JP5286685B2 - 炉解体方法および炉解体機 - Google Patents

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Description

本発明は炉解体方法および炉解体機、特に、製鉄所等における溶融炉、転炉あるいは焼却炉等の炉に設置された耐火物を破砕することにより、当該炉を解体する炉解体方法および炉解体機に関する。
製鉄所等における溶融炉、転炉あるいは焼却炉等の炉は、その内部に高温の溶融金属を収納したり、その内部が高温の燃焼ガスに晒されたりするため、その内壁に耐火物(たとえば、耐火煉瓦)が設置されているものの、耐火物自体も劣化・損耗し、やがて、使用に耐える厚さ以下になったり、亀裂が生じたりする。このため、損傷の程度や使用期間に応じて、耐火物の張り替えが必要になっている。
かかる張り替えに先行して、古くなったまま炉に設置されたままの耐火物を炉から撤去する必要があり、かかる撤去のために耐火物を能率良く破砕しようとする発明が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1に開示された発明(溶融炉解体装置)は、解体しようとする炉の上方に略水平に設けられた梁にコンクリートブレーカを移動自在に設置し、これを遠隔操作するものである。このため、高温環境における作業が排除されることから、炉の温度が比較的高い状態で解体作業を実行することができ、作業時間の短縮が可能になっている。
しかしながら、かかる溶融炉解体装置は、構成が大型・複雑化し、ひいてはシステム全体のコストが大幅に増加してしまうという問題や、解体作業の詳細を視認しながら作業することができない部分も出てくるという問題があった。
そこで、発明者らは特許文献2に開示するような炉解体機を発明した。かかる炉解体機は、前記問題を一挙に解決するものであって、自走可能な移動機構にマニピュレータと耐熱運端室を設置したものである。すなわち、マニピュレータの先端に設置されたエアブレーカを、耐熱運端室内の作業者が、解体作業を視認しながら操作するものであるから、作業が迅速になるだけでなく、炉解体機自体が小型かつ簡素になるため、製造コストおよび作業コストを安価にしている。
特開平11−230680号公報(第3−4頁、図1) 特開2003−328990号公報(第2−4頁、図2)
しかしながら、前記特許文献1および2に開示された発明は、何れも耐火物を破砕する発明であって、破砕された耐火物の掻き出しについては特段の配慮がされていなかった。このため、破砕された耐火物の掻き出しは、人力に頼ったり、改良されたシャベルカー等の重機(耐熱仕様)を持ち込んだりして実行されていた。
したがって、人力作業においては、作業環境を比較的低い温度にする必要から、炉を冷却するための待ち時間が生じ、これが作業能率を低下させる要因になっていた。また、重機作業においては、重機および移動機構(含む溶融炉解体装置)を、交互に移動させるため、作業が繁雑になると共に、移動作業のためのスペースが必要になるという、新たな問題が生じていた。
本発明は上記問題を解決するためのものであり、人力作業や重機作業を必要としないで、破砕された耐火物を掻き出すことができる炉解体方法および炉解体機を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る炉解体方法は、 炉に設置された耐火物を破砕するための炉解体機を用いた炉解体方法であって、
前記炉解体機が、走行自在な走行台車と、該走行台車に傾動自在に設置された傾動ブームと、該傾動ブームに回転自在に設置された回転ブームと、該回転ブームに進退自在に設置された伸縮ブームと、該伸縮ブームの先端に傾動自在に設置された首振りアームと、該首振りアームに設置されたエアーシリンダと、該エアーシリンダに設置された破砕工具着脱手段と、前記伸縮ブームの先端に固定された掻き出し治具設置手段と、先端になる程薄くなる先端縁が形成されている板状の掬い面と、該掬い面に固定された取付用軸とを具備する掻き出し治具と、を有し、
