JP5282520B2 - シランカップリング剤、これを用いた環状ポリオレフィンの改質方法及び有機ケイ素化合物の製造方法 - Google Patents

シランカップリング剤、これを用いた環状ポリオレフィンの改質方法及び有機ケイ素化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、環状ポリオレフィン用シランカップリング剤及びこれを用いた環状ポリオレフィンの改質方法及び有機ケイ素化合物の製造方法に関する。
従来、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のような高分子材料は、成形材料として広く用いられている。しかし、これらの高分子材料は、成形物の用途によっては、単独で使用した場合に十分な機械的強度や耐熱性等を示さないことがある。これら高分子材料の欠点を改善する方法としては、無機材料の添加による改質が広く行われている。
特に、高分子材料の機械的特性や耐熱性を向上させる目的で表面を処理する場合や無機材料(例えば、ガラス繊維、金属、酸化物充填剤)を添加する場合、シランカップリング剤を用いることで、高分子材料と無機材料との密着性向上や無機材料の分散状態がよくなることが知られており、期待される添加効果がより高くなることが知られている。
近年、ポリオレフィン系樹脂のなかでも、ノルボルネン誘導体、ノルボルナジエン誘導体やジシクロペンタジエン誘導体といった環状オレフィンを原料とした環状ポリオレフィンは、高い機械特性、耐熱性、光学特性を有することで注目されている。これら環状オレフィンの重合方法として、環状オレフィン同士を付加重合する方法やメタセシス重合触媒を用いて重合する方法等が知られている。
環状オレフィンや環状ポリオレフィンとの重合性を有するシランカップリング剤としては、例えば、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシランや2−(5−ビシクロヘプテニル)エチルトリメトキシシランといった化合物が知られている(特許文献1:特公平04―047682号公報)。しかし、これらを用いても無機材料と環状ポリオレフィンとの接着性の向上は不十分であり、求められる特性を満たすことはできなかった。
また、ビシクロヘプテニル基と加水分解可能なシリル基の両方を有する化合物は国際公開01/07444号パンフレット(特許文献2)で報告されているが、有効な用途、用法は開発されず、無機材料と環状ポリオレフィンの接着性の向上も不十分であった。
よって、環状ポリオレフィンと無機材料との更なる接着性の向上が可能なシランカップリング剤の開発が望まれていた。
特公平04―047682号公報 国際公開01/07444号パンフレット
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、環状ポリオレフィンと無機材料との接着性を向上することができるシランカップリング剤、環状ポリオレフィンの改質方法及び有機ケイ素化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)
Figure 0005282520
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるノルボルネン環とオルガノオキシシランとの間に2価炭化水素基とシロキサン結合を有する有機ケイ素化合物をシランカップリング剤として用いることで、2価炭化水素基のみで繋がった場合と比べ、飛躍的に無機材料と環状ポリオレフィンとの接着性を向上することができることを知見し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記シランカップリング剤、これを用いた環状ポリオレフィンの改質方法及び有機ケイ素化合物の製造方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)
Figure 0005282520
(式中、R1及びR2は、炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示される有機ケイ素化合物からなる環状ポリオレフィン用シランカップリング剤。
請求項2:
β付加体:α付加体の割合が、モル比で80以上:20以下である請求項1記載の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤。
請求項3:
請求項1又は2記載の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤を用いることを特徴とする環状ポリオレフィンの改質方法。
請求項4:
請求項1又は2記載の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤と無機材料とを用いることを特徴とする請求項3記載の環状ポリオレフィンの改質方法。
請求項5:
環状オレフィンをメタセシス反応により重合しながら改質することを特徴とする請求項3又は4記載の環状ポリオレフィンの改質方法。
請求項6:
リン原子含有化合物を配位子として含まないRh含有化合物存在下で、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンに、下記一般式(2)
Figure 0005282520
(式中、R1及びR2は、炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるビニル基含有オルガノオキシシラン化合物を加えて反応温度0℃以上60℃未満で反応させて得られた下記一般式(3)
