JP5285218B2 - 金属加工用潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
ところが、近年、環境問題から使用済みの塩素含有潤滑油の廃油を処理することが煩雑になり、かつ高コスト化してきたため、塩素を含まない、非塩素系金属加工油へ転換することが余儀なくされつつある。そのため、新たな、非塩素系金属加工油の開発が試みられている。
したがって、塩素系極圧剤を含まない非塩素系金属加工油であって、加工性が優れ、ステンレス鋼などの難加工材の加工においても、塩素系金属加工油に劣らぬ加工性能を有する非塩素系金属加工油の開発が必要とされている。
すなわち、本発明は、
(1)重量平均分子量が1000〜100万、
(2)下記の式(a)で表される立体規則性指標M2が50モル%以上、
M2(モル%) = (X/Y)×100 ・・・(a)
[式中、Xは、13C‐NMRスペクトルにおける36.2〜35.3ppmの間の吸収ピーク強度の積算値、Yは、36.2〜34.5ppmの間の吸収ピーク強度の積算値を示す。]
〔2〕α‐オレフィンの重合体の示差走査型熱量計を用いて測定した融点が20〜100℃である前記〔1〕に記載の金属加工用潤滑油組成物、
〔3〕α‐オレフィンの重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が、5.0以下である前記〔1〕又は〔2〕に記載の金属加工用潤滑油組成物、
〔4〕α‐オレフィンの重合体が、(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物、及び(B)(B−1)該(A)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(B−2)アルミノキサンから選ばれる少なくとも一種類の成分を含有する重合用触媒を用いて得られる重合体である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の金属加工用潤滑油組成物、
〔5〕α‐オレフィンの重合体の含有量が、組成物全量基準で、0.2〜30質量%である前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の金属加工用潤滑油組成物、
〔6〕さらに、極圧剤及び/又は油性剤を含有する前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の金属加工用潤滑油組成物、
〔7〕極圧剤が、硫黄系極圧剤及びリン系極圧剤から選ばれる一種以上の極圧剤であり、油性剤が、油脂類、脂肪酸類、アルコール類、及び脂肪酸エステル類から選ばれる一種以上である前記〔6〕に記載の金属加工用潤滑油組成物、及び
〔8〕難加工材の加工に用いる前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の金属加工用潤滑油組成物、
を提供するものである。
本発明の潤滑油組成物における基油としては、特に制限はないが、40℃における動粘度が、10〜1000mm2/s、好ましくは30〜500mm2/sの鉱油や合成油、及び100℃における動粘度が、10〜30000mm2/s、好ましくは50〜10000mm2/sのポリマーが好適に用いられる。
このうち鉱油としては、種々のものを挙げることができる。例えば、パラフィン基系原油,中間基系原油あるいはナフテン基系原油を常圧蒸留するか、あるいは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油、またはこれを常法にしたがって精製することによって得られる精製油、例えば、溶剤精製油,水添精製油,脱ロウ処理油,白土処理油等を挙げることができる。
さらにポリマーとしては、前記合成油として例示した化合物のポリマーであって、上記の100℃における動粘度を有するものを挙げることができ、ポリブテン,ポリイソブチレン、ポリプロピレン、エチレン‐α‐オレフィン共重合物等のポリオレフィン及びそれらの水素添加物、ポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
本発明の潤滑油組成物においては、基油として、前記鉱油を1種用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、合成油を1種用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに、ポリマーを1種用いてもよく、2種以上組み合わせてよい。またさらに鉱油、合成油及びポリマーのいずれかを1種以上とそれ以外のもの1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
(1)重量平均分子量が1000〜100万、
(2)下記の式(a)で表される立体規則性指標値M2が50モル%以上、
M2(モル%) = (X/Y)×100 ・・・(a)
[式中、Xは、13C‐NMRスペクトルにおける36.2〜35.3ppmの間の吸収ピーク強度の積算値、Yは、36.2〜34.5ppmの間の吸収ピーク強度の積算値を示す。]
このα‐オレフィンの重合体は、潤滑部分、すなわち加工部分に形成される潤滑膜の厚さを増大させ、若しくは潤滑膜の強度を強め、極圧性や耐摩耗性を高める効果を発揮する。
このような、α‐オレフィンの具体例としては、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン等が挙げられ、これらを単独で、又は2種以上を組合わせて用いることができる。
なお、上記α‐オレフィンの重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定したものである。
また、立体規則性指標値M2は、より好ましくは50〜90モル%、さらに好ましくは55〜85モル%、特に好ましくは55〜75モル%である。このように立体規則性を中程度に制御することにより、形成される潤滑膜の厚さや強度を維持し、同時に基油に対する溶解性を高める効果を得ることができる。
