JP5278555B2 - モータ製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、モータの製造技術に関し、具体的にはステータに用いるコイルを円環状に配列し、ステータコアに組み付ける技術に関するものである。
近年、自動車の駆動力にモータを用いる需要が増加している。自動車の駆動力に用いるモータは小型化及び高出力化が求められており、その1つの方策としてコイルに平角導体を用いる方法が検討されている。これは、コイルに平角導体を用いることで、断面積を向上させると共に占積率を向上させる効果が見込めるためである。モータにコイルを用いる場合、ステータの有するスロットにコイルを挿入する必要がある。スロットは台形形状であることが多く、幾何学的に考えると円形断面より矩形断面の方が空隙率を低く設定できる。したがって、矩形断面を有する平角導体を用いた方が断面積を広くとることができ、占積率の向上が期待出来る。
しかしながら、平角導体を用いたコイルは、断面積を増やすことで変形しにくくなり、従来用いてきた丸線コイルに採用してきた組み付け方法を適用することは難しくなる。丸線コイルを用いた場合であっても、コイルの損傷や断線には注意が払われてきたが、平角導体を用いたコイルをモータに組み付ける場合は別の困難性が生じる。
特許文献1には、固定子コイル挿入装置に関する技術が開示されている。上側アライメントと下側アライメントとからなるアライメントツールを案内として、ステータコアを同一円周上に所定間隔に配置された複数ブレードの所定位置まで挿入保持する。複数ブレードには所定位置にコイルが装着されている。そして、第1段可動部を所定位置まで上昇させると、複数ブレードのうち第1段可動部に支持された固定ブレードの上昇に伴い、固定ブレードの上端に当接するコアガイドと上側アライメントも上方に摺動する。第2段可動部を所定位置まで上昇させると、複数ブレードのうち第2段可動部に支持された可動ブレードが上昇し、整列されたコイルをステータコアのスロット内に挿入することができる。
特許文献2には、セグメント導体の整列方法及び整列装置に関する技術が開示されている。一対の平行な挿入部及び両挿入部の一端同士を結合する屋根型ターン部等を含む複数のセグメント導体を、一方挿入部及び他方挿入部からステータコアのそれぞれ所定のスロットから所定の位置に挿入される様に整列させる方法である。このため、複数のセグメント導体を平面視で放射線状に配置する位置決め工程と、平面視で各セグメント導体の一方挿入部を放射線方向とほぼ直交する方向に移動させつつ、一方挿入部よりも放射方向外側に位置する他方挿入部を一方挿入部の廻りに揺動させ、放射方向内向きに移動させる整列工程とを有している。
特許文献3には、固定子コイルの製造方法に関する技術が開示されている。連続巻き線よりなる各相巻き線が巻回されてなる固定子コアを巻き取り製造する際に、組み込み体を芯部材に送り込む搬送途中で、組み込み体のターン部を芯部材に対する巻き取り半径とほぼ同じ曲げR半径の曲げR形状に塑性変形させて曲げ成形して、ターン部が階段形状に曲げ成形された組み込み体であって層部における整列精度やピッチ精度を向上させると共に、ターン部の階段部における整列精度を向上させる技術である。
特許文献4には、コイルセグメントの環状整列治具及び環状整列方法に関する技術が開示されている。ハット形状の環状整列治具の挿入凹部に略U字状のコイルセグメントを一周分セットする際、コイルセグメントの一方の直行部を挿置し、他方の直行部が外周面にあたるまで一周分のコイルセグメントを一緒に回動させ、一周分のコイルセグメントを円環状に整列させ、ついでハット状の中間整列治具をかぶせ、コイルセグメント一式が崩れないようにしたうえで、同様の手順を繰り返し、多数層のセグメント型コイルに相当する複数周のコイルセグメントを形成して、この組体ごとそっくり固定子コアのスロットに挿入する。
特開平6−38461号公報 特開2005−65386号公報 特開2009−284754号公報 特開2004−72839号公報
