JP7278900B2 - ろ過膜の洗浄効果の評価方法及びろ過膜の洗浄方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、ろ過膜を効率的に洗浄可能なろ過膜の洗浄方法を提供することを目的とする。
なお、ろ過膜の孔径は、AMST F316-86に準拠して測定することができる。
また、本発明によれば、ろ過膜を効率的に洗浄可能なろ過膜の洗浄方法を提供することができる。
これにより、被処理水中に含まれる懸濁物質量が少なくろ過膜30が閉塞するまでの時間が比較的長いような場合において、定期的に逆洗工程を実施する場合と比較して、ろ過の継続時間を長くすることができる。このようにして、膜ろ過システム100においてろ過膜30がろ過を中断して逆洗するタイミングをできるだけ少なくすることにより、膜ろ過システム100のろ過効率を高めることができる。反対に、上記のような制御により、被処理水中に含まれる懸濁物質量が多くろ過膜30が閉塞するまでの時間が比較的短いような場合において、膜差圧が過度に高まるよりも前に逆洗を開始することができるので、ろ過膜30によるろ過性能を迅速に回復させることができる。このことによっても、膜ろ過システム100のろ過効率を高めることができる。
サブステップAでは、ろ過中にろ過膜に流入した流入懸濁物質量SS1、言い換えれば、直近のろ過開始時点から、それに続く逆洗工程開始時点までの期間(以下、「ろ過期間」とも称する。)に、ろ過膜30に対して供給された被処理水中の懸濁物質量を得る。例えば、流入懸濁物質量SS1を求める方法としては、ろ過膜でろ過された被処理水の量と、被処理水中の懸濁物質の濃度とを用いる方法が挙げられる。具体的には、流入懸濁物質量SS1は、被処理水の流量および被処理水中の懸濁物質の濃度を連続的に測定し、測定された被処理水の流量と被処理水中の懸濁物質の濃度との乗算値を積算することにより、被処理水の流量や懸濁物質の濃度が経時変化する場合であっても正確に求めることができる。また、ろ過中に被処理水の流量および懸濁物質の濃度が殆ど変化しない場合には、被処理水の流量と、被処理水中の懸濁物質の濃度と、被処理水のろ過時間とを乗算することにより、簡便に求めることができる。
サブステップBでは、逆洗工程にて生じた逆洗排水中の逆洗排水懸濁物質量SS2を得る。より具体的には、サブステップBでは、逆洗工程において二次側領域からろ過膜30を経て一次側領域へと流出した逆洗排水中の懸濁物質量を得る。逆洗排水懸濁物質量SS2は、例えば、逆洗排水量の全量に対して、逆洗排水SS濃度計53により測定した逆洗排水の懸濁物質濃度値を乗じることにより、算出することができる。あるいは、流入懸濁物質量SS1の場合と同様に、逆洗排水の流量及び逆洗排水中の懸濁物質の濃度を連続的に測定し、測定された流量と懸濁物質の濃度との乗算値を積算することによっても、逆洗排水懸濁物質量SS2を得ることができる。なお、逆洗排水中の懸濁物質の濃度の測定は、上記したような、東亜ディーケーケー株式会社製SS濃度計(SSF-1600)等を用いることができる。さらには、逆洗排水量の全量に対して、「水質汚濁に関わる環境基準の付表9(環境省)」に記載の方法を適用することによっても、逆洗排水懸濁物質量SS2を算出することができる。
サブステップCでは、流入懸濁物質量SS1を100%とした場合の、逆洗排水懸濁物質量SS2の比率(懸濁物質回収率)に基づいて、逆洗工程の洗浄効果を評価する。対応する式を下記に示す。
懸濁物質回収率(%)=SS2/SS1×100
ろ過膜としては、セラミック膜(孔径:0.1μm)を使用した。
水道水に対して、カオリン50mg/L及びベントナイト50mg/Lを添加して調製した人工原水を被処理水とした。
懸濁物質濃度計(東亜ディーケーケー株式会社製、SS濃度計、「SSF-1600」、測定波長:890nm)及び流量計を用いて、流入懸濁物質量SS1及び逆洗排水懸濁物質量SS2を測定し、下式に基づいて懸濁物質回収率を算出した。
懸濁物質回収率(%)=SS2/SS1×100
図1に示す水処理システムに備えられた、一次側圧力計16の測定値及び二次側圧力計17の測定値、及びこれらの設置高さの差に起因する圧力及び配管通水圧損などのバイアスを用いて、下式に基づいて、ろ過膜30の差圧を算出した。膜差圧の値によれば、ろ過膜のろ過性能を把握することができる。例えば、逆洗工程を経たろ過膜の膜差圧が直前のろ過を開始する時点と同等の値まで低下していれば、逆洗工程により膜差圧が十分に回復し得たことを意味する。
差圧=(一次側圧力計16の測定値)-(二次側圧力計17の測定値)-(バイアス)