Figure 0005282520
(式中、R1、R2及びnは、上記の通りである。)
で示されるハイドロジェンシラン化合物と下記一般式(4)
Figure 0005282520
で示されるビニルノルボルネンを白金化合物存在下で反応させることを特徴とする下記一般式(1)
Figure 0005282520
(式中、R1、R2及びnは、上記の通りである。)
で示される有機ケイ素化合物の製造方法。
本発明によれば、上記シランカップリング剤で処理された無機材料を用いることで無機材料と環状ポリオレフィンとの密着性が飛躍的に向上し、該無機材料強化環状ポリオレフィンは、機械的特性や耐熱性が向上する。
本発明の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤は、下記一般式(3)
Figure 0005282520
(式中、R1及びR2は、炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるハイドロジェンシラン化合物と下記一般式(4)
Figure 0005282520
で示される5−ビニル−2−ノルボルネンを遷移金属触媒により反応することで得られる下記一般式(1)
Figure 0005282520
(式中、R1及びR2は、炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるオルガノオキシシラン化合物である。
上記一般式(1)において、R1及びR2は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、ブテニル基、フェニル基等が例示され、特にメチル基及びエチル基が好ましい。
一般式(3)で示されるハイドロジェンシラン化合物としては、具体的には、1−(2−(トリメトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(2−(ジメトキシメチルシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(2−(メトキシジメチルシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(2−(トリエトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(2−(ジエトキシメチルシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(2−(エトキシジメチルシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとこれらの異性体である1−(1−(トリメトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(1−(ジメトキシメチルシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(1−(メトキシジメチルシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(1−(トリエトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(1−(ジエトキシメチルシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(1−(エトキシジメチルシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
一般式(1)で示される化合物としては、具体的には、1−(2−(トリメトキシシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(2−(ジメトキシメチルシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(2−(メトキシジメチルシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(2−(トリエトキシシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(2−(ジエトキシメチルシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(2−(エトキシジメチルシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとこれらの異性体である1−(1−(トリメトキシシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(1−(ジメトキシメチルシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(1−(メトキシジメチルシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(1−(トリエトキシシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(1−(ジエトキシメチルシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−(1−(エトキシジメチルシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
