。
実開昭60−40501号公報 実開昭62−153277号公報
ところで、フックボルトなどの軸状の部材は、その軸方向に沿った力に対する強度は強いが、その軸方向と交差する方向、つまり、部材を曲げるような力に対する強度は弱い。しかも、フックボルトはJ字状になっており、その曲がった部分を桁に引っ掛けて使用する。
このため、地震などによってレールを移動させる力が加わった場合には、その力の方向がレールを桁の頂面から離す方向(つまり鉛直方向)の場合はもちろん、その力の方向がレールを桁の上面に沿って移動させる方向(つまり水平方向)であっても、フックボルトには、フックボルトを曲げるように力が加わる可能性がある。
上述したように、フックボルトはかかる力を支える強度は弱いので、かかる力が加わるとフックボルトは簡単に変形してしまうので(曲がってしまうので)、レールを桁に固定しておくことはできない。つまり、地震による荷重がレールに加わった場合には、その荷重方向に係わらず、その荷重をフックボルトが十分に支えることができないので、レールが桁から外れてしまい、レールが桁からが落下する可能性もある。
本発明はかかる事情に鑑み、地震などの荷重がレールに加わってもレールを桁に固定しておくことができるレール固定部材を提供することを目的とする。
第1発明のレール固定部材は、桁の頂板の上面に設置されるレールを該桁の頂板に固定する部材であって、前記桁の頂板の端縁に取り付けられる連結部材と、該連結部材と前記レールとを連結する軸部材と、を備えており、該連結部材は、一対の挟持部と、該一対の挟持部の基端部間を連結する連結部と、前記軸部材が連結される軸部材連結部と、を備えており、該一対の挟持部は、該一対の挟持部の互いに対向する内面間に、該一対の挟持部の先端部間の開口から連続する隙間が形成されるように配設されており、前記軸部材連結部は、一方の前記挟持部における先端部の外面に設けられており、該連結部材は、前記一対の挟持部の先端部間を離間させる方向に力が加わった場合における前記一方の挟持部と前記連結部との連結部分の曲げ強度が、前記軸部材の曲げ強度よりも小さくなるように形成されていることを特徴とする。
第2発明のレール固定部材は、第1発明において、前記軸部材連結部には、前記軸部材が挿通される貫通孔が形成されており、該貫通孔は、前記一対の挟持部を離間させる方向の長さが、前記軸部材の軸径よりも長くなるように形成されていることを特徴とする。
第3発明のレール固定部材は、第2発明において、前記レールの垂直部分に前記軸部材が挿通されるレール側貫通孔が形成されており、前記軸部材連結部の貫通孔は、その中心軸から他方の前記挟持部の内面までの距離が、前記桁の頂板の下面からレール側貫通孔の中心軸までの距離と同等または短くなるように形成されていることを特徴とする。
第4発明のレール固定部材は、第1、第2または第3発明において、前記軸部材連結部は、前記一方の挟持部における先端部の外面に設けられた壁状の部分であり、その基端に対してその先端が前記一対の挟持部の基端側に位置するように傾斜していることを特徴とする。
第5発明のレール固定部材は、第1、第2、第3または第4発明において、前記軸部材連結部は、前記一方の挟持部における先端部の外面に設けられた壁状の部分であり、前記一対の挟持部の基端側の面が、該一対の挟持部の先端部側に凸となった曲面に形成されていることを特徴とする。
第1発明によれば、連結部材の一対の挟持部間の隙間に桁の頂板の端縁を入れて、軸部材によってレールと連結部材を連結すれば、レールを桁の頂板に固定することができる。しかも、レールを移動させるような力が加わると、軸部材が曲がる前に一方の挟持部と連結部との連結部分が曲がって、軸部材を介してレールが連結部材を引っ張る力の方向と、軸部材の軸方向とのなす角度を小さくすることができる。すると、レールを移動させるような力が加わっても、軸部材に加わる力のうち、軸部材を曲げるように働く力を小さくすることができるので、レールを移動させるような力に抗してレールを桁の頂板に固定しておく性能を維持することができる。
第2発明によれば、レールを移動させるような力が加わっても、軸部材に加わる力のうち、軸部材を曲げるように働く力をより小さくすることができる。
第3発明によれば、軸部材によってレールと連結部材とを連結したときに、軸部材の軸方向を、桁の頂板の上面と平行か若干上向きの状態とすることができる。すると、レールを移動させるような力が加わったときに、軸部材に加わる力のうち、軸部材を曲げるように働く力を小さくしやすくなる。
