JP5282824B2 - 内燃機関の空燃比気筒間インバランス判定装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比気筒間インバランス判定装置 Download PDF

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Description

本発明は、多気筒内燃機関に適用され、各気筒に供給される混合気の空燃比の不均衡(空燃比気筒間インバランス、空燃比気筒間ばらつき、気筒間における空燃比の不均一性)が過度に大きくなったことを判定(監視・検出)することができる「内燃機関の空燃比気筒間インバランス判定装置」に関する。
従来から、内燃機関の排気通路に配設された三元触媒と、同排気通路であって同三元触媒の上流及び下流にそれぞれ配置された上流側空燃比センサ及び下流側空燃比センサと、を備えた空燃比制御装置が広く知られている。この空燃比制御装置は、機関に供給される混合気の空燃比(機関の空燃比)が理論空燃比と一致するように、上流側空燃比センサの出力と下流側空燃比センサの出力とに基いて空燃比フィードバック量を算出し、その空燃比フィードバック量により機関の空燃比をフィードバック制御するようになっている。更に、上流側空燃比センサの出力及び下流側空燃比センサの出力の何れか一方のみに基づいて空燃比フィードバック量を算出し、その空燃比フィードバック量により機関の空燃比をフィードバック制御する空燃比制御装置も提案されている。このような空燃比制御装置において使用される空燃比フィードバック量は、全気筒に対して共通する制御量である。
ところで、一般に、電子燃料噴射式内燃機関は、各気筒又は各気筒に連通した吸気ポートに少なくとも一つの燃料噴射弁を備えている。従って、ある特定の気筒の燃料噴射弁の特性が「指示された燃料噴射量よりも過大な量の燃料を噴射する特性」となると、その特定の気筒に供給される混合気の空燃比(その特定気筒の空燃比)のみが大きくリッチ側に変化する。即ち、気筒間における空燃比の不均一性(空燃比気筒間ばらつき、空燃比の気筒間インバランス)が大きくなる。換言すると、気筒別空燃比の間に不均衡が生じる。
この場合、機関全体に供給される混合気の空燃比の平均は、理論空燃比よりもリッチ側の空燃比となる。従って、全気筒に対して共通する空燃比フィードバック量により、上記特定の気筒の空燃比は理論空燃比に近づけられるようにリーン側へと変更され、同時に、他の気筒の空燃比は理論空燃比から遠ざけられるようにリーン側へと変更させられる。この結果、機関に供給される混合気の全体の空燃比の平均は略理論空燃比に一致させられる。
しかしながら、上記特定の気筒の空燃比は依然として理論空燃比よりもリッチ側の空燃比となり、残りの気筒の空燃比は理論空燃比よりもリーン側の空燃比となるから、各気筒における混合気の燃焼状態は完全燃焼とは相違した燃焼状態となる。この結果、各気筒から排出されるエミッションの量(未燃物の量及び窒素酸化物の量)が増大する。このため、機関に供給される混合気の空燃比の平均が理論空燃比であったとしても、増大したエミッションを三元触媒が浄化しきれず、結果として、エミッションが悪化する虞がある。
従って、気筒間における空燃比の不均一性が過大になっていること(空燃比気筒間インバランス状態が発生していること)を検出し、何らかの対策を講じさせるようにすることはエミッションを悪化させないために重要である。なお、空燃比気筒間インバランスは、特定の気筒の燃料噴射弁の特性が「指示された燃料噴射量よりも過小な量の燃料を噴射する特性」となった場合にも発生する。
このような空燃比気筒間インバランス状態が発生したか否かを判定する従来の装置の一つは、複数の気筒からの排ガスが集合する排気集合部に配設された空燃比センサ(上記上流側空燃比センサ)の出力(出力信号)の軌跡長を取得し、その軌跡長と「機関回転速度及び吸入空気量に応じて変化する参照値」とを比較し、その比較結果に基づいて空燃比気筒間インバランス状態が発生したか否かを判定するようになっている(例えば、米国特許第7,152,594号を参照。)。なお、「過度の空燃比気筒間インバランス状態」が発生したか否かの判定は、単に「空燃比気筒間インバランス判定、又は、インバランス判定」とも称呼される。「過度の空燃比気筒間インバランス状態」とは、未燃物及び/又は窒素酸化物が規定値を超えるような空燃比気筒間インバランス状態のことである。
ところで、発明者は、燃料タンク内に発生した蒸発燃料ガスが吸気通路に流入させられている場合(所謂、「エバポパージ中」)、その蒸発燃料ガスの影響が気筒別空燃比に現れ、インバランス判定が精度良く行われ得ない場合があるとの知見を得た。
より具体的に述べると、いま、4気筒機関の第1気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁の特性が、指示された燃料噴射量よりも40%多くなった空燃比気筒間インバランス状態が発生したと仮定する。更に、この機関の全体に供給される燃料の量が400(単位は重量)であるとき、機関の全体に供給される混合気の空燃比(機関の空燃比)の平均が理論空燃比になると仮定する。即ち、理論空燃比をSt(例えば、14.7)とすると、吸入空気量G(単位は重量)は400・St(St=G/400)であると仮定する。以下、第N気筒(Nは自然数)に燃料を噴射する燃料噴射弁を第N気筒の燃料噴射弁とも称呼する。また、第N気筒の燃料噴射弁から噴射される燃料の量を「第N気筒の燃料噴射量」とも称呼する。
このとき、上述した空燃比のフィードバック制御により、機関の空燃比の平均が理論空燃比に一致したとすると、各燃料噴射弁の燃料噴射量は次のようになる。
第1気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:127=400・{1.4/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
第2気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:91=400・{1.0/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
第3気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:91=400・{1.0/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
第4気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:91=400・{1.0/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
機関全体に供給される合計燃料量 :400
従って、上記の例において、インバランス気筒である第1気筒の燃料噴射量と、非インバランス気筒である第2〜第4気筒のそれぞれの燃料噴射量と、の差は、「36(=127−91)」となる。
これに対し、第1気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁の特性が指示された燃料噴射量よりも40%多くなった空燃比気筒間インバランス状態が発生していて、且つ、一つの気筒あたりに蒸発燃料ガスが「燃料噴射量の25%」分に相当する量だけ供給されたと仮定する。即ち、蒸発燃料ガスにより燃料が機関全体に100(単位は重量)だけ供給され、且つ、蒸発燃料ガスが各気筒に均等に吸入されたと仮定する。この場合、上述した空燃比フィードバック制御により、機関の空燃比の平均が理論空燃比に一致したとすると、各燃料噴射弁からの燃料噴射量は次のようになる。
第1気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:96=(400−100)・{1.4/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
第2気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:68=(400−100)・{1.0/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
第3気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:68=(400−100)・{1.0/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
第4気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:68=(400−100)・{1.0/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
蒸発燃料ガスによる機関への燃料供給量:100(1気筒あたり25)
機関全体に供給される合計燃料量 :400
従って、各気筒に供給される燃料量は、次のようになる。
第1気筒に供給される燃料量:121=96+25
第2気筒に供給される燃料量:93=68+25
第3気筒に供給される燃料量:93=68+25
第4気筒に供給される燃料量:93=68+25
機関全体に供給される合計燃料量 :400
従って、この場合において、インバランス気筒である第1気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量と、非インバランス気筒である第2〜第4気筒のそれぞれの燃料噴射弁の燃料噴射量と、の差は、「28(=96−68)」となる。
この例からも理解されるように、ある気筒の燃料噴射弁の特性が同じ程度のインバランス状態を発生させる特性(上記例においては第1気筒の燃料噴射弁が他の気筒の燃料噴射弁よりも40%多く燃料を噴射する状態)となっていたとしても、蒸発燃料ガスが各気筒に吸引されていない場合と、蒸発燃料ガスが各気筒に吸引されている場合と、において、インバランス気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量と非インバランス気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量との差が相違し、インバランス気筒に供給される燃料の量と非インバランス気筒に供給される燃料の量との差が相違してしまう。即ち、蒸発燃料ガスの影響により、インバランス気筒の空燃比と非インバランス気筒の空燃比との差が変化してしまう。従って、蒸発燃料ガスの影響を考慮することなく、燃料噴射弁の特性変化に起因する空燃比気筒間インバランスが発生しているか否かを空燃比センサの出力に基づいて判定すると、その判定を誤る虞がある。
本発明は、上述した問題に対処するためになされたものであり、その目的の一つは、蒸発燃料ガスの影響により誤判定する可能性が低い空燃比気筒間インバランス判定装置を提供することにある。
本発明の空燃比気筒間インバランス判定装置(以下、単に「本判定装置」とも称呼する。)は、複数の気筒を有する多気筒内燃機関に適用される。
本判定装置は、空燃比センサ、複数の燃料噴射弁、パージ通路部、パージ量制御手段、インバランス判定用パラメータ取得手段、インバランス判定手段、及び、インバランス判定実行可否決定手段、を備える。
前記空燃比センサは、「前記複数の気筒のうちの少なくとも2以上の気筒から排出された排ガスが集合する前記機関の排気通路の排気集合部」又は「その排気通路であって前記排気集合部よりも下流側の部位」に配設される。前記空燃比センサは、その空燃比センサに到達した排ガスの空燃比に応じた出力値を空燃比センサ出力として発生する。
前記複数の燃料噴射弁は、前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれに対応して配設されるとともに、その2以上の気筒のそれぞれの燃焼室に供給される混合気に含まれる燃料をそれぞれ噴射する。即ち、燃料噴射弁は、一つの気筒に対して一つ以上設けられている。各燃料噴射弁は、その燃料噴射弁に対応する気筒に対して燃料を噴射する。
前記パージ通路部は、前記複数の燃料噴射弁に供給される燃料を貯蔵する燃料タンク内に発生した蒸発燃料ガスを前記機関の吸気通路に導入するための通路を構成する。
前記パージ量制御手段は、前記パージ通路部を通して前記機関の吸気通路に流入する前記蒸発燃料ガスの量である蒸発燃料ガスパージ量を制御する。
前記インバランス判定用パラメータ取得手段は、「前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれに供給される混合気の空燃比」である気筒別空燃比の間の差が大きいほど「大きくなるか又は小さくなるインバランス判定用パラメータ」を、前記空燃比センサの出力値に基づいて取得する。
例えば、前記インバランス判定用パラメータは、「前記空燃比センサの出力値又は同出力値により表される空燃比(検出空燃比)」の軌跡長、「前記空燃比センサの出力値又は前記検出空燃比」の変化率(時間についての微分値、検出空燃比変化率)に応じた値、「前記空燃比センサの出力値又は前記検出空燃比」の変化率の変化率(時間についての二階微分値、検出空燃比変化率の変化率)に応じた値、等であってもよい。これらの値は、上記気筒別空燃比の間の差が大きくなるほど大きくなる値である。更に、インバランス判定用パラメータは、これらの値の逆数であってもよい。この場合、インバランス判定用パラメータは、上記気筒別空燃比の間の差が大きくなるほど小さくなる値となる。更に、インバランス判定用パラメータは、例えば、単位燃焼サイクル期間における「前記空燃比センサの出力値又は前記検出空燃比」の最大値又は最小値であってもよい。この最大値は、一般に、上記気筒別空燃比の間の差が大きくなるほど大きくなる値である。この最小値は、一般に、上記気筒別空燃比の間の差が大きくなるほど小さくなる値である。なお、単位燃焼サイクル期間とは、「前記空燃比センサに到達する排ガスを排出している総ての気筒(即ち、前記少なくとも2以上の気筒)において各一回の燃焼行程が終了するのに要するクランク角が経過する期間」のことである。
前記インバランス判定手段は、前記取得されたインバランス判定用パラメータと所定のインバランス判定用閾値とを比較し、その比較の結果に基づいて「空燃比気筒間インバランス状態が発生したか否か」について判定する。例えば、インバランス判定用パラメータが、上記気筒別空燃比の間の差が大きくなるほど大きくなる値であれば、前記インバランス判定手段は、そのインバランス判定用パラメータがインバランス判定用閾値よりも大きいとき、空燃比気筒間インバランス状態が発生したと判定する。或いは、インバランス判定用パラメータが、上記気筒別空燃比の間の差が大きくなるほど小さくなる値であれば、前記インバランス判定手段は、そのインバランス判定用パラメータがインバランス判定用閾値よりも小さいとき、空燃比気筒間インバランス状態が発生したと判定する。この判定は、「インバランス判定」とも称呼される。即ち、インバランス判定手段は、インバランス判定を実行する。
前記インバランス判定実行可否決定手段は、前記吸気通路に流入する前記蒸発燃料ガスが「前記インバランス判定用パラメータを「所定の許容量」以上変化させるような状態」、即ち、蒸発燃料ガス影響発生状態、が発生しているか否かを判定する。更に、前記インバランス判定実行可否決定手段は、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定されたとき、前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止することにより前記インバランス判定の実行を事実上禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行そのものを禁止する。前記インバランス判定の実行を禁止することには、前記インバランス判定の結果を無効化すること(正式なインバランス判定の結果として採用しないこと)が含まれる。更に、前記「所定の許容量」は、必ずしも一定値である必要はない。
これによれば、「前記インバランス判定用パラメータを前記所定の許容量以上変化させるような状態」において、インバランス判定用パラメータが取得されないか又はインバランス判定が実行されない。従って、特定の気筒の燃料噴射弁の噴射特性が他の気筒の燃料噴射弁の噴射特性と大きく相違している状態であるにもかかわらず、蒸発燃料ガスの影響により空燃比気筒間インバランス状態が発生していないと判定してしまう可能性を低減することができる。
この場合、本判定装置は、前記空燃比センサの出力値により表される空燃比が所定の目標空燃比に一致するように「前記複数の燃料噴射弁のそれぞれから噴射される燃料の量」である燃料噴射量を「同空燃比センサの出力値と同目標空燃比とに基づいて算出される空燃比フィードバック量」により補正するフィードバック制御手段を備えていることが望ましい。
これによれば、インバランス判定を実行している場合において、エミッションが悪化することを回避することができる。
更に、前記フィードバック制御手段は、
「前記空燃比フィードバック量の一部をなす補正量」であって、前記蒸発燃料ガスが前記吸気通路に流入することによる「前記2以上の気筒のそれぞれの燃焼室に供給される混合気の空燃比」の変化、を抑制するための補正量(即ち、「蒸発燃料ガスパージ補正量」)を、前記空燃比センサの出力値に基づいて算出するように構成され、
前記インバランス判定実行可否決定手段は、
「前記蒸発燃料ガスパージ補正量」と「その蒸発燃料ガスパージ補正量の基準値」との差、の大きさが、所定のパージ影響判定用閾値よりも大きいとき前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定するように構成されることが好適である。「蒸発燃料ガスパージ補正量の基準値」とは、蒸発燃料ガスパージ補正量が「燃料噴射量を増加も減少もさせない場合の値(補正しない値)」のことである。
これによれば、蒸発燃料ガス影響発生状態が発生しているか否かを、蒸発燃料ガスパージ補正量に基づいて精度良く判定することができる。
更に、前記インバランス判定用パラメータ取得手段は、
前記蒸発燃料ガスパージ補正量に基づいて前記取得したインバランス判定用パラメータを補正することにより前記インバランス判定に用いられるインバランス判定用パラメータを取得する第1パラメータ補正手段を含むことが好適である。この補正は、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していないと判定されているときになされることが効果的である。
各燃料噴射弁の噴射特性の間に「ある相違」が生じている場合であっても、気筒別空燃比間の差は「蒸発燃料ガスに含まれる燃料の量が大きくなるほど」小さくなる。そこで、上記構成のように、実際に取得されたインバランス判定用パラメータを実際に算出された蒸発燃料ガスパージ補正量に基づいて補正することにより、インバランス判定に用いられるインバランス判定用パラメータを、蒸発燃料による影響を受けていない値であり、従って、各燃料噴射弁の噴射特性間の相違に基づく気筒別空燃比間の差を精度良く表す値、に修正することができる。その結果、空燃比気筒間インバランス判定を精度良く行うことができる。
代替として、前記インバランス判定手段は、
前記蒸発燃料ガスパージ補正量に基づいて前記インバランス判定用閾値を補正する第1判定用閾値補正手段を含むことが好適である。この補正は、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していないと判定されているときになされることが効果的である。
このように、インバランス判定用パラメータを修正することに代え(又は、その修正に加え)、インバランス判定用閾値を実際に算出された蒸発燃料ガスパージ補正量に基づいて補正すれば、インバランス判定用パラメータが蒸発燃料による影響を受けていたとしても、インバランス判定用閾値がその蒸発燃料による影響を反映した値へと修正される。その結果、各燃料噴射弁の噴射特性間の相違に基づく気筒別空燃比間の差が所定値に達したときに、空燃比気筒間インバランス状態が発生したと精度良く判定することができる。
ところで、機関が冷間始動された後の所定期間のように機関の暖機状態が進行しておらず、吸気ポート及び吸気弁等の吸気通路構成部材の温度が低いとき、燃料噴射弁から噴射された燃料の一部が吸気通路構成部材に比較的多量に付着する。更に、複数の燃料噴射弁のうち「その噴射特性がより多くの量の燃料を噴射してしまう特性」となっている燃料噴射弁から噴射された燃料の方が、「その噴射特性が正常な特性」である燃料噴射弁から噴射された燃料よりも、吸気通路構成部材により多く付着する。そのため、機関の暖機状態が所定の暖機状態に到達していないと、特定の気筒の燃料噴射弁の噴射特性が他の気筒の燃料噴射弁の噴射特性と大きく相違している状態であるにもかかわらず、インバランス判定用パラメータの変化幅が小さく、燃料付着量の影響により空燃比気筒間インバランス状態が発生していないと判定してしまう可能性がある。
そこで、本判定装置において、
前記インバランス判定実行可否決定手段は、
前記機関の暖機状態が所定の暖機状態に到達したか否かを判定するとともに、同機関の暖機状態が同所定の暖機状態に到達していないと判定されたとき前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行を禁止するように構成されていることが好ましい。
これによれば、特定の気筒の燃料噴射弁の噴射特性が他の気筒の燃料噴射弁の噴射特性と大きく相違している状態であるにもかかわらず、吸気通路構成部材に付着する燃料の影響により空燃比気筒間インバランス状態が発生していないと判定してしまう可能性を低減することができる。
この場合、前記インバランス判定実行可否決定手段は、
「前記機関の暖機状態が進むにつれて大きくなる暖機状態パラメータ(例えば、前記機関の冷却水の温度、冷却水温)」を取得するとともに、その取得された暖機状態パラメータが所定の暖機状態閾値よりも小さいとき、前記機関の暖機状態が前記所定の暖機状態に到達していないと判定するように構成され得る。
更に、前記インバランス判定用パラメータ取得手段は、
前記取得された暖機状態パラメータに基づいて前記取得したインバランス判定用パラメータを補正することにより前記インバランス判定に用いられるインバランス判定用パラメータを取得する第2パラメータ補正手段を含むことが望ましい。この補正は、前記取得された暖機状態パラメータが前記暖機状態閾値よりも大きいときになされることが効果的である。
これによれば、インバランス判定用パラメータを、燃料付着量による影響を受けない値であり、従って、各燃料噴射弁の噴射特性間の相違に基づく気筒別空燃比間の差を精度良く表す値、に修正することができる。その結果、空燃比気筒間インバランス判定を精度良く行うことができる。
代替として、前記インバランス判定手段は、
前記暖機状態パラメータに基づいて前記インバランス判定用閾値を補正する第2判定用閾値補正手段を含むことが好適である。この補正は、前記取得された暖機状態パラメータが前記暖機状態閾値よりも大きいときになされることが効果的である。
このように、インバランス判定用パラメータを修正することに代え(又は、その修正に加え)、インバランス判定用閾値を実際に取得された暖機状態パラメータに基づいて補正すれば、インバランス判定用パラメータが燃料付着量による影響を受けていたとしても、インバランス判定用閾値がその燃料付着量による影響を反映した値へと修正される。その結果、各燃料噴射弁の噴射特性間の相違に基づく気筒別空燃比間の差が所定値に達したときに、空燃比気筒間インバランス状態が発生したと精度良く判定することができる。
なお、インバランス判定用パラメータの取得を禁止したりインバランス判定の実行を禁止したりすることなく、前記蒸発燃料ガスパージ補正量及び/又は前記暖機状態パラメータに基づいて「前記インバランス判定用パラメータ及び/又は前記インバランス判定用閾値」を補正してもよい。これによれば、上述した説明からも明らかなように、燃料噴射弁の噴射特性に起因する空燃比気筒間インバランス状態が発生したか否かの判定を、蒸発燃料ガス及び/又は燃料付着に拘わらず、精度よく行うことができる。
図1は、本発明の各実施形態に係る空燃比気筒間インバランス判定装置が適用される内燃機関の概略構成を示した図である。 図2は、図1に示した機関の概略平面図である。 図3は、図1及び図2に示した空燃比センサ(上流側空燃比センサ)の部分概略斜視図(透視図)である。 図4は、図1及び図2に示した空燃比センサの部分断面図である。 図5の(A)〜(C)は、図1及び図2に示した空燃比センサが備える空燃比検出素子の概略断面図である。 図6は、排ガスの空燃比と空燃比センサの限界電流値との関係を示したグラフである。 図7は、排ガスの空燃比と空燃比センサの出力値との関係を示したグラフである。 図8は、排ガスの空燃比と図1及び図2に示した下流側空燃比センサの出力値との関係を示したグラフである。 図9は、空燃比気筒間インバランス状態が発生した場合と同状態が発生していない場合のインバランス判定用パラメータに関連する各値の挙動を示したタイムチャートである。 図10は、本発明の第1実施形態に係る空燃比気筒間インバランス判定装置(第1判定装置)のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図11は、第1判定装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図12は、第1判定装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図13は、第1判定装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図14は、第1判定装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図15は、第1判定装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図16は、第1判定装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図17は、第1判定装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図18は、本発明の第2実施形態に係る空燃比気筒間インバランス判定装置(第2判定装置)のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図19は、第2判定装置のCPUが参照するテーブルである。 図20は、本発明の第3実施形態に係る空燃比気筒間インバランス判定装置(第3判定装置)のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図21は、第3判定装置のCPUが参照するルックアップテーブルである。 図22は、本発明の第4実施形態及び第5実施形態に係る空燃比気筒間インバランス判定装置(第4判定装置及び第5判定装置)のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図23は、本発明の第6実施形態に係る空燃比気筒間インバランス判定装置(第6判定装置)のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図24は、本発明の第7実施形態に係る空燃比気筒間インバランス判定装置(第7判定装置)のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図25は、第7判定装置のCPUが参照するルックアップテーブルである。 図26は、本発明の第8実施形態に係る空燃比気筒間インバランス判定装置(第8判定装置)のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図27は、第8判定装置のCPUが参照するルックアップテーブルである。 図28は、本発明の第9実施形態に係る空燃比気筒間インバランス判定装置(第9判定装置)のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図29は、第9判定装置のCPUが参照するルックアップテーブルである。