一般式(1)で示される化合物は、上述したように原料である一般式(3)で示される化合物を用いて製造されるが、一般式(3)で示される化合物に含まれる異性体の比率が、一般式(1)で示される化合物の異性体の比率に関係する。例えば、1−(2−(トリメトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(β付加体(1))と1−(1−(トリメトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(α付加体(1))の異性体比が、モル比でβ付加体(1):α付加体(1)=80以上:20以下、特に80〜90:20〜10の時、1−(2−(トリメトキシシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(β付加体)と1−(1−(トリメトキシシリル)エチル)−3−(5−(2−ビシクロヘプテニル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(α付加体)の異性体比が、モル比でβ付加体:α付加体=80以上:20以下、特に80〜90:20〜10となり、β付加体の比率が高くなる。β付加体の比率が高い一般式(1)を用いた場合、シリル基と結合した無機材料と反応点であるビシクロヘプテニル基の距離がより離れ、密着性等物性に深く関係する環状オレフィンや環状ポリオレフィンとの反応性がより高くなる。よって、物性もより高くなる。
一般式(3)で示されるハイドロジェンシラン化合物と、一般式(4)で示されるビニルノルボルネンの配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(4)で示される化合物1モルに対し、一般式(3)で表されるハイドロジェンシラン化合物の合計が0.5〜2モル、特に0.7〜1.2モルの範囲が好ましい。
上記反応で用いられる遷移金属触媒としては、反応性と選択性がよいことから、特に白金触媒が好ましい。白金触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン又はキシレン溶液、テトラキストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、ジクロロシクロオクタジエン白金等が例示される。
白金触媒の使用量は特に限定されないが、反応性、生産性の点から一般式(4)で示される化合物1モルに対し、0.000001〜0.01モル、特に0.00001〜0.001モルの範囲が好ましい。
上記反応の反応温度は特に限定されないが、0〜120℃、特に20〜100℃が好ましく、反応時間は1〜20時間、特に1〜10時間が好ましい。
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
ヒドロシリル化反応により生成した一般式(1)は、その目的品質に応じて、蒸留、ろ過、洗浄、カラム分離、固体吸着剤等の各種の精製法によって更に精製して使用することもできる。触媒等微量不純物を取り除き、高純度にするためには、蒸留による精製が好ましい。
なお、一般式(1)の原料として用いられる一般式(3)の製造方法は、特にリン原子含有化合物を配位子として含まないRh含有化合物存在下で、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンに、下記一般式(2)
Figure 0005282520
(式中、R1、R2及びnは一般式(1)で定義した通りである。)
で示されるビニル基含有オルガノオキシシラン化合物を加える方法がよい。この方法で製造した一般式(3)である1−(オルガノオキシシリル)エチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンは、反応の際の異性体量が少なく、例えば、1−(2−(トリメトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(β付加体(1))と1−(1−(トリメトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(α付加体(1))の異性体比がモル比でβ付加体(1):α付加体(1)=80以上:20以下、特に80〜90:20〜10となり、β付加体の比率が高くなる。
上記一般式(3)の製造方法における一般式(2)のビニル基含有オルガノオキシシラン化合物と1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのモル比(ビニル基含有オルガノオキシシラン化合物/1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)は、0.8〜1.2、特に0.9〜1.1の範囲がよい。モル比が0.8未満、即ち、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが多い場合には、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが未反応で多く残存することになり、経済的に不利となる場合がある。一方、モル比が1.2を超える場合、即ちビニル基含有オルガノオキシシラン化合物が多い場合、生成した一般式(3)の1−(オルガノオキシシリル)エチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンに、更にもう一分子の一般式(2)のビニル基含有オルガノオキシシラン化合物が付加した副生物(ビス付加体と以後称する)が生成し、収率が低下する傾向となる。