前記掻き出し治具設置手段に前記掻き出し治具の取付用軸を嵌入する工程と、
前記破砕工具着脱手段に破砕工具を取り付けると共に、前記エアーシリンダに間歇的に圧縮エアーを繰り返し供給して、前記破砕工具によって前記耐火物を破砕する工程と、
前記首振りアームを傾動して前記破砕工具の方向を変更すると共に、前記伸縮ブームまたは前記走行台車を進退させることによって前記掬い面が前記破砕された耐火物を掻き出す工程と、を有し、
前記掻き出し治具の取付用軸の軸心が、前記伸縮ブームに設けられている前記首振りアームを傾動自在に支持する回転軸に対して平行になっていることを特徴とする。
(2)また、前記(1)において、前記破砕工具および前記掻き出し治具の一方または両方に冷却用エアーを噴射することを特徴とする
)さらに、本発明に係る炉解体機は、炉に設置された耐火物を破砕するための炉解体機であって、
走行自在な走行台車と、
該走行台車に傾動自在に設置された傾動ブームと、
該傾動ブームに回転自在に設置された回転ブームと、
該回転ブームに進退自在に設置された伸縮ブームと、
該伸縮ブームの先端に傾動自在に設置された首振りアームと、
該首振りアームに設置されたエアーシリンダと、
該エアーシリンダに設置された破砕工具着脱手段と、
前記伸縮ブームの先端に固定されている掻き出し治具設置手段と、
該掻き出し治具設置手段に設置された掻き出し治具と、
先端になる程薄くなる先端縁が形成されている板状の掬い面と、該掬い面に固定された取付用軸とを具備する掻き出し治具と、
を有し、
前記破砕工具着脱手段に破砕工具が取り付けられ、前記エアーシリンダに間歇的に圧縮エアーが繰り返し供給され、かつ、前記首振りアームが傾動されることによって前記破砕工具の方向が変更されると共に、前記掻き出し治具設置手段に前記掻き出し治具の取付用軸が嵌入され、前記掻き出し治具の取付用軸の軸心が、前記伸縮ブームに設けられている前記首振りアームを傾動自在に支持する回転軸に対して平行になった状態で、前記伸縮ブームまたは前記走行台車が進退されることを特徴とする
(i)したがって、本発明に係る炉解体方法は、破砕工具に替えて破砕工具着脱手段に掻き出し治具を取り付けると共に、伸縮ブームまたは走行台車を進退して、掻き出し治具によって破砕された耐火物を掻き出すから、人力に頼ったり、重機を持ち込んだりする必要がなくなる。よって、炉を冷却するための待機時間や、重機搬入および炉破砕機(含む溶融炉解体装置)を交互に移動させるための時間やスペースが不要になり、作業能率の向上および作業コストの低減を図ることができる。
(ii)また、予め伸縮ブームの先端に掻き出し治具を設置するから、掻き出し作業の都度、破砕工具に替えて破砕工具着脱手段に掻き出し治具を取り付ける必要がなくなるから、前記(i)の効果に加え、さらに作業能率が向上する。
(iii)また、破砕工具および掻き出し治具の一方または両方に冷却用エアーを噴射するから、これらの加熱が防止され、損傷防止・寿命延長が図られると共に、炉を冷却するための待機時間をさらに短縮することができる。
(iv)さらに、本発明に係る炉解体機は、伸縮ブームの先端に掻き出し治具が設置され、エアーシリンダに取り付けられた破砕工具によって耐火物を破砕し、かつ、伸縮ブームまたは走行台車を進退させて、掻き出し治具によって破砕された耐火物を掻き出すことを特徴とするから、前記(ii)の効果と同じ効果が得られる。
[実施の形態1:炉解体方法]
図1〜図3は本発明の実施の形態1に係る炉解体方法に使用する炉解体機を説明する構成図であって、図1は側面図、図2は平面図、図3は正面図である。以下、まず、炉解体機について説明し、その後、炉解体方法について説明する。
(炉解体機)
図1〜図3において、炉解体機1は、たとえば、製鉄所における溶融炉、転炉、焼却炉等の炉体内部に設置された耐火物(耐火レンガ等の構造物)を破砕することによりこれを解体するものであり、機器本体2と、当該構造物を破砕するためのエアブレーカ11と、横転させた炉体に対して機器本体2を移動させるための走行台車3と、機器本体2の上部に取り付けられたブーム4を有している。そして、ブーム4の先端にアーム6が設置され、アーム6にエアブレーカ11がその方向が変更自在(角度可変)に設置されている。以下、ブーム4とアーム6とをまとめてマニピュレータ5と称呼する。