以下、本発明の各実施形態に係る内燃機関の空燃比気筒間インバランス判定装置(以下、単に「判定装置」とも称呼する。)について図面を参照しながら説明する。この判定装置は、内燃機関に供給される混合気の空燃比(機関の空燃比)を制御する空燃比制御装置の一部であり、更に、燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御装置でもある。
各実施形態に係る判定装置は、空燃比センサの出力値により表される空燃比(検出空燃比)の時間微分値(検出空燃比変化率)に相当する値(空燃比変化率指示量)をインバランス判定用パラメータとして取得し、そのインバランス判定用パラメータを用いて空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
但し、インバランス判定用パラメータは、空燃比センサに排ガスが到達する少なくとも2以上の気筒のそれぞれに供給される混合気の空燃比の間の不均衡の程度が大きいほど大きくなるパラメータであって空燃比センサの出力値に基づいて算出されるパラメータであればよく、検出空燃比変化率に相当する値に限定されることはない。
具体的には、後に詳細な説明を加える図9から明らかなように、インバランス判定用パラメータは、空燃比センサの出力値の軌跡長、空燃比センサの出力値が空燃比に変換された値である検出空燃比の軌跡長、「空燃比センサの出力値又は検出空燃比」の変化率の変化率に応じた値(空燃比センサの出力値の時間に関する二階微分値、又は、空燃比センサの出力値により表される空燃比の時間に関する二階微分値)、単位燃焼サイクル期間における「空燃比センサの出力値又は検出空燃比」の最大値等であってもよい。また、インバランス判定用パラメータは、これらのパラメータの逆数、及び、単位燃焼サイクル期間における「空燃比センサの出力値又は検出空燃比」の最小値等、空燃比センサに排ガスが到達する少なくとも2以上の気筒のそれぞれに供給される混合気の空燃比の間の不均衡の程度が大きいほど小さくなるパラメータであってもよい。
<第1実施形態>
(構成)
図1は、第1実施形態に係る判定装置(以下、「第1判定装置」とも称呼する。)を、4サイクル・火花点火式・多気筒(直列4気筒)・内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。なお、図1は、特定気筒の断面のみを示しているが、他の気筒も同様な構成を備えている。
この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排ガスを外部に放出するための排気系統50と、を含んでいる。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23及びクランク軸24を含んでいる。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランク軸24に伝達され、これにより同クランク軸24が回転するようになっている。シリンダ21の壁面及びピストン22の上面は、シリンダヘッド部30の下面とともに燃焼室25を形成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を駆動するインテークカムシャフトを含むとともに同インテークカムシャフトの位相角を連続的に変更する可変吸気タイミング制御装置33、可変吸気タイミング制御装置33のアクチュエータ33a、燃焼室25に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉する排気弁35、排気弁35を駆動するエキゾーストカムシャフトを含むとともに同エキゾーストカムシャフトの位相角を連続的に変更する可変排気タイミング制御装置36、可変排気タイミング制御装置36のアクチュエータ36a、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38及び燃料を吸気ポート31内に噴射する燃料噴射弁(フューエルインジェクタ、燃料噴射手段、燃料供給手段)39を備えている。
燃料噴射弁39は、各気筒の燃焼室25一つに対して一つずつ配設されている。燃料噴射弁39は吸気ポート31に設けられている。燃料噴射弁39は、噴射指示信号に応答し、正常である場合に「その噴射指示信号に含まれる指示燃料噴射量の燃料」を対応する吸気ポート31内に噴射するようになっている。このように、複数の気筒のそれぞれは、他の気筒とは独立して燃料供給を行う燃料噴射弁39を備えている。
吸気系統40は、インテークマニホールド41、吸気管42、エアフィルタ43、及び、スロットル弁44を備えている。インテークマニホールド41は、複数の枝部41aとサージタンク41bとからなる。複数の枝部41aのそれぞれの一端は複数の吸気ポート31のそれぞれに接続されている。複数の枝部41aの他端はサージタンク41bに接続されている。吸気管42の一端はサージタンク41bに接続されている。エアフィルタ43は吸気管42の他端に配設されている。スロットル弁44は、吸気管42内にあって吸気通路の開口断面積を可変とするようになっている。スロットル弁44は、DCモータからなるスロットル弁アクチュエータ44aにより吸気管42内で回転駆動されるようになっている。
更に、内燃機関10は、液体ガソリン燃料を貯留する燃料タンク45、燃料タンク45内にて発生した蒸発燃料を吸蔵可能なキャニスタ46、前記蒸発燃料を含むガスを燃料タンク45からキャニスタ46へと導くためのベーパ捕集管47、キャニスタ46から脱離した蒸発燃料を「蒸発燃料ガス」としてサージタンク41bへと導くためのパージ流路管48、及び、パージ流路管48に配設されたパージ制御弁49を備えている。燃料タンク45に貯留された燃料は、燃料ポンプ45a及び燃料供給管45b等を通して燃料噴射弁39に供給されるようになっている。ベーパ捕集管47及びパージ流路管48は、蒸発燃料ガスを「インテークマニホールド41の複数の枝部41aの集合部(各気筒に共通の吸気通路)へ供給するためのパージ通路(パージ通路部)」を構成している。
パージ制御弁49は、指示信号であるデューティ比DPGを表す駆動信号により開度(開弁期間)が調節されることにより、パージ流路管48の通路断面積を変更するようになっている。パージ制御弁49は、デューティ比DPGが「0」であるときにパージ流路管48を完全に閉じるようになっている。即ち、パージ制御弁49は、パージ通路に配設されるとともに指示信号に応答して開度が変更されるように構成されている。
キャニスタ46は周知のチャコールキャニスタである。キャニスタ46は、ベーパ捕集管47に接続されたタンクポート46aと、パージ流路管48に接続されたパージポート46bと、大気に曝されている大気ポート46cと、が形成された筐体を備える。キャニスタ46は、その筐体内に、蒸発燃料を吸着するための吸着剤46dを収納している。
キャニスタ46は、パージ制御弁49が完全に閉じられている期間において燃料タンク45内で発生した蒸発燃料を吸蔵するようになっている。キャニスタ46は、パージ制御弁49が開かれている期間において、吸蔵した蒸発燃料を蒸発燃料ガスとして「パージ流路管48を通して」サージタンク41b(スロットル弁44よりも下流の吸気通路)に放出するようになっている。これにより、蒸発燃料ガスは機関10の吸気通路を通して各燃焼室25へ供給される。即ち、パージ制御弁49が開かれることにより、蒸発燃料ガスパージ(又は、略して、エバポパージ)が行われる。
排気系統50は、各気筒の排気ポート34に一端が接続された複数の枝部を含むエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51の複数の枝部の各他端であって総ての枝部が集合している集合部(エキゾーストマニホールド51の排気集合部)に接続されたエキゾーストパイプ52、エキゾーストパイプ52に配設された上流側触媒53、及び、上流側触媒53よりも下流のエキゾーストパイプ52に配設された図示しない下流側触媒を備えている。排気ポート34、エキゾーストマニホールド51及びエキゾーストパイプ52は、排気通路を構成している。このように、上流側触媒53は、排気通路の「総ての燃焼室25(少なくとも2以上の燃焼室)から排出された排ガスが集合する排気集合部よりも下流側の部位」に配設されている。
上流側触媒53及び下流側触媒のそれぞれは、所謂、白金等の貴金属からなる活性成分を担持する三元触媒装置(排気浄化触媒)である。各触媒は、各触媒に流入するガスの空燃比が理論空燃比であるとき、HC,CO,H2などの未燃成分を酸化するとともに窒素酸化物(NOx)を還元する機能を有する。この機能は触媒機能とも称呼される。更に、各触媒は、酸素を吸蔵(貯蔵)する酸素吸蔵機能を有し、この酸素吸蔵機能により空燃比が理論空燃比から偏移したとしても未燃成分及び窒素酸化物を浄化することができる。この酸素吸蔵機能は、触媒に担持されているセリア(CeO2)によってもたらされる。
更に、機関10は、排気還流システムを備えている。排気還流システムは、外部EGR通路を構成する排気還流管54、及び、EGR弁55を含んでいる。
排気還流管54の一端はエキゾーストマニホールド51の集合部に接続されている。排気還流管54の他端はサージタンク41bに接続されている。
EGR弁55は排気還流管54に配設されている。EGR弁55は、DCモータを駆動源として内蔵している。EGR弁55は、そのDCモータへの指示信号であるデューティ比DEGRに応答して弁開度を変更し、それにより排気還流管54の通路断面積を変更するようになっている。
一方、このシステムは、熱線式エアフローメータ61、スロットルポジションセンサ62、水温センサ63、クランクポジションセンサ64、インテークカムポジションセンサ65、エキゾーストカムポジションセンサ66、上流側空燃比センサ67、下流側空燃比センサ68、及び、アクセル開度センサ69を備えている。
エアフローメータ61は、吸気管42内を流れる吸入空気の質量流量(吸入空気流量)Gaに応じた信号を出力するようになっている。
スロットルポジションセンサ62は、スロットル弁44の開度(スロットル弁開度)を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。
水温センサ63は、内燃機関10の冷却水の温度を検出し、冷却水温THWを表す信号を出力するようになっている。
クランクポジションセンサ64は、クランク軸24が10°回転する毎に幅狭のパルスを有するとともに同クランク軸24が360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するようになっている。この信号は、後述する電気制御装置70によって機関回転速度NEに変換される。
インテークカムポジションセンサ65は、インテークカムシャフトが所定角度から90度、次いで90度、更に180度回転する毎に一つのパルスを出力するようになっている。後述する電気制御装置70は、クランクポジションセンサ64及びインテークカムポジションセンサ65からの信号に基づいて、基準気筒(例えば第1気筒)の圧縮上死点を基準とした絶対クランク角CAを取得するようになっている。この絶対クランク角CAは、基準気筒の圧縮上死点において「0°クランク角」に設定され、クランク角の回転角度に応じて720°クランク角まで増大し、その時点にて再び0°クランク角に設定される。
エキゾーストカムポジションセンサ66は、エキゾーストカムシャフトが所定角度から90度、次いで90度、更に180度回転する毎に一つのパルスを出力するようになっている。
上流側空燃比センサ67(本発明における空燃比センサ)は、機関10の概略図である図2にも示したように、エキゾーストマニホールド51の集合部HK(排気集合部)と上流側触媒53との間の位置において「エキゾーストマニホールド51及びエキゾーストパイプ52の何れか(即ち、排気通路)」に配設されている。上流側空燃比センサ67は、例えば、特開平11−72473号公報、特開2000−65782号公報及び特開2004−69547号公報等に開示された「拡散抵抗層を備える限界電流式広域空燃比センサ」である。
上流側空燃比センサ67は、図3及び図4に示したように、空燃比検出素子67aと、外側保護カバー67bと、内側保護カバー67cと、を有している。
外側保護カバー67bは金属からなる中空円筒体である。外側保護カバー67bは内側保護カバー67cを覆うように、内側保護カバー67cを内部に収容している。外側保護カバー67bは、流入孔67b1をその側面に複数備えている。流入孔67b1は、排気通路を流れる排ガス(外側保護カバー67bの外部の排ガス)EXを外側保護カバー67bの内部に流入させるための貫通孔である。更に、外側保護カバー67bは、外側保護カバー67bの内部の排ガスを外部(排気通路)に流出させるための流出孔67b2をその底面に有している。
内側保護カバー67cは、金属からなり、外側保護カバー67bの直径よりも小さい直径を有する中空円筒体である。内側保護カバー67cは、空燃比検出素子67aを覆うように空燃比検出素子67aを内部に収容している。内側保護カバー67cは流入孔67c1をその側面に複数備えている。この流入孔67c1は、外側保護カバー67bの流入孔67b1を通して「外側保護カバー67bと内側保護カバー67cとの間の空間」に流入した排ガスを、内側保護カバー67cの内部に流入させるため貫通孔である。更に、内側保護カバー67cは、内側保護カバー67cの内部の排ガスを外部に流出させるための流出孔67c2をその底面に有している。
図5の(A)〜(C)に示したように、空燃比検出素子67aは、固体電解質層671と、排ガス側電極層672と、大気側電極層673と、拡散抵抗層674と、隔壁部675と、を含んでいる。
固体電解質層671は酸素イオン導電性酸化物焼結体である。本例において、固体電解質層671は、ZrO2(ジルコニア)にCaOを安定剤として固溶させた「安定化ジルコニア素子」である。固体電解質層671は、その温度が活性温度以上であるとき、周知の「酸素電池特性」及び「酸素ポンプ特性」を発揮する。
排ガス側電極層672は、白金(Pt)等の触媒活性の高い貴金属からなる。排ガス側電極層672は、固体電解質層671の一つの面上に形成されている。排ガス側電極層672は、化学メッキ等により浸透性を十分に有するように(即ち、多孔質状に)形成されている。
大気側電極層673は、白金(Pt)等の触媒活性の高い貴金属からなる。大気側電極層673は、固体電解質層671の他の面上であって、固体電解質層671を挟んで排ガス側電極層672に対向するように形成されている。大気側電極層673は、化学メッキ等により浸透性を十分に有するように(即ち、多孔質状に)形成されている。
拡散抵抗層(拡散律速層)674は、多孔質セラミック(耐熱性無機物質)からなる。拡散抵抗層674は、排ガス側電極層672の外側表面を覆うように、例えば、プラズマ溶射法等により形成されている。
隔壁部675は、緻密であってガスを透過させないアルミナセラミックスからなる。隔壁部675は大気側電極層673を収容する空間である「大気室676」を形成するように構成されている。大気室676には大気が導入されている。
上流側空燃比センサ67には電源677が接続されている。電源677は、大気側電極層673側が高電位となり、排ガス側電極層672が低電位となるように、電圧Vを印加する。
このような構造を有する上流側空燃比センサ67は、図5の(B)に示したように、排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比であるとき、拡散抵抗層674を通って排ガス側電極層672に到達した酸素をイオン化して大気側電極層673へと通過させる。この結果、電源677の正極から負極へと電流Iが流れる。この電流Iの大きさは、図6に示したように、電圧Vを所定値Vp以上に設定すると、排ガス側電極層672に到達した酸素の濃度(酸素分圧、排ガスの空燃比)に比例した一定値となる。上流側空燃比センサ67は、この電流(即ち、限界電流Ip)を電圧に変換した値を出力値Vabyfsとして出力する。
これに対し、図5の(C)に示したように、排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比であるとき、上流側空燃比センサ67は、大気室676に存在する酸素をイオン化して排ガス側電極層672へと導き、拡散抵抗層674を通って排ガス側電極層672に到達する未燃物(HC,CO及びH2等)を酸化する。この結果、電源677の負極から正極へと電流Iが流れる。この電流Iの大きさも、図6に示したように、電圧Vを所定値Vp以上に設定すると、排ガス側電極層672に到達した未燃物の濃度(即ち、排ガスの空燃比)に比例した一定値となる。上流側空燃比センサ67は、この電流(即ち、限界電流Ip)を電圧に変換した値を出力値Vabyfsとして出力する。
即ち、空燃比検出素子67aは、図7に示したように、上流側空燃比センサ67の配設位置を流れ、且つ、外側保護カバー67bの流入孔67b1及び内側保護カバー67cの流入孔67c1を通って空燃比検出素子67aに到達しているガスの空燃比(上流側空燃比abyfs、検出空燃比abyfs)に応じた出力値Vabyfsを「空燃比センサ出力」として出力する。出力値Vabyfsは、空燃比検出素子67aに到達しているガスの空燃比が大きくなるほど(リーンとなるほど)増大する。即ち、出力値Vabyfsは、空燃比検出素子67aに到達している排ガスの空燃比に実質的に比例する。
電気制御装置70は、図7に示した空燃比変換テーブル(マップ)Mapabyfsを記憶していて、空燃比センサ67の出力値Vabyfsを空燃比変換テーブルMapabyfsに適用することにより、実際の上流側空燃比abyfsを検出する(即ち、検出空燃比abyfsを取得する)。
ところで、上流側空燃比センサ67は、エキゾーストマニホールド51の複数の枝部の集合部(排気集合部HK)と上流側触媒53との間の位置においてエキゾーストマニホールド51及びエキゾーストパイプ52の何れかに外側保護カバー67bが露呈するように配設される。
より具体的には、空燃比センサ67は、図3及び図4に示したように、保護カバー(67b、67c)の底面が排ガスEXの流れと平行であり、保護カバー(67b、67c)の中心軸線CCが排ガスEXの流れと直交するように排気通路内に配設される。これにより、外側保護カバー67bの流入孔67b1に到達した排気通路内の排ガスEXは、外側保護カバー67bの流出孔67b2近傍を流れる排気通路内の排ガスEXの流れにより、外側保護カバー67b及び内側保護カバー67cの内部へと吸い込まれる。
従って、排気通路を流れる排ガスEXは、図3及び図4において矢印Ar1により示したように外側の保護カバー67bの流入孔67b1を通って外側の保護カバー67bと内側の保護カバー67cとの間に流入する。次いで、その排ガスは、矢印Ar2に示したように「内側の保護カバー67cの流入孔67c1」を通って「内側の保護カバー67cの内部」に流入した後に、空燃比検出素子67aに到達する。その後、その排ガスは、矢印Ar3に示したように「内側の保護カバー67cの流出孔67c2及び外側の保護カバー67bの流出孔67b2」を通って排気通路に流出する。
このため、「外側保護カバー67b及び内側保護カバー67c」の内部における排ガスの流速は、外側保護カバー67bの流出孔67b2近傍を流れる排ガスEXの流速(従って、単位時間あたりの吸入空気量である吸入空気流量Ga)に応じて変化する。換言すると、「ある空燃比の排ガス(第1排ガス)が流入孔67b1に到達した時点」から「その第1排ガスが空燃比検出素子67aに到達する時点」までの時間は、吸入空気流量Gaに依存するが機関回転速度NEには依存しない。このことは、上流側空燃比センサ67が内側保護カバー67cのみを有する場合にも成立する。
再び、図1を参照すると、下流側空燃比センサ68は、エギゾーストパイプ52であって上流側触媒53よりも下流側であり且つ下流側触媒よりも上流側(即ち、上流側触媒53と下流側触媒との間の排気通路)に配設されている。下流側空燃比センサ68は、周知の起電力式の酸素濃度センサ(安定化ジルコニアを用いた周知の濃淡電池型の酸素濃度センサ)である。下流側空燃比センサ68は、排気通路であって下流側空燃比センサ68が配設されている部位を流れるガスである被検出ガスの空燃比(即ち、上流側触媒53から流出し且つ下流側触媒に流入するガスの空燃比、従って、機関に供給される混合気の空燃比の時間的平均値)に応じた出力値Voxsを発生するようになっている。
この出力値Voxsは、図8に示したように、被検出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチのとき最大出力値max(例えば、約0.9V)となり、被検出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンのとき最小出力値min(例えば、約0.1V)となり、被検出ガスの空燃比が理論空燃比であるとき最大出力値maxと最小出力値minの略中間の電圧Vst(中間電圧Vst、例えば、約0.5V)となる。更に、この出力値Voxsは、被検出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチな空燃比からリーンな空燃比へと変化する際に最大出力値maxから最小出力値minへと急変し、被検出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比からリッチな空燃比へと変化する際に最小出力値minから最大出力値maxへと急変する。
図1に示したアクセル開度センサ69は、運転者によって操作されるアクセルペダル81の操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
電気制御装置70は、互いにバスで接続された「CPU71、CPU71が実行するプログラム、テーブル(マップ、関数)及び定数等を予め記憶したROM72、CPU71が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM73、及び、バックアップRAM74並びにADコンバータを含むインターフェース75等」からなる周知のマイクロコンピュータである。
バックアップRAM74は、機関10を搭載した車両の図示しないイグニッション・キー・スイッチの位置(オフ位置、始動位置及びオン位置等の何れか)に関わらず、車両に搭載されたバッテリから電力の供給を受けるようになっている。バックアップRAM74は、バッテリから電力の供給を受けている場合、CPU71の指示に応じてデータを格納する(データが書き込まれる)とともに、そのデータを読み出し可能となるように保持(記憶)する。バックアップRAM74は、バッテリが車両から取り外される等によりバッテリからの電力供給が遮断されると、データを保持することができない。そこで、CPU71は、バックアップRAM74への電力供給が再開されたとき、バックアップRAM74に保持されるべきデータを初期化(デフォルト値に設定)するようになっている。
インターフェース75は、センサ61〜69と接続され、CPU71にそれらのセンサからの信号を供給するようになっている。更に、インターフェース75は、CPU71の指示に応じて可変吸気タイミング制御装置33のアクチュエータ33a、可変排気タイミング制御装置36のアクチュエータ36a、各気筒のイグナイタ38、各気筒に対応して設けられた燃料噴射弁39、スロットル弁アクチュエータ44a、パージ制御弁49、及び、EGR弁55等に駆動信号(指示信号)を送出するようになっている。なお、電気制御装置70は、取得されたアクセルペダルの操作量Accpが大きくなるほどスロットル弁開度TAが大きくなるように、スロットル弁アクチュエータ44aに指示信号を送出するようになっている。
(空燃比気筒間インバランス判定の原理)
次に、第1判定装置及び他の実施形態に係る判定装置(以下、「第1判定装置等」とも称呼する。)が採用した「空燃比気筒間インバランス判定」の原理について説明する。本発明における空燃比気筒間インバランス判定は、燃料噴射弁39の特性が変化することに起因して気筒間における空燃比の不均一性が警告必要値以上となったか否かを判定する。換言すると、第1判定装置等は、燃料噴射弁39の特性が変化することに起因して気筒別空燃比の間に「エミッション上許容できない程度の不均衡」が生じているか否か、即ち、空燃比気筒間インバランスが生じているか否かを判定する。
