JP5288127B2 - X線回折法 - Google Patents

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Description

本発明は、X線回折法に関するものである。特に、接合された異種材料の界面を破壊することなく、その界面における結晶性物質の同定を行うことができるX線回折法に関する。
半導体モジュールのリードをアイレットに封止する構成としてハーメチックシールが知られている。ハーメチックシールのより具体的な構造例は、図4に示す通りである。この半導体モジュール100は、コバールやCu-W合金からなる円盤状のアイレット110と、受光素子(PD)や発光素子(LD)といった半導体素子120と、半導体素子120につながるリード130と、半導体素子120を覆うキャップ140と、キャップ140の上部に設けられたレンズ150とを備える。ハーメチックシールを形成するには、アイレット110に形成された貫通孔110hに半導体素子120のリード130を通す。このリード130も代表的にはコバールから構成される。そして、この貫通孔110hの内周面とリード130の外周面との間にほう珪酸ガラスなどのガラス160を充填して封止する。
この際、リードとガラスとの界面には、酸化鉄などの酸化膜が形成されることがある。この酸化膜の種類、例えばFeO、Fe2O3、Fe3O4などを区別して各酸化物の存在が確認できれば、リードとガラスとの界面の評価、例えばリードとガラスの密着性を評価するための指標とすることが期待される。
この界面における酸化物の同定を行う手法の一つとしてX線回折法がある。従来、このような互いに密着された異種材料の界面をX線回折法で分析する場合、ハーメチックシールを破壊してリードとガラスとを剥離し、剥離面に対してX線を照射して回折線を分析することで行うことが考えられる。例えば、類似の技術として、特許文献1には、ボンディングパッドとボンディングワイヤの界面をX線回折法により分析するための試料の調整方法が開示されている。具体的には、ボンディングされた金属細線を物理的な力でボンディングパッドから剥離し、露出した剥離面に、表面から内部に向かって断続的にArイオンビームを照射してイオンエッチングし、順次新しい観察面を露出させることを行っている。
特開2008-122328号公報
しかし、上記のように接合される異種材料同士を剥離して界面を露出させる手法には、次のような問題があった。
まず、異種材料同士の剥離作業自体が煩雑である。特に、ガラスといった脆性材料を、剥離面を損傷することなく正確にリードから剥離することは必ずしも容易ではない。その剥離作業に慎重性が求められる結果、一層剥離作業が煩雑になる。
また、安定した性状の剥離面を得ることが難しい。例えば、リードとガラスを剥離した場合、酸化膜の全てがリード又はガラスの一方に密着した状態で剥離するとは限らない。特に、リードとガラスの密着性の良い試料と悪い試料では、剥離箇所が異なることもあり得、分析したい界面で適切に剥離を行うことが困難な場合がある。その結果、分析したい界面に対して正確なX線回折を行うことが困難になる虞がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、接合された異種材料の界面を破壊することなく、その界面における結晶性物質の分析を行うことができるX線回折法を提供することにある。
本発明者らは、異種材料の接合界面を非破壊でX線回折法にて分析する方法を検討した結果、試料に照射するX線の照射方向を工夫し、さらには必要に応じて試料の形状を工夫することで上記の目的を達成できるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
本発明のX線回折法は、異種材料の接合界面に存在する結晶性物質を同定するX線回折法に係り、次の過程を備えることを特徴とする。
前記接合界面のうち、その断面が曲線で表される領域を分析対象面とする試料をX線照射源と回折線検出器との間に配置する過程。
前記照射源から、前記分析対象面に対して、前記曲線の接線方向にX線を照射する過程。
このX線の照射に伴って発生する回折線を前記回折線検出器で検出する過程。
この構成によれば、X線を分析対象面が形成する曲線の接線方向に照射することで、非破壊状態の分析対象面から回折線を的確に検知することができる。そのため、試料を作製するのに際して接合された異種材料同士を剥離する必要もなく、分析結果が剥離面の性状に左右されることもない。
