以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ない、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨に逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置としてのプリンタ1の要部構成を説明するための概略構成図である。プリンタ1は、入力された印刷データに基づく画像を記録媒体としての用紙に印刷することが可能な画像形成装置である。
プリンタ1は、プリンタ1の下部に着脱自在に装着されている用紙収容カセット10と、用紙収容カセット10の上部に配設されたホッピングローラ11と、ホッピングローラ11を始点として、ガイド13、レジストローラ14、搬送ベルト18、ヒートローラ22、ガイド27、そして図示せぬ排出ローラを終点とする略S字形状に形成された用紙搬送経路12と、レジストローラ14に対向して圧接するように配設されたピンチローラ15と、レジストローラ14の用紙搬送経路12前後に配設されたセンサ16,17と、搬送ベルト18を掛け渡す位置に配設された駆動ローラ19,従動ローラ20と、搬送ベルト18を介して従動ローラ20と圧接するように配設された吸着ローラ21と、用紙搬送経路12の下流側から上流側にかけて搬送ベルト18上に着脱自在に装着された4つの画像形成ユニットである印刷機構(イメージドラムユニット)101,102,103,104と、印刷機構が備える像担持体としての各感光体ドラム201,202,203,204の表面に照射される光が結像する位置に配設されたLEDヘッド901,902,903,904と、搬送ベルト18を介して各感光体ドラム201,202,203,204と圧接するように配設された転写ローラ1001,1002,1003,1004と、ヒートローラ22に対向して圧接するように配設された加圧ローラ23と、ヒートローラ22の表面近傍に非接触で配設されたサーミスタ24と、ヒートローラ22の用紙搬送経路12前後に配設されたセンサ25,26と、プリンタ1の筐体外面を利用して形成されたスタッカ28と、搬送ベルト18下面部を従動ローラ20と挟むように配設されたクリーニングブレード29と、クリーニングブレード29により掻き落とされた廃トナーが落下する位置に配設された廃トナータンク30と、搬送ベルト18下面部と対向する位置に非接触で配設された濃度センサ31とを備える。
用紙収容カセット10は、内部に用紙を積層した状態で収容し、プリンタ1の下部に着脱自在に装着されている。用紙収容カセット10の上部には図示せぬ分離手段が配設されており、用紙収容カセット10に収容されている用紙をその最上部から1枚ずつ捌いて分離する。ホッピングローラ11は、図示せぬホッピングモータ36に接続され、図示せぬホッピングモータ36から供給された駆動力により回転し、図示せぬ分離手段が分離した用紙を取り出すと共に、ガイド13に沿って用紙をレジストローラ14に搬送する。
レジストローラ14は、図示せぬレジストモータ37に接続され、図示せぬレジストモータ37から供給された駆動力により回転し、レジストローラ14に対向して圧接するように配設されたピンチローラ15と共に、ホッピングローラ11により搬送された用紙の斜行を矯正する。このレジストローラ14の用紙搬送経路12前後に配設されたセンサ16,17は、用紙位置を検出する。
搬送ベルト18は、無端のエンドレス状に形成された高抵抗の半導電性プラスチックフィルムであり、光沢のある表面を有する。搬送ベルト18は、帯電した用紙を静電吸着して用紙搬送経路12に沿って搬送する。駆動ローラ19は、図示せぬベルトモータ38に接続され、図示せぬベルトモータ38から供給された駆動力により回転することで搬送ベルト18を図1中矢印e方向に駆動させる。従動ローラ20は、駆動ローラ19と対を成して搬送ベルト18を図1中矢印f方向に張架する。この従動ローラ20には、搬送ベルト18を介して吸着ローラ21が圧接するように配設されている。吸着ローラ21は用紙を圧接すると共に、帯電させることで用紙を搬送ローラ18に静電吸着させる。
印刷機構101,102,103,104は、それぞれブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各色に対応する画像を記録するための電子写真式LEDプリント機構である。印刷機構101,102,103,104は用紙搬送経路12の上流側から下流側にかけて搬送ベルト18上に着脱自在に装着されている。印刷機構101,102,103,104については、後ほど詳細に説明する。
LEDヘッド901,902,903,904は、LEDアレイ、このアレイを駆動させる図示せぬドライブIC(Integrated Circuit)、画像データを保持するレジスタ群を搭載した図示せぬ基板、及びLEDアレイの光を集光する図示せぬセルフォックレンズアレイ等を備え、後述するホストインタフェース部32から入力される画像データに対応してLEDアレイを発光させる。LEDヘッド901には、カラー画像信号の中でブラック(K)の画像信号が入力され、同様にLEDヘッド902,903,904には、それぞれイエロー(Y)の画像信号、マゼンタ(M)の画像信号、シアン(C)の画像信号が入力される。LEDヘッド901,902,903,904は入力された画像信号に基づく光をそれぞれの感光体ドラム201,202,203,204の表面に照射し、静電潜像を形成する。
転写ローラ1001,1002,1003,1004は、搬送ベルト18を介して各感光体ドラム201,202,203,204と圧接するように配設されている。この転写ローラ1001,1002,1003,1004には後述する図示せぬTR発生部44からバイアス電圧が印加されており、感光体ドラム201,202,203,204の表面に形成されたトナー画像を所定のタイミングで用紙に転写する。
ヒートローラ22は、アルミニウム等からなる中空円筒状の芯金にシリコーンゴム等で形成された耐熱弾性層を被覆し、その上にPFA(テトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被覆することで形成されている。そして、その芯金内には、例えば、ハロゲンランプ等のヒータ2201が配設されている。加圧ローラ23は、アルミニウム等からなる芯金にシリコーンゴム等で形成された耐熱弾性層を被覆し、その上にPFAチューブを被覆することで形成されている。ヒートローラ22は図示せぬヒータモータ39に接続され、図示せぬヒータモータ39から供給された駆動力により回転し、加圧ローラ23はヒートローラ22の回転に連れ回りする。サーミスタ24は、ヒートローラ22の表面温度検出手段であり、ヒートローラ22の表面近傍に非接触で配設される。このサーミスタ24によって検出されたヒートローラ22の表面温度信号は、図示せぬ機構制御部35に送られる。図示せぬ機構制御部35は、サーミスタ24から送られた温度信号に基づいてヒータ2201のオン/オフを制御し、ヒートローラ22の表面温度を所定の温度に維持する。上記のヒートローラ22、ヒータ2201、加圧ローラ23、サーミスタ24は、用紙上に転写されたトナーを加熱、溶融させ、用紙上のトナー画像を定着させる定着機構を構成する。
センサ25は、搬送ベルト18からの分離に失敗した用紙をチェックすると共に、用紙の後端位置を検出する。センサ26は、定着機構における用紙のジャムやヒートローラ22への用紙の巻き付き等を監視する排出センサである。このセンサ26の用紙搬送経路12下流側には、用紙をスタッカ28へと案内するガイド27が形成されており、定着機構を通過した印刷済みの用紙はガイド27に沿ってガイドされ、スタッカ28に排出される。
クリーニングブレード29は、可撓性のゴム材又はプラスチック材等から形成され、搬送ベルト18下面部で付着残留したトナーを廃トナータンク30に掻き落とす。廃トナータンク30は、クリーニングブレード29により掻き落とされた廃トナーが落下する位置に配設された廃トナーを蓄積する中空部材である。
濃度センサ31は、発光1系統、受光2系統の反射型光センサであり、搬送ベルト18上に印刷された濃度検出パターンの反射光の強度を測定し、印刷濃度を検出するために用いられる。図2は、本実施形態にかかる濃度センサ31の模式図である。濃度センサ31は、赤外LED3101、鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103等から構成さえており、カラー濃度と黒濃度との両方の印刷濃度を検出することができる。ここで、カラー濃度検出を行う場合は、赤外LED3101から射出され、搬送ベルト18上に印刷された濃度検出パターンにより拡散反射された光を拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103で受光する。拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103は、受光した拡散反射光の受光量に応じた電圧を発生する。一方、黒濃度検出を行う場合は、赤外LED3101から射出され、搬送ベルト18上に印刷された濃度検出パターンにより鏡面反射された光を鏡面反射受光用フォトトランジスタ3102で受光する。鏡面反射受光用フォトトランジスタ3102は、受光した鏡面反射光の受光量に応じた電圧を発生する。それぞれの反射光受光用フォトトランジスタにおいて、受光量に応じて発生した電圧値は後述する機構制御部35に通知される。機構制御部35は当該電圧値を印刷濃度に変換することで、搬送ベルト18上に印刷された濃度検出パターンの印刷濃度を算出する。