(走行台車)
走行台車3は、キャタピラ31を備え、キャタピラ31を駆動させることにより地上を走行(自走)する。機器本体2は旋回部40を介して走行台車3に旋回可能に支持され、走行台車3に対して360°旋回自在になっている。したがって、機器本体2そのものを、炉に対して近接/離間させることが可能となる。
(機器本体)
機器本体2には、ブーム4が傾動(起立/倒伏)可能に支持されており、機器本体2とブーム4の中間にはブームシリンダ39が連結されている。
機器本体2の前側には耐熱運転室32が設けられている。この耐熱運転室32の前面には、耐熱ガラス等からなるガード33が設けられており、耐熱運転室32内に対して外部からの熱を伝わり難くしている。したがって、耐熱運転室32には、作業員がエアブレーカ11を操作するに足りる図示しない操縦装置が配設されているから、作業員は耐熱運転室32からエアブレーカ11を直接的に視認しながら、作業を確実に実行することが可能となる。
また、機器本体2には、エアコンプレッサー24が取り付けられている。このエアコンプレッサー24には、エアブレーカ11の動作に必要なエアが圧縮させた状態で詰められている。
(ブーム)
ブーム4は、傾動ブーム41と、回転ブーム42と、伸縮ブーム43とから構成され、伸縮ブーム43の先端にアーム6が支持されている。ブーム4の中間部とアーム6との間にはアームシリンダ(アクチュエータ)9が連結されている。即ち、アーム6は、アームシリンダ9の伸縮に基づいてブーム4とアーム6との連結部3aを中心に回動可能になっている。
傾動ブーム41は、ブームシリンダ39の伸縮に基づいて機器本体2との連結部4aを中心に傾動自在となるように配設されている。
回転ブーム42は、傾動ブーム41の先端に設置されたベアリング46を介して、傾動ブーム41の軸心周りに回転自在に配設され、旋回モータ47の動力によって軸心周りに任意の回転角度に回転する。
伸縮ブーム43が、傾動ブーム41および回転ブーム42の内部に収納され、油圧シリンダ45が連結されている。したがって、油圧シリンダ45が伸張(または収縮)することにより、伸縮ブーム43が進出(または後退)する。なお、伸縮ブーム43は、回転ブーム42の先端に設けられたローラ48によって案内され、円滑に伸縮するようになっている。
(アーム)
アーム6は、伸縮ブーム43の先端にある連結部3aに取り付けられた回転軸95を介して傾動(回動に同じ)自在に取り付けられている。
アームシリンダ9は、収納ケース91が伸縮ブーム43側に取り付けられ、収納ケース91内に伸縮自在な軸部92側がアーム6に取り付けられている。
このとき、軸部92に形成された支点ピン93a、93bに支軸レバー94a、94bの一方の端部が回動自在に取り付けられ、支軸レバー94aの他方の端部はアームピン95aに固定され、支軸レバー94bの他方の端部は支点ピン95bを介して伸縮ブーム43に回動自在に取り付けられている。
したがって、軸部92の進退によってアームピン95aは回転するから、アーム6(先端に破砕工具着脱手段を介してエアブレーカ11が取り付けられている)は傾動することになる。
(エアブレーカ)
エアブレーカ(破砕工具に同じ)11は、エアシリンダ12のピストンに破砕工具着脱手段を介して取り付けられている(図示しない)。エアシリンダ12はエアコンプレッサー24から送出されてきた圧縮エアに基づき伸縮作動する。
また、エアブレーカ11は先端に近づくにつれて小さくなるように構成された「タガネ(チゼル)」を設けておくことにより、耐火物の破砕効率を向上させるようにしてもよい。
(冷却用エア)
上述した構成に加えて、炉解体機1は、冷却用エアを送り込むためのホース27がブーム4に沿って配設されている。このホース27は、傾動ブーム41の内周壁41aに沿って配設され、さらに、傾動ブーム41から先は、ホースガイド28により他のコード等とともにガイドされる。ホース27の先端にはノズル29が取り付けられ、外部から供給されてきた冷却用エアはホース27を経由して搬送され、ノズル29から噴射されることになる。
