JP5283550B2 - ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する方法、ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する装置、ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、及び記録媒体 - Google Patents

ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する方法、ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する装置、ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、及び記録媒体 Download PDF

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本発明は、ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する方法、ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する装置、ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、及び記録媒体に関する。
1996年6月にクリプトスポリジウムが水道水に混入し、約9000人の人々が下痢や腹痛を訴えるという集団感染が発生した。このクリプトスポリジウム対策として厚生省は同年10月に「ろ過池出口水の濁度を0.1度以下に維持すること」という暫定指針を通達した。それ以来、例えば、特許文献1に開示されるような、試料水中の微粒子の粒径区分毎の個数濃度の測定と試料水中の濁度の計測が同時にできる高感度濁度計によりろ過池出口水の濁度管理が行われており、また例えば、特許文献2に開示されるように、試料水中の微粒子の個数濃度を自動的かつ直接的に連続測定し、浄水処理プロセスの機能監視
する方法により、ろ過水の微粒子数管理が行われている。
浄水処理のろ過方法においては、凝集沈殿―砂ろ過処理を行う方法が広く採用されている。例えば、このような砂ろ過池(急速ろ過池)は、被処理原水中の懸濁物質を薬品によって凝集、沈澱させた後、粒状層に比較的早い流速で水を通し、主としてろ材への付着とろ層でのふるい分けによって、濁質を除去する。このような急速ろ過池は、長期の使用によりろ材やろ層へ凝集物質が溜まり、ろ過機能が低下してしまう。そのため、定期的に逆流洗浄(逆洗)を行い、急速ろ過池のろ過機能を回復させる必要がある。
しかしながら、逆洗工程終了直後のろ過池は、ろ過機能が発現していないため、ろ過開始直後のろ過水濁度、微粒子数が上昇してしまう問題が生じる。この濁度又は微粒子数の上昇は、時間経過とともに測定値が低下していく傾向があるが、このとき、クリプトスポリジウム対策指針として指定されているろ過池出口水の濁度0.1度を超えてしまう可能性があるとともに、クリプトスポリジウムに相当する径の粒子も増加することが問題となっている。そこで、逆洗終了前の逆洗水量を徐々に減らしていくスローダウンや、逆洗後一定時間のろ過水を捨てる捨水(特許文献3参照)、逆洗後のろ過水量の流速を低速か
ら少しずつ上げていくスロースタート等の逆洗工程を適正化する浄水場が増えつつある。
これらの適正化の効果を把握するためには、ろ過開始後の濁度や微粒子数のピーク値、ピーク時刻、半減時間等を逆洗条件毎に比較する必要があり、従来は以下の対応を行っていた。
1)中央監視施設のろ過池ごとの逆洗時刻の記録を確認
2)上記時刻周辺におけるろ過水濁度あるいは、微粒子数のピーク値の確認と記録
3)逆洗条件ごとのピーク値のデータ解析
ここで、1)、2)は、手作業で行っており、特にろ過水濁度や微粒子数のピーク値の検索を逆洗の度に繰り返す作業は、非常に労力と時間がかかってしまっていた。
特許第3672158号 特開2003−254960号 特開2001−205022号
