JP2014220426A - 太陽電池セル用電極、太陽電池セル、及び太陽電池セルの製造方法 - Google Patents

太陽電池セル用電極、太陽電池セル、及び太陽電池セルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁性を向上させることにより、電池特性の良好な太陽電池セルを得ることができる太陽電池セル用電極を実現する。
【解決手段】半導体基板1と、該半導体基板1を貫通する貫通電極6とを備えており、貫通電極6は、導電性粉末を主成分とする焼結体からなる電極本体部7と前記半導体基板1との間にV酸化物等を主成分とする導電性ガラス膜8が介在されている。導電性ガラス膜8は、電極本体部7と半導体基板1との中間の導電率、例えば、1.0×10-7Ω-1・cm-1以上、膜厚は0.1〜1.5μm、電極本体部7に対する導電性ガラス膜8の被覆率は、50%以上がそれぞれ好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、太陽電池セル用電極、太陽電池セル、及び太陽電池セルの製造方法に関し、より詳しくはMWT(Metal Wrap Through)構造を有する太陽電池セル用電極、この太陽電池セル用電極を有する太陽電池セルとその製造方法に関する。
自然再生可能エネルギーへの関心の高まりと共に、クリーンで再生可能なエネルギー源である太陽光を利用した太陽光発電システムが注目されている。太陽光発電システムは、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するものであるが、通常は、所定個数の太陽電池セルを封止材で封入して太陽電池モジュールを形成し、斯かる太陽電池モジュールを直列又は/及び並列に接続して使用される。
したがって、太陽電池セルは、太陽光発電システムの基本構成要素であり、従来より、資源量が豊富で省資源・低コスト化が可能なシリコン(以下、「Si」という。)系材料を使用したSi系太陽電池の開発が盛んに行なわれている。
図8は、片面受光型の太陽電池セルの一例を模式的に示す要部断面図であり、図9はその要部平面図である。
すなわち、この太陽電池セルは、Siを主成分とした半導体基板101の一方の主面に反射防止膜102及び受光面電極103が形成されると共に、該半導体基板101の他方の主面に裏面電極104が形成されている。
半導体基板101は、p型半導体層101aの上面にn型半導体層101bが形成されると共に、p型半導体層101aの下面には背面電界(Back Surface Field;以下、「BSF」という。) 101cが形成されている。そして、p型半導体層101aとn型半導体層101bとでpn接合を形成している。
また、受光面電極103は、Ag等の導電性粉末を主成分として形成されており、図9に示すように、インターコネクタに接続されるバスバー電極105と、バスバー電極105と電気的に接続された多数のフィンガー電極106a、106b…106nとを有している。
しかしながら、この片面受光型の太陽電池では、半導体基板101の表面に設けられた受光面電極103(バスバー電極105及びフィンガー電極106a、106b…106n)によって、太陽からの光が遮られることから、太陽光から半導体基板101に入射される光量の減少を招き、十分な発電効率を得るのが困難である。しかも、受光面電極103の下部でキャリアの再結合損失が発生するため、発電効率のより一層の低下を招くおそれがある。したがって、この種の太陽電池では、受光面電極の面積をできるだけ小さくして発電効率を向上させることが要請されている。
そこで、このような観点から、非特許文献1や特許文献1に示すようなMWT構造を有する太陽電池が提案されている。
すなわち、非特許文献1では、図10に示すように、太陽電池セルは、Si系材料からなる半導体基板111と、半導体基板111の一方の主面上に形成された反射防止膜112及び受光面電極(フィンガー電極)113と、半導体基板111の一方の主面から他方の主面に架けて形成された貫通電極114と、半導体基板111の裏面に形成された裏面電極115とを備えている。また、貫通電極114は、半導体基板111を貫通するビア部114aと半導体基板111の貫通孔周囲に形成されたバスバー部114bとを有している。
また、半導体基板111は、p型半導体領域111aと、該p型半導体領域111aを囲むようにp型半導体領域111aの外周域に形成されたn型半導体領域111bとを有しており、さらに、半導体基板111の表面及び裏面には分離溝116が形成され、該分離溝116によってバスバー部114bと裏面電極115とが電気的に絶縁されている。
この非特許文献1では、受光面電極のうちバスバー部114bを半導体基板111の裏面側に形成することにより、太陽光の受光面積を拡大させることができ、また受光面側でのキャリアの再結合損失を低減できることから、16%を超える発電効率を得ている。
また、特許文献1には、図11に示すように、半導体基板(p型多結晶Si基板)121と、該半導体基板121の受光面側主面上に形成された導電型の多結晶半導体層(n型多結晶Si基板)122と、該多結晶半導体層122の受光面側主面上に形成された反射防止膜123とからなる太陽電池基板部124を有している。そして、前記太陽電池基板部124の裏面側から受光面側にかけて、内径が徐々に小さくなるテーパー状の貫通孔125を設け、該貫通孔125内部に絶縁膜126を介して導電材料を充填し、導電体127を形成した太陽電池セルが提案されている。
この特許文献1では、導電体127の表面に受光面電極128が形成されると共に、半導体基板121の裏面側には裏面電極129が形成されている。