しかしながら、特許文献1乃至特許文献4に記載の技術を用いて、出願人が提案するコイルを用いたステータを形成する際には以下に説明する課題があると考えられる。
出願人は、別途出願した発明において、組み付け性を改善した平角導体コイルを用いたモータを提案している。この平角導体コイルは、同芯巻きのコイルを複数重ね、接続して用いるタイプのものであり、コイルを組み付けた際に、ステータのコイルエンドに突出するコイルの一端をステータの内周側に折り曲げた形状とすることで、ステータの組み付け性を改善している。しかしながら、この発明の形状のコイルを用いる場合、従来の特許文献1乃至特許文献4の技術を用いて組み付けを行うことは適当でないと思われる。
これは、特許文献1において用いるコイルについては、具体的な言及はないものの、組み付け時に用いるアライメントツールの動きに沿ってコイルが変形していると考えられる。したがって、該発明の平角導体コイルのように断面積が広く変形しにくいコイルに適用させることは適当でないと思われる。また、特許文献2や特許文献4において用いるコイルはセグメントコイルであり、特許文献3において用いるコイルは波巻きコイルであるので、該発明の平角導体コイルの組み付けに単純に適用することは困難である。
そこで、本発明はこのような課題を解決するために、平角導体を用いたコイルを整列させステータに組み付けるモータ製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の一態様によるモータ製造方法は以下のような特徴を有する。
(1)平角導体を用いた分布巻きコイルとステータコアとを備えるステータと、中心軸を備えるロータとを有するモータを、前記分布巻きコイルを組み合わせてコイル籠を形成し、前記コイル籠をステータコアに軸方向から挿入することでモータを製造するモータ製造方法において、前記コイルの一端のコイルエンド部が、前記ステータコアのスロット内導線部に対して前記ロータ側に折り曲げられて形成され、前記コイルを重ねて半円環状に配置し、第1半円環状コイル籠と第2半円環状コイル籠とを形成し、前記第1半円環状コイル籠に対して前記第2半円環状コイル籠を軸に直行する面上を移動させるように近接させ、前記第1半円環状コイル籠と前記第2半円環状コイル籠とで形成された前記コイル籠を、前記コイルの一端のコイルエンド部がロータ側に折り曲げられている側から前記ステータコアに挿入することで、前記モータを製造することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明の一態様によるモータ製造方法により、以下のような作用、効果が得られる。
上記(1)に記載される発明の態様は、平角導体を用いた分布巻きコイルとステータコアとを備えるステータと、中心軸を備えるロータとを有するモータを、分布巻きコイルを組み合わせてコイル籠を形成し、コイル籠をステータコアに軸方向から挿入することでモータを製造するモータ製造方法において、コイルの一端のコイルエンド部が、ステータコアのスロット内導線部に対してロータ側に折り曲げられて形成され、コイルを重ねて半円環状に配置し、第1半円環状コイル籠と第2半円環状コイル籠とを形成し、第1半円環状コイル籠に対して第2半円環状コイル籠を軸に直行する面上を移動させるように近接させ、第1半円環状コイル籠と第2半円環状コイル籠とで形成されたコイル籠を、コイルの一端のコイルエンド部がロータ側に折り曲げられている側からステータコアに挿入することで、モータを製造するものである。
該ステータに用いるコイルは、コイルの一端が曲げられていることで、コイル籠をステータコアに挿入し易くなるメリットがある。しかし、コイル籠を形成する際にはコイルを重ねる方向によって干渉する部分があるため、工夫が必要である。具体的にはコイルエンド部がロータ側に折り曲げられて形成されているので、この折り曲げ部分同士がコイル同士を周方向から組み付ける場合以外は干渉してしまう。しかしながら、全てのコイルを干渉しない位置から軸方向に向けて移動させて同時に組み付けるとすると、大きな組み付けスペースを要する。