上記問題点に鑑み、本発明は、急速ろ過法を採用する浄水場において、逆洗後のろ過水濁度や微粒子数の測定値のみから自動的に逆洗の判定をすることができる逆洗の判定方法、それに使用する装置、プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
上記課題を達成するため、本発明は、ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する方法であって、前記ろ過池を通過したろ過水の濁度又は微粒子数を時系列的に測定するステップと、前記測定ステップにより得られた測定値が閾値を超えた場合に、逆流洗浄後の濁度又は微粒子数が上昇していた時間を算出するステップと、前記濁度又は微粒子数が上昇していた時間が、一定時間の範囲内であるときに、逆洗が行われたと判断するステップであって、前記逆洗後の濁度又は微粒子数が上昇していた時間が、測定した濁度又は微粒子数のピークの値と閾値を超える前の測定値の平均値との差の5〜20%の値と、前記平均値との和の値となる測定値の時から、ピーク経過後であってピーク値と前記平均値との差の40〜60%の値と、前記平均値との和の値となる測定値の時までの時間であるステップとを含むことを特徴とする。
また、本発明に係るろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する方法は、その一実施の形態で前記判断ステップにより逆流洗浄後の濁度又は微粒子数であると判断された場合に、その測定値に関する情報を記録するステップをさらに含むことを特徴とする。
また、本発明は、別の側面によれば、ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する装置であって、前記ろ過池を通過したろ過水の濁度又は微粒子数を時系列的に測定する手段と、前記測定ステップにより得られた測定値が閾値を超えた場合に、逆流洗浄後の濁度又は微粒子数が上昇していた時間を算出し、前記濁度又は微粒子数が上昇していた時間が、一定時間の範囲内であるときに、逆洗が行われたと判断する手段であって、前記逆洗後の濁度又は微粒子数が上昇していた時間が、測定した濁度又は微粒子数のピークの値と閾値を超える前の測定値の平均値との差の5〜20%の値と、前記平均値との和の値となる測定値の時から、ピーク経過後であってピーク値と前記平均値との差の40〜60%の値と、前記平均値との和の値となる測定値の時までの時間である手段とを含むことを特徴とする。
また、本発明に係るろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する装置は、その一実施の形態で前記判断手段により逆流洗浄後の濁度又は微粒子数であると判断された場合に、前記判断手段が、その測定値に関する情報をさらに記録することを特徴とする。
さらに、本発明は、別の側面で、ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記ろ過池を通過したろ過水の濁度又は微粒子数を時系列的にコンピュータが濁度測定手段に測定させるステップと、前記測定ステップにより得られた測定値が閾値を超えた場合に、逆流洗浄後の濁度又は微粒子数が上昇していた時間をコンピュータに算出させるステップと、前記濁度又は微粒子数が上昇していた時間が、一定時間の範囲内であるときに、逆洗が行われたとコンピュータに判断させるステップであって、前記逆洗後の濁度又は微粒子数が上昇していた時間が、測定した濁度又は微粒子数のピークの値と閾値を超える前の測定値の平均値との差の5〜20%の値と、前記平均値との和の値となる測定値の時から、ピーク経過後であってピーク値と前記平均値との差の40〜60%の値と、前記平均値との和の値となる測定値の時までの時間であるステップとをコンピュータに実行させるためのものであることを特徴とする。
前記プログラムは、その実施の形態で、前記逆洗が行われたとコンピュータに判断させるステップにより逆流洗浄後の濁度又は微粒子数であると判断された場合に、その測定値に関する情報をコンピュータに記録させるステップをさらに実行させることを含む。