M2(モル%) = (X/Y)×100 ・・・(a)
[式中、Xは、13C‐NMRスペクトルにおける36.2〜35.3ppmの間の吸収ピーク強度の積算値、Yは、36.2〜34.5ppmの間の吸収ピーク強度の積算値を示す。]
によって求められる。
当該式(a)は、T.Asakura,M.Demura,Y.Nishiyamaにより報告された「Macromolecules,24,2334(1991)」で提案された方法に準拠するものであり、13CNMRスペクトルで側鎖α位のCH2炭素が立体規則性の違いを反映して分裂して観測されることを利用して、アイソタクティシティーを求めるものである。このM2の値が大きいほどアイソタクティシティーが高いことを示す。
なお、上記融点は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定した値であり、具体的には、以下の方法で測定したものである。
〔示差走査型熱量計による融点の測定方法〕
試料を窒素雰囲気下、−10℃で5分間保持した後、10℃/分で190℃まで昇温させ、190℃で5分保持する。次いで、−10℃まで、5℃/分で降温させ、−10℃で5分保持する。その後に、190℃まで10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから観測されるピークを融点(Tm)として測定した。
なお、この分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定したものである。
(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物、及び(B)(B−1)該(A)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(B−2)アルミノキサンから選ばれる少なくとも一種類の成分を含有する重合用触媒を用いて、炭素数10〜24のα‐オレフィンを重合させる方法である。
E1及びE2はそれぞれ、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基(−N<),ホスフィン基(−P<),炭化水素基〔>CR−,>C<〕及び珪素含有基〔>SiR−,>Si<〕(但し、Rは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基あるいはヘテロ原子含有基である)の中から選ばれた配位子を示し、A1及びA2を介して架橋構造を形成している。又、E1及びE2は互いに同一でも異なっていてもよい。このE1及びE2としては、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基及び置換インデニル基が好ましい。
Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E1,E2又はYと架橋していてもよい。
該Xの具体例としては、ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアミド基,炭素数1〜20の珪素含有基,炭素数1〜20のホスフィド基,炭素数1〜20のスルフィド基,炭素数1〜20のアシル基などが挙げられる。
A1及びA2は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−Se−、−NR1−、−PR1−、−P(O)R1−、−BR1−又は−AlR1−を示し、R1は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。
このような架橋基としては、例えば、一般式
で表されるものが挙げられ、その具体例としては、メチレン基,エチレン基,エチリデン基,プロピリデン基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,1,2−シクロヘキシレン基,ビニリデン基(CH2=C=),ジメチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基,ジメチルゲルミレン基,ジメチルスタニレン基,テトラメチルジシリレン基,ジフェニルジシリレン基などを挙げることができる。これらの中で、エチレン基,イソプロピリデン基及びジメチルシリレン基が好適である。
qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。
このような一般式(I)で表される遷移金属化合物の中では、一般式(II)
X1はσ結合性の配位子を示し、X1が複数ある場合、複数のX1は同じでも異なっていてもよく、他のX1又はY1と架橋していてもよい。このX1の具体例としては、一般式(I)のXの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。
Y1はルイス塩基を示し、Y1が複数ある場合、複数のY1は同じでも異なっていてもよく、他のY1又はX1と架橋していてもよい。このY1の具体例としては、一般式(I)のYの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。
R4〜R9はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基,珪素含有基又はヘテロ原子含有基を示すが、その少なくとも一つは水素原子でないことが必要である。又、R4〜R9は互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。中でも、R6とR7は環を形成していること及びR8とR9は環を形成していることが好ましい。
R4及びR5としては、酸素、ハロゲン、珪素等のヘテロ原子を含有する基が重合活性が高くなり好ましい。
この二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物は、配位子間の架橋基にケイ素を含むものが好ましい。