このため、干渉を避けられるよう半円環状にコイル籠を作成し、第1半円環状コイル籠と第2半円環状コイル籠とを組み合わせる手法で、この点を解決している。なお、第1半円環状コイル籠に対して第2半円環状コイル籠を近接させて組み付けることで、第1半円環状コイル籠と第2半円環状コイル籠との干渉を回避している。よって、省スペースでコイル籠の形成が可能であり、組み付け性も向上させることができる。
本実施形態の、モータの断面図である。 本実施形態の、コイル籠の斜視図である。 本実施形態の、コイルの斜視図である。 本実施形態の、コイルの正面図である。 本実施形態の、コイルの上面視図である。 本実施形態の、コイルの側面図である。 本実施形態の、半円環状コイル同士を組み付ける様子を表す平面図である。 本実施形態の、半円環状コイル同士を組み付ける様子を表す斜視図である。 本実施形態の、半円環状コイル同士を重ねた様子を表す平面図である。 本実施形態の、半円環状コイル同士を重ねた様子を表す斜視図である。 本実施形態の、コイル籠の平面図である。 本実施形態の、コイル籠の斜視図である。 本実施形態の、軸方向の干渉を解説するための模式図である。 本実施形態の、径方向の干渉を解説するための模式図である。 本実施形態の、コイル同士を周方向に組み付ける様子を表した平面図である。 本実施形態の、組み付け途中のコイル籠の斜視図である。
まず、本発明の実施形態について図面を用いて説明を行う。
図1に、本実施形態のモータ100の断面図を示す。図2に、コイル籠12の斜視図を示す。モータ100は、シャフト41とロータコア43とを有するロータ40と、コイル籠12が挿入されたステータコア13とを有するステータ10とを備えている。コイル籠12は、図1に示すように一方のコイルエンドがモータ100の軸方向に曲げられている。
図3に、コイル11の斜視図を示す。図4に、コイル11の正面図を示す。図5に、コイル11の上面視図を示す。図6に、コイル11の側面図を示す。コイル籠12に用いるコイル11は、平角導体Dを巻回して形成した同芯巻きのコイル11である。平角導体Dは矩形断面を有する銅等の導電性の高い金属の周囲に絶縁被覆を施したものである。
コイル11は、スロット内に配置されるスロット内導線部SA、スロット内導線部SBを備える。図3に示すように、スロット内導線部SAは、5本の平角導体Dが矩形断面の長辺で構成される長辺面(フラットワイズ面)を接触させて重ね合わされたもので、第1スロット内導線部SA1、第2スロット内導線部SA2、第3スロット内導線部SA3、第4スロット内導線部SA4、及び第5スロット内導線部SA5の集合体である。
また、図6に示すように、スロット内導線部SBは5本の平角導体Dが矩形断面の長辺で構成される長辺面(フラットワイズ面)を接触させて重ね合わされたもので、第1スロット内導線部SB1、第2スロット内導線部SB2、第3スロット内導線部SB3、第4スロット内導線部SB4、及び第5スロット内導線部SB5の集合体である。コイル籠12の上側の位置するコイルエンド部の中央には、上側同心円部Gが形成されている。
上側同心円部Gは、図6に示すように、第2同心円部G2、第3同心円部G3、第4同心円部G4、及び第5同心円部G5の4本の平角導体Dの集合体である。第1同心円部が含まれていないのには、後に説明する第1傾斜部EA1が端子Mとして、コイル籠12の外周側に突出しているためである。
スロット内導線部SAの上端には、折り曲げ部IAが形成されている。図4に示すように、平角導体Dは折り曲げ部IAで上側同心円部Gの方向にエッジワイズ曲げ加工して折り曲げられている。上側同心円部Gとスロット内導線部SAとの間には傾斜部EAが形成されている。
折り曲げ部IAは、図5に示すように、第1折り曲げ部IA1、第2折り曲げ部IA2、第3折り曲げ部IA3、第4折り曲げ部IA4、及び第5折り曲げ部IA5の集合体である。傾斜部EAは、図3及び図6に示すように、第1傾斜部EA1、第2傾斜部EA2、第3傾斜部EA3、第4傾斜部EA4、及び第5傾斜部EA5の集合体である。傾斜部EAにおいては、5本の平角導体Dが図6に示すようにスロット内導線部SAと同様に、コイル籠12の径方向(図6の左右方向)に重ね合わされている。
