JP5282520B2 - シランカップリング剤、これを用いた環状ポリオレフィンの改質方法及び有機ケイ素化合物の製造方法 - Google Patents
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また、ビシクロヘプテニル基と加水分解可能なシリル基の両方を有する化合物は国際公開01/07444号パンフレット(特許文献2)で報告されているが、有効な用途、用法は開発されず、無機材料と環状ポリオレフィンの接着性の向上も不十分であった。
よって、環状ポリオレフィンと無機材料との更なる接着性の向上が可能なシランカップリング剤の開発が望まれていた。
で示されるノルボルネン環とオルガノオキシシランとの間に2価炭化水素基とシロキサン結合を有する有機ケイ素化合物をシランカップリング剤として用いることで、2価炭化水素基のみで繋がった場合と比べ、飛躍的に無機材料と環状ポリオレフィンとの接着性を向上することができることを知見し、本発明を完成するに至った。
請求項1:
下記一般式(1)
で示される有機ケイ素化合物からなる環状ポリオレフィン用シランカップリング剤。
請求項2:
β付加体:α付加体の割合が、モル比で80以上:20以下である請求項1記載の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤。
請求項3:
請求項1又は2記載の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤を用いることを特徴とする環状ポリオレフィンの改質方法。
請求項4:
請求項1又は2記載の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤と無機材料とを用いることを特徴とする請求項3記載の環状ポリオレフィンの改質方法。
請求項5:
環状オレフィンをメタセシス反応により重合しながら改質することを特徴とする請求項3又は4記載の環状ポリオレフィンの改質方法。
請求項6:
リン原子含有化合物を配位子として含まないRh含有化合物存在下で、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンに、下記一般式(2)
で示されるビニル基含有オルガノオキシシラン化合物を加えて反応温度0℃以上60℃未満で反応させて得られた下記一般式(3)
で示されるハイドロジェンシラン化合物と下記一般式(4)
で示される有機ケイ素化合物の製造方法。
で示されるハイドロジェンシラン化合物と下記一般式(4)
で示されるオルガノオキシシラン化合物である。
で示されるビニル基含有オルガノオキシシラン化合物を加える方法がよい。この方法で製造した一般式(3)である1−(オルガノオキシシリル)エチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンは、反応の際の異性体量が少なく、例えば、1−(2−(トリメトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(β付加体(1))と1−(1−(トリメトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(α付加体(1))の異性体比がモル比でβ付加体(1):α付加体(1)=80以上:20以下、特に80〜90:20〜10となり、β付加体の比率が高くなる。
RhCl3
RhBr3・2H2O
RhBr3
RhI3
Rh6(CO)16
Rh4(CO)12
[RhCl(CO)2]2
Rh(acac)3 (acac=アセチルアセトナート)
[Rh(acac)2]2
Rh(acac)(CO)2
(NH4)3[RhCl6]・xH2O
[Rh(NH3)5Cl]Cl2
[Rh(C7H15COO)2]2
[Rh(CF3COO)2]2
[Rh(C2H4)2(acac)]
[Rh(C2H4)2]2
[RhCl(C8H14)2]2
[RhCl(C7H8)]2
(CH3)5C5Rh(CO)2
[(CH3)5C5RhCl2]2
Rh(C2H8N2)3Cl3・3H2O
[RhCl(cod)]2 (cod=1,5−シクロオクタジエン)
[RhOH(cod)]2
[Rh(cod)2(acac)]
[Rh(cod)(acac)]
Rh(cod)2BF4
Rh(cod)2SO3CF3
以下、これらを例示するが、下記式でMeはメチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはtert−ブチル基、Phはフェニル基を示す。
還流冷却管、撹拌機、滴下ろうと及び温度計を備えて窒素置換を十分に行った四口フラスコ中に、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン134.3g(1mol)及びRhCl3・3H2O 0.026g(0.1mmol)を仕込んで混合物とした。次いで、60〜70℃で、ビニルトリメトキシシラン148.2g(1mol、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンと当モル)を上記混合物に滴下していった。6〜7時間の滴下終了後、そのまま60〜70℃を維持しつつ、1〜2時間熟成したところ、反応は完結した。反応液を蒸留することで、沸点92〜95℃/1.3kPaの無色透明な留分を得た。得られた留分の1−(トリメトキシシリル)エチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの収率は93%であった。また、生成物はガスクロマトグラフィーの分析により、2種類の異性体(β付加体:1−(2−(トリメトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとα付加体:1−(1−(トリメトキシシリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)との混合物であることが確認され、異性比=β付加体/α付加体はモル比で82/18であった。