そして、この特許文献1では、貫通孔125をテーパー状にすることで、電極材料の注入を行う際、貫通孔125内部に隙間なく十分に電極材料を充填することができ、これにより有効受光面積を大きくし、太陽電池セルの特性向上を図っている。
特開2010−262951号公報(請求項1、段落番号〔0018〕、図1、2等) Florian Clement, et. al., "Industrial Feasible MC-Si Metal Wrap Through (MWT) solar cells with high emitter sheet resistances exceeding 16 % efficiency", 23rd European Photovoltaic Solar Energy Conference,2008年9月1-5日,ヴァレンシア,スペイン, pp. 1872 - 1874
しかしながら、非特許文献1では、表面電極113と裏面電極115の電気的接続を遮断するために分離溝116が形成されているが、この分離溝116は、レーザ光の照射により形成しており、したがって微細かつ高精度なレーザ加工が必要になることから、製造工程が煩雑化し、高コスト化を招くおそれがある。しかも、分離溝116に製造不良が生じると、表面電極113と裏面電極115との電気的接触が完全に遮断されないことから、エネルギー変換効率の低下を招くおそれがある。
また、特許文献1では、貫通孔125の内壁に絶縁膜126を設ける必要があり、しかも貫通孔125内に均一で絶縁性の高い絶縁膜126を形成するのは難しく、導電体127から半導体基板121への漏れ電流を十分に抑制するのは困難であり、エネルギー変換効率の低下を招くおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、絶縁性を向上させることにより、電池特性の良好な太陽電池セルを得ることができる太陽電池セル用電極、該太陽電池セル用電極を備えた太陽電池セル、及び太陽電池セルの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る太陽電池セル用電極は、半導体基板と、該半導体基板を貫通する貫通電極とを備えた太陽電池セル用電極であって、前記貫通電極は、導電性粉末を主成分とする焼結体からなる電極本体部と前記半導体基板との間に導電性ガラス膜が介在されていることを特徴としている。
また、本発明の太陽電池セル用電極は、前記導電性ガラス膜が、前記電極本体部と前記半導体基板との中間の導電率を有しているのが好ましい。
また、本発明の太陽電池セル用電極は、前記導電性ガラス膜の導電率が1.0×10-7Ω-1・cm-1以上であるのが好ましい。
さらに、本発明の太陽電池セル用電極は、前記導電性ガラス膜が、膜厚が0.1〜1.5μmであるのが好ましい。
また、本発明の太陽電池セル用電極は、前記導電性ガラス膜が、V酸化物を主成分とするガラス粉末を含むのが好ましい。
また、本発明の太陽電池セル用電極は、前記電極本体部に対する前記導電性ガラス膜の被覆率は、50%以上であるのが好ましい。
また、本発明の太陽電池セル用電極は、前記導電性粉末が、Agを主成分としているのが好ましい。
また、本発明に係る太陽電池セルは、半導体基板の一方の主面に反射防止膜及び該記反射防止膜を貫通する受光面電極が形成されると共に、前記半導体基板を貫通する貫通電極が形成されて前記受光面電極と前記貫通電極とが電気的に接続され、少なくとも前記貫通電極が、上記いずれかに記載の太陽電池セル用電極からなることを特徴としている。
また、本発明に係る太陽電池セルの製造方法は、導電性粉末と導電性ガラス粉末とを含有した導電性ペーストを作製する導電性ペースト作製工程と、半導体基板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記導電性ペーストを前記貫通孔に充填するペースト充填工程と、前記貫通孔に充填された前記導電性ペーストを焼成し、前記導電性ペーストを焼結させて電極本体部を形成すると同時に、前記導電性ガラス粉末を溶融させて前記半導体基板の内壁と前記電極本体部との間に導電性ガラス膜を介在させ、前記電極本体部と前記導電性ガラス膜とを有する貫通電極を形成することを特徴としている。
これにより、貫通電極と半導体基板との絶縁性が良好な太陽電池セルを容易に製造することができる。
また、本発明の太陽電池セルの製造方法は、前記導電性ガラス粉末が、V酸化物を主成分とするのが好ましい。
また、本発明の太陽電池セルの製造方法は、前記半導体基板は、p型半導体層の一方の主面にn型半導体層を形成し、前記p型半導体層及びn型半導体層を前記貫通電極に接合させるのが好ましい。
これにより、非特許文献1のような分離溝(図10、符号116)を形成する必要もなく、構造や製法が簡素な太陽電池セルを容易に得ることができる。
本発明の太陽電池セル用電極によれば、半導体基板と、該半導体基板を貫通する貫通電極とを備えた太陽電池セル用電極であって、前記貫通電極は、導電性粉末を主成分とする焼結体からなる電極本体部と前記半導体基板との間に導電性ガラス膜が介在されているので、貫通電極と半導体基板との間の絶縁性を向上させることができることから、電極本体部に流れてきた電子が半導体基板に流れるのを抑制でき、低コストでエネルギー変換効率の良好な太陽電池セル用電極を実現することが可能となる。また、絶縁性が良好であることから、太陽電池セルに逆バイアス電圧が印加されても、該太陽電池セルに流れる電流値を抑制することができ、太陽電池モジュールが熱劣化するのを抑制することができる。