第1判定装置等は、空燃比気筒間インバランス判定を行うために、「空燃比センサ67の出力値Vabyfsにより表される空燃比(即ち、出力値Vabyfsと図7に示した空燃比変換テーブルMapabyfsとから得られる検出空燃比abyfs)」の「単位時間(一定のサンプリング時間ts)当たりの変化量」を取得する。この「検出空燃比abyfsの単位時間当たりの変化量」は、その単位時間が例えば4m秒程度の極めて短い時間であるとき、検出空燃比abyfsの時間微分値d(abyfs)/dtであると言うこともできる。従って、「検出空燃比abyfsの単位時間当たりの変化量」は「検出空燃比変化率ΔAF」とも称呼される。
以下の説明において、残りの気筒に供給される混合気の空燃比(略理論空燃比)から乖離した空燃比の混合気が供給される気筒は「インバランス気筒」とも称呼される。インバランス気筒に供給される混合気の空燃比は「インバランス気筒の空燃比」とも称呼される。更に、残りの気筒(インバランス気筒以外の気筒)は「非インバランス気筒」又は「正常気筒」とも称呼される。非インバランス気筒に供給される混合気の空燃比は「非インバランス気筒の空燃比」又は「正常気筒の空燃比」とも称呼される。
空燃比センサ67には、各気筒からの排ガスが点火順(故に、排気順)に到達する。空燃比気筒間インバランス状態が発生していない場合、各気筒から排出され且つ空燃比センサ67に到達する排ガスの空燃比は互いに略同一である。従って、空燃比気筒間インバランス状態が発生していない場合の空燃比センサ67の出力値Vabyfsにより表される検出空燃比abyfsは、例えば、図9の(B)において破線C1により示したように変化する。即ち、空燃比気筒間インバランス状態が発生していない場合、空燃比センサ67の出力値Vabyfsの波形は略平坦である。このため、図9の(C)において破線C3により示したように、空燃比気筒間インバランス状態が発生していない場合、検出空燃比変化率ΔAFの絶対値は小さい。
一方、「特定気筒(例えば、第1気筒)に対して燃料を噴射する燃料噴射弁39」の特性が「指示された燃料噴射量(指示噴射量)よりも多い燃料を噴射する特性」となり、その特定気筒の空燃比のみが理論空燃比よりもリッチ側に大きく偏移した空燃比気筒間インバランス状態(リッチずれインバランス状態)」が発生している場合、その特定気筒の排ガスの空燃比(インバランス気筒の空燃比)と、その特定気筒以外の気筒の排ガスの空燃比(非インバランス気筒の空燃比)と、は大きく相違する。
従って、リッチずれインバランス状態が発生している場合の検出空燃比abyfsは、例えば図9の(B)の実線C2により示したように、4気筒・4サイクル・エンジンの場合に720°クランク角(一つの空燃比センサ67に到達する排ガスを排出している総ての気筒において各一回の燃焼行程が終了するのに要するクランク角)毎に大きく変動する。このため、図9の(C)において実線C4により示したように、空燃比気筒間インバランス状態が発生している場合、検出空燃比変化率ΔAFの絶対値は大きくなる。
しかも、検出空燃比abyfsは、インバランス気筒の空燃比が非インバランス気筒の空燃比から乖離するほど大きく変動する。例えば、インバランス気筒の空燃比と非インバランス気筒の空燃比との差の大きさが第1の値であるときの検出空燃比abyfsが図9(B)の実線C2のように変化するとすれば、インバランス気筒の空燃比と非インバランス気筒の空燃比との差の大きさが「第1の値の値よりも大きい第2の値」であるときの検出空燃比abyfsは図9(B)の一点鎖線C2aのように変化する。従って、検出空燃比変化率ΔAFの絶対値は、インバランス気筒の空燃比が非インバランス気筒の空燃比から乖離するほど大きくなる。なお、「一つの空燃比センサ67に到達する排ガスを排出している総ての気筒において各一回の燃焼行程が終了するのに要するクランク角が経過する期間」は、本明細書において「単位燃焼サイクル期間」とも称呼される。
そこで、第1判定装置等は、「検出空燃比変化率ΔAFに応じて変化する空燃比変化率指示量(例えば、サンプリング時間tsが経過する毎に得られる検出空燃比変化率ΔAFの絶対値そのもの、複数の検出空燃比変化率ΔAFの絶対値の平均値及び複数の検出空燃比変化率ΔAFの絶対値のうちの最大値等)」を取得し、その空燃比変化率指示量とインバランス判定用閾値とを比較することにより、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。なお、検出空燃比変化率ΔAFのように「出力値Vabyfs又は検出空燃比abyfsの変動を表す値」は、空燃比変動指標量AFDとも称呼される。
加えて、検出空燃比変化率ΔAFは、検出空燃比abyfsの軌跡長に比較して、機関回転速度NEの影響を受け難い。以下、この理由について説明する。なお、以下の説明においては、便宜上、インバランス気筒の空燃比が非インバランス気筒の空燃比よりもリッチであると仮定している。
空燃比検出素子67aに接触する排ガスの空燃比は、「空燃比検出素子67aに新たに到達した排ガス」と「空燃比検出素子67aの近傍に既に存在していた排ガス」とが混合された排ガスの空燃比となる。一方、上述したように、「外側保護カバー67b及び内側保護カバー67c」の内部における排ガスの流速は、外側保護カバー67bの流出孔67b2近傍を流れる排ガスEXの流速(即ち、吸入空気流量Ga)に応じて変化するが、機関回転速度NEに応じては変化しない。
従って、非インバランス気筒からの排ガスが空燃比検出素子67aの周囲に存在しているときに、インバランス気筒からの排ガスが空燃比検出素子67aに到達し始めると、その後、空燃比検出素子67aに接触(到達)する排ガスの空燃比は「吸入空気流量Gaが大きいほど大きくなる変化率」にて減少する。従って、検出空燃比変化率ΔAFはその絶対値が大きな負の値になる。
更に、インバランス気筒からの排ガスが空燃比検出素子67aの周囲に存在しているときに、非インバランス気筒からの排ガスが空燃比検出素子67aに到達し始めると、その後、空燃比検出素子67aに接触する排ガスの空燃比は「吸入空気流量Gaが大きいほど大きくなる変化率」にて増大する。従って、検出空燃比変化率ΔAFはその絶対値が大きな正の値になる。
一方、機関回転速度NEが大きいほど、インバランス気筒からの排ガスが流入孔67b1に到達を始める時間間隔(即ち、空燃比変動周期)は小さくなる。しかしながら、上述したように、外側保護カバー67b及び内側保護カバー67cの内部を流れる排ガスの流速は、排気通路を流れる排ガスEXの流速により決定されるが、機関回転速度NEの影響を受けない。従って、機関回転速度NEが変化しても、吸入空気流量Gaが変化しなければ、検出空燃比変化率ΔAFは変化しない。
以上のことから、第1判定装置等は、検出空燃比変化率ΔAFに応じて変化する空燃比変化率指示量を「インバランス判定用パラメータ」の一つとして取得し、その空燃比変化率指示量の大きさが「機関回転速度NEに依存しないインバランス判定用閾値」以上であるか否かを判定し、空燃比変化率指示量の大きさがインバランス判定用閾値以上であるとき、空燃比気筒間インバランス状態が発生と判定する。従って、第1判定装置等は、機関回転速度NE毎にインバランス判定用閾値を精度良く定めることなく、「精度の良い空燃比気筒間インバランス判定」を実行することができる。なお、第1判定装置等は、後述するように、他のインバランス判定用パラメータも取得することができる。
(蒸発燃料ガスによる空燃比気筒間インバランス誤判定の回避)
ところで、燃料タンク45内には蒸発燃料が発生する。その蒸発燃料はキャニスタ46の吸着剤46dに吸着される。しかし、吸着剤46dの吸着可能量にも限界がある。そこで、電気制御装置70は、所定のパージ条件が成立したときにパージ制御弁49を開弁させ、吸着剤46dに吸着されている蒸発燃料を蒸発燃料ガスとして機関10の吸気通路に流入させる。即ち、蒸発燃料ガスを総ての燃焼室25に供給する制御(所謂、「エバポパージ」)を実行する。
しかしながら、発明者は、蒸発燃料ガスが吸気通路に流入させられている場合(エバポパージ中)、その蒸発燃料ガスの影響が検出空燃比abyfs(従って、検出空燃比変化率ΔAF及び空燃比変化率指示量)に現れる場合があり、その場合インバランス判定用パラメータ(空燃比変化率指示量)が「燃料噴射弁39の特性変化に起因する空燃比気筒間インバランスの程度」を精度良く表さなくなる虞があるとの知見を得た。
例えば、炎天下における駐車の後に機関10を始動させた直後等のように、蒸発燃料ガスの濃度が非常に高い場合において蒸発燃料ガスパージが実行されると、その影響が気筒別空燃比に現れる。
より具体的に述べると、いま、第1気筒の燃料噴射弁39の特性が、指示された燃料噴射量よりも40%多い量の燃料を噴射する特性となった空燃比気筒間インバランス状態が発生したと仮定する。更に、4気筒機関10の全体に供給される燃料の量が400(単位は重量)であるとき、機関10の全体に供給される混合気の空燃比(機関の空燃比)の平均が理論空燃比になると仮定する。この仮定を「仮定1」とも称呼する。
従って、理論空燃比を14.7とすると、吸入空気量G(単位は重量)は400・14.7であり、各気筒の筒内吸入空気量は1470(単位は重量)である。
一方、第1判定装置等は、空燃比センサ67の出力値Vabyfsにより表される検出空燃比abyfs(実際には、後述する制御用空燃比abyfsc)が目標空燃比である理論空燃比に一致するように、空燃比フィードバック量を算出し、その空燃比フィードバック量によって各気筒の燃料噴射弁に与える指示燃料噴射量を修正する。その結果、機関10の全体に供給される合計燃料量は400となる。この場合、各燃料噴射弁の燃料噴射量は次のようになる。
第1気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:127=400・{1.4/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
第2気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:91=400・{1.0/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
第3気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:91=400・{1.0/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
第4気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:91=400・{1.0/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
機関全体に供給される合計燃料量 :400
従って、上記の例において、インバランス気筒である第1気筒の燃料噴射量と、非インバランス気筒である第2〜第4気筒のそれぞれの燃料噴射量と、の差は、「36(=127−91)」となる。更に、インバランス気筒である第1気筒の空燃比は11.6(=1470/127)であり、非インバランス気筒である第2〜第4気筒の空燃比は16.2(=1470/91)である。
これに対し、上記と同じインバランス状況において、100(単位は重量)の燃料が蒸発燃料ガスにより機関10に供給され、且つ、蒸発燃料ガスが各気筒に均等に分配されたたと仮定する。この仮定を「仮定2」とも称呼する。
この場合、蒸発燃料ガスによって各気筒あたりに25=100/4(単位は重量)の燃料が供給される。即ち、一つの気筒あたりに蒸発燃料ガスが「燃料噴射量の25%」分に相当する量だけ供給される。このような状況において、上述した空燃比フィードバック制御により、機関10の空燃比の平均が理論空燃比に一致した(機関10の全体に供給される合計燃料量が400となる)とすると、各燃料噴射弁の燃料噴射量は次のようになる。
第1気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:96=(400−100)・{1.4/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
第2気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:68=(400−100)・{1.0/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
第3気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:68=(400−100)・{1.0/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
第4気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量:68=(400−100)・{1.0/(1.4+1.0+1.0+1.0)}
蒸発燃料ガスによる機関への燃料供給量:100
機関全体に供給される合計燃料量 :400
従って、仮定2の下で各気筒に供給される燃料量は、次のようになる。
第1気筒に供給される燃料量:121=96+25
第2気筒に供給される燃料量:93=68+25
第3気筒に供給される燃料量:93=68+25
第4気筒に供給される燃料量:93=68+25
機関全体に供給される合計燃料量 :400
仮定2の下において、インバランス気筒である第1気筒の燃料噴射量と、非インバランス気筒である第2〜第4気筒のそれぞれの燃料噴射量と、の差は、「28(=96−68)」となる。更に、仮定2の下において、蒸発燃料ガスに含まれる空気量を無視すれば、インバランス気筒である第1気筒の空燃比は12.1(=1470/121)であり、非インバランス気筒である第2〜第4気筒の空燃比は15.8(=1470/93)である。
以上から明らかなように、仮定1及び仮定2において、インバランス気筒である第1気筒の燃料噴射量と、非インバランス気筒である第2〜第4気筒のそれぞれの燃料噴射量と、の差は、蒸発燃料ガスがパージされていないとき「36」であるのに対し、蒸発燃料ガスがパージされると「28」となる。また、仮定1及び仮定2において、インバランス気筒である第1気筒の空燃比と、非インバランス気筒である第2〜第4気筒のそれぞれの気筒の空燃比と、の差は、蒸発燃料ガスがパージされていないとき「空燃比差4.6(=16.2−11.6)」であるのに対し、蒸発燃料ガスがパージされているとき「空燃比差3.7(=15.8−12.1)」である。
この例からも理解されるように、ある気筒の燃料噴射弁の特性が同じ程度のインバランス状態を発生させる特性(上記例においては第1気筒の燃料噴射弁が他の気筒の燃料噴射弁よりも40%多く燃料を噴射する状態)となっていたとしても、蒸発燃料ガスが各気筒に吸引されていない場合と、蒸発燃料ガスが各気筒に吸引されている場合と、において、インバランス気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量と非インバランス気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量との差が相違し、インバランス気筒に供給される燃料の量と非インバランス気筒に供給される燃料の量との差が相違してしまう。即ち、蒸発燃料ガスの影響により、インバランス気筒の空燃比と非インバランス気筒の空燃比との差が変化してしまう。従って、蒸発燃料ガスの影響を考慮することなく、燃料噴射弁の特性変化に起因する空燃比気筒間インバランスが発生しているか否かを空燃比センサの出力に基づいて判定すると、その判定を誤る虞がある。
そこで、第1判定装置は、「吸気通路に流入する蒸発燃料ガスがインバランス判定用パラメータを所定の許容量以上変化させるような状態(蒸発燃料ガス影響発生状態)」が発生しているか否かを判定する。換言すると、第1判定装置は、吸気通路に流入する蒸発燃料ガスに含まれる燃料の量が所定の閾値よりも大きいか否かを判定し、吸気通路に流入する蒸発燃料ガスに含まれる燃料の量が所定の閾値量よりも大きいとき、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定する。そして、第1判定装置は、蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定したとき、インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか空燃比気筒間インバランス判定そのものの実行を禁止することにより、空燃比気筒間インバランス判定の実行を実質的に禁止する。反対に、第1判定装置は、蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していないと判定しているとき、インバランス判定用パラメータの取得及び空燃比気筒間インバランス判定の実行を許容する。
より具体的に述べると、第1判定装置は、空燃比センサ67の出力値Vabyfsに基づいてパージ補正量を算出する。このパージ補正量は、空燃比センサ67の出力値Vabyfsに基づいて算出される空燃比を目標空燃比(この場合、理論空燃比)に一致させるためのフィードバック補正量の一部であり、蒸発燃料ガスパージによる機関の空燃比の変化を補償する(抑制する)ように求められる量である。そして、第1判定装置は、このパージ補正量と蒸発燃料ガスパージ補正量の基準値との差の大きさが所定のパージ影響判定用閾値よりも大きいとき「前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生している」と判定するように構成されている。
(実際の作動)
以下、第1判定装置の実際の作動について説明する。
<燃料噴射量制御>
CPU71は、図10に示した指示燃料噴射量Fiの計算及び燃料噴射の指示を行うルーチンを、任意の気筒のクランク角が吸気上死点前の所定クランク角度(例えば、BTDC90°CA)となる毎に、その気筒(以下、「燃料噴射気筒」とも称呼する。)に対して繰り返し実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPU71はステップ1000から処理を開始し、以下に述べるステップ1010乃至ステップ1030の処理を順に行い、ステップ1040に進む。
ステップ1010:CPU71は「エアフローメータ61により計測された吸入空気流量Ga、及び、機関回転速度NE」をルックアップテーブルMapMcに適用することにより現時点の筒内吸入空気量Mc(k)を求める。テーブルMapMcは、「吸入空気流量Ga及び機関回転速度NE」と「筒内吸入空気量Mc」との関係を予め規定したテーブルである。即ち、ステップ1010は、筒内吸入空気量取得手段を構成している。
ステップ1020:CPU71は、メインフィードバック学習値(メインFB学習値)KGをバックアップRAM74から読み出す。メインFB学習値KGは、後述する図12に示した「メインフィードバック学習ルーチン」により別途求められ、バックアップRAM74内に格納されている。
ステップ1030:CPU71は下記(1)式に従って基本燃料噴射量Fb(k)を求める。即ち、CPU71は、筒内吸入空気量Mc(k)を現時点における上流側目標空燃比abyfrによって除すことにより基本燃料噴射量Fb(k)を求める。上流側目標空燃比abyfrは理論空燃比stoichに設定されている。基本燃料噴射量Fb(k)は、各吸気行程に対応されながらRAM73内に記憶される。なお、上流側目標空燃比abyfrは、機関暖機中、フューエルカット復帰後増量中及び触媒過熱防止増量中等の特殊な場合において理論空燃比stoichよりもリッチ側の空燃比に設定されてもよい。
Fb(k)=Mc(k)/abyfr …(1)
次に、CPU71はステップ1040に進み、パージ制御弁49への指示信号(駆動信号)を定めるデューティ比DPGが「0」であるか否かを判定する。デューティ比DPGは後述するルーチンにより決定される。
いま、デューティ比DPGが「0」であると仮定する。即ち、蒸発燃料ガスパージが実行されていないと仮定する。この場合、CPU71はステップ1040にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1050乃至ステップ1070の処理を順に行い、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1050:CPU71はパージ補正係数(パージ補正量)FPGの値を「1」に設定する。
ステップ1060:CPU71は、基本燃料噴射量Fb(k)を下記(2)式に従って補正することにより、最終的な燃料噴射量(指示燃料噴射量、指令噴射量)Fiを求める。なお、(2)式に使用されるメインフィードバック係数FAFは、後述する図11に示した「メインフィードバック制御ルーチン」により求められている。
Fi=KG・FPG・FAF・Fb(k) …(2)
(2)式から明らかなように、メインフィードバック量としてのメインフィードバック係数FAFが「1」であると、メインフィードバック係数FAFは基本燃料噴射量(Fb(k))を補正しない。即ち、メインフィードバック係数FAFの基準値は「1」である。同様に、パージ補正量としてのパージ補正係数FPGが「1」であると、パージ補正係数FPGは基本燃料噴射量(Fb(k))を補正しない。即ち、パージ補正係数FPGの基準値は「1」である
ステップ1070:CPU71は、指示燃料噴射量Fiの燃料を燃料噴射気筒に対応して設けられている燃料噴射弁39から噴射するように、その燃料噴射弁39に指示信号を送出する。
以上により、基本燃料噴射量Fbがメインフィードバック係数FAF及びパージ補正係数FPG等により補正されることによって指示燃料噴射量Fiが算出され、燃料噴射弁39が正常であれば、その指示燃料噴射量Fiの燃料が燃料噴射気筒に対して噴射される。
一方、CPU71がステップ1040の処理を実行する時点において、デューティ比DPGが「0」でないと、CPU71はステップ1040にて「No」と判定してステップ1080に進み、パージ補正係数FPGを下記の(3)式に従って求める。
FPG=1+PGT(FGPG−1) …(3)
(3)式において、PGTは目標パージ率である。目標パージ率PGTは、後述する図13のステップ1330において、「機関10の運転状態を表すパラメータ」及び後述する「蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの更新機会回数(濃度学習値更新機会回数)CFGPG」に基いて求められている。蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGは、後述する図14に示したルーチンにより求められている。
その後、CPU71はステップ1060及びステップ1070の処理を実行する。従って、デューティ比DPGが「0」でない場合(即ち、蒸発燃料ガスパージが実行されている場合)、基本燃料噴射量(Fb(k))はパージ補正係数FPGによって補正される。なお、(2)式から明らかなように、基本燃料噴射量(Fb(k))は、メインフィードバック係数FAF及びパージ補正係数FPGにより補正される。メインフィードバック係数FAF及びパージ補正係数FPGは、何れも、上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsに基づいて「機関10に供給される混合気の空燃比の平均を理論空燃比(目標空燃比)に一致させるように求められるフィードバック量」である。換言すると、パージ補正係数FPGは、「機関10に供給される混合気の空燃比の平均を理論空燃比(目標空燃比)に一致させるように、検出空燃比abyfsに基づいて求められる空燃比のフィードバック量」の一部を構成している。
<メインフィードバック制御>
CPU71は図11にフローチャートにより示したメインフィードバック量算出ルーチン(メインフィードバック制御ルーチン)を所定時間の経過毎に(又は図10のルーチンの処理に続いて)繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU71はステップ1100から処理を開始し、ステップ1105に進んでメインフィードバック制御条件(上流側空燃比フィードバック制御条件)が成立しているか否かを判定する。メインフィードバック制御条件は、例えば、フューエルカット中でなく、機関の冷却水温THWが第1所定温度以上であり、負荷KLが所定値以下であり、且つ、上流側空燃比センサ67が活性化しているときに成立する。
なお、負荷KLは、本例において負荷率(充填率)KLであり、下記の(4)式に基いて算出される。この(4)式において、ρは空気密度(単位は(g/l))、Lは機関10の排気量(単位は(l))、4は機関10の気筒数である。但し、負荷KLは、筒内吸入空気量Mc、スロットル弁開度TA及びアクセルペダル操作量Accp等であってもよい。
KL={Mc(k)/(ρ・L/4)}・100(%)…(4)
いま、メインフィードバック制御条件が成立しているものとして説明を続けると、CPU71はステップ1105にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ1110乃至ステップ1150の処理を順に行い、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1110:CPU71は、下記(5)式に従ってフィードバック制御用出力値Vabyfcを取得する。(5)式において、Vabyfsは上流側空燃比センサ67の出力値、Vafsfbは下流側空燃比センサ68の出力値Voxsに基づいて算出されるサブフィードバック量、Vafsfbgはサブフィードバック量の学習値(サブFB学習値)である。これらの値は、何れも現時点において得られている値である。サブフィードバック量Vafsfb及びサブFB学習値Vafsfbgの算出方法については、後述する。
Vabyfc=Vabyfs+(Vafsfb+Vafsfbg) …(5)
ステップ1115:CPU71は、下記(6)式に示したように、上記フィードバック制御用出力値Vabyfcを図7に示した空燃比変換テーブルMapabyfsに適用することにより、フィードバック制御用空燃比abyfscを得る。
abyfsc=Mapabyfs(Vabyfc) …(6)