上記一般式(I)で表される遷移金属化合物の代表例としては、(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムクロライド、(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
(〔L1−R10〕k+)a(〔Z〕-)b ・・・(III)
(〔L2〕k+)a(〔Z〕-)b ・・・(IV)
(ただし、L2はM2、R11R12M3、R13 3C又はR14M3である。)〔(III),(IV)式中、L1はルイス塩基、〔Z〕-は、非配位性アニオン〔Z1〕-及び〔Z2〕-、ここで〔Z1〕-は複数の基が元素に結合したアニオン、即ち〔M1G1G2・・・Gf〕-(ここで、M1は周期律表第5〜15族元素、好ましくは周期律表第13〜15族元素を示す。G1〜Gfはそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜40のジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数7〜40のアルキルアリール基,炭素数7〜40のアリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基、又は炭素数2〜20のヘテロ原子含有炭化水素基を示す。G1〜Gfのうち2つ以上が環を形成していてもよい。fは〔(中心金属M1の原子価)+1〕の整数を示す。)、〔Z2〕-は、酸解離定数の逆数の対数(pKa)が−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合せの共役塩基、あるいは一般的に超強酸と定義される酸の共役塩基を示す。又、ルイス塩基が配位していてもよい。又、R10は水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R11及びR12はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R13は炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示す。R14はテトラフェニルポルフィリン,フタロシアニン等の大環状配位子を示す。kは〔L1−R10〕,〔L2〕のイオン価数で1〜3の整数、aは1以上の整数、b=(k×a)である。M2は、周期律表第1〜3、11〜13、17族元素を含むものであり、M3は、周期律表第7〜12族元素を示す。〕
で表されるものを好適に使用することができる。
R10の具体例としては水素,メチル基,エチル基,ベンジル基,トリチル基などを挙げることができ、R11,R12の具体例としては、シクロペンタジエニル基,メチルシクロペンタジエニル基,エチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基などを挙げることができる。
R13の具体例としては、フェニル基,p−トリル基,p−メトキシフェニル基などを挙げることができ、R14の具体例としてはテトラフェニルポルフィリン,フタロシアニン,アリル,メタリルなどを挙げることができる。
M2の具体例としては、Li,Na,K,Ag,Cu,Br,I,I3などを挙げることができ、M3の具体例としては、Mn,Fe,Co,Ni,Znなどを挙げることができる。
G1,G2〜Gfの具体例としては、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基など、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,n−ブトキシ基,フェノキシ基など、炭化水素基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,n−オクチル基,n−エイコシル基,フェニル基,p−トリル基,ベンジル基,4−t−ブチルフェニル基,3,5−ジメチルフェニル基など、ハロゲン原子としてフッ素,塩素,臭素,ヨウ素,ヘテロ原子含有炭化水素基としてp−フルオロフェニル基,3,5−ジフルオロフェニル基,ペンタクロロフェニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル基,ペンタフルオロフェニル基,3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基,ビス(トリメチルシリル)メチル基など、有機メタロイド基としてペンタメチルアンチモン基、トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン基,ジフェニル硼素などが挙げられる。
このような前記(A)成分の遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成するイオン性化合物、即ち(B−1)成分化合物の代表例としては, ,テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸メチル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニウムなどを挙げることができる。
このような(B−1)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、(B−2)成分のアルミノキサンとしては、一般式(V)
で示される鎖状アルミノキサン、及び一般式(VI)
で示される環状アルミノキサンを挙げることができる。
前記アルミノキサンの製造法としては、アルキルアルミニウムと水などの縮合剤とを接触させる方法が挙げられるが、その手段については特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。
このような(B−2)成分の代表例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどが挙げられる。
これらのアルミノキサンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