次に、再び図1を参照して印刷機構101,102,103,104について説明する。印刷機構101,102,103,104は、上述したように、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各色に対応した画像を記録する。このような機能を有する印刷機構101,102,103,104は、何れも同一の構成を有し、収容されるトナーの色のみが異なる。したがって、ここでは、ブラック(K)の印刷機構101を代表としてその現像部の機能を説明する。
印刷機構101は、印刷機構101のフレームに対して回転自在に支持された像担持体としての感光体ドラム201と、感光体ドラム201の表面に所定の圧接量をもって配設され、感光体ドラム201の表面を一様均一に帯電させる帯電ローラ301と、感光体ドラム201の表面に所定の圧接量をもって配設され、感光体ドラム201の表面に形成された静電潜像にトナーを供給することで現像剤像であるトナー画像を現像する現像ローラ401と、現像ローラ401の表面に所定の圧接量をもって配設され、現像ローラ401にトナーを供給するトナー供給ローラ501と、現像ローラ401の表面に所定の圧接量をもって配設され、現像ローラ401上のトナーの層厚を一定の厚さに規制する現像ブレード601と、感光体ドラム301表面近傍に配設され、感光体ドラム201表面を除電する除電光701と、印刷機構101のフレームを利用して形成されたブラックのトナーを収容するトナーカートリッジ801とを備える。
感光体ドラム201は、導電性支持体と光導電層とによって構成され、導電性支持体としてのアルミニウム等で形成された金属パイプに光導電層としての電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した構成を有する有機系感光体である。感光体ドラム201は、図示せぬドラムモータK,Y,M,C40が接続されており、ドラムモータK,Y,M,C40からの駆動力により所定の回転方向に回転する。また、感光体ドラム201の表面は帯電ローラ301により一様均一に帯電され、LEDヘッド901が照射する光によりブラック(K)の画像に対応した静電潜像が形成される。
帯電ローラ301は、金属シャフトとエピクロロヒドリン等の半導電性ゴム層とによって構成されている。帯電ローラ301は、感光体ドラム201の表面に接して配設されており、図示せぬCH発生部42により印加されたバイアス電圧により感光体ドラム201の表面を一様均一に帯電させる。
現像ローラ401は、金属シャフトと半導電性ウレタンゴム層とによって構成されている。現像ローラ401は、感光体ドラム201の表面に接して配設されており、感光体ドラム201上に形成されたブラック(K)の画像に対応した静電潜像にトナーを供給して反転現像させる。この現像ローラ401には、図示せぬDB発生部43が接続されており、図示せぬDB発生部43から印加されたバイアス電圧によって帯電されたトナーを感光体ドラム201上の静電潜像部分に付着させる。
トナー供給ローラ501は、金属シャフトと半導電性発泡シリコンスポンジ層とによって構成されている。トナー供給ローラ501は、現像ローラ401の表面に接して配設されており、現像ローラ401にトナーを供給する。このトナー供給ローラ501には、図示せぬSB発生部45が接続されており、図示せぬSB発生部45から印加されたバイアス電圧によって帯電されたトナーを現像ローラ401に供給する。
現像ブレード601は、例えば、厚さ0.08mmで、現像ローラ401の長手方向長さと略同一の長さを有し、トナーの層厚を一定の厚さに規制する金属薄板部材である。現像ブレード601の長手方向の一端側は印刷機構101のフレームに固定され、他端側はその先端から僅かに内側の面が現像ローラ401に当接するように配設されている。
除電光701は、感光体ドラム201の表面を露光して除電する。
トナーカートリッジ801は、ブラック(K)のトナーを収容する中空部材であり、収容されたトナーを攪拌する図示せぬ攪拌部材等を備える。収容されたトナーは所定のタイミングで自由落下し、トナー供給ローラ501に供給される。
次に、プリンタ1の制御回路構成について図3の制御回路ブロック図を用いて説明する。
ホストインタフェース部32は、図示せぬホストコンピュータとの物理的階層のインタフェースを担う部分であり、例えば、LAN(Local Area Network)等のケーブルコネクタや通信用チップ等を備える。
コマンド/画像処理部33は、ホストコンピュータ側からホストインタフェース部32を介して受信したコマンド及び画像データを解釈すると共に、画像データをビットマップに展開する図示せぬマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサがワーキングエリアとして使用するRAM(Random Access Memory)、及びビットマップに展開するための特別なハードウェア等を備え、プリンタ1全体を制御する。
階調補正制御部3301は、濃度センサ31が出力した電圧値を元に後述する機構制御部35が算出した実際の印刷濃度データと記憶手段3302に予め格納されている目標となる階調データとの対応関係に基づいて階調補正を行う。
記憶手段3302は、前述した目標となる階調データである標準ターゲット階調特性テーブル52を予め格納する。また、記憶手段3302は、階調補正結果である階調補正値テーブル53を格納する。
LEDヘッドインタフェース部34は、図示せぬセミカスタムLSI(Large Scale Integration)及びRAM等を備え、コマンド/画像処理部33によりビットマップに展開された画像データをLEDヘッド901,902,903,904のインタフェースに対応させて加工する。また、LEDヘッドインタフェース部34は、機構制御部35が計算したLEDヘッド901,902,903,904の駆動時間に基づいてLEDヘッド901,902,903,904の駆動時間を変更する。
機構制御部35は、コマンド/画像処理部33からの指令に従い、センサ16,17,25,26の各センサから出力される用紙の搬送状況信号、サーミスタ24から出力されるヒートローラ22の表面温度信号等を解釈して、ホッピングモータ36,レジストモータ37,ベルトモータ38,ヒータモータ39,ドラムモータK,Y,M,C40の各モータの駆動、ヒータ2201の温度等を制御する。また、機構制御部35は、記憶手段3505に格納された濃度検出パターン1101,1102の印刷濃度データを読出し、印刷濃度が目標印刷濃度となるようにLEDヘッド901,902,903,904の駆動時間をいくら増減すればよいかを計算する。さらにまた、機構制御部35は、記憶手段3505に格納された濃度検出パターン1101,1102の印刷濃度データから、印刷濃度が目標印刷濃度となるように現像電圧値をいくら増減すればよいかを計算する。
ドラムカウンタ部3501は、感光体ドラム201,202,203,204が回転した回転数、すなわち、印刷枚数に相当する印刷量としてのドラムカウント値Dcountを検出し、当該ドラムカウント値Dcountを、例えば、図4−Aに示されるドラムカウント値Dcountテーブル45として格納する。
濃度補正処理実行判定部3502は、例えば電源投入時や所定印刷枚数毎等の予め設定された濃度補正処理実行条件から濃度補正を実行するか否かを判定する。
濃度補正制御部3503は、ドラムカウンタ部3501が格納しているドラムカウント値Dcountテーブル45を読出し、後述する目標印刷濃度データを変更する。
ドラムカウント値判定部3504は、読み出したドラムカウント値Dcountが所定のカウントに到達したか否かを判定する。