ステップ1120:CPU71は、下記(7)式に従って、「現時点よりもNサイクル前の時点において燃焼室25に実際に供給された燃料の量」である「筒内燃料供給量Fc(k−N)」を求める。即ち、CPU71は、「現時点よりもNサイクル(即ち、N・720°クランク角)前の時点における筒内吸入空気量Mc(k−N)」を「上記フィードバック制御用空燃比abyfsc」により除すことにより、筒内燃料供給量Fc(k−N)を求める。
Fc(k−N)=Mc(k−N)/abyfsc …(7)
このように、筒内燃料供給量Fc(k−N)を求めるために、現時点からNストローク前の筒内吸入空気量Mc(k−N)をフィードバック制御用空燃比abyfscで除す理由は、「燃焼室25内での混合気の燃焼により生成された排ガス」が上流側空燃比センサ67に到達するまでに「Nストロークに相当する時間」を要しているからである。但し、実際には、上流側空燃比センサ67には各気筒から排出された排ガスがある程度混合された後に到達する。
ステップ1125:CPU71は、下記(8)式に従って、「現時点よりもNサイクル前の時点において燃焼室25に供給されるべきであった燃料の量」である「目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)」を求める。即ち、CPU71は、現時点からNストローク前の筒内吸入空気量Mc(k−N)を上流側目標空燃比abyfr(即ち、理論空燃比)で除すことにより、目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)を求める。
Fcr=Mc(k−N)/abyfr …(8)
ステップ1130:CPU71は、下記(9)式に従って、筒内燃料供給量偏差DFcを取得する。即ち、CPU71は、目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)から筒内燃料供給量Fc(k−N)を減じることにより、筒内燃料供給量偏差DFcを求める。この筒内燃料供給量偏差DFcは、Nストローク前の時点で筒内に供給された燃料の過不足分を表す量となる。
DFc=Fcr(k−N)−Fc(k−N) …(9)
ステップ1135:CPU71は、下記(10)式に従って、メインフィードバック値DFiを求める。この(10)式において、Gpは予め設定された比例ゲイン、Giは予め設定された積分ゲインである。更に、(10)式の「値SDFc」は「筒内燃料供給量偏差DFcの時間積分値」である。つまり、CPU71は、フィードバック制御用空燃比abyfscを上流側目標空燃比abyfrに一致させるための比例積分制御により「メインフィードバック値DFi」を算出する。筒内燃料供給量偏差DFcの積分値SDFcは次のステップ1140にて求められる。
DFi=Gp・DFc+Gi・SDFc …(10)
ところで、上記(5)式の右辺の「サブフィードバック量VafsfbとサブFB学習値Vafsfbgとの和」は、上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsに比較して小さい値となり、且つ、小さい値となるように制限されている。従って、「サブフィードバック量VafsfbとサブFB学習値Vafsfbgとの和」は、後述するように、「下流側空燃比センサ68の出力値Voxs」を「理論空燃比に相当する値である下流側目標値Voxsref」に一致させるための「補助的な補正量」と考えることができる。この結果、フィードバック制御用空燃比abyfscは上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsに実質的に基づく値であると言うことができる。即ち、メインフィードバック値DFiは「上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsにより表される機関の空燃比」を「上流側目標空燃比abyfr(理論空燃比)」に一致させるための補正量であると言うことができる。
ステップ1140:CPU71は、その時点における筒内燃料供給量偏差DFcの積分値SDFcに上記ステップ1130にて求められた筒内燃料供給量偏差DFcを加えることにより、新たな筒内燃料供給量偏差の積分値SDFcを取得する。
ステップ1145:CPU71は、メインフィードバック値DFi及び基本燃料噴射量Fb(k−N)を下記(11)式に適用することによりメインフィードバック係数FAFを算出する。即ち、メインフィードバック係数FAFは、現時点からNストローク前の基本燃料噴射量Fb(k−N)にメインフィードバック値DFiを加えた値を基本燃料噴射量Fb(k−N)で除すことにより求められる。
FAF=(Fb(k−N)+DFi)/Fb(k−N)…(11)
ステップ1150:CPU71は、下記(12)式に従ってメインフィードバック係数FAFの加重平均値をメインフィードバック係数平均FAFAV(以下、「補正係数平均FAFAV」とも称呼する。)として求める。(12)式においてFAFAVnewは更新後の補正係数平均FAFAVであり、そのFAFAVnewが新たな補正係数平均FAFAVとして格納される。(12)式において、値qは0より大きく1より小さい定数である。この補正係数平均FAFAVは、後述する「メインFB学習値KG及び蒸発燃料ガス濃度学習値FGPG」を求める際に用いられる。なお、メインフィードバック係数平均FAFAVは、所定期間におけるメインフィードバック係数FAFの平均値であってもよい。
FAFAVnew=q・FAF+(1−q)・FAFAV…(12)
以上により、メインフィードバック値DFiが比例積分制御により求められ、このメインフィードバック値DFiがメインフィードバック係数FAFへと変換された上で「前述した図10のステップ1060」において指示燃料噴射量Fiに反映される。この結果、燃料供給量の過不足が補償されるので、機関の空燃比(従って、上流側触媒53に流入するガスの空燃比)の平均値が上流側目標空燃比abyfr(特殊な場合を除き、理論空燃比)と略一致させられる。
一方、ステップ1105の判定時において、メインフィードバック制御条件が不成立であると、CPU71はそのステップ1105にて「No」と判定してステップ1155に進み、メインフィードバック値DFiの値を「0」に設定する。次いで、CPU71は、ステップ1160にて筒内燃料供給量偏差の積分値SDFcを「0」に設定し、ステップ1165にてメインフィードバック係数FAFの値を「1」に設定し、ステップ1170にて補正係数平均FAFAVの値を「1」に設定する。その後、CPU71は、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、メインフィードバック制御条件が不成立であるとき、メインフィードバック値DFiの値は「0」に設定され、メインフィードバック係数FAFの値は「1」に設定される。従って、基本燃料噴射量Fbのメインフィードバック係数FAFによる補正は行われない。但し、このような場合であっても、基本燃料噴射量FbはメインFB学習値KGによって補正される。
<メインフィードバック学習(ベース空燃比学習)>
第1判定装置はパージ制御弁49を完全に閉じた状態に維持する指示信号が同パージ制御弁49に送出されている「パージ制御弁閉弁指示期間(デューティ比DPGが「0」である期間)」において、メインフィードバック係数FAFを基準値(基本値)「1」に近づけるように、補正係数平均FAFAVに基いてメインフィードバック係数FAFの学習値KGを更新する。この学習値は、「メインFB学習値KG」とも称呼される。
このメインFB学習値KGの更新を行うために、CPU71は図12に示したメインフィードバック学習ルーチンを所定時間が経過する毎に実行するようになっている。従って、CPU71は所定のタイミングになるとステップ1200から処理を開始し、ステップ1205に進んでメインフィードバック制御が実行中であるか否か(即ち、メインフィードバック制御条件が成立しているか否か)を判定する。このとき、メインフィードバック制御が実行されていなければ、CPU71はそのステップ1205にて「No」と判定し、ステップ1295に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。この結果、メインFB学習値KGの更新は行われない。
一方、メインフィードバック制御が実行中であるとき、CPU71はステップ1205にて「Yes」と判定してステップ1210に進み、「蒸発燃料ガスパージが行われていないか否か(具体的には、後述する図13のルーチンにより求められる目標パージ率PGT又はデューティ比DPGが「0」であるか否か)」を判定する。このとき、蒸発燃料ガスパージが行われていると、CPU71はそのステップ1210にて「No」と判定し、ステップ1295に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。この結果、蒸発燃料ガスパージが行われている場合、メインFB学習値KGの更新は行われない。
他方、CPU71がステップ1210に進んだ際に蒸発燃料ガスパージが行われていなければ、CPU71はステップ1210にて「Yes」と判定してステップ1215に進み、補正係数平均FAFAVの値が値1+α(αは0より大きく1より小さい微小な所定値であり、例えば、0.02)以上であるか否かを判定する。このとき、補正係数平均FAFAVの値が値1+α以上であると、CPU71はステップ1220に進んでメインFB学習値KGを正の所定値ΔKGだけ増大させる。その後、CPU71はステップ1235に進む。
これに対し、CPU71がステップ1215に進んだ際、補正係数平均FAFAVの値が値1+αよりも小さいと、CPU71はステップ1225に進んで補正係数平均FAFAVの値が値1−α以下であるか否かを判定する。このとき、補正係数平均FAFAVの値が値1−α以下であると、CPU71はステップ1230に進んでメインFB学習値KGを正の所定値ΔKGだけ減少させる。その後、CPU71はステップ1235に進む。
更に、CPU71はステップ1235に進んだとき、そのステップ1235にてメインフィードバック学習完了フラグ(メインFB学習完了フラグ)XKGの値を「0」に設定する。メインFB学習完了フラグXKGは、その値が「1」であるときにメインフィードバック学習が完了しており、その値が「0」であるときにメインフィードバック学習が完了していないことを示す。
次いで、CPU71はステップ1240に進み、メイン学習カウンタCKGの値を「0」に設定する。なお、メイン学習カウンタCKGの値は、機関10が搭載された車両の図示しないイグニッション・キー・スイッチがオフ位置からオン位置へと変更された際に実行されるイニシャルルーチンにても「0」に設定されるようになっている。その後、CPU71はステップ1295に進み、本ルーチンを一旦終了する。
加えて、CPU71がステップ1225に進んだ際、補正係数平均FAFAVの値が値1−αよりも大きいと(即ち、補正係数平均FAFAVの値が値1−αと値1+αの間の値であると)、CPU71はステップ1245に進んでメイン学習カウンタCKGの値を「1」だけ増大する。
次に、CPU71はステップ1250に進み、メイン学習カウンタCKGの値が所定のメイン学習カウンタ閾値CKGth以上であるか否かを判定する。そして、メイン学習カウンタCKGの値が所定のメイン学習カウンタ閾値CKGth以上であれば、CPU71はステップ1255に進んでメインFB学習完了フラグXKGの値を「1」に設定する。
即ち、機関10の始動後において、図12のルーチンにより、「補正係数平均FAFAVの値が値1−αと値1+αの間の値である」と判断された回数(カウンタCKGの値)がメイン学習カウンタ閾値CKGth以上となると、メインFB学習値KGの学習は完了したと見做され、メインFB学習完了フラグXKGの値が「1」に設定される。その後、CPU71はステップ1295に進んで、本ルーチンを一旦終了する。
また、CPU71は、ステップ1250に進んだとき、メイン学習カウンタCKGの値が所定のメイン学習カウンタ閾値CKGthよりも小さければ、CPU71はそのステップ1250からステップ1295に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、メイン学習カウンタCKGの値は、ステップ1205及びステップ1210の何れかにおいて「No」と判定された際にも「0」に設定されてもよい。これによれば、CPU71が「ステップ1215以降に進む状態(即ち、今回のメインフィードバック学習が実行される状態)において、補正係数平均FAFAVの値が値1−αと値1+αの間の値であるケース」の連続発生回数がメイン学習カウンタ閾値CKGth以上となったとき、メインFB学習値KGの学習は完了したと見做される。
以上により、メインフィードバック制御中であって蒸発燃料ガスパージが行われていない間にメインFB学習値KGが更新される。
<パージ制御弁駆動>
一方、CPU71は図13に示したパージ制御弁駆動ルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになるとCPU71はステップ1300から処理を開始し、ステップ1310に進んでパージ条件が成立しているか否かを判定する。このパージ条件は、例えば、メインフィードバック制御条件が成立していて、且つ、機関10が定常運転されているとき(例えば、機関の負荷を表すスロットル弁開度TAの単位時間あたりの変化量が所定値以下のとき)に成立する。
いま、パージ条件が成立していると仮定する。この場合、CPU71は図13のステップ1310にて「Yes」と判定してステップ1320に進み、メインFB学習完了フラグXKGの値が「1」であるか否か(即ち、メインフィードバック学習が完了しているか否か)を判定する。このとき、メインFB学習完了フラグXKGの値が「1」であると、CPU71はステップ1320にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1330乃至ステップ1360の処理を順に行い、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1330:CPU71は、目標パージ率PGTを機関10の運転状態を示すパラメータ(例えば、機関の負荷KL)に基いて設定する。より具体的に述べると、CPU71は後述する図14のルーチンにおいて求められる「蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの濃度学習値更新機会回数CFGPG(濃度学習値更新機会回数)」が「第1機会回数閾値CFGPGth」以上である場合、図13のステップ1330のブロック内の実線C1により示されたデータを有する第1パージ率テーブルMapPGT1(KL)を用いる。即ち、CPU71は、現時点の負荷KLを第1パージ率テーブルMapPGT1(KL)に適用することにより、目標パージ率PGTを求める。この場合、目標パージ率PGTは負荷KLが大きいほど大きくなるように決定される。
これに対し、CPU71は、「濃度学習値更新機会回数CFGPG」が「1」以上であり且つ「第1機会回数閾値CFGPGth」よりも小さい場合、破線C2により示されたデータを有する第2パージ率テーブルMapPGT2(KL)を用いる。即ち、CPU71は、現時点の負荷KLを第2パージ率テーブルMapPGT2(KL)に適用することにより、目標パージ率PGTを求める。この場合、目標パージ率PGTは負荷KLが大きいほど大きくなるように決定される。
更に、CPU71は、「濃度学習値更新機会回数CFGPG」が「0」である場合、即ち、機関10の始動後に蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの更新機会(更新履歴)がない場合、一点鎖線C3により示されたデータを有する第3パージ率テーブルMapPGT3(KL)を用いる。即ち、CPU71は、現時点の負荷KLを第3パージ率テーブルMapPGT3(KL)に適用することにより、目標パージ率PGTを求める。この場合、目標パージ率PGTは負荷KLに依らず、一定であるように決定される。
この第1パージ率テーブルMapPGT1(KL)によれば、目標パージ率PGTは最も大きくなるように求められる。第3パージ率テーブルMapPGT3(KL)によれば、目標パージ率PGTは最も小さくなる(極めて小さくなる)ように求められる。第3パージ率テーブルMapPGT3(KL)により求められる目標パージ率PGTは「0」であってもよい。第2パージ率テーブルMapPGT2(KL)によれば、目標パージ率PGTは、第1パージ率テーブルMapPGT1(KL)によって求められる目標パージ率PGTと第3パージ率テーブルMapPGT3(KL)によって求められる目標パージ率PGTとの間の大きさになるように求められる。
なお、パージ率は、吸入空気流量Gaに対する蒸発燃料ガスパージ流量KPの比として定義される。或いは、パージ率は、「吸入空気流量Gaと蒸発燃料ガスパージ流量KPとの和(Ga+KP)」に対する「蒸発燃料ガスパージ流量KP」の比として定義されてもよい。
ステップ1340:CPU71は、回転速度NE及び負荷KLをマップMapPGRMXに適用することにより、全開パージ率PGRMXを求める。この全開パージ率PGRMXは、パージ制御弁49を全開にしたときのパージ率である。マップMapPGRMXは実験又はシミュレーションの結果に基づき予め取得され、ROM72内に格納されている。マップMapPGRMXによれば、全開パージ率PGRMXは回転速度NEが大きくなるほど、又は、負荷KLが大きくなるほど、小さくなる。
ステップ1350:CPU71は、下記(13)式に、ステップ1340にて求めた全開パージ率PGRMX及びステップ1330にて求めた目標パージ率PGTを適用することにより、デューティ比DPGを算出する。
DPG=(PGT/PGRMX)・100(%) …(13)
ステップ1360:CPU71は、パージ制御弁49をデューティ比DPGに基いて開閉制御する。この結果、目標パージ率PGTに等しいパージ率にて蒸発燃料ガスが吸気通路に導入される。即ち、CPU71は、一定のパージ制御弁駆動周期Tに対して、T・DPG/100の時間だけパージ制御弁49を開弁し、T・(1−DPG/100)の時間だけパージ制御弁49を閉弁する。
これに対し、CPU71は、パージ条件が成立していていない場合にはステップ1310にて「No」と判定して1370に進む。また、CPU71は、メインFB学習完了フラグXKGが「0」である場合にはステップ1320にて「No」と判定して1370に進む。そして、CPU71はステップ1370にてデューティ比DPGを「0」に設定した後、ステップ1360へと進む。このとき、デューティ比DPGは「0」に設定されているからパージ制御弁49は完全に閉じられた状態となる。その後、CPU71はステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
<蒸発燃料ガス濃度学習>
更に、CPU71は、所定時間が経過する毎に図14に示した蒸発燃料ガス濃度学習ルーチンを実行するようになっている。この蒸発燃料ガス濃度学習ルーチンの実行によって、蒸発燃料ガスパージが行われている間に蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの更新が行われる。
即ち、CPU71は所定のタイミングになるとステップ1400から処理を開始してステップ1405に進み、メインフィードバック制御が実行中であるか否か(メインフィードバック制御条件が成立しているか否か)を判定する。このとき、メインフィードバック制御が実行されていなければ、CPU71はそのステップ1405にて「No」と判定し、ステップ1495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。この結果、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの更新は行われない。
一方、メインフィードバック制御が実行中であるとき、CPU71はステップ1410に進んで「蒸発燃料ガスパージが行われているか否か(具体的には、図13のルーチンにより求められる目標パージ率PGT又はデューティ比DPGが「0」でないか否か)」を判定する。このとき、蒸発燃料ガスパージが行われていないと、CPU71はそのステップ1410にて「No」と判定し、ステップ1495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。この結果、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの更新は行われない。
他方、CPU71がステップ1410に進んだ際に蒸発燃料ガスパージが行われていると、CPU71はステップ1410にて「Yes」と判定してステップ1415に進み、補正係数平均FAFAVから「1」を減じた値の絶対値|FAFAV−1|が所定値β以上であるか否かを判定する。ここで、βは0より大きく1より小さい微小な所定値であり、例えば、0.02である。
ところで、蒸発燃料ガスは、図13のステップ1320に示されているように、メインFB学習完了フラグXKGが「1」であるとき(即ち、メインフィードバック学習が完了しているとき)に吸気通路に導入される。加えて、メインフィードバック学習は、図12のステップ1210に示されているように、蒸発燃料ガスが吸気通路に導入されていない場合に行われる。従って、メインFB学習完了フラグXKGが「1」であるとき、機関の空燃比を理論空燃比から偏移させる蒸発燃料ガス以外の要因(正確には、補正係数平均FAFAVの絶対値を所定値β以上「1」から乖離させる蒸発燃料ガス以外の要因)は、メインFB学習値KGによって補償されている。
このことから、図14のステップ1415において、補正係数平均FAFAVから「1」を減じた値の絶対値|FAFAV−1|が所定値β以上である場合、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの値が不正確であって、その結果、図10のステップ1080において上記(3)式に従って算出されるパージ補正係数FPGの値が適正値から乖離していると考えられる。
そこで、CPU71は、絶対値|FAFAV−1|がβよりも大きいとき、ステップ1415にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1420及びステップ1425の処理を実行することにより、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGを変更する。即ち、CPU71は、ステップ1420及びステップ1425にて蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの学習を行う。
ステップ1420:CPU71は、下記(14)式に従って更新値tFGを求める。(14)式における目標パージ率PGTは、図13のステップ1330にて設定されている。(14)式から明らかなように、更新値tFGは目標パージ率1%当たりの「FAFAVの1からの差(=FAFAV−1)」である。その後、CPU71はステップ1425に進む。
tFG=(FAFAV−1)/PGT …(14)
蒸発燃料ガスに含まれる蒸発燃料ガスの濃度が高いほど、上流側空燃比abyfsは理論空燃比よりもより小さい空燃比(理論空燃比よりもリッチ側の空燃比)となる。従って、メインフィードバック係数FAFは燃料噴射量を減量するために「1よりもより小さい値」になるので、補正係数平均FAFAVも「1よりもより小さい値」となる。その結果、FAFAV−1は負の値となるので、更新値tFGは負の値となる。更に、更新値tFGの絶対値は、FAFAVが小さいほど(「1」から乖離するほど)大きな値となる。つまり、蒸発燃料ガスの濃度が高いほど、更新値tFGはその絶対値の大きい負の値となる。
ステップ1425:CPU71は、下記(15)式に従って蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGを更新する。(15)式においてFGPGnewは更新後の蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGであり、CPU71はこの更新後の蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGnewを蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGとしてバックアップRAM74に格納する。この結果、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGは、蒸発燃料ガスの濃度が高いほど小さい値になる。なお、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの初期値は「1」に設定されている。
FGPGnew=FGPG+tFG …(15)
ステップ1430:CPU71は、「蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの濃度学習値更新機会回数CFGPG(濃度学習値更新機会回数CFGPG)」を「1」だけ増大する。濃度学習値更新機会回数CFGPGは上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるようになっている。その後、CPU71はステップ1495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPU71がステップ1415に進んだとき、絶対値|FAFAV−1|が値β以下であれば、CPU71はステップ1415にて「No」と判定してステップ1435に進み、更新値tFGを「0」に設定する。その後、CPU71はステップ1425に進む。従って、この場合、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの値は変化しない。次いで、CPU71はステップ1430に進む。従って、蒸発燃料ガス濃度学習値FGPGの値が変化しない場合であっても、ステップ1415の処理を実行した場合、濃度学習値更新機会回数CFGPGの値は「1」だけ増大される。
<サブフィードバック量及びサブFB学習値算出>