水処理システムに被処理水を供給して、膜ろ過流束が12m/dとなるようにろ過を開始した。6時間毎に、ろ過を停止し、得られたろ過水の一部(0.5%)を逆洗水として用いた逆洗工程を実施した。逆洗工程における逆洗圧力は、流入懸濁物質量SS1に基づいて決定され得る所定の値とした。また、逆洗工程にて用いた逆洗水の水量(以下、「逆洗水量」ともいう)は複数回の逆洗工程のすべてを通じて一定の値とした。逆洗工程終了時点におけるSS回収率を測定したところ、100%であった。このようなろ過-逆洗工程を繰り返し(5回)行った場合の、ろ過時の膜差圧の上昇カーブを取得した。結果を図2に示す。
差圧回復率が100%となる逆洗圧力を予め求めておき、逆洗工程において、かかる逆洗圧力にて逆洗を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。すなわち、ろ過流束及び逆洗水量等は、実施例1と同じとした。このようなろ過-逆洗工程を繰り返し(5回)行った場合の、ろ過時の膜差圧の上昇カーブを取得した。結果を図2に示す。
図1に示す構成に加えて、逆洗排水の濁度を経時的に測定可能な濁度計(図示せず)を備える水処理システムを用い、逆洗工程において逆洗排水の濁度を経時的にモニターして、濁度がゼロとなる時点を逆洗工程の終期として決定した以外は、実施例1と同様の操作を行った。このようなろ過-逆洗工程を繰り返し(4回)行った場合の、ろ過時の膜差圧の上昇カーブを取得した。結果を図2に示す。
また、図2において破線2で示すように、膜差圧に基づいて設定した逆洗条件に従って逆洗工程を行った比較例2では、逆洗直後の膜差圧の値こそ、実施例1と同様に低いものの、ろ過時の膜差圧の上昇カーブの勾配が実施例1と比較して急であったことがわかる。さらに、破線3で示すように、繰り返しの逆洗を経た後に、膜差圧を回復させることができなくなったことがわかる。これは、逆洗により膜差圧が十分に低くなった場合であっても、ろ過膜全体のうち洗浄効果が良好であった箇所が、膜差圧の値を低くするように作用した結果、膜差圧によってはろ過膜全体の洗浄効果を適切に評価することができなかったためであると推察される。
さらにまた、図2において破線4で示すように、逆洗排水の濁度に基づいて逆洗工程の終期を決定しつつ、繰り返しの逆洗を行った比較例2では、逆洗工程を経ても膜差圧が回復しなかったことがわかる。これは、逆洗排水の濁度がゼロであるような場合でも、ろ過膜に懸濁物質が残留した状態となっており、逆洗排水の濁度をモニタリングしただけでは、逆洗による効果を適切に評価することができなかったためであると推察される。
また、本発明のろ過膜の洗浄方法によれば、ろ過膜を効率的に洗浄することができる。
11 第1被処理水ライン
12 第2被処理水ライン
13 被処理水ポンプ
14 被処理水弁
15 流量計
16 一次側圧力計
17 二次側圧力計
20 容器
30 ろ過膜
40 ろ過水ライン
41 ろ過水弁
50 逆洗排水ライン
51 逆洗排水弁
52 逆洗排水槽
53 逆洗排水SS濃度計
60 被処理水SS濃度計
100 膜ろ過システム
Claims (4)
- 被処理水をろ過した後のろ過膜を洗浄するろ過膜の洗浄方法であって、該洗浄方法は、
前記ろ過膜を逆流洗浄する、逆洗工程と、
前記逆洗工程の洗浄効果を評価する評価工程と、を含み、
前記評価工程において、
ろ過中に前記ろ過膜に流入した流入懸濁物質量SS1を得るサブステップと、
前記逆洗工程にて生じた逆洗排水中の逆洗排水懸濁物質量SS2を得るサブステップと、
前記流入懸濁物質量SS1を100%とした場合の、前記逆洗排水懸濁物質量SS2の
比率である、(SS2/SS1)%の値に基づいて、前記逆洗工程の洗浄効果を評価する
サブステップと、を実施することを含み、さらに、
前記評価工程にて得られた評価結果に基づいて前記逆洗工程を実施する間隔を定めることを含む、
ろ過膜の洗浄方法。 - 前記逆洗工程を複数回実施するにあたり、前回(n回目)の逆洗工程における(SS 2 /SS 1 )%の値が95%以上の場合、(n+1)回目の逆洗工程を開始するまでの間隔を、n回目の逆洗工程を実施した際の間隔よりも長くし、n回目の逆洗工程における(SS 2 /SS 1 )%の値が90%以下の場合、(n+1)回目の逆洗工程を開始するまでの間隔をn回目の逆洗工程を実施した際の間隔よりも短くし、n回目の逆洗工程における(SS 2 /SS 1 )%の値が90%超95%未満の場合、(n+1)回目の逆洗工程を開始するまでの間隔をn回目の逆洗工程を実施した際の間隔と同じにすることを含む、請求項1に記載のろ過膜の洗浄方法。
- 前記逆洗工程を実施している間に前記評価工程を実施することを含み、
前記逆洗工程において逆洗終期を決定するにあたり、前記評価工程で得た、前記(SS2/SS1)%の値が、90%以上の所定の値となった時点を、前記逆洗終期とする、
請求項1又は2に記載のろ過膜の洗浄方法。 - 前記ろ過膜の孔径が0.1μm以上1μm以下である、請求項1~3の何れかに記載のろ過膜の洗浄方法。
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