又、(B−2)化合物を用いた場合には、モル比で好ましくは1:1〜1:1000000、より好ましくは1:10〜1:10000の範囲が望ましい。又、触媒成分(B)としては(B−1),(B−2)を単独又は2種以上組み合わせて用いることもできる。
又、本発明のαオレフィンの重合体を製造する際の重合用触媒は、上記(A)成分及び(B)成分に加えて(C)成分として有機アルミニウム化合物を用いることができる。
R16 vAlJ3-v ・・・(VII)
〔式中、R16は炭素数1〜10のアルキル基、Jは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である〕
で示される化合物が用いられる。
前記一般式(VII)で示される化合物の代表例としては、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライドなどが挙げられる。
これらの有機アルミニウム化合物は1種単独で用いてもよく2種以上を組合せて用いてもよい。
該担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体及び有機担体のいずれも用いることができるが、特に無機酸化物担体あるいはそれ以外の無機担体が好ましい。
無機酸化物担体としては、具体的には、SiO2,Al2O3,MgO,ZrO2,TiO2,Fe2O3,B2O3,CaO,ZnO,BaO,ThO2やこれらの混合物、例えば、シリカアルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバーなどが挙げられる。これらの中では、特にSiO2,Al2O3が好ましい。
重合条件については、重合温度は通常−100〜250℃、好ましくは−50〜200℃、より好ましくは0〜130℃、反応原料に対する触媒の使用割合は、原料モノマー/上記(A)成分(モル比)が好ましくは1〜108、特に100〜105、重合時間は通常5分〜10時間、反応圧力は好ましくは常圧〜20MPa(gauge)、更に好ましくは常圧〜10MPa(gauge)である。
本発明に用いるαオレフィンの重合体の製造方法において、水素を添加すると重合活性が向上するので好ましい。水素を用いる場合は、通常、常圧〜5MPa(gauge)、好ましくは常圧〜3MPa(gauge)、更に好ましくは常圧〜2MPa(gauge)である。
これら極圧剤や油性剤を含有することにより、極圧性や耐摩耗性を一層高める効果が認められる。これは、炭素数10〜24のαオレフィンの重合体は、それ自体が、潤滑部分において潤滑膜の厚さを増加させるスペーサー的効果や潤滑膜の強度を高める働きを有するとともに、極圧剤や油性剤が形成している潤滑膜の強度をさらに強化するためと推定される。
該硫黄系極圧剤としては、例えば、硫黄粉末、ポリサルファイド、硫化油脂、硫化鉱油などが挙げられる。これらの中でも効果の点でポリサルファイドが好ましく、特に活性ポリサルファイドが好適である。
上記ポリサルファイドとしては、例えば、一般式(VIII)
R17−Sx−R18 (VIII)
(式中、R17及びR18は、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基又は炭素数7〜20のアリールアルキル基を示し、それらはお互いに同一でも異なってもよい。xは2〜10の整数で表される化合物である。)
で表されるジアルキルポリサルファイドが挙げられる。
R17及びR18の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
上記ポリサルファイドの中でも、鉱油(ISOVG 100)に5質量%添加した混合物が、銅板腐食試験(JISK―2513;100℃、1時間)で「3」又は「4」を示す活性型のもの、すなわち、活性ポリサルファイドがより好適なものである。
したがって、一般式(VIII)におけるxは3〜6、R17及びR18が、それぞれ炭素数12〜20のアルキル基であるものが好ましい。
また、硫化鉱油としては、鉱油に元素状硫黄を溶解させたものであり、通常硫黄分として0.1〜1質量%程度含有するものが使用される。
これらの硫黄系極圧剤の中でも、性能の点で、活性ポリサルファイドが好ましい。
また、硫黄系極圧剤がポリサルファイドである場合は、ポリサルファイドの配合量は3〜40質量%であるのが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
前記リン酸エステル類としては、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性亜リン酸エステルを包含する。これらは、いずれも炭素数4〜30、好ましくは炭素数4〜18のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数6〜30、好ましくは炭素数6〜18のアリール基、アルキルアリール基、若しくはアリールアルキル基から選ばれる基を有するものが好ましい。但し、炭素数4〜30のアルキル基もしくはアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。
亜リン酸エステルとしては、例えば、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホオスファイト、トリラウリルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリオレイルホスファイトなどが挙げられる。
酸性亜リン酸エステルとしては、例えば、ジブチルハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジステアリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイトなどが挙げられる。
また、リン酸エステル類には、上記リン酸エステル類の酸素原子の一部又は全部を硫黄原子に置換したチオリン酸エステルも含まれる。
これらリン系極圧剤の中でも、性能の点で、亜リン酸エステルまたはそのアミン塩、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)などが好ましい。
