本発明者らは、特定の表面形状を有するトナー搬送担持体と、特定の粒径を有するトナーの存在比率を制御したトナーを組み合わせることで、上記の目的を達成し得ることを見出した。
すなわち本発明は、潜像担持体上に形成された静電荷潜像を、トナー担持体上に担持されるトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程を少なくとも有する画像形成方法において、
該トナー担持体は、内側に固定マグネット、外側に回転可能なトナー搬送担持体で構成され、該トナー搬送担持体の表面粗さ面積を二分する平均値に対して、最大谷深さをRv、最大高さをRmaxとしたとき、Rmaxが4μm以上10μm以下であり、山と山との平均間隔Smが30μm以上60μm以下であり、下記式(1)で表される形状係数(K)が0.12以上0.46以下であるトナー担持体であり、
K=Rv/Rmax・・・(1)
該トナーが、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであり、
該トナー粒子は、重量平均径(D4)が4.0乃至15.0μmであり、
該トナー粒子は、画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.19μm×0.19μm)のフロー式粒子像測定装置によって計測された円相当径0.25μm以上1.98μm以下の粒子の割合が、0個数%以上15.0個数%以下であることを特徴とする画像形成方法に関する。
まず本発明者等は、トナー搬送担持体の表面形状と、トナー物性との関係に着目し検討を進めた。
トナー搬送担持体は、像担持体表面に任意に帯電したトナーを確実に搬送するために表面粗さプロファイルを持つ。トナー搬送担持体表面の粗さは、トナーを送る搬送性と、トナーと接触しトナーに電荷を付与する帯電付与性をもつ。このように、トナー搬送担持体表面の粗さプロファイルは、電子写真を司る諸特性に大きく影響する。
例えば、表面粗さが低い場合、トナーの搬送性は低下し、帯電量は増加する傾向にある。逆に表面粗さが高い場合は、トナーの搬送性が増加し、帯電量は低下する傾向にある。
またある程度の表面粗さを有するトナー搬送担持体は、その粗面化された表面の凹凸の谷にトナー等が引っかかり、トナーが付着し易いという問題がある。
この谷に付着したトナーは、長期間の使用で、トナー搬送担持体表面の汚染やコート不良を誘発する。
トナー搬送担持体へのトナー等の付着を防ぐために、様々な手法が取り入れられている。例えば、トナー搬送担持体表面に付着した物質を機械的に除去する方式、バイアスを印加して、付着物を剥ぎ取る方式、トナー搬送担持体自体を軟らかい樹脂で構成し、耐久で表面を磨耗する方式などがある。しかしながら、トナー搬送担持体自体の寿命の低下や、バイアスでは完全に剥ぎ取れないこと、トナー搬送担持体表面を削ると表面粗さが変化し、初期と耐久後でトナー搬送力、帯電付与性などが変化し画像不良が生じるなどの欠点がある。
そこで本発明者等は、トナー搬送担持体の表面形状に着目し、トナーコート性、トナー搬送性、及び汚染レベルとの関係を検討した。
まず、トナー搬送担持体表面粗さについて図1に名称と記号を示す(JISb0601−1982、1994、ISO468−1982Surface roughness参照)。Rzは10点平均粗さであり、一定幅における高いポイント5点と低いポイント5点の平均値を表す。一般的に、表面粗さの指標として用いられている。また、Smは、山と山の平均間隔を、Δaは山の傾斜角度θaのTanを示す。Rmaxは、高いポイントと低いポイントの高さを示す。
本発明者等は、上記表面粗さ以外に、谷高さRp、谷深さRv、Rmaxからなる形状係数Kに注目しトナー搬送担持体へのトナー付着を防止する方法を提案している。
すなわち本発明は、トナー担持体が、内側に固定マグネット、外側に回転可能なトナー搬送担持体で構成され、該トナー搬送担持体の表面粗さ面積を二分する平均値に対して、最大谷深さをRv、最大高さをRmaxとしたとき、下記式(1)で表される形状係数(K)が0.12以上0.50以下であることを特徴とする。
K=Rv/Rmax・・・(1)
Rmaxは、表面粗さの平均線から山の頂上までの高さRpと、表面粗さの平均線から谷の底までの高さRvとの和で表される。つまりRmax=Rp+Rvであり山の高さを表す。
上記に述べたとおり、トナー搬送担持体へのトナー付着はトナー搬送担持体の凸凹の凹部で主に発生する。くぼみに捕われ易い微粒子が付着し核となり、周囲に他のトナーやトナー構成原料が付着、成長することでトナー搬送担持体汚染が発生する。つまり、くぼみをなくせば、付着することはない。くぼみは、表面粗さの谷の部分にあるため、谷の粗さを極力おさえる、すなわちRvを下げることで、トナー搬送担持体汚染が解決できる。
一方でトナー搬送力を安定的にさせるため、山の高さRmaxは一定範囲が必要となる。
本発明者等は上記の思想により、鋭意検討を行い、トナー搬送力は安定で且つ、トナー付着(汚染、融着)を防ぐことが可能となる形状係数K値の最適範囲として、0.12以上0.50以下を導き出した。
更に本発明者等は、上記に示した特定の形状係数K値を有するトナー搬送担持体に、特定の粒度分布を有するトナーを用いることで、更なる高耐久性が得られることを見出した。
すなわち、本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子を含有するトナーであり、該トナー粒子は、画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.19μm×0.19μm)のフロー式粒子像測定装置によって計測された円相当径0.25μm以上1.98μm以下のトナー粒子が、0個数%以上15.0個数%以下であることを特徴とするトナーである。
円相当径0.25μm以上1.98μm以下のトナー粒子は、所謂微粒子トナーと称される。これら微粒子トナーは過度に高い帯電性を有する為、トナー搬送担持体の凸凹の凹部に付着し易い。更に、一度付着が生じると、トナー搬送担持体との鏡映力が強いため、除去が困難である。そのため、トナー搬送担持体の凹部において核となり易く、周囲に他の物質が付着、成長することでトナー搬送担持体汚染を誘起し易い。
このような微粒子トナーの比率を15.0個数%以下にすることで、トナー搬送担持体へのトナー付着を軽減することが可能となる。
更に、本発明者等は、円相当径0.25μm以上1.98μm以下のトナー粒子を0個数%以上15.0個数%以下含有するトナーを、上記形状係数K値を有するトナー搬送担持体に用いることで、トナー搬送担持体上のトナー穂立ちが、耐久後においても均一な状態を保つことを見出した。その結果、長期に渡るプリントにおいてもトナー搬送担持体表面を汚染することなく、良好なトナーコート層を形成し、且つ耐久前後で画像濃度変動の少ないトナー及び画像形成方法が得られる。
トナー搬送担持体の形状係数K値が0.12より小さい場合、トナーの搬送力が弱くなり過ぎるため、コート層が形成されず好ましくない。一方、K値が0.50より大きい場合、トナー付着のレベルが悪化するため好ましくない。また、本発明の範囲を外れると、何れも耐久後のトナー穂立ちの均一性が悪化し、コート不良や、画像濃度の低下が生じる。一方、画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.19μm×0.19μm)のフロー式粒子像測定装置によって計測された円相当径0.25μm以上1.98μm以下のトナー粒子が、15.0個数%より多い場合、トナー付着レベルの悪化、及び耐久によりトナー穂立ち性の均一性が悪化するため好ましくない。
本発明の効果が得られる要因としては以下のことが考えられる。まず、トナー搬送担持体の形状係数K値を最適範囲である0.12以上0.50以下に制御することで、トナー付着の低減及び、搬送性、トナーコート性が安定化するため、トナー穂立ちが乱れ難くなると予想される。併せてトナー穂立ちの不均一化を誘発する微粒子トナーの存在比率を低減させることで、更なるトナー穂立ちの安定化が得られると予想される。その結果、軽印刷の如き、高速、高耐久の条件においてもトナー穂立ちは均一な状態を保つ。その結果良好なトナーコート層を形成し、且つ耐久前後で画像濃度変動の少ない性能が得られると考えられる。
上記に示した通り、本発明は、特定の形状係数K値を有するトナー搬送担持体と、特定の粒度分布を有するトナーを組み合わせることで、軽印刷の如き用途においても安定的な性能を発現させたことが最大の特徴となる。
