JP5281237B2 - 空調システム及び空調システムの油戻し制御方法 - Google Patents
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この油戻し運転は、例えば、運転時間が所定時間に達した場合や、圧縮機から吐出された総油量が所定の値に達した場合に行われる。
しかしながら、空気調和機の電源がオフされた場合には、この積算油量はリセットされてしまうため、電源が再度オンされたときに、実際の総油量を把握できず、油戻し運転を適切なタイミングで行うことができないという問題があった。
特に、1台の室外機と複数の室内機とが同一の冷媒配管で接続されるマルチ型の空調システムの場合には、空調機の据付時において試運転が繰り返し行われる。このような場合、電源がオフされるたびに実際の総油量と空調機が把握している総油量との誤差が拡大してしまい、油戻しのタイミングが大幅にずれてしまうおそれがある。
本発明は、圧縮機内に潤滑油を保持し、運転することで冷媒回路に流出した潤滑油を前記圧縮機に戻す油戻し制御を行う空調システムであって、前記圧縮機から吐出された油量を積算することにより吐出総油量を求める油量積算手段と、不揮発性メモリと、前記油量積算手段により求められた前記吐出総油量を定期的に前記不揮発性メモリに書き込むメモリ書き込み手段とを具備し、前記不揮発性メモリへの吐出総油量の書き込み周期は、前記不揮発性メモリにおいて保証されているデータ書き換え回数を空調システムの保証運転期間で除算した書き込み頻度から得られる書き込み周期以上に設定されている空調システムを提供する。
上記不揮発メモリへの吐出総油量の書き込み周期は、不揮発性メモリにおいて保証されているデータ書き換え回数を空調システムの保証運転期間で除算した書き込み頻度から得られる書き込み周期以上に設定されている。例えば、不揮発性メモリのデータ書き換え回数が100万回であり、空調システムの保証運転期間が10時間/1日の運転状態で10年とした場合、上記吐出総油量の書き込みは、100万回/3万時間=33回/時間の頻度、換言すると、最速2分周期で書き込みが可能となる。従って、設計に応じて、2分以上の任意の期間を決定し、その周期で書き込みを行うこととすればよい。例えば、5分から10分の時間間隔で書き込みを行うこととしてもよい。
このような構成によれば、油量積算手段により、圧縮機から吐出された油量が積算されることにより吐出総油量が求められ、この吐出総油量に基づいて所定のタイミングで油戻し運転が実施されることとなる。
また、電源がオフされた場合には、油量積算手段により求められた吐出総油量が不揮発性メモリに書き込まれるので、電源がオフされたときの吐出総油量が保持されることとなる。これにより、次回の電源オン時においては、不揮発性メモリに書き込まれている吐出総油量を読み出すことにより、前回の電源オフ時、つまり、現在の吐出総油量を把握することができる。
このように、電源がオンされた場合には、不揮発性メモリから直近の吐出総油量が読み出され、この吐出総油量を元に吐出油量の積算が開始されるので、実際の吐出総油量と油量積算手段により求められる吐出総油量との誤差を低減することができる。
このような構成によれば、停電検知手段により停電が検知された場合には、油量積算手段により求められた吐出総油量が不揮発性メモリに書き込まれるので、停電直前の吐出総油量が保持されることとなる。これにより、停電後において電源がオンされた場合に、不揮発性メモリから吐出総油量を読み出すことで、停電の直前における吐出総油量、つまり、現在の吐出総油量を把握することができる。
また、上記態様は、可能な範囲で組み合わせて利用することができるものである。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る空調システムの冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。
本実施形態に係る空調システムは、室外機1aと複数台の室内機2a〜2cを備えて構成されている。室外機1aと室内機2a〜2cとは、同一の冷媒配管11aにより接続されている。具体的には、室外機1aが備える室外機冷媒回路部4aと各室内機2a〜2cが備える室内機冷媒回路部5a〜5cとが同一の冷媒配管11aによって接続されている。
なお、本実施形態では圧縮機12、受液器15は、室外機冷媒回路部4aに設けられているが、これらは必ずしも室外機冷媒回路部4a内に設けられている必要は無い。
凝縮器13の上流側の冷媒配管には温度センサ23が、下流側には温度センサ24がそれぞれ設けられている。これら温度センサ23,24の出力は室外制御装置9に送られる。室外機冷媒回路部4aには、室外温度センサ26が設けられており、この出力は室外制御装置9に送られるようになっている。