また、本発明の太陽電池セルによれば、半導体基板の一方の主面に反射防止膜及び該記反射防止膜を貫通する受光面電極が形成されると共に、前記半導体基板を貫通する貫通電極が形成されて前記受光面電極と前記貫通電極とが電気的に接続され、少なくとも前記貫通電極が、上記いずれかに記載の太陽電池セル用電極からなるので、貫通電極と半導体基板との間の絶縁性が良好であり、低コストでもってエネルギー変換効率が良好な太陽電池セルを得ることができる。また、太陽電池セルの一部が影に入って逆バイアス電圧が印加された場合であっても、上述したように絶縁性が良好であることから、当該太陽電池セルに流れる電流値を抑制することができ、太陽電池モジュールが熱劣化するのを抑制することができる。
このように本発明によれば、各種電池特性が良好なMWT型電極構造を有する太陽電池セルを得ることが可能となる。
また、本発明の太陽電池セルの製造方法によれば、導電性粉末と導電性ガラス粉末とを含有した導電性ペーストを作製する導電性ペースト作製工程と、半導体基板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記導電性ペーストを前記貫通孔に充填するペースト充填工程と、前記貫通孔に充填された前記導電性ペーストを焼成し、前記導電性ペーストを焼結させて電極本体部を形成すると同時に、前記導電性ガラス粉末を溶融させて前記半導体基板の内壁と前記電極本体部との間に導電性ガラス膜を介在させ、前記電極本体部と前記導電性ガラス膜とを有する貫通電極を形成するので、貫通電極と半導体基板との絶縁性が良好な太陽電池セルを容易に製造することができる。
本発明に係る太陽電池セル用電極を備えた太陽電池セルの一実施形態を示す要部断面図である。 受光面電極側を模式的に示した拡大平面図である。 図1の要部拡大断面図である。 上記太陽電池セル用電極の製造工程を示す図(1/2)である。 上記太陽電池セル用電極の製造工程を示す図(2/2)である。 本発明の太陽電池セルの製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(1/2)である。 本発明の太陽電池セルの製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(2/2)である。 従来の太陽電池セルの一例を模式的に示す要部断面図である。 図9の要部平面図である。 非特許文献1に記載された太陽電池セルの要部断面図である。 特許文献1に記載された太陽電池セルの要部断面図である。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は、本発明に係る太陽電池セル用電極を備えた太陽電池セルの一実施の形態を示す要部断面図であり、図2は、図1の平面図である。
この太陽電池セルは、Siを主成分とした半導体基板1の一方の主面に反射防止膜2及び受光面電極3が形成されると共に、該半導体基板1の他方の主面に裏面電極4が形成されている。
半導体基板1は、p型半導体層1aの上面にn型半導体層1bが形成され、p型半導体層1aの下面所定領域にBSF層1cが形成されている。n型半導体層1aは、例えば、単結晶又は多結晶のp型半導体層1bの一方の主面にドナー不純物を拡散させることにより得ることができるが、p型半導体層1aの上面に、高濃度でn層化された薄層のn型半導体層1bが形成されるのであれば、その製法は特に限定されるものではない。
また、BSF層1cは、焼成時に集電電極4aを形成するAlがアクセプタ不純物として作用して拡散し、p型半導体層1cの集電電極4aの対向面にp層化されて形成される。
さらに、半導体基板1には、一方の主面から他方の主面に架けて多数の貫通電極6が形成されている。この貫通電極6は、半導体基板1内を貫通するビア部6aと、ビア部6aに連接されて半導体基板1の裏面に形成されたバスバー部6bとを有している。そして、半導体基板1で発生した電力は、受光面電極3(フィンガー電極5a〜5n)によって集電され、貫通電極6のビア部6aを経てバスバー部6bによって外部に取り出される。
尚、図1では、半導体基板1の表面はフラット状に記載しているが、太陽光を半導体基板1に効果的に閉じ込めるために、表面は微小凹凸構造(テクスチャ)を有するように形成されている。
反射防止膜2は、窒化ケイ素(SiN)等の絶縁性材料で形成され、矢印Aに示す太陽光の受光面への光の反射を抑制し、太陽光を半導体基板1に迅速かつ効率よく導く。この反射防止膜2を構成する材料としては、上述した窒化ケイ素に限定されるものではなく、他の絶縁性材料、例えば酸化ケイ素(SiO)や酸化チタン(TiO)等を使用してもよく、2種類以上の絶縁性材料を併用してもよい。また、結晶Si系であれば単結晶Si及び多結晶Siのいずれを使用してもよい。
受光面電極3は、図2に示すように、多数のフィンガー電極5a、5b、…5nが櫛歯状に並設されており、受光面電極3が設けられている部分を除く残りの領域に、反射防止膜2が形成されている。この受光面電極3は、スクリーン印刷等を使用し、別途用意した導電性ペーストを半導体基板1上に塗布して導電膜を作製し、焼成することによって形成される。すなわち、受光面電極3を形成する焼成過程で、導電膜下層の反射防止膜2が分解・除去されてファイヤースルーされ、これにより反射防止膜2を貫通する形態で半導体基板1上に受光面電極3が形成される。このようにして半導体基板1で発生した電力をフィンガー電極5a〜5nによって集電すると共に、該フィンガー電極5a〜5nは、上述したように貫通電極6に接続され、貫通電極6のバスバー部6bから電力を外部に取り出している。
裏面電極4は、半導体基板1の裏面に形成されたAlからなる集電電極4aと、該集電電極4aの裏面に形成されて該集電電極4aと電気的に接続されたAg等からなる取出電極4bとで構成されている。そして、半導体基板1で発生した電力は集電電極4aに集電され、取出電極4bによって電力を取り出している。
