JP2590437Y2 - 冶金炉用出滓樋の滓解体機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、冶金炉用出滓樋に付着
堆積した滓を、解体細粒化するための冶金炉用出滓樋の
滓解体機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、例えば高炉出銑により生
成した高炉滓は、滓鍋やドライピット、あるいは水砕設
備へと導くために、一般に、耐火物で形成された出滓樋
内に流している。よって、出銑を重ねるにしたがって出
滓樋内に、滓が付着し、これが堆積してその流れを阻害
するようになる。

【０００３】したがって、出滓樋内に付着堆積した滓を
定期的に解体しているが、従来の滓解体作業は、重機に
よる油圧ブレーカやバケットによって行い、細部につい
ては手作業で行っているのが実状である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】上記したように、従来
の滓解体作業は、手作業をともない、しかも、作業環境
が灼熱条件であることから、危険な作業となり、作業能
率も悪かった。

【０００５】この点、たとえば、実開昭６０−３２３５
０号公報で開示されている技術は、手作業を廃して自動
化された高炉樋補修手段を示唆している。すなわち、同
公報に記載の高炉樋補修機は、高炉樋廻りに設置した軌
道上を移動（キャタピラ等による移動も含む）する台車
上に、樋材破砕装置と破砕片吸収装置と樋成形装置を搭
載し、連続的に樋を補修できるようにしたものである。

【０００６】しかし、上記高炉樋補修装置を使用して、
出滓樋内に堆積成長した滓の破砕を行おうとすると、同
装置自体が本来、樋本体である耐火物（樋材）を破砕お
よび破砕片を吸引する装置であって、回転刃物の形状、
回転方向および切削力などが出滓樋の形状に合ったもの
ではないため、出滓樋の損傷を招くのみならず、破砕屑
の粒度も不均一となるという不都合があった。

【０００７】本考案は、上記した問題点に鑑みてなされ
たものであって、出滓樋の損傷を招くことなく、破砕屑
を指定した粒度以下にほぼ均一に細粒化することを可能
とする冶金炉用出滓樋の滓解体機を提供することを目的
としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本考案冶金炉用出滓樋の滓解体機は、冶金炉用出
滓樋に沿って移動する滓解体装置により、前記出滓樋内
に付着堆積した滓を解体細粒化する冶金炉用出滓樋の滓
解体機において、滓解体装置は、モータにより互いに反
対方向の垂直軸回りに回転可能で樋形状にほぼ相似形小
の対を成す回転刃物を、昇降装置の動作により垂直方向
に昇降可能に、また、旋回装置の動作によりこれら両回
転刃物と出滓樋内に付着堆積した高炉滓との間隙を調整
すべく樋内同一水平面内において所要角度の旋回可能に
構成し、他方、装置には、前記対を成す回転刃物の内外
部に向けて冷却水を噴射するための冷却水管を備えさせ
ているのである。

【０００９】

【作用】本考案によれば、対をなす回転刃物が樋形状と
ほぼ相似形小の形状を有し、かつ垂直軸回りに回転可能
であり、しかも対を成す回転刃物を樋内同一水平面内に
おいて所要角度の旋回可能であるから、出滓樋の底面お
よび下部側面の広範囲に付着堆積した滓を効率的に破砕
して破砕屑とすることができる。

【００１０】しかも、上記対を成す回転刃物を、これら
両者間に解体した滓が噛み込む方向に回転させることに
より、１次解体した滓を対を成す回転刃物間に導き、こ
れら回転刃物間で２次解体するので、ほぼ均一な粒度に
細粒化することができる。しかも、対を成す回転刃物は
反対方向に回転しているので滓を解体する際の反力によ
る振れが少なく、樋の内張り耐火物を損傷することな
く、樋内に付着した滓を解体できる。

【００１１】加えて、滓解体機の稼動中、対を成す回転
刃物に向かって及び回転刃物本体内部より刃物に向けて
冷却水が噴射され、回転刃物が常時、冷却されること
で、これらが高温の滓により異常加熱するおそれがな
く、滓解体機としての耐用寿命数が向上する。