上記一般式(3)の製造方法における反応触媒は、リン原子含有化合物を配位子として含まないRh含有化合物である。種々のRh化合物を反応触媒として選択できるが、好ましくは付加反応を最後までより安定に進行させるためには、特に反応温度が60℃未満の場合、好ましくはハロゲン化ロジウム又は1,5−シクロオクタジエンを配位子として含有するものがよい。リン原子含有化合物を配位子として含まないRh含有化合物は、具体的には、以下のものが挙げられるが、本発明はこの例示により制限されるものではない。
RhCl3・xH2
RhCl3
RhBr3・2H2
RhBr3
RhI3
Rh6(CO)16
Rh4(CO)12
[RhCl(CO)22
Rh(acac)3 (acac=アセチルアセトナート)
[Rh(acac)22
Rh(acac)(CO)2
(NH43[RhCl6]・xH2
[Rh(NH35Cl]Cl2
[Rh(C715COO)22
[Rh(CF3COO)22
[Rh(C242(acac)]
[Rh(C2422
[RhCl(C81422
[RhCl(C78)]2
(CH355Rh(CO)2
[(CH355RhCl22
Rh(C2823Cl3・3H2
[RhCl(cod)]2 (cod=1,5−シクロオクタジエン)
[RhOH(cod)]2
[Rh(cod)2(acac)]
[Rh(cod)(acac)]
Rh(cod)2BF4
Rh(cod)2SO3CF3
Rh含有化合物の添加量は、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの1モルに対して、Rh原子が0.1×10-6〜0.1モル、特に1×10-6〜0.01モルの範囲が好ましい。0.1×10-6モル未満では触媒効果が乏しい場合があり、0.1モルを超えると経済的に不利な場合がある。
上記一般式(3)の製造方法においては、Rh含有化合物の存在下で、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンに、ビニル基含有オルガノオキシシラン化合物を加えることを特徴とする。なお、ビニル基含有オルガノオキシシラン化合物を加える前に、Rh含有化合物を1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンと混合する方法は、一般的に粉体のRh含有化合物と液状の1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを混合させる方法の他に、作業上の取り扱い性を向上させる目的で、又は反応開始時の触媒活性を向上させる目的で、粉体のRh含有化合物を有機溶媒又は有機溶媒と少量の1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの任意の組み合わせの混合物に予め溶かして触媒溶液としたものと、予め仕込んでおいた1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとを混合させる方法を選択しても構わない。
上記一般式(3)の製造方法においては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンに対し、ビニル基含有オルガノオキシシラン化合物を添加することが必要である。この場合、Rh含有化合物の存在下であっても、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとビニル基含有オルガノオキシシラン化合物を全量一括で仕込んで反応させると、反応性が低下したり、副生物が多い等の現象により収率が低くなる問題の他、異性体比=β付加体(1)/α付加体(1)が低くなる(α付加体(1)が多くなる)問題が発生して好ましくない結果となる。また、ビニル基含有オルガノオキシシラン化合物に1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを加えて反応させると、副生物(ビス付加体)が多くなる問題が発生し、好ましくない結果となる。
反応温度は特に制限はないが、0℃以上60℃未満が好ましい。反応温度が0℃以上60℃未満だと、副生物の発生量が更に減少して、収率が更に増加したり、異性体比=β付加体(1)/α付加体(1)がより高くなる(α付加体(1)がより減少する)といったより好ましい結果が得られる。反応温度が0℃より低いと、反応速度が遅くなって反応終了までに時間がかかり、経済的に不利になる場合がある。
上記一般式(3)の製造方法により得られる1−(オルガノオキシシリル)エチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンは、13kPa以下、特に7kPa以下の減圧条件で、通常の蒸留操作を行うことによって、高純度に精製することができる。
本発明のシランカップリング剤は、表面処理剤とすることが可能である。該表面処理剤は、本発明のシランカップリング剤を含有するものであれば、その組成や物性等に限定されない。すなわち、本発明のシランカップリング剤をそのまま表面処理剤として用いてもよく、溶媒で希釈して用いてもよい。溶媒としては、水、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示され、特に水、アルコールが好ましい。用いる濃度としては、シランカップリング剤が、0.001〜50質量%となるように希釈して用いるとよい。