トナー搬送担持体が本発明の条件を満たし、逆にトナーが本発明の条件を満たしていない場合、若しくはその逆の場合は、長期の耐久性を満足し得ないため好ましくない。
本発明の特徴の一つである、特定の形状係数K値を有するトナー搬送担持体を形成するためには様々な材料が用いられている。トナー搬送担持体の表面をサンドペーパーで擦るサンドペーパー法、球形粒子によるビーズブラスト法、不定形粒子によるサンドブラスト法、或いは、これらの混合法、更には、化学処理による化学エッチング法等が提案され、実施されている。
トナー搬送担持体の材質では、アルミニウム、SUSなどがあり、直接、トナー搬送担持体自体を研摩し、表面粗さをつける場合がある。また、トナー搬送担持体表面に、ガラスビーズ等を一定の砥出口から圧力をかけ、トナー搬送担持体を回転しながら塗布する処理もある。材料には、アランダム系、モランダム系、ホワイトモランダム系など、砥粒の形状の円形度が高い材質や、鋭い形状を持つものなど、様々である。また、各砥粒は、粒径があり0.1μmから10μmまで用途に応じて使われている。
また、本発明に用いられるトナー搬送担持体は、その表層に金属メッキを施すことが好ましい。トナー搬送担持体基材の材料としては、一般的にSUSやアルミニウム等が用いられているが、本発明のトナー搬送担持体基材の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、又は銅合金が好ましい。これらは非磁性であるため、例えば磁性トナーを用いた現像方式に適している。また、ビッカース硬度Hvが40以上180以下程度と比較的軟らかい金属であるため、粗面化処理等の加工を施しやすい。また熱伝導係数が150W/m・K以上と高く、熱が蓄積しにくいため、例えば潜像担持体ヒーターを具備したa−Si潜像担持体を用いた場合においても、トナー搬送担持体の熱膨張に対する寸法精度を維持する上で好適である。
この場合、問題となる点として、これら材質の持つ「軟らかさ」に起因するトナー搬送担持体表面層の摩耗、及び、それに伴うトナー搬送性能の劣化が挙げられ、この対策のためにも、本発明に用いられるトナー搬送担持体には、金属メッキの施工が有効である。特に着色剤として磁性酸化鉄粒子を用いる磁性トナーにおいては、場合によってはトナー搬送担持体表面層に対して研磨効果を発現することがあり、この点でも金属メッキを施す意義は大きい。
本発明で用いられるトナー搬送担持体の表面への金属メッキとしては、高耐久性の面から、ビッカース硬度Hvが200以上であることが好ましく、更には450以上であることが好ましい。トナー搬送担持体表面のビッカース硬度Hvについては、前記トナー搬送担持体の一般的な材料であるSUS316がHv≒200程度であることから、これを下回ることは、実用上好ましくない。また、磁性トナーを用いた現像方式に適用する場合、金属メッキ層自体が非磁性であることが望ましい。この様な観点から、Hvが450以上であるNi−Pメッキ、Ni−Bメッキ等が好適に使用される。
上記ニッケル(Ni)は、単体では強磁性体であるが、例えばリン(P)やホウ素(B)と結合することにより非晶質となり非磁性化することが知られている。Ni−Pメッキの場合、リン含有量は5以上15質量%以下が好ましく、Ni−Bメッキ被覆中のホウ素含有量は2以上8質量%以下が好ましい。
更に、CrメッキはHvが600以上と高く、このため非常に耐摩耗性に優れ、メッキ層厚を薄く抑制できることから、強磁性体であるものの磁気遮蔽の弊害を無視できる範囲にメッキ層厚を抑制することで、特に好ましく用いられる。
尚、金属メッキ層は、無電解メッキ法及び電気メッキ法等の何れの方法で形成しても良いが、無電解メッキがより好ましく用いることができる。これは、一般に電気メッキは凹凸粗面とした表面に対しては、電解の集中する凸部に優先的に付着するため、凸部のみメッキが付着しやすくメッキ層が厚くなるため、均一なメッキ層が形成されにくく、表面粗さがメッキの前後で若干変化する恐れがある。一方、無電解メッキは、化学メッキのために凸部粗面に関わらず均一に精度よくメッキ層を形成できる。また、メッキ前後の表面形状の変化が少ない。
金属メッキ層厚については、実使用上での摩耗量との兼ね合いにより決定すれば良いが、0.5μm以上であることが好ましい。金属メッキ層厚が0.5μm未満の場合は、安定したメッキ層を形成することが困難となることがあるため好ましくない。
本発明では、トナー搬送担持体表面の形状係数K値を0.12以上0.50以下に制御することが重要である。上記K値の範囲に制御するのに、トナー搬送担持体の金属メッキ層を形成した後にトナー搬送担持体の表面の粗面化処理を施すことも可能である。しかし、メッキ層自体の剥離やブラスト砥粒の付着の可能性の点から、予めトナー搬送担持体基材表面に粗面化処理を施し、最終的にメッキ後の形状係数K値が0.12以上0.50以下になるよう表面粗さを調整しておくことが好ましい。
本発明において、トナー搬送担持体表面形状の測定には、接触式表面粗さ計サーフコーダーSE3300(小坂研究所製)を用いることができる。この場合の測定条件は、カットオフ値が0.8mm、測定長さが2.5mm、送りスピードが0.1mm/秒、倍率が5000倍である。
また本発明の画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.19μm×0.19μm)のフロー式粒子像測定装置によって計測された円相当径0.25μm以上1.98μm以下のトナー粒子の個数%は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定した。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.06g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、高倍率撮像ユニット(対物レンズ(20倍))を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径0.25μm以上、39.54μm未満の全粒子個数をカウントする。その後、0.25μm以上1.977μm以下の粒子個数をカウントし、下式により0.25μm以上1.977(四捨五入して1.98μm)以下の粒子個数%を算出した。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5100A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径0.25μm以上、39.54μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
また、本発明のトナー粒子は、画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.19μm×0.19μm)のフロー式粒子像測定装置によって計測された円相当径0.25μm以上1.98μm以下のトナー粒子が、0個数%以上10.0個数%以下であることが好ましい。上記範囲内であれば、前述した性能に関して、耐久安定性がより高まる。
また、本発明のトナー粒子は、重量平均径(D4)が4.0μm乃至15.0μmであり、且つBET比表面積が0.80m2/g以上2.00m2/g以下であることが好ましい。トナー粒子の重量平均径及び、BET比表面積が上記範囲内にあると、トナー搬送担持体との摩擦頻度適正化され、環境に依存せず安定なトナーコート層が得られる。
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
BET比表面積の測定は、脱ガス装置バキュプレップ061(マイクロメソティック社製)、BET測定装置ジェミニ2375(マイクロメソティック社製)等公知の装置を用いて行う。本発明におけるBET比表面積は、多点法BET比表面積の値である。具体的には、以下のような手順で行う。
空のサンプルセルの質量を測定した後、測定試料を例えば2g充填する。さらに、脱ガス装置に、試料が充填されたサンプルセルをセットし、室温で3時間脱ガスを行う。脱ガス終了後、サンプルセル全体の質量を測定し、空サンプルセルとの差から試料の正確な質量を算出する。次に、BET測定装置のバランスポートおよび分析ポートに空のサンプルセルをセットする。所定の位置に液体窒素の入ったデュワー瓶をセットし、飽和蒸気圧(P0)測定コマンドにより、P0を測定する。P0測定終了後、分析ポートに脱ガス調製されたサンプルセルをセットし、サンプル質量およびP0を入力後、BET測定コマンドにより測定を開始する。後は自動でBET比表面積が算出される。
