JP5285393B2 - 電解装置 - Google Patents

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Description

本発明は電極部材及び電解装置に関する。
従来、白金、イリジウム、ルテニウム、パラジウム等の単体、又はその酸化物等を含んだ電極を用い、水道水や塩水等の被処理水を電気分解する電解装置が知られている。電解装置としては、例えば、電解槽に一対の電極部材を配置し、電極間に直接、被処理水を流して電気分解する無隔膜式電解装置や、電解槽を隔膜で仕切り、陽極室と陰極室とが設けられた電解槽に被処理水を流して電気分解し、陽極室で酸性電解水を生成し、陰極室でアルカリ性電解水を生成する隔膜式電解装置が挙げられる。電解装置は、陽極室で酸性電解水を生成し、陰極室でアルカリ性電解水を生成する、いわゆる機能水の供給装置としての利用の他、被処理水を塩化物イオンの存在下で電気分解して、上水、下水、工場排水、汚泥等の殺菌処理装置、アンモニア等のアンモニア態窒素化合物や酸化態窒素化合物の除去処理装置としての利用が知られている(例えば、特許文献1〜3)。
浄水等の殺菌処理、工場排水等の排水処理への電解装置の利用においては、電解処理での塩素単体や次亜塩素酸の発生量を増加することが、処理効率向上に必要である。このような課題に対して、例えば特許文献4には、隔膜の両面に陽極と陰極とを密着させた電解装置を用い、電解槽の電解質液の塩化物イオン濃度を高くすることで、低電力原単位で次亜塩素酸の発生量を増加することが開示されている。
特開平11−347558号公報 特開平7−100466号公報 特開2001−252667号公報 特開平7−214063号公報
しかしながら、従来の技術を用いて、電気分解で水の殺菌等に必要なCl、Br等のハロゲン単体、HClO(次亜塩素酸)、HBrO(次亜臭素酸)等の次亜ハロゲン酸、ClO、BrO等の次亜ハロゲン酸イオン、ClO、ClO、ClO等(以下、総じて次亜ハロゲン酸等ということがある)の発生量を増加させるには、塩化物イオン等の無機ハロゲン化物を多量に添加する必要があり、ランニングコストの増大につながる。加えて、従来の電極では、陽極反応による次亜ハロゲン酸等の発生効率が低いため、多量の次亜ハロゲン酸等を発生させるには印加する電流値を高くする必要がある。高い電流値での電気分解を継続すると、電極の早期劣化を招くという問題がある。
そこで本発明は、低ランニングコストで、次亜ハロゲン酸等の発生効率が高い電極部材及び電解装置を目的とする。
本発明の電解装置は、陽極と、陰極と、前記陽極の陰極側面に設けられた対イオンがハロゲン化物イオンである、三次元的に連続した空孔が形成されたモノリス状多孔質陰イオン交換体と、を有する電極部材と、電解槽と、を備え、前記電解槽にハロゲン化物イオンを添加する添加手段を有するとともに、
前記電極部材は、板状の陽イオン交換体の両側に前記陰イオン交換体を配置し、さらに前記陰イオン交換体を前記陽極と前記陰極で挟持した構造であること、
または
前記電極部材は、板状の陽イオン交換体の両側に前記陰イオン交換体が配置された略円筒状の部材に、前記陽極と前記陰極とが前記陽イオン交換体と略平行に、かつ、前記陽イオン交換体と接触しない状態に配置されたものであること、
を特徴とする。
本発明の電解装置によれば、低ランニングコストで、次亜ハロゲン酸等の発生効率の向上が図れる。
本発明の電極部材及び電解装置の実施形態の一例について、図1〜図7を用いて説明する。図1は、本発明の電解装置の実施形態の一例を示す模式図である。図2〜図7は、本発明の電極部材の実施形態を示す斜視図である。
図1に示すとおり、電解装置10は、電解槽20と電極部材30と添加手段50とを有している。電解槽20には、電極部材30が備えられ、電極部材30は電源40と接続されている。水槽52は、無機ハロゲン化物の水溶液(以下、ハロゲン化物イオン水溶液ということがある)を貯水する水槽で、被処理水に添加するハロゲン化物イオンの供給源である。水槽52は、配管54でポンプ56の入口と接続され、ポンプ56の出口には配管58が接続されている。配管58は、電解槽20と接続されている。そして、水槽52とポンプ56と配管52、58とで、添加手段50が構成されている。
電極部材30は、陽極と、陰極と、陽極の陰極側の面に設けられた陰イオン交換体とを有するものである。そして、陰イオン交換体は、陰極と接していなくてもよいし、陰極と接していてもよい。