ここで、接合界面のうち、その断面が曲線で表される領域とは、接合界面に対して所定の断面をとった場合に、その断面に接合界面が曲線として表される接合界面の少なくとも一部のことである。例えば、接合界面が円筒面の一部の場合、接合界面に対して、その円筒の軸と交差する断面をとれば、界面は断面に円弧で表される。また、接合界面が球面の一部の場合、その接合界面に任意の断面をとれば、界面は断面に円弧で表される。もちろん、接合界面の断面に表される曲線は、真円の一部を構成する円弧に限定されるわけではなく、楕円の一部を構成する円弧など、他の曲線であってもよい。
本発明のX線回折法において、前記試料は、前記接線方向を厚み方向とする薄板状とすることが好ましい。
この構成によれば、試料に対するX線の透過性を上げることができ、より低エネルギーのX線の利用が可能になる。また、散乱X線の発生個所を小さくし、X線回折線チャートにおけるピークがバックグラウンドに埋もれることを抑制できる。
本発明のX線回折法において、前記回折線検出器を二次元検出器とすることが好ましい。
この構成によれば、結晶性物質が高配向であったり結晶粒の数が少ない等の事情で、X線回折パターン(Debye ring)が途切れた円弧となって完全な同心円状とはならない試料についても、回折線を効率的に検出することができる。
本発明のX線回折法において、前記曲線が円弧であり、前記X線の厚みを前記円弧の直径未満とすることが好ましい。
この構成によれば、照射面積の絞り込まれたX線を用いることで、試料の界面部の厚みが小さい場合でも、正確に界面部の結晶情報を分析することができる。なお、X線の厚さとは、分析対象面が形成する円弧の径方向で、かつ試料に照射した状態のX線における前記円弧の接線と直交する方向の寸法をいう。
本発明のX線回折法は、前記異種材料の一方をX線の透過率が低い低透過性材料とし、他方を低透過性材料よりもX線の透過率が高い高透過性材料とする試料の分析に利用できる。
この構成によれば、異種材料の一方が高透過性材料であることで、界面部から発生した回折線を適切な強度にて検知することができる。また、両透過性材料のX線の透過率の相違から試料の界面位置を容易に認識することができる。
本発明のX線回折法において、試料を前記低透過性材料と高透過性材料との接合部材とする場合、前記低透過性材料が電子部品のリードで、前記高透過性材料が前記リードを電子部品のリード貫通部に封止するガラスであることが挙げられる。
この構成によれば、各種電子部品のリードとガラスとの界面における結晶性物質の同定を行うことができ、その同定結果をリードとガラスの密着性の評価に利用することができる。
本発明のX線回折法において、低透過性材料を電子部品のリードとした場合、前記X線を前記リードの軸方向と交差する方向に照射することが挙げられる。
リードの軸方向に沿った方向にX線を照射する場合、リードの端面からの回折線を検出することがある。しかし、リードの軸方向と交差する方向にX線を照射すれば、リード端面からの回折線を除去して、界面からの回折線をより正確に検出することができる。さらには、リードの軸方向にほぼ直交する方向にX線を照射することで、リードの軸方向と非直交にX線を照射する場合に比べて試料を透過するX線の光路を短くでき、高い透過率にてX線回折を行うことができる。
本発明のX線回折法において、前記X線を放射光とすることが挙げられる。
この構成によれば、X線の厚さを絞っても高エネルギーのX線を試料に対して照射することができる。
本発明のX線回折法において、前記結晶性物質が酸化物であることが挙げられる。
この構成によれば、試料の界面を非破壊にて分析できるため、この界面に存在する酸化物をより感度よく同定することができる。接合される異種材料同士を剥離して剥離面を露出させる方法では、剥離前の界面に存在した被酸化元素が剥離面の露出によって酸化物となり、剥離前から界面に存在した酸化物と区別できなくなる虞があるが、本発明方法によれば、このような不具合は生じない。
本発明のX線回折法によれば、接合された異種材料の界面を破壊することなく、その界面に存在する物質の同定を行うことができる。