また、本発明におけるトナーの着色剤は磁性酸化鉄粒子であることが好ましい。磁性トナーによる、磁性一成分現像方式は、内部にマグネットロール等の磁界発生手段を設けたトナー担持体を用いて磁性トナーを保持し、現像するものであって、トナーの搬送制御が容易であること、複写機、プリンター等の内部汚染が少ない。また、キャリアが存在する二成分現像の方式に比較して、交換のメンテナンス性を省くことができ、更に、トナーとキャリアの比率を検知ならびに補正する手段も省くことが可能である。その為、軽印刷の如き長期に渡る安定性と、メンテナンスフリーが求められる用途においては好ましく用いられる。
また、本発明の磁性酸化鉄粒子は、Fe元素溶解率が10質量%となるまでに溶解された総Fe量に占めるFe(2+)の割合Xが34%以上50%以下が好ましく、より好ましくは35%以上44%以下である。
Fe元素溶解率とは磁性酸化鉄粒子の位置情報を表す指標である。すなわち、Fe元素溶解率において、0質量%の状態とは、磁性酸化鉄粒子が全く溶解されていない状態のことであり、Fe元素溶解率が100質量%の状態とは、磁性酸化鉄粒子が完全に溶解された状態のことである。即ち、Fe元素溶解率100質量%の時点が意味する位置情報としては、中心を意味することとなる。つまり、Fe元素溶解率が10質量%となるまでに溶解された総Fe量とは、磁性酸化鉄粒子の表面から10質量%の範囲に存在する総Fe量を意味する。そして、割合Xとは、その総Fe量に占めるFe(2+)の割合である。
Fe元素溶解率が10質量%となるまでに溶解された総Fe量に占めるFe(2+)の割合Xが34%以上50%以下であることは、表面近傍のFe(2+)が従来のマグネタイト粒子に比較して、超リッチな状態であることを表す。
表面近傍のFe(2+)量を増量した磁性酸化鉄粒子を磁性トナーに用いることで、トナー担持体のマグネットロールから発する磁力を効率的に伝播させることが出来ると考えられる。その結果、トナー穂立ちの均一性がより高まり、耐久安定性が向上する。
また、本発明の、Fe元素溶解率が10質量%となるまでに溶解された総Fe量に占めるFe(2+)の割合Xが34%以上50%以下である磁性酸化鉄粒子は、製造時の酸化反応を多段階で行うことにより得られる。
溶液反応により得られる磁性酸化鉄粒子、特にFe(2+)の高いマグネタイト粒子は、一般的に第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化することにより得られる。本発明の磁性酸化鉄粒子は、この酸化反応を多段階、(すなわち徐々に酸化)にすることで表面近傍にFe(2+)を局在化させることが可能となる。
従来は、このようなFe(2+)リッチな磁性酸化鉄粒子を得るには製造時に非酸化雰囲気で乾燥を行ったり、還元反応を行うという処理が必要であった。しかし、このような磁性酸化鉄粒子の場合、経時劣化によるFe(2+)の酸化が生じ易く安定性の点で好ましくない。本発明では酸化反応のプロセスのみでFe(2+)の存在状態を制御し、上記の如き処理を行っていない為、安定性に優れている。
また、本発明の磁性酸化鉄粒子を安定的に得る為には、磁性酸化鉄粒子の内部に金属元素を含有させ、且つ磁性酸化鉄粒子の表面に各種金属元素から成る被覆層を形成することが好ましい。本発明においては、摩擦帯電性と耐熱性のバランスを取り、磁性酸化鉄粒子の内部にケイ素を含有し、磁性酸化鉄粒子の表面にケイ素及びアルミニウムを含む被覆層を形成させることが特に好ましい。
また、磁性酸化鉄粒子の内部に含まれるケイ素の量は、磁性酸化鉄粒子全体に対し、Siとして0.20質量%以上1.50質量%以下であることが好ましい。
また該被覆層に含まれるケイ素の量が磁性酸化鉄粒子の全体に対し、Siとして0.05質量%以上0.50質量%以下であり、且つ被覆層に含まれるアルミニウムの量が磁性酸化鉄粒子の全体に対しAlとして0.05質量%以上0.50質量%以下であることが好ましい。
また、Fe元素溶解率が10質量%となるまでに溶解された総Fe量に占めるFe(2+)の割合Xは以下の様に求めた。
3.8リットルの脱イオン水に試料である磁性酸化鉄粒子25gを加え、ウォーターバスで温度40℃に保ちながら撹拌速度200回転/minで撹拌する。このスラリー中に特級塩酸試薬(濃度35%)424mlを溶解した塩酸水溶液(脱イオン水)1250mlを加え、撹拌下、磁性酸化鉄粒子を溶解する。溶解開始から磁性酸化鉄粒子が全て溶解して透明になるまで、10分毎に塩酸水溶液50mlを分散する磁性酸化鉄粒子ごとサンプリングし、直ちに0.1μmメンブランフィルターで濾過して、濾液を採取する。採取した濾液の25mlを用いて、ICPによってFe元素の定量を行う。そして、採取された各サンプルに関して、磁性酸化鉄粒子のFe元素溶解率(質量%)を以下の計算式によって算出する。
また、Fe(2+)の濃度は採取したろ液の残り25mlを用いて測定する。この25mlの液に脱イオン水75mlを加えて試料を調製して、指示薬としてジフェニルアミンスルホン酸ナトリウムを加える。そして0.05モル/リットルの重クロム酸カリウムを用いて酸化還元滴定し、該試料が青紫色に着色したところを終点として滴定量を求め、滴定量から、Fe(2+)(mg/リットル)濃度を算出する。
上述の方法で求めた各採取サンプル中の鉄元素濃度と、同じ時点でのサンプルより求められたFe(2+)の濃度とを用いて、下式から、そのサンプルが採取された時点でのFe(2+)の割合を算出する。
そして、各採取サンプルについて、得られたFe元素溶解率とFe(2+)の割合とをプロットし、各点を滑らかに結んで、Fe元素溶解率対Fe(2+)の割合のグラフを作成する。このグラフを用いて、Fe元素溶解率が10質量%となるまでに溶解された総Fe量に占めるFe(2+)の割合X(%)を求める。
また、本発明で使用する磁性酸化鉄粒子は、外部磁場795.8kA/mにおける磁化の値が86.0Am2/kg以上が好ましく、更には87.0Am2/kg以上が好ましい。
磁化の値が上記値以上であれば、トナー搬送担持体上のトナー穂立ちがより安定化し、環境に依存せず均一な穂立ちが形成される。
磁気特性の測定は、東英工業製振動試料型磁力計VSM―P7を使用し、試料温度25℃、外部磁場795.8kA/mにて測定した。
また、本発明で使用する磁性酸化鉄粒子は、平均一次粒子径が0.10μm以上0.30μm以下であることが好ましく、更には0.10μm以上0.20μm以下であることが好ましい。
磁性酸化鉄粒子の平均一次粒子径の測定は、走査型電子顕微鏡(倍率40000倍)で磁性酸化鉄粒子を観察し、200個の粒子のフェレ径を計測し平均粒子径を求める。本実施例においては、走査型電子顕微鏡としては、S−4700(日立製作所製)を用いた。
また本発明で使用する磁性酸化鉄粒子は、結着樹脂100質量部に対して、20質量部以上150質量部以下が好ましく、更には50質量部以上120質量部以下であることが好ましい。本発明に係る磁性酸化鉄粒子を用いることで、磁性酸化鉄粒子の含有量が少ない磁性トナーにおいても十分な黒色度が得られるが、20質量部未満となる場合には黒味不足となる場合もあり、好ましくない。また、磁性酸化鉄粒子が150質量部超える場合には、トナー担持体からの飛翔が十分に行えなくなり易く、画像濃度低下の原因となる場合もあり、好ましくない。また、磁気規制部材近傍における磁性トナーへの負荷が大きくなり、汚染発生の要因となる場合もあるので好ましくない。
次に、本発明で用いられる磁性酸化鉄粒子の製造方法は一般的なマグネタイト粒子の製造方法を用いても特に問題は無いが、特に好ましい製造方法について、以下、具体的に説明する。
本発明に用いる磁性酸化鉄粒子は、例えば、第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化して製造することができる。
第一鉄塩としては、水可溶性塩であれば利用でき、例えば、硫酸第一鉄、塩化第一鉄を挙げることができる。そして、好ましくは、この第一鉄塩に、最終的な磁性酸化鉄粒子総量に対して、ケイ素元素換算で0.20質量%以上1.50質量%以下となるように水溶性ケイ酸塩(例えばケイ酸ナトリウム)を添加し、混合する。
次に、得られたケイ素成分を含有する第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合して、水酸化第一鉄スラリーを生成させる。
ここでアルカリ溶液は、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液の如き水酸化アルカリ水溶液を用いることが出来る。