CPU71は、サブフィードバック量Vafsfb及びサブフィードバック量Vafsfbの学習値Vafsfbgを算出するために、図15に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行している。
従って、所定のタイミングになると、CPU71はステップ1500から処理を開始し、ステップ1505に進んでサブフィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する。サブフィードバック制御条件は、例えば、前述した図11のステップ1105におけるメインフィードバック制御条件が成立し、上流側目標空燃比abyfrが理論空燃比に設定され、機関の冷却水温THWが前記第1所定温度よりも高い第2所定温度以上であり、且つ、下流側空燃比センサ68が活性化しているときに成立する。
いま、サブフィードバック制御条件が成立していると仮定して説明を続ける。この場合、CPU71はステップ1505にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1510乃至ステップ1530の処理を順に行い、サブフィードバック量Vafsfbを更新する。
ステップ1510:CPU71は、下記(16)式に従って下流側目標値Voxsrefと下流側空燃比センサ68の出力値Voxs(即ち、理論空燃比相当値Vst)との差である出力偏差量DVoxsを取得する。出力偏差量DVoxsは「第1偏差」とも称呼される。
DVoxs=Voxsref−Voxs …(16)
ステップ1515:CPU71は、下記(17)式に従ってサブフィードバック量Vafsfbを求める。この(17)式において、Kpは予め設定された比例ゲイン(比例定数)、Kiは予め設定された積分ゲイン(積分定数)、Kdは予め設定された微分ゲイン(微分定数)である。また、SDVoxsは出力偏差量DVoxsの積分値(時間積分値)、DDVoxsは出力偏差量DVoxsの微分値(時間微分値)である。
Vafsfb=Kp・DVoxs+Ki・SDVoxs+Kd・DDVoxs …(17)
ステップ1520:CPU71は、「その時点における出力偏差量の積分値SDVoxs」に「上記ステップ1510にて求めた出力偏差量DVoxs」を加えることにより、新たな出力偏差量の積分値SDVoxsを取得する。
ステップ1525:CPU71は、「上記ステップ1510にて算出した出力偏差量DVoxs」から「本ルーチンを前回実行した際に算出された出力偏差量である前回出力偏差量DVoxsold」を減じることにより、新たな出力偏差量の微分値DDVoxsを求める。
ステップ1530:CPU71は、「上記ステップ1510にて算出した出力偏差量DVoxs」を「前回出力偏差量DVoxsold」として格納する。
このように、CPU71は、下流側空燃比センサ68の出力値Voxsを下流側目標値Voxsrefに一致させるための比例・積分・微分(PID)制御により「サブフィードバック量Vafsfb」を算出する。このサブフィードバック量Vafsfbは、上述した(5)式に示したように、フィードバック制御用出力値Vabyfcを算出するために使用される。
次いで、CPU71は、以下に述べるステップ1535乃至ステップ1555の処理を順に行うことにより「サブFB学習値Vafsfbg」を算出し、その後、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1535:CPU71は、その時点のサブFB学習値Vafsfbgを更新前学習値Vafsfbg0として格納する。
ステップ1540:CPU71は、下記(18)式に従ってサブFB学習値Vafsfbgを更新する。更新されたサブFB学習値Vafsfbg(=Vafsfbgnew)はバックアップRAM74に格納される。(18)式において、値pは0より大きく1より小さい定数である。
Vafsfbgnew=(1−p)・Vafsfbg+p・Ki・SDVoxs …(18)
上記(18)式から明らかなように、サブFB学習値Vafsfbgは「サブフィードバック量Vafsfbの積分項Ki・SDVoxs」に「ノイズ除去のためのフィルタ処理」を施した値である。換言すると、サブFB学習値Vafsfbgは、積分項Ki・SDVoxsの一次遅れ量(なまし値)であり、サブフィードバック量Vafsfbの定常成分(積分項Ki・SDVoxs)に応じた値である。このように、サブFB学習値Vafsfbgは、サブフィードバック量Vafsfbの定常成分に接近するように更新される。
なお、CPU71は、下記(19)式に従ってサブFB学習値Vafsfbgを更新してもよい。この場合、(19)式から明らかなように、サブFB学習値Vafsfbgは「サブフィードバック量Vafsfb」に「ノイズ除去のためのフィルタ処理」を施した値となる。換言すると、サブFB学習値Vafsfbgは、サブフィードバック量Vafsfbの一次遅れ量(なまし値)であってもよい。(19)式において、値pは0より大きく1より小さい定数である。
Vafsfbgnew=(1−p)・Vafsfbg+p・Vafsfb …(19)
何れにしても、サブFB学習値Vafsfbgは、サブフィードバック量Vafsfbの定常成分に接近するように更新される。即ち、サブFB学習値Vafsfbgは、サブフィードバック量Vafsfbの定常成分を結果的に取り込むように更新される。
ステップ1545:CPU71は、下記(20)式に従ってサブFB学習値Vafsfbgの変更量(更新量)ΔGを算出する。(20)式において、Vafsfbg0は上記ステップ1535にて取り込んだ「更新直前の学習値Vafsfbg」である。従って、変更量ΔGは正の値及び負の値の何れともなる。
ΔG=Vafsfbg−Vafsfbg0 …(20)
ステップ1550:CPU71は、下記(21)式に従ってサブフィードバック量Vafsfbを変更量ΔGにより補正する。即ち、CPU71は、学習値Vafsfbgを変更量ΔGだけ増加するように更新したとき、サブフィードバック量Vafsfbを変更量ΔGだけ減少させる修正を行う。(21)式において、Vafsfbnewは修正後のサブフィードバック量Vafsfbである。
Vafsfbnew=Vafsfb−ΔG …(21)
ステップ1555:CPU71は、上記(18)式によりサブFB学習値Vafsfbgを変更量ΔGだけ増加するように更新したとき、出力偏差量DVoxsの積分値を下記(22)式のように修正する。(22)式においてSDVoxsnewは、修正後の出力偏差量DVoxsの積分値SDVoxである。
SDVoxsnew=SDVoxs−ΔG/Ki …(22)
なお、ステップ1555を省略してもよい。また、ステップ1545乃至ステップ1555を省略してもよい。更に、ステップ1535乃至ステップ1555を省略してもよい。この場合、サブFB学習値Vafsfbgには「0」が設定される。即ち、サブフィードバックの学習制御は実行されない。
以上の処理により、所定時間の経過毎にサブフィードバック量VafsfbとサブFB学習値Vafsfbgとが更新される。
一方、サブフィードバック制御条件が成立していない場合、CPU71は図15のステップ1505にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1565及びステップ1570の処理を順に行い、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1565:CPU71はサブフィードバック量Vafsfbの値を「0」に設定する。
ステップ1570:CPU71は出力偏差量の積分値SDVoxsの値を「0」に設定する。
これにより、上記(5)式から明らかなように、フィードバック制御用出力値Vabyfcは、上流側空燃比センサ67の出力値VabyfsとサブFB学習値Vafsfbgとの和となる。即ち、この場合、「サブフィードバック量Vafsfbの更新」及び「サブフィードバック量Vafsfbの指示燃料噴射量Fiへの反映」は停止される。但し、少なくとも、サブフィードバック量Vafsfbの積分項に対応するサブFB学習値Vafsfbgは指示燃料噴射量Fiに反映される。
<判定許可フラグXkyokaの設定>
次に、「インバランス判定許可フラグ設定ルーチン」を実行するための処理について説明する。CPU71は、判定許可フラグXkyokaの値に基づいて、後述する空燃比気筒間インバランス判定を実行するか否かを決定するようになっている。この判定許可フラグXkyokaは、CPU71が図16にフローチャートにより示した「判定許可フラグ設定ルーチン」を所定時間(4ms)が経過する毎に実行することにより設定される。なお、判定許可フラグXkyokaの値は、上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるようになっている。
所定のタイミングになると、CPU71は図16のステップ1600から処理を開始してステップ1610に進み、絶対クランク角CAが0°クランク角(=720°クランク角)であるか否かを判定する。
CPU71がステップ1610の処理を行う時点において、絶対クランク角CAが0°クランク角でなければ、CPU71はそのステップ1610にて「No」と判定してステップ1640に直接進む。
これに対し、CPU71がステップ1610の処理を行う時点において、絶対クランク角CAが0°クランク角であると、CPU71はそのステップ1610にて「Yes」と判定してステップ1620に進み、判定実行条件が成立しているか否かを判定する。
この判定実行条件は、以下の総ての条件(条件C1乃至条件C6)が成立したときに成立する。なお、判定実行条件は、条件C1、条件C3及び条件C6が成立したとき、成立する条件であってもよい。また、判定実行条件は、条件C3及び条件C6が成立しているときに成立する条件であってもよい。もちろん、判定実行条件は、他の条件が更に成立しているときに成立する条件であってもよい。
(条件C1)吸入空気流量Gaが、低側吸入空気流量閾値(第1閾値空気流量)Ga1thよりも大きく、且つ、高側吸入空気流量閾値(第2閾値空気流量)Ga2thよりも小さい。なお、高側吸入空気流量閾値Ga2thは低側吸入空気流量閾値Ga1thよりも大きい値である。
(条件C2)機関回転速度NEが、低側機関回転速度閾値NE1thよりも大きく、且つ、高側機関回転速度閾値NE2thよりも小さい。なお、高側機関回転速度閾値NE2thは低側機関回転速度閾値NE1thよりも大きい値である。
(条件C3)フューエルカット中でない。
(条件C4)メインフィードバック制御条件が成立していて、メインフィードバック制御中である。
(条件C5)サブフィードバック制御条件が成立していて、サブフィードバック制御中である。
(条件C6)パージ補正係数FPGが所定の閾値パージ補正係数FPGth(但し、閾値パージ補正係数FPGthは「0」より大きく「1」より小さい値である。)以上であるか、又は、デューティ比DPGが「0」である。即ち、蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していない。
条件6の閾値パージ補正係数FPGth(閾値補正量)は、パージ補正係数FPGが閾値パージ補正係数FPGthよりも小さいとき、蒸発燃料ガスのパージが「後述するインバランス判定用パラメータ」に大きな変化をもたらすようになる値、即ち、蒸発燃料ガス影響発生状態(インバランス判定用パラメータを所定の許容量以上変化させるような状態)が発生していると判定できる値、となるように設定されている。
なお、条件C6の「パージ補正係数FPGが所定の閾値パージ補正係数FPGth以上である」との条件は、「パージ補正係数FPGとパージ補正係数FPGの基準値である「1」との差の絶対値|1−FPG|が正のパージ影響判定用閾値Bth(但し、Bは「0」よりも大きく「1」よりも小さい値)よりも小さい」という条件に置換することができる。更に、条件C6の「デューティ比DPGが「0」である」との条件は、「デューティ比DPGが閾値デューティ比DPGthよりも小さい」という条件に置換することもできる。
CPU71がステップ1620の処理を行う時点において、判定実行条件が成立していなければ、CPU71はそのステップ1620にて「No」と判定し、ステップ1640に直接進む。
これに対し、CPU71がステップ1620の処理を行う時点において、判定実行条件が成立していると、CPU71はそのステップ1620にて「Yes」と判定してステップ1630に進み、判定許可フラグXkyokaの値を「1」に設定する。その後、CPU71はステップ1640に進む。
CPU71はステップ1640にて、上記判定実行条件が不成立であるか否かを判定する。即ち、上記条件C1乃至上記条件C6のうちの何れか一つでも成立していないか否かを判定する。そして、判定実行条件が不成立であると、CPU71はそのステップ1640からステップ1650に進み、判定許可フラグXkyokaの値を「0」に設定し、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、CPU71がステップ1640の処理を行う時点において、判定実行条件が成立していれば、CPU71はそのステップ1640からステップ1695へと直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、判定許可フラグXkyokaは、絶対クランク角が0°クランク角になった時点において判定実行条件が成立しているときに「1」に設定され、判定実行条件が不成立になった時点において「0」に設定される。
<空燃比気筒間インバランス判定>
次に、「空燃比気筒間インバランス判定」を実行するための処理について説明する。CPU71は、4ms(4ミリ秒=所定の一定サンプリング時間ts)が経過する毎に、図17にフローチャートにより示した「空燃比気筒間インバランス判定ルーチン」を実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPU71はステップ1700から処理を開始してステップ1705に進み、判定許可フラグXkyokaの値が「1」であるか否かを判定する。このとき、判定許可フラグXkyokaの値が「1」であると、CPU71はステップ1705にて「Yes」と判定し、ステップ1710に進んで「その時点の空燃比センサ67の出力値Vabyfs」をAD変換することにより取得する。
次に、CPU71はステップ1715に進み、空燃比センサ55の出力値Vabyfsを空燃比変換テーブルMapabyfsに適用することにより、今回の検出空燃比abyfsを取得する。なお、CPU71は、ステップ1715の処理の前に、本ルーチンを前回実行したときに得た検出空燃比abyfs(上流側空燃比abyfs)を前回の検出空燃比abyfsoldとして記憶する。即ち、前回の検出空燃比abyfsoldは、現時点から4ms(サンプリング時間ts)前の時点における検出空燃比abyfsである。
次に、CPU71はステップ1720に進んで、
(A)空燃比変動指標量AFD、
(B)空燃比変動指標量AFDの絶対値|AFD|の積算値SAFD、
(C)空燃比変動指標量AFDの絶対値の、積算値SAFDへの積算回数カウンタCn、及び、
(D)検出空燃比abyfsの最小値MINZ、
を更新する。以下、これらの更新方法について具体的に説明する。
(A)空燃比変動指標量AFDの更新。
空燃比変動指標量AFDは、本例において、検出空燃比変化率ΔAFである。CPU71は、この検出空燃比変化率ΔAFを、今回の検出空燃比abyfsから前回の検出空燃比abyfsoldを減じることによって取得する。即ち、今回の検出空燃比abyfsをabyfs(n)、前回の検出空燃比abyfsをabyfs(n−1)と表記すると、CPU71はステップ1720にて「今回の空燃比変動指標量AFDである今回の検出空燃比変化率ΔAF(n)」を下記の(23)式に従って求める。
ΔAF(n)=abyfs(n)−abyfs(n−1) …(23)
(B)空燃比変動指標量AFDの絶対値|AFD|の積算値SAFDの更新。
CPU71は今回の積算値SAFD(n)を下記の(24)式に従って求める。即ち、CPU71は、ステップ1720に進んだ時点における前回の積算値SAFD(n−1)に上記算出した今回の検出空燃比変化率ΔAF(n)の絶対値|ΔAF(n)(=AFD(n))|を加えることにより、積算値SAFDを更新する。
SAFD(n)=ASFD(n−1)+|ΔAF(n)|…(24)
積算値SAFDに「今回の検出空燃比変化率の絶対値|ΔAF(n)|」を積算する理由は、図9の(B)及び(C)からも理解されるように、検出空燃比変化率ΔAF(n)は正の値にも負の値にもなるからである。なお、積算値SAFDも、上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるようになっている。
(C)空燃比変動指標量AFDの絶対値の、積算値SAFDへの積算回数カウンタCnの更新。
CPU71は、カウンタCnの値を「1」だけ増大する。このカウンタCnの値は上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるとともに、後述するステップ1760にても「0」に設定される。従って、カウンタCnの値は、積算値SAFDに積算された空燃比変動指標量AFDの絶対値のデータ数を示す。
(D)検出空燃比abyfsの最小値MINZの更新。
CPU71は、ステップ1715にて取得された今回の検出空燃比abyfsが、現時点にて保持している最小値MINZよりも小さければ、その今回の検出空燃比abyfsを最小値MINZとして保存する。
次に、CPU71はステップ1725に進み、基準気筒(本例では第1気筒)の圧縮上死点を基準としたクランク角CA(絶対クランク角CA)が720°クランク角になっているか否かを判定する。このとき、絶対クランク角CAが720°クランク角未満であると、CPU71はステップ1725にて「No」と判定してステップ1795に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
なお、ステップ1725は、検出空燃比変化率ΔAFの絶対値|ΔAF|の平均値を求めるための最小単位の期間(単位燃焼サイクル期間)を定めるステップであり、ここでは720°クランク角がその最小期間に相当する。720°クランク角は、一つの空燃比センサ55に到達する排ガスを排出している総ての気筒(本例における第1〜第4気筒)において各一回の燃焼行程が終了するのに要するクランク角である。もちろん、この最小期間は720°クランク角よりも短くてもよいが、サンプリング時間tsの複数倍の長さ以上の期間であることが望ましい。即ち、最小単位の期間内に複数個の検出空燃比変化率ΔAFが取得されるように、その最小単位の期間が定められていることが望ましい。
一方、CPU71がステップ1725の処理を行う時点において、絶対クランク角CAが720°クランク角になっていると、CPU71はそのステップ1725にて「Yes」と判定し、ステップ1730に進んで、
(E)空燃比変動指標量AFDの絶対値の平均値AveAFDの算出、
(F)平均値AveAFDの積算値Saveの算出、
(G)最小値MINZの積算値SMINZの算出、及び、
(H)積算回数カウンタCsインクリメント、
を行う。以下、これらの更新方法について具体的に説明する。
(E)空燃比変動指標量AFDの絶対値の平均値AveAFDの算出。
CPU71は、積算値SAFDをカウンタCnの値により除することにより、空燃比変動指標量AFDの絶対値|AFD|の平均値AveAFDを算出する。
(F)平均値AveAFDの積算値Saveの算出。
CPU71は今回の積算値Save(n)を下記の(25)式に従って求める。即ち、CPU71は、ステップ1730に進んだ時点における前回の積算値Save(n−1)に上記算出した今回の平均値AveAFDを加えることにより、積算値Saveを更新する。この積算値Saveの値は上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるとともに、後述するステップ1760にても「0」に設定される。
Save(n)=Save(n−1)+AveAFD …(25)
(G)最小値MINZの積算値SMINZの算出。
CPU71は、今回の積算値SMINZ(n)を下記の(26)式に従って求める。即ち、CPU71は、ステップ1730に進んだ時点における前回の積算値SMINZ(n−1)に上記保存した今回の単位燃焼サイクル期間における最小値MINZを加えることにより、積算値SMINZを更新する。この積算値SMINZの値は上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるとともに、後述するステップ1760にても「0」に設定される。更に、CPU71は、最小値MINZを所定の大きなデフォルト値に設定しておく。
SMINZ(n)=SMINZ(n−1)+MINZ …(26)
(H)積算回数カウンタCsインクリメント。
CPU71は、下記の(27)式に従って、カウンタCsの値を「1」だけ増大する。Cs(n)は更新後のカウンタCsであり、Cs(n−1)は更新前のカウンタCsである。このカウンタCsの値は上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるとともに、後述するステップ1760にても「0」に設定される。従って、カウンタCsの値は、積算値Saveに積算された平均値AveAFDのデータ数、及び、積算値SMINZに積算された最小値MINZのデータ数を示す。
Cs(n)=Cs(n−1)+1 …(27)
次に、CPU71はステップ1735に進み、カウンタCsの値が閾値Csth以上であるか否かを判定する。このとき、カウンタCsの値が閾値Csth未満であると、CPU71はそのステップ1735にて「No」と判定し、ステップ1795に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、閾値Csthは自然数であり、2以上であることが望ましい。
一方、CPU71がステップ1735の処理を行う時点において、カウンタCsの値が閾値Csth以上であると、CPU71はそのステップ1735にて「Yes」と判定してステップ1740に進み、インバランス判定用パラメータX(第1インバランス判定用パラメータX1及び第2インバランス判定用パラメータX2)を算出する。
より具体的に述べると、CPU71は下記(28)式に従って積算値SaveをカウンタCsの値(=Csth)によって除することにより、第1インバランス判定用パラメータX1を算出する。この第1インバランス判定用パラメータX1は、検出空燃比変化率ΔAFの絶対値|ΔAF|の一つの単位燃焼サイクル期間における平均値を、複数(Csth回分)の単位燃焼サイクル期間について平均した値である。従って、第1インバランス判定用パラメータX1は、気筒別空燃比の間の差が大きいほど大きくなるインバランス判定用パラメータである。
X1=Save/Csth …(28)
或いは、CPU71は、下記(29)式に従って積算値SMINZをカウンタCsの値(=Csth)によって除することにより、第2インバランス判定用パラメータX2を算出する。この第2インバランス判定用パラメータX2は、一つの単位燃焼サイクル期間における検出空燃比abyfsの最小値MINZを、複数(Csth回分)の単位燃焼サイクル期間について平均した値である。従って、第2インバランス判定用パラメータX2は、気筒別空燃比の間の差が大きいほど小さくなるインバランス判定用パラメータである。
X2=SMINZ/Csth …(29)
次いで、CPU71はステップ1745に進み、第1インバランス判定用パラメータX1が第1のインバランス判定用閾値X1thよりも大きいか否かを判定する。この第1のインバランス判定用閾値X1thは、吸入空気流量Gaが大きいほど大きくなるように設定されることが望ましい。
このとき、第1インバランス判定用パラメータX1が第1のインバランス判定用閾値X1thよりも大きいと、CPU71はステップ1745にて「Yes」と判定してステップ1750に進み、インバランス発生フラグXINBの値を「1」に設定する。即ち、CPU71は空燃比気筒間インバランス状態が発生していると判定する。更に、このとき、CPU71は図示しない警告ランプを点灯してもよい。なお、インバランス発生フラグXINBの値はバックアップRAM74に格納される。その後、CPU71はステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPU71がステップ1745の処理を行う時点において、第1インバランス判定用パラメータX1が第1のインバランス判定用閾値X1th以下であると、CPU71はステップ1745にて「No」と判定してステップ1755に進み、インバランス発生フラグXINBの値を「2」に設定する。即ち、「空燃比気筒間インバランス判定の結果、空燃比気筒間インバランス状態が発生していないと判定された旨」を記憶する。その後、CPU71はステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ1755は省略されてもよい。
一方、CPU71がステップ1705に進んだ際に判定許可フラグXkyokaの値が「1」でなければ、CPU71はそのステップ1705にて「No」と判定してステップ1760に進む。そして、CPU71はステップ1760にて各値(例えば、AFD,SAFD,Cn,MINZ等)を「0」に設定(クリア)し、その後、ステップ1795に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上により、燃料噴射弁39の特性変化に起因する空燃比気筒間インバランス判定が実行される。なお、第1判定装置は、ステップ1745の処理において第2のインバランス判定用パラメータX2(複数の単位燃焼サイクル期間に対する検出空燃比abyfsの最小値MINZの平均値)を用いて空燃比気筒間インバランス判定を行ってもよい。
この場合、CPU71がステップ1745に進んだ際、CPU71は第2のインバランス判定用パラメータX2が第2のインバランス判定用閾値X2thよりも小さいか否かを判定する。