第4および第5発明によれば、レールを移動させるような力が加わったときに、軸部材に加わる力のうち、軸部材を曲げるように働く力を小さくしやすくなる。
本実施形態のレール固定部材1によってランウェイガーダGをレールRに取り付けた状態の概略断面図である。 本実施形態のレール固定部材1によってランウェイガーダGをレールRに取り付けた状態の概略平面図である。 レール固定部材1の連結部材10の概略単体説明図である。 他のレール固定部材1の連結部材10の概略単体説明図である。 試験における実施例の固定部材の固定状態の説明図であり、(A)が水平荷重試験の固定状態であり、(B)が垂直荷重試験の固定状態である。 試験におけるフックボルトの固定状態の説明図であり、(A)が水平荷重試験の固定状態であり、(B)が垂直荷重試験の固定状態である。 試験における実施例の固定部材の垂直荷重試験の写真であり、(A)が試験前の状態であり、(B)が試験後の状態である。 試験におけるフックボルトの垂直荷重試験の写真であり、(A)が試験前の状態であり、(B)が試験後の状態である。 試験における実施例の固定部材の水平荷重試験の写真であり、(A)が試験前の状態であり、(B)が試験後の状態である。 試験におけるフックボルトの垂直荷重試験の写真であり、(A)が試験前の状態であり、(B)が試験後の状態である。
本発明のレール固定部材は、天井クレーンや台車等が走行するレールを固定するための部材であって、桁の頂板の上面にレールを固定するためのものである。
本発明のレール固定部材によって固定されるレールはとくに限定されない。桁の頂板の上面に立設するような壁(言い換えれば、桁の頂板の上面と垂直な壁)を有するものが好ましい。本発明のレール固定部材によって固定されるレールとして、例えば、一般的な断面略I字状に形成されたレールを挙げることができる。
また、本明細書でいう桁としては、例えば、図1に示すような所定の幅を有する頂板を備えた桁、いわゆるランウェイガーダなどを挙げることができる。本明細書でいう桁は、レール固定部材1の連結部材10を係合することができる構造を有するものを含む概念であり、かかる構造を有するものであれば、とくに限定されない。
以下では、図1に示すように、頂板GPを有するランウェイガーダGに、断面略I字状に形成されたレールRを固定する場合を代表として説明する。
(レール固定部材1の説明)
まず、レール固定部材1の詳細を説明する前に、レール固定部材1の構造と、レール固定部材1によるレールRの固定状態を、簡単に説明する。
図1において、符号GPはランウェイガーダGの頂板を示している。また、符号Rは、本実施形態のレール固定部材1によってランウェイガーダGの頂板GPに固定されるレールを示している。このレールRは断面略I字状に形成されたレールであって、垂直壁の部分(以下垂直壁RUという)に貫通孔Rhが形成されている。
図1に示すように、レールRの貫通孔Rhには、本実施形態のレール固定部材1の軸部材20の一端が挿通されている。この軸部材20は、その直径が貫通孔Rhの内径とほぼ同等の部材であり、その一端には、貫通孔Rhを通過できない大きさの頭部20aが形成されている。
一方、軸部材20の他端は、連結部材10の軸部材連結部15に形成された貫通孔15hに挿入されている。この軸部材20の他端には、雄ネジ20bが形成されている。そして、軸部材20の雄ネジ20bにおいて、軸部材連結部15から突出している部分(図1では軸部材連結部15より右側の部分)には、ナット21が螺合している。
図1に示すように、連結部材10は、軸部材連結部15の基端が連結部材10の本体部11に連結されている。この本体部11は、軸部材連結部15の基端が連結された端部側の端面(図1では左側の端面、以下、先端面という)から凹んだ溝状の空間(以下隙間11hという)を有している。つまり、本体部11は、側面視で、略C字状(またはコの字状)に形成されている。この本体部11の隙間11hには、先端面側から、ランウェイガーダGの頂板GPの端部が挿入されている。
以上のごとき構造であるので、軸部材20の雄ネジ20bに螺合しているナット21を締め付ければ、軸部材20によって、レールRと連結部材10の軸部材連結部15を連結することができる。
しかも、ナット21を締め付けていけば、連結部材10は、本体部11の隙間11hの底面がランウェイガーダGの頂板GPの端面と接触して押しつけられた状態となる。すると、連結部材10の本体部11がランウェイガーダGの頂板GPに固定された状態となる。