スロット内導線部SBの上端には、折り曲げ部IB及び傾斜部EBが形成されている。折り曲げ部IBは、図5に示すように、第1折り曲げ部IB1、第2折り曲げ部IB2、第3折り曲げ部IB3、第4折り曲げ部IB4、及び第5折り曲げ部IB5の集合体である。傾斜部EBは、図6に示すように、第1傾斜部EB1、第2傾斜部EB2、第3傾斜部EB3、第4傾斜部EB4、及び第5傾斜部EB5の集合体である。
傾斜部EBにおいては、5本の平角導体Dが、図6に示すように、スロット内導線部SBと同様に、コイル籠12の径方向(図6の左右方向)に重ね合わされている。又、図6に示すように、傾斜部EAの最内周部に位置する第1傾斜部EA1の端子Mは、折り曲げられてコイル籠12の外周側に向けて突出している。また、傾斜部EBの最外周に位置する第5傾斜部EB5の端子Nは、折り曲げられて外部に突出している。
スロット内導線部SAの下端には、折り曲げ部JAが形成されている。折り曲げ部JAは、図6に示すように、第1折り曲げ部JA1、第2折り曲げ部JA2、第3折り曲げ部JA3、第4折り曲げ部JA4、及び第5折り曲げ部JA5の集合体である。また、スロット内導線部SBの下端には、折り曲げ部JBが形成されている。平角導体Dは、折り曲げ部JBで、図6に示すように、90度内周側(図6の左方向)に折り曲げられている。又、折り曲げ部JBは図6に示すように、5本の平角導体Dの第1折り曲げ部JB1、第2折り曲げ部JB2、第3折り曲げ部JB3、第4折り曲げ部JB4、及び第5折り曲げ部JB5の集合体である。
内周側端部には、下側同心円部Hが形成されている。図4に示すように、折り曲げ部JAと下側同心円部Hとの間には、水平部FAが形成されている。折り曲げ部JBと下側同心円部Hの間には、水平部FBが形成されている。下側同心円部Hは、図6に示すように、第1下側同心円部H1、第2下側同心円部H2、第3下側同心円部H3、第4下側同心円部H4、及び第5下側同心円部H5の集合体である。
水平部FAは、図4に示すように、第1水平部FA1、第2水平部FA2、第3水平部FA3、第4水平部FA4、及び第5水平部FA5の集合体である。ここで、水平部FAにおいては、5本の平角導体Dの水平部は、図4に示すように、コイル籠12の軸芯方向(図4の上下方向)に重ね合わされている。水平部FBは、図4に示すように、第1水平部FB1、第2水平部FB2、第3水平部FB3、第4水平部FB4、及び第5水平部FB5の集合体である。ここで、水平部FBにおいては、5本の平角導体Dの水平部は、図4に示すように、コイル籠12の軸芯方向(図4の上下方向)に重ね合わされている。
コイル11は、図3乃至図6に示され上記に説明する構成に形成されており、これを円環状に48個配置することでコイル籠12を形成する。図7に、半円環状コイル籠20同士を組み付ける様子を表す平面図を示す。図8に、半円環状コイル籠20同士を組み付ける様子を表す斜視図を示す。図9に、半円環状コイル籠20同士を重ねた様子を表す平面図を示す。図10に、半円環状コイル同士を重ねた様子を表す斜視図を示す。図11に、コイル籠12の平面図を示す。図12にコイル籠12の斜視図を示す。半円環状コイル籠20は、コイル籠12を形成する為に第1半円環状コイル籠20Aと第2半円環状コイル籠20Bの2つ用意される。第1半円環状コイル籠20A及び第2半円環状コイル籠20Bは、コイル11を24対組み合わせたもので、同様の形状である。コイル籠12として組み付けるには、第1半円環状コイル籠20Aと第2半円環状コイル籠20Bを図8及び図9に示すように向かい合わせに配置する。
この際、図7乃至図10に示すように、第1半円環状コイル籠20A及び第2半円環状コイル籠20Bの有する端子Mが形成する平面25上を、第1半円環状コイル籠20Aに対して第2半円環状コイル籠20Bを移動させて組み付ける。なお平面25は軸21A又は軸21Bに対して直行する面である。また、干渉を避けるために第1半円環状コイル籠20Aに対して第2半円環状コイル籠20Bを図7乃至図10に示すように、斜めにスライドさせて組み付けることで、コイル籠12を形成する。こうして形成されたコイル籠12をステータコア13に組み付け、ロータ40を挿入することでモータ100が形成されることになる。