また、本発明は、さらに別の側面で、前記プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
本発明の逆洗の測定方法によれば、濁度や粒子数の測定値のみから簡便かつ迅速に、逆洗の判定をすることが可能となる。
また、従来は、濁度あるいは微粒子数などのろ過水水質の時系列データと逆洗時刻とを参照して、逆洗後(ろ過開始直後)のろ過水濁度や微粒子数のピークを手作業で抜き出していたのに対し、本発明によれば、時系列データとは別に、自動的に逆洗後のろ過水濁度や微粒子数のピーク値を記録することができる。この自動化は、大幅な作業時間の短縮を可能とすることができる。
さらに、スローダウン、スロースタート、捨水などの逆洗工程の最適化の効果を評価するためには、濁度のピーク値の他に、ピークに達するまでの時間や、ピークから濁度が半減するまでの時間も有効な指標である。本発明では当該時間も自動的に演算されるので、作業時間を大幅に短縮することができる。
本発明の濁度測定装置の一実施の形態を示す概略図である。 本発明の濁度測定方法において、閾値判定法を説明するグラフである。 本発明の参考となる形態に係る濁度測定方法において、標準偏差判定法を説明するグラフである。 本発明の濁度測定方法を用いて、スローダウンを実施した際の結果を示すグラフである。 本発明の濁度測定方法を用いて算出された逆洗後の濁度ピークとスローダウン時間との関係を示すグラフである。 スローダウンの一実施例におけるスローダウン時間と逆洗の流速との関係を示すグラフである。 本発明の濁度測定装置の一実施例を示す概略図である。 本発明の濁度測定方法を用いて、スロースタートを実施した際の結果を示すグラフである。 本発明の濁度測定方法を用いて算出された逆洗後の濁度ピークとスロースタート時間との関係を示すグラフである。 スロースタートの一実施例におけるスロースタート時間と逆洗の流速との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の濁度測定装置の概略図を示す。図1に示すように、本発明の逆洗判定装置は、浄水処理工程の急速ろ過池4の後流に備えられている。浄水処理場は、川からの水を貯留する着水井1と、処理原水へ凝集剤を注入し、混和させる混和池2と、処理原水中にフロックを形成させ、懸濁物質やフロックを沈殿させるフロック形成池及び沈殿池3と、処理水をろ過するための急速ろ過池4と、ろ過後のろ過水を貯留する浄水池5と、ろ過池の水を排水するドレイン弁11と、ドレイン弁11からのろ過水を濁度測定装置へ送るための配管が接続されており、その配管の開閉制御をするサンプル弁12と、ろ過水の
濁度を測定する濁度測定手段6と、濁度測定手段からの信号を変換する信号変換手段7と、濁度測定手段6より送られ、かつ信号変換手段7において変換された情報を受け取り、逆洗の濁度を判定するとともに逆洗の濁度に関する情報を記録する情報処理手段8とから構成されている。
着水井1より原水が導入される混和池2では、凝集剤を注入した後、直ちに急速な撹拌を与え、凝集剤を原水中に均一に拡散させる機能を備える。混和時間は、計画浄水量に対して1〜5分間を標準とする。
フロック形成池と沈殿池3は一体構造となっており、流水路、機械の設置等を考慮して、長方形とするのが一般的であり、フロック成長に必要なエネルギーを与えるため、撹拌装置を備える。滞留時間は、20〜40分が適当である。沈殿池は、懸濁物質やフロックの大部分を重力沈降作用によって除去し、後続の急速ろ過池4にかかる負担を軽減する為に設ける。
急速ろ過池4は、浄水処理工程で徐濁の最終段階として用いられ、沈殿池3において取り除くことができなかったろ過水中の懸濁物質やフロックを取り除く。急速ろ過池4は、浄水処理工程で徐濁の最終段階として用いられ、濁度0.1度以下のろ過水が得られる機能を維持しなければならない。そのため、機能が低下した急速ろ過池を洗浄するために、逆洗等による十分な急速ろ過池4自体の洗浄機能も有している必要がある。ここで、逆洗とは、沈澱処理水の流入弁を閉じ、ろ過池への処理水の流入を停止し、浄水弁を閉じて、浄水を停止する。次に排水弁を開け、逆洗弁を開けて、ろ過砂の逆流洗浄を開始すると同