図3は、図1の要部拡大断面図である。
本太陽電池セル用電極は、貫通電極6が、電極本体部7と半導体基板1との間に導電性ガラス膜8が介在されている。
電極本体部7は、導電性粉末を主成分とする焼結体からなり、ビア部6aの主体となる柱状部9と、バスバー部6bの主体となる鍔部10とを有している。そして、この柱状部9と鍔部10とで構成される電極本体部7と半導体基板1との間、すなわち半導体基板1との界面に導電性ガラス膜8が介在されている。
このような電極構造を有する太陽電池セルでは、太陽光からの光を吸収し、n型半導体層1aから貫通電極6の電極本体部7に流れてきた電子は、電極本体部7からp型半導体層1bに流れずに、導電性を有する導電性ガラス膜8に流れ、その後、導電性ガラス膜8から電極本体部7に流れる。しかも、導電性ガラス膜8が半導体基板1の界面に存在することから、界面に絶縁性が弱い箇所が生じても電界集中が起こらず、貫通電極6を介してn型半導体層1aからp型半導体層1bに流れる漏れ電流を抑制することが可能となる。
また、このように貫通電極6とp型半導体層1bとの間の絶縁性が向上することから、太陽電池セルに逆バイアス電圧が印加された場合であっても、太陽電池セルに流れる電流値を低減することができ、太陽電池セルの熱劣化を抑制することができる。
すなわち、この種の太陽光発電システムは、〔背景技術〕の項でも述べたように、所定個数の太陽電池セルがEVA(エチレン−酢酸共重合体樹脂)等の封止材で封入され、太陽電池モジュールの形態で使用される。
したがって、太陽電池セルのうち、一部の太陽電池セルが影に入っていわゆるホットスポット現象が生じると、当該太陽電池セルは光が照射されずに単なる抵抗体となり、太陽電池セルには逆バイアス電圧(例えば、−10〜−12V)が印加される。
このように逆バイアス電圧が印加されると、負方向に電流が流れて発熱し、封止材等の太陽電池モジュールの構成部材が損傷する等、熱劣化を招くおそれがある。
しかしながら、本実施の形態では、貫通電極6とp型半導体層1bとの間で良好な絶縁性が確保できることから、逆バイアス電圧が印加されても、流れる電流値を抑制することができる。したがって、太陽電池セルの一部が影に入っても過度に発熱することもなく、太陽電池モジュールの熱劣化を抑制することが可能となる。
このような導電性ガラス膜8としては、導電性を有していれば特に限定されるものではないが、電極本体部7と半導体基板1との中間の導電率を有するものが好ましい。具体的な導電率としては、1.0×10-7Ω−1・cm−1以上が好ましい。導電性ガラス膜の導電率が1.0×10-7Ω−1・cm−1未満になると、ガラス膜はほぼ絶縁体となって上述した作用効果を発揮するのが困難となる。尚、導電率の上限は、実用的には1.0×10-2Ω-1・cm-1程度が好ましい。
また、導電性ガラス膜8の膜厚も、特に限定されるものではないが、0.1〜1.5μmが好ましい。導電性ガラス膜8の膜厚が0.1μm未満になると、製造過程で導電性粉末がガラス粉末中にコロイド状となって拡散し、その結果トンネル電流が流れ易くなり、十分な絶縁性を確保できなくなるおそれがある。一方、導電性ガラス膜8の膜厚が1.5μmを超えると、半導体基板1とガラス粉末との熱膨張係数の相違等に起因して応力が生じ、半導体基板1に局所的にクラックが発生しやすくなり、信頼性低下を招くおそれがある。
また、このようなガラス粉末としては、Vに代表されるV酸化物を主成分としたものを好適に使用することができる。
このV酸化物系ガラス粉末は、他のガラス材料に比べて良好な導電性を有し、貫通電極6と半導体基板1との間でリークする漏れ電流を効果的に抑制することができる。すなわち、通常のガラス材料は、導電率が10-10Ω-1・cm-1以下であり、ほぼ絶縁体であるのに対し、V酸化物系ガラス粉末は、導電率が1.0×10-7Ω-1・cm-1以上と大きく、良好な導電性を有する。
そして、このようなV酸化物系ガラス粉末としては、熱処理により容易に結晶化するV−BaO−ZnO系やV−Fe−BaO系のガラス成分を使用するのが好ましい。すなわち、熱処理により結晶化させることにより、非晶質状態のガラス成分よりも導電性がより高くなり、漏れ電流をより一層効果的に抑制することが可能となる。また、熱処理で結晶化させることにより、結晶化後はガラス成分の流動性が低下することから、電極本体部7の表面にガラスが浮き上がり難くなり、はんだ付け性の向上を図ることができる。
また、上記導電性ガラス膜8は、電極本体部7と半導体基板1の界面全域に形成されていなくてもよいが、電極本体部7に対する導電性ガラス膜8の被覆率は、50%以上が好ましい。これは被覆率が50%未満になると、電極本体部7と半導体基板1との接触箇所が増加し、導電性ガラス膜8を介さずに電極本体部7と半導体基板1との間で電流が流れる確率が高くなり、特に逆バイアス電圧が印加された場合に発生する電流値が大きくなる。
尚、導電性ガラス膜8の被覆率は、後述する実施例から明らかなように、導電性ペースト中にZn酸化物を含有させることにより、調整することができる。
そして、この太陽電池セル用電極は以下のようにして作製することができる。
まず、導電性粉末、V−BaO−Fe系、V−BaO−Fe系等の導電性ガラス粉末、必要に応じてZn酸化物を所定量秤量し、三本ロールミル等を使用し、有機ビヒクル中で分散・混練し、導電性ペーストを作製する。
ここで、導電性粉末としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、通常はAg、又はAgを主成分としたAg合金が好んで使用される。