該油脂類としては、例えば、大豆油、アマニ油、菜種油、オリーブ油、パーム油などの植物油、牛脂、ラードなどの動物油が挙げられる。
脂肪酸類としては、例えば、前記油脂から得られるオレイン酸、リノール酸、リノレン酸などを含む、直鎖状又な分岐鎖を有する、飽和若しくは不飽和の炭素数12〜24、より好ましくは、炭素数12〜18の脂肪酸が挙げられる。
また、脂肪酸類には二塩基酸が含まれ、該二塩基酸としては、例えば、直鎖状又な分岐鎖を有する、飽和若しくは不飽和の炭素数8〜40、さらには炭素数10〜30の二塩基酸が挙げられる。
またアルコール類としては、例えば、炭素数8〜18の一価の脂肪族飽和若しくは不飽和アルコールを好ましく挙げることができる。このアルコールは直鎖状のものであってもよいし、分岐鎖状のものであってもよい。
さらに脂肪酸エステル類としては、例えば、前記脂肪酸類又は二塩基酸類とアルコール類とのエステル類が挙げられる。
これらの油性剤の中でも、性能の点で、油脂類(中でも植物油)や飽和若しくは不飽和の炭素数8〜40の二塩基酸が好ましい。
分散剤としては、例えば、ポリブテニルこはく酸(モノ、ビス)イミド、脂肪酸アミド、及びこれらのホウ素化物、及びベンジルアミンなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミンなどのアミン系、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール系、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]フェノール、ジラウリルチオジプロピオネートなどの硫黄系等が挙げられる。
防錆剤や腐蝕防止剤としては、例えばソルビタンエステル、中性アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属フェネート、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属サリチレート、チアジアゾール、ベンゾトリアゾールなどが、消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン、フルオロエーテルなどが挙げられる。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)などが挙げられる。
これらの添加剤の配合量は、目的に応じて適宜選択すればよいが、通常組成物全量基準で、30質量%以下になるように配合する。
まず、基油を、およそ60〜100℃に加熱し、α‐オレフィンの重合体を少量ずつ加え、均一になるまで攪拌する。次いで、当該攪拌混合物を流動性が確保できる温度、(通常およそ30〜100℃)に保って、残りの極圧剤、油性剤を加え、その後さらに酸化防止剤や消泡剤など所望の添加剤を混合する。全ての基材の混合をした後、およそ60〜80℃で15分〜1時間強攪拌して、目的の組成物を得る。
なお、諸特性は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)重量平均分子量、分子量分布
GPC法により、ポリスチレン換算の質量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定し、それらを用いて分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
<GPC測定装置>
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C
<測定条件等>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度:145℃
流速 :1.0ミリリットル/分
試料濃度:2.2mg/ミリリットル
注入量 :160マイクロリットル
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver,1.0)
<測定装置及び測定条件>
13C‐NMR測定装置:日本電子(株)製 EX−400
測定温度 :130℃
パルス幅 :45°
積算回数 :1000回
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
<立体規則性指標値M2の計算>
上記測定で得られたスペクトルでは、混合溶媒に基づく大きな吸収ピークが、127〜135ppmに6本見られる。このピークのうち、低磁場側から4本目のピーク値を131.1ppmとし、化学シフトの基準とする。このとき側鎖α位のCH2炭素に基づく吸収ピークが34〜37ppm付近に観測される。これらから、式(a)を用いてM2(モル%)を求めた。
(3)融点(Tm)
示差走査型熱量計(DSC)を用い、明細書に記載した方法で融点(Tm)を測定した。
(i)2−クロロジメチルシリルインデンの製造
窒素気流下、1リットルの三つ口フラスコにTHF(テトラヒドロフラン)50ミリリットルとマグネシウム2.5g(41ミリモル)を加え、ここに1,2−ジブロモエタン0.1ミリリットルを加えて30分間攪拌し、マグネシウムを活性化した。攪拌後、溶媒を抜き出し、新たにTHF50ミリリットルを添加した。
ここに2−ブロモインデン5.0g(25.6ミリモル)のTHF(200ミリリットル)溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、室温において2時間攪拌した後、−78℃に冷却し、ジクロロジメチルシラン3.1ミリリットル(25.6ミリモル)のTHF(100ミリリットル)溶液を1時間かけて滴下し、15時間攪拌した後、溶媒を留去した。
残渣をヘキサン200ミリリットルで抽出した後、溶媒を留去することにより、2−クロロジメチルシリルインデン6.6g(24.2ミリリモル)を得た(収率94%)。
(ii)〔(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)の製造〕