本発明の実施例に係るX線回折法を示す説明図である。 本発明の実施例における試料の形状と、試料に対するX線の照射条件を示す説明図である。 実施例での分析結果を示すX線回折チャートである。 ハーメチックシールの概要を示す模式説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図1、図2に基づいて説明する。本発明方法は、「試料の配置」、「X線の照射」、及び「回折線の検知」の各過程を備える。この方法の実施には、図1に示すように、X線照射源10、試料設置部20、回折線検出器30を備えるX線回折装置を用いる。
[試料の配置]
本発明のX線回折法では、まず試料SをX線照射源10と回折線検出器30との間に位置する試料設置部20に配置する。この試料Sは、異種材料が接合された界面Sbを有する部材である。異種材料の接合体からなる部材であれば、試料Sの材質は限定されない。特に、異種材料の一方はX線の透過率が低い低透過性材料Siで、他方は低透過性材料SiよりもX線の透過率が高い高透過性材料Soであることが好ましい。透過率差の大きい材料同士の界面であれば、界面からの回折線を限定的に検出しやすい。これらの透過率は、照射するX線のエネルギー、試料の材質、試料の厚さなどにもよるが、例えば高透過性材料Soの場合80%以上、さらには90%以上となるようにし、低透過性材料Siの場合、30%以下、さらには20%以下となるようにすることが挙げられる。また、後述するように、接合界面が、その断面に円弧で表される場合、その円弧の外周側に高透過性材料が、円弧の内周側に低透過性材料が配される試料の分析に本発明方法は好適に利用できる。
低透過性材料Siの具体例としては電子部品のリード、高透過性材料Soの具体例としてはリードを電子部品のリード貫通部に封止する硬質ガラスが挙げられる。より特定的にはコバールからなるリードと、ほう珪酸ガラスからなる硬質ガラスが挙げられる。その他、低透過性材料Siとして金属材料が、高透過性材料Soとして樹脂が挙げられる。
また、この試料の界面Sbは、その断面が曲線で表される領域を分析対象面とする。具体例としては、実質的に円筒面又は球面或いは、これらの一部からなる領域が分析対象面として挙げられる。分析対象面の横断面が実質的に円弧で構成されると、その円弧の接線方向から入射するX線52は、円弧の外側に位置する一方の異種材料(例えば硬質ガラスSo)を透過して界面に到達する。そのため、界面SbにおけるX線の照射箇所は、前記円弧の内側に位置する他方の異種材料(例えばリードSi)が前記一方の異種材料で覆われた箇所となり、非破壊状態での界面Sbに対してX線回折を行うことが可能になる。なお、一般に、前記円弧の径が大きければ、X線52が界面Sbに照射される領域が広くなり、この円弧の径が小さければ、X線52が界面に照射される領域が狭くなる。
この試料Sは、図2に示すように、分析対象面の接線方向を厚み方向とする薄板状であることが好ましい。例えば、リードSiの外側を硬質ガラスSoで覆ったハーメチックシールを試料Sとする場合、リードSiと硬質ガラスSoとの界面が円筒面で構成される分析対象面となる。この場合、そのままの試料Sの外側から円筒面の接線方向にX線を照射してもよいが、そうすると、X線が界面に到達するまでに透過する硬質ガラスSoの光路が長くなる。そのため、分析対象面が円筒面の場合、その軸を含む薄板状に試料Sを加工し(図2参照)、分析対象面が球面の場合、その中心を含む薄板状に試料Sを加工すれば(図示略)、X線が界面Sbに到達するまでに透過する硬質ガラスSoの光路を短くすることができる。その結果、X線回折チャートにおけるバックグラウンドを低減し、分析対象物質のピークを顕在化することができる。薄板状とする試料Sの厚みは、試料Sに照射するX線52のサイズや分析対象面の横断面に現れる円弧の径などにもよるが、例えば、この円弧の直径の1/2以下程度とすることが挙げられる。薄膜状の試料を得る加工方法としては、切削、研削、研磨などの機械的加工の他、エッチングなどの化学的方法が挙げられる。
[X線の照射]
試料に照射するX線52は、X線管球を用いて発生されるX線、例えばCuKα線などを利用することもできるが、高エネルギーX線が利用可能であり、高輝度であることからX線サイズを絞りやすい放射光が好適に利用できる。
ここで、分析対象面の断面に接合界面が円弧で表される場合に、この円弧の径方向で、かつ試料Sに照射した状態のX線における分析対象面の接線と直交する方向の寸法をX線の厚さとし、X線の横断面において厚さと直交する方向の寸法を幅とする。