尚、導電性粉末の含有量は、電極としての作用を奏するのであれば、特に限定されるものではないが、通常は70〜90重量%程度が好ましく、特に75〜85重量%が好ましい。
また、導電性粉末の製法についても、特に限定されるものではなく、アトマイズ法や湿式還元法を使用して得ることができ、或いは両者の混合粉(アトマイズ粉、湿式還元粉)を使用してもよい。
また、導電性ガラス粉末の含有量も特に限定されるものではないが、通常は5〜15重量%(Zn酸化物を含有させる場合は、導電性ガラス粉末とZn酸化物との含有量の総計が5〜15重量%)が好ましい。
また、有機ビヒクルは、バインダ樹脂と有機溶剤とを、例えば体積比率で、1〜3:7〜9となるように調製することにより作製される。ここで、バインダ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、又はこれらの組み合わせを使用することができる。また、有機溶剤についても特に限定されるものではなく、α―テルピネオール、キシレン、トルエン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を単独、或いはこれらを組み合わせて使用することができる。
尚、有機ビヒクルの含有量を若干減少させ、その代わりに少量のフタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジブチル等の可塑剤を1種又はこれらの組み合わせを添加したり、脂肪酸アマイドや脂肪酸等のレオロジー調整剤を添加するのも好ましく、さらにはチクソトロピック剤、増粘剤、分散剤などを必要に応じて添加してもよい。
そして、p型半導体層1aの表面にn型半導体層1bが形成された半導体基板1を用意し、該半導体基板1上に反射防止膜2を形成した後、半導体基板1の所定位置にレーザ光を照射する。そしてこれにより、図4に示すように、内径が50μm〜500μm程度の貫通孔11を形成する。尚、貫通孔11の形成方法は、レーザ光照射に限定されるものではなく、例えば、ドリル等を使用した機械的方法、エッチング等を使用した化学的方法等、任意の方法で形成することができる。
次いで、上述した導電性ペーストを貫通孔11に充填し、さらに貫通孔11の周囲にも導電性ペーストを塗布する。尚、図4中、符号13が導電性粉末、符号14が導電性ガラス粉末を模式的に示している。
そしてこの後、これに焼成処理を施すと、図5に示すように、導電性粉末13は焼結されて電極本体部7を形成する一方、導電性ガラス粉末14は溶融して界面に沿って流動し、焼結されて導電性ガラス膜8を形成する。
このように本太陽電池セル用電極は、半導体基板1と、該半導体基板1を貫通する貫通電極6とを備えた太陽電池セル用電極であって、前記貫通電極6は、導電性粉末を主成分とする焼結体からなる電極本体部7と前記半導体基板1との間に導電性ガラス膜8が介在されているので、貫通電極6と半導体基板1との間の絶縁性を向上させることができ、したがって電極本体部7に流れてきた電子が半導体基板に流れるのを抑制でき、低コストで変換効率の良好な太陽電池セル用電極を実現することが可能となる。また、絶縁性が良好であることから、太陽電池セルに逆バイアス電圧が印加されても、該太陽電池セルに流れる電流値を抑制することができ、太陽電池モジュールが熱劣化するのを抑制することができる。
図6及び図7は、太陽電池セルの製造方法の一実施の形態を示す製造工程図である。
まず、図6(a)に示すように、単結晶又は多結晶のSi等からなる厚みが200mm程度のp型の半導体基板1を用意する。この半導体基板1は、例えば、Si等の半導体原料を坩堝で溶解・再固化させて形成されたインゴットをブロック毎に切断し、ワイヤーソー等で薄片状にスライスすることによって得られる。このとき、アルカリ性溶液及び/又は酸性溶液を使用してエッチング処理を行い、入射する太陽光を有効に半導体基板1内に閉じ込めるべく、表面に微小凹凸構造(テクスチャ)を形成する。
次いで、図6(b)に示すように、半導体基板1の表面にドナー不純物を拡散させ、p型半導体層1aの表面にn型半導体層1bを形成する。具体的には、拡散させるべきドナー不純物を含有した塗布液をスピンコート法等により膜状に塗布して塗布膜を形成し、熱処理を行って前記ドナー不純物を半導体基板1の表面に拡散させ、厚みが300〜500nmのn型半導体層1bを形成する。そしてこれにより、半導体基板1はpn接合を形成する。
尚、ドナー不純物としては、高濃度にn層化されたn型半導体層1bを形成するものであれば特に限定されないが、通常はPが好んで使用され、塗布液としてはオキシ塩化リン(POCl)が好んで使用される。
そして、酸性溶液を使用してエッチングを行い、半導体基板1の端部や裏面に拡散したドナー不純物や表面に形成されたリンケイ酸ガラス等の不純物を除去する。
次に、プラズマ化学気相成長法(PECVD)等の薄膜形成法を使用し、図6(c)に示すように、窒化ケイ素(SiN)等の絶縁性材料からなる膜厚が70〜80nmの反射防止膜2を形成する。
次に、半導体基板1の所定位置にレーザ光を照射し、図6(d)に示すように、内径が50μm〜500μm程度の貫通孔11を多数形成する。尚、貫通孔11の形成方法は、上述したようにレーザ光照射に限定されるものではなく、例えば、ドリル等を使用した機械的方法、エッチング等を使用した化学的方法等、任意の方法で形成することができる。
次に、図7(e)に示すように、上述した本発明の導電性ペーストを貫通孔11に充填して貫通導体15を形成し、さらに貫通孔11の周囲にも導電性ペーストを塗布して塗布膜16を形成する。そしてこれにより、貫通導体15及び塗布膜16には、上記したように、導電性粉末13及び導電性ガラス粉末14が混在することになる。