窒素気流下、1リットルの三つ口フラスコにTHF400ミリリットルと上記(i)で得られた2−クロロジメチルシリルインデン8gを加え、−78℃に冷却した。この溶液へ、LiN(SiMe3)2のTHF溶液(1.0モル/リットル)を38.5ミリリットル(38.5ミリモル)滴下した。
室温において15時間攪拌した後、溶媒を留去し、ヘキサン300ミリリットルで抽出した。溶媒を留去することにより、(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)を2.0g(6.4ミリモル)得た(収率33.4%)。
窒素気流下、200ミリリットルのシュレンク瓶にエーテル50ミリリットルと上記(ii)で得られた(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(インデン)3.5g(10.2ミリモル)を加えた。ここに−78℃でn−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.60M、12.8ミリリットル)を滴下した。
室温で8時間接触した後、溶媒を留去し、得られた固体を減圧乾燥することにより白色固体5.0gを得た。
この固体をTHF50ミリリットルに溶解させ、ここへヨードメチルトリメチルシラン1.4ミリリットルを室温で滴下した。
水10ミリリットルを加え、有機相をエーテル50ミリリットルで抽出した。有機相を乾燥し溶媒を留去した。ここへエーテル50ミリリットルを加え、−78℃でn−BuLiのヘキサン溶液(1.60M、12.4ミリリットル)を滴下した。室温に上げ3時間撹拌後、エーテルを留去した。得られた固体をヘキサン30ミリリットルで洗浄した後減圧乾燥した。
この白色固体5.11gをトルエン50ミリリットルに混濁させ、別のシュレンク中でトルエン10ミリリットルに懸濁した四塩化ジルコニウム2.0g(8.6mmol)を添加した。
室温で12時間撹拌後、溶媒を留去し、残渣をヘキサン50ミリリットルで洗浄した。
残渣をジクロロメタン30ミリリットルから再結晶化させることにより(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムクロライドの黄色微結晶1.2gを得た(収率25%)。
(iv)1−オクタデセン重合体の製造
加熱乾燥した1リットルオートクレーブに、ヘプタン200ミリリットル、1−オクタデセン200ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモル、メチルアルミノキサン1ミリモルを加え、更に水素0.03MPa導入した。
攪拌しながら温度を60℃にした後、上記(iii)で調整した(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)(インデニル)ジルコニウムジクロライドを1マイクロモル加え30分間重合した。
重合反応終了後、反応物を加熱、減圧下、乾燥することにより、1−オクタデセン重合体を25g得た。
以上のようにして、炭素数18のα‐オレフィンの重合体1を得た。この重合体1は、重量平均分子量は、30000、立体規則性指標値M2は、68.2モル%、融点は42℃、分子量分布(Mw/Mn)は1.80であった。
重合原料として1−オクタデセンに換えて、炭素数20〜24のα‐オレフィン混合物を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、炭素数20〜24のα‐オレフィンの重合体2を得た。この重合体は、この重合体2の重量平均分子量は、98000、立体規則性指標値M2は、62.4モル%、融点は52℃、分子量分布(Mw/Mn)は4.1であった。
40℃の動粘度が37mm2/sの市販塩素系絞り油(出光興産製「ダフニー・マスタードロー612L」)を用い、以下の条件で円筒絞り実験を実施した。
〈円筒絞り実験の実験条件〉
試験機 :Tトーシ製深絞り試験機
板材質 :US304 (φ70mm、厚さ0.8mm)
ポンチ :KD11(φ32.0mm、肩R5mm)
ダイス :KD11(φ34.8mm、肩R5mm)
シワ押え力:0.4t
絞り深さ :20mm
絞り速度 :10mm/s
加工数 :20枚
評価項目 :ポンチ荷重
〈実験結果〉
20枚の板を加工したが、ポンチ荷重は2.6tfで安定しており、試験片および工具に摩耗、キズの発生が無く、優れた加工性を示した。
〔比較例−2〕
40℃の動粘度が78mm2/sの市販硫黄系金属加工油(非塩素系、イオウ含有量2.6質量%)を用い、比較例1と同様の条件で円筒絞り実験を行った。
〈実験結果〉
20枚の板を加工したが、ポンチ荷重は2.5tfから徐々に上昇し、最終的に2.84tfに達した。また、開始直後から試験片に縦キズが発生し、最終的に無数の大小の縦キズが観察された。加工性が不足し、ダイスにかじりが観察された。
〔比較例−3〕
40℃の動粘度が101mm2/sのナフテン系鉱油40質量%、活性硫黄系ポリサルファイド(大日本インキ製「ダイルーブS940」)20質量%、ナタネ油28質量%、リン系化合物(ジオレイルハイドロジェンフォスファイト、Vanderbilt社製「VANLUBE 672」)10質量%、パラフィンワックス(日本精鑞製「パラフィンワックス」)2質量%を混合し、40℃の動粘度が78mm2/sの油剤を調整した。この調整油剤を比較例1と同様の条件で円筒絞り実験を行った。
〈実験結果〉
ポンチ荷重は2.55tfで安定していたものの、開始直後から試験片に細かい縦キズが観察された。また、僅かではあるが、ダイスにかじり痕が観察された。
40℃の動粘度が101mm2/sのナフテン系鉱油40質量%、活性硫黄系ポリサルファイド(大日本インキ製「ダイルーブS940」)20質量%、ナタネ油28質量%、リン系化合物(ジオレイルハイドロジェンフォスファイト、Vanderbilt社製「VANLUBE 672」)10質量%、製造例1で得られた重合体1を2質量%を混合し、40℃の動粘度が74mm2/sの油剤を調整した。この調製油剤を比較例1と同様の条件で円筒絞り実験を行った。
〈実験結果〉