電極部材30としては、例えば、図2に示すように、陽極32と陰極34とが対向して配置され、陽極32の陰極34側面に板状の陰イオン交換体36が陽極32と接触して設けられ、陰イオン交換体36と陰極34とは離間して配置されているものが挙げられる。陰イオン交換体36は、陽極32の全面に設けられていてもよいし、陽極32の陰極34側の一部分に設けられていてもよい。
陰イオン交換体が陰極と接している電極部材30としては、例えば、図3〜図7に示す電極部材30が挙げられる。図3に示すように、電極部材30は、板状の陰イオン交換体36aが、陽極32と陰極34とで挟持されたものであってもよい。かかる形態の電極部材30は、陽極32と陰極34とが、陰イオン交換体36aを介して配置されているため、電圧を印加した際の電気抵抗が低くなる。
図4に示すように、電極部材30は、複数の棒状の陰イオン交換体36bが、陽極32と陰極34とで、流体の流路35を形成するように挟持されたものであってもよい。かかる形態の電極部材30は、陽極32と陰極34との間に流路35が設けられていることで、電極間の被処理水の流通が円滑になり、被処理水の電気分解効率を向上させることができる。加えて、陽極32から発生する酸素ガスや、陰極34から発生する水素ガスが、陰イオン交換体36bから放出されやすくなるためである。
図5に示すように、電極部材30は、略円筒形の陰イオン交換体36cに、陽極32と陰極34とが挿入されたものであってもよい。かかる形態の電極部材30は、円筒形状の配管途中に設置して、電気分解する場合に好適に使用できる。
図6に示すように、電極部材30は、板状の陽イオン交換体38dの両側に陰イオン交換体36dを配置し、さらに陰イオン交換体36dの両側を陽極32と陰極34とで挟持したものであってもよい。陽イオン交換体38dを配置することで、被処理水中のNH 等の陽イオン成分が陽極32と陰極34との間を流通できる。この結果、陽極32近傍で発生した次亜ハロゲン酸等(Cl、Br等のハロゲン単体、HClO(次亜塩素酸)、HBrO(次亜臭素酸)等の次亜ハロゲン酸、ClO、BrO等の次亜ハロゲン酸イオン、ClO、ClO、ClO等)により、NH 等のアンモニア態窒素化合物を効率的に分解できる。
図7に示すように、電極部材30は、板状の陽イオン交換体38eの両面に陰イオン交換体36eが配置された略円筒形の部材に、陽極32と陰極34とが陽イオン交換体38eと略平行に、かつ、陽イオン交換体38eと接触しない状態で配置されたものであってもよい。かかる形態の電極部材30は、円筒形状の配管途中への設置に好適であり、かつ、アンモニア態窒素化合物を効率的に分解できる。
また、陽極32の表面に耐酸化性イオン交換膜を配置してもよい。耐酸化性イオン交換膜を配置した陽極32に陰イオン交換体36、36a〜36eを接触配置することで、陰イオン交換体36、36a〜36eの劣化を防止することができるためである。
陽極32の形状は特に限定されず、板、多孔質体、パンチングメタル、エキスバンドメタル等が挙げられる。陰極34の形状は、陽極32の形状と同様である。
陰極34の材質は、陰極として機能するものであれば特に限定されず、例えば導電性炭素材料、鉄、ステンレス、その他の金属が挙げられる。陽極32の材質は、陽極として機能するものであれば特に限定されず、白金、金等の貴金属類、チタン基板に白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、タンタル等を単独又は複数成分混合して、メッキあるいはこれらの焼結体酸化物被膜を形成させたものが挙げられる。被処理水に硬度成分が多く含まれる場合には、定期的に陽極と陰極とを反転させることにより、陰極への硬度スケールの付着を抑制することができる。この場合、陽極32、陰極34共に、上述した陽極の材質を用いることが好ましい。また、陽極32における次亜ハロゲン酸等の発生を効率よく行う観点から、陽極32の材質は、イリジウム、ルテニウムが含まれることが好ましい。
陰イオン交換体36、36a〜36eは、陰イオン交換基を有するものであればよい。例えば、多孔質陰イオン交換体、陰イオン交換膜、陰イオン交換樹脂、陰イオン交換繊維、あるいは、陰イオン交換繊維を織って布にしたり、磨砕し不織布としたもの等が挙げられる。中でも、多孔質陰イオン交換体が好ましい。多孔質陰イオン交換体とすることで、陰イオン交換体36、36a〜36eへの被処理水の流通が容易となり、陽極32での次亜ハロゲン酸等の発生効率の向上が図れるためである。なお、多孔質陰イオン交換体とは、陰イオン交換基を導入した多孔質体を意味する。