つまり、軸部材20の雄ネジ20bに螺合しているナット21を締め付けることによって、軸部材20と連結部材10を介して、レールRとランウェイガーダGの頂板GPとを固定することができるのである。
なお、上記例では、軸部材20を、レールR側に頭部20aが位置し他端が軸部材連結部15の貫通孔15hに挿通されている場合を説明した。しかし、軸部材20は、軸部材連結部15側に頭部20aが位置し他端がレールRの貫通孔Rhに挿通されていてもよいのは、いうまでもない。
(レール固定部材1の説明)
つぎに、本実施形態のレール固定部材1の詳細を説明する。
(軸部材20)
まず、軸部材20は、その軸部がレールRの貫通孔Rhおよび軸部材連結部15の貫通孔15に挿通できる太さに形成されたものである。そして、軸部材20は、上述したように、一端にレールRの貫通孔Rhや軸部材連結部15の貫通孔15を通過できない大きさの頭部20aが形成され、他端に雄ネジ20bが形成されたものである。例えば、軸部材20としては、一般的なボルトを使用することができる。
なお、軸部材20は、レールRと軸部材連結部15との間を連結できる軸状の部材であればよく、上述したような構造以外にも、両端に雄ネジが形成されたものを使用する事が可能である。
さらに、上記例では、軸部材20をレールRの貫通孔Rhおよび軸部材連結部15の貫通孔15に挿通する場合を説明した。しかし、軸部材20をレールRおよび軸部材連結部15に連結する方法はとくに限定されない。レールRと軸部材連結部15に軸部材20の両端を取り付けた状態においてレールRを頂板GPから離間させるような力が加わった場合に、軸部材20に対して軸方向に引っ張る力が加わるように連結できればよい。例えば、軸部材20の一端は、溶接などによって軸部材連結部15に固定されていてもよい。
(連結部材10)
図1および図3に示すように、連結部材10は、側面視で、略C字状(またはコの字状)に形成された本体部11と、この本体部11の表面に立設された壁状(または板状)の軸部材連結部15と、から形成されている。
図1および図3に示すように、本体部12は、一対の挟持部12,13と、この一対の挟持部12,13を連結する連結部14と、から構成されている。なお、一対の挟持部12,13のうち、図1および図3では上方に位置する挟持部12の外面に軸部材連結部15が立設されている。
一対の挟持部12,13は、互いに対向する内面12a,13a同士が互いに平行となるように形成された略板状の部分である。この一対の挟持部12,13は、互いに対向する内面12a,13a間に隙間11hができるように形成されている。具体的には、一対の挟持部12,13は、その内面12a,13a間の距離(つまり隙間11hの高さ)がランウェイガーダGの頂板GPの厚さよりも厚くなるように形成されている。
そして、図1および図2に示すように、一対の挟持部12,13は、その先端(図1および図2では左端)間は開口しているが、その基端部(図1および図2では右端部)は連結部14によって連結されている。
つまり、本体部11は、一対の挟持部12,13間に、一対の挟持部12,13の先端から連続しかつ連結部14の内面14aが底となるような隙間11hを有しているのである。言い換えれば、本体部11は、側方から見たときに(図3(B)では左右方向から見たときに)、一対の挟持部12,13と連結部14とが略C字状(またはコの字状)となるように形成されている。
また、本体部11には、挟持部12と連結部14とが連結する角C1(以下単に角C1という)が切り取られて、斜面11cが形成されている。この斜面11cは、挟持部12の内面12aと連結部14の内面14aとが形成する角11rまでの距離Dが、一対の挟持部12,13や連結部14の厚さよりも短くなるように形成されている。つまり、本体部11は、その各部をその厚さ方向に沿って曲げる力を加えた場合、角C1の部分の曲げ強度が最も弱くなるように(つまりこの部分が最初に曲がるように)形成されているのである。
したがって、本体部11に対して一対の挟持部12,13の先端同士を離間するような力が加わると、本体部11は、まず、角C1の部分で折れ曲がるように変形するのである。なお、角C1の部分の曲げ強度は、上述した軸部材20の曲げ強度よりも小さくなるように形成されているが、その理由は後述する。
また、図1および図3に示すように、本体部11における挟持部12の先端部外面(図1および図3では上面)には、壁状(または板状)の軸部材連結部15が設けられている。つまり、挟持部12において、角C1と反対側の端部の上面には、軸部材連結部15が設けられている。