還流冷却管、撹拌機、滴下ろうと及び温度計を備えて窒素置換を十分に行った四口フラスコ中に、5−ビニル−2−ノルボルネン36g(0.30モル)、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金含量3質量%)0.20gを仕込み、65℃に加熱した。内温が安定した後、合成例1で合成したハイドロジェンシラン化合物85g(0.30モル)を65〜75℃で4〜5時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌した。反応液を蒸留することで、沸点144〜146℃/0.3kPaの無色透明な留分を89g得た。
質量スペクトル
m/z 387,321,281,207,187,133
以上の結果より、得られた化合物は下記一般式(5)と(6)の混合物であることが確認され、(5)と(6)のモル比は(5):(6)=87:13であった。
界面接着性の測定
(1)表面処理剤の調製とガラス繊維の表面処理
内容量100mlのビーカーにメタノール20g、pH4に調整した酢酸水10gを入れ、マグネティックスターラーで撹拌しながら、実施例1で得られたシランカップリング剤を1質量%添加し、均一に溶解させて表面処理剤を得た。この表面処理剤に約30cmの長さに切断したガラス繊維(直径約23μm)を30分間浸漬し、オーブン中で70℃にて2時間乾燥することによって表面処理されたガラス繊維を得た。
(2)測定用サンプルの作製
上記(1)にて表面処理されたガラス繊維1本を台紙に接着剤で固定した。2−ノルボルネン7.2g(76.4mmol)と1−ヘキセン0.16g(1.9mmol)を仕込み、THF150gを添加して溶解した。オイルバスにより加熱して、還流下ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド3.6mgをTHF2.25gに溶解した触媒溶液を滴下し、還流下3時間撹拌して、ノルボルネン重合体溶液を得た。重合体溶液を濃縮し、粘度を調整した後、ミクロスパーテルを用いてガラス繊維に重合体溶液を少量塗布することにより、ガラス繊維に樹脂の微小ドロップ(マイクロドロップレット)を付着させた。これを予め窒素置換したオーブン中に入れ、室温で30分間、100℃にて1.5時間、150℃にて2時間加熱し樹脂を硬化させて、測定用サンプルを得た。
(3)界面せん断強度測定
ガラス繊維に付着した樹脂ドロップ(マイクロドロップレット)を固定し、ガラス繊維を引き抜くときの最大荷重を求め、これからガラスと樹脂との界面せん断強度を測定した。測定には、複合材界面特性評価装置HM410(東栄産業(株)製)を用いた。
界面せん断強度は、用いたガラス繊維の直径及び樹脂ドロップの長さ、引き抜き最大荷重から以下の式で求めた。
界面せん断強度(N/m2)=最大引き抜き荷重/(π×繊維直径×ドロップ長さ)
無処理のガラス繊維サンプルを用いて得られた界面せん断強度を100とした場合における、表面処理ガラス繊維サンプルの界面せん断強度(相対値)を求めた。数値が大きい程接着性が優れる。
また、実施例及び比較例に用いられたシランカップリング剤a、b、cは次の通りである。
a:実施例1にて製造したシランカップリング剤
b:5−(2−ビシクロヘプテニル)エチルトリメトキシシラン
c:ビニルトリメトキシシラン
Claims (6)
- β付加体:α付加体の割合が、モル比で80以上:20以下である請求項1記載の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤。
- 請求項1又は2記載の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤を用いることを特徴とする環状ポリオレフィンの改質方法。
- 請求項1又は2記載の環状ポリオレフィン用シランカップリング剤と無機材料とを用いることを特徴とする請求項3記載の環状ポリオレフィンの改質方法。
- 環状オレフィンをメタセシス反応により重合しながら改質することを特徴とする請求項3又は4記載の環状ポリオレフィンの改質方法。
- リン原子含有化合物を配位子として含まないRh含有化合物存在下で、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンに、下記一般式(2)
で示されるビニル基含有オルガノオキシシラン化合物を加えて反応温度0℃以上60℃未満で反応させて得られた下記一般式(3)
で示されるハイドロジェンシラン化合物と下記一般式(4)
で示される有機ケイ素化合物の製造方法。
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