時に排水弁から逆洗排水を排水する。所定の時間の経過後に逆洗弁を閉じ、排水弁を閉じ、流入弁を開け、浄水弁を開けて浄水工程に復帰するような工程による洗浄をいい、通常2、3日に一度行われる。このように、急速ろ過池4によるろ過後のろ過水の濁度は常時把握される必要があり、ろ過水の濁度は0.1度以下に維持するよう運転管理される。
このような運転管理をするため、通常、急速ろ過池4から浄水池までをつなぐパイプの途中には、ろ過後のろ過水の濁度を計測するための濁度計測手段6を設けることができる。また、図1に示すように、個別のろ過池からのろ過水を濁度測定手段6へ送るため、ろ過池から浄水池へと接続する配管ではなく、ろ過池のドレイン弁11から排出されるろ過水を濁度測定手段6へ送るように配管を接続してもよい。その配管は、図1に示すように、サンプル弁12により開閉を制御することができる。ドレイン弁11は、ろ過砂の入れ替え等の作業を実施する際、水の排水に使用されるものである。また、サンプル弁12は、ろ過水の濁度測定手段6への注入を制御できる構造を有しているものであれば特に制限されない。
濁度測定手段6は、ろ過後のろ過水の濁度を測定する。濁度測定手段6としては、透過光方式、散乱光方式、表面散乱光方式、透過―散乱光方式のような光源からの光ビームを試料中に当て、光電変換装置を用いて濁度を測定することができる装置を使用できる。
ここで、クリプトスポリジウムは、微生物であって、その粒子相当径は、3〜5μm程度とも4〜6μm程度とも言われている。よって、クリプトスポリジウムの除去性能を直接的に把握するためには、粒子相当径を妥当な範囲(例えば3μm〜5μm)に設定し、その範囲の粒子数、あるいは、所定の粒子相当径下限以上(例えば3μm以上)の粒子数を測定することが好ましい。
そのため、上記のような濁度測定装置の代わりに、ろ過水中の微粒子数を測定できる装置を設置することもできる。このような、微粒子測定装置としては、光遮断方式の微粒子カウンタ等が挙げられる。また、濁度測定装置とともに微粒子数測定装置を設置することも好ましい。このような、ろ過水の濁度と微粒子数を同時に計測できるものとして、例えば特許第3672158号公報に開示される微粒子カウント式高感度濁度計を使用することがコスト面等からもより好ましい。
このような装置により測定されたろ過水の濁度又は微粒子数の情報は、信号変換器7を介し、情報処理手段8へと伝えられる。
信号変換器7は、濁度測定手段6からの伝達される情報の規格の変換を行うことができる。例えば、RS485の規格から、RS232Cへと規格を変換し、情報処理手段8へと情報を伝える。本発明に使用できる信号変換器7は、このような機能を有するものであれば、特に制限されない。また、信号変換器7としては、データ収集装置6(ガジェットサービスアダプタ:GSA)のように、信号変換機能の他、それ自体にデータの蓄積やアプリケーションの機能を有する装置を使用することもできる。このような機能を有する装置を信号変換器7として使用する場合、信号変換器7において逆洗後の濁度上昇について
の判別及び記録をすることができる。この構成によれば、情報処理手段8の負荷を軽減することができ、また信号変換器7の端末においてユーザーがデータの処理をすることが可能となる。
情報処理手段8は、信号変換器7により伝達された濁度測定に関する情報を受け取り、そのうち、逆洗後の濁度上昇に関するデータの判別と記録を行う。また、濁度測定手段6に微粒子数の測定装置を使用する場合には、逆洗の判定を濁度の挙動により解析するのではなく、微粒子数の挙動を同様の方法により解析することもできる。情報処理手段8としては、このような機能を実行可能なコンピュータ等であれば特に制限されない。このような、情報処理手段8は、本発明のプログラムを実行することができる。また、信号変換器7として前述したGSAのような装置を使用する場合には、信号変換器7において濁度上昇の判別及び記録を行い、その情報を情報処理手段8が受け取るような構成としてもよい。