ポンチ荷重は初期に2.52tfであったが、徐々に5枚目までに低下し、2.48tfで一定となった。試験片および工具に摩耗、キズの発生が無く、塩素系と同等の優れた加工性を示した。
〔比較例−4〕
40℃の動粘度が56mm2/sの市販塩素系油剤(塩素含有量27質量%)を用い、以下に示すブローチ加工油の擬似的な評価方法である断続切削実施を行った。この評価方法はファインブランキング等の打抜き加工における金型摩耗と高い相関が有り、切削抵抗として送り分力の変化(工具磨耗により増加)を比較することにより油剤の性能を予測することができる。
〈断続切削実験条件〉
ワーク :S45C,φ81mm,8スリット
工具 :SKH51
切削速度v:50m/min(200rpm)
切込みt :1mm,送りf=1μm/rev
切削長L :5mm×5回繰り返し
合計パス回数:5mm×5回×8スリット÷0.001mm=20万ショット相当
〈実験結果〉
初期の切削抵抗(送り分力)60Nから切削距離の増加により最終的に240Nまで増加した。また、切削面は10万ショット相当より後半で著しい荒れを示していた。
40℃の動粘度が101mm2/sのナフテン系鉱油30質量%、40℃の動粘度が399mm2/sのナフテン系鉱油10質量%、活性硫黄系ポリサルファイド(大日本インキ製「ダイルーブS940」)15質量%、ナタネ油38質量%、パーム油2質量%、製造例1で得られた重合体1を2質量%、ジンクジチオフォスフェート(OLONITE製、「OLOA 260」)3質量%、を混合し、40℃の動粘度が96mm2/sの油剤を調整した。この調製油剤を比較例−4と同様に断続切削試験を実施した。
〈実験結果〉
送り分力が80N〜160Nまで増加するものの、比較例4の市販塩素系油剤に比較して十分に切削抵抗(送り分力)の変化が小さく、また、切削面も光沢があり、粗さが小さかった。
〔比較例−5〕
市販塩素系油剤(40℃動粘度16000mm2/s)を用い、以下の条件で平板引抜き試験を実施した。
〈平板引抜き実験条件〉
試験機 :インストロン試験機
減面率 :20.4%
摺動速 :200mm/s
試験温度 :24℃
引抜き距離 :150mm
試験片(板):SUS304(10mmx300mmx4mm)
ポンチ :WC(2.0R)
評価項目 :平均引抜き抵抗を比較
〈実験結果〉
かじりやキズの発生がなく、引抜き抵抗が1400kgfで安定した引抜き加工が可能であった。
100℃の動粘度が4300mm2/sのポリブテン45質量%(出光興産製2000H)、活性硫黄系ポリサルファイド(大日本インキ製ダイルーブS940)20質量%、ナタネ油24質量%、パーム油5質量%、炭素数22の二塩基酸(8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエンニ酸、岡村製油製 IPU−22)3質量%、粘度指数向上剤(ポリメタクリレート、三洋化成工業製、「アクルーブ915」)3質量%を混合し、40℃の動粘度が7400mm2/sの引抜き専用油剤を調整した。この調製油剤を比較例−5と同様に平板引抜き実験を行った。
〈実験結果〉
初期の引抜き抵抗は1180kgfと比較例―5の市販塩素系油剤と比較して低かったものの、加工に伴い引抜き抵抗が増加し、最終的に2670kgfを超え、破断した。引抜き面には著しい板掘起し型のかじりが見られた。
〔実施例−3〕
100℃の動粘度が4300mm2/sのポリブテン45質量%(出光興産製「2000H」)、活性硫黄系ポリサルファイド(大日本インキ製ダイルーブS940)20質量%、ナタネ油22質量%、パーム油5質量%、製造例2で得られた重合体2を2質量%、炭素数22の二塩基酸(8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエンニ酸、岡村製油製 IPU−22)3質量%、粘度指数向上剤(ポリメタクリレート、三洋化成工業製、「アクルーブ915」)3質量%を混合し、40℃の動粘度が7400mm2/sの引抜き専用油剤を調整した。この調製油剤を比較例−5と同様に平板引抜き試験した。
〈実験結果〉
比較例−5の市販塩素系油剤と比較して、かじりやキズの発生もなく、引抜き抵抗も1150kgfで加工が可能であった。
100℃の動粘度が4300mm2/sのポリブテン42質量%(出光興産製2000H)、活性硫黄系ポリサルファイド(大日本インキ製ダイルーブS940)20質量%、ナタネ油22質量%、パーム油5質量%、製造例2で得られた重合体2を)5質量%、炭素数22の二塩基酸(8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエンニ酸、岡村製油製 IPU−22)3質量%、粘度指数向上剤(ポリメタクリレート、三洋化成工業社製、「アクルーブ915」)3質量%を混合し、40℃の動粘度が13200mm2/sの引抜き専用油剤を調整した。この調製油剤を比較例−5と同様に平板引抜き実験を行った。
〈実験結果〉
比較例−5の市販塩素系油剤と比較して、かじりやキズの発生もなく、引抜き抵抗も1210kgfで加工が可能であった。
〔実施例−5〕
100℃の動粘度が4300mm2/sのポリブテン40質量%(出光興産製2000H)、活性硫黄系ポリサルファイド(大日本インキ製ダイルーブS940)17質量%、ナタネ油22質量%、パーム油5質量%、製造例2で得られた重合体2を10質量%、炭素数22の二塩基酸(岡村製油製 IPU−22)3質量%、粘度指数向上剤(ポリメタクリレート、三洋化成工業社製、「アクルーブ915」)3質量%を混合し、40℃の動粘度が26400mm2/sの引抜き専用油剤を調整した。この調製油剤を比較例−5と同様に平板引抜き実験を行った。
〈実験結果〉
比較例―5の市販塩素系油剤と比較して、かじりやキズの発生もなく、引抜き抵抗も1290kgfで加工が可能であった。
〔実施例−6〕