水酸化第一鉄スラリーを生成させる際のアルカリ溶液量は、求める磁性酸化鉄粒子の形状に応じて調整すればよい。具体的には、水酸化第一鉄スラリーのpHが8.0未満となるように調整すれば球状粒子が得られる。また、pH8.0以上9.5以下となるように調整すれば六面体状粒子が得られ、pH9.5を超えるように調整すれば八面体状粒子が得られるので、適宣調整する。
こうして得られた水酸化第一鉄スラリーから酸化鉄粒子を得るために、酸化性ガス、好ましくは空気をスラリー中に吹き込みながら酸化反応を行う。酸化性ガスの吹込み中はスラリーを加熱して、60乃至100℃、特に80乃至95℃に保つことが好ましい。
磁性酸化鉄粒子における割合Xを本発明の範囲内に制御するには、前記の酸化反応を制御することが重要である。具体的には、水酸化第一鉄の酸化の進行に合わせて酸化性ガスの吹き込み量を漸次減少させ、最終段階での吹き込み量を少なくすることが好ましい。このように多段階の酸化反応を行うことで酸化鉄粒子の表面のFe(2+)量を選択的に高めることが可能となる。酸化性ガスとして空気を用いる場合には、鉄元素100モルを含有するスラリーに対して、例えば、吹き込み量を以下のように制御することが好ましい。尚、吹き込み量は、下記の範囲で、漸次減少させる。
・水酸化第一鉄の50%が酸化鉄となるまで:10乃至80リットル/min、好ましくは10乃至50リットル/min
・水酸化第一鉄の50%より高く75%以下が酸化鉄となるまで:5乃至50リットル/min、好ましくは5乃至30リットル/min
・水酸化第一鉄の75%より高く90%以下が酸化鉄となるまで:1乃至30リットル/min、好ましくは2乃至20リットル/min
・水酸化第一鉄の90%超が酸化鉄である段階:1乃至15リットル/min、特に2乃至8リットル/min
次に、得られた酸化鉄粒子のスラリーにケイ酸ナトリウム水溶液と硫酸アルミニウム水溶液を同時に投入し、pHを5以上9以下に調整し、粒子の表面にケイ素及びアルミニウムを含む被覆層を形成する。
得られた被覆層を有する磁性酸化鉄粒子のスラリーに対して、常法のろ過、洗浄、乾燥、粉砕処理を行い、磁性酸化鉄粒子を得る。
また、磁性酸化鉄粒子は磁性トナー粒子中への微分散性を向上させる目的で、製造時のスラリーにせん断をかけ、磁性酸化鉄粒子を一旦ほぐす処理を施すことが好ましい。
また、本発明は、潜像担持体上に形成された静電荷潜像を、トナー担持体上に担持されるトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程を少なくとも有する画像形成方法において、該トナー担持体は、内側に固定マグネット、外側に回転可能なトナー搬送担持体で構成され、該トナー搬送担持体の表面粗さ面積を二分する平均値に対して、最大谷深さをRv、最大高さをRmaxとしたとき、下記式(1)で表される形状係数(K)が0.12以上0.50以下であるトナー担持体であり、該トナーが上記構成のトナーであることを特徴とする画像形成方法であることが好ましい。
K=Rv/Rmax・・・(1)
また、本発明の画像形成方法は、トナー搬送担持体の最大高さRmaxが4μm以上10μm以下であることが好ましい。
Rmaxを4μm以上10μm以下にすることで、形状係数(K)との相互作用効果が働き、トナー搬送担持体のトナー付着レベルを下げることが可能になる。さらに、トナー穂立ち性もより均一にすることが可能となり好ましい。
また、本発明の画像形成方法は、トナー搬送担持体の山と山の平均間隔であるSmが30μm以上60μm以下であることが好ましい。
Smの範囲を30μmから60μmにすることで、トナー搬送担持体のトナーコート均一性が向上し、画像ムラ、トナー付着レベルが良くなるため好ましい。
本発明に使用されるトナーの結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。中でも好ましく用いられる樹脂として、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂が混合、または両者が一部反応した、ハイブリッド樹脂。
本発明にかかる結着樹脂に用いられるポリエステル樹脂或いは上記ハイブリッド樹脂のポリエステル系ユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては以下の化合物が挙げられる。
アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、下記(I−1)式で表わされるビスフェノール誘導体及び下記(I−2)式で示されるジオール類。
酸成分としては、以下のものが挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類またはその無水物、またさらに炭素数6以上18未満のアルキル基またはアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物。
また本発明にかかるポリエステル樹脂或いはポリエステル系ユニットは、三価以上の多価カルボン酸またはその無水物及び/または三価以上の多価アルコールによる架橋構造を含むポリエステル樹脂であることが好ましい。三価以上の多価カルボン酸またはその無水物としては、以下のものが挙げられる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物または低級アルキルエステル。三価以上の多価アルコールとしては、以下のものが挙げられる。1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール。本発明の結着樹脂においては、環境変動による安定性も高い芳香族系アルコールが特に好ましく、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及びその無水物が挙げられる。
本発明にかかる結着樹脂に用いられるビニル系樹脂或いはハイブリッド樹脂のビニル系重合体ユニットを構成するビニル系モノマーとしては、次の化合物が挙げられる。
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体。
さらに、以下のものが挙げられる。マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの如きアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明の磁性トナーにおいて、結着樹脂に用いられるビニル系樹脂或いはビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有してもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。芳香族ジビニル化合物(ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレー卜をメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で緒ばれたジアクリレート化合物類[ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの];ポリエステル型ジアクリレート化合物類(日本化薬社製「MANDA」)。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下、さらに好ましくは0.03質量部以上5質量部以下用いることができる。
これらの架橋剤のうち、結着樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
上記ビニル系樹脂或いはビニル系重合体ユニットの重合に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエイト、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエイト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−プチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート。