記憶手段3505は、図4−B及び図4−Eに示される目標印刷濃度データテーブル46S及び46K、図4−C及び図4−Fに示される目標印刷濃度データ補正係数テーブル47S及び47K、図4−Dに示される補正後目標印刷濃度データテーブル48、図5及び図6に示される濃度検出パターン1101,1102、図7−Aに示される濃度センサ検出電圧−印刷濃度値変換テーブル49、図8−Aに示される現像電圧値調整量テーブル50、及び図9−Aに示されるLED駆動時間調整量テーブル51を予め格納する。また、記憶手段3505は、濃度センサ31から出力される印刷濃度に基づく電圧値信号を変換することで計算した濃度検出パターン1101,1102の印刷濃度を格納する。なお、本実施形態においては、目標印刷濃度データテーブル46S及び46K,目標印刷濃度データ補正係数テーブル47S及び47K,補正後目標印刷濃度データテーブル48を印刷トナー現像面積率(印刷画像において、所定面積中に現像されたトナーの占める割合のことであり、以降ではこれをDutyと称する)が30%,70%,100%となる各データを格納しているが、これに限定されず、装置の特性に応じて各Duty値は適宜変更することが可能である。
ホッピングモータ36,レジストモータ37,ベルトモータ38,ヒータモータ39,ドラムモータK,Y,M,C40の各モータは、ホッピングローラ11等の各ローラを駆動させるための駆動モータ及びこれらの駆動モータを駆動させるためのドライバ等を備える。
高圧制御部41は、図示せぬマイクロプロセッサあるいはカスタムLSI等から構成され、各印刷機構101,102,103,104が備える各ローラや転写ローラ1001,1002,1003,1004等に印加される帯電バイアス(CH),現像バイアス(DB),供給バイアス(SB),転写電圧(TR)を制御する。また、高圧制御部41は、機構制御部35が計算した現像電圧値に基づきDB発生部43に対して現像電圧値を変更するよう指示を与える。
CH発生部42は、高圧制御部41の指示に基づき各印刷機構101,102,103,104が備える帯電ローラ301等の各ローラへの帯電バイアスの生成と停止を行う。DB発生部43は、高圧制御部41の指示に基づき各印刷機構101,102,103,104が備える現像ローラ401等の各ローラへの現像バイアスの生成と停止を行う。TR発生部44は、高圧制御部41の指示に基づき転写ローラ1001,1002,1003,1004への転写電圧の生成と停止を行う。なお、TR発生部44には、電流/電圧検出回路が設けられており、これにより定電流又は定電圧制御を行っている。SB発生部45は、高圧制御部41の指示に基づき各印刷機構101,102,103,104が備えるトナー供給ローラ501等の各ローラへの供給バイアスの生成と停止を行う。
次に、上述した印刷機構101,102,103,104を備えたプリンタ1の印刷動作について説明する。まず、ホストインタフェース部32を介して画像データが入力されると、機構制御部35は、ヒートローラ22の表面温度を所定の温度に調節するようヒータ2201のオン/オフを制御する。また、機構制御部35はホッピングモータ36に対してホッピングローラ11を回転するよう指示を与えると共に、レジストモータ37,ベルトモータ38,ヒータモータ39,ドラムモータK,Y,M,C40の各モータに対して各ローラを回転させるよう指示を与える。指示を受けたホッピングモータ36は、ホッピングローラ11を回転させ、用紙収容カセット10から用紙を取り出す。その後、用紙搬送経路12に沿って配設されたレジストローラ14は用紙の斜行を矯正すると共に、用紙を印刷機構101に搬送する。
用紙が用紙搬送経路12に沿って搬送されている間に、画像形成プロセスが開始される。感光体ドラム201の表面に接して設けられた帯電ローラ301は、CH発生部42によって供給されるバイアス電圧を印加して感光体ドラム201の表面を一様均一に帯電させる。次に、感光体ドラム201に対向して設けられたLEDヘッド901は、入力された画像データに基づく光を感光体ドラム201の表面に照射し、静電潜像を形成する。
そして、感光体ドラム201の表面に形成された静電潜像には、DB発生部43によって現像バイアスの供給を受けた現像ローラ401からトナーが供給され、トナー画像が形成される。感光体ドラム201上に形成されたトナー画像は、TR発生部44からバイアス電圧の供給を受けた転写ローラ1001により用紙に転写される。用紙が搬送ベルト18上を搬送されている間に、印刷機構102,103,104により形成されたトナー画像が順次用紙に転写されていく。
全てのトナー画像が転写された用紙は定着機構に搬送される。用紙は、所定の温度に制御されたヒートローラ22と、加圧ローラ23との間に形成されたニップ部に搬送される。ここで、ヒートローラ22の熱により用紙上のトナーが融解され、更にニップ部において加圧されることにより、用紙上のトナー画像は定着される。
定着機構によりトナー画像が定着された用紙は、図示せぬ排出ローラによりスタッカ28に排出されることで一連の印刷動作は終了する。
このようにして、本発明にかかるプリンタ1は、入力された画像データに基づく画像を用紙に印刷することができる。
次に、本発明の第1の実施形態にかかる濃度補正処理について説明する。一般的に濃度補正処理において、用いる濃度センサの検出値にバラツキがあった場合、このバラツキは高Duty印刷部分ほど大きくなり、低Duty印刷部分ほど小さくなる傾向がある。したがって、濃度センサの検出バラツキを抑え、精度良く濃度補正処理を行うためには、複数のDutyの目標印刷濃度を設定することが望ましい。そこで、本実施形態においては、濃度補正処理に用いる目標印刷濃度は、Duty30%,Duty70%,Duty100%と設定した。このDutyの組み合わせは、本実施形態における濃度補正処理において実験的に求めた組み合わせであり、この組み合わせを用いることにより、低Duty印刷部分から高Duty印刷部分まで精度良く濃度補正を行うことができる。
また、従来技術においては、Duty30%,Duty70%,Duty100%の目標印刷濃度は、ドラムカウント値Dcountが3000カウント時のγ特性により決定している。これは、実験的に3000カウント以降はγ特性の経時変化は小さく、印刷機構の使用期間を考えると、初期から3000カウントまでのγ特性の変化が大きい区間よりも3000カウントから印刷機構の寿命までの区間が圧倒的に長いため、3000カウント以降のγ特性に合わせた目標印刷濃度となっている。しかしながら、図19で説明したように、初期から1000カウント、3000カウントと印刷枚数の増加に伴いγ特性は変化する。したがって、本実施形態では、3000カウント以下の条件においても、より精度良く濃度補正処理を行うために、3000カウント時に加え、初期時のγ特性に基づいた目標印刷濃度をそれぞれ決定し、これらの目標印刷濃度を補正値算出の基準補正値とした。
最初に、3000カウント時のγ特性に基づいた各Duty30%,Duty70%,Duty100%の補正値算出の基準補正値である目標印刷濃度の決定について説明する。まず、Duty100%の目標印刷濃度を印刷濃度値1.5とする。これは、実験的に求めたDuty100%濃度として最適な印刷濃度値である。ここで、図10−Aに3000カウント時のγ特性を示す。破線は図19で示したγ特性である。図10−Aの破線で示されるγ特性では、Duty100%の印刷濃度値は1.7である。したがって、主に高Duty印刷部分の濃度を変化させることが可能な現像電圧を変化させることによって、このDuty100%の印刷濃度値が1.5となるように調節する。本実施形態においては、現像電圧を+60[V]とすることにより、Duty100%の目標印刷濃度を1.5に調節することができる(図10−A 実線)。Duty30%,Duty70%の目標印刷濃度は、実線で示すDuty100%の印刷濃度値を1.5に調整したγ特性のDuty30%,Duty70%の印刷濃度値とする。このようにして決定したDuty30%,Duty70%,Duty100%の目標印刷濃度の印刷濃度値を図10−Bに示す。
上記のように、Duty30%,Duty70%の目標印刷濃度を決定することにより、Duty30%,Duty70%の印刷濃度値をDuty30%,Duty70%の目標印刷濃度に補正すれば、おのずとDuty100%の印刷濃度値はDuty100%の目標印刷濃度に補正されることになる。したがって、例えば、用いる濃度センサの検出値にバラツキがあった場合においても、バラツキの少ないDuty30%,Duty70%により、バラツキの大きいDuty100%の影響を抑えることができ、安定した高Duty印刷部分の印刷濃度を得ることができる。
なお、通常の補正処理に見受けられる、例えば、図19の太線で示すような理想値に最も近いDuty0%からDuty100%への直線となる一次近似式等を用いての目標印刷濃度の概算は行うことはできない。なぜなら、γ特性のバラツキを補正するためには、現像電圧とLED駆動時間との両パラメータを最適値に設定する必要がある。しかし、現像電圧及びLED駆動時間のそれぞれのパラメータが実質的に有効となる設定領域は限定されており、各Duty毎に現像電圧とLED駆動時間のパラメータの値を持たせることができないため、単純な近似式を用いて目標印刷濃度を決定することができない。したがって、目標印刷濃度は本実施形態で説明したように、実験で求めた感光体ドラム201,202,203,204と各色のトナーのγ特性に基づいて設定する必要がある。