ステータコア13は特に単体で図示して説明はしていないが、プレス加工でドーナツ状に打ち抜いた電磁鋼板を積層して形成されており、ステータコア13の内周側にティースが突出し、隣り合うティースの間にはスロット内導線部SA又はスロット内導線部SBが挿入されるスロットが用意されている。ティースの数は48本であり、スロットもティースと同数用意されている。このステータコア13にコイル籠12を軸方向から挿入することで、ステータ10が形成される。そして、ステータ10の一方のコイルエンド側であり、コイル籠12の下側同心円部Hが配置される側の反対側からロータ40を挿入することで、モータ100が形成される。なお、ロータ40に備えられるシャフト41は図示しないベアリングに回動可能に保持され、ベアリングが固定されるケーシングはステータコア13に固定される。
本実施形態のモータ100の製造方法は上記構成であるので、以下に説明する作用及び効果を奏する。まず、組み付け工程が簡略化することができる点が挙げられる。本実施形態のモータ100の製造方法は、コイル11の一端のコイルエンド部が、ステータコア13のスロット内導線部SA又はスロット内導線部SBに対してロータ40側に折り曲げられて形成され、コイル11を重ねて半円環状に配置し、第1半円環状コイル籠20Aと第2半円環状コイル籠20Bとを形成し、第1半円環状コイル籠20Aに対して第2半円環状コイル籠20Bを近接させ、第1半円環状コイル籠20Aと第2半円環状コイル籠20Bとで形成されたコイル籠12を、コイル11の一端のコイルエンド部がロータ40側に折り曲げられている側からステータコア13に挿入することで、モータ100を製造するものである。
コイル籠12を形成する為にコイル11を単純に重ねていくだけでは部分的に干渉してしまう。図13に、コイル11同士の軸方向の干渉を解説するための模式図を示す。図14に、コイル11同士の径方向の干渉を解説するための模式図を示す。便宜的に動かさずに保持している側のコイル11を、第1コイル11A、第1コイル11Aに対して近接させ、組み付ける側のコイル11を第2コイル11Bとして説明する。
第1コイル11Aに対して第2コイル11Bを、コイル籠12として組み付けられた時の軸の方向から近接する、すなわち軸方向に組み付けるとすると、図13に示す通り、第1コイル11Aの水平部FAと第2コイル11Bの傾斜部EBとが干渉してしまう。これは、図5に示されるように、傾斜部EBが水平部FAよりもコイル籠12の外周側(図5では上側)に配置される形状となっている為であり、軸方向に重ねる際には水平部FAと傾斜部EBはお互いに干渉し合う。
一方、第1コイル11Aと第2コイル11Bとをコイル籠12の径方向に重ねる図14の様な組み合わせ方を行うと、第1コイル11Aの水平部FAと第2コイル11Bの水平部FAとが干渉してしまう。したがって、コイル11同士が干渉しない為にはコイル籠12の周方向に組み付ける必要がある。図15に、コイル11同士を周方向に組み付ける様子を図に示す。第1コイル11Aに対して第2コイル11Bを横方向に、すなわちコイル籠12の周方向に組み付けることで、コイル11同士の干渉を抑えることが可能となる。
ただし、単純にコイル11をコイル籠12の周方向に組み付けていくと、42個までは順に組み付けることが可能だが、残り6つを組み付けることが出来ない問題が生じる。図16に、組み付け途中のコイル籠12の斜視図を示す。コイル11を42個組み付けた状況のコイル籠12が図16に示すものであり、コイル11の形状の特性上、第37スロット内導線部SA37乃至第42スロット内導線部SA42が、第1スロット内導線部SB1と第42スロット内導線部SB42との間に配置される。この状態で、コイル籠12の全周が埋め尽くされてしまうので、コイル11をこれ以上挿入することが出来ない。