また、溶媒として水、又は水とアルコールの混合溶媒を用いて、表面処理剤とする際に酸を加えて、pHを3〜5に調整することで、無機材料への処理時間が短くなり、また、表面処理剤の保存安定性が向上し、白濁、ゲル化が起こりにくいため好ましい。酸としては、一般的には、酢酸、マレイン酸、炭酸等の酸が用いられる。
表面処理剤を製造する場合、シランカップリング剤を水又は水とアルコールの混合溶媒中へ添加し、室温で1〜4時間程度撹拌するのが一般的な方法である。
本発明のシランカップリング剤は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、顔料、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、pH調節剤、フィルム形成剤、帯電防止剤、抗菌剤、界面活性剤、染料等から選択される他の添加剤の1種以上を含有するものであってもよい。
本発明のシランカップリング剤は環状ポリオレフィンの改質方法に用いられ、具体的には、表面処理された無機充填剤又は金属板等の無機材料を用いることができる。
本発明において表面処理された無機充填剤における無機充填剤としては、ガラス繊維、粉末シリカ、粉末アルミナ、粉末タルク、粉末炭酸カルシウム等が挙げられる。また、該ガラス繊維の材料としては、Eガラス、Cガラス等の一般的に用いられる種類のガラスを用いることができる。該ガラス繊維は、その製品形態に限定されない。ガラス繊維製品は多岐にわたるが、例えば、繊維径が3〜30μmのガラス糸(フィラメント)の繊維束、撚糸、織物を挙げることができる。
本発明において表面処理された金属板における金属板として適用される基材としては、金属素材であれば何ら制限を受けない。例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛並びにこれらの金属を含む合金及びこれらの金属によるめっき鋼板もしくは蒸着製品等が挙げられる。該めっき鋼板としては、例えば溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、鉄−亜鉛合金めっき鋼板、ニッケル−亜鉛合金めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(市販品として、例えば「ガルバリウム」、「ガルファン」等)、アルミニウムめっき鋼板等を挙げることができる。
無機材料を前記のシランカップリング剤を用いた表面処理剤により表面処理する方法としては、一般的に用いられる方法が採用できる。すなわち、本発明の表面処理剤をそのままもしくは希釈して用い、これに前記無機材料を浸漬させた後、無機材料を引き上げて乾燥する方法や、この表面処理剤をそのままもしくは希釈したものを無機材料表面にスプレーした後、無機材料を乾燥する方法等が挙げられる。
表面処理された無機材料を用いた環状ポリオレフィンの改質方法は、表面処理剤を用いて処理された無機材料と環状オレフィン又は環状ポリオレフィンを混合、加熱するか、もしくは前記シランカップリング剤と無処理の無機材料を環状オレフィン又は環状ポリオレフィンと混合、加熱する方法が挙げられる。用いられる環状オレフィンの構造は、特に限定されず、また、重合方法は特に限定されないが、好ましくは、メタセシス重合触媒を用いて重合することが、本発明のシランカップリング剤と反応がしやすいため好ましい。
メタセシス重合触媒は、ノルボルネン系モノマーをメタセシス開環重合させることができれば特に限定されないが、(i)周期表第4〜8族遷移金属カルベン錯体触媒、(ii)遷移金属化合物と助触媒として機能するアルキル化剤又はルイス酸との組み合わせによる開環メタセシス重合触媒が挙げられる。これらの中でも触媒活性が高いことから、周期表第4〜8族遷移金属カルベン錯体触媒を用いることが好ましく、特にルテニウムカルベン錯体触媒を用いることが好ましい。
以下、これらを例示するが、下記式でMeはメチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはtert−ブチル基、Phはフェニル基を示す。
周期表第4〜8族遷移金属カルベン錯体触媒中、タングステンアルキリデン錯体としては、具体的には、W(N−2,6−i−Pr263)(CH−t−Bu)(O−t−Bu)2、W(N−2,6−i−Pr263)(CH−t−Bu)(OCMe2CF32、W(N−2,6−i−Pr263)(CH−t−Bu)(OCMe(CF322、W(N−2,6−i−Pr263)(CHCMe2Ph)(O−t−Bu)2、W(N−2,6−i−Pr263)(CHCMe2Ph)(OCMe2CF32、W(N−2,6−i−Pr263)(CHCMe2Ph)(OCMe(CF322等が挙げられる。
周期表第4〜8族遷移金属カルベン錯体触媒中、モリブデンアルキリデン錯体としては、具体的には、Mo(N−2,6−i−Pr263)(CH−t−Bu)(O−t−Bu)2、Mo(N−2,6−i−Pr263)(CH−t−Bu)(OCMe2CF32、Mo(N−2,6−i−Pr263)(CH−t−Bu)(OCMe(CF322、Mo(N−2,6−i−Pr263)(CHCMe2Ph)(O−t−Bu)2、Mo(N−2,6−i−Pr263)(CHCMe2Ph)(OCMe2CF32、Mo(N−2,6−i−Pr263)(CHCMe2Ph)(OCMe(CF322、Mo(N−2,6−i−Pr263)(BIPHEN)、Mo(N−2,6−i−Pr263)(BINO)(THF:テトラヒドロフラン)等が挙げられる。
