JP5286776B2 - 音声出力装置,音声出力方法および電子部品 - Google Patents
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Description
レシーバは、例えば、300Hz〜4kHzの帯域(以下、人の音声帯域という)においてフラット(略一定)な音圧で音声を出力する音声出力特性(周波数特性)をそなえることにより、人の音声を十分に再現することができるようになっている。このレシーバは、物理的サイズの制約により、比較的小さい音圧で音声を出力するようになっている。
しかしながら、低コストのスピーカは、着信メロディ等の音楽を再生することを優先するために、高音域の音圧を低音域の音圧よりも優先する音声出力特性をそなえているので、人の音声がスピーカのみから出力されると、使用者は、例えば、低音域である男性の音声が聞きづらいと感じる場合がある。
そのため、小型のスピーカを用いる場合には、例えば、低音域での音圧の不足をカバーするために、スピーカの背後に気室を設ける等の工夫が行なわれている。
また、スピーカは、着信メロディ等の音楽を再生するために用いられることが多く、人の音声帯域に合わせたパラメータ不変のフィルタ(電気回路によるフィルタ等)をスピーカ側に実装することは現実的ではない。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、小型で安価なデバイスから、特定の音声帯域においてフラットであり且つ十分な大きさの音圧で音声を出力させることを目的とする。
(1)特定の音声帯域においてフラットであり且つ十分な大きさの音圧で音声を出力させることができる。
(2)十分な大きさの音圧で周波数依存性のない音声を出力させることができる。
(3)装置の形状が制約されることなく、特定の音声帯域においてフラットであり且つ十分な大きさの音圧で音声を出力させることができる。
(5)小型で安価な既存のデバイスから、音声帯域を補完し、且つ十分な大きさの音圧の音声を出力させることができる。
(6)パラメータ不変のフィルタを実装することなく、特定の音声帯域においてフラットであり且つ十分な大きさの音圧で音声を出力させることができる。
〔1〕本発明の一実施形態の説明
図1は本発明の一実施形態としての携帯端末の構成例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る携帯端末(音声出力装置)10は、電話網(図示省略)から下ってくる受話データ(音源データ)D1を、例えば、300Hz〜4kHzの帯域(以下、人の音声帯域という)においてフラットであり且つスピーカフォンとして十分な大きさの音圧(音圧レベル)の音声に変換して出力させるものであって、本実施形態においては、携帯電話機により実現されている。
また、携帯端末10は、例えば、通話モード,再生モードおよびスピーカフォンモードの3種類の音声出力モードをそなえており、これらの音声出力モードを選択的に設定可能に構成されている。
D/A変換器13は、デジタル電気信号をアナログ電気信号に変換する電子回路であって、受話データD1または後述する音声データD2を音声アナログ信号A1に変換してレシーバ11やスピーカ12に出力するようになっている。
CPU15は、各種の数値計算,情報処理および機器制御等を行なうものであって、デジタルフィルタ(音声データ生成部)17および出力制御部18をそなえて構成されている。
このデジタルフィルタ17は、受話データD1に対して音声データ生成プログラム(ソフトウェア)19を用いたフィルタリング処理を行なって音声データD2を生成するようになっている。
この音声データ生成プログラム19は、例えば、合成音声S3における周波数毎の音圧に基づいて、プログラムの設計者によって作成されるようになっている。
以下、音声データ生成プログラム19を作成する手順の一例について、図2を参照しながら説明する。
具体的には、プログラムの設計者は、受話データD1に基づいて、レシーバ11から第1音声S1を出力させるとともに、スピーカ12から第2音声S2を出力させる。ここで、第1音声S1は、図2の符号x−1に示すように、人の音声帯域においてフラットであり且つ比較的小さい音圧であり、第2音声S2は、図2の符号y−1に示すように、1kHz付近の帯域がピークの音圧であり且つ1kHz以下の帯域が落ち込んだ音圧である。即ち、スピーカ12は、人の音声帯域の再現にばらつきがある受話データD1に基づく第2音声S2を出力するのである。
なお、この合成音声S3は、人の音声帯域の再現にばらつきがあるため、この合成音声S3が使用者の耳に到達した場合に、使用者は、1kHz以下の低音域である男性の音声が聞きづらいと感じる傾向になる。これは、合成音声S3の音圧が絶対値としては十分であったとしても、音圧が大きい音声帯域(例えば、1000Hzおよび8000Hz付近)の音声が他の音声帯域の音声より大きい音として認識されるためである。