次に、平均粒径が5μmのAl粉末を含有したAlペーストを用意し、更に平均粒径1.5μmのAg粉末を含有したAgペーストを用意する。そして、該Alペーストを前記半導体基板1の裏面全面に塗布し、さらにAgペーストをスクリーン印刷して乾燥させ、図7(f)に示すように、Al膜17及びAg膜18からなる所定パターンの裏面電極用導電膜19を形成する。
次に、上記Agペーストを使用してスクリーン印刷し、図7(g)に示すように、受光面上に所定パターンの受光面電極用導電膜20を形成する。
そしてこの後、入口から出口まで1〜3分で搬送されるベルト式焼成炉を使用し、Alが500℃で焼結し、焼成最高温度が760℃となるような焼成プロファイルで貫通導体15、塗布膜16、第1及び第2の導電膜17、18を焼結させる。このとき、上述したように、導電性粉末13は焼結されて電極本体部7を形成する一方、導電性ガラス粉末14は溶融して界面に沿って流動し、焼結されて導電性ガラス膜8を形成する。さらに、Al膜17が溶融してp型半導体層1aと合金化してAl−Si層が形成されると共に、Alがアクセプタ不純物としてp型半導体層1a中を拡散し、図7(h)に示すように、高濃度にp層化されたBSF層1cが形成される。そしてこれと同時に、フィンガー電極5a〜5nは反射防止膜2をファイヤースルーしてn型半導体層1bと接合され、多数のフィンガー電極5a〜5nが並設された受光面電極3、ビア部6a及びバスバー部6bからなる貫通電極6、集電電極4a及び取出電極4bからなる裏面電極4が作製され、これにより太陽電池セルが形成される。
このように上記実施の形態では、導電性粉末13と導電性ガラス粉末14とを含有した導電性ペーストを作製する導電性ペースト作製工程と、半導体基板1に貫通孔11を形成する貫通孔形成工程と、前記導電性ペーストを前記貫通孔11に充填するペースト充填工程と、前記貫通孔11に充填された前記導電性ペーストを焼成し、前記導電性ペーストを焼結させて電極本体部7を形成すると同時に、前記導電性ガラス粉末14を溶融させて前記半導体基板1の内壁と前記電極本体部7との間に導電性ガラス膜8を介在させ、前記電極本体部7と前記導電性ガラス膜8とを有する貫通電極6を形成するので、貫通電極6と半導体基板1との絶縁性が良好な太陽電池セルを容易に製造することができる。
また、半導体基板1は、p型半導体層1aの一方の主面にn型半導体層1bが形成されており、反射防止膜2をn型半導体層1bの表面に形成すると共に、p型半導体層1aと貫通電極6とを接合させることにより、非特許文献1のような分離溝(図10、符号116参照)を形成する必要もなく、簡素な構造及び製法で所望の高い発電効率を有する太陽電池を得ることができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、半導体基板1は、p型半導体層1a上に薄層のn型半導体層1bが形成されているが、n型半導体層上に薄層のp型半導体層が形成されている場合も、同様に適用できるのはいうまでもない。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
〔導電性ペーストの作製〕
平均粒径D50が5μmの球形アトマイズAg粉、表1の組成成分を有するガラス粉末、及び有機ビヒクル、レオロジー調整剤としての脂肪酸アマイド及び脂肪酸(以下、有機ビヒクル及びレオロジー調整剤を総じて「有機ビヒクル等」という。)を用意した。尚、有機ビヒクルは、エチルセルロースとテキサノールとをエチルセルロース:テキサノール=1:9に配合して調製した。
また、熱処理前のガラス粉末の導電率は、ガラス粉末Aは1.0×10-6〜1.0×10-7Ω-1cm-1、ガラス粉末Bは1×10-5〜1×10-7Ω-1cm-1、ガラス粉末Cは1×10-10Ω-1cm-1以下であった。
そして、ガラスの種類によっては熱処理後の導電率が変化する場合があることから、以下の方法で熱処理後のガラス粉末の導電率を測定した。すなわち、ガラス粉末を上記有機ビヒクルと混合して作製したガラスペーストをSi基板上に塗布した後、焼き付け処理を行ってガラス膜を形成し、該ガラス膜の導電率を四端子法又は二端子法で測定した。そしてその結果、ガラス粉末Aは1.0×10-6〜1.0×10-7Ω-1・cm-1、ガラス粉末Bは1.0×10-2〜1.0×10-4Ω-1・cm-1、ガラス粉末Cは1×10-10Ω-1・cm-1以下であった。
次いで、Ag100重量部に対しガラス粉末が10重量部となるように、Ag粉、及び各ガラス粉末を秤量し、これらAg粉及びガラス粉末を総量で90重量%、有機ビヒクル等を10重量%の配合比率でプラネタリーミキサーで混合し、その後、三本ロールミルで混練し、これにより導電性ペーストA〜Cを作製した。
表1は、導電性ペーストA〜Cのガラス粉末の組成、及び導電率を示している。
Figure 2014220426
〔試料番号1〜3の作製〕
縦:156mm、横:156mm、厚みTが0.2mmの多結晶のp型半導体基板を用意した。次に、スピンコート法を使用してp型半導体基板の表面にPOClを塗布し、その後熱処理を行ってp−Si層の表面にPを拡散させ、厚みが400μmのn型半導体層を作製した。
尚、p型半導体基板の表面にn型半導体層を形成した後、酸性溶液を使用してエッチングを行い、p型半導体基板の端部や裏面に拡散したPやp型半導体基板の表面に形成されたリンケイ酸ガラスを除去した。
次に、n型半導体層の表面全域に膜厚0.1μmの反射防止膜をプラズマ化学気相成長法(PECVD)で形成した。
次に、反射防止膜が形成されたp型半導体基板の所定箇所にレーザ加工を施し、直径200μmの貫通孔を16箇所作製した。尚、レーザ加工の照射条件は、波長:515nm、1パルス当たりのパルスエネルギー:150μJ、パルス幅:8ピコ秒であった。