周期表第4〜8族遷移金属カルベン錯体触媒中、レニウムアルキリデン錯体としては、具体的には、Re(C−t−Bu)(CH−t−Bu)(O−2,6−i−Pr2632、Re(C−t−Bu)(CH−t−Bu)(O−2−t−BuC642、Re(C−t−Bu)(CH−t−Bu)(OCMe2CF32、Re(C−t−Bu)(CH−t−Bu)(O−2,6−Me2632等が挙げられる。
周期表第4〜8族遷移金属カルベン錯体触媒中、ルテニウムカルベン錯体触媒としては、具体的には、ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、1,3−ビス(メシチル−2−イミダゾリジニリデン)(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムジクロリド等が挙げられる。
一方、遷移金属化合物とアルキル剤又はルイス酸との組み合わせによる触媒における遷移金属化合物として、MoCl4、MoBr2、MoBr3、MoBr4、WCl2、WBr2、WCl4、WBr4、WCl5、WBr5等が挙げられる。助触媒として機能するアルキル化剤としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウムメチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド等が挙げられ、ルイス酸としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、テトラメチルスズ、テトラエチルスズ、テトラブチルスズ等が挙げられる。
メタセシス重合触媒の使用量は、ノルボルネン系モノマー1モルに対して0.1〜0.0000001モルが好ましく、より好ましくは0.01〜0.0000005モル、特に好ましくは0.001〜0.000001モルである。上記触媒量がこれより多いと触媒の除去が困難になる場合があり、これより少ないと十分な重合活性が得られない場合がある。
重合反応は溶媒を用いても用いなくても行うことができる。この重合反応に用いる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等の含窒素炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中で、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル類、ケトン類を用いることが好ましい。
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[合成例1]ハイドロジェンシラン化合物の合成
還流冷却管、撹拌機、滴下ろうと及び温度計を備えて窒素置換を十分に行った四口フラスコ中に、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン134.3g(1mol)及びRhCl3・3H2O 0.026g(0.1mmol)を仕込んで混合物とした。次いで、60〜70℃で、ビニルトリメトキシシラン148.2g(1mol、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンと当モル)を上記混合物に滴下していった。6〜7時間の滴下終了後、そのまま60〜70℃を維持しつつ、1〜2時間熟成したところ、反応は完結した。反応液を蒸留することで、沸点92〜95℃/1.3kPaの無色透明な留分を得た。得られた留分の1−(トリメトキシシリル)エチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの収率は93%であった。また、生成物はガスクロマトグラフィーの分析により、2種類の異性体(β付加体:1−(2−(トリメトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとα付加体:1−(1−(トリメトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)との混合物であることが確認され、異性比=β付加体/α付加体はモル比で82/18であった。
[実施例1]シランカップリング剤の製造
還流冷却管、撹拌機、滴下ろうと及び温度計を備えて窒素置換を十分に行った四口フラスコ中に、5−ビニル−2−ノルボルネン36g(0.30モル)、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金含量3質量%)0.20gを仕込み、65℃に加熱した。内温が安定した後、合成例1で合成したハイドロジェンシラン化合物85g(0.30モル)を65〜75℃で4〜5時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌した。反応液を蒸留することで、沸点144〜146℃/0.3kPaの無色透明な留分を89g得た。
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)を測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図1には1H−NMRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 387,321,281,207,187,133
以上の結果より、得られた化合物は下記一般式(5)と(6)の混合物であることが確認され、(5)と(6)のモル比は(5):(6)=87:13であった。