陰イオン交換体36、36a〜36eが有する陰イオン交換基としては、例えば、四級アンモニウム基、三級アミノ基、二級アミノ基、一級アミノ基、ポリエチレンイミン基、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等の陰イオン交換基が挙げられる。中でも、四級アンモニウム基が好ましい。四級アンモニウム基は、イオン選択性が高く、幅広いpHでイオン交換反応を示すためである。
加えて、陰イオン交換体36、36a〜36eが有する陰イオン交換基は、その対イオンとしてOH、ハロゲン化物イオン等が挙げられ、中でもハロゲン化物イオンであることが好ましい。ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン等を挙げることができる。このようなハロゲン化物イオンが対イオンであると、被処理水中のハロゲン化物イオンの濃度が希薄であっても、効率的に次亜ハロゲン酸等を発生することができる。加えて、被処理水にハロゲン化物イオンが含まれていない場合であっても、対イオンのハロゲン化物イオンが脱着し、ハロゲン単体が発生し、次亜ハロゲン酸等を発生できるためである。
陰イオン交換体36、36a〜36eは、耐酸化性が付与されたものであってもよい。耐酸化性を付与することで、陰イオン交換体36、36a〜36eの劣化を防止することができる。
多孔質体は、空孔を多数有する基材をいい、空孔の形状、大きさ、細孔容積等は何ら限定されるものではない。多孔質体が有する空孔は、例えば発泡等により生じた空孔の他、粒子が凝集して三次元的に連続した骨格を形成し該骨格間に形成された空隙を含むものである。多孔質体の構造は、空孔が連続的及び/又は非連続的に形成されたものであればよく、特開2003−246809号、特開2002−306976号、特表平7−501140号に記載されているようなモノリス状等が挙げられる。
多孔質陰イオン交換体における多孔質体には、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体、シリコーン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリスルホンポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ化ビニリデン、パーフルオロアルコキシアルカン等の高分子物質を原料とした多孔質体が挙げられる。また、圧縮乾燥ならびに凍結乾燥(フリーズドライ)した多孔質体を用いることもできる。多孔質体は、通水性を確保する観点から、三次元的に連続した空孔が形成されたいわゆるモノリス状多孔質体であることが特に好ましい。モノリス状多孔質体は、空孔が連通し、高い吸水性ならびに通水性を有しているため好ましい。
多孔質体が有する空孔の大きさは特に限定されないが、孔径が1〜1000μmであることが好ましい。上述の範囲であれば、良好な通水性と強度が得られるためである。多孔質体の細孔容積は特に限定されないが、例えば、1〜50mL/gであることが好ましい。上述の範囲であれば、良好な通水性と強度が得られるためである。なお、細孔容積はJIS−K1150の水銀圧入法により求められる値である。
多孔質体に陰イオン交換基を導入する方法としては、陰イオン交換樹脂等の陰イオン交換基を有する物質を原料に添加、あるいは多孔質体に吸着させたもの、陰イオン交換基を多孔質体に高分子反応やグラフト重合等で導入する方法が挙げられる。このような陰イオン交換体としては、例えば、陰イオン交換繊維や陰イオン交換樹脂を粉砕あるいは磨砕した陰イオン交換体粒子とを、発泡前の原料に添加して製造したり、前記陰イオン交換体粒子を多孔質体に塗布して製造したりすることができる。陰イオン交換基の均一性から考えると、多孔質体に陰イオン交換基を高分子反応やグラフト重合等で導入したものが好ましい。
陽イオン交換体38d(図6)、陽イオン交換体38e(図7)としては、モノリス状多孔質陽イオン交換体等の多孔質陽イオン交換体、陽イオン交換膜、陽イオン交換樹脂、陽イオン交換繊維、あるいは、陽イオン交換繊維を織って布にしたり、磨砕し不織布としたもの等が挙げられる。中でも、通水性を確保する観点から、多孔質陽イオン交換体が好ましく、三次元的に連続した空孔が形成されたモノリス状多孔質体であることが特に好ましい。多孔質陽イオン交換体とすることで、陽極32と陰極34との間の被処理水の流通が容易となり、陽極32近傍で発生した次亜ハロゲン酸等により、アンモニア態窒素化合物を効率的に分解できるためである。