なお、本実施形態においては、音声データ生成プログラム19は、表1に示すような、各周波数に対応する倍率をフィルタ関数g(x)(xは周波数を示す変数;図3参照)で表わすことができる情報をそなえて構成されている。
具体的には、出力制御部18は、携帯端末10が通話モードに設定されている場合には、受話データD1をD/A変換器13を介してレシーバ11に出力し、レシーバ11から第1音声S1を出力させる制御を行なうようになっている。又、出力制御部18は、携帯端末10が再生モードに設定されている場合には、受話データD1をD/A変換器13を介してスピーカ12に出力し、スピーカ12から第2音声S2を出力させる制御を行なうようになっている。更に、出力制御部18は、携帯端末10がスピーカフォンモードに設定されている場合には、デジタルフィルタ17で生成された音声データD2をD/A変換器13を介してレシーバ11およびスピーカ12の双方に出力し、レシーバ11から第1音声S1を出力させるとともに、スピーカ12から第2音声S2を出力させる制御を行なうようになっている。即ち、出力制御部18は、携帯端末10がスピーカフォンモードに設定されている場合には、レシーバ11およびスピーカ12の双方から音声を同時に出力(同時鳴動)させる制御を行なうのである。
図3は本発明の一実施形態としての携帯端末において受話データを合成音声として出力する手法の一例を説明するための図である。
上述の如く構成された本発明の一実施形態としての携帯端末10において受話データD1を合成音声S3として出力する手法の一例を、図3を参照しながら説明する。
次に、出力制御部18は、音声データD2をレシーバ11およびスピーカ12からそれぞれ第1音声S1および第2音声S2として同時に出力させるべく、デジタルフィルタ17で生成された音声データD2をD/A変換器13に出力する(出力制御ステップ)。
レシーバ11は、D/A変換器13から音声アナログ信号A1が入力されると、音声アナログ信号A1にレシーバ11固有の音声出力特性h1(x)が付与されて、音圧h1(x)・a(g(x)・f(x))(単位:dBSpl)の第1音声S1を出力する。
そして、レシーバ11から使用者(図3の符号“20”参照)の耳までの距離とスピーカ12から使用者(図3の符号“20”参照)の耳までの距離とがほぼ同じである場合には、同時に出力された第1音声S1および第2音声S2は、レシーバ11およびスピーカ12から離れた位置で合成され、人の音声帯域においてフラットであり且つ十分な音圧h1(x)・a(g(x)・f(x))+h1(x)・a(g(x)・f(x))(単位:dBSpl)の合成音声S3として、使用者(図3の符号“20”参照)の耳に到達する。
このように、本発明の一実施形態としての携帯端末10によれば、受話データに基づいて、レシーバ11から出力された第1音声S1とスピーカ12から出力された第2音声S2とを合成した合成音声S3の音圧が人の音声帯域において略一定となる音声データD2を生成し、この生成された音声データD2をレシーバ11およびスピーカ12の双方から同時に出力させる制御を行なうことにより、レシーバ11およびスピーカ12から、人の音声帯域においてフラットであり且つ十分な大きさの音圧の音声を出力させることができる。又、1kHz以下の低音域での音圧不足をカバーするためにスピーカ12の背後に気室を設ける必要がなくなるので、装置の形状が制約されることなく、人の音声帯域においてフラットであり且つ十分な大きさの音圧の音声を出力させることができる。
また、受話データD1が音声アナログ信号A1に変換される前に、受話データD1に対してソフトウェアを用いたフィルタリング処理を行なって音声データD2を生成することにより、人の音声帯域に合わせたパラメータ不変のフィルタ(電気回路によるフィルタ等)を実装することなく、人の音声帯域においてフラットであり且つ十分な大きさの音圧の音声を出力させることができる。
〔2〕その他
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
〔3〕付記
〔付記1〕 第1音声を出力する第1音声出力部と、
第2音声を出力し、該第1音声出力部とは異なる音声出力特性である第2音声出力部と、
音源データに基づいて、該第1音声出力部から出力された該第1音声と該第2音声出力部から出力された該第2音声とを合成した合成音声の音圧が特定の音声帯域において略一定となる音声データを生成する音声データ生成部と、
該音声データ生成部で生成された該音声データを該第1音声出力部および該第2音声出力部から出力させる制御を行なう出力制御部とをそなえることを特徴とする、音声出力装置。
〔付記3〕 該特定の音声帯域が、人の音声帯域であることを特徴とする、付記1または付記2に記載の音声出力装置。
〔付記5〕 該第1音声出力部は、音圧が略一定となる音声出力特性をそなえたレシーバとして構成され、
該第2音声出力部は、該第1音声よりも大きい音圧である音声出力特性をそなえたスピーカとして構成されることを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の音声出力装置。