この軸部材連結部15には、上述したように貫通孔15hが形成されている。この貫通孔15hは、その軸方向が、隙間11hの開口から連結部14の内面14aに向かう方向(図1および図2における矢印aの方向、以下、隙間11hの軸方向という)に沿うように形成されている。
そして、この軸部材連結部15も、一対の挟持部12,13や連結部14と同様に、その厚さが距離Dよりも厚くなるように形成されている。
以上のごとき形状に形成されているので、本実施形態のレール固定部材1は以下のような効果を奏する。
まず、図1に示すように、軸部材20と連結部材10を介してレールRとランウェイガーダGの頂板GPとを固定した状態において、レールRを頂板GPに沿って左方向に移動させる力(つまり図1ではレールRを水平に左方向に移動させる力)が加わったとする。この場合には、軸部材20に対しては、その軸方向に沿って力が加わる。また、連結部材10には、連結部14の内面14aを押し付けるような力が加わる。つまり、レールRを水平に移動させる力が加わっても、軸部材20を曲げるような力は加わらないので、本実施形態のレール固定部材1は、レールRに加わる水平の荷重を支えることができる。
また、図1に示すように、軸部材20と連結部材10を介してレールRとランウェイガーダGの頂板GPとを固定した状態において、レールRを頂板GPから離間させるような力(つまり図1ではレールRを上方に引っ張る力)が加わった場合には、軸部材20および連結部材10を曲げるような力が加わる。
具体的には、軸部材20には、レールRを介して、軸部材20を軸方向に引っ張る力と、軸部材連結部15の位置を支点として上方に曲げるような力と、が加わる。一方、連結部材10には、軸部材20を介して軸部材連結部15を上方に持ち上げるような力が加わる。言い換えれば、本体部11に対して一対の挟持部12,13の先端同士を離間するような力が加わる。
すると、軸部材20および連結部材10のうち、最も曲げ強度が小さい部分から変形を開始する。つまり、連結部材10の本体部11において、角C1の部分が最初に折れ曲がるように変形する。
そして、本体部11がある程度変形すると、レールRが軸部材20を引っ張る力の方向と、軸部材20の軸方向とがなす角度が小さくなる。すると、レールRをランウェイガーダGの頂板GPから離間させるような力が加わっても、軸部材20に対して加わる力のうち、軸部材20を曲げるように働く力を小さくすることができる。
そして、軸部材20は、軸方向の引っ張りに対する強度は曲げに対する強度よりも強いので、軸部材20の損傷により、レールRと連結部材10との固定が外れることを防止することができる。つまり、レールRとランウェイガーダGの頂板GPとの固定が外れることを防止することができる。言い換えれば、本実施形態のレール固定部材1は、レールRをランウェイガーダGの頂板GPから離間させるような力に抗してレールRをランウェイガーダGの頂板GPに固定しておく性能を維持することができるのである。
以上のように、本実施形態のレール固定部材1では、レールRに対して、レールRをランウェイガーダG移動させるような力(水平方向の力および/または垂直方向の力)が加わっても、このような力に抗してレールRをランウェイガーダGの頂板GPに固定しておく性能を維持することができるのである。
(貫通孔15hの大きさ)
軸部材連結部15に形成されている貫通孔15hは、その内径が軸部材20とほぼ同等でもよいが、軸部材20の直径よりも若干大きくなっている方が好ましい。この場合、レールRをランウェイガーダGの頂板GPから離間させるような力が加わったときに、軸部材20の中心軸を貫通孔15hの軸方向に対して傾いた状態とすることが可能となる。すると、レールRをランウェイガーダGの頂板GPから離間させるような力が加わっても、軸部材20に対して加わる力のうち、軸部材20を曲げるように働く力を小さくすることができるので、軸部材20がより損傷しにくくなる。
かかる効果を得るのであれば、貫通孔15hを長孔にしてもよい。具体的には、挟持部12の内面と交差する方向(図1および図3では上下方向)の長さが、軸部材20の軸径よりも長くなり、幅(図1および図3では左右方向の長さ)が軸部材20の軸径とほぼ同じなるように、貫通孔15hにしてもよい。
(貫通孔15hの配置)