膨張弁17は、室外機冷媒回路部4a側から供給された液冷媒を略等エンタルピー的に膨張させるものである。膨張弁17は、好適には電子膨張弁(EEV)が用いられ、室内制御装置10によって開度がそれぞれ制御されるようになっている。この膨張弁17の開度によって、システム内を循環する循環冷媒量が決定される。また、所定の過熱度(例えば3deg)が維持されるように、室内制御装置10によって制御される。
室内機冷媒回路部5の熱交換器19の中間位置には熱交温度センサ25が設けられており、その出力は室内制御装置10へ送られる。
また、室内制御装置10は、例えば、マイコン等を内蔵し、室内機冷媒回路部5内の各センサや室外制御装置9からのデータに基づいて室内機冷媒回路部5をそれぞれ制御する。
圧縮機12によって圧縮された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器13において凝縮して高圧液冷媒となる。高圧液冷媒は、一部の余剰冷媒が受液器15に貯留された後、膨張弁17へと送られて略等エンタルピー的に減圧させられる。低圧液冷媒は、熱交換器19において蒸発し、室内ファン29によって送られる室内空気から熱を奪う。熱を奪われ冷却された空気は、室内へと送られ、室内温度を低下させることにより冷房を実現する。熱交換器19において蒸発した低圧ガス冷媒は、圧縮機12の吸入側へと導かれ、再び圧縮される。
本実施形態に係る油戻し制御方法は、例えば、図1に示した室外制御装置9により実現される。
図2は、室外制御装置9の概略内部構成および周辺回路を示した図である。
上述したように、室外制御装置9は、マイコン100及び不揮発性メモリ101を備えている。また、室外制御装置9は、電源回路102を介して商用電源103に接続されている。電源回路102は、商用電源103からの交流電力を室外制御装置9に適合する電力に変換し、変換後の電力を室外制御装置9に供給する。また、電源回路102は、停電などにより商用電源103からの電力供給が遮断された場合に、所定時間において室外制御装置9に電力を供給できるようになっている。
まず、空調システムの電源がオンされ、商用電源103からの電力が電源回路102を介して室外制御装置9内のマイコン100に供給されると(図3のステップSA1)、マイコン100は、電源投入が初回か否かを判断し(ステップSA2)、初回の場合には、予め初期値として設定されている油量を積算開始値に設定する(ステップSA3)。一方、マイコン100は、電源投入が初回でないと判断した場合には、不揮発性メモリ101から直近の吐出総油量を読み出し、この吐出総油量を積算開始値に設定する(ステップSA4)。
次に、マイコン100は、電源がオフされたか否かを判断し(ステップSA9)、電源がオフされていなければ、上述したステップSA5に戻り、上記ステップSA5以降の処理を繰り返し行う。一方、ステップSA9において、マイコン100は、電源がオフされたと判断すると、現時点における吐出総油量を不揮発性メモリ101に書き込み(ステップSA10)、当該油戻し制御処理を終了する。
そして、時刻t6において、再び、電源がオンされると、マイコン100は、不揮発性メモリ101から直近の吐出総油量を読み出し、この吐出総油量を積算開始値として設定し、吐出油量の積算を行う。
また、本実施形態においては、マルチ型空調システムにおける油戻し制御方法について説明したが、この油戻し方法は、上記マルチ型空調システムに限られることなく、1台の室外機及び1台の室内機とからなる空調システムに対しても適用可能である。
また、本実施形態においては、室外制御装置が油戻し制御方法を実現することとしたが、これに代えて、いずれかの室内制御装置が実現することとしてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態に係る空調システムおよび空調システムの油戻し制御方法について、図5及び図6を用いて説明する。
本実施形態に係る空調システムおよび空調システムの油戻し制御方法は、上述した第1の実施形態と同様、室外制御装置9により実現される。
図5は、本実施形態に係る室外制御装置9の周辺回路を示した図である。
図5に示すように、室外制御装置9は、マイコン100、不揮発性メモリ101を備えている。また、室外制御装置9は、電源回路102を介して商用電源103に接続されている。
まず、空調システムの電源がオンされ、商用電源103からの電力が電源回路102を介して室外制御装置9内のマイコン100に供給されると(図6のステップSB1)、マイコン100は、電源投入が初回か否かを判断し(ステップSB2)、初回の場合には、予め初期値として設定されている油量を積算開始値に設定する(ステップSB3)。一方、マイコン100は、電源投入が初回でないと判断した場合には、不揮発性メモリ101から直近の吐出総油量を読み出し、この吐出総油量を積算開始値に設定する(ステップSB4)。