本発明において、結着樹脂に前記したハイブリッド樹脂を用いる場合には、ビニル系樹脂及び/またはポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系樹脂と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物が挙げられる。ビニル系樹脂成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基またはヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系樹脂とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系樹脂及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
本発明においては、トナーに離型性を与えるために必要に応じて離型剤(ワックス)を用いることができる。該ワックスとしては、磁性トナー粒子中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましく用いられる。必要に応じて一種または二種以上のワックスを、少量併用してもかまわない。例としては次のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。このような脂肪族炭化水素系ワックスとしては、以下のものが挙げられる。アルキレンを高圧下でラジカル重合し、又は低圧下でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス及びそれを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス;これらの脂肪族炭化水素系ワックスをプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別したワックス。
前記脂肪族炭化水素系ワックスの母体としての炭化水素としては、以下のものが挙げられる。金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンの如きアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素。このような炭化水素の中でも、本発明では、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であることが好ましく、特にアルキレンの重合によらない方法により合成された炭化水素がその分子量分布からも好ましい。
使用できる具体的な例としては、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業社)、ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社)、サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社)、HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精鑞株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社)、木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODAにて入手可能)。
該離型剤(ワックス)を添加するタイミングは、磁性トナー粒子の製造中の溶融混練時において添加しても良いが結着樹脂の製造時であっても良く、既存の方法から適宜選ばれる。また、これらの離型剤は単独で使用しても併用しても良い。
該離型剤は結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。1質量部未満の場合は望まれる離型効果が十分に得られにくく、20質量部を超える場合は磁性トナー粒子中での分散も悪く、感光体への磁性トナー付着や、現像部材やクリーニング部材の表面汚染が起こりやすく、トナー画像が劣化し易い。
本発明のトナーには、その摩擦帯電性を安定化させるために電荷制御剤を用いることができる。電荷制御剤は、その種類や他のトナー粒子構成材料の物性によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1質量部以上10質量部以下含まれることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下含まれることがより好ましい。このような電荷制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
トナーを負帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属錯体(モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体);芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩。その他にも、トナーを負帯電性に制御するものとしては、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノール等のフェノール誘導体が挙げられる。この中でも特に、安定な帯電性能が得られる芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体又は金属塩が好ましく用いられる。
トナーを正帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体;ホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等);高級脂肪酸の金属塩。本発明ではこれらの一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。トナーを正帯電性に制御するものとしては、これらの中でもニグロシン系化合物、四級アンモニウム塩等の電荷制御剤が特に好ましく用いられる。
使用できる具体的な例としては、以下のものが挙げられる。Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89(オリエント化学社)。正帯電用としては以下のものが挙げられる。TP−302、TP−415(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)N−01、N−04、N−07、P−51(オリエント化学社)、コピーブルーPR(クラリアント社)。
また、電荷制御樹脂も用いることができ、上述の電荷制御剤と併用することもできる。
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末をトナー粒子に外添することが好ましい。
本発明に用いられるシリカ微粉末は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m2/g以上、(特に50m2/g以上、400m2/g以下)の範囲内のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対してシリカ微粉体0.01質量部以上、8.00質量部以下、好ましくは0.10質量部以上5.00質量部以下使用するのが良い。前記シリカ微粉末のBET比表面積は、例えば比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粉末の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
また、本発明に用いられるシリカ微粉末は、必要に応じ、疎水化、摩擦帯電性コントロールの目的で未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物の如き処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
本発明のトナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。このような外部添加剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子が挙げられる。
例えば滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられ、中でもポリフッ化ビニリデン粉末が好ましい。
また研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。
流動性付与剤としては、酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末が挙げられ、中でも疎水化処理したものが好ましい。