また、情報処理手段8に、浄水処理場全体を管理している中央監視装置による逆洗の制御信号を取り入れることにより、逆洗に関する情報をより的確に捉えることが可能となる。このような構成にする場合には、中央監視装置と情報処理手段8とが配線等により接続される必要がある。さらには、上述する情報処理手段8が有する機能を、中央監視装置自体に取り込み、中央監視装置により上記機能を発揮させることもできる。
上記構成によれば、先ず、取水した原水は着水井1と、混和池2と、フロック形成池及び沈殿池3とを経て、急速ろ過池4へ導入される。急速ろ過池4では、ろ過によりろ過水中の懸濁物質やフロックが除去される。次に、ろ過後のろ過水は、浄水池へと貯留される。この浄水池へのパイプの途中には、ドレイン弁5を介して濁度測定装置6へとろ過水の一部が送られる。濁度測定装置6により、ろ過水の濁度又は微粒子数が測定され、信号変換器7を介して情報処理手段8へと測定情報が送られる。情報処理手段8は、送られてきた測定情報の中から、逆洗後の濁度パターンがあるか否かを判別し、逆洗後の濁度パ
ターンであると認定した情報に関し記録を行う。
ここで、ろ過水の濁度の測定情報の中から、逆洗後の濁度パターンがあるか否かについては、以下の手順によりを判定する。
(逆洗の判定方法)
先ず、ろ過水の濁度の測定結果のうち、1)濁度の上昇(ピーク)を検出する。次に、検出されたピークが逆洗によるものである可能性を有する場合に、2)ピーク幅の判定を行う。
1)の工程については、例えば、予め閾値を設定し、その閾値を濁度の測定結果が超えていた場合に、逆洗による濁度上昇の可能性があると判定する「閾値判定法」と、濁度の平均値と測定値の標準偏差の変動からピークを検出する「標準偏差判定法」(参考となる形態に係る方法)等により判断することができる。
そして、1)の工程により逆洗後の濁度上昇の可能性があると判断された場合に、2)の判定をする。2)の工程では、その濁度ピークの幅が、設定範囲内であるか否かにより逆洗後の濁度パターンであるか否かを認定し、その濁度ピーク幅が設定範囲内であれば、逆洗後の濁度パターンであると認定する。
(閾値判定法)
閾値判定法の説明をするグラフを図2に示す。閾値判定法としては、以下の手順により、逆洗後の濁度上昇を判定する。
1)まず、濁度の現在値からさかのぼって、一定期間(例えば60分前)の濁度の平均値mを計算する(一定期間は、正確な平均値が取れる時間だけ遡ればよく、10分以上が好ましい)。
2)濁度の現在値が閾値aを超えたら逆洗後の濁度上昇の可能性があるとして、濁度ピーク値TBmaxと以下に記すピーク幅の判定を行う(閾値aとしては、例えば0.005〜0.1度の間で設定することが好ましい)。
3)濁度がTBmaxとmとの差の5〜20%の値と、平均値mとの和の値を超えた時刻からTBmaxに至る時刻Aまでの時間(例えば10%値と設定すると、Tは、(TBmax−m)×0.1+mを超えた時刻からTBmaxに至る時刻Aまでの時間)をTとし、時刻Aから濁度が濁度ピーク値と前記平均値との差の40〜60%の値と、前記平均値との和の値となった時点までの時間(例えば50%と設定すると、時刻Aから(TB≦(TBmax−m)×0.5+m)となる値までの時間)を、Tとして、濁度ピーク幅T=(T+T)等を計算する。
4)Tが一定時間の範囲(処理原水の性状や急速ろ過池の構成により異なるが、例えば、10分〜60分、より好ましくは20分から40分)に収まった場合に逆洗後の濁度上昇と判定する。その他は、逆洗以外の理由による上昇として無視する。ピーク幅があまり短い時間、例えば10分以下であると、突発的な濁度の変動であると考えられ、ピーク幅があまり長い時間、例えば60分以上であると、逆洗ではなく、浄水処理自体の失敗等が原因であると考えられる。
(標準偏差判定法)
また、標準偏差判定法(本発明の参考となる形態に係る方法)の説明をするグラフを図3に示す。標準判定法としては、以下の手順により、逆洗後の濁度上昇を判定する。
1)濁度の現在値から一定期間(例えば60分)さかのぼって、濁度又は微粒子数の平均値mと標準偏差σとを計算する。