そして、噴射された冷却用エアは、アーム6の周囲を包囲するように設置されたガード61に導かれて、外部に逃散することなくエアブレーカ11へと導かれている。よって、エアブレーカ11は冷却され、高温にならないよう守られるから、先端部(タガネ)の損耗や軟化を少なくすることが可能となる。なお、ノズル29を省略して、エアブレーカ11自体を耐熱素材によって製造してもよい。
(炉解体方法)
図4および図5は本発明の実施の形態1に係る炉解体方法を説明する模式図であって、図4は破砕工程、図5は掻き出し工程である。すなわち、分割式炉底構造を有する転炉について、分割後の炉底100に設置された耐火物120を破砕する作業(図4)、および、破砕された耐火物を掻き出す作業(図5)を説明する。
なお、本発明は、破砕して掻き出す対象を、耐火物120に限定するものではなく、溶融金属が注入される各種溶融炉(一体型転炉、脱ガス炉)や、高温環境に晒される焼却炉や熱風炉等の内部に貼り付けられた耐火煉瓦であってもよく、また、耐火煉瓦に替わる構造部材あるいは耐火煉瓦に並設される構造部材であってもよい。また、図1〜図3と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
(破砕工程)
先ず、分割式炉底構造を有する転炉(図示しない)を分割して、炉底100を炉解体作業所に搬送する(あるいは、炉解体作業所において前記転炉を分割して、炉底100を残し、炉底100を除く範囲を撤去する)。このとき、炉底100は鉄皮110が下側になるように載置されているから、鉄皮110に設置された耐火物120は上になっている。
そして、炉底100の近くまで炉解体機1を移動させる。このとき、炉解体機1の耐熱運転室32は防熱されているから、作業員は高温環境に晒されることなく、至近距離に近づくことができる。さらに、エアブレーカ11は冷却されるから、冷却時間が比較的短く、耐火物120が冷えから内で比較的高温であっても、破砕作業を開始することができる。
炉解体機1の移動を一旦停止した後、マニピュレータ5(ブーム4とアーム6とに同じ)を操作して、エアブレーカ11を目的の位置に目的の姿勢で移動させ、エアシリンダ12にエアコンプレッサー24から圧縮エアを間歇的に繰り返し供給する。このとき、マニピュレータ5は、傾動自在な傾動ブーム41と、軸心周りに回転自在な回転ブーム42と、進退自在な伸縮ブーム43と、首振り自在なアーム6と、から構成されているから、何れかを単独で、あるいは何れか2以上を組み合わせて、操作することによって、エアブレーカ11を作用に好適な姿勢に、容易にすることができる。よって、耐火物120を迅速かつ効果的(無駄な打撃がないに同じ)に破砕することができる。
そして、エアシリンダ12への圧縮エアの供給に並行して、マニピュレータ5(あるいは、走行台車3)を操作し、より深くエアブレーカ11を叩き込んだり、打撃位置を移動させたりする。また、エアシリンダ12への圧縮エアの供給を継続しながら、あるいは供給を停止して、次に目的とする位置にエアブレーカ11を移動させたりする。このとき、マニピュレータ5の操作に並行して走行台車3を移動させてもよい。
(掻き出し工程)
次に、所定の範囲の耐火物120が破砕されたとき、あるいは、所定の量の耐火物120が破砕されたとき、炉解体機1を用いて、破砕された耐火物(以下、「耐火物片121」と称す)を掻き出す作用を実行する。
そこで、エアブレーカ11に替えて、スクレーパー130をエアシリンダ12に取り付ける(正確には、エアシリンダ12のピストンに設置された破砕工具着脱手段(図示しない)に取り付ける)。このとき、走行台車3を移動させ、あるいは、マニピュレータ5を操作して、作業容易な位置(たとえば、輻射熱を受けない位置等)において前記取り替え作業を実行してもよい。
そして、スクレーパー130をエアシリンダ12に取り付けられた後、走行台車3およびマニピュレータ5の一方または両方を操作して、耐火物片121を掻き出す。