このX線52の厚さ(高さ)は、小さく絞り込むことが好ましい。X線の厚さを小さくすることで、界面部に可及的に限定してX線を照射できるため、界面からの回折線を特定的に検知することができる。例えば、X線の高さを分析対象面が形成する円弧の直径未満とすること、より具体的には、200μm未満、或いは100μm以下、さらには30μm以下とすることが挙げられる。もっとも、X線の厚さは、試料における界面部の厚さに応じて調整することが好ましい。
一方、X線52の幅は特に限定されないが、不必要に大きいと試料における限定した箇所の分析を行うことが困難となることがあるため、試料の形状やサイズに応じて適宜調整することが望ましい。
このようにX線52のサイズを絞るには、試料Sの手前にX線52を特定の範囲しか透過させないスリット15を配置することで容易に実現できる。
このようなX線52は、前記分析対象面の断面に現れる円弧の接線方向から試料Sに照射する。このような方向からX線52を試料Sに対して照射することで、試料Sの界面部を非破壊にてX線回折により分析することができる。分析対象面の断面を形成する切断方向は、界面が円弧状に現れる方向であれば特に限定されない。例えば、分析対象面が円筒面の一部で構成される場合、その円筒の横断面を採ることが挙げられる。また、分析対象面が球面の一部で構成される場合、その球の任意の断面、特に中心を通る断面を採ることが挙げられる。
また、この円弧の接線方向は、分析対象面が円筒面の一部で構成される場合、その円筒の軸方向と平行な接線以外の接線であればよく、分析対象面が球面の一部で構成される場合、任意の接線が選択できる。
特に、分析対象面が円筒面の一部で構成される場合、その円筒の軸方向と直角に近い角度でX線52を照射することが好ましい。この軸方向と直角に近い角度の接線方向にX線52を照射することで、X線52が界面に達するまでに透過する異種材料の一方の光路を短縮でき、かつX線が照射される界面領域を絞り込むことができる。その上、試料における前記円筒の端面側にX線が照射されることで、その端面からの回折線を検知することも回避できる。もっとも、円筒面の軸方向と交差する接線方向であれば、必ずしも円筒面の軸方向と直交する方向からX線を照射しなくてもよい。例えば、円筒面の軸方向と直交する方向を基準として±15°程度傾いた接線方向からX線を照射してもよい。
その他、このX線52は、分析対象面の断面に現れる円弧に対して複数の接線を生じないように照射することが好ましい。例えば、界面が円筒面の場合、この円筒の直径よりも厚いサイズのX線を、X線の光軸が円筒の軸と直交する水平方向に照射すると、この円筒面の横断面を見たとき、円で表される界面の上端と下端の双方に対して接線を生じることになる。その場合、双方の接線が接する界面箇所からの回折線を検出することになるため、いずれか一方の接線に接する界面箇所のみからの回折線を特定的に分析することが難しい。そのため、上述したようにX線の厚さを限定したり、また、X線の光軸と試料の位置を相対的に移動して、分析対象面の円弧に対して単一の接線が生じるようにすることが好ましい。
また、上記X線52を試料Sに照射する場合、試料SとX線52の光軸を相対的に移動させることで、試料Sの一方の異種材料から界面を介して他方の異種材料に至る複数領域に対してX線を照射することが好ましい。例えば、試料設置部20に試料Sを昇降させる昇降テーブル(図示略)を設け、固定されたX線52の光軸に対して試料Sを昇降することで、試料Sに対するX線52の照射位置を調整できるようにすればよい。これにより、界面Sbの前後領域におけるX線回折チャートの変化を観測することができる。
さらに、本発明方法により試料Sの分析を行う場合、X線52の光軸上で、試料SのX線照射側とは反対側に試料位置確認用のX線検出器40を設けることが好ましい。試料Sに照射されたX線52の一部は、透過X線56として試料Sを透過する。この透過X線56を試料位置確認用のX線検出器40で検出することで、X線52が試料Sに対してどの位置に照射されているかを容易に認識できる。例えば、図1のグラフに示すように、低透過性材料における透過X線56の平均強度と高透過性材料における透過X線56の平均強度との平均値となる試料Sの断面位置を界面Sbとすることが挙げられる。この界面位置を基準として、前記昇降テーブルの昇降動作を制御すれば、試料の界面Sbから上下方向にどの程度離れた領域に対してX線52を照射しているかを容易に認識できる。
[回折線の検知]
試料にX線52が照射されると、照射箇所の構成原子から散乱X線が出される。この散乱X線は、ブラッグの条件を満たすと互いに干渉し合って回折現象を示し、回折線54として回折線検出器30で観測される。その際、試料Sに入射されるX線52、試料S及び回折線検出器30は、常にブラッグの条件が満たされるように、ゴニオメータで連動される。