導電性付与剤としては、カーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化アンチモン粉末、酸化スズ粉末が挙げられる。
またさらに、逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により十分混合してから、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機等の混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後、粉砕機によって粉砕し、必要に応じて粗粒等をふるい分け、分級機によって分級することで所望の粒度分布を持つトナー粒子を得、更に必要に応して所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十分混合することによって得ることができる。
特に、本発明の特徴とする円相当径0.25μm以上1.98μm以下のトナー粒子を、0個数%以上、15.0個数%以下含有するトナーを得るためには、分級ローターや機械的衝撃をトナー粒子に付与する構成を具備した、機械式分級装置を用いることが好ましい。
分級ローター等から機械的な衝撃をトナー粒子に与えることにより、粗粉と微粉を効率的に分離することが可能となり、円相当径0.25μm以上1.98μm以下の所謂微粒子トナーを効果的に除去することが可能となる。
機械式分級装置としては、例えば以下のものが挙げられる。図2に示す機械式分級装置、TSPセパレータ、TTSPセパレーター(ホソカワミクロン社製)。
以下に、機械式分級装置及び機械式分級装置を利用したトナー粒子の製造方法について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図2は、本発明に使用する機械式分級装置の一例を示し、図3は図2において高速回転する回転子の上面図の一例を示す。
図2に示す機械式分級装置では、ケーシング、冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット(図示しない)、ケーシング内にあって中心回転軸に取り付けられた、上面に角型のディスク或いは円筒型のピン40を複数個有し、高速で回転する円盤上の回転体である分散ローター36、分散ローター36の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられているライナー34(尚、ライナー表面上の溝はなくても構わない)、更に、原料を所定粒径に分級するための手段である分級ローター31、更に、冷風を導入するための冷風導入口35、被処理原料を導入するための原料供給口33、更に、処理時間を自在に調整可能となるように、開閉可能なように設置された排出弁38、処理後の粉体を排出するための粉体排出口37、更に、分級ローター31と分散ローター36−ライナー34との間の空間を、分級手段へ導入される前の第一の空間41と、分級手段により微粉を分級除去された粒子を分散ローター部へ導入するための第二の空間42に仕切る案内手段である円筒形のガイドリング39とから構成されている。
尚、分級ローター31の設置方向は図2に示したように縦型でも構わないし、横型でも構わない。また、分級ローター31の個数は図2に示したように単体でも構わないし、複数でも構わない。
以上のように構成してなる機械式分級装置では、排出弁38を閉とした状態で原料供給口33から原料であるトナー粒子を投入すると、投入された原料トナー粒子は、遠心力によりガイドリング39の内周(第二の空間42)に沿いながら分散ローター36により発生する循環流にのり分散ローターへと導かれる。トナー粒子は分散ローター36とライナー34間で機械式衝撃力を受け、微粒子トナーが分離される。微粒子トナーが分離されたトナー粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング39の外周(第一の空間41)に沿いながら分級ゾーンに導かれ、分級ローター31により、微粒子トナーは機外へ排出され、粗粉は、循環流にのり、再度処理ゾーンに戻され、繰り返し処理を受ける。一定時間経過後、排出弁38を開とし、排出口37より微粒子トナーが除去されたトナー粒子を回収する。
本発明者が検討した結果、機械式分級装置における処理時間(=サイクルタイム、原料供給が終了してから排出弁が開くまでの時間)としては、5秒以上180秒以下、更に好ましくは15秒以上120秒以下であることが好ましい。処理時間が5秒未満の場合、改質時間が短時間過ぎるため、微粒子トナーが十分に除去されない場合がある。また、改質時間が180秒を超えると、改質時間が長時間過ぎるため、処理時に発生する熱による機内融着の発生、及び処理能力の低下を招く場合がある。
更に、本発明のトナー粒子の製造方法においては、該機械式分級装置内に導入する冷風温度T1を5℃以下とすることが好ましい。該機械式分級装置内に導入する冷風温度T1を5℃以下、より好ましくは0℃以下、更に好ましくは−5℃以下、特に好ましくは−10℃以下、最も好ましくは−15℃以下とすることにより、処理時に発生する熱による機内融着を防止することができる。該機械式分級装置内に導入する冷風温度T1が5℃を超えると、処理時に発生する熱による機内融着を起こす場合がある。
尚、該機械式分級装置内に導入する冷風は、装置内の結露防止という面から、除湿したものであることが好ましい。除湿装置としては公知のものが使用できる。給気露点温度としては、−15℃以下が好ましく、更には−20℃以下が好ましい。
更に、本発明のトナー粒子の製造方法においては、該機械式分級装置内は、機内冷却用のジャケットを具備しており、該ジャケットに冷媒(好ましくは冷却水、更に好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を通しながら処理することが好ましい。該ジャケットによる機内冷却により、熱による機内融着を防止することができる。
尚、機械式分級装置の該ジャケット内に通す冷媒の温度は5℃以下とすることが好ましい。機械式分級装置内の該ジャケット内に通す冷媒の温度を5℃以下、より好ましくは0℃以下、更に好ましくは−5℃以下とすることにより、処理時に発生する熱による機内融着を防止することができる。該ジャケット内に導入する冷媒の温度が5℃を超えると、表面処理時に発生する熱による機内融着を起こす場合がある。
更に、本発明のトナー粒子の製造方法においては、該機械式分級装置内の分級ローター後方の温度T2を60℃以下とすることが好ましい。該機械式分級装置内の分級ローター後方の温度T2を60℃以下、好ましくは50℃以下とすることにより、処理時に発生する熱による機内融着を防止することができる。該機械式分級装置内の分級ローター後方の温度T2が60℃を超えると、処理時に発生する熱による機内融着を起こす場合がある。
更に、本発明のトナー粒子の製造方法においては、機械式分級装置内の該分散ローターとライナーとの間の最小間隔が0.5mm乃至15.0mmとすることが好ましく、更には、1.0mm乃至10.0mmとすることが好ましい。また、該分散ローターの回転周速は75m/sec乃至170m/secとすることが好ましい。分散ローターの回転周速が170m/secより速い場合、分散ローター36とライナー34間で機械式衝撃力を受ける際に表面性が変化する可能性があり好ましくない。一方、分散ローターの回転周速が75m/secより遅い場合は、トナー粒子に十分な機械的衝撃を付与することが出来ず、微粒子トナーが除去され難く好ましくない。
更に、機械式分級装置内の該分散ローター上面に設置されている角型のディスク或いは円筒形のピンの上部と、該円筒型のガイドリングの下部との間の最小間隔が2.0mm乃至50.0mmとすることが好ましく、更には、5.0mm乃至45.0mmとすることが好ましい。
本発明において、該機械式分級装置内の分散ローター及びライナーの粉砕面は耐摩耗処理されていることがトナー粒子の生産性上好ましい。尚、耐摩耗処理方法は何ら限定されるものではない。また、該機械式分級装置内の分散ローター及びライナーの刃形状に関しても、何ら限定されるものではない。
その他の装置として、混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
以上本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例にもとづいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、これによって本発明の実施の態様がなんら限定されるものではない。