次に、半導体基板の裏面側を表面として該半導体基板を基台に載置し、スクリーン印刷を使用し、貫通孔及びp型半導体基板の裏面側となる貫通孔周囲に上記導電性ペーストA〜Cを塗布し、乾燥させた。尚、半導体基板が載置される基台には貫通孔に対応する箇所に吸引孔が設けられており、スクリーン印刷と同時に吸引孔の吸引力を調整し、これにより導電性ペーストA〜Cを貫通孔に充填すると共に、半導体基板裏面側の貫通孔周囲にも塗布し、乾燥させ、貫通導体を形成した。
次に、Alペースト及びAgペーストを用意し、スクリーン印刷を使用してAlペースト及びAgペーストを順次塗布し、裏面電極用導電膜を作製した。
次いで、このp型半導体基板を反転させ、スクリーン印刷を使用し、ファイヤースルー可能なAgを主成分とするAgペーストを反射防止膜の表面に塗布し、乾燥させて受光面電極用導電膜を作製した。
その後、ベルト式近赤外炉(デスパッチ社製、CDF7210)を使用し、試料が入口〜出口間を約1分で搬送するように搬送速度を調整し、大気雰囲気下、最高温度780℃で焼成し、反射防止膜をファイヤースルーさせると共に、ビア導体、上記各導電膜を同時に焼結させ、これによりMWT型の電極構造を有する試料番号1〜3の試料を作製した。
〔試料番号4の作製〕
試料番号1〜3と同様の方法・手順で、p型半導体基板の表面にn型半導体層を形成し、その上に反射防止膜を形成し、さらにp型半導体基板の裏面にAlペースト及びAgペーストを順次塗付し、乾燥させて裏面電極用導電膜を形成した。
次に、スクリーン印刷を使用し、ファイヤースルー可能なAgを主成分とするAgペーストを反射防止膜の表面に塗布し、受光面電極用導電膜を作製した。
そしてその後、試料番号1〜3と同様の方法・手順で、焼成処理を行い、これにより従来型の電極構造(図8、9参照)を有する試料番号4の試料を作製した。
〔試料の評価〕
試料番号1〜4の各試料について、ソーラーシミュレータ(英弘精機社製、SS−50XIL)を使用し、温度25℃、AM(エアマス)−1.5の条件下、電流−電圧特性曲線を測定した。
ここで、プローブがn型半導体層とp型半導体基板にそれぞれ接するようにセットし、放射照度:100W/cm、測定温度:25℃±0.5℃の測定条件で行った。そして、この電流−電圧特性曲線から数式(1)で表わされる曲線因子FF(Fill Factor)を求めた。
FF=Pmax/(Voc×Isc) …(1)
ここで、Pmaxは試料の最大出力、Vocは開放電圧、Iscは短絡電流である。
また、最大出力Pmax、受光面電極の面積A、放射照度Eから、数式(2)に基づきエネルギー変換効率(以下、単に「変換効率」という。)ηを求めた。
η=Pmax/(A×E) …(2)
また、試料番号1〜4に−12Vの逆バイアス電圧を印加し、電流値を測定した。
表2は、試料番号1〜4のペースト種、電極構造、短絡電流Isc、開放電圧Voc、曲線因子FF、変換効率η、及び逆バイアス電圧印加時の電流値を示している。
Figure 2014220426
試料番号3は、変換効率ηは14.7%と低く、逆バイアス電圧印加時の電流値も−10Aと大きくなった。これは、熱処理後の導電率が10-10Ω‐1・cm‐1以下のガラス粉末を使用しており、したがって、導電性を有さない絶縁性のガラス粉末を使用していることから、貫通電極とp型半導体基板との界面における絶縁性が低下し、このため電極本体部からp型半導体基板にリークする電子が増加して変換効率ηの低下を招き、さらに逆バイアス電圧印加時の電流値も増大したものと思われる。
これに対し試料番号1及び2は、熱処理後の導電率が10-6〜10-7Ω‐1・cm‐1又は10-2〜10-4Ω‐1・cm‐1のガラス粉末を使用しており、したがって導電性ガラス粉末を使用していることから、貫通電極を有さない従来型の電極構造の試料番号4と比べても、変換効率ηは0.2〜0.3%向上しており、また、逆バイアス電圧印加時の電流値も従来型の試料番号4と比べると若干増加しているものの、−0.9〜−1.6Aであり、いずれも−2A以下となって実用的に影響のない水準を維持できることが分かった。
〔試料の作製〕
実施例1の試料番号2のガラス粉末を使用し、Ag100重量部に対し、ガラス粉末を0.2、3.0、7.0、14.0、及び25.0重量部の割合で秤量した以外は、実施例1と同様の方法・手順で試料番号11〜15の導電性ペーストを作製し、その後はこの導電性ペーストを使用し、実施例1と同様の方法・手順で試料番号11〜15の試料(太陽電池セル)を作製した。
〔試料の評価〕
試料番号11〜15の試料を集束イオンビーム(FIB)で加工し、各太陽電池セルの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、導電性ガラス膜の厚みを求めた。
その後は、実施例1と同様の方法・手順で、各試料に−12Vの逆バイアス電圧を印加し、そのときの電流値を測定した。
表3は、試料番号11〜15の各試料のAg100重量部に対するガラス粉末の含有量、導電性ガラス膜の厚み、及び逆バイアス電圧印加時の電流値を示している。
Figure 2014220426
試料番号11は、逆バイアス電圧印加時の電流値は絶縁性ガラス粉末を使用した場合(実施例1、試料番号3参照)に比べると改善されているものの、−8.0Aと大きくなった。これは、導電性ガラス膜の厚みが0.05μmもあれば貫通電極と半導体基板との間の絶縁性は確保されてよいとも考えられるが、焼成時に導電性ペースト中のAgがコロイド状となって拡散するため、トンネル電流が流れやすくなり、電流値の増加を招いたものと思われる。