同様にして、初期時のγ特性に基づいた各Duty30%,Duty70%,Duty100%の目標印刷濃度を決定する。図10−Cに示されるように、初期時においても、Duty100%の補正値算出の基準補正値である目標印刷濃度は印刷濃度値1.5とする。本実施形態においては、現像電圧を−30[V]とすることにより、Duty100%の目標印刷濃度を1.5に調節することができる。初期時のDuty30%,Duty70%の目標印刷濃度は、図10−Cの実線で示すDuty100%の印刷濃度値を1.5に調整したγ特性のDuty30%,Duty70%の印刷濃度値とする。このようにして決定したDuty30%,Duty70%,Duty100%の目標印刷濃度の印刷濃度値を図10−Dに示す。
このようにして決定したDuty30%,Duty70%,Duty100%の目標印刷濃度に基づいた濃度補正処理動作について図11のフローチャートを用いて説明する。
まず、濃度補正処理実行判定部3502は、濃度補正処理実行判定を行う。ここで、濃度補正処理実行判定条件とは、例えば、電源投入時、所定枚数印刷時、装置が設置されている環境の変化等である。濃度補正処理実行判定部3502が濃度補正処理は実行可能であると判定すると(ステップS1 Yes)、その旨を濃度補正制御部3503に通知すると共に、濃度補正処理はステップS2に移行する。一方、濃度補正処理実行判定部3502が濃度補正処理は実行不可能と判定すると(ステップS1 No)、濃度補正処理は終了する。
次に、ステップS2において、濃度補正処理実行判定部3502により濃度補正処理は実行可能である旨の通知を受けた濃度補正制御部3503は、図4−Aに示されるドラムカウント値Dcountを読み出す。
次に、ステップS3において、ドラムカウント値判定部3504は、読み出したドラムカウント値Dcountが3000カウント未満であるかどうか判定する。3000カウント未満である場合は、図4−Bに示される初期時の基準目標印刷濃度テーブル値、図4−Cに示される初期時の目標印刷濃度データ補正係数テーブル値を濃度補正制御部3503に通知する。一方、ドラムカウント値Dcountが3000カウント以上の場合は、図4−Eに示される3000カウント以上の場合の基準目標印刷濃度テーブル値、図4−Fに示される3000カウント以上の場合の目標印刷濃度データ補正係数テーブル値を濃度補正制御部3503に通知する。なお、本実施形態においては、判定の閾値を3000カウントとしたが、これに限定されず、例えば、閾値を1000カウント、2000カウント、3000カウントと細かく設定する形態としてもよい。
次に、ステップS4において、濃度補正制御部3503は、ステップS2で読み出したドラムカウント値Dcount、ステップS3にて通知された基準目標印刷濃度、目標印刷濃度データ補正係数に基づいて補正後目標印刷濃度を変更する。補正後目標印刷濃度の算出には以下の式を用いる。ここでは、シアン(C)の補正後目標印刷濃度の算出工程について説明する。なお、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M)の補正後目標印刷濃度の算出も同様に行うことができる。
(i)ステップS3において、読み出したドラムカウント値Dcountが3000カウント未満の場合
COD’30=COD30S+CODR30S×CDcount×0.01・・・(1)
COD’70=COD70S+CODR70S×CDcount×0.01・・・(2)
COD’100=COD100S+CODR100S×CDcount×0.01・・・(3)
(ii)ステップS3において、読み出したドラムカウント値Dcountが3000カウント以上の場合
COD’30=COD30K+CODR30K×CDcount×0.01・・・(1)’
COD’70=COD70K+CODR70K×CDcount×0.01・・・(2)’
COD’100=COD100K+CODR100K×CDcount×0.01・・・(3)’
なお、COD’30,COD’70,COD’100は、図4−Dに示されているシアン(C)にかかる補正後目標印刷濃度である。COD30S,COD70S,COD100Sは、図4−Bに示されている、読み出したドラムカウント値Dcountが3000カウント未満の場合の目標印刷濃度であり、CODR30S,CODR70S,CODR100Sは、図4−Cに示されている、読み出したドラムカウント値Dcountが3000カウント未満の場合の目標印刷濃度データ補正係数である。また、COD30K,COD70K,COD100Kは、図4−Eに示されている、読み出したドラムカウント値Dcountが3000カウント以上の場合の目標印刷濃度であり、CODR30K,CODR70K,CODR100Kは、図4−Fに示されている、読み出したドラムカウント値Dcountが3000カウント以上の場合の目標印刷濃度データ補正係数である。目標印刷濃度データ補正係数は、ドラムカウント値Dcountが100カウント変化したときの印刷濃度値の変化量を表し、γ特性の経時変化から実験的に求めた最適値である。なお、本実施形態においては、目標印刷濃度データ補正係数は、ドラムカウント値Dcountが100カウント変化したときの印刷濃度値の変化量としたが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本実施形態においては、目標印刷濃度データ補正係数とドラムカウント値Dcountとを乗算したものに目標印刷濃度を加算して補正後目標印刷濃度を算出しているが、これに限定されず、例えば、ドラムカウント値Dcount毎に目標印刷濃度を設定する形態としてもよい。
そして、濃度補正制御部3503は、全色の補正後目標印刷濃度を算出すると共に、記憶手段3505にこれらの補正後目標印刷濃度を補正後目標印刷濃度データテーブル48として格納させる(ステップS4)。
次に、機構制御部35は、濃度センサ31の取付け確度や距離、温度等のバラツキを吸収するために、赤外LED3101の発光電流の調整(以降、キャリブレーションと称する)を実行する。キャリブレーションは、任意の基準反射物に対して、鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103の出力電圧が設定範囲内となるように赤外LED3101の発光電流の調整を行う(ステップS5)。
濃度センサ31のキャリブレーションが終了すると、機構制御部35は、記憶手段3505が予め格納している図5に示される濃度検出パターン1101の搬送ベルト18上への印刷を実行する(ステップS6)。濃度検出パターン1101は、用紙搬送経路12の下流側からブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の順にそれぞれDuty30%,Duty70%,Duty100%の印刷濃度で隙間なく印刷された長さLp[mm]のパターンによって構成されている。なお、濃度検出パターンは本パターンに限定されるものではなく、色の並び順やDutyの組み合わせは適宜変更可能である。また、濃度検出パターン1101が搬送ベルト18上に印刷されるときの、現像電圧値及びLED駆動時間は、予め設定された初期値DB0[V]及びDK0[s]とする。
濃度検出パターン1101の印刷が終了すると、機構制御部35は濃度検出パターン1101の各Dutyの濃度検出を開始する。ここで、図12に示されるように、各印刷機構101,102,103,104が備える感光体ドラム201,202,203,204と転写ローラ1001,1002,1003,1004との接点間距離をそれぞれ2L[mm]とし、用紙搬送経路12の最下流側の印刷機構104の感光体ドラム204と転写ローラ1004との接点から濃度センサ31までの距離を3L[mm]とする。濃度検出パターン1101は、K30%パターンの印刷開始位置から搬送ベルト18を9L[mm]駆動し移動させることで濃度センサ31の検出位置に到達する。さらに、搬送ベルト18をLp/2[mm]駆動し移動させ、K30%パターンの中央部と濃度センサ31の検出位置とを合わせる。