2)濁度の現在値≧m+Nσとなった場合(Nは自然数であって、例えば2〜6が好ましく、3〜6がより好ましく、6が最も好ましい。また、Nと同じか、又はよりも大きい値である。)、逆洗後の濁度上昇の可能性があるとして、濁度ピーク値TBmaxと次に記すピーク幅の判定を行う。
3)濁度≧m+Nσ(Nは自然数であって例えば例えば2〜6が好ましく、2〜3がより好ましく、3が最も好ましい。)となった時点から、TBmaxの時刻Aまでの時間をTとし、時刻Aから濁度が濁度ピーク値と前記平均値との差の40〜60%の値と、前記平均値との和の値となった時点までの時間(例えば50%と設定すると、時刻Aから(TB≦(TBmax−m)/2+m)となる時刻までの時間)をTとして、濁度ピーク幅T=(T+T)等を計算する。
4)Tが一定時間の範囲(処理原水の性状や急速ろ過池の構成により異なるが、例えば、10分〜60分、より好ましくは20分〜40分)に収まった場合に逆洗後の濁度上昇と判定する。その他は、逆洗以外の理由による上昇として無視する。
(データの記録)
逆洗後の濁度上昇であると判定されたデータは、例えばCSVファイル等の形式でパソコンの記録媒体に記憶される。フォーマットの例を表1に示す。なお、逆洗直後のろ過水データは、濁度だけでもよいが、測定器として微粒子カウンタを追加、あるいは特許第3672518号公報に開示される微粒子カウント方式の高感度濁度計を使用すれば、微粒子数のピーク値も記録することが可能である。
また、本発明のプログラムは、濁度測定手段6が、ろ過池を通過したろ過水の濁度又は微粒子数を測定するステップと、情報処理手段8が、測定ステップにより得られ、濁度測定手段6から情報処理手段8へ送られた測定値が予め設定された閾値を超えた場合に、逆流洗浄後の上昇した濁度又は微粒子数であるか否かを判断するステップと、情報処理手段8が、判断ステップにより判断された測定値を逆流洗浄後の濁度又は微粒子数であると判断した場合に、その測定値に関する情報を記録媒体へ記録するステップとをコンピュータに実行させる。逆洗後の濁度上昇を判断するステップや、データの記録をするステ
ップは、上述した方法と同様に実行させることができる。プログラムにより各ステップを実行するように指示するコンピュータは、情報処理手段8であってもよいし、通信変換器7や中央監視装置とすることもできる。
また、本発明のプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体は、例えば、情報処理手段8に取り込まれ、情報処理手段8は、上述したステップを各手段に実行させるように機能する。
(実施例1)
図1に示す構成により、急速ろ過池のドレイン弁から試料水をサンプリングし、高感度濁度計で当該試料水を測定するシステムにより、逆洗後の濁度上昇を測定した。使用した濁度計の測定値の通信出力(RS485)は信号変換器により、RS232Cに変換され、パソコンでデータ収集を行うようになった。
ろ過池の逆洗時において、スローダウンを実施した場合、逆洗後の濁度は図4のように変化した。スローダウン時間の設定(0分及び2分)により、濁度ピーク値が異なっているが、このピーク値は原水水質、浄水場の施設要件や運転条件の影響も受ける。
ここで、本発明の逆洗判定方法(閾値判定法)によれば、スローダウンの設定時間毎に濁度ピーク値を自動的に求めることができる。すなわち、スローダウン時間0分の場合、閾値aとなる濁度を0.05度に設定したため、10:06以降は、逆洗後の濁度上昇の可能性があると判定された。また、濁度ピーク値(TBmax)は0.20度、平均値は0.02度であった。よって、TBmaxとmとの差の10%の値と、mとの和の値となる時点をTの開始時点、TBmaxとmとの差の50%の値と、mとの和の値となる時点をTの終了時とすると、(TBmax−m)×-10%+mは0.038度、(TBmax−m)×50%+mは0.11度となり、0.038度を超えた時点から濁度ピークまでの時間Tは20分、濁度ピーク時点から0.11度となる時点までの時間Tは10分となり、ピーク幅Tは30分と計算された。ここで、ピーク幅が10〜60分の範囲内のときに逆洗後の濁度上昇と判定することに設定すれば、本図における濁度パターンは、逆洗後のデータと判定され、濁度ピーク値、ピーク幅、濁度ピーク時刻等が自動的に記録される。