すなわち、スクレーパー130の先端131を耐火物片121に潜りこませ、スクレーパー130を一方に移動させる。このとき、傾動ブーム41を傾動すると共に、アーム6を傾動すれば、スクレーパー130の先端131は昇降し、また、スクレーパー130の掬い面132は所定の角度を維持することができるから、耐火物片121をスムースに掻き出すことができる。
なお、掻き出し方向は限定するものではなく、たとえば、スクレーパー130の掬い面132が伸縮ブーム43の軸心に対して垂直になるように取り付け、伸縮ブーム43または走行台車3の一方または両方を進退させてもよい。このとき、耐火物片121が走行台車3側に掻き出されても(引き戻すに相当する)、あるいは、走行台車3の反対側に掻き出されてもよい(押し出すに相当する)。
一方、スクレーパー130の掬い面132が伸縮ブーム43の軸心に対して平行になるように取り付け、機器本体2を旋回させてもよい。
さらに、スクレーパー130の掬い面132が伸縮ブーム43の軸心に対して所定の角度になるよう傾けて取り付け、スクレーパー130を掬い面132の法線に略一致する方向に移動させてもよい。
よって、本発明によれば、人力作業や特別の重機作業を必要としないで、破砕された耐火物を掻き出すことができるから、以下のような効果が得られる。
(あ)人力作業を不要にするから、耐火物の温度が比較的高い状態でも作業することが可能になり、耐火物を冷却するための待ち時間が短縮される。よって、炉解体作業所の専有時間(載置されている時間)が短縮され、作業能率が向上する。
(い)作業能率を落として耐火物を冷却したとしても、耐火物には余熱があるため、人力作業を不要にすることにより作業員は高熱環境における重筋労働から解放される。
(う)特別の重機を不要にするから、掻き出し作業が簡素になると共に、炉解体作業所のスペースを最小広さに押さえることができる。
(え)そして、炉解体機と重機とを同一の作業員が操作する(乗り換える)場合に比較すると、当該作業員の負担が低減する。一方、炉解体機と重機とを別個の作業員が操作する場合に比較すると、作業員の数が半減する。
(スクレーパー)
図6は本発明の実施の形態1に係る炉解体方法も使用するスクレーパーを説明する模式図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図6において、スクレーパー(掻き出し治具)130は、先端131が側面視において細くなった板状の掬い面132と、掬い面132に固定された円柱状の支持部133と、支持部133に固定された円筒状の取付部134と、取付部134に設置された掘削破砕工具着脱手段135と、から構成されている。
なお、掘削破砕工具着脱手段がエアシリンダ12のピストンに設置される場合には、スクレーパー130側の破砕工具着脱手段の設置を省略してもよい。また、エアシリンダ12のピストン側に設置された掘削破砕工具着脱手段と、スクレーパー130側に設置された破砕工具着脱手段とが協働してスクレーパー130を着脱自在に取り付けるようにしてもよい。
[実施の形態2:炉解体機]
図7は本発明の実施の形態2に係る炉解体機を説明する構成の一部を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。なお、実施の形態1(図1〜図6)と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図7において、炉解体機200には、スクレーパー140を取り付けるための掻き出し工具設置手段150が、伸縮ブーム43に設けられている。すなわち、掻き出し工具設置手段150は、これに取り付けられたスクレーパー140の軸心が、伸縮ブーム43の回転軸95に対して平行になるようになっている。なお、かかる方向は限定されるものではない。
たとえば、エアシリンダ12(破砕工具設置手段に相当する)と掻き出し工具設置手段150との軸心が同一方向、すなわち、エアブレーカ11とスクレーパー140との軸心が同一方向であってもよい。このとき、エアブレーカ11の先端の方が、スクレーパー140の先端141よりも突出させ、エアブレーカ11が耐火物120を破砕しているとき、スクレーパー140の先端141が耐火物120に衝突しないようにする。