【００１２】

【実施例】以下、本考案冶金炉用出滓樋の滓解体機を高
炉に使用した場合の１実施例を図１〜図５に基づいて説
明する。図１は高炉滓樋の滓解体機の使用状態を示す正
面図、図２は対を成す回転刃物の旋回状態を説明するた
めの平面図、図３は図２のＡ方向からみた図面、図４は
対を成す回転刃物の駆動機構の１例を示す正面図、図５
は同じく概略平面図である。

【００１３】これらの図面において、１は耐火物１３を
内張りされた出滓樋の上面を、重機をベースマシンとす
るキャタピラ１ａ等の回動によって移動する台車であっ
て、この台車１上に滓解体機本体２が搭載されている。

【００１４】この滓解体機本体２は、基本的に、台車１
に取り付けられた支柱３の上部側に配設した昇降シリン
ダ４と、この昇降シリンダ４のロッド端に取り付けた取
付具５を介し、前記支柱３を案内ガイドとして昇降自在
に支持されたモータ据付台６と、このモータ据付台６上
に取り付けた油圧モータ７と、この油圧モータ７の出力
軸の回転を動力伝達機構８を介して、垂直軸回りにかつ
互いに逆方向に回転可能に支持された対を成す回転刃物
９ａ・９ｂとから構成されている。

【００１５】これら対を成す回転刃物９ａ・９ｂは、た
とえば、樋形状と相似形小の形状を有しており、また、
これら対を成す回転刃物９ａ・９ｂの外周面上に設けら
れる刃物９ｃは、例えば図３に示すように、２条ねじ状
にかつ互いに逆ねじ方向で相互に干渉しないような位置
に配置している。

【００１６】そして、本考案の滓解体機を使用するに際
しては、出滓樋の側壁及び底部とこれら回転刃物９ａ・
９ｂとの間隔がそれぞれ５０〜１００ｍｍとなるように
その位置を設定する。この位置の設定は、例えば図４及
び図５に示すように、モータ据付台６に設置した旋回モ
ータ１０の出力軸に取り付けたピニオン１１で、これに
噛合するリングギア１２を正逆回転させることにより、
図２の想像線から実線に示すように、対を成す回転刃物
９ａ・９ｂを樋内の同一水平面内において所要角度旋回
させることにより行う。

【００１７】また、前記動力伝達機構８は、例えば図４
に示すように、油圧モータ７の出力軸に取り付けられた
駆動歯車８ａと、この駆動歯車８ａにそれぞれ噛合する
第１の従動歯車８ｂ及びアイドル歯車８ｃと、このアイ
ドル歯車８ｃに噛合する第２の従動歯車８ｄとからな
り、第１の従動歯車８ｂを回転刃物９ａと同軸に取り付
け、また第２の従動歯車８ｄを回転刃物９ｂと同軸に取
り付けることにより、１個の油圧モータ７で対を成す回
転刃物９ａ・９ｂを上記したように回転させている。

【００１８】さらに、１４は冷却水管であって、台車１
上に取り付けられ、外部から供給される冷却水をその先
端開口から上記回転刃物９ａ・９ｂに向けて噴射できる
ような形状に曲げられて配装され、その先端開口はそれ
ぞれの回転刃物９ａ・９ｂ近傍に配置されている。ま
た、この冷却水管１４は途中で分岐させて回転刃物９ａ
・９ｂ本体内部にも冷却水を引き込み、内部より回転刃
物９ａ・９ｂを冷却できるようになっている。

【００１９】１５は上記台車１上に配設された油圧装置
であって、昇降シリンダ４及び油圧モータ７を駆動させ
るための駆動源である。１６は上記リングギア１２をモ
ータ据付台６上において摺動可能に取り付ける取付部材
である。

【００２０】つぎに、上記構成の動作について説明す
る。出滓樋内に付着堆積している滓を解体するため、先
ず、旋回モータ１０を駆動させて対を成す回転刃物９ａ
・９ｂが、図２に実線で示すように、出滓樋の側壁及び
底部とそれぞれ５０〜１００ｍｍの間隔となるようにそ
の位置を設定する。次に、モータ７を駆動させて回転刃
物９ａ・９ｂを回転させながら、昇降シリンダ４のロッ
ドを出動作させると、この昇降シリンダ４のロッド端の
取付具５を介して取り付けたモータ据付台６が支柱３に
案内されて下降し、このモータ据付台６上のモータ７の
出力軸に動力伝達機構８を介して取り付けた回転刃物９
ａ・９ｂが樋内の所定位置まで下降しつつ、樋の側壁及
び底部に付着堆積している滓を削りとる。