機構制御部35は、濃度センサ31の赤外LED3101を所定のエネルギーで発光させ、濃度検出パターン1101に赤外光を照射する。照射された赤外光は濃度検出パターン1101や搬送ベルト18表面で反射され、その反射光が鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102又は拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103で受光される。鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102又は拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103は、図示せぬ回路により駆動されており、受光したエネルギーに比例した電流を発生する。この受光したエネルギーに比例した電流は、図示せぬ回路によって電圧に変換され出力される。機構制御部35は、濃度センサ31が読取ったパターンがイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の場合には、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103の出力電圧を読取り、濃度センサ31が読取ったパターンがブラック(K)の場合には、鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102の出力電圧を読取る。本実施形態においては、最初に濃度センサ31により検出されるパターンは、K30%パターンであるため、機構制御部35は鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102の出力電圧を読取る。次に、搬送ベルト18をパターン長Lp[mm]駆動し移動させることで、Y30%パターンの中央部と濃度センサ31の検出位置とを合せ、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103の出力電圧を読取る。以下、同様にして濃度検出パターン1101の全てのパターンに対して順次出力電圧を読取る。機構制御部35は、読取った出力電圧を図7−Aに示される濃度センサ検出電圧―印刷濃度値変換テーブル49を利用して印刷濃度値に変換する。なお、濃度センサ検出電圧―印刷濃度値変換テーブル49のテーブル値は、図7−Bに示されるように、センサ検出電圧と印刷濃度値との関係を示す1次近似式の係数である係数Aと係数Bを実験的に求めた最適値である。
次に、機構制御部35は、ステップS6において読取った印刷濃度値とステップS4において計算した補正後目標印刷濃度データテーブル48のテーブル値とを比較してその差分を計算する。さらに、機構制御部35は、計算した差分から各色の現像電圧をいくら増減すればよいのかを計算する。ここでの計算においては、図8−Aに示される現像電圧値調整量テーブル50を用いる。現像電圧値調整量テーブル50のテーブル値は、現像電圧値が1[V]変化するときの印刷濃度値の変化量である。なお、本実施形態においては、現像電圧値調整量テーブル50のテーブル値は、現像電圧が1[V]変化するときの印刷濃度値の変化量としたが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、現像電圧値調整量テーブル50のテーブル値は、実際に現像電圧を変化させたときのセンサ検出電圧と印刷濃度値との関係から実験的に求めている。図8−Bは、現像電圧を変化させたときの印刷Dutyとそのときの印刷濃度値との関係を示す図であり、現像電圧を変化させると、現像されるトナー層厚を変化させることができるため、これを利用して、主に高Duty印刷部分、特にベタ濃度を安定化させることができる。
そして、機構制御部35は、実際の印刷濃度値の差分から比例計算によって現像電圧値制御量を計算する。なお、本実施形態においては、各色とも3通りのDutyに対して現像電圧値制御量が計算されることになる。しかしながら、各色とも現像電圧値制御量は、Dutyに関係なく1通りしか決定することができないため、Duty30%,Duty70%,Duty100%の3通りの計算値の平均値を現像電圧値制御量DB(A)とする。
現像電圧値制御量DB(A)は、以下の式に基づいて求める。ここでは、シアン(C)の現像電圧値制御量CDB(A)の算出工程について説明する。なお、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M)の補正後目標印刷濃度の計算も同様に行うことができる。また、ステップS6において読取った濃度検出パターン1101のDuty30%,Duty70%,Duty100%の印刷濃度値のそれぞれをCODS30,CODS70,CODS100とする。
CDB(A)={(CODS30−COD’30)/△CDB30+(CODS70−COD’70)/△CDB70+(CODS100−COD’100)/△CDB100}/3・・・(4)
このようにして計算した各色の現像電圧値制御量DB(A)に基づいて、機構制御部35は、高圧制御部41に対して現像電圧を増減するよう指示を与える。指示を受けた高圧制御部41は、DB発生部43に対して、印刷動作時に現像電圧初期値DB0に現像電圧制御量DB(A)を加算した現像電圧値DB1[V]の電圧を印刷機構101,102,103,104が備える現像ローラ401,402,403,404等に印加するよう指示を与える(ステップS7)。
補正後現像電圧値DB1[V]=DB0+DB(A)・・・(5)
次に、機構制御部35は、ステップS5と同様に、記憶手段3505が予め格納している濃度検出パターン1101の搬送ベルト18への印刷を実行する。そして、濃度検出パターン1101の印刷が終了すると、機構制御部35は濃度検出パターン1101の各Dutyの濃度検出を開始する。機構制御部35は、読取った出力電圧値を図7−Aに示される濃度センサ検出電圧―印刷濃度値変換テーブル49を利用して印刷濃度値に変換する(ステップS8)。
そして、機構制御部35は、ステップS8において読取った印刷濃度値とステップS4において計算した補正後目標印刷濃度データテーブル48のテーブル値とを比較してその差分を計算する。さらに、機構制御部35は、計算した差分から各色のLEDヘッド901,902,903,904の駆動時間をいくら増減すればよいのかを計算する。ここでの計算においては、図9−Aに示されるLED駆動時間調整量テーブル51を用いる。LED駆動時間調整量テーブル51のテーブル値は、LED駆動時間が1[%]変化するときの印刷濃度値の変化量である。なお、本実施形態においては、LED駆動時間調整量テーブル51のテーブル値は、LED駆動時間が1[%]変化するときの印刷濃度値の変化量としたが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、LED駆動時間調整量テーブル51のテーブル値は、実際にLED駆動時間を変化させたときのセンサ検出電圧と印刷濃度値との関係から実験的に求めている。図9−Bは、LED駆動時間を変化させたときの印刷Dutyとそのときの印刷濃度値との関係を示す図であり、LED駆動時間を変化させると、中Duty印刷部分の濃度を低Duty印刷部分あるいは高Duty印刷部分に比べて大きく変化させることができるため、これを利用して、主に中間調の濃度を安定化させることができる。
次に、機構制御部35は、実際の印刷濃度値の差分から各色のLEDヘッド901,902,903,904の駆動時間をいくら増減すればよいか計算する。なお、本実施形態においては、各色とも3通りのDutyに対してLED駆動時間制御量が計算されることになる。しかしながら、各色とも現LED駆動時間制御量は、Dutyに関係なく1通りしか決定することができないため、Duty30%,Duty70%,Duty100%の3通りの計算値の平均値をLED駆動時間制御量DK(A)とする。ただし、Duty100%のLED駆動時間制御量は0に近い場合もあるため、Duty30%,Duty70%の2通りの計算値の平均値をLED駆動時間制御量DK(A)としてもよい。
LED駆動時間制御量DK(A)は、以下の式に基づいて求める。ここでは、シアン(C)のLED駆動時間制御量CDK(A)の算出工程について説明する。なお、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M)の補正後目標印刷濃度の計算も同様に行うことができる。また、ステップS7において読取った濃度検出パターン1101のDuty30%,Duty70%,Duty100%の印刷濃度値のそれぞれをCOD’S30,COD’S70,COD’S100とする。
CDK(A)={(COD’S30−COD’30)/△CDK30+(COD’S70−COD’70)/△CDK70+(COD’S100−COD’100)/△CDK100}/3・・・(6)
ただし、Duty100%のLED駆動時間制御量が0の場合は、以下の式に基づいて求める。
CDK(A)={(COD’S30−COD’30)/△CDK30+(COD’S70−COD’70)/△CDK70+(COD’S100−COD’100)/△CDK100}/2・・・(7)