音源データに基づいて、該第1音声出力部から出力された該第1音声と該第2音声出力部から出力された該第2音声とを合成した合成音声の音圧が特定の音声帯域において略一定となる音声データを生成する音声データ生成ステップと、
該音声データ生成ステップにおいて生成された該音声データを該第1音声出力部および該第2音声出力部から出力させる制御を行なう出力制御ステップとをそなえることを特徴とする、音声出力方法。
〔付記8〕 該特定の音声帯域が、人の音声帯域であることを特徴とする、付記6または付記7に記載の音声出力方法。
〔付記10〕 該第1音声出力部は、音圧が略一定となる音声出力特性をそなえたレシーバとして構成され、
該第2音声出力部は、該第1音声よりも大きい音圧である音声出力特性をそなえたスピーカとして構成されることを特徴とする、付記6〜9のいずれか1項に記載の音声出力方法。
音源データに基づいて、該第1音声出力部から出力された該第1音声と該第2音声出力部から出力された該第2音声とを合成した合成音声の音圧が特定の音声帯域において略一定となる音声データを生成する音声データ生成部と、
該音声データ生成部で生成された該音声データを該第1音声出力部および該第2音声出力部から出力させる制御を行なう出力制御部とをそなえることを特徴とする、電子部品。
〔付記13〕 該特定の音声帯域が、人の音声帯域であることを特徴とする、付記11または付記12に記載の電子部品。
11 レシーバ(第1音声出力部)
12 スピーカ(第2音声出力部)
13 D/A変換器
15 CPU
16 メモリ
17 デジタルフィルタ(音声データ生成部)
18 出力制御部
19 音声データ生成プログラム
20 使用者
D1 受話データ(音源データ)
D2 音声データ
A1 音声信号
S1 第1音声
S2 第2音声
S3 合成音声
Claims (7)
- 人の音声帯域において音圧レベルが略一定となる第1音声を出力する第1音声出力部と、
該第1音声よりも大きい音圧レベルである第2音声を出力する第2音声出力部と、
音源データに基づいて、該第1音声出力部から出力された該第1音声と該第2音声出力部から出力された該第2音声とを合成した合成音声の音圧レベルが特定の音声帯域において略一定となる音声データを生成する音声データ生成部と、
該音声データ生成部で生成された該音声データを該第1音声出力部および該第2音声出力部から出力させる制御を行なう出力制御部とをそなえることを特徴とする、音声出力装置。 - 該出力制御部は、該音声データ生成部で生成された該音声データを該第1音声出力部および該第2音声出力部から同時に出力させる制御を行なうことを特徴とする、請求項1に記載の音声出力装置。
- 該特定の音声帯域が、人の音声帯域であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の音声出力装置。
- 該音声データ生成部は、該音源データに対してソフトウェアを用いたフィルタリング処理を行なって該音声データを生成するデジタルフィルタとして構成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の音声出力装置。
- 該第1音声出力部は、レシーバとして構成され、
該第2音声出力部は、スピーカとして構成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の音声出力装置。 - 人の音声帯域において音圧レベルが略一定となる第1音声を出力する第1音声出力部と、該第1音声よりも大きい音圧レベルである第2音声を出力する第2音声出力部とを用いて音声を出力させる音声出力方法であって、
音源データに基づいて、該第1音声出力部から出力された該第1音声と該第2音声出力部から出力された該第2音声とを合成した合成音声の音圧レベルが特定の音声帯域において略一定となる音声データを生成する音声データ生成ステップと、
該音声データ生成ステップにおいて生成された該音声データを該第1音声出力部および該第2音声出力部から出力させる制御を行なう出力制御ステップとをそなえることを特徴とする、音声出力方法。 - 人の音声帯域において音圧レベルが略一定となる第1音声を出力する第1音声出力部と、該第1音声よりも大きい音圧レベルである第2音声を出力する第2音声出力部とをそなえた音声出力装置に搭載可能な電子部品であって、
音源データに基づいて、該第1音声出力部から出力された該第1音声と該第2音声出力部から出力された該第2音声とを合成した合成音声の音圧レベルが特定の音声帯域において略一定となる音声データを生成する音声データ生成部と、
該音声データ生成部で生成された該音声データを該第1音声出力部および該第2音声出力部から出力させる制御を行なう出力制御部とをそなえることを特徴とする、電子部品。
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