陽イオン交換体が有する陽イオン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、リン酸基、リン酸エステル基等の陽イオン交換基が挙げられる。
多孔質陽イオン交換体の多孔質体は、多孔質陰イオン交換体の多孔質体と同様である。多孔質体に陽イオン交換基を導入する方法は、多孔質体に陰イオン交換基を導入する方法と同様である。
電解槽20は、電解処理後の水の用途に応じて決定することができ、陽極32と陰極34との間に隔膜を配置した隔膜式電解槽であってもよいし、隔膜が配置されていない無隔膜式電解槽であってもよい。
電解装置10による被処理水の電解処理の一例について、被処理水がアンモニア態窒素化合物を含む場合を例にして、図1、2を用いて説明する。
電解槽20に被処理水を貯水し、電極部材30が被処理水に浸かる状態とする。水槽52にハロゲン化物イオン水溶液を貯水する。ポンプ56を起動して、ハロゲン化物イオン水溶液を電解槽20に添加し、被処理水を任意のハロゲン化物イオン濃度に調整する。電源40を起動し、陽極32と陰極34との間に直流電圧を印加する。
陽極32と陰極34との間に直流電圧を印加すると、洗浄水中のハロゲン化物イオンを電解し、次亜ハロゲン酸等が発生する。例えば、被処理水中に塩化物イオンが含まれる場合には、塩化物イオンが陰イオン交換体36の陰イオン交換基に吸着し、陽極32に引き寄せられる。この結果、塩化物イオンは、陰イオン交換体36、即ち、陽極32の近傍で、高濃度に存在することとなる。そして、陽極32での電極反応により下記(1)〜(2)式の反応が生じ、例えば、次亜塩素酸を発生する。発生した次亜塩素酸は被処理水に溶解し、任意の次亜塩素酸濃度の被処理水となる。
2Cl→Cl+2e ・・・(1)
Cl+HO→HCl+HClO ・・・(2)
また、例えば被処理水に臭化物イオンが含まれる場合には、臭化物イオンが陰イオン交換体36の陰イオン交換基に吸着し陽極32に引き寄せられる。この結果、臭化物イオンは陽極32の近傍で高濃度に存在することとなる。そして、陽極32での電極反応により下記(3)〜(4)式の反応が生じ、例えば、次亜臭素酸を発生する。発生した次亜臭素酸は被処理水に溶解し、任意の次亜臭素酸濃度の被処理水となる。
2Br→Br+2e ・・・(3)
Br+HO→HBr+HBrO ・・・(4)
陰極34では、水の電気分解により水素が生成する。加えて、被処理水中のアンモニア態窒素化合物は、陽極32で発生した次亜ハロゲン酸等により分解される。例えば、陽極32で発生した次亜ハロゲン酸等が次亜塩素酸の場合には、下記(5)式によって分解し除去される。
2NH+3HClO→N+3HCl+3HO ・・・(5)
被処理水とは、例えば、水道水、井水、蒸留水、純水、電解水等の清浄な水の他、工場排水、汚泥等を含む。被処理水は、電解装置10の使用目的に応じて選択することができる。電解装置10の陽極32側で酸性電解水を得る場合には、水道水、井水、蒸留水、純水、電解水等を用いることが好ましい。なお、前記純水とは、逆浸透膜装置又はイオン交換装置によって精製された水をいう。
水槽52のハロゲン化物イオン水溶液に用いる無機ハロゲン化物は、被処理水の処理目的に応じて決定することができ、例えば、塩化物、臭化物、フッ化物等が挙げられ、中でも、塩化物、臭化物を添加することが好ましい。塩化物、臭化物を添加することで、電気分解した際に、被処理水の殺菌やアンモニア態窒素化合物の分解に必要な塩素単体、臭素単体、次亜塩素酸、次亜臭素酸等を効率的に発生できるためである。塩化物としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩酸等が挙げられ、臭化物としては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化水素酸等が挙げられる。
ハロゲン化物イオン水溶液を添加した後の被処理水中のハロゲン化物イオン濃度は、被処理水の処理目的に応じて決定することができる。被処理水がアンモニア態窒素化合物を含む場合には、被処理水中のアンモニア態窒素化合物の含有量を勘案し、例えば、不連続点塩素処理(ブレークポイントクロリネーション法)に必要な塩素イオン濃度とすることができる。被処理水中のハロゲン化物イオン濃度が低すぎると、次亜ハロゲン酸等の発生効率が低くなり、電極部材30に印加する電流値を高くする必要がある。被処理水中のハロゲン化物イオン濃度が高すぎると、ハロゲン化物イオンの添加に伴う薬剤コストが増大するため好ましくない。