スクレーパー140は、板状の掬い面142と、掬い面142に固定された取り付け用軸143とを有し、掬い面142の先端縁141は先端になる程薄くなっている(テーパ状に形成されている)。なお、取り付け用軸143は掻き出し工具設置手段150に嵌入自在であって、別途、回転防止手段が設けられる場合がある。
[実施の形態3:炉解体方法]
図8は本発明の実施の形態3に係る炉解体方法における掻き出し工程を模式的に説明する正面図である。かかる炉解体方法は、実施の形態2に説明した炉解体機200を使用するものである。
(スクレーパー取り付け工程)
まず、破砕工程の前に、スクレーパー140を伸縮ブーム43に設けられている掻き出し工具設置手段150に取り付けることを特徴としている(図7参照)。
このとき、なお、かかる取り付けは、破砕工程の開始に合わせて、その都度実施してもよいし、スクレーパー140を常時取り付けておいてもよい(すなわち、掻き出し工程が終了する都度、スクレーパー140を取り外さなくてもよい)。
(破砕工程)
そして、実施の形態1と同様に、炉底100の近くまで炉解体機1を移動させ、炉解体機1の移動を一旦停止した後、マニピュレータ5(ブーム4とアーム6とに同じ)を操作して、エアブレーカ11を目的の位置に目的の姿勢で移動させ、エアシリンダ12にエアコンプレッサー24から圧縮エアを間歇的に繰り返し供給する。このとき、スクレーパー140が、耐火物の衝突することはない。
(掻き出し工程)
次に、図8に示すように、スクレーパー140を用いて破砕された耐火物を掻き出す作用を実行するために、回転ブーム42を略90°回転して、スクレーパー140の先端141が耐火物片121の方向(略鉛直下方)を向くようにする。そして、アーム6を傾動して、スクレーパー140の先端141を耐火物片121に潜りこませる。このとき、エアブレーカ11は略水平方向を向いているから、エアブレーカ11の先端が耐火物片121に衝突することがない。
そうすると、実施の形態1と同様の操作によって、耐火物片121を掻き出す作用を実行することができる。すなわち、エアブレーカ11をスクレーパー140に取り替える作業をすることなく、破砕工程が終了すると直ぐに、掻き出し工程を開始することができる。また、掻き出し工程が終了すると直ぐに、破砕工程を開始することができる。
よって、本発明によれば、実施の形態1と同様に、前記効果(あ)〜(え)が得られると共に、
(お)破砕工程から掻き出し工程に、あるいは掻き出し工程から破砕工程に、迅速に移行することができるから、作業能率がさらに向上する。
(か)特に、破砕する範囲を複数に区分し、所定の範囲に限って破砕工程を実行し、当該範囲から発生した耐火物片を掻き出した後、引き続き、他の(たとえば、隣接する)範囲について破砕工程を実行し、当該範囲から発生した耐火物片を掻き出す等の作業を繰り返す場合に、作業能率の顕著な向上が得られる。
本発明は以上であるから、人力作業や重機作業を必要としないで、耐火物を破砕し、かつ、破砕された耐火物を掻き出すことができるから、各種炉の炉解体方法および炉解体機としても広く利用することができる。
本発明の実施の形態1に係る炉解体方法に使用する炉解体機の構成を説明する側面図。 本発明の実施の形態1に係る炉解体方法に使用する炉解体機の構成を説明する平面図。 本発明の実施の形態1に係る炉解体方法に使用する炉解体機の構成を説明する正面図。 本発明の実施の形態1に係る炉解体方法を説明する模式図(破砕工程)。 本発明の実施の形態1に係る炉解体方法を説明する模式図(掻き出し工程)。 本発明の実施の形態1に係る炉解体方法も使用するスクレーパーを説明する模式図。 本発明の実施の形態2に係る炉解体機の構成を説明する平面図等。 本発明の実施の形態3に係る炉解体方法における掻き出し工程を模式的に説明する正面図。
符号の説明
1 炉解体機(実施の形態1)
2 機器本体