また、試料番号15は、導電性ガラス膜の厚みが2.10μmと厚いことから貫通電極と半導体基板間の絶縁性は良好であり、逆バイアス電圧印加時の電流値も−0.7Aと良好であったが、導電性ガラス膜の厚みが過度に厚くなったため、半導体基板に局所的にクラックが発生し、信頼性に若干劣ることが確認された。
これに対し試料番号12〜14は、導電性ガラス膜の厚みが0.1〜1.5μmと適度な厚みを有していることから、逆バイアス電圧印加時の電流値は−0.8〜−1.9Aと実用的に問題はなく、クラック等の構造欠陥も生じず、信頼性を確保できることが分かった。
〔試料の作製〕
実施例1で使用した試料番号1のガラス粉末及びZnO粉末を用意した。
そして、Ag100重量部に対し、ガラス粉末とZnOの総含有量が15重量部となるように、ZnOの含有量を調整した以外は、実施例1と同様の方法・手順で試料番号21〜26の導電性ペーストを作製し、その後はこの導電性ペーストを使用し、実施例1と同様の方法・手順で試料番号21〜26の試料(太陽電池セル)を作製した。
〔試料の評価〕
試料番号21〜26の各試料を集束イオンビーム(FIB)で加工し、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して貫通電極と半導体基板の界面を水平方向に30μmの範囲で断面を観察し、被覆率を求めた。
また、試料番号21〜26の各試料について、実施例1と同様の方法・手順で、各試料に−12Vの逆バイアス電圧を印加し、そのときの電流値を測定した。
表4は、ガラス粉末とZnO粉末との重量比、被覆率、及び逆バイアス電圧印加時の電流値を示している。
Figure 2014220426
試料番号26は、被覆率が50%未満であり、絶縁性ガラス粉末を使用した場合(実施例1、試料番号3参照)に比べると小さいものの、−9.4Aと高く、貫通電極と半導体基板との間で十分な絶縁性を確保できないことが分かった。
これに対し試料番号21〜25は、被覆率が53〜95%であり、電極本体部が導電性ガラス膜で十分に被覆されており、その結果、逆バイアス電圧印加時の電流値も−0.8〜−1.3Aと良好な結果が得られた。
貫通電極と半導体基板との界面の絶縁性を向上させることにより、電池特性の良好なMWT型電極構造を備えた太陽電池セルを実現する。
1 半導体基板
1a p型半導体層
1b n型半導体層
2 反射防止膜
3 受光面電極
6 貫通電極
7 電極本体部
8 導電性ガラス膜
11 貫通孔
13 導電性粉末
14 導電性ガラス粉末

Claims (11)

  1. 半導体基板と、該半導体基板を貫通する貫通電極とを備えた太陽電池セル用電極であって、
    前記貫通電極は、導電性粉末を主成分とする焼結体からなる電極本体部と前記半導体基板との間に導電性ガラス膜が介在されていることを特徴とする太陽電池セル用電極。
  2. 前記導電性ガラス膜は、前記電極本体部と前記半導体基板との中間の導電率を有していることを特徴とする請求項1記載の太陽電池セル用電極。
  3. 前記導電性ガラス膜は、導電率が1.0×10-7Ω-1・cm-1以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の太陽電池セル用電極。
  4. 前記導電性ガラス膜は、膜厚が0.1〜1.5μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の太陽電池セル用電極。
  5. 前記導電性ガラス膜は、V酸化物を主成分とするガラス材を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の太陽電池セル用電極。
  6. 前記電極本体部に対する前記導電性ガラス膜の被覆率は、50%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の太陽電池セル用電極。
  7. 前記導電性粉末が、Agを主成分としていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の太陽電池セル用電極。
  8. 半導体基板の一方の主面に反射防止膜及び該記反射防止膜を貫通する受光面電極が形成されると共に、
    前記半導体基板を貫通する貫通電極が形成されて前記受光面電極と前記貫通電極とが電気的に接続され、
    少なくとも前記貫通電極が、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の太陽電池セル用電極からなることを特徴とする太陽電池セル。
  9. 導電性粉末と導電性ガラス粉末とを含有した導電性ペーストを作製する導電性ペースト作製工程と、
    半導体基板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
    前記導電性ペーストを前記貫通孔に充填するペースト充填工程と、
    前記貫通孔に充填された前記導電性ペーストを焼成し、前記導電性ペーストを焼結させて電極本体部を形成すると同時に、前記導電性ガラス粉末を溶融させて前記半導体基板の内壁と前記電極本体部との間に導電性ガラス膜を介在させ、前記電極本体部と前記導電性ガラス膜とからなる貫通電極を形成することを特徴とする太陽電池セルの製造方法。
  10. 前記導電性ガラス粉末は、V酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項9載の太陽電池セルの製造方法。
  11. 前記半導体基板は、p型半導体層の一方の主面にn型半導体層を形成し、
    前記p型半導体層及びn型半導体層を前記貫通電極に接合させることを特徴とする請求項9又は請求項10記載の太陽電池セルの製造方法。
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