このようにして計算した各色のLED駆動時間制御量DK(A)に基づいて、機構制御部35は、LEDヘッドインタフェース部34に対してLEDヘッド901,902,903,904の駆動時間を増減するよう指示を与える。指示を受けたLEDヘッドインタフェース部34は、印刷動作時にLED駆動時間初期値DK0にLED駆動時間制御量DK(A)を加算したLED駆動時間DK1[s]の露光時間でLEDヘッド901,902,903,904を制御する(ステップS9)。
現像電圧値DK1[s]=DK0+DK(A)・・・(8)
次に、機構制御部35は、記憶手段3505が予め格納している図6に示される濃度検出パターン1102の搬送ベルト18上への印刷を実行する。濃度検出パターン1102は、用紙搬送経路12の下流側からブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の順にそれぞれDuty20%,Duty40%,Duty60%,Duty80%,Duty100%の印刷濃度で隙間なく印刷されたパターンによって構成されている。なお、本実施形態においては、印刷濃度データから各Duty間の印刷濃度値を近似的に求める。したがって、Dutyの数が多い方がより良い精度の補正を行うことができため、その組み合わせをDuty20%,Duty40%,Duty60%,Duty80%,Duty100%とした。なお、濃度検出パターンは本パターンに限定されるものではなく、色の並び順やDutyの組み合わせは適宜変更可能である。
そして、濃度検出パターン1102の印刷が終了すると、機構制御部35は濃度検出パターン1102の各Dutyの濃度検出を開始する。機構制御部35は、読取った出力電圧値を図7−Aに示される濃度センサ検出電圧―印刷濃度値変換テーブル49を利用して印刷濃度値に変換する(ステップ10)。
次に、階調補正制御部3301は、ステップS10において読取った印刷濃度値を受け取り、受け取った印刷濃度値を元に指定された色の濃度で印刷できるように階調補正することで、印刷濃度を安定化させ、色を着実に再現できるようにしている。
ここで、各Dutyを0〜255までの256階調レベルで表現すると、Duty20%は51階調レベル、Duty40%は102階調レベル、Duty60%は153階調レベル、Duty80%は204階調レベル、Duty100%は255階調レベルとなる。階調補正制御部3301は、受け取った印刷濃度値から、近似的に256階調レベル分の印刷濃度値(以降、印刷濃度特性と称する)を計算する。そして、階調補正部制御部3301は、印刷濃度特性と標準ターゲット階調特性とを比較する。標準ターゲット階調特性とは、図13−Aに示されているように、理想的な連続階調が再現できるように実験的に求められた標準ターゲット階調特性テーブル52のテーブル値であり、記憶手段3302に格納されている。
このとき、印刷濃度特性と標準ターゲット階調特性とが一致していれば、理想的な連続階調を再現することができるが、実際は、図13−Bに示されるように印刷濃度特性と標準ターゲット階調特性とにはズレが生じるのが一般的である。例えば、階調レベル51の印刷濃度特性と標準ターゲット階調特性のそれぞれの印刷濃度値は、印刷濃度特性が0.33、標準ターゲット階調特性が0.30となっている。したがって、印刷濃度特性の印刷濃度値0.33は標準ターゲット階調特性の階調レベル60に対応することになる。そこで、階調補正制御部3301は、図13−Cに示される階調補正値テーブル53の入力階調レベル51の出力階調レベルを60と格納させる。なお、記憶手段3302に格納されている階調補正値テーブル53は、入力階調レベルを出力階調レベルに変換するためのテーブルである。
また、例えば、階調レベル102の印刷濃度特性と標準ターゲット階調特性のそれぞれの印刷濃度値は、印刷濃度特性が0.65、標準ターゲット階調特性が0.60となっている。したがって、印刷濃度特性の印刷濃度値0.65は標準ターゲット階調特性の階調レベル115に対応することになる。そこで、階調補正制御部3301は、階調補正値テーブル53の入力階調レベル102の出力階調レベルを115と格納させる。同様に、256階調全てにおいて、階調補正制御部3301は入力階調レベルと出力階調レベルとを対応させ、階調補正値テーブル53に格納させる(ステップS11)。
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、プリンタ1の印刷エンジン部の現像電圧や露光時間等の物理特性の調節及びコマンド/画像処理部33の階調補正制御部3301による階調補正により濃度補正処理を行うことで、印刷濃度を安定化させることができる。
[実施例1]
実施例1では、従来技術の濃度補正処理と比較した本実施形態にかかる濃度補正処理の効果について濃度補正処理シミュレーションを用いて説明する。従来技術では、常に3000カウント時のγ特性より決定した目標印刷濃度を用いるのに対して、本実施形態にかかる濃度補正処理においては、γ特性の経時変化に合せた目標印刷濃度を用いる。ここでは、簡略のため、従来技術では、初期における濃度補正処理に用いる目標印刷濃度を3000カウント時のγ特性より求めた目標印刷濃度とし、本実施形態における濃度補正処理に用いる目標印刷濃度を初期のγ特性より求めた目標印刷濃度として比較する。なお、本シミュレーションに用いる現像電圧値調整量テーブル(ここでは、現像電圧が10V変化するときの印刷濃度値の変化量とする)を図14−Aに、LED駆動時間調整量テーブル(ここでは、LED駆動時間が10%変化するときの印刷濃度値の変化量とする)を図14−Bに示す。
濃度補正処理としては、<1>濃度検出パターンの印刷濃度値検出(図11に示される濃度補正処理フローのステップS6に相当)、<2>現像電圧補正(図11に示される濃度補正処理フローのステップS7に相当)、<3>濃度検出パターンの印刷濃度値検出(図11に示される濃度補正処理フローのステップS8に相当)、<4>LED駆動時間補正(図11に示される濃度補正処理フローのステップS9に相当)、<5>濃度検出パターンの印刷濃度値検出(図11に示される濃度補正処理フローのステップS10に相当)、<6>階調補正(図11に示される印刷濃度値補正処理フローのステップS11に相当)とした。
本シミュレーションの濃度補正処理<1>で検出する各Dutyの印刷濃度値は、従来技術、本実施形態共に図19で示された初期のγ特性における印刷濃度値とした。また、濃度補正処理<2>における現像電圧制御量DB(A)の計算は、上述した式(4)を用いた。なお、濃度補正処理<3>で検出する印刷濃度値は、濃度補正処理<2>で計算した現像電圧制御量DB(A)の結果を加味した印刷濃度値である。また、濃度補正処理<4>におけるLED駆動時間制御量DK(A)の計算は、上述した式(6)を用いた。
濃度補正処理<1>〜<4>におけるシミュレーションの結果を図14−Cに示す。シミュレーションの結果、従来技術においては、濃度補正処理後のDuty100%の印刷濃度値が目標印刷濃度に達していないことが分かった。この結果は、高Duty印刷部分の濃度を変化させることができる現像電圧補正が原因であると考えられる。つまり、濃度補正処理<2>において、濃度補正処理<1>で検出した濃度が、Duty30%、Duty70%では目標印刷濃度よりも濃いため、印刷濃度を薄くする方向に、逆にDuty100%では目標印刷濃度よりも薄いため、印刷濃度を濃くする方向にそれぞれ制御量が計算される。したがって、各Dutyの制御量計算値の平均値である現像電圧制御量DB(A)としては、各Dutyの制御量計算値同士で打ち消し合ってしまい、結果的にほとんど濃度補正処理制御が働かない状態となったためだと考えられる。
これに対して、本実施形態の濃度補正処理においては、用いる目標印刷濃度を初期のγ特性より求めたものであるため、各Duty30%,Duty70%,Duty100%共に印刷濃度を濃くする方向、すなわち濃度補正処理制御が同一方向に働くことになる。したがって、現像電圧制御量DB(A)としては、互いに打ち消し合うこともなく、期待する制御量DB(A)を得ることができた。なお、濃度補正処理<4>でのLED駆動時間補正は、主に低Duty印刷部分から中Duty印刷部分の印刷濃度値を変化させるものであり、濃度補正処理<2>の現像電圧補正が安定した高Duty印刷部分の濃度を得るために非常に重要な役割を担っている。
以上のように、印刷エンジン部の濃度補正処理(濃度補正処理<1>〜<4>)において、目標印刷濃度は、濃度補正処理の制御パラメータとして非常に重要であり、濃度補正処理制御に与える影響は大きい。本実施形態においては、Duty30%,Duty70%の目標印刷濃度をγ特性の経時変化に合せて補正する。つまり、初期では初期のγ特性に基づいて求めた目標印刷濃度を用い、経時では経時のγ特性に基づいて求めた目標印刷濃度を用いるため、本実施形態の濃度補正処理によれば、常に初期から経時まで安定した高Duty印刷部分の濃度を得ることができる。