このとき、第2のインバランス判定用パラメータX2が第2のインバランス判定用閾値X2thよりも小さいと、CPU71はステップ1745にて「Yes」と判定してステップ1750に進み、インバランス発生フラグXINBの値を「1」に設定する。即ち、CPU71は空燃比気筒間インバランス状態が発生していると判定する。その後、CPU71はステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPU71がステップ1745の処理を行う時点において、第2インバランス判定用パラメータX2が第2のインバランス判定用閾値X2th以上であると、CPU71はステップ1745にて「No」と判定してステップ1755に進み、インバランス発生フラグXINBの値を「2」に設定する。即ち、「空燃比気筒間インバランス判定の結果、空燃比気筒間インバランス状態が発生していないと判定された旨」を記憶する。その後、CPU71はステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ1755は省略されてもよい。
以上、説明したように、第1判定装置は、
複数の気筒を有する多気筒内燃機関(10)に適用される空燃比気筒間インバランス判定装置であって、
前記複数の気筒のうちの少なくとも2以上の気筒(第1〜第4気筒)から排出された排ガスが集合する前記機関の排気通路の排気集合部又は同排気通路の同排気集合部よりも下流側の部位に配設される空燃比センサであって同空燃比センサに到達した排ガスの空燃比に応じた出力値を空燃比センサ出力として発生する空燃比センサ(67)と、
前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれに対応して配設されるとともに同2以上の気筒のそれぞれの燃焼室に供給される混合気に含まれる燃料をそれぞれ噴射する複数の燃料噴射弁(39)と、
前記複数の燃料噴射弁に供給される燃料を貯蔵する燃料タンク(45)内に発生した蒸発燃料ガスを前記機関の吸気通路に導入するための通路を構成するパージ通路部(ベーパ捕集管47及びパージ流路管48等)と、
前記パージ通路部を通して前記機関の吸気通路に流入する前記蒸発燃料ガスの量である蒸発燃料ガスパージ量を制御するパージ量制御手段(49、図13のルーチン)と、
前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれに供給される混合気の空燃比である気筒別空燃比の間の差が大きいほど大きくなるか又は小さくなるインバランス判定用パラメータ(インバランス判定用パラメータX1、インバランス判定用パラメータX2)を前記空燃比センサの出力値に基づいて取得するインバランス判定用パラメータ取得手段(図17のステップ1705乃至1740)と、
前記取得されたインバランス判定用パラメータと所定のインバランス判定用閾値とを比較するとともにその比較の結果に基づいて空燃比気筒間インバランス状態が発生したか否かについて判定するインバランス判定を実行するインバランス判定手段(図17のステップ1745乃至ステップ1755)と、
前記吸気通路に流入する前記蒸発燃料ガスが前記インバランス判定用パラメータを所定の許容量以上変化させるような状態である蒸発燃料ガス影響発生状態が発生しているか否かを判定する(上記条件C6が成立しないか否かを判定する)とともに(図16のステップ1620)、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定されたとき、前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、及び/又は、前記インバランス判定の実行を禁止する、インバランス判定実行可否決定手段(図16のステップ1620における「No」との判定、ステップ1640における「Yes」との判定、及び、図17のステップ1705における「No」との判定を参照。)、
を備えた空燃比気筒間インバランス判定装置である。
なお、CPU71は、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定されたときであっても、図17のステップ1710乃至ステップ1745の処理を実行するが、ステップ1745の結果に拘わらずインバランス発生フラグXINBの値を「0」にすることにより、前記インバランス判定の結果を無効化してもよい。
これによれば、「前記インバランス判定用パラメータを前記所定の許容量以上変化させるような状態」において、インバランス判定用パラメータが取得されないか又はインバランス判定が実行されない。従って、特定の気筒の燃料噴射弁39の噴射特性が他の気筒の燃料噴射弁39の噴射特性と大きく相違している状態であるにもかかわらず、蒸発燃料ガスの影響により空燃比気筒間インバランス状態が発生していないと判定(誤判定)してしまう可能性を低減することができる。
更に、第1判定装置は、前記空燃比センサ67の出力値Vabyfsにより表される空燃比(abyfs、abyfsc)が所定の目標空燃比(理論空燃比)に一致するように「前記複数の燃料噴射弁のそれぞれから噴射される燃料の量」である燃料噴射量(指示燃料噴射量)を「同空燃比センサの出力値と同目標空燃比とに基づいて算出される空燃比フィードバック量(FPG・FAF、又は、KG・FPG・FAF)」により補正するフィードバック制御手段(図10のステップ1060、図11、必要に応じて更に図12、図14、図15のルーチンを参照。)を備えている。
これによれば、インバランス判定を実行している場合において、エミッションが悪化することを回避することができる。
更に、前記フィードバック制御手段は、
「前記空燃比フィードバック量(FPG・FAF、又は、KG・FPG・FAF)の一部をなす補正量」であって、前記蒸発燃料ガスパージによる「前記2以上の気筒のそれぞれの燃焼室に供給される混合気の空燃比」の変化を抑制するための補正量(即ち、「蒸発燃料ガスパージ補正量FPG」)を、前記空燃比センサの出力値Vabyfsに基づいて算出するように構成され(図10のステップ1080、及び、図14を参照。)、
前記インバランス判定実行可否決定手段は、
「前記蒸発燃料ガスパージ補正量FPG」と「その蒸発燃料ガスパージ補正量の基準値(「1」)」との差、の大きさ|1−FPG|が、所定のパージ影響判定用閾値(Bth)よりも大きいとき、「前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生している」と判定するように構成されている(上記条件C6、図16のステップ1620における「No」との判定、及び、ステップ1640における「Yes」との判定を参照。)。
従って、蒸発燃料ガス影響発生状態が発生しているか否かを、蒸発燃料ガスパージ補正量FPGに基づいて精度良く判定することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る判定装置(以下、単に「第2判定装置」と称呼する。)について説明する。
第2判定装置は、そのCPU71が、空燃比気筒間インバランス判定を行うにあたり、図17に代わる図18に示した空燃比気筒間インバランス判定ルーチンを4ms(一定サンプリング時間ts)が経過する毎に実行するようになっている点のみにおいて、第1判定装置と相違する。従って、以下、この相違点を中心として説明する。
図18に示したルーチンは、図17のルーチンのステップ1730をステップ1810に置換する点のみにおいて、図17のルーチンと相違している。そこで、ステップ1810の処理について説明する。
CPU71はステップ1810に進むと、
(H)空燃比変動指標量AFDの絶対値の平均値AveAFDの算出、
(I)平均値AveAFD及び最小値MINZのパージ補正係数FPG(パージ補正量)に基づく補正、
(J)補正後平均値AveAFDHの積算値Saveの算出
(K)補正後最小値MINZHの積算値SMINZの算出、及び、
(L)積算回数カウンタCsインクリメント、
を行う。以下、これらの処理について具体的に説明する。
(H)空燃比変動指標量AFDの絶対値の平均値AveAFDの算出。
この処理は、第1判定装置のCPU71によるステップ1730における(E)の処理と同じである。即ち、CPU71は、積算値SAFDをカウンタCnの値により除することにより、空燃比変動指標量AFDの絶対値|AFD|=|ΔAF|の平均値AveAFDを算出する。
(I)平均値AveAFD及び最小値MINZのパージ補正係数FPGに基づく補正。
CPU71は、図19に示したテーブルMapKHX1(FPG)と現時点におけるパージ補正係数FPGとから補正係数(第1インバランス判定用パラメータ蒸発燃料ガス補正値)KHX1を読み出す。
このテーブルMapKHX1(FPG)によれば、パージ補正係数FPGによる燃料の補正率(即ち、パージ補正係数FPGとパージ補正係数FPGの基準値である「1」との差の大きさ|1−FPG|)が大きくなるほど、補正係数KHX1は「1」よりも大きい範囲において次第に大きくなるように求められる。
そして、CPU71は、その補正係数KHX1を下記の(30)式に示したように、平均値AveAFDに乗じることによって、蒸発燃料ガス影響分補正後平均値AveAFDHを取得する。これにより、蒸発燃料ガスの「インバランス判定用パラメータ(第1インバランス判定用パラメータX1)」に及ぼす影響が除去される。換言すると、蒸発燃料ガス影響分補正後平均値AveAFDHは、蒸発燃料ガスがパージされていない場合に得られる「空燃比変動指標量AFDの絶対値|AFD|の平均値AveAFD」となる。
AveAFDH=KHX1・AveAFD …(30)
同様に、CPU71は、図19に示したテーブルMapKHX2(FPG)と現時点におけるパージ補正係数FPGとから補正係数(第2インバランス判定用パラメータ蒸発燃料ガス補正値)KHX2を読み出す。このテーブル/MapKHX2(FPG)によれば、パージ補正係数FPGによる燃料の補正率|1−FPG|が「0」から大きくなるにつれて、補正係数KHX2は「1」から次第に小さくなるように求められる。
そして、CPU71は、下記の(31)式に示したように、その補正係数KHX2を最小値MINZに乗じることによって、蒸発燃料ガス影響分補正後最小値MINZHを取得する。これにより、蒸発燃料ガスの「インバランス判定用パラメータ(第2インバランス判定用パラメータX2)」に及ぼす影響が除去される。換言すると、蒸発燃料ガス影響分補正後最小値MINZHは、蒸発燃料ガスがパージされていない場合に得られる「単位燃焼サイクル期間における最小値MINZ」となる。
MINZH=KHX2・MINZ …(31)
(J)補正後平均値AveAFDHの積算値Saveの算出
CPU71は今回の積算値Save(n)を下記の(32)式に従って求める。即ち、CPU71は、ステップ1810に進んだ時点における前回の積算値Save(n−1)に上記算出した補正後平均値AveAFDHを加えることにより、積算値Saveを更新する。この積算値Saveの値は上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるとともに、ステップ1760にても「0」に設定される。更に、CPU71は、最小値MINZを所定の大きなデフォルト値に設定しておく。
Save(n)=Save(n−1)+AveAFDH …(32)
(K)補正後最小値MINZHの積算値SMINZの算出。
CPU71は、今回の積算値SMINZ(n)を下記の(33)式に従って求める。即ち、CPU71は、ステップ1810に進んだ時点における前回の積算値SMINZ(n−1)に上記補正した補正後最小値MINZHを加えることにより、積算値SMINZを更新する。この積算値SMINZの値は上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるとともに、ステップ1760にても「0」に設定される。
SMINZ(n)=SMINZ(n−1)+MINZH …(33)
(L)積算回数カウンタCsインクリメント。
CPU71は、カウンタCsの値を「1」だけ増大する。このカウンタCsの値は上述したイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるとともに、ステップ1760にても「0」に設定される。従って、カウンタCsの値は、積算値Saveに積算された補正後平均値AveAFDHのデータ数、及び、積算値SMINZに積算された補正後最小値MINZHのデータ数を示す。
次に、CPU71はステップ1735に進み、カウンタCsの値が閾値Csth以上であるか否かを判定する。このとき、カウンタCsの値が閾値Csth未満であると、CPU71はそのステップ1735にて「No」と判定し、ステップ1895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPU71がステップ1735の処理を行う時点において、カウンタCsの値が閾値Csth以上であると、CPU71はそのステップ1735にて「Yes」と判定してステップ1740に進み、インバランス判定用パラメータX(第1インバランス判定用パラメータX1及び第2インバランス判定用パラメータX2)を算出する。
より具体的に述べると、CPU71は上記(28)式に従って積算値SaveをカウンタCsの値(=Csth)によって除することにより、第1インバランス判定用パラメータX1を算出する。この第1インバランス判定用パラメータX1は、気筒別空燃比の間の差が大きいほど「大きくなるインバランス判定用パラメータ」である。
或いは、CPU71は、上記(29)式に従って積算値SMINZをカウンタCsの値(=Csth)によって除することにより、第2インバランス判定用パラメータX2を算出する。この第2インバランス判定用パラメータX2は、気筒別空燃比の間の差が大きいほど「小さくなるインバランス判定用パラメータ」である。
次いで、CPU71はステップ1745に進み、第1インバランス判定用パラメータX1と第1のインバランス判定用閾値X1thとの比較、又は、第2インバランス判定用パラメータX2と第2のインバランス判定用閾値X2thとの比較、に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
以上、説明したように、第2判定装置は、第1判定装置と同様、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定されたとき、前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行を禁止する、インバランス判定実行可否決定手段(上記条件C6、図16のステップ1620における「No」との判定、ステップ1640における「Yes」との判定、及び、図18のステップ1705における「No」との判定を参照。)を備える。
加えて、第2判定装置が備えるインバランス判定用パラメータ取得手段は、
前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれに供給される混合気の空燃比である気筒別空燃比の間の差が大きいほど大きくなるか又は小さくなるインバランス判定用パラメータを前記空燃比センサの出力値に基づいて取得するとともに、(前記蒸発燃料ガスパージ補正量と同蒸発燃料ガスパージ補正量の基準値との差の大きさ|1−FPG|が前記パージ影響判定用閾値(Bth)よりも小さいとき(上記条件C6、図16のステップ1620における「No」との判定、ステップ1640における「Yes」との判定、及び、図18のステップ1705における「Yes」との判定を参照。))、蒸発燃料ガスパージ補正量(パージ補正係数FPG)に基づいて前記インバランス判定用パラメータを補正する第1パラメータ補正手段(ステップ1810における上記処理(I)を参照。)を含む。
上述したように、蒸発燃料ガスに含まれる燃料の量が大きくなるほど、各燃料噴射弁39の噴射特性間の相違に基づく気筒別空燃比間の差は小さくなる。そこで、第2判定装置のように、実際に取得されたインバランス判定用パラメータ(第2判定装置においては、インバランス判定用パラメータを求めるための元データである平均値AveAFD及び最小値MINZ)を「実際に算出された蒸発燃料ガスパージ補正量(パージ補正係数FPG)」に基づいて補正することにより、インバランス判定用パラメータを、蒸発燃料による影響を受けない値であり、従って、各燃料噴射弁39の噴射特性間の相違に基づく気筒別空燃比間の差を精度良く表す値、に修正することができる。その結果、第2判定装置は、空燃比気筒間インバランス判定を精度良く行うことができる。
また、図18のステップ1735における閾値Csthが「1」であるとき、第2判定装置は、取得したインバランス判定用パラメータを蒸発燃料ガスパージ補正量に基づいて定まる補正値(KHX1,KHX2)により補正して最終的なインバランス判定用パラメータを取得していると言うこともできる。
なお、第2判定装置は、第1インバランス判定用パラメータX1を求めるための元データである平均値AveAFDをパージ補正係数FPGに基づく補正値KHX1により補正して補正後平均値AveAFDHを求め、その補正後平均値AveAFDHの平均を第1インバランス判定用パラメータX1として取得していた。これに対し、第2判定装置は、第1インバランス判定用パラメータX1を求めるための元データである平均値AveAFDの平均値AAveAFD(第1判定装置における第1インバランス判定用パラメータX1)を先に求め、その平均値AAveAFDを上記(30)式と同様にパージ補正係数FPGに基づく補正値KHX1より補正することによって、最終的な第1インバランス判定用パラメータX1を取得してもよい。
同様に、第2判定装置は、第2インバランス判定用パラメータX2を求めるための元データである最小値MINZをパージ補正係数FPGに基づくKHX2より補正して補正後最小値MINZHを求め、その補正後最小値MINZHの平均を第2インバランス判定用パラメータX2として取得していた。これに対し、第2判定装置は、第2インバランス判定用パラメータX2を求めるための元データである最小値MINZの平均値AAveMINZ(第1判定装置における第2インバランス判定用パラメータX2)を先に求め、その平均値AAveMINZを上記(31)式と同様にパージ補正係数FPGに基づくKHX2より補正することによって、最終的な第2インバランス判定用パラメータX2を取得してもよい。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る判定装置(以下、単に「第3判定装置」と称呼する。)について説明する。
第3判定装置は、そのCPU71が、空燃比気筒間インバランス判定を行うにあたり、図17に代わる図20に示した空燃比気筒間インバランス判定ルーチンを4ms(一定サンプリング時間ts)が経過する毎に実行するようになっている点のみにおいて、第1判定装置と相違する。従って、以下、この相違点を中心として説明する。
ところで、上述した第2判定装置においては、インバランス判定用パラメータがパージ補正値により(より詳細には、パージ補正係数FPGに基づいて定まる補正係数KHX1,KHX2により)補正されていた。これに対し、第3判定装置は、インバランス判定用パラメータは補正せず、その代わりに、インバランス判定用閾値をパージ補正値により補正する。
図20に示したルーチンは、図17のルーチンのステップ1740とステップ1745との間にステップ2010を挿入した点のみにおいて、図17のルーチンと相違している。そこで、ステップ2010の処理を中心に説明する。
CPU71は、ステップ1740にて、第1インバランス判定用パラメータX1及び/又は第2インバランス判定用パラメータX2を算出する。第1インバランス判定用パラメータX1は、検出空燃比変化率ΔAFの絶対値|ΔAF|の一つの単位燃焼サイクル期間における平均値を、複数(Csth回分)の単位燃焼サイクル期間について平均した値である。第2インバランス判定用パラメータX2は、一つの単位燃焼サイクル期間における検出空燃比abyfsの最小値MINZを、複数(Csth回分)の単位燃焼サイクル期間について平均した値である。
次に、CPU71はステップ2010に進み、図21に示したテーブルMapKi1(FPG)と現時点におけるパージ補正係数FPGとから補正係数Ki1(第1インバランス判定用閾値蒸発燃料補正値)を読み出す。
このテーブルMapKi1(FPG)によれば、パージ補正係数FPGによる燃料の補正率(|1−FPG|)が「0」から大きくなるにつれて、補正係数Ki1は「1」から次第に小さくなるように求められる。
そして、CPU71は、その補正係数Ki1を下記の(34)式に示したように、一定の基準閾値(第1インバランス判定用基準閾値)X1th0に乗じることによって、補正後の第1インバランス判定用閾値X1thを取得する。この一定の基準閾値X1th0は、蒸発燃料ガスのパージが行われていない状態において「第1インバランス判定用パラメータX1が基準閾値X1th0よりも大きければ、燃料噴射弁の特性変化に起因する空燃比気筒間インバランス判定が発生している」と判定できるように適合された値である。これにより、蒸発燃料ガスの影響が「インバランス判定用パラメータ(第1インバランス判定用パラメータX1)」に現れているとしても、その影響の程度に関わらない空燃比気筒間インバランス判定が行われ得る。
X1th=Ki1・X1th0 …(34)
同様に、CPU71はステップ2010にて、図21に示したテーブルMapKi2(FPG)と現時点におけるパージ補正係数FPGとから補正係数Ki2(第2インバランス判定用閾値蒸発燃料補正値)を読み出す。
このテーブルMapKi2(FPG)によれば、パージ補正係数FPGによる燃料の補正率(|1−FPG|)が大きくなるほど、補正係数Ki2は「1」よりも大きい範囲において「1」から次第に大きくなるように求められる。そして、CPU71は、その補正係数Ki2を下記の(35)式に示したように、一定の基準閾値(第2インバランス判定用基準閾値)X2th0に乗じることによって、補正後の第2インバランス判定用閾値X2thを取得する。この一定の基準閾値X2th0は、蒸発燃料ガスのパージが行われていない状態において「第2インバランス判定用パラメータX2が基準閾値X2th0よりも小さければ、空燃比気筒間インバランス判定が発生している」と判定できるように適合された値である。これにより、蒸発燃料ガスの影響が「インバランス判定用パラメータ(第2インバランス判定用パラメータX2)」に現れているとしても、その影響の程度に関わらない空燃比気筒間インバランス判定が行われる。
X2th=Ki2・X2th0 …(35)
次いで、CPU71はステップ1745に進み、補正がなされていない第1インバランス判定用パラメータX1と上記蒸発燃料ガス影響分補正後の第1インバランス判定用閾値X1thとの比較に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。或いは、CPU71は、補正がなされていない第2インバランス判定用パラメータX2と上記蒸発燃料ガス影響分補正後の第2インバランス判定用閾値X2thとの比較に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
即ち、CPU71は、第1インバランス判定用パラメータX1が蒸発燃料ガス影響分補正後の第1インバランス判定用閾値X1thよりも大きいとき、燃料噴射弁39の特性変化に起因する空燃比気筒間インバランス状態が発生したと判定する。或いは、CPU71は、第2インバランス判定用パラメータX2が蒸発燃料ガス影響分補正後の第2インバランス判定用閾値X2thよりも小さいとき、燃料噴射弁39の特性変化に起因する空燃比気筒間インバランス状態が発生したと判定する。
以上、説明したように、第3判定装置は、第1判定装置と同様、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定されたとき、前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行を禁止する、インバランス判定実行可否決定手段(上記条件C6、図16のステップ1620における「No」との判定、ステップ1640における「Yes」との判定、及び、図20のステップ1705における「No」との判定を参照。)を備える。
更に、第3判定装置が備えるインバランス判定手段は、
前記蒸発燃料ガスパージ補正量と同蒸発燃料ガスパージ補正量の基準値との差の大きさ|1−FPG|が前記パージ影響判定用閾値(Bth)よりも小さいとき(上記条件C6、図17のステップ1620における「No」との判定、ステップ1640における「Yes」との判定、及び、図20のステップ1705における「Yes」との判定を参照。)、前記蒸発燃料ガスパージ補正量に基づいて前記インバランス判定用閾値を補正する第1判定用閾値補正手段(図20のステップ2010)を含む。即ち、第1判定用閾値補正手段は、基準閾値X1th0を補正して第1インバランス判定用閾値X1thを得る、或いは、基準閾値X2th0を補正して第2インバランス判定用閾値X2thを得る。
このように、インバランス判定用パラメータを修正することに代え、インバランス判定用閾値(X1th、X2th)を実際に算出された蒸発燃料ガスパージ補正量(パージ補正係数FPG)に基づいて補正すれば、インバランス判定用パラメータ(X1,X2)が蒸発燃料による影響を受けていたとしても、インバランス判定用閾値がその蒸発燃料による影響を反映した値へと修正される。その結果、各燃料噴射弁39の噴射特性間の相違に基づく気筒別空燃比間の差が所定値に達したときに、空燃比気筒間インバランス状態が発生したと精度良く判定することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る判定装置(以下、単に「第4判定装置」と称呼する。)について説明する。
第4判定装置は、そのCPU71が図16に示したルーチンに代わる図22に示したルーチンを実行する点のみにおいて、第2判定装置と相違している。即ち、第4判定装置は、図10乃至図15と、図18と、図22と、に示したルーチンを実行する。このうち、図10乃至図15と、図18と、に示したルーチンについては説明済みである。従って、以下、図22のルーチンを中心として説明する。