また、貫通孔15hは、その中心軸から挟持部13の内面13aまでの距離が、ランウェイガーダGの頂板GPからレールRの貫通孔Rhの中心軸までの距離と同等か若干短くなるように形成されていることが好ましい。かかる構造とすれば、軸部材20によってレールRと連結部材10の軸部材連結部15とを連結したときに、軸部材20の軸方向を、頂板GPの上面と平行か若干上向きの状態とすることができる。すると、レールRをランウェイガーダGの頂板GPから離間させるような力が加わったときに、軸部材20に加わる力のうち、軸部材20を曲げるように働く力を小さくしやすくなる。
(軸部材連結部15の形状)
さらに、レールRをランウェイガーダGの頂板GPから離間させるような力が加わったときに、軸部材20に加わる力のうち、軸部材20を曲げるように働く力を小さくする上では、軸部材連結部15を以下のような構造にすることも有効である。
図4に示すように、軸部材連結部15を、その基端に対してその先端が一対の挟持部12,13の基端側、つまり、角C1側に位置するように傾斜するように配設してもよい。つまり、軸部材連結部15を、角C1側に傾いた状態となるように形成してもよい。すると、レールRが上方に引っ張られたときに、軸部材20の軸方向と軸部材連結部15の表面の法線方向とのなす角度を小さくすることができるから、軸部材20に加わる力のうち、軸部材20を曲げるように働く力をより小さくしやすくなる。
とくに、軸部材連結部15において、一対の挟持部12,13の基端側の面15aが、一対の挟持部12,13の先端部側に凸(言い換えれば先端部側に凹んだ)となった曲面に形成されているとより好ましい。なぜなら、レールRをランウェイガーダGの頂板GPから離間させるような力が加わると、軸部材20がその軸方向と頂板GPの上面とのなす角度が大きくなるように移動するが、この際に、面15aが上述したような曲面となっていれば、軸部材20がその姿勢を変化させるように移動しやすくなるからである。
また、軸部材連結部15は上述したような壁状に限られず、軸部材20を連結できる構造を有していればよい。例えば、挟持部12の厚さを厚くして、挟持部12の一部を軸部材連結部15としてもよい。この場合には、挟持部12の端面に雌ネジを形成しておけば、軸部材20の雄ネジ20bを雌ネジに螺合することによって、軸部材20と軸部材連結部15(つまり挟持部12)を連結することができる。
(接触突起について)
また、図1に示すように、挟持部13の内面13aに接触突起13pを設けてもよい。
上述した連結部材10をランウェイガーダGの頂板GPに固定したときに、最も好ましい状態は、頂板GPの下面が挟持部13の内面13aと面接触し、かつ、頂板GPの端面が連結部14の内面14aと面接触した状態である。しかし、かかる状態となるように連結部材10をランウェイガーダGの頂板GPに固定する作業は手間がかかるし、連結部材10の内面13aや内面14aの加工精度を高くしなければならない。
一方、挟持部13の内面13aに接触突起13pを設けておけば、頂板GPの端面と連結部14の内面14aとを接触させかつ接触突起13pを頂板GPの下面に接触させた状態となるように、簡単に、連結部材10とをランウェイガーダGの頂板GPに固定することができる。つまり、連結部材10が、容易に頂板GPと2箇所で接触した状態とすることができるので、連結部材10をランウェイガーダGの頂板GPに安定した状態で連結することができる。
(連結部材10の製造方法について)
上述した連結部材10を製造する方法はとくに限定されない。例えば、一つのブロックを切削加工するなどの方法で形成してもよいし、複数枚の板を連結して製造してもよく、とくに限定されない。
なお、角C1での曲げをスムースに生じさせるうえでは、挟持部12と連結部14は、一つのブロックを切削加工するなどの方法で一体成形することが好ましい。
本発明のレール固定部材によるレールを移動させる力に対する耐久性を確認した。
試験では、本発明のレール固定部材に相当する部材(以下実施例の固定部材という)およびフックボルトによってランウェイガーダにレールを固定した場合において、レールを固定ができなくなる力がどの程度であるかを比較した。
使用したレールは、長さ240mmの15kgレールおよび/または22kgレール(JIS E1101(2011))である。なお、15kg、22kgとは、長さ1mあたりの重量を示している。重量の大きいものほど、レールの狂いが生じにくく、重量のある台車などを走行させることができる。
また、垂直方向の試験では、レールを固定した治具は、I形鋼(H220×B200)である。