本実施形態の濃度補正処理においては、印刷エンジン部の濃度補正処理(濃度補正処理<1>〜<4>)の結果に基づいてコマンド/画像処理部33の階調補正制御部3301が階調補正を行う(濃度補正処理<5>,<6>)。図14−Dに濃度補正処理<5>にて検出される印刷濃度値と階調補正の目標階調特性である標準ターゲット階調特性を、図14−Eに階調補正処理のための説明図、図14−Fに階調補正結果を示した。
この結果からも明らかなように、従来技術では、印刷エンジン部の濃度補正処理(濃度補正処理<1>〜<4>)でのDuty100%の印刷濃度値は1.36である。従来技術では、階調補正によって入力階調レベル255を出力階調レベル226と置換えるので、実際に用紙上にDuty100%で印刷したとしても、印刷印刷濃度値は1.36であり、所望の印刷印刷濃度値である1.5を得ることはできない。さらに、従来技術では、入力階調レベル226から255までの出力階調レベルは226となるので、この領域では印刷濃度は一定であり、階調性を再現することができない。
これに対して本実施形態にかかる濃度補正処理は、印刷エンジン部の濃度補正処理(濃度補正処理<1>〜<4>)でのDuty100%の印刷濃度値を1.5付近に補正することができる。そして本実施形態にかかる濃度補正処理では、入力階調レベル255を出力階調レベル243に置換えるので、実際に用紙上にDuty100%で印刷した場合、印刷印刷濃度値は1.46であり、所望の印刷印刷濃度値である1.5との差を小さく押えることができる。また、本実施形態にかかる濃度補正処理によれば、入力階調レベル243から255までの出力階調レベルを243とすることができるので、印刷濃度が一定で階調性が再現できない領域を小さく抑えることができる。また、本実施形態においては、印刷エンジン部の濃度補正処理によって、図10−B,図10−Dに示されるように初期から経時にかけてDuty30%,Duty70%の目標印刷濃度が変化する。このことより、濃度補正処理後のDuty30%,Duty70%の印刷濃度は初期と経時とで異なることになる。しかし、本実施形態においては、常に初期から経時にかけて安定した高Duty印刷部分の濃度を得ることができるため、階調補正を行うことにより、階調性を一致させ、初期から経時にかけて安定した色再現を行うことができる。
以上のように、第1の実施形態によれば、中間調部の目標印刷濃度をγ特性の経時変化に対応させて補正することにより、従来技術と比較して、より安定した高Duty印刷部分の印刷濃度を得ることができる。さらに、階調補正を行うことにより、中間調部の目標印刷濃度の経時補正分の差分を吸収することができ、初期から経時にかけて中間調の印刷濃度や色味の変動も最小限に抑えることができる。
[第2の実施形態]
本発明の第1の実施形態によれば、γ特性の経時変化に合せて目標印刷濃度を補正することにより、初期から経時にかけて安定した高Duty印刷部分の印刷濃度を得ることができる。しかしながら、例えば、図20に示される印刷機構A及び印刷機構Bのように、印刷機構を構成する感光体やトナー等自体の製品品質の違いに起因してγ特性にバラツキがある場合、安定した高Duty印刷部分の印刷濃度を得ることは困難となる場合がある。
第2の実施形態においては、上記問題を解決することが可能な画像形成装置について説明する。第2の実施形態にかかる画像形成装置としのプリンタ1’は、図15に示されるように、機構制御部35に濃度補正処理制御判断部3506と、第1の実施形態で説明した濃度補正制御部とは異なる処理を行う濃度補正制御部3503’と、記憶手段3507とを備える。なお、その他の要部構成、制御回路構成、及び印刷動作にかかる動作については、第1の実施形態と略同一であるため、同一な箇所には同一の符号を付し、説明は省略する。
濃度補正処理制御判断部3506は、例えば、ユーザにより指定された濃度補正モードを判断し、指定された濃度補正モードを濃度補正制御部3503’に通知する。なお、本実施形態においては、濃度補正モードは、通常モード、ベタ濃度重視モード、及び中間調濃度重視モードの3モードとする。
濃度補正制御部3503’は、ドラムカウンタ部3501が格納しているドラムカウント値Dcountテーブル45を読出し、第1の実施形態と同様に目標印刷濃度データを変更する。そして、濃度補正制御部3503’は、濃度補正処理制御判断部3506により通知された濃度補正モードに対応した記憶手段3507に格納されている重み付け係数テーブルデータを保持する。
記憶手段3507は、図16−Aに示される通常モード現像電圧値調整量重み付け係数テーブル54、図16−Bに示されるベタ濃度重視モード現像電圧値調整量重み付け係数テーブル55、図16−Cに示される中間調濃度重視モード現像電圧値調整量重み付け係数テーブル56、図16−Dに示される通常モードLED駆動時間調整量重み付け係数テーブル57、図16−Eに示されるベタ濃度重視モードLED駆動時間調整量重み付け係数テーブル58、及び図16−Fに示される中間調濃度重視モードLED駆動時間調整量重み付け係数テーブル59を予め格納する。
次に、本発明の第2の実施形態にかかる濃度補正処理動作について図17のフローチャートを用いて説明する。なお、ステップS11,S12,S13,S14,S15に関しては、第1の実施形態の図11で説明したステップS1,S2,S3,S4,S5と同様に行うことができるため、ここでの説明は省略する。
濃度センサ31のキャリブレーションが終了すると、濃度補正処理制御判断部3506は、例えば、ユーザにより指定された濃度補正モードを判断し、当該判断結果を濃度補正制御部3503’に通知する(ステップS16)。本実施形態においては、前述したように、ここで指定される濃度補正モードは、通常モード、ベタ濃度重視モード、及び中間調濃度重視モードの3モード中の何れかの濃度補正モードである。なお、濃度補正モードは、本実施形態で用いる濃度補正モードに限定されるのではなく、適宜変更可能である。そして、濃度補正処理制御判断部3506から通知された判断結果に基づき、濃度補正制御部3503’は、通知された濃度補正モードに対応した記憶手段3507に格納されている重み付け係数データテーブルを保持する。
次に、機構制御部35は、第1の実施形態にかかるステップS6と同様に、記憶手段3505が予め格納している濃度検出パターン1101の搬送ベルト18への印刷を実行する。そして、濃度検出パターン1101の印刷が終了すると、機構制御部35は濃度検出パターン1101の各Dutyの濃度検出を開始する。機構制御部35は、読取った出力電圧値を図7−Aに示される濃度センサ検出電圧―印刷濃度値変換テーブル49を利用して印刷濃度値に変換する(ステップS17)。
そして、機構制御部35は、ステップS17において読取った印刷濃度値とステップS14において計算した補正後目標印刷濃度データテーブル48のテーブル値とを比較してその差分を計算する。さらに、機構制御部35は、計算した差分から各色の現像電圧をいくら増減すればよいのかを計算する。ここでの計算においては、図8−Aに示される現像電圧値調整量テーブル50と、ステップS16にて濃度補正制御部3503’が保持している現像電圧調整量重み付け係数テーブルを用いる。現像電圧値調整量テーブル50については、第1の実施形態と同様である。ここで、図16−Aに示される通常モード現像電圧値調整量重み付け係数テーブル54、図16−Bに示されるベタ濃度重視モード現像電圧値調整量重み付け係数テーブル55、図16−Cに示される中間調濃度重視モード現像電圧値調整量重み付け係数テーブル56の各濃度補正モードの重み付け係数テーブルについて説明する。通常モードでは、第1の実施形態と同様であり、現像電圧値制御量DB(A)は、各Duty30%,Duty70%,Duty100%の計算値の平均値とする。一方、ベタ濃度重視モード及び中間調重視モードにおいては、各Duty30%,Duty70%,Duty100%の計算値をそれぞれ重み付けし、平均値計算する。前述したように、現像電圧を変化させると現像されるトナー層厚を変化させることができ、主に高Duty印刷部分、特にベタ濃度を制御することができる。したがって、例えば、ベタ濃度重視モードでは、Duty100%の重み付けを大きくし、中間調重視モードではDuty30%,Duty70%の重み付けを大きくすればよい。
現像電圧値制御量DB(A)は、以下の式に基づいて求める。ここでは、シアン(C)の現像電圧値制御量CDB(A)の算出工程について説明する。なお、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M)の補正後目標印刷濃度の計算も同様に行うことができる。また、ステップS16において読取った濃度検出パターン1101のDuty30%,Duty70%,Duty100%の印刷濃度値のそれぞれをCODS30,CODS70,CODS100とし、濃度補正モードはベタ重視モードが指定されたものとする。