<トナー搬送担持体A−1の製造例>
トナー搬送担持体基材として、外径20mm、肉厚0.6mmのアルミニウム素管を用い、ブラスト処理を行うことでローラ表面を粗面化した。条件としては、砥粒としてFGB#600、ブラスト圧3kgf、回転速度10回転/分、ブラスト時間30sec、ブラスト距離150mm、ブラスト口径Φ10で処理をした。
次に、ブラスト処理の終わったアルミニウムローラ表面をジンケート処理し、Ni−Pメッキ液(S−754、日本カニゼン株式会社製)中に浸して無電解メッキを行い、5.0μm厚のNi−Pメッキ層を形成した。
続いて、Ni−Pメッキ処理が施されたアルミニウムローラをCrメッキ液(市販の触媒無水クロム酸液)中に浸して電気メッキを行い、1.0μm厚のCrメッキ層を形成し、本発明のトナー搬送担持体A−1を得た。トナー搬送担持体A−1の表面形状係数を表1に示す。
<トナー搬送担持体A−2、A−3、A−4の製造例>
表1に示す製造条件とした以外はトナー搬送担持体A−1の製造例と同様にしてトナー搬送担持体A−2,A−3,A−4を製造した。
<磁性酸化鉄粒子B−1の製造例>
硫酸第一鉄を用い、Fe2+を2.0mol/リットル含有する硫酸鉄水溶液50リットルを調製した。また、ケイ酸ナトリウムを用い、Si4+を0.23mol/リットル含有するケイ酸ナトリウム水溶液10リットルを調製し、これを前記硫酸鉄水溶液に添加した。次いで、混合した水溶液に5.0mol/リットルのNaOH水溶液42リットルを撹拌混合し、水酸化第一鉄スラリーを得た。この水酸化第一鉄スラリーをpH12.0、温度90℃に調整し、30リットル/minの空気を吹き込み、水酸化第一鉄の50%が磁性酸化鉄粒子になるまで酸化反応を行った。次いで、磁性酸化鉄粒子が75%生成するまで20リットル/minの空気を吹き込み、次いで磁性酸化鉄粒子が90%生成するまで10リットル/minの空気を吹き込み、さらに磁性酸化鉄粒子の割合が90%を超えた時点で、空気を5リットル/min吹き込んで酸化反応を完結させ、八面体形状のコア粒子を含むスラリーを得た。
得られたコア粒子を含むスラリーに、ケイ酸ナトリウムの水溶液(Siを13.4質量%含有)を94mlと、硫酸アルミニウム水溶液(Alを4.2質量%含有)を288ml同時に投入する。その後、スラリーの温度を80℃に、pHを希硫酸によって5以上9以下に調整し、コア粒子の表面にケイ素及びアルミニウムを含む被覆層を形成した。得られた磁性酸化鉄粒子を常法により濾過し、乾燥、粉砕を行い、磁性酸化鉄粒子B−1を得た。得られた磁性酸化鉄粒子B−1の物性値を表2に示す。
<磁性酸化鉄粒子B−2乃至B−4の製造例>
製造例B−1において、製造条件を表1の如き調整することで、磁性酸化鉄粒子B−2乃至B−4得た。得られた磁性酸化鉄粒子B−2乃至B−4の物性値を表2に示す。
なお、表2中の吹き込み空気量における各段数は以下に示す状態を表す。
・1段目:磁性酸化鉄粒子の生成率が0%以上50以下
・2段目:磁性酸化鉄粒子の生成率が50%超、75%以下
・3段目:磁性酸化鉄粒子の生成率が75%超、90%以下
・4段目:磁性酸化鉄粒子の生成率が90%超え、100%まで
<磁性酸化鉄粒子B−5の製造例>
1.5mol/リットルのFe2+を含む硫酸第一鉄塩水溶液26.7リットルを、あらかじめ反応容器中に入れておいた、3.4Nの水酸化ナトリウム水溶液25.9リットル(Fe2+に対し1.10当量に相当する)に加え、90℃に加熱して、pHを10.5に維持しながら、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩懸濁液を生成する。
次に、上記懸濁液の液温を90℃に維持しながら、毎分100リットルの空気を80分間に亘って吹き込んで、第一鉄塩の酸化反応率が60%になるまで酸化反応させる。
次に、上懸濁液に、そのpHが6.5になるように、硫酸水溶液を添加した後、液温を90℃に維持しながら、毎分100リットルの空気を50分間に亘って吹き込んで、懸濁液中にマグネタイト粒子を生成させる。
そして、上記マグネタイト粒子を含む懸濁液に、そのpHが10.5になるように、水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、液温を90℃に維持しながら、毎分100リットルの空気を20分間に亘って吹き込んだ後、生成したマグネタイト粒子を水洗し、濾別し、乾燥して、マグネタイト粒子の凝集物を粉砕する。そうすると、粒子形状が、八面体の磁性酸化鉄粒子B−5を得た。得られた磁性酸化鉄粒子B−5の物性値を表2に示す。
<磁性酸化鉄粒子B−6の製造例>
2mol/lの硫酸第一鉄水溶液50リットルに、0.14mol/lの硫酸チタニル水溶液5リットルを、pH1,温度50℃の条件下で混合させ、十分撹拌する。このチタン塩含有硫酸第一鉄水溶液と、5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液43リットルを混合して水酸化第一鉄スラリーを得る。この水酸化第一鉄スラリーをpHを12に維持し、85℃にて空気を吹き込み酸化反応を行った。得られたマグネタイト粒子を含むスラリーを常法のろ過、洗浄、乾燥、粉砕を行ない、磁性酸化鉄粒子B−6を得た。得られた磁性酸化鉄粒子B−6の物性値を表2に示す。
<結着樹脂C−1の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物):25.0mol%
エトキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物):25.0mol%
テレフタル酸:33.0mol%
無水トリメリット酸:5mol%
アジピン酸:6.5mol%
アクリル酸:3.5mol%
フマル酸:2.0mol%
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒と共に4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて135℃で撹拌する。本発明において所望の架橋構造を得るために本製造例においては反応の初期と後期にフマル酸を分割添加した。そこに、ビニル系共重合モノマー(スチレン:84mol%と2エチルヘキシルアクリレート:14mol%)と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2mol%を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。その後、135℃で5時間反応した後、重縮合時の反応温度を230℃に昇温して縮重合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂C−1を得た。
この結着樹脂C−1のTgは54.5℃、軟化点は135.5℃であった。
<結着樹脂C−2の製造例>
テレフタル酸 31mol%
無水トリメリット酸 7mol%
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物):35mol%
エトキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物):27mol%
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒と共に4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて135℃で撹拌する。そこに、ビニル系共重合モノマー(スチレン:84mol%と2エチルヘキシルアクリレート:14mol%)と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2mol%を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。その後、135℃で5時間反応した後、重縮合時の反応温度を230℃に昇温して縮重合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂C−2を得た。
この結着樹脂C−2のTgは56.8℃、軟化点は99.0℃であった。
<結着樹脂C−3の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物):46.8mol%
テレフタル酸:34.8mol%