Figure 0005282520
(式中、Meはメチル基を示す。)
[実施例2、比較例1,2]
界面接着性の測定
(1)表面処理剤の調製とガラス繊維の表面処理
内容量100mlのビーカーにメタノール20g、pH4に調整した酢酸水10gを入れ、マグネティックスターラーで撹拌しながら、実施例1で得られたシランカップリング剤を1質量%添加し、均一に溶解させて表面処理剤を得た。この表面処理剤に約30cmの長さに切断したガラス繊維(直径約23μm)を30分間浸漬し、オーブン中で70℃にて2時間乾燥することによって表面処理されたガラス繊維を得た。
(2)測定用サンプルの作製
上記(1)にて表面処理されたガラス繊維1本を台紙に接着剤で固定した。2−ノルボルネン7.2g(76.4mmol)と1−ヘキセン0.16g(1.9mmol)を仕込み、THF150gを添加して溶解した。オイルバスにより加熱して、還流下ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド3.6mgをTHF2.25gに溶解した触媒溶液を滴下し、還流下3時間撹拌して、ノルボルネン重合体溶液を得た。重合体溶液を濃縮し、粘度を調整した後、ミクロスパーテルを用いてガラス繊維に重合体溶液を少量塗布することにより、ガラス繊維に樹脂の微小ドロップ(マイクロドロップレット)を付着させた。これを予め窒素置換したオーブン中に入れ、室温で30分間、100℃にて1.5時間、150℃にて2時間加熱し樹脂を硬化させて、測定用サンプルを得た。
(3)界面せん断強度測定
ガラス繊維に付着した樹脂ドロップ(マイクロドロップレット)を固定し、ガラス繊維を引き抜くときの最大荷重を求め、これからガラスと樹脂との界面せん断強度を測定した。測定には、複合材界面特性評価装置HM410(東栄産業(株)製)を用いた。
界面せん断強度は、用いたガラス繊維の直径及び樹脂ドロップの長さ、引き抜き最大荷重から以下の式で求めた。
界面せん断強度(N/m2)=最大引き抜き荷重/(π×繊維直径×ドロップ長さ)
無処理のガラス繊維サンプルを用いて得られた界面せん断強度を100とした場合における、表面処理ガラス繊維サンプルの界面せん断強度(相対値)を求めた。数値が大きい程接着性が優れる。
シランカップリング剤a、b、c及びそれらを用いた表面処理剤で表面処理したガラス繊維A、B、Cのケースを、それぞれ実施例2、比較例1,2とした。試験結果を表1に示す。
また、実施例及び比較例に用いられたシランカップリング剤a、b、cは次の通りである。
a:実施例1にて製造したシランカップリング剤
b:5−(2−ビシクロヘプテニル)エチルトリメトキシシラン
c:ビニルトリメトキシシラン
Figure 0005282520
表1の結果は、本発明により得られるシランカップリング剤により、ガラス繊維と樹脂との界面の接着強度が向上していることを示しており、表面処理剤として有効に機能していることが分かる。
実施例1で得られたシラン化合物の1H−NMRスペクトルである。 無処理、実施例2、比較例1,2の界面せん断強度相対値を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0005282520
    (式中、R1及びR2は、炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
    で示される有機ケイ素化合物からなる環状ポリオレフィン用シランカップリング剤。
  2. β付加体:α付加体の割合が、モル比で80以上:20以下である請求項1記載の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤。
  3. 請求項1又は2記載の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤を用いることを特徴とする環状ポリオレフィンの改質方法。
  4. 請求項1又は2記載の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤と無機材料とを用いることを特徴とする請求項3記載の環状ポリオレフィンの改質方法。
  5. 環状オレフィンをメタセシス反応により重合しながら改質することを特徴とする請求項3又は4記載の環状ポリオレフィンの改質方法。
  6. リン原子含有化合物を配位子として含まないRh含有化合物存在下で、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンに、下記一般式(2)
    Figure 0005282520
    (式中、R1及びR2は、炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
    で示されるビニル基含有オルガノオキシシラン化合物を加えて反応温度0℃以上60℃未満で反応させて得られた下記一般式(3)
    Figure 0005282520
    (式中、R1、R2及びnは、上記の通りである。)
    で示されるハイドロジェンシラン化合物と下記一般式(4)
    Figure 0005282520
    で示されるビニルノルボルネンを白金化合物存在下で反応させることを特徴とする下記一般式(1)
    Figure 0005282520
    (式中、R1、R2及びnは、上記の通りである。)
    で示される有機ケイ素化合物の製造方法。
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