【００２１】このようにして、回転刃物９ａ・９ｂによ
って１次解体された滓は、対を成す回転刃物９ａ・９ｂ
間に噛み込んで２次解体されて一層細かく均一な粒度に
まで細粒化される。

【００２２】滓解体機の稼動中、冷却水管１４の先端開
口から回転刃物９ａ・９ｂに向けて及び回転刃物本体内
部より冷却水が噴射されるので、高温滓への接触による
加熱や解体された滓による加熱から回転刃物９ａ・９ｂ
は保護され、かつ、均一に細粒化された滓にも冷却水が
かかることで、粉塵も極力抑えられた状態となる。

【００２３】上記に例示した実施例から明らかなよう
に、出滓樋に付着堆積する滓は、遠隔操作された滓解体
機により、連続的にほぼ均一な粒度に細粒化される。し
かも、回転刃物は冷却水によって冷却されているので、
装置自体の寿命の延長をはかることもできる。

【００２４】

【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば、
短時間に滓解体作業ができ、作業者を暑熱重筋でかつ粉
塵下の危険で悪環境な作業より解放でき、自動遠隔化作
業を実現できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例にかかる高炉滓樋の滓解体機
の使用状態を示す正面図である。

【図２】対を成す回転刃物の旋回状態を説明するための
平面図である。

【図３】図２のＡ方向からみた図面である。

【図４】対を成す回転刃物の駆動機構の１例を示す正面
図である。

【図５】対を成す回転刃物の駆動機構の１例を示す概略
平面図である。

【符号の説明】

１ 台車 ２ 滓解体機本体 ４ 昇降シリンダ ８ 動力伝達機構 ９ａ・９ｂ 回転刃物 １０ 旋回モータ １４ 冷却水管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)実用新案権者 000005924 株式会社三井三池製作所 東京都中央区日本橋室町２丁目１番１号 (72)考案者 山田 浩二 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属 工業株式会社 和歌山製鉄所内 (72)考案者 四條 秀俊 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属 工業株式会社 和歌山製鉄所内 (72)考案者 近藤 淳 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属 工業株式会社 和歌山製鉄所内 (72)考案者 上高家 武 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属 工業株式会社 和歌山製鉄所内 (72)考案者 田村 光之進 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日本鋼管株式会社内 (72)考案者 平岡 英伸 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日本鋼管株式会社内 (72)考案者 古谷 淳一 千葉県千葉市川崎町一番地 川崎製鉄株 式会社内 (72)考案者 上谷 年男 岡山県倉敷市水島川崎通１丁目 川崎製 鉄株式会社内 (72)考案者 藤井 敬一 兵庫県加古川市金沢町１番地 株式会社 神戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)考案者 山形 仁朗 兵庫県加古川市金沢町１番地 株式会社 神戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)考案者 吉田 利廣 福岡県大牟田市旭町２丁目28番地 株式 会社三井三池製作所内 (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) C21B 7/14 C21C 1/02 B22D 35/00 B22D 43/00 F27D 3/14

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 冶金炉用出滓樋に沿って移動する滓解体
   装置により、前記出滓樋内に付着堆積した高炉滓を解体
   細粒化する冶金炉用出滓樋の滓解体機において、滓解体
   装置は、モータにより互いに反対方向の垂直軸回りに回
   転可能で樋形状にほぼ相似形小の対を成す回転刃物を、
   昇降装置の動作により垂直方向に昇降可能に、また、旋
   回装置の動作によりこれら両回転刃物と出滓樋内に付着
   堆積した高炉滓との間隙を調整すべく樋内同一水平面内
   において所要角度の旋回可能に構成し、他方、装置に
   は、前記対を成す回転刃物の内外部に向けて冷却水を噴
   射するための冷却水管を備えたことを特徴とする冶金炉
   用出滓樋の滓解体機。