使用した実施例の固定部材は、図4に示すような形状を有するものである。レール固定部材において、図4(B)に示す各部の寸法は以下の通りである。
(15kgレール)
H :98mm
H1 :44mm
H2 :21mm
L1 :55mm
L2 :39mm
DP1:40mm
DW :29mm
D1 :15mm
T :15mm
軸部材(水平方向):M12×L160mmの六角ボルト(15kgレール)
軸部材(垂直方向):M12×L110mmの六角ボルト(15kgレール)
なお、連結部材の幅は32mmである。
(22kgレール)
H :116mm
H1 :49mm
H2 :28mm
L1 :70mm
L2 :48mm
DP1:50mm
DW :29mm
D1 :19mm
T :20mm
軸部材(水平方向):M16×L160mmの六角ボルト(22kgレール)
軸部材(垂直方向):M16×L110mmの六角ボルト(22kgレール)
なお、連結部材の幅は32mmである。
また、フックボルトは、15kgレールでは軸径13mm、22kgレールでは軸径16mmのものを使用した。
垂直荷重の試験では、上記レールを、実施例の固定部材またはフックボルトによって上記I形鋼に固定した。その上で、I形鋼およびレールを引張試験機(株式会社島津製作所製:型番600794−03)に取り付けて、I形鋼に対してレールが相対的に垂直方向に移動するように引張荷重を加えた(図7、図8参照)。そして、引張荷重を増加させて、引張荷重が増加から減少に変化するタイミング、つまり、実施例の固定部材またはフックボルトによるレールを支持する力がなくなるタイミングの荷重を確認した。
垂直荷重の試験の際に、実施例の固定部材またはフックボルトによるレールのI形鋼への固定は、それぞれ図5(B)、図6(B)に示すような方法を使用した。また、この固定には、レール固定部材およびフックボルトを2本使用して、各レール固定部材および各フックボルトは、レールの両側に一本ずつ配置した。
また、実施例の固定部材またはフックボルトによってレールをランウェイガーダに固定した場合における水平方向の荷重に対する強度を比較した。水平方向の荷重に対する試験では、それぞれ図5(A)(レール固定部材)、図6(A)(フックボルト)に示すような方法で試験を行った。つまり、実施例の固定部材またはフックボルトは、2枚の板材間を連結するように2つのレール固定部材および2本のフックボルトを配置した。そして、2枚の板材を上述した引張試験機に取り付けて、両板材を互いに離間するように移動させて引張荷重を加えて、垂直荷重試験と同様に、引張荷重を測定した(図9、図10参照)。
測定では、引張試験機に設置した状態から引張荷重を加え、荷重が増加から減少に変化するタイミングの荷重を確認した。参考として、垂直方向の測定を行っている状況の写真および測定後の写真を、それぞれ図7(レール固定部材)および図8(フックボルト)に示している。また、水平方向の測定を行っている状況の写真および測定後の写真を、それぞれ図9(レール固定部材)および図10(フックボルト)に示している。
以下に試験結果を示す。
図7に示すように、実施例の固定部材の場合、連結部材の切り取られた角の部分から曲がっているが、軸部材の曲がりはわずかしか生じなかった。そして、軸部材によって連結部材とレール連結されたままであり、連結部材が曲がってもI形鋼との連結は維持されていた。しかも、連結部材などの変形に比べて、レールの方が大きく変形していることが確認された。
この結果から、実施例の固定部材では、連結部材の変形は生じるものの、レールをランウェイガーダの頂板から離間させるような力が加わっても、レールをランウェイガーダにしっかりと固定しておくことができることが確認できた。
一方、図8に示すように、従来使用されているフックボルトによってレールをI形鋼に固定した場合では、レールは変形していないが、フックボルトが損傷している。
したがって、従来使用されているフックボルトは、実施例の固定部材に比べて、レールをランウェイガーダの頂板から離間させるような力に対抗して、レールをランウェイガーダに固定する能力が低いことが確認できた。
また、図9、図10に示すように、水平方向の荷重(つまりランウェイガーダの頂板の上面に沿った方向の荷重)が加わった場合を模擬した試験では、板材やレールが変形する前に、フックボルトおよびレール固定部材の連結部材が変形していることから、フックボルトおよびレール固定部材の水平方向荷重に対する強度の限界を測定できていることが確認できる。