続いて、マイコン100は、圧縮機12が起動しているか否かを判断し(ステップSB5)、圧縮機12が起動していると判断した場合には、圧縮機12から吐出される油量を検出し、検出した油量を吐出総油量に積算することで、吐出総油量を更新するとともに、この吐出総油量を不揮発性メモリ101に定期的に書き込む(ステップSB6,SB7)。
次に、マイコン100は、電源がオフされたか否かを判断し(ステップSB10)、電源がオフされていなければ、上述したステップSB5に戻り、上記ステップSB5以降の処理を繰り返し行う。一方、ステップSB9において、マイコン100は、電源がオフされたと判断すると、当該油戻し制御を終了する。
次に、本発明の第3の実施形態に係る空調システムおよび空調システムの油戻し制御方法について、図7乃至図9を用いて説明する。
本実施形態に係る空調システムおよびその油戻し制御方法は、上述した第1および第2の実施形態と同様、室外制御装置9により実現される。
本実施形態に係る室外制御装置9が図5に示した第2の実施形態に係る室外制御装置9と異なる点は、図7に示すように、不揮発性メモリ101を有していない点である。
以下、本実施形態に係る空調システム及びその油戻し制御方法について、第2の実施形態に係る空調システム及び油戻し制御方法と異なる点について主に説明する。
この結果、電源投入が初回の場合には、電源投入時から所定時間T2を経過した後に、油戻し運転を実施する(ステップSC4,SC5)。一方、電源投入が初回でなかった場合には、マイコン100は電源投入時から所定時間T1を経過した後に、油戻し運転を実施する(ステップSC6,SC7)。続いて、マイコン100は、リモコン等から運転停止の指示が出されたか否かを判断し(ステップSC8)、運転停止の指示が出されていなければ、ステップSC2に戻り、以降の処理を繰り返し行う。
一方、リモコン等から運転停止の指示が出されていた場合には、油戻し運転を実施し(ステップSC9)、その後、電源オフされたか否かを判定する(ステップSC10)。この結果、電源オフされていなければ、上述したステップSC2に戻り、以降の処理を繰り返し行う。これに対し、電源オフされていた場合には、本処理を終了する。
まず、時刻t1において電源がオンされ、更に、圧縮機12が起動した場合には、圧縮機12の起動から所定期間T1経過後である時刻t2に油戻し運転が実施される。これにより、冷媒回路に滞留している潤滑油が圧縮機12に戻され、吐出総油量は徐々に減少する。そして、時刻t3において、吐出総油量が所定の値となると、マイコン100は、油戻し運転を終了し、空調運転を再開する。これにより、圧縮機12から潤滑油が吐出されることにより、吐出総油量が徐々に増加する。
そして、時刻t4において、吐出総油量が規定値に達すると、マイコン100は油戻し運転を開始する。これにより、冷媒回路に滞留していた潤滑油は圧縮機12に戻され、吐出総油量が徐々に減少する。そして、時刻t5において、吐出総油量が所定の値となると、マイコン100は油戻し運転を終了し、空調運転を再開する。
これにより、圧縮機12から潤滑油が吐出されることにより、吐出総油量が徐々に増加する。そして、時刻t6において、リモコン等から運転停止の指示が出されると、マイコンは油戻し運転を行う。これにより、冷媒回路に滞留していた潤滑油は圧縮機12に戻され、吐出総油量が徐々に減少する。そして、時刻t7において、吐出総油量が所定の値となると、マイコン100は油戻し運転を終了し、圧縮機12の運転を停止する。
11a 冷媒配管
12 圧縮機
70 圧力センサ
100 マイコン
101 不揮発性メモリ
102 電源回路
103 商用電源
104 停電検知回路
Claims (2)
- 圧縮機内に潤滑油を保持し、運転することで冷媒回路に流出した潤滑油を前記圧縮機に戻す油戻し制御を行う空調システムであって、
前記圧縮機から吐出された油量を積算することにより吐出総油量を求める油量積算手段と、
不揮発性メモリと、
前記油量積算手段により求められた前記吐出総油量を定期的に前記不揮発性メモリに書き込むメモリ書き込み手段と
を具備し、
前記不揮発性メモリへの吐出総油量の書き込み周期は、前記不揮発性メモリにおいて保証されているデータ書き換え回数を空調システムの保証運転期間で除算した書き込み頻度から得られる書き込み周期以上に設定されている空調システム。 - 圧縮機内に潤滑油を保持し、運転することで冷媒回路に流出した潤滑油を前記圧縮機に戻す油戻し制御を行う空調システムの油戻し制御方法であって、
前記圧縮機から吐出された油量を積算することにより吐出総油量を求める過程と、
前記吐出総油量を定期的に不揮発性メモリに書き込む過程と
を有し、
前記不揮発性メモリへの吐出総油量の書き込み周期は、前記不揮発性メモリにおいて保証されているデータ書き換え回数を空調システムの保証運転期間で除算した書き込み頻度から得られる書き込み周期以上に設定されている空調システムの油戻し制御方法。
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