回折線検出器30は、試料を回転中心として回転するいわゆる2θアーム上に搭載された0次元検出器もしくは一次元検出器でもよいが、二次元検出器を用いることが好ましい。二次元検出器を用いれば、同定対象の結晶性物質が高配向であったり結晶粒の数が少ない等の事情で、X線回折パターン(Debye ring)が途切れた円弧となって完全な同心円状とはならない試料についても、回折線を効率的に検出することができる。この回折線検出器30では、X線の回折方向と入射方向の角度差(2θ)と回折線強度を走査して測定する。得られた角度差(2θ)と回折線強度の関係は、X線回折チャートとして表示される。この角度差(2θ)と回折線強度は物質の構造に固有のため、得られたX線回折チャートから界面付近に存在する物質を同定できる。ここでの同定には、結晶性物質の化学組成、結晶状態、結晶の歪や結晶の大きさなど、結晶に関する情報を取得することを含む。
[その他の構成]
その他、試料設置部20には、試料Sの加熱手段(図示略)を設けてもよい。これにより、試料Sを所定の温度に加熱し、加熱温度の変化に伴って、試料の界面Sbで結晶性物質が変化するかどうかを観測することができる。従来のように、異種材料の接合界面を破壊して剥離面を露出させてX線回折を行う場合、試料の加熱を伴うと一層剥離面の酸化が進行する。そのため、剥離前の界面に存在した被酸化元素が剥離面の露出と加熱によって酸化物となり、剥離前から界面に存在した酸化物と区別できなくなることが予測される。これに対して本発明の方法では、非破壊の界面に対してX線回折法による分析を行うため、界面の露出ではなく加熱に伴って生じた酸化物などの結晶性物質を的確に分析することができる。
〔実施例1〕
上述した方法に基づいて、半導体モジュールのリードをアイレットに硬質ガラスで封止するハーメチックシールを試料とし、リードと硬質ガラスの界面における酸化物の同定を行う。図1に示したように、リードSiは、硬質ガラスSoで覆う前に加熱して、界面Sbに酸化膜を形成したものを用いた。試料Sは、硬質ガラスSoで覆われたリードSiを、その軸を含むように切り出した薄板状のものを用いる(図2の左図参照)。この試料Sは、試料設置部20に設けられた図示しない昇降テーブル上に配置され、このテーブルを動作することで、リードSi・界面Sb・硬質ガラスSoの各部にX線52が照射されるように昇降される。また、本実施例では、X線52の光軸上に試料位置確認用のX線検出器40を配置し、透過X線56の強度を測定する。この透過X線56の強度が、図1のグラフに示すように、リードSiにおける透過X線56の平均強度と硬質ガラスSoにおける透過X線56の平均強度との平均値となる試料の断面位置を界面Sbとする。そして、その界面SbからX線の中心位置(光軸)までの距離を昇降テーブルの昇降量から求める。本例では、界面Sbからリード側に25μmの位置、界面Sb、及び界面Sbから硬質ガラス側に15μmの位置の計3か所にX線の中心が位置するように試料SにX線52を照射し、各位置における回折線54の分析を行った。分析条件は次の通りである。なお、硬質ガラスSoで覆われたリードSiの横断面を顕微鏡観察して界面Sbに形成された酸化膜(界面部)の厚みを求めたところ、約0.5μmであり、硬質ガラスのX線の透過率は95%、リードのX線の透過率は15%以下であった。
<試料>
リード(単線)
材質:コバール(Fe-29%Ni-17%Co-0.5%Mn-0.2%Si)数値は全て質量%
直径:0.5mm
硬質ガラス
材質:ほう珪酸ガラス(SiO2-B2O3-K2O)
外径:3.0mm
試料形状:薄板状
試料寸法:厚さ200μm
<X線>
線種:出力25eVの放射光
X線サイズ(スリット開口寸法)
厚さ:0.03mm(30μm)
幅:0.5mm
照射方向:界面の接線方向で、かつリードの軸方向に直交する方向
分析結果を図3のチャートに示す。チャートの横軸はX線としてCuKα1を用いた際の回折角度に変換した値(2θ)で示してある。このチャートにおいて、(1)は界面から硬質ガラス側に15μmの位置、(2)は界面、(3)は界面からリード側に25μmの位置にX線を照射した場合の分析結果である。