図5はスローダウンの設定時間と濁度ピーク値との関係を示すグラフである。このように、スローダウンの設定時間を長く設定することにより、濁度ピークの上昇を抑えることができた。例えば、濁度ピーク値の許容値を0.1度に設定するならば、スローダウンの設定時間は2分に設定すればよいことになる。そこで、全てのろ過池のスロースタート時間は、2分に設定した。なお、本実施例のようなスロースタート時間の検証は、季節を変えて実施し、水温による違いを把握したり、降雨時に実施することにより、原水濁度による違いを把握したりすることも重要である。
また、スローダウンの実際の工程は、図6に示すように流速を多段階にして落としていくこともできる。流速を落とす段階数とスローダウンの時間の設定を適正化する際にも本発明の方法は非常に有効である。すなわち、本発明によれば、自動的に逆洗後の最大値をチェックし、データベース化も自動的に行われるので、データ整理の作業を効率的に行う事ができる。
(実施例2)
次に、図7に示すような急速ろ過池のドレイン弁から試料水をサンプリングし、微粒子数の測定が可能な微粒子カウント方式の濁度計で当該試料水を測定するシステムにより逆洗後の濁度上昇を測定した。当該濁度計の測定値の通信出力(RS485)は、Web画面の保存やデータの解析機能を持たせたインテリジェントデータ収集装置(ガジェットサービスアダプタ:GSA)に蓄えられ、LANを経由してパソコンで測定値や解析結果を閲覧する事ができる。
ろ過池の逆洗において、スロースタートを実施した場合、ろ過開始後の微粒子数は、図8のように変化し、スロースタート時間の設定(0分及び10分)によって、微粒子数のピーク値が異なることが分かった。
ここで、本実施例では、微粒子数のデータとして、3μm以上の微粒子数を対象として、データを解析した。3μm以上の微粒子数を扱うことで、クリプトスポリジウム相当径の粒子に対象を絞る事ができる。さらに、逆洗後以外の通常時における3μm以上の微粒子の測定値は低いので、逆洗後のピーク値は濁度ピーク値よりはっきり捉えることができるという利点がある。
上記のように微粒子数を測定対象とした場合、本発明の参考となる形態に係る逆洗判定方法(標準偏差判定法)によれば、スロースタートの設定時間毎に微粒子数のピーク値を自動的に求めることができる。すなわち、スロースタート時間0分の場合、逆洗前の微粒子数平均値mが20個/mL、標準偏差σが3個/mLであったので、N 及びを6とすると、微粒子数が閾値(m+6σ=)38個/mLを超えた12:05に、逆洗後の微粒子数上昇の可能性があると判定される。また、N 及びなので、Tは、閾値を超えてから微粒子ピーク値(PCmax)までの時間となる。微粒子数ピーク値(PCmax)が100個/mLであって、(PCmax−m)×50%+mになる時点をTの終了時とすると、
(PCmax−m)×50%+mは60個となる。よって、Tは25分、Tは10分となり、ピーク幅Tは35分と計算された。ここで、ピーク幅が10〜60分のときに逆洗後の微粒子数上昇と判定するとすれば、本図における微粒子数パターンは、逆洗後のデータと判定され、微粒子数ピーク値、ピーク幅の他に、濁度ピーク値、ピーク時刻等が記録される。
図9はスロースタート時間と微粒子数ピーク値との関係を占めすグラフである。微粒子数ピーク値の許容値を50個/mLに設定するならば、スロースタートの設定時間は10分に設定すればよいことになる。なお、本実施例のようなスロースタート時間の検証は、スローダウンの検証と同様に、季節を変えて実施し、水温による違いを把握したり、降雨時に実施することにより、原水濁度による違いを把握したりすることも重要である。
また、スロースタートの実際の工程も、スローダウンと同様に流速の変化を多段にすることも考えられ、図10に示すようにろ過開始後のろ過流速を多段階に上昇させることが可能である。ろ過流速を上昇させる段階数とスロースタート時間を適正化に対しても本発明の方法は非常に有効である。
1 着水井
2 混和池
3 フロック形成池、沈殿池