陽極32と陰極34に印加する電解電流密度は、陽極32と陰極34の材質、被処理水の水質、被処理水中のハロゲン化物イオン濃度、被処理水の処理目的、即ち、被処理水に必要な次亜ハロゲン酸等の濃度に応じて決定することができる。電解電流密度が低すぎると、次亜ハロゲン酸等の発生効率が低下するため、被処理水中のハロゲン化物イオン濃度を高める必要があり好ましくない。電解電流密度が高すぎると、消費電力が増大して好ましくない。例えば、0.001〜10A/dmの範囲で決定することが好ましい。
電解処理中の被処理水のpHは特に限定されないが、低い方が次亜ハロゲン酸等による被処理水の殺菌効果が高く、pHが高いと被処理水中の微生物に対する殺菌効果が低下する。例えば、塩化物イオンを含む被処理水を処理する場合には、電気分解によって生じる次亜ハロゲン酸等の大部分は、pH8.5を超えるとOClの形態となり殺菌効果が低下する。一方、pHが低いと、電解装置10の各部材の腐食の懸念がある。このため、被処理水はpH3〜8.5とすることが好ましい。
電解処理後の被処理水の次亜ハロゲン酸等の濃度は特に限定されず、被処理水の水質や被処理水の処理目的に応じて決定することができる。
上述のとおり、陽極の陰極側面に陰イオン交換体が設けられているため、被処理水中の塩化物イオンや臭化物イオン等のハロゲン化物イオンが陰イオン交換基に吸着され、陽極近傍でのハロゲン化物イオン濃度が、被処理水のハロゲン化物イオン濃度よりも高くなる。この結果、陽極では、ハロゲン化物イオン濃度が高い状態で電極反応が生じるため、従来の電解装置と同等の電流値でも多量の次亜ハロゲン酸等を発生することができる。加えて、被処理水全体のハロゲン化物イオン濃度が低濃度であっても、陽極近傍のハロゲン化物イオン濃度を高い状態にできるため、被処理水へのハロゲン化物イオンの添加量を従来技術に比べて少なくしても、次亜ハロゲン酸等を効率的に発生することができる。このため、添加する薬剤量が削減され、かつ、陽極と陰極との間の印加電圧×電流で表される消費電力が低減されるため、ランニングコストを軽減することができる。そして、発生した多量の次亜ハロゲン酸等により、被処理水中のアンモニア態窒素化合物の分解を促進し、被処理水中の殺菌効果を向上できる。
陽極に設けられる陰イオン交換体を多孔質体とすることで、陽極表面における被処理水の流通を円滑にし、被処理水中のハロゲン化物イオンを陰イオン交換基に吸着しやすくすることができる。この結果、陽極近傍のハロゲン化物イオン濃度を常時、高濃度に維持することができ、安定的に次亜ハロゲン酸等を発生できる。
加えて、陽極に設けられる陰イオン交換体の陰イオン交換基の対イオンをハロゲン化物イオンとすることで、ハロゲン化物イオンを含まない被処理水であっても、次亜ハロゲン酸等を発生することができる。
上述のとおり、添加手段により、被処理水にハロゲン化物イオンを添加し、適正な濃度とすることができるため、ハロゲン化物イオン濃度の著しい低下による次亜ハロゲン酸等の発生効率の低下を防止できる。加えて、添加手段により、被処理水中のハロゲン化物イオン濃度を高めることができるため、次亜ハロゲン酸等の発生効率をさらに高めることができる。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、電解装置10は添加手段50が設けられているが、水道水のように被処理水がハロゲン化物イオンを含む場合や、必要とする次亜ハロゲン酸等の発生量が、陰イオン交換体36の対イオンで賄える場合には、添加手段50を設けなくてもよい。
上述の実施形態では、バッチ式の電解槽であるが、本発明はこれに限られず、被処理水を連続して電解槽に供給し、電解処理した処理水を次工程に供給するものであってもよい。
以下に本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。
(測定方法)
<電圧値の測定>
電圧値の測定は、電源として用いた直流安定化電源(PA36−3A、株式会社ケンウッド製)にて、電圧値を確認した。
<遊離残留塩素濃度の測定>
被処理水の遊離残留塩素濃度は、DPD法(上水試験方法 2001年版 17.3 ジエチル−P−フェニレンジアミン(DPD)による吸光光度法)により測定した。
(実施例1)