また、表1に示すように、レールを支持する力がなくなるタイミングの荷重を単純に比較した場合、実施例の固定部材は、フックボルトに対して6倍程度の強度がある。
ここで、レールに対する水平方向の荷重は、レールの頂部に加わる。すると、レールを単純に水平方向に移動させるような力が加わるのではなく、レールを転倒させようとする力(転倒モーメント)が発生する。このモーメントを考慮して、水平方向の強度(換算強度、1個あたり)を求めた。その結果を表2に示す。
さらに、実際の施工状態を考慮して、単位距離区間(600mm)において支持できる荷重を求めた。その結果を表3に示す。なお、表中の個数は、単位距離区間に設置される各部材の数である。また、換算結果は、15kgレールの結果のみを示している。
表3に示すように、単位距離区間で支持できる荷重でも、水平方向、垂直方向とも、実施例の固定部材がフックボルトよりも大きくなっている。しかも、実施例の固定部材は、垂直方向では約9倍程度、水平方向では約6倍程度、フックボルトよりも支えることができる荷重が大きいことが確認できる。
つまり、実際の施工条件では、実施例の固定部材は、従来のフックボルトよりもレールをランウェイガーダにしっかりと固定しておくことができることが確認できた。
以上のように、本発明のレール固定部材は、従来使用されているフックボルトに対して、レールに水平方向の荷重が加わった場合、レールに垂直方向の荷重が加わった場合、のいずれの場合でも、強いレール支持力を発揮することが確認できた。
本発明のレール固定部材は、ランウェイガーダなどの桁の頂板にレールを固定する部材に適している。
1 レール固定部材
10 連結部材
11 本体部
11h 隙間
12 挟持部
13 挟持部
14 連結部
15 軸部材連結部
15h 貫通孔
20 軸部材
C1 角
R レール
G ランウェイガーダ
GP 頂板

Claims (5)

  1. 桁の頂板の上面に設置されるレールを該桁の頂板に固定する部材であって、
    前記桁の頂板の端縁に取り付けられる連結部材と
    該連結部材と前記レールとを連結する軸部材と、を備えており、
    該連結部材は、
    一対の挟持部と、
    該一対の挟持部の基端部間を連結する連結部と、
    前記軸部材が連結される軸部材連結部と、を備えており、
    該一対の挟持部は、
    該一対の挟持部の互いに対向する内面間に、該一対の挟持部の先端部間の開口から連続する隙間が形成されるように配設されており、
    前記軸部材連結部は、
    一方の前記挟持部における先端部の外面に設けられており、
    該連結部材は、
    前記一対の挟持部の先端部間を離間させる方向に力が加わった場合における前記一方の挟持部と前記連結部との連結部分の曲げ強度が、前記軸部材の曲げ強度よりも小さくなるように形成されている
    ことを特徴とするレール固定部材。
  2. 前記軸部材連結部には、前記軸部材が挿通される貫通孔が形成されており、
    該貫通孔は、
    前記一対の挟持部を離間させる方向の長さが、前記軸部材の軸径よりも長くなるように形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載のレール固定部材。
  3. 前記レールの垂直部分に前記軸部材が挿通されるレール側貫通孔が形成されており、
    前記軸部材連結部の貫通孔は、
    その中心軸から他方の前記挟持部の内面までの距離が、前記桁の頂板の下面からレール側貫通孔の中心軸までの距離と同等または短くなるように形成されている
    ことを特徴とする請求項2記載のレール固定部材。
  4. 前記軸部材連結部は、
    前記一方の挟持部における先端部の外面に設けられた壁状の部分であり、
    その基端に対してその先端が前記一対の挟持部の基端側に位置するように傾斜している
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のレール固定部材。
  5. 前記軸部材連結部は、
    前記一方の挟持部における先端部の外面に設けられた壁状の部分であり、
    前記一対の挟持部の基端側の面が、該一対の挟持部の先端部側に凸となった曲面に形成されている
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のレール固定部材。
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