図22のルーチンは、図16のルーチンのステップ1620及びステップ1640をステップ2210及びステップ2220にそれぞれ置換した点のみにおいて、図16のルーチンと相違している。CPU71は、このステップ2210において、上記条件C1乃至条件C5(又は、上記条件C1乃至条件C3)が成立したときに判定実行条件が成立したと判定する。換言すると、第4判定装置は、パージ補正係数FPGが所定の閾値パージ補正係数FPGth以上であるか否かに拘わらず、空燃比気筒間インバランス判定の実行を許容する。つまり、パージ補正係数FPGとパージ補正係数FPGの基準値である「1」との差の絶対値|1−FPG|が正のパージ影響判定用閾値Bthよりも小さいか否かにより判定される「蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していないこと」は、判定実行条件の一つではない。
但し、第4判定装置は、第2判定装置と同様、「テーブルMapKHX1(FPG)と現時点におけるパージ補正係数FPGとから定められる補正係数KHX1」を平均値AveAFDに乗じることによって補正後平均値AveAFDHを取得し、その補正後平均値AveAFDHの平均値(Save/Csth)を第1インバランス判定用パラメータX1として取得する。
更に、第4判定装置は、第2判定装置と同様、「テーブルMapKHX2(FPG)と現時点におけるパージ補正係数FPGとから定められる補正係数KHX2」を最小値MINZに乗じることによって補正後最小値MINZHを取得し、その補正後最小値MINZHの平均値(SMINZ/Csth)を第2インバランス判定用パラメータX2として取得する。
そして、第4判定装置は、第2判定装置と同様、第1インバランス判定用パラメータX1と第1のインバランス判定用閾値X1thとの比較、又は、第2インバランス判定用パラメータX2と第2のインバランス判定用閾値X2thとの比較、に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
以上、説明したように、第4判定装置は、パージ補正係数FPGが所定の閾値パージ補正係数FPGth以上であるか否かに拘わらず、蒸発燃料ガスの影響を除去した「第1インバランス判定用パラメータX1及び/又は第2インバランス判定用パラメータX2」を用いて空燃比気筒間インバランス判定を実行する。従って、第4判定装置は、第1〜第3判定装置に比較して、空燃比気筒間インバランス判定をより頻繁に実行することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る判定装置(以下、単に「第5判定装置」と称呼する。)について説明する。
第5判定装置は、そのCPU71が図16に示したルーチンに代わる図22に示したルーチンを実行する点のみにおいて、第3判定装置と相違している。即ち、第5判定装置は、図10乃至図15と、図20と、図22と、に示したルーチンを実行する。従って、第5判定装置は、第4判定装置と同様、パージ補正係数FPGが所定の閾値パージ補正係数FPGth以上であるか否かに拘わらず(即ち、蒸発燃料ガス影響発生状態が発生しているか否かに拘わらず)、インバランス判定用パラメータの取得及び空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
更に、第5判定装置は、第3判定装置と同様、テーブルMapKi1(FPG)と実際のパージ補正係数FPGとから求めた補正値Ki1を一定の基準閾値X1th0に乗じることによって、補正後の第1インバランス判定用閾値X1thを取得する。そして、第5判定装置は、補正がなされていない第1インバランス判定用パラメータX1と上記補正後の第1インバランス判定用閾値X1thとを比較することにより、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
加えて、第5判定装置は、第3判定装置と同様、テーブルMapKi2(FPG)と実際のパージ補正係数FPGとから求めた補正値Ki2を一定の基準閾値X2th0に乗じることによって、補正後の第2インバランス判定用閾値X2thを取得する。そして、第5判定装置は、補正がなされていない第2インバランス判定用パラメータX2と上記補正後の第2インバランス判定用閾値X2thとを比較することにより、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
従って、第5判定装置は、第1〜第3判定装置に比較して、空燃比気筒間インバランス判定をより頻繁に実行することができる。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係る判定装置(以下、単に「第6判定装置」と称呼する。)について説明する。
第6判定装置は、そのCPU71が図16に示したルーチンに代わる図23に示したルーチンを実行する点のみにおいて、第1判定装置と相違している。即ち、第6判定装置は、図10乃至図15と、図17と、図23と、に示したルーチンを実行する。
第6判定装置は、「機関10の暖機状態が進むにつれて大きくなる暖機状態パラメータ」である「機関10の冷却水温THW」を取得する。更に、第6判定装置は、その取得された暖機状態パラメータに基づいて機関10の暖機状態が所定の暖機状態に到達しているか否かを判定する。そして、第6判定装置は、機関10の暖機状態が所定の暖機状態に到達していないと判定したとき、前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行を禁止する。なお、第6判定装置は、第1判定装置と同様、パージ補正係数FPGが所定の閾値パージ補正係数FPGth未満であると、前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行を禁止する。
より具体的に述べると、第6判定装置は、図23に示したルーチンにより判定許可フラグXkyokaの値を設定する。図23のルーチンは、図16のルーチンのステップ1620及びステップ1640を、ステップ2310及びステップ2320にそれぞれ置換した点のみにおいて、図16のルーチンと相違している。
CPU71は、このステップ2310において、上記条件C1乃至条件C6と、下記の条件C7と、が成立したときに判定実行条件が成立したと判定する。或いは、CPU71は、条件C1、条件C3、条件C6及び条件C7が成立したときに判定実行条件が成立したと判定するように構成されてもよい。
(条件C7)水温センサ63により取得される冷却水温THWがインバランス判定用閾値冷却水温THWth以上である。
換言すると、第6判定装置は、冷却水温THWが閾値冷却水温THWthよりも低いとき、前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行を禁止する。本例において、閾値冷却水温THWthは、完全暖機時の冷却水温THW80(=80℃)に設定されている。従って、第6判定装置は、機関10の暖機状態が完全暖機状態に到達していないとき、前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行を禁止する。なお、閾値冷却水温THWthは、メインフィードバック制御条件の一つを定める前記第1所定温度以上であり、且つ、サブフィードバック制御条件の一つを定める第2所定温度以上であることが望ましい。
機関10が冷間始動された後の所定期間のように機関10の暖機状態が進行しておらず、「吸気ポート31及び吸気弁32等の吸気通路構成部材」の温度が低いとき、燃料噴射弁39から噴射された燃料の一部が吸気通路構成部材に比較的多量に付着する。更に、複数の燃料噴射弁39のうち「その噴射特性が指示燃料噴射量よりも多くの量の燃料を噴射してしまう特性」となっている燃料噴射弁から噴射された燃料の方が、「その噴射特性が正常な特性」である燃料噴射弁から噴射された燃料よりも、吸気通路構成部材により多く付着する。
そのため、機関10の暖機状態が所定の暖機状態(例えば、吸気通路構成部材への燃料付着量が所定量以下となるような暖機状態)に到達していないと、特定の気筒の燃料噴射弁の噴射特性が他の気筒の燃料噴射弁の噴射特性と大きく相違している状態であるにもかかわらず、気筒別空燃比の間の差が大きくならず、その結果、「燃料噴射弁の特性変化に起因する空燃比気筒間インバランス状態」が発生していないと判定してしまう場合がある。
これに対し、第6判定装置は、機関10の暖機状態が所定の暖機状態に到達したか否かを判定するとともに、機関10の暖機状態が同所定の暖機状態に到達していないと判定されたとき(冷却水温THWが閾値冷却水温THWth未満である場合)、前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行を禁止するように構成されたインバランス判定実行可否決定手段(図23のステップ2310における「No」との判定、ステップ2320における「Yes」との判定、及び、図17のステップ1705における「No」との判定を参照。)を備える。即ち、機関10の暖機状態が所定の暖機状態に到達していない場合、空燃比気筒間インバランス判定の実行が事実上禁止される。従って、誤った空燃比気筒間インバランス判定を行ってしまう可能性を低減することができる。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係る判定装置(以下、単に「第7判定装置」と称呼する。)について説明する。
第7判定装置のCPU71は、図10乃至図15と、図23と、図24と、に示されたルーチンを実行する。図10乃至図15と、図23と、に示したルーチンについては説明済みである。従って、以下、図24のルーチンについて説明する。但し、図23のステップ2310にて使用される閾値冷却水温THWthは、完全暖機時の冷却水温THW80(=80℃)よりも低い値に設定されている。第7判定装置は、図24のルーチンを実行することにより、インバランス判定用パラメータを機関10の暖機状態(吸気通路構成部材への燃料付着のし易さの程度)に基づいて補正する。
図24に示したルーチンは、図17のルーチンのステップ1730をステップ2410に置換した点のみにおいて、図17のルーチンと相違している。従って、以下、ステップ2410以降の処理を中心として説明する。
CPU71はステップ2410に進むと、ステップ1730と同様に、(E)空燃比変動指標量AFDの絶対値の平均値AveAFDを算出する。
次いで、CPU71は、図25に示したテーブルMapKthwX1(THW)と現時点における冷却水温THWとから補正係数KthwX1(水温係数、第1インバランス判定用パラメータ暖機状態補正値)を読み出す。
このテーブルMapKthwX1(THW)によれば、冷却水温THWが完全暖機時の温度THW80(=80℃)に向けて高くなるほど、補正係数KthwX1は「1」より大きい値から「1」に向けて次第に小さくなるように求められる。更に、このテーブル/MapKthwX1(THW)によれば、冷却水温THWが完全暖機時の温度THW80より高いとき、補正係数KthwX1は「1」となるように求められる。
そして、CPU71は、下記の(36)式に示したように、その補正係数KthwX1を平均値AveAFDに乗じることによって、冷却水温補正後平均値AveAFDHを取得する。この冷却水温補正後平均値AveAFDHは、「暖機状態補正後平均値AveAFDH」又は「燃料付着量補正後平均値AveAFDH」とも称呼される。これにより、吸気通路構成部材へ付着する燃料の「第1インバランス判定用パラメータX1」に及ぼす影響が除去される。換言すると、冷却水温補正後平均値AveAFDHは、機関10の状態が完全暖機状態にあって燃料付着量が小さい値にて安定している場合に得られる「空燃比変動指標量AFDの絶対値|AFD|の平均値AveAFD」となる。
AveAFDH=KthwX1・AveAFD …(36)
同様に、CPU71は、図25に示したテーブル/MapKthwX2(THW)と現時点における冷却水温THWとから補正係数KthwX2(水温係数、第2インバランス判定用パラメータ暖機状態補正値)を読み出す。このテーブルMapKthwX2(THW)によれば、冷却水温THWが完全暖機時の温度THW80(=80℃)に向けて高くなるほど、補正係数KthwX1は「0」より小さい値から「1」に向けて次第に大きくなるように求められる。更に、このテーブルMapKthwX2(THW)によれば、冷却水温THWが完全暖機時の温度THW80より高いとき、補正係数KthwX2は「1」となるように求められる。
そして、CPU71は、下記の(37)式に示したように、その補正係数KthwX2を最小値MINZに乗じることによって、冷却水温補正後最小値MINZHを取得する。この冷却水温補正後最小値MINZHは、「暖機状態補正後最小値MINZH」又は「燃料付着量補正後最小値MINZH」とも称呼される。これにより、吸気通路構成部材へ付着する燃料の「第2インバランス判定用パラメータX2」に及ぼす影響が除去される。換言すると、冷却水温補正後最小値MINZHは、機関10の状態が完全暖機状態にあって燃料付着量が小さい値にて安定している場合に得られる「単位燃焼サイクル期間における最小値MINZ」となる。
MINZH=KthwX2・MINZ …(37)
その後、CPU71は、図18のステップ1810と同様に、冷却水温補正後平均値AveAFDHの積算値Saveを算出する(上記(J)及び上記(32)式を参照。)。更に、CPU71は、図18のステップ1810と同様に、冷却水温補正後最小値MINZHの積算値SMINZを算出する(上記(K)及び上記(33)式を参照。)。
次いで、CPU71は、ステップ1730と同様に、積算回数カウンタCsを「1」だけ増大する(上記(L)を参照。)。
次に、CPU71はステップ1735に進み、カウンタCsの値が閾値Csth以上であるか否かを判定する。このとき、カウンタCsの値が閾値Csth未満であると、CPU71はそのステップ1735にて「No」と判定し、ステップ2495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPU71がステップ1735の処理を行う時点において、カウンタCsの値が閾値Csth以上であると、CPU71はそのステップ1735にて「Yes」と判定してステップ1740に進み、上記(28)式及び上記(29)式に従って、インバランス判定用パラメータX(第1インバランス判定用パラメータX1及び第2インバランス判定用パラメータX2)を算出する。
次いで、CPU71はステップ1745に進み、第1インバランス判定用パラメータX1と第1インバランス判定用閾値X1thとの比較、又は、第2インバランス判定用パラメータX2と第2インバランス判定用閾値X2thとの比較、に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
以上、説明したように、第7判定装置は、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定されたとき、及び、機関10の暖機状態が所定の暖機状態(完全暖機状態よりは暖機が進んでいない状態)に到達していないと判定されたとき、前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行を禁止するインバランス判定実行可否決定手段(上記条件C7、図23のステップ2310における「No」との判定、ステップ2320における「Yes」との判定、及び、図24のステップ1705における「No」との判定を参照。)を備える。
更に、第7判定装置は、取得された暖機状態パラメータ(冷却水温THW)が前記暖機状態閾値(閾値THWth)よりも大きいとき、暖機状態パラメータに基づいて前記インバランス判定用パラメータ(第1インバランス判定用パラメータX1、第2インバランス判定用パラメータX2)を補正する第2パラメータ補正手段(図24のステップ2410における上記(36)式及び上記(37)式による補正を参照。)、を含む。
従って、第7判定装置は、吸気通路構成部材への燃料付着量の影響を受けていない値へと補正されたインバランス判定用パラメータに基づいて空燃比気筒間インバランス判定を行うことができるので、機関10の暖機状態が完全暖機状態に到達する前の時点においても空燃比気筒間インバランス判定を精度良く行うことができる。
なお、図24のステップ1735における閾値Csthが「1」であるとき、第7判定装置は、取得したインバランス判定用パラメータ(平均値AveAFD又は最小値MINZ)を機関の暖機状態を表すパラメータ(冷却水温THW)に基づいて定まる補正値(補正係数KthwX1、補正係数KthwX2)により補正して最終的なインバランス判定用パラメータを取得していると言うこともできる。
また、第7判定装置は、第1インバランス判定用パラメータX1を求めるための元データである平均値AveAFDを冷却水温THWに基づいて定まる補正値KthwX1により補正して補正後平均値AveAFDHを取得し、その補正後平均値AveAFDHの平均を第1インバランス判定用パラメータX1として取得していた。これに対し、第7判定装置は、第1インバランス判定用パラメータX1を求めるための元データである平均値AveAFDの平均値AAveAFDを先に求め、その平均値AAveAFDを上記(36)式と同様な式に従って冷却水温THWに基づいて定まる補正値KthwX1により補正することによって、最終的な第1インバランス判定用パラメータX1を取得してもよい。
同様に、第7判定装置は、第2インバランス判定用パラメータX2を求めるための元データである最小値MINZを冷却水温THWに基づいて定まる補正値KthwX2より補正して補正後最小値MINZHを取得し、その補正後最小値MINZHの平均を第2インバランス判定用パラメータX2として取得していた。これに対し、第2判定装置は、第2インバランス判定用パラメータX2を求めるための元データである最小値MINZの平均値AAveMINZを先に求め、その平均値AAveMINZを上記(37)式と同様な式に従って冷却水温THWに基づいて定まる補正値KthwX2により補正することによって、最終的な第2インバランス判定用パラメータX2を取得してもよい。
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態に係る判定装置(以下、単に「第8判定装置」と称呼する。)について説明する。
第8判定装置のCPU71は、図10乃至図15と、図23と、図26と、に示されたルーチンを実行する。図10乃至図15と、図23と、のルーチンについては説明済みである。従って、以下、図26のルーチンについて説明する。但し、図23のステップ2310にて使用される閾値冷却水温THWthは、完全暖機時の冷却水温THW80(=80℃)よりも低い値に設定されている。第8判定装置は、図26のルーチンを実行することにより、インバランス判定用パラメータの代わりに、インバランス判定用閾値を機関10の暖機状態(吸気通路構成部材への燃料付着のし易さの程度)に基づいて補正する。
図26に示したルーチンは、図17のルーチンのステップ1740とステップ1745との間にステップ2610を挿入した点のみにおいて、図17のルーチンと相違している。そこで、ステップ2610の処理を中心に説明する。
CPU71は、ステップ1740にて、第1インバランス判定用パラメータX1及び/又は第2インバランス判定用パラメータX2を算出する。次に、CPU71はステップ2610に進み、図27に示したテーブルMapKJ1(THW)と現時点における冷却水温THWとから補正係数KJ1(第1インバランス判定用閾値冷却水温補正値)を読み出す。
このテーブルMapKJ1(THW)によれば、冷却水温THWが完全暖機時の温度THW80(=80℃)に向けて高くなるほど、補正係数KJ1は「0」より小さい値から「1」に向けて次第に大きくなるように求められる。更に、このテーブルMapKJ1(THW)によれば、冷却水温THWが完全暖機時の温度THW80より高いとき、補正係数KJ1は「1」となるように求められる。
そして、CPU71は、その補正値KJ1を下記の(38)式に示したように、一定の基準閾値X1th0に乗じることによって、冷却水温補正後の第1インバランス判定用閾値X1thを取得する。この一定の基準閾値X1th0は、機関10の暖機状態が完全暖機状態であって燃料付着量が小さい値にて安定している場合(THW≧THW80=80℃)において(且つ、蒸発燃料ガスのパージが実行されていない場合において)、「第1インバランス判定用パラメータX1が基準閾値X1th0よりも大きければ、燃料噴射弁の特性変化に起因する空燃比気筒間インバランス判定が発生している」と判定できるように適合された値である。これにより、燃料付着の影響が「インバランス判定用パラメータ(第1インバランス判定用パラメータX1)」に現れているとしても、その影響の程度に関わらない空燃比気筒間インバランス判定が行われ得る。
X1th=KJ1・X1th0 …(38)
同様に、CPU71はステップ2610にて、図27に示したテーブルMapKJ2(THW)と現時点における冷却水温THWとから補正係数KJ2(第2インバランス判定用閾値冷却水温補正値)を読み出す。
このテーブルMapKJ2(THW)によれば、冷却水温THWが完全暖機時の温度THW80(=80℃)に向けて高くなるほど、補正係数KJ2は「1」より大きい値から「1」に向けて次第に小さくなるように求められる。更に、このテーブルMapKJ2(THW)によれば、冷却水温THWが完全暖機時の温度THW80より高いとき、補正係数KJ2は「1」となるように求められる。
そして、CPU71は、その補正係数KJ2を下記の(39)式に示したように、一定の基準閾値X2th0に乗じることによって、冷却水温補正後の第2インバランス判定用閾値X2thを取得する。この一定の基準閾値X2th0は、機関10の暖機状態が完全暖機状態であって燃料付着量が小さい値にて安定している場合(THW≧THW80=80℃)において(且つ、蒸発燃料ガスのパージが実行されていない場合において)、「第2インバランス判定用パラメータX2が基準閾値X2th0よりも小さければ、燃料噴射弁の特性変化に起因する空燃比気筒間インバランス判定が発生している」と判定できるように適合された値である。これにより、燃料付着の影響が「インバランス判定用パラメータ(第2インバランス判定用パラメータX2)」に現れているとしても、その影響の程度に関わらない空燃比気筒間インバランス判定が行われ得る。
X2th=KJ2・X2th0 …(39)
次いで、CPU71はステップ1745に進み、補正がなされていない第1インバランス判定用パラメータX1と上記冷却水温補正後の第1インバランス判定用閾値X1thとの比較に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。或いは、CPU71は、補正がなされていない第2インバランス判定用パラメータX2と上記冷却水温補正後の第2インバランス判定用閾値X2thとの比較に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
以上、説明したように、第8判定装置は、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定されたとき、及び、機関10の暖機状態が所定の暖機状態(完全暖機状態よりは暖機が進んでいない状態)に到達していないと判定されたとき、前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行を禁止するインバランス判定実行可否決定手段(図23のステップ2310における「No」との判定、ステップ2320における「Yes」との判定、及び、図26のステップ1705における「No」との判定を参照。)を備える。
更に、第8判定装置は、取得された暖機状態パラメータ(冷却水温THW)が前記暖機状態閾値(閾値THWth)よりも大きいとき、暖機状態パラメータに基づいてインバランス判定用閾値を補正する(基準閾値X1th0を補正して第1インバランス判定用閾値X1thを得る、或いは、基準閾値X2th0を補正して第2インバランス判定用閾値X2thを得る)第2判定用閾値補正手段(図26のステップ2610を参照。)、を含む。
従って、第8判定装置は、インバランス判定用パラメータ(X1,X2)が吸気通路構成部材への燃料付着量による影響を受けていたとしても、インバランス判定用閾値がその燃料付着量による影響を反映した値へと修正される。その結果、各燃料噴射弁39の噴射特性間の相違に基づく気筒別空燃比間の差が所定値に達したときに、空燃比気筒間インバランス状態が発生したと精度良く判定することができる。
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態に係る判定装置(以下、単に「第9判定装置」と称呼する。)について説明する。
第9判定装置のCPU71は、図10乃至図15と、図22と、図28と、に示されたルーチンを実行する。図10乃至図15と、図22と、のルーチンについては説明済みである。従って、以下、図28のルーチンについて説明する。第9判定装置は、図28のルーチンを実行することにより、インバランス判定用パラメータをパージ補正係数FPGと冷却水温THWとに基づいて補正する。換言すると、第9判定装置は、蒸発燃料ガス及び燃料付着量の影響が除去されたインバランス判定用パラメータを取得し、そのインバランス判定用パラメータに基づいてインバランス判定を実行する。
図28に示したルーチンは、図17のルーチンのステップ1730をステップ2810に置換した点のみにおいて、図17のルーチンと相違している。従って、以下、ステップ2810以降の処理を中心として説明する。
CPU71はステップ2810に進むと、ステップ1730と同様に、(E)空燃比変動指標量AFDの絶対値の平均値AveAFDを算出する。
次いで、CPU71は、「図29に示したテーブルMapKFTX1(FPG,THW)」と現時点における「パージ補正係数FPG及び冷却水温THW」とから補正係数KFT(n,m)(=KFTX1)を読み出す。この補正係数KFTX1は、第1インバランス判定用パラメータ蒸発燃料・暖機状態・補正値とも称呼される。
このテーブルMapKFTX1(FPG,THW)によれは、補正係数KFTX1は、蒸発燃料ガス及び付着燃料の第1インバランス判定用パラメータX1に対する影響を除去する値となるように、実験により予め定められている。より簡便には、補正係数KFTX1は、「パージ補正係数FPGとテーブルMapKHX1(FPG)とに基づいて得られる補正係数KHX1」と「冷却水温THWとテーブルMapKthwX1(THW)とに基づいて得られる補正係数KthwX1」と、の積として求めることもできる。