40℃の動粘度が37500mm2/sのポリオレフィン40質量%(三井化学製ルーカントHC−2000)、活性硫黄系ポリサルファイド(大日本インキ製ダイルーブS940)17質量%、ナタネ油22質量%、パーム油5質量%、製造例2で得られた重合体2を10質量%、炭素数22の二塩基酸(8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエンニ酸、岡村製油製 IPU−22)3質量%、粘度指数向上剤(ポリメタクリレート、三洋化成工業社製、「アクルーブ915」)3質量%を混合し、40℃の動粘度が12100mm2/sの引抜き専用油剤を調整した。この調製油剤を比較例−5と同様に平板引抜き試験した。
〈実験結果〉
比較例―5の市販塩素系油剤と比較して、かじりやキズの発生もなく、引抜き抵抗も1140kgfで加工が可能であった。
100℃の動粘度が4300mm2/sのポリブテン40質量%(出光興産製2000H)、活性硫黄系ポリサルファイド(大日本インキ製ダイルーブS940)17質量%、ナタネ油22質量%、パーム油5質量%、製造例2で得られた重合体2を10質量%、炭素数22の二塩基酸(8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエンニ酸、岡村製油製「IPU−22」)3質量%、粘度指数向上剤(ポリメタクリレート、三洋化成工業社製、「アクルーブ915」)3質量%を混合し、40℃の動粘度が26400mm2/sの引抜き専用油剤を調整した。この調製油剤を比較例−5と同様の条件で板材料をアルミ材A3003に変更し、平板引抜き実験を行った。
〈実験結果〉
比較例―5の市販塩素系油剤と比較して、かじりやキズの発生もなく、引抜き抵抗も570kgfで、ほぼ鏡面に近い加工が可能であった。
〔実施例−8〕
100℃の動粘度が4300mm2/sのポリブテン25質量%(出光興産製「2000H」)、活性硫黄系ポリサルファイド(大日本インキ製「ダイルーブS940」)20質量%、オリーブ油37質量%、パーム油10質量%、製造例2で得られた重合体2を2質量%、炭素数22の二塩基酸(8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエンニ酸、岡村製油製「IPU−22」)3質量%、粘度指数向上剤(ポリメタクリレート、三洋化成工業社製、「アクルーブ915」)3質量%を混合し、40℃の動粘度が840mm2/sの引抜き専用油剤を調整した。この調製油剤を比較例−5と同様の条件で板材料をインコネル600に変更し、平板引抜き試験を実施した。
〈実験結果〉
かじりやキズの発生もなく、引抜き抵抗も960kgf(比較例―5の市販塩素系油剤:1180kgf)で加工が可能であった。
100℃の動粘度が4300mm2/sのポリブテン57質量%(出光興産製2000H)、リン系極圧剤(Vanderbilt製「VANLUBE 627」)8質量%、ナタネ油25質量%、パーム油5質量%、製造例2で得られた重合体2を2質量%、粘度指数向上剤(ポリメタクリレート、三洋化成工業社製、「アクルーブ915」)3質量%を混合し、40℃の動粘度が9600mm2/sの引抜き専用油剤を調整した。この調製油剤を比較例−5と同様に平板引抜き実験を行った。
〈実験結果〉
比較例―5の市販塩素系油剤と比較して、かじりやキズの発生もなく、引抜き抵抗も1230kgfで加工が可能であった。
〔比較例−7〕
比較例−2で使用した市販硫黄系金属加工油を用い、以下の条件で冷間鍛造の実験を実施した。
〈冷間鍛造実験条件〉
試験機 :SAKAMURA NP−450H
段数 :4段打
加工速度 :150個/分
テストピース:6角フランジナット製造用S−45C(φ19mm×9.5×10mm)
パンチ及びダイス材質:SKH、SKD
〈実験結果〉
比較例−2の市販硫黄系金属加工油が3万個で工具摩耗が著しく観察され、金型交換を余儀なくされた。
〔実施例−10〕
実施例−2で使用した油剤を用い、比較例−6と同様の条件で冷間鍛造の試験を実施した。
〈実験結果〉
比較例−2の市販硫黄系金属加工油が3万個で工具摩耗が著しく観察され、金型交換を余儀なくされたのに対し、本油剤では10万5千個の加工が可能であった。
Claims (7)
- 基油に、下記の(1)〜(3)の条件を満たす炭素数10〜24のα‐オレフィンの重合体を含有することを特徴とする金属加工用潤滑油組成物。
(1)重量平均分子量が1000〜100万、
(2)下記の式(a)で表される立体規則性指標M2が55〜75モル%、
M2(モル%) = (X/Y)×100 ・・・(a)
[式中、Xは、13C‐NMRスペクトルにおける36.2〜35.3ppmの間の吸収ピーク強度の積算値、Yは、36.2〜34.5ppmの間の吸収ピーク強度の積算値を示す。]
(3)示差走査型熱量計を用いて測定した融点が、20〜100℃ - α‐オレフィンの重合体の含有量が、組成物全量基準で、0.5〜30質量%である請求項1に記載の金属加工用潤滑油組成物。
- α‐オレフィンの重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が、5.0以下である請求項1又は2に記載の金属加工用潤滑油組成物。
- α‐オレフィンの重合体が、(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物、及び(B)(B−1)該(A)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(B−2)アルミノキサンから選ばれる少なくとも一種類の成分を含有する重合用触媒を用いて得られる重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の金属加工用潤滑油組成物。
- さらに、極圧剤及び/又は油性剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の金属加工用潤滑油組成物。
- 極圧剤が、硫黄系極圧剤及びリン系極圧剤から選ばれる一種以上の化合物であり、油性剤が、油脂類、脂肪酸類、アルコール類、及び脂肪酸エステル類から選ばれる一種以上の化合物である請求項5に記載の金属加工用潤滑油組成物。
- 難加工材の加工に用いる請求項1〜6のいずれかに記載の金属加工用潤滑油組成物。
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