CDB(A)={(CODS30−COD’30)/△CDB30×CDBB30+(CODS70−COD’70)/△CDB70×CDBB70+(CODS100−COD’100)/△CDB100×CDBB100}/3・・・(9)
このようにして計算した各色の現像電圧値制御量DB(A)に基づいて、機構制御部35は、高圧制御部41に対して現像電圧を増減するよう指示を与える。指示を受けた高圧制御部41は、DB発生部43に対して、印刷動作時に現像電圧初期値DB0に現像電圧制御量DB(A)を加算した現像電圧値DB1[V]の電圧を印刷機構101,102,103,104が備える現像ローラ401,402,403,404等に印加するよう指示を与える(ステップS18)。
補正後現像電圧値DB1[V]=DB0+DB(A)・・・(10)
次に、機構制御部35は、第1の実施形態におけるステップS6と同様に、記憶手段3505が予め格納している濃度検出パターン1101の搬送ベルト18への印刷を実行する。そして、濃度検出パターン1101の印刷が終了すると、機構制御部35は濃度検出パターン1101の各Dutyの濃度検出を開始する。機構制御部35は、読取った出力電圧値を図7−Aに示される濃度センサ検出電圧―印刷濃度値変換テーブル49を利用して印刷濃度値に変換する(ステップS19)。
そして、機構制御部35は、ステップS19において読取った印刷濃度値とステップS14において計算した補正後目標印刷濃度データテーブル48のテーブル値とを比較してその差分を計算する。さらに、機構制御部35は、計算した差分から各色のLEDヘッド901,902,903,904の駆動時間をいくら増減すればよいのかを計算する。ここでの計算においては、図9−Aに示されるLED駆動時間調整量テーブル51と、ステップS16にて濃度補正制御部3503’が保持している現像電圧調整量重み付け係数テーブルを用いる。LED駆動時間調整量テーブル51については、第1の実施形態と同様である。ここで、図16−Dに示される通常モードLED駆動時間調整量重み付け係数テーブル57、図16−Eに示されるベタ濃度重視モードLED駆動時間調整量重み付け係数テーブル58、図16−Fに示される中間調濃度重視モードLED駆動時間調整量重み付け係数テーブル59の各濃度補正モードの重み付け係数テーブルについて説明する。通常モードでは、第1の実施形態と同様であり、LED駆動時間制御量DK(A)は、各Duty30%,Duty70%,Duty100%の計算値の平均値とする。一方、ベタ濃度重視モード及び中間調重視モードにおいては、各Duty30%,Duty70%,Duty100%の計算値をそれぞれ重み付けし、平均値計算する。前述したように、LED駆動時間を変化させると中Duty印刷部分の印刷濃度を低Duty印刷部分や高Duty印刷部分の印刷濃度に比べて大きく変化させることがき、主に中Duty印刷部分の濃度を制御することができる。
LED駆動時間制御量DK(A)は、以下の式に基づいて求める。ここでは、シアン(C)のLED駆動時間制御量CDK(A)の算出工程について説明する。なお、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M)の補正後目標印刷濃度の計算も同様に行うことができる。また、ステップS16において読取った濃度検出パターン1101のDuty30%,Duty70%,Duty100%の印刷濃度値のそれぞれをCOD’S30,COD’S70,COD’S100とし、濃度補正モードはベタ重視モードが指定されたものとする。
CDK(A)={(COD’S30−COD’30)/△CDK30×CDKB30+(COD’S70−COD’70)/△CDK70×CDKB70+(COD’S100−COD’100)/△CDK100×CDKB100}/3・・・(11)
ただし、Duty100%のLED駆動時間制御量が0の場合は、以下の式に基づいて求める。
CDK(A)={(COD’S30−COD’30)/△CDK30+(COD’S70−COD’70)/△CDK70+(COD’S100−COD’100)/△CDK100}/2・・・(12)
このようにして計算した各色のLED駆動時間制御量DK(A)に基づいて、機構制御部35は、LEDヘッドインタフェース部34に対してLEDヘッド901,902,903,904の駆動時間を増減するよう指示を与える。指示を受けたLEDヘッドインタフェース部34は、印刷動作時にLED駆動時間初期値DK0にLED駆動時間制御量DK(A)を加算したLED駆動時間DK1[s]の露光時間でLEDヘッド901,902,903,904を制御する(ステップS20)。
現像電圧値DK1[s]=DK0+DK(A)・・・(13)
ステップS21,S22に関しては、第1の実施形態の図11で説明したステップS10,S11と同様に行うことができるため、ここでの説明は省略する。
[実施例2]
実施例2では、第2の実施形態にかかる濃度補正処理の効果について印刷機構A及び印刷機構Bに対する濃度補正処理シミュレーションを用いて説明する。ここで、印刷機構Aは、第1の実施形態で説明したものであり、本シミュレーションにおける濃度補正処理には、実施例1と同様に、印刷機構Aのγ特性に基づいて決定した図10−Dに示される目標印刷濃度を用いた。また、本シミュレーションに用いる現像電圧値調整量テーブル(ここでは、現像電圧が10V変化するときの印刷濃度値の変化量とする)を図14−Aに、LED駆動時間調整量テーブル(ここでは、LED駆動時間が10%変化するときの印刷濃度値の変化量とする)を図14−Bに示す。
このときのシミュレーション結果を図18−Aに示す。詳細は実施例1と同様であるので割愛するが、印刷エンジン部の濃度補正処理(濃度補正処理<1>〜<4>)の結果を見ると、印刷機構Bのように印刷機構Aに対してγ特性にバラツキがあった場合、Duty100%の印刷印刷濃度値が目標印刷濃度から大きくずれてしまい、安定した高Duty印刷部分の濃度を得ることができないことが分かる。
一方、第2の実施形態にかかる濃度補正処理シミュレーションでは、目標印刷濃度,現像電圧値調整量テーブル,LED駆動時間調整量テーブルは、上記のシミュレーションと同じ設定とした。また、用いた濃度補正モードはベタ濃度重視モードであり、図18−Bに示されるベタ濃度重視モード現像電圧調整量重み付け係数テーブル、図18−Cに示されるベタ濃度重視モードLED駆動時間調整量重み付け係数テーブルをそれぞれ使用した。さらに、現像電圧値制御量DB(A)の計算は上述した式(9)を用い、LED駆動時間制御量DK(A)の計算は上述した式(11)を用いた。
このときのシミュレーションの結果を図18−Dに示す。図18−Dに示されるように、γ特性にバラツキがある場合においても、濃度補正モードに対応した重み付けを行うことにより、安定した高Duty印刷部分の印刷濃度を得ることができる。
以上のように、第2の実施形態によれば、現像電圧値制御量DB(A)、LED駆動時間制御量DK(A)を算出する際に、各Dutyに指定した濃度補正モードに対応した重み付けをすることにより、感光体やトナー等自体の製品品質の違いに起因してγ特性にバラツキがあった場合においても、安定した高Duty印刷部分の印刷濃度を得ることができる。
本発明の実施形態では、現像電圧及びLED駆動時間を濃度補正手段としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ドラム電位等を濃度補正手段として用いてもよい。また、本実施形態では、静電潜像を形成させる露光手段をLEDヘッドとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、レーザ光源等を露光手段として用いてもよい。さらにまた、本実施形態では、用紙搬送経路上流側からブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の順に印刷機構を設けた形態として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。多色トナーを有し、複数の印刷機構有する場合において、印刷機構の並び順は、例えばシアン(C)の印刷機構が用紙搬送経路上流に配設される形態としてもかまわない。また、本実施形態においては、印刷機構の数が4台のもについて説明したが、本発明は印刷機構の数に限定されるものではない。印刷機構を複数有する場合や、単色の印刷機構、例えばブラック(K)のみの印刷機構を有する画像形成装置に対しても本発明が適用可能であることは言うまでもない。
本発明の実施形態では、画像形成装置としてプリンタを一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複合機、ファクシミリ等の画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。