JP5285639B2 - 太陽電池素子の電極形成用導電性ペースト - Google Patents
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Description
銀粒子の配合量は導電性ペースト全体に対して65ないし95重量%であるのが好ましい。65重量%未満では銀粒子の配合量が少なすぎて焼成して得られる受光面電極の固有抵抗が上昇するという不都合があり、95重量%を超えると印刷性が悪くなり、物理的な接着強度が不足するという不都合があるからである。
(2)ガラスフリット
本発明で使用可能なガラスフリットは、導電性ペーストが750ないし950℃で焼成されたときに、反射防止層を浸食し、適切に半導体基板への接着が行われるように、300ないし550℃の軟化点を有するものが好ましい。軟化点が300℃より低いと、焼成が進んで本発明の効果を十分に得ることができないという不都合がある。一方、軟化点が550℃より高いと、焼成時に十分な溶融流動が起こらないため、十分な接着強度が得られないという不都合がある。例えば、ガラスフリットとしては、Bi系ガラス、Bi2O3−B2O3−ZnO系ガラス、Bi2O3−B2O3系ガラス、Bi2O3−B2O3−SiO2系ガラス、Ba系ガラス、BaO−B2O3−ZnO系ガラスなどを用いることができる。
(3)有機バインダ
有機バインダとしては、限定されるものではないが、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、脂肪族系石油樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、キシレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイソブチル系樹脂等を用いることができる。
(4)溶剤
溶剤としては、限定されるものではないが、ヘキサン、トルエン、エチルセロソルブ、シクロヘキサノン、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジアセトンアルコール、ターピネオール、メチルエチルケトン、ベンジルアルコール等を挙げることができる。
(5)分散剤
ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ラウリン酸などの分散剤を導電性ペーストに配合することができる。なお、分散剤は一般的なものであれば、有機酸に限定されるものではない。これら分散剤の配合量は導電性ペースト全体に対して0.05ないし10重量%であるのが好ましい。0.05重量%未満であるとペーストの分散性が悪くなるという不都合があり、10重量%を超えると焼成によって得られる受光面電極の固有抵抗が上昇するという不都合がある。
(6)その他の添加剤
本発明においては、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、消泡剤、粘度調整剤などの各種添加剤を本発明の効果を妨げない範囲において配合することができる。
(7)太陽電池素子の製造方法
太陽電池素子の製造方法について詳しく説明する。
(8)太陽電池モジュールの製造方法
上記のようにして製造した太陽電池素子を用いて太陽電池モジュールを製造する方法の一例について説明する。
(1)半導体ウエハの準備
厚さが200μmで、外形が20mm×20mmの大きさで、比抵抗が1.5Ωcmの多結晶シリコンのp型シリコン基板の表面にn型拡散層が形成され、さらに、n型拡散層の上にSiNxの反射防止層が形成された半導体ウエハを準備した。
(2)導電性ペーストの調製
a.BSF層と裏面集電電極形成用の導電性ペースト
アルミニウム粉末と、エチルセルロース(有機バインダ)と、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール モノイソブチレート(溶剤)と、Bi2O3−B2O3−ZnO系ガラスフリットとを3本ロールミルで混合することによりペースト状にして、BSF層と裏面集電電極形成用の導電性ペーストを得た。
b.裏面バスバー電極形成用の導電性ペースト
銀粉末と、アルミニウム粉末と、エチルセルロース(有機バインダ)と、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール モノイソブチレート(溶剤)と、Bi2O3−B2O3系ガラスフリットとを3本ロールミルで混合することによりペースト状にして、裏面バスバー電極形成用の導電性ペーストを得た。
c.表面バスバー電極と表面フィンガー電極形成用の導電性ペースト
以下の表1に示すような特性を有するAg粉末86重量部と、軟化点が約530℃のBa系ガラスフリット1重量部と、エチルセルロース1重量部(有機バインダ)と、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール モノイソブチレート11重量部(溶剤)と、ステアリン酸0.5重量部(分散剤)と、1重量部のステアリン酸Mgと、2重量部のTeO2とを配合したものを3本ロールミルで混合することによりペースト状にし、さらに、後記するスクリーン印刷時のペーストの粘度が約300Pa・sとなるように、上記有機溶剤を適宜添加して調製した。このようにして、表面バスバー電極と表面フィンガー電極形成用の導電性ペーストを得た。
上記(2)aのように調製した導電性ペーストを、(1)のように準備した半導体ウエハの裏面側の略全面にスクリーン印刷により塗布し、その導電性ペーストの上に、図2(b)の6aに示すような形状となるように(2)bのように調製した導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布し、150℃で5分間乾燥を行った後、自然放冷により室温まで冷却した。
以上のように導電性ペーストを塗布した半導体ウエハを、BTU社製のモデルPV309で4ゾーンの加熱ゾーンがある高速焼成炉に挿入して、Datapaq社の温度ロガーで半導体ウエハ表面の最高温度を確認しながら、その表面最高温度を焼成温度として、800℃の焼成温度で1分間焼成した。この焼成過程において、半導体ウエハの裏面側に塗布したアルミニウムが半導体ウエハ側に拡散することにより、図1の4に示すようなBSF層が形成され、同時に図1の6bに示すような集電電極が形成されるのである。
(5)電気特性の評価
以上のようにして作製した表面バスバー電極と表面フィンガー電極形成用の導電性ペーストの比抵抗を、図2(a)に示すように、多数のフィンガー電極の中で、ある1本の表面フィンガー電極5bについて、焼成後の当該表面フィンガー電極5bにおける距離D(cm)、その距離D(cm)間の電気抵抗値R(μΩ)、焼成後の当該表面フィンガー電極5bのペースト膜厚t(cm)および焼成後の当該表面フィンガー電極5bの幅W(cm)に基づいて、下式より求めた。
=R×t×W/D(μΩ・cm)
また、ペースト焼成後に得た太陽電池素子試験片のFF値と変換効率については、共進電機株式会社製の商品名KST−15Ce−1sのテスターと、関西科学機器社製の商品名XES−502Sのソーラーシミュレーターとを用いて、電圧−電流曲線からFF値と変換効率を求めた。表1には、本発明の実施例1ないし4と比較例のペーストの比抵抗と、FF値と、変換効率を示す。
2 n型拡散層
3 反射防止層
4 BSF層
5 表面電極
5a 表面バスバー電極
5b 表面フィンガー電極
6 裏面電極
6a 裏面バスバー電極
6b 裏面集電電極
11 配線
12 太陽電池素子
13 表側充填材
14 裏側充填材
15 透明部材
16 裏面保護材
17 端子ボックス
18 出力取出配線
21 半導体基板
22 拡散層
23 反射防止層
24 裏面電極
25 表面電極
Claims (1)
- 半導体基板の受光面側に拡散層を形成し、この拡散層上に反射防止層と表面電極を有し、前記半導体基板の反受光面側に裏面電極を有する太陽電池素子において、前記反射防止層上に印刷して焼成することにより、前記表面電極を形成するために用いられる、太陽電池素子の電極形成用導電性ペーストであって、
比表面積が0.8〜3.0m2/gで、タップ密度が2〜6g/cm3で、平均粒径が0.1〜5.0μmで、且つ、加熱処理によって水分を取り除いた後の灼熱減量が0.05〜0.30%である銀粒子と、
有機バインダと、溶剤と、ガラスフリットとを含有することを特徴とする、
太陽電池素子の電極形成用導電性ペースト。
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