図8に示すように、ルテニウムメッキを施したチタン製の平板状(縦:50mm、横:60mm)の一対の電極510で、多孔質体520を挟持させて電極部材を作成した。多孔質体520には、モノリス状多孔質陰イオン交換体(縦:46mm、横:60mm、材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、構造:孔径80μmの空孔が三次元的に連続した構造、イオン交換容量:5.4mg当量/g(乾燥)、イオン交換基:四級アンモニウム基)を用いた。この電極部材をビーカー500内の逆浸透膜濃縮水(導電率:350μS/cm、200mL)に、電極510の全体が水面530の下方に位置するように浸漬し、電流値:0.226Aで通電した。通電開始5分後における電圧値と遊離残留塩素濃度を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例1)
多孔質体520を電極510で挟持させずに、電極510のみを逆浸透膜濃縮水に浸漬した以外は、実施例1と同様にして電極510に、電流値:0.209Aで通電した。通電開始5分後における電圧値と遊離残留塩素濃度を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例2)
多孔質体520にモノリス状多孔質陽イオン交換体(縦:46mm、横:60mm、材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、構造:孔径80μmの空孔が三次元的に連続した構造、イオン交換容量:4.6mg当量/g(乾燥)、イオン交換基:スルホン酸基)を用いた以外は、実施例1と同様にして電極510に、電流値:0.209Aで通電した。通電開始5分後における電圧値と遊離残留塩素濃度を測定し、その結果を表1に示す。
Figure 0005285393
表1の結果のとおり、陽極に陰イオン交換体が設けられた実施例1は、通電5分後において、電圧値が3.9Vであり、遊離残留塩素濃度が4.56mg/Lであった。これに対し、陽極に陰イオン交換体が設けられていない比較例1は、通電5分後において、電圧値が10.5Vであり、遊離残留塩素濃度が1.25mg/Lであった。比較例2は、通電5分後において、電圧値が3.5Vであったが、遊離残留塩素濃度は0.01mg/L未満であった。このことから、陽極に陰イオン交換体が設けられた実施例1は、比較例1とほぼ同等の電流値で、より多くの次亜塩素酸を発生できることが判った。また、電極で陽イオン交換体を挟持した比較例2では、次亜塩素酸を発生できないことが判った。
本発明の電解装置の実施形態の一例を示す模式図である。 本発明の電極部材の実施形態の一例を示す斜視図である。 本発明の電極部材の実施形態の一例を示す斜視図である。 本発明の電極部材の実施形態の一例を示す斜視図である。 本発明の電極部材の実施形態の一例を示す斜視図である。 本発明の電極部材の実施形態の一例を示す斜視図である。 本発明の電極部材の実施形態の一例を示す斜視図である。 実施例1の試験方法を説明する斜視図である。
符号の説明
10 電解装置
20 電解槽
30 電極部材
32 陽極
34 陰極
36、36a、36b、36c、36d、36e 陰イオン交換体
50 添加手段

Claims (2)

  1. 陽極と、陰極と、前記陽極の陰極側面に設けられた対イオンがハロゲン化物イオンである、三次元的に連続した空孔が形成されたモノリス状多孔質陰イオン交換体と、を有する電極部材と、
    電解槽と、を備え、
    前記電解槽にハロゲン化物イオンを添加する添加手段を有するとともに、
    前記電極部材は、板状の陽イオン交換体の両側に前記陰イオン交換体を配置し、さらに前記陰イオン交換体を前記陽極と前記陰極で挟持した構造であることを特徴とする電解装置。
  2. 陽極と、陰極と、前記陽極の陰極側面に設けられた対イオンがハロゲン化物イオンである、三次元的に連続した空孔が形成されたモノリス状多孔質陰イオン交換体と、を有する電極部材と、
    電解槽と、を備え、
    前記電解槽にハロゲン化物イオンを添加する添加手段を有するとともに、
    前記電極部材は板状の陽イオン交換体の両側に前記陰イオン交換体が配置された略円筒状の部材に、前記陽極と前記陰極とが前記陽イオン交換体と略平行に、かつ、前記陽イオン交換体と接触しない状態に配置されたものであることを特徴とする電解装置。
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