3 走行台車
3a 連結部
4 ブーム
4a 連結部
5 マニピュレータ
6 アーム
9 アームシリンダ
11 エアブレーカ
12 エアシリンダ
24 エアコンプレッサー
27 ホース
28 ホースガイド
29 ノズル
31 キャタピラ
32 耐熱運転室
33 ガード
39 ブームシリンダ
40 旋回部
41 傾動ブーム
41a 内周壁
42 回転ブーム
43 伸縮ブーム
45 油圧シリンダ
46 ベアリング
47 旋回モータ
48 ローラ
61 ガード
91 収納ケース
92 軸部
93a 支点ピン
94a 支軸レバー
94b 支軸レバー
95 回転軸
95a アームピン
95b 支点ピン
100 炉底
110 鉄皮
120 耐火物
121 耐火物片
130 スクレーパー
131 先端
132 面
133 支持部
134 取付部
135 掘削破砕工具着脱手段
140 スクレーパー
141 先端
142 掬い面
143 取り付け用軸
150 掻き出し工具設置手段
200 炉解体機(実施の形態2、3)

Claims (3)

  1. 炉に設置された耐火物を破砕するための炉解体機を用いた炉解体方法であって、
    前記炉解体機が、走行自在な走行台車と、該走行台車に傾動自在に設置された傾動ブームと、該傾動ブームに回転自在に設置された回転ブームと、該回転ブームに進退自在に設置された伸縮ブームと、該伸縮ブームの先端に傾動自在に設置された首振りアームと、該首振りアームに設置されたエアーシリンダと、該エアーシリンダに設置された破砕工具着脱手段と、前記伸縮ブームの先端に固定された掻き出し治具設置手段と、先端になる程薄くなる先端縁が形成されている板状の掬い面と、該掬い面に固定された取付用軸とを具備する掻き出し治具と、を有し、
    前記掻き出し治具設置手段に前記掻き出し治具の取付用軸を嵌入する工程と、
    前記破砕工具着脱手段に破砕工具を取り付けると共に、前記エアーシリンダに間歇的に圧縮エアーを繰り返し供給して、前記破砕工具によって前記耐火物を破砕する工程と、
    前記首振りアームを傾動して前記破砕工具の方向を変更すると共に、前記伸縮ブームまたは前記走行台車を進退させることによって前記掬い面が前記破砕された耐火物を掻き出す工程と、を有し、
    前記掻き出し治具の取付用軸の軸心が、前記伸縮ブームに設けられている前記首振りアームを傾動自在に支持する回転軸に対して平行になっていることを特徴とする炉解体方法。
  2. 前記破砕工具および前記掻き出し治具の一方または両方に冷却用エアーを噴射することを特徴とする請求項1記載の炉解体方法。
  3. 炉に設置された耐火物を破砕するための炉解体機であって、
    走行自在な走行台車と、
    該走行台車に傾動自在に設置された傾動ブームと、
    該傾動ブームに回転自在に設置された回転ブームと、
    該回転ブームに進退自在に設置された伸縮ブームと、
    該伸縮ブームの先端に傾動自在に設置された首振りアームと、
    該首振りアームに設置されたエアーシリンダと、
    該エアーシリンダに設置された破砕工具着脱手段と、
    前記伸縮ブームの先端に固定されている掻き出し治具設置手段と、
    該掻き出し治具設置手段に設置された掻き出し治具と、
    先端になる程薄くなる先端縁が形成されている板状の掬い面と、該掬い面に固定された取付用軸とを具備する掻き出し治具と、
    を有し、
    前記破砕工具着脱手段に破砕工具が取り付けられ、前記エアーシリンダに間歇的に圧縮エアーが繰り返し供給され、かつ、前記首振りアームが傾動されることによって前記破砕工具の方向が変更されると共に、前記掻き出し治具設置手段に前記掻き出し治具の取付用軸が嵌入され、前記掻き出し治具の取付用軸の軸心が、前記伸縮ブームに設けられている前記首振りアームを傾動自在に支持する回転軸に対して平行になった状態で、前記伸縮ブームまたは前記走行台車が進退されることを特徴とする炉解体機。
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