無水トリメリット酸:11.8mol%
イソフタル酸:5.6mol%
フェノールノボラックEO付加物:1.0mol%
上記のモノマーをエステル化触媒とともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管,温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂C−3を得た。
この結着樹脂C−3のTgは59.5℃、軟化点は151.3℃であった。
<結着樹脂C−4の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物):47.1mol%
テレフタル酸:49.9mol%
無水トリメリット酸:3.0mol%
上記のモノマーをエステル化触媒とともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器水分分離装置、N2ガス導入管,温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂C−4を得た。
この結着樹脂C−4のTgは59.4℃、軟化点は92.5℃であった。
<結着樹脂C−5の製造例>
4つ口フラスコ内に、脱気水250質量部とポリビニルアルコールの1質量%水溶液50質量部を投入した後、スチレン83質量部、アクリル酸n−ブチル17質量部、ジビニルベンゼン0.001質量部及び2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン0.1質量部の混合液を加え、撹拌して懸濁液とした。
4つ口フラスコ内を窒素雰囲気下とした後、85℃まで昇温して、重合を開始した。同温度に20時間保持した後、ベンゾイルパーオキサイド0.1質量部を追加添加し、さらに8時間保持して重合を完了した。
次に高分子重合体粒子を濾別し、十分に水洗し、乾燥させ結着樹脂C−5を得た。
この結着樹脂C−5のTgは61.2℃、軟化点は143.5℃であった。
<結着樹脂C−6の製造例>
4つ口フラスコ内に、キシレン300質量部を投入し、撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換した後、昇温して還流させた。
この還流下で、スチレン83質量部、アクリル酸−n−ブチル17質量部、及びジ−tert−ブチルパーオキサイド2質量部の混合液を4時間かけて滴下した後、2時間保持して重合を完了し、低分子量重合体溶液を得た。
この重合体溶液を減圧下で乾燥させ、結着樹脂C−6を得た。
この結着樹脂C−6のTgは60.0℃、軟化点は97.3℃であった。
<結着樹脂D−1の製造例>
結着樹脂C−1を90質量部と結着樹脂C−2を10質量部とをヘンシェルミキサーで混合し、結着樹脂D−1とした。
<結着樹脂D−2の製造例>
結着樹脂C−3を50質量部と結着樹脂C−4を50質量部とをヘンシェルミキサーで混合し、結着樹脂D−2とした。
<結着樹脂D−3の製造例>
結着樹脂C−5を60質量部と結着樹脂C−6を40質量部とをヘンシェルミキサーで混合し、結着樹脂D−3とした。
<トナー1の製造例>
結着樹脂D−1 100質量部
磁性酸化鉄粒子B−1 75質量部
フィッシャートロプシュワックス(Mn:1500、Mw:2500、融点:105℃)
4質量部
荷電制御剤−1 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。この時、混練された樹脂の温度が150℃になるように滞留時間をコントロールした。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルで粉砕し、得られた微粉砕粉末を図2に示した機械式分級装置を用いて、表4に示す製造条件でトナー粒子1を得た。トナー粒子1の物性を表5に示す。
トナー粒子1 100質量部に対し、疎水性シリカ微粉体(BET140m2/g)を1.0質量部とチタン酸ストロンチウム3.0質量部を外添混合し目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。
<トナー2の製造例>
表5に記載の処方で、分級装置としてTTSPセパレーター(ホソカワミクロン社製)を用いた以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2を得た。トナー粒子2の物性値を表5に示す。
<トナー3の製造例>
表5に記載の処方で、分級装置としてTSPセパレーター(ホソカワミクロン社製)を用いた以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー3を得た。トナー粒子3の物性値を表5に示す。
<トナー4、7、9の製造例>
表5に記載の処方で、ターボミルで粉砕後、さらにもう一度ターボミルで粉砕し、その後図2に示す機械式分級装置を用いて、製造条件を表4にした以外は、トナー1の製造例と同様にしてトナー4、7、9を得た。トナー粒子4、7、9の物性値を表5に示す。
<トナー5、6、8の製造例>
表5に記載の処方で、図2に示した機械式分級装置の製造条件を表4にした以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー5,6,8を得た。トナー粒子5,6,8,11の物性値を表5に示す。
<トナー10の製造例>
表5に記載の処方で、分級装置として、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いた以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー10を得た。トナー粒子10の物性値を表5に示す。
<実施例1>
評価に用いたマシンとしては、市販の複写機(iR−6570 キヤノン製)を下記に示す項目について改造したマシンを用いた。
・現像工程周辺部を本発明のトナー搬送担持体1に対応可能な型に改造。
・トナー担持体の周速度を800mm/secに改造。
この改造機にトナー1を充填し、高温高湿環境(30℃,80%RH)、常温常湿環境(23℃,50%RH)及び常温低湿環境(23℃,5%RH)の各環境下で印字比率5%のテストチャートを用いて連続500万枚の連続プリントを行い、以下の評価を行った。
(トナー穂立ち性の評価)
トナー搬送担持体上のトナー穂立ち性の評価は以下の通りに行った。
トナー担持体の磁極位置上のトナー穂立ちに対して、トナー担持体最表面から高さ60μmにおけるトナー穂立ちの断面をキーエンス社製VK8500観察する。
得られた画像を二値化し、各トナー穂立ちの断面積を算出し、そこからトナー穂立ちの断面積の標準偏差を求めた。標準偏差の値が大きいことは即ち、トナー穂立ちの断面積の値にばらつきがあり、トナー穂立ちが不均一であることを示す。この評価を初期(10枚目)と500万枚耐久後に行い、耐久によるトナー穂立ちの乱れを評価した。その評価結果を表6,7,8に示す。
(画像濃度)
画像濃度については、マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して5mm丸の画像の反射濃度を測定した。この評価を、各試験環境において、初期(10枚目)および500万枚プリント時に行った。その評価結果を表6,7,8に示す。
(トナー搬送担持体トナーコート性試験)
500万枚プリント後にトナー搬送担持体上のトナーコートを目視し、コート不良の発生レベルを以下に示すランクに分類した。その評価結果を表6,7,8に示す。
A(非常に良い) 全く発生してない
B(良い) トナー搬送担持体端部にわずか発生している。
C(普通) 極わずか発生しているが画像には影響しない。
D(悪い) はっきりと発生しており画像に影響する。
(トナー搬送担持体汚染試験)
500万枚プリント後のトナー搬送担持体表面の一部をエタノールで洗浄して拭き取り、べた黒画像をプリントし、エタノール拭き清掃前後の画像濃度を測定し、その差を算出することによりトナー搬送担持体汚染の評価を行った。その濃度差が小さい程、汚染抑制が良いことを表す。その評価結果を表6,7,8に示す。
[実施例2乃至12]
表6,7,8に記載のトナー搬送担持体とトナーの組み合わせにおいて、実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表6,7,8に示す。
[比較例1乃至3]
表6,7,8に記載のトナー搬送担持体とトナーの組み合わせにおいて、実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表6,7,8に示す。