まず、図3(A)のチャートに示すように、(1)のチャートでは、25°付近に硬質ガラスでの散乱によると思われる緩やかな起伏がみられ、45°付近にはCoのピークがごく小さく認められる程度にすぎない。このことは、(1)のチャートがほぼ硬質ガラスのみからなる領域を分析していることがわかる。
次に、(2)のチャートでは、25°付近に硬質ガラスでの散乱によると思われる緩やかな起伏がみられる点は(1)のチャートと同様であるが、45°付近のCoのピークが(1)のチャートよりも大きく、さらに52°付近にもCoの小さなピークが認められる。このことは、(2)のチャートがほぼ界面の領域を分析していることがわかる。
次に、(3)のチャートでは、25°付近に硬質ガラスでの散乱によると思われる緩やかな起伏がみられる点は(1)や(2)のチャートと同様であるが、45°付近のCoのピークと52°付近のCoのピークのいずれも(2)のチャートよりもはるかに大きく認められる。このことは、(3)のチャートがほぼリードのみからなる領域を分析していることがわかる。
さらに、このチャートにおける30°〜40°の範囲を拡大して図3(B)に示す。この(1)のチャートにはFe2O3やFeOのピークは認められないが、(2)や(3)のチャートにはそれら酸化物のピークが明確に認められる。そのため、界面からリード側に向かって25μmの位置程度の領域では、Fe2O3やFeOの酸化鉄が生成されていることがわかる。
以上の評価に加えて、X線回折チャートから定量分析を行うことも可能である。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が期待できる。例えば、試料が半導体モジュールのハーメチックシールに限定されるわけではなく、冷陰極管の端子部をはじめとする種々の電子部品のリードとその封止材料との界面や、それ以外の異種材料の接合界面における物質の同定にも利用することができる。
本発明のX線回折法は、各種電子部品のリードとその封止材料など、異種材料の界面に存在する物質の同定に好適に利用することができる。
10 X線照射源
15 スリット
20 試料設置部
30 回折線検出器
40 試料位置確認用のX線検出器
52 X線 54 回折線 56 透過X線
S 試料
Si リード(低透過性材料) Sb 界面 So 硬質ガラス(高透過性材料)
100 半導体モジュール 110 アイレット 110h 貫通孔 120 半導体素子
130 リード 140 キャップ 150 レンズ 160 硬質ガラス

Claims (9)

  1. 異種材料の接合界面に存在する結晶性物質を同定するX線回折法であって、
    前記接合界面のうち、その断面が曲線で表される領域を分析対象面とする試料をX線照射源と回折線検出器との間に配置する過程と、
    前記照射源から、前記分析対象面に対して、前記曲線の接線方向にX線を照射する過程と、
    このX線の照射に伴って発生する回折線を前記回折線検出器で検出する過程とを備えることを特徴とするX線回折法。
  2. 前記試料は、前記接線方向を厚み方向とする薄板状であることを特徴とする請求項1に記載のX線回折法。
  3. 前記回折線検出器を二次元検出器とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線回折法。
  4. 前記曲線が円弧であり、
    前記X線の厚みを前記円弧の直径未満とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のX線回折法。
  5. 前記異種材料の一方はX線の透過率が低い低透過性材料で、他方は低透過性材料よりもX線の透過率が高い高透過性材料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のX線回折法。
  6. 前記低透過性材料が電子部品のリードで、前記高透過性材料が前記リードを電子部品のリード貫通部に封止するガラスであることを特徴とする請求項5に記載のX線回折法。
  7. 前記X線を前記リードの軸方向と交差する方向に照射することを特徴とする請求項6に記載のX線回折法。
  8. 前記X線が放射光であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のX線回折法。
  9. 前記結晶性物質が酸化物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のX線回折法。
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