そこで、図7乃至図10に示すように、第1半円環状コイル籠20Aと第2半円環状コイル籠20Bを形成し、第1半円環状コイル籠20Aと第2半円環状コイル籠20Bを対面させて組み付けることで、結果的にコイル11を周方向から組み付ける状態と同じ状態とし、48個のコイル11をコイル籠12に組み付けることが可能となる。
なお、図5に示すようにコイル11の形状は、傾斜部EA及び傾斜部EBがコイル籠12の内周方向(図5においては図面下方向)に向かって曲がった形状に形成されている。また、第1半円環状コイル籠20Aの1番目のコイル11の有するスロット内導線部SAと第2半円環状コイル籠20Bの24番目のコイル11の有するスロット内導線部SBとが干渉しないように、あるいは第1半円環状コイル籠20Aの24番目のコイル11の有するスロット内導線部SBと第2半円環状コイル籠20Bの1番目のコイル11が有するスロット内導線部SAとが干渉しないようにする必要がある。このため、組み付けの際には図7乃至図10に示されるように、第1半円環状コイル籠20Aに対して第2半円環状コイル籠20Bを斜め方向からアプローチさせる必要がある。
すなわち、図7に示すように、第1半円環状コイル籠20Aの軸21Aと交わる線であって、12番目のコイル11の下側同心円部Hの中心を通過する第1中心線21Aaと、24番目のコイル11の下側同心円部Hの中心を通過する第2中心線21Abと、第2半円環状コイル籠20Bの軸21Bと交わる線であって、12番目のコイル11の下側同心円部Hの中心を通過する第1中心線21Baと、24番目のコイル11の下側同心円部Hの中心を通過する第2中心線21Bbとが描かれるとする。この場合において、第1半円環状コイル籠20Aの第1中心線21Aaの上を、第2半円環状コイル籠20Bの第2中心線21Bbが重ならない位置から第2半円環状コイル籠20Bを近接させることとなる。
こうして、同芯巻きコイルであるコイル11を無理なくコイル籠12に組み付けることが可能となり、その結果、コイル11を用いたモータ100を形成可能であるので、コイル11を用いたモータ100の製造方法において、組み付け性を改善させることが可能である。
以上、本実施形態に則して発明を説明したが、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更することにより実施することもできる。
例えば、本実施形態で例示した材質は適宜置き換えることを妨げないし、コイル11の巻き数やステータコア13のスロットの数或いはコイル籠12に用いるコイル11の数なども設計仕様によって変更されることを妨げない。
10 ステータ
11 コイル
11A 第1コイル
11B 第2コイル
12 コイル籠
13 ステータコア
20 半円環状コイル
20A 第1半円環状コイル
20B 第2半円環状コイル
40 ロータ
41 シャフト
43 ロータコア
100 モータ
EA 傾斜部
EB 傾斜部
FA 水平部
FB 水平部
G 上側同心円部
H 下側同心円部
IA 折り曲げ部
IB 折り曲げ部
JA 折り曲げ部
JB 折り曲げ部
M 端子
N 端子
SA スロット内導線部
SB スロット内導線部

Claims (1)

  1. 平角導体を用いた分布巻きコイルとステータコアとを備えるステータと、中心軸を備えるロータとを有するモータを、前記分布巻きコイルを組み合わせてコイル籠を形成し、前記コイル籠をステータコアに軸方向から挿入することでモータを製造するモータ製造方法において、
    前記コイルの一端のコイルエンド部が、前記ステータコアのスロット内導線部に対して前記ロータ側に折り曲げられて形成され、
    前記コイルを重ねて半円環状に配置し、第1半円環状コイル籠と第2半円環状コイル籠とを形成し、
    前記第1半円環状コイル籠に対して前記第2半円環状コイル籠を軸に直行する面上を移動させるように近接させ、
    前記第1半円環状コイル籠と前記第2半円環状コイル籠とで形成された前記コイル籠を、前記コイルの一端のコイルエンド部がロータ側に折り曲げられている側から前記ステータコアに挿入することで、前記モータを製造することを特徴とするモータ製造方法。
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