そして、CPU71は、下記の(40)式に示したように、その補正係数KFTX1を平均値AveAFDに乗じることによって、補正後平均値AveAFDHを取得する。これにより、蒸発燃料ガスに含まれる燃料及び吸気通路構成部材へ付着する燃料の「第1インバランス判定用パラメータX1」に及ぼす影響が除去される。換言すると、補正後平均値AveAFDHは、蒸発燃料ガスがパージされておらず、且つ、機関10の状態が完全暖機状態にあって燃料付着量が小さい値にて安定している場合に得られる「空燃比変動指標量AFDの絶対値|AFD|の平均値AveAFD」となる。
AveAFDH=KFTX1・AveAFD …(40)
同様に、CPU71は、「図29と同様な形式であって図示しないテーブルMapKFTX2(FPG,THW)」と現時点における「パージ補正係数FPG及び冷却水温THW」とから補正係数KFTX2(第2インバランス判定用パラメータ蒸発燃料・暖機状態・補正値)を読み出す。
このテーブル/MapKFTX2(FPG,THW)によれは、補正係数KFTX2は、蒸発燃料ガス及び付着燃料の第2インバランス判定用パラメータX2に対する影響を除去する値となるように、実験により予め定められている。より簡便には、補正係数KFTX2は、「パージ補正係数FPGとテーブルMapKHX2(FPG)とに基づいて得られる補正係数KHX2」と「冷却水温THWとテーブルMapKthwX2(THW)とに基づいて得られる補正係数KthwX2」と、の積として求めることもできる。
そして、CPU71は、下記の(41)式に示したように、その補正係数KFTX2を最小値MINZに乗じることによって、補正後最小値MINZHを取得する。これにより、蒸発燃料ガスに含まれる燃料及び吸気通路構成部材へ付着する燃料の「第2インバランス判定用パラメータX2」に及ぼす影響が除去される。換言すると、補正後平均値AveAFDHは、蒸発燃料ガスがパージされておらず、且つ、機関10の状態が完全暖機状態にあって燃料付着量が小さい値にて安定している場合に得られる「単位燃焼サイクル期間における最小値MINZ」となる。
MINZH=KFTX2・MINZ …(41)
その後、CPU71は、図18のステップ1810と同様に、冷却水温補正後平均値AveAFDHの積算値Saveを算出する(上記(J)及び上記(32)式を参照。)。更に、CPU71は、図18のステップ1810と同様に、冷却水温補正後最小値MINZHの積算値SMINZを算出する(上記(K)及び上記(33)式を参照。)。
次いで、CPU71は、ステップ1730と同様に、積算回数カウンタCsを「1」だけ増大する(上記(L)を参照。)。
次に、CPU71はステップ1735以降に進み、カウンタCsの値が閾値Csth以上となると、上記(28)式及び上記(29)式に従って、インバランス判定用パラメータX(第1インバランス判定用パラメータX1及び第2インバランス判定用パラメータX2)を算出する。
次いで、CPU71はステップ1745に進み、第1インバランス判定用パラメータX1と第1のインバランス判定用閾値X1thとの比較、又は、第2インバランス判定用パラメータX2と第2のインバランス判定用閾値X2thとの比較、に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
以上、説明したように、第9判定装置は、蒸発燃料ガスに含まれる燃料及び吸気通路構成部材へ付着する燃料による影響が除去されたインバランス判定用パラメータに基づいてインバランス判定を実行する。更に、第9判定装置は、インバランス判定用パラメータの取得及びインバランス判定の実行を、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生している可能性がある場合、及び、燃料付着量が多量となっている可能性がある場合、のいずれの場合にも禁止しない。従って、より高い頻度にて精度良く空燃比気筒間インバランス判定を実行することができる。
以上、説明したように、本発明の各実施形態に係る判定装置は、蒸発燃料ガスにより多量の燃料が機関10に供給される場合、及び/又は、機関10の吸気通路構成部材に多量の燃料が付着する場合、においても、「空燃比気筒間インバランス状態が発生していない」と誤って判定することを回避することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において以下に述べるような種々の変形例を採用することができる。
(第1変形例)
第1変形例は、第9判定装置と同様、インバランス判定用パラメータの取得及びインバランス判定の実行を、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生している可能性がある場合、及び、燃料付着量が多量となっている可能性がある場合、のいずれの場合にも禁止しない。
但し、第1変形例は、第9判定装置のようにパージ補正係数FPG及び冷却水温THWに基づいて求められる補正係数(KFTX1、KFTX2)によりインバランス判定用パラメータを補正することに代え、パージ補正係数FPG及び冷却水温THWに基づいて求められる補正係数(KFTXi1、KFTXi2)を用いてインバランス判定用の基準閾値(X1th0,X2th0)を補正することによりインバランス判定閾値(第1インバランス判定用閾値X1th=KFTXi1・X1th0,第2インバランス判定用閾値X2th=KFTXi2・X2th0)を取得する。
そして、第1変形例は、補正がなされていない第1インバランス判定用パラメータX1と補正後の第1インバランス判定用閾値X1thとの比較に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。或いは、第1変形例は、補正がなされていない第2インバランス判定用パラメータX2と補正後の第2インバランス判定用閾値X2thとの比較に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
これによれば、蒸発燃料ガス及び燃料付着の影響が「インバランス判定用パラメータ(X1,X2)」に現れているとしても、その影響の程度に関わらない空燃比気筒間インバランス判定が行われ得る。
(第2変形例)
第2変形例は、第9判定装置と同様、インバランス判定用パラメータの取得及びインバランス判定の実行を、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生している可能性がある場合、及び、燃料付着量が多量となっている可能性がある場合、のいずれの場合にも禁止しない。
但し、第2変形例は、第4判定装置のように「現時点におけるパージ補正係数FPGに基づいて求められる補正係数(KHX1,KHX2)によりインバランス判定用パラメータ(X1,X2)を補正する。更に、第2変形例は、第8判定装置のように、現時点における冷却水温THWに基づいて求められる補正係数(KJ1,KJ2)により補正されたインバランス判定用閾値(X1th,X2th)を取得する。
そして、第2変形例は、補正後の第1インバランス判定用パラメータX1と補正後の第1インバランス判定用閾値X1thとの比較に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。或いは、第2変形例は、補正後の第2インバランス判定用パラメータX2と補正後の第2インバランス判定用閾値X2thとの比較に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
これによれば、蒸発燃料ガスの影響が排除された「インバランス判定用パラメータ(X1,X2)」がインバランス判定に使用される。更に、燃料付着の影響が「インバランス判定用パラメータ(X1,X2)」に現れているとしても、その影響を反映したインバランス判定用閾値がインバランス判定に使用される。従って、蒸発燃料ガス及び燃料付着の影響の程度に関わらない空燃比気筒間インバランス判定が行われ得る。
(第3変形例)
第3変形例は、第9判定装置と同様、インバランス判定用パラメータの取得及びインバランス判定の実行を、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生している可能性がある場合、及び、燃料付着量が多量となっている可能性がある場合、のいずれの場合にも禁止しない。
但し、第3変形例は、第5判定装置のように「現時点におけるパージ補正係数FPGに基づいて求められる補正係数(Ki1,Ki2)により補正されたインバランス判定用閾値(X1th,X2th)を取得する。更に、第3変形例は、第7判定装置のように、現時点における冷却水温THWに基づいて求められる補正係数(KthwX1,KthwX2)によりインバランス判定用パラメータ(X1,X2)を補正する。
そして、第3変形例は、補正後の第1インバランス判定用パラメータX1と補正後の第1インバランス判定用閾値X1thとの比較に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。或いは、第3変形例は、補正後の第2インバランス判定用パラメータX2と補正後の第2インバランス判定用閾値X2thとの比較に基づいて、空燃比気筒間インバランス判定を実行する。
これによれば、燃料付着の影響が排除された「インバランス判定用パラメータ(X1,X2)」がインバランス判定に使用される。更に、蒸発燃料の影響が「インバランス判定用パラメータ(X1,X2)」に現れているとしても、その影響を反映したインバランス判定用閾値がインバランス判定に使用される。従って、蒸発燃料ガス及び燃料付着の影響の程度に関わらない空燃比気筒間インバランス判定が行われ得る。
(その他の変形例)
なお、上記各実施形態及び上記各変形例は、矛盾の生じない範囲において組み合わせることができる。例えば、パージ補正係数FPGに基づいて求められる補正係数を用いてインバランス判定用パラメータ及びインバランス判定用閾値の何れかを補正している形態にいては、蒸発燃料ガス影響発生状態が発生しているか否かの判定に拘わらず、インバランス判定用パラメータの取得及びインバランス判定の実行は許容され得る。
同様に、冷却水温THWに基づいて求められる補正係数を用いてインバランス判定用パラメータ及びインバランス判定用閾値の何れかを補正している形態にいては、機関10の暖機状態が上記所定の暖機状態に到達しているか否かの判定に拘わらず、インバランス判定用パラメータの取得及びインバランス判定の実行は許容され得る。更に、第6乃至第8判定装置は、蒸発燃料ガス影響発生状態が発生しているか否かに拘わらず、インバランス判定用パラメータの取得及びインバランス判定の実行を許容してもよい。
更に、第9判定装置及び第1乃至第3変形例は、蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定されたとき、インバランス判定用パラメータの取得又はインバランス判定の実行を禁止してもよい。同様に、第9判定装置及び第1乃至第3変形例は、機関10の暖機状態が上記所定の暖機状態に到達していないと判定されたとき、インバランス判定用パラメータの取得又はインバランス判定の実行を禁止してもよい。
加えて、インバランス判定用パラメータは、以下に述べるパラメータであってもよい。
(P1)インバランス判定用パラメータは、上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsの軌跡長又は検出空燃比abyfsの軌跡長であってもよい。例えば、検出空燃比abyfsの軌跡長は、一定サンプリング時間tsが経過する毎に出力Vabyfsを取得するとともに、その出力値Vabyfsを検出空燃比abyfsへと変換し、その検出空燃比abyfsと、一定サンプリング時間ts前に取得した検出空燃比abyfsと、の差の絶対値を積算することによって求めることができる。この軌跡長は、単位燃焼サイクル期間毎に求められる。複数の単位燃焼サイクル期間についての軌跡長の平均値をインバランス判定用パラメータとして採用してもよい。なお、出力値Vabyfsの軌跡長及び検出空燃比abyfsの軌跡長は、機関回転速度NEが大きいほど大きくなる傾向を有するので、各判定装置は、機関回転速度NEが大きいほどインバランス判定用閾値を大きくすることが好ましい。
(P2)インバランス判定用パラメータは、図9の(D)に示したような「上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsの変化率(時間変化率)の変化率(時間変化率)に応じた値」の絶対値であってもよい。即ち、インバランス判定用パラメータは、「上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsの時間に関する二階微分値d(Vabyfs)/dt」の絶対値、又は、「上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsにより表される検出空燃比abyfsの時間に関する二階微分値d(abyfs)/dt)」の絶対値であってもよい。上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfs値の変化率の変化率に応じた値は、上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsにより表される空燃比(検出空燃比abyfs)の単位時間あたりの変化量の変化量ということもできる。
例えば、検出空燃比abyfsの変化率の変化率は次のようにして取得することができる。
・一定サンプリング時間tsが経過する毎に出力値Vabyfsを取得する。
・その出力値Vabyfsを検出空燃比abyfsへと変換する。
・その検出空燃比abyfsと、一定サンプリング時間ts前に取得した検出空燃比abyfsと、の差を検出空燃比abyfsの変化率として取得する。
・その検出空燃比abyfsの変化率と、一定サンプリング時間ts前に取得した検出空燃比abyfsの変化率と、の差を検出空燃比abyfsの変化率の変化率として取得する。
この場合、「単位燃焼サイクル期間内において複数得られた検出空燃比abyfsの変化率の変化率」の中から「その絶対値が最大である値」を選択し、その最大値をインバランス判定用パラメータとして採用していもよい。
上述したように、空燃比気筒間インバランス状態が発生している場合、上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsは、上流側空燃比センサ67に到達する排ガスが、「正常気筒からの排ガスから異常気筒からの排ガスへと変化したとき、及び、異常気筒からの排ガスから正常気筒からの排ガスへと変化したとき」急激に変化する。従って、図9の(D)に実線C4により示したように、上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsにより表される検出空燃比abyfsの変化率の変化率は、空燃比気筒間インバランス状態が発生すると、その絶対値が大きくなり、インバランス判定用閾値を超える。更に、検出空燃比abyfsの変化率の変化率の絶対値は、気筒別空燃比の間の不均衡の程度が大きいほど大きくなる。
(P4)インバランス判定用パラメータは、「上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsを機関回転速度NE、機関10の絶対クランク角CA及び吸入空気流量Ga等に基づいて分析することによって推定される気筒別空燃比」の間の差の大きさ(例えば、気筒別空燃比のうちの最大値と最小値との差の絶対値等)であってもよい(例えば、特開2000−220489号公報を参照。)。
(P5)インバランス判定用パラメータは、単位燃焼サイクル期間における検出空燃比abyfs(又は上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfs)の最大値と最小値との差であってもよい。
更に、上記各判定装置のサブフィードバック制御は、下流側空燃比センサ58の出力値Voxsが下流側目標値Voxsrefに一致するように、上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsに基づく空燃比abyfsを見かけ上補正するような態様であった(上記(5)式を参照。)。これに対し、サブフィードバック制御は、特開平6−010738号公報に開示されているように、上流側空燃比センサ67の出力値に基いて作成される空燃比補正係数を「下流側空燃比センサ58の出力値Voxsを積分して求めたサブフィードバック量」に基いて変更する態様であってもよい。
また、上記各判定装置は、特開2007−77869号公報、特開2007−146661号公報及び特開2007−162565号公報等に開示されているように、上流側空燃比センサ67の出力値Vabyfsに基いて得られる上流側空燃比abyfsと上流側目標空燃比abyfrとの差をハイパスフィルタ処理してメインフィードバック量KFmainを算出するとともに、下流側空燃比センサ58の出力値Voxsと下流側目標値Voxsrefとの偏差に対してローパスフィルタ処理を施した値を比例積分処理することによりサブフィードバック量Fisubを求めるように構成されていてもよい。また、上記各判定装置は、サブフィードバック制御を行わなくてもよい。更に、上記インバランス判定は、メインフィードバック制御の実施中でないときに実行されてもよい。
加えて、上記各判定装置は、例えば、V型エンジンにも適用することができる。その場合、V型エンジンは右バンクに属する2以上の気筒の排気集合部よりも下流に右バンク上流側触媒(前記機関の排気通路であって前記複数の気筒のうちの少なくとも2以上の気筒の燃焼室から排出された排ガスが集合する排気集合部よりも下流側の部位に配設された触媒)を備え、左バンクに属する2以上の気筒の排気集合部よりも下流に左バンク上流側触媒(前記機関の排気通路であって前記複数の気筒のうちの少なくとも2以上の気筒以外の残りの2以上の気筒の燃焼室から排出された排ガスが集合する排気集合部よりも下流側の部位に配設された触媒)、を備えることができる。
更に、V型エンジンは、右バンク上流側触媒の上流及び下流に右バンク用の上流側空燃比センサ及び下流側空燃比センサを備え、左バンク上流側触媒の上流及び下流に左バンク用の上流側空燃比センサ及び下流側空燃比センサを備えることができる。各上流側空燃比センサは、上記空燃比センサ67と同様、各バンクの排気集合部と各バンクの上流側触媒との間に配設される。この場合、右バンク用のメインフィードバック制御及びサブフィードバック制御が実行され、それとは独立して左バンク用のメインフィードバック制御及びサブフィードバック制御が実行される。
また、上記判定装置のいくつかは、蒸発燃料ガスパージ補正量(パージ補正係数FPG)と蒸発燃料ガスパージ補正量の基準値「1」との差の大きさ|1−FPG|が所定のパージ影響判定用閾値よりも大きいとき前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定するように構成されていた。これに代え、パージ流路管48に燃料濃度センサ(空燃比センサでよい。)を設けるとともに、パージ流路管48を流れる蒸発燃料ガスの流量を測定する蒸発燃料ガス流量センサを設け、これらのセンサに基づいて吸気通路に流入する蒸発燃料ガスに含まれる燃料量を求め、その燃料量が所定値以上であるときに前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定するように構成されてもよい。
更に、上記判定装置のいくつかは、機関10の暖機状態を表すパラメータ(機関10の暖機状態が進行するにつれて大きくなるパラメータ)として水温センサ63が検出する冷却水温THWを採用した。これに代え、例えば、機関10の始動時における冷却水温THW0が高いほど大きくなる初期値を有し、機関10の始動後の吸入空気量の積算量(又は始動後走行時間)が大きくなるほど大きくなるパラメータを「機関10の暖機状態を表すパラメータ」として採用してもよい。

Claims (10)

  1. 複数の気筒を有する多気筒内燃機関に適用される空燃比気筒間インバランス判定装置であって、
    前記複数の気筒のうちの少なくとも2以上の気筒から排出された排ガスが集合する前記機関の排気通路の排気集合部又は同排気通路の同排気集合部よりも下流側の部位に配設される空燃比センサであって同空燃比センサに到達した排ガスの空燃比に応じた出力値を空燃比センサ出力として発生する空燃比センサと、
    前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれに対応して配設されるとともに同2以上の気筒のそれぞれの燃焼室に供給される混合気に含まれる燃料をそれぞれ噴射する複数の燃料噴射弁と、
    前記複数の燃料噴射弁に供給される燃料を貯蔵する燃料タンク内に発生した蒸発燃料ガスを前記機関の吸気通路に導入するための通路を構成するパージ通路部と、
    前記パージ通路部を通して前記機関の吸気通路に流入する前記蒸発燃料ガスの量である蒸発燃料ガスパージ量を制御するパージ量制御手段と、
    前記少なくとも2以上の気筒のそれぞれに供給される混合気の空燃比である気筒別空燃比の間の差が大きいほど大きくなるか又は小さくなるインバランス判定用パラメータを前記空燃比センサの出力値に基づいて取得するインバランス判定用パラメータ取得手段と、
    前記取得されたインバランス判定用パラメータと所定のインバランス判定用閾値とを比較するとともにその比較の結果に基づいて空燃比気筒間インバランス状態が発生したか否かについて判定するインバランス判定を実行するインバランス判定手段と、
    前記吸気通路に流入する前記蒸発燃料ガスが前記インバランス判定用パラメータを所定の許容量以上変化させるような状態である蒸発燃料ガス影響発生状態が発生しているか否かを判定するとともに、前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定されたとき、前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行を禁止するインバランス判定実行可否決定手段と、
    を備えた空燃比気筒間インバランス判定装置。
  2. 請求項1に記載の空燃比気筒間インバランス判定装置であって、
    前記空燃比センサの出力値により表される空燃比が所定の目標空燃比に一致するように前記複数の燃料噴射弁のそれぞれから噴射される燃料の量である燃料噴射量を同空燃比センサの出力値と同目標空燃比とに基づいて算出される空燃比フィードバック量により補正するフィードバック制御手段を備えた空燃比気筒間インバランス判定装置。
  3. 請求項2に記載の空燃比気筒間インバランス判定装置において、
    前記フィードバック制御手段は、
    前記空燃比フィードバック量の一部をなす補正量であって、前記蒸発燃料ガスが前記吸気通路に流入することによる前記2以上の気筒のそれぞれの燃焼室に供給される混合気の空燃比の変化、を抑制するための補正量、である蒸発燃料ガスパージ補正量を前記空燃比センサの出力値に基づいて算出するように構成され、
    前記インバランス判定実行可否決定手段は、
    前記蒸発燃料ガスパージ補正量と同蒸発燃料ガスパージ補正量の基準値との差の大きさが所定のパージ影響判定用閾値よりも大きいとき前記蒸発燃料ガス影響発生状態が発生していると判定するように構成された空燃比気筒間インバランス判定装置。
  4. 請求項3に記載の空燃比気筒間インバランス判定装置において、
    前記インバランス判定用パラメータ取得手段は、
    前記蒸発燃料ガスパージ補正量に基づいて前記取得したインバランス判定用パラメータを補正することにより前記インバランス判定に用いられるインバランス判定用パラメータを取得する第1パラメータ補正手段を含む空燃比気筒間インバランス判定装置。
  5. 請求項3に記載の空燃比気筒間インバランス判定装置において、
    前記インバランス判定手段は、
    前記蒸発燃料ガスパージ補正量に基づいて前記インバランス判定用閾値を補正する第1判定用閾値補正手段を含む空燃比気筒間インバランス判定装置。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の空燃比気筒間インバランス判定装置において、
    前記インバランス判定実行可否決定手段は、
    前記機関の暖機状態が所定の暖機状態に到達したか否かを判定するとともに、同機関の暖機状態が同所定の暖機状態に到達していないと判定されたとき前記インバランス判定用パラメータの取得を禁止するか、又は、前記インバランス判定の実行を禁止するように構成された空燃比気筒間インバランス判定装置。
  7. 請求項6に記載の空燃比気筒間インバランス判定装置において、
    前記インバランス判定実行可否決定手段は、
    前記機関の暖機状態が進むにつれて大きくなる暖機状態パラメータを取得するとともに同取得された暖機状態パラメータが所定の暖機状態閾値よりも小さいとき同機関の暖機状態が前記所定の暖機状態に到達していないと判定するように構成された空燃比気筒間インバランス判定装置。
  8. 請求項7に記載の空燃比気筒間インバランス判定装置において、
    前記インバランス判定実行可否決定手段は、
    前記暖機状態パラメータとして前記機関の冷却水の温度を取得するように構成された空燃比気筒間インバランス判定装置。
  9. 請求項7又は請求項8に記載の空燃比気筒間インバランス判定装置において、
    前記インバランス判定用パラメータ取得手段は、
    前記取得された暖機状態パラメータに基づいて前記取得したインバランス判定用パラメータを補正することにより前記インバランス判定に用いられるインバランス判定用パラメータを取得する第2パラメータ補正手段を含む空燃比気筒間インバランス判定装置。
  10. 請求項7又は請求項8に記載の空燃比気筒間インバランス判定装置において、
    前記インバランス判定手段は、
    前記取得された暖機状態パラメータに基づいて前記インバランス判定用閾値を補正する第2判定用閾値補正手段を含む空燃比気筒間インバランス判定装置。
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