4 急速ろ過池
5 浄水池
6 濁度測定手段
7 信号変換器
8 情報処理手段
9 データ収集装置
11 ドレイン弁
12 サンプル弁

Claims (7)

  1. ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する方法であって、
    前記ろ過池を通過したろ過水の濁度又は微粒子数を時系列的に測定するステップと、
    前記測定ステップにより得られた測定値が閾値を超えた場合に、逆流洗浄後の濁度又は微粒子数が上昇していた時間を算出するステップと、
    前記濁度又は微粒子数が上昇していた時間が、一定時間の範囲内であるときに、逆洗が行われたと判断するステップであって、前記逆洗後の濁度又は微粒子数が上昇していた時間が、測定した濁度又は微粒子数のピークの値と閾値を超える前の測定値の平均値との差の5〜20%の値と、前記平均値との和の値となる測定値の時から、ピーク経過後であってピーク値と前記平均値との差の40〜60%の値と、前記平均値との和の値となる測定値の時までの時間であるステップ
    を含む方法。
  2. 前記判断ステップにより逆流洗浄後の濁度又は微粒子数であると判断された場合に、その測定値に関する情報を記録するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
  3. ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する装置であって、
    前記ろ過池を通過したろ過水の濁度又は微粒子数を時系列的に測定する手段と、
    前記測定ステップにより得られた測定値が閾値を超えた場合に、逆流洗浄後の濁度又は微粒子数が上昇していた時間を算出し、前記濁度又は微粒子数が上昇していた時間が、一定時間の範囲内であるときに、逆洗が行われたと判断する手段であって、前記逆洗後の濁度又は微粒子数が上昇していた時間が、測定した濁度又は微粒子数のピークの値と閾値を超える前の測定値の平均値との差の5〜20%の値と、前記平均値との和の値となる測定値の時から、ピーク経過後であってピーク値と前記平均値との差の40〜60%の値と、前記平均値との和の値となる測定値の時までの時間である手段
    とを含む装置。
  4. 前記判断手段により逆流洗浄後の濁度又は微粒子数であると判断された場合に、前記判断手段が、その測定値に関する情報をさらに記録する請求項3に記載の装置。
  5. ろ過池通過後のろ過水の濁度又は微粒子数の測定値から逆洗を判定する方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    前記ろ過池を通過したろ過水の濁度又は微粒子数を時系列的にコンピュータが濁度測定手段に測定させるステップと、
    前記測定ステップにより得られた測定値が閾値を超えた場合に、逆流洗浄後の濁度又は微粒子数が上昇していた時間をコンピュータに算出させるステップと、
    前記濁度又は微粒子数が上昇していた時間が、一定時間の範囲内であるときに、逆洗が行われたとコンピュータに判断させるステップであって、前記逆洗後の濁度又は微粒子数が上昇していた時間が、測定した濁度又は微粒子数のピークの値と閾値を超える前の測定値の平均値との差の5〜20%の値と、前記平均値との和の値となる測定値の時から、ピーク経過後であってピーク値と前記平均値との差の40〜60%の値と、前記平均値との和の値となる測定値の時までの時間であるステップとを
    コンピュータに実行させるためのプログラム。
  6. 前記逆洗が行われたとコンピュータに判断させるステップにより逆流洗浄後の濁度又は微粒子数であると判断された場合に、その測定値に関する情報をコンピュータに記録させるステップをさらに実行させることを含む請求項5に記載のプログラム。
  7. 請求項5又は6に記載のプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
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