次に、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、インク供給装置から供給されたインクをインクジェットヘッドから記録用紙に対して噴射し、記録用紙に所望の文字や画像などを記録(印刷)するプリンタに、本発明を適用したものである。
まず、プリンタの概略構成について図1を参照して説明する。図1に示すように、プリンタ1は、走査方向(図1の左右方向)に沿って往復移動可能に構成されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド3及びサブタンク4a〜4dと、インクを貯留するインクカートリッジ5(液体カートリッジ)が着脱自在に装着されるカートリッジ装着部7を有するインク供給装置21(液体供給装置)と、記録用紙Pを走査方向に直交する紙送り方向に搬送する搬送機構6などを備えている。
キャリッジ2は、走査方向に平行に延びる2本のガイド軸17に沿って往復移動可能に構成されている。また、キャリッジ2には、無端ベルト18が連結されており、キャリッジ駆動モータ19によって無端ベルト18が走行駆動されたときに、キャリッジ2は、無端ベルト18の走行に伴って走査方向に移動するようになっている。
このキャリッジ2には、インクジェットヘッド3と4つのサブタンク4a〜4dが搭載されている。インクジェットヘッド3は、その下面(図1の紙面向こう側の面)に多数の液体噴射用ノズルを備えている。また、4つのサブタンク4a〜4dは、走査方向に沿って並べて配置されており、これら4つのサブタンク4a〜4dにはチューブジョイント20が一体的に設けられている。そして、チューブジョイント20に連結された可撓性のチューブ11によって、4つのサブタンク4a〜4dと4つのインクカートリッジ5とがそれぞれ接続されている。
4つのインクカートリッジ5には、例えば、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの、4色のインクがそれぞれ貯留されており、これらのインクカートリッジ5は、インク供給装置21のホルダ10に設けられた4つのカートリッジ装着部7に挿入されることにより、ホルダ10に着脱自在に装着される。
そして、4つのインクカートリッジ5にそれぞれ貯留された4色のインクは、4本のチューブ11を介して4つのサブタンク4a〜4dに供給され、サブタンク4a〜4dにおいて一時的に貯留された後、インクジェットヘッド3に供給される。そして、インクジェットヘッド3は、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動しつつ、その下面に設けられた多数のノズルから、搬送機構6により紙送り方向に搬送される記録用紙Pにインクを噴射する。
搬送機構6は、インクジェットヘッド3よりも紙送り方向上流側に配置された給紙ローラ25と、インクジェットヘッド3よりも紙送り方向下流側に配置された排紙ローラ26とを有する。給紙ローラ25と排紙ローラ26は、それぞれ、給紙モータ27と排紙モータ28により回転駆動される。そして、この搬送機構6は、給紙ローラ25により、記録用紙Pを図1の上方からインクジェットヘッド3に供給するとともに、排紙ローラ26により、インクジェットヘッド3によって画像や文字などが記録された記録用紙Pを図1の下方へ排出するように構成されている。
次に、インクカートリッジ5及びインクカートリッジ5が装着されるホルダ10を有するインク供給装置21について図2〜図4を参照して詳細に説明する。インクカートリッジ5は、ホルダ10のカートリッジ装着部7へ装着向きに沿って装着されるが、装着向きと反対の向きを脱着向きとし、また、本実施形態においては、装着向き及び脱着向きに平行な方向を水平方向、装着向き及び脱着向きに平行な面を水平面とする。
まず、インクカートリッジ5について説明する。図2及び図3に示すように、インクカートリッジ5は、インクを貯留するカートリッジ本体30と、カートリッジ本体30内のインク残量を検出するためのセンサアーム40などを有している。
カートリッジ本体30は、合成樹脂材料などの光透過性材料により、中空の略直方体状に形成されている。インクカートリッジ5は、カートリッジ装着部7内の装着位置に配置された状態で、装着向きにおけるカートリッジ本体30の前端の面の上端部から装着向きに延在する突起38を有する。突起38は光を透過させない合成樹脂材料により形成されている。インクカートリッジ5がカートリッジ装着部7に装着され、装着位置に配置された状態では、突起38は後述する光センサ65の発光部65aと受光部65bとの間に位置する。この位置にある突起38は、光センサ65の発光部65aから受光部65bに発する光を遮断する。なお、装着位置とは、カートリッジ装着部7内において、インクカートリッジ5が、後述するインク貯留室31内のインクを、カートリッジ装着部7の後述するインク導出路82に供給し得る位置である。
また、インクカートリッジ5は、カートリッジ装着部7内の装着位置に配置された状態で、カートリッジ本体30の上面30aの水平方向に関する中心から上方に突出した突起39を有する。突起39の脱着向き側の側面39aとカートリッジ本体30の上面30aとのなす角度は略直角となっている。なお、突起39は、射出成型などによりカートリッジ本体30と一体的に形成されてもよいし、別々に形成されてカートリッジ本体30に接着剤などで接合されてもよい。また、突起38もカートリッジ本体30と一体的に形成してもよいが、その場合、突起38は光透過性材料により形成されることになるため、光を透過しないフィルムなどで突起38の表面を被覆する必要がある。
また、カートリッジ本体30は、内部にインクを貯留するインク貯留室31と、インクカートリッジ5がカートリッジ装着部7内の装着位置に配置された状態で、装着向きにおけるインク貯留室31の前端部の下部に位置し、インク貯留室31内のインクを装着向きに導出するインク導出部32と、インク貯留室31の前端部の上部に設けられて、インク貯留室31内にエアを装着向きにおける前方から導入する大気導入部33と、を有している。
また、カートリッジ本体30は、インクカートリッジ5がカートリッジ装着部7内の装着位置に配置された状態で、装着向きにおけるインク貯留室31の前端部におけるインク導出部32と大気導入部33との間に位置し、インク貯留室の前端部から装着向きに突出した被検知部34を有する。インク貯留室31内に配置されたセンサアーム40の後述する遮光板40cは、被検知部34内を上下に移動できるようになっている。また、インクカートリッジ5がカートリッジ装着部7の装着位置に配置された状態では、被検知部34の下端は、後述する光センサ66の発光部66aと受光部66bとの間に位置する。
センサアーム40は、インク貯留室31内においてカートリッジ本体30に回動自在に支持されたアーム部40aと、このアーム部40aの一端に設けられ、インク液面変動に応じて上下に移動するフロート40bと、アーム部40aの他端に設けられた遮光板40cとを有する。遮光板40cは、被検知部34に収容されており、ホルダ10のカートリッジ装着部7内の装着位置にインクカートリッジ5が配置された状態で、このカートリッジ装着部7に設けられた光センサ66の発光部66aから受光部66bに発する光を遮断することが可能である。
そして、センサアーム40は、インク貯留室31内のインク液面変動に応じてフロート40bが上下に移動したときに、このフロート40bとアーム部40aを介して連結された遮光板40cが、被検知部34内においてカートリッジ本体30に対して上下に移動(揺動)するように構成されている。より具体的には、インク貯留室31内に十分なインクがある場合には、フロート40bに大きな浮力が作用し、アーム部40aに図3の反時計回りの方向のモーメントが働くため、図3に実線で示すように、遮光板40cは被検知部34の底面に接触する。一方、インク貯留室31内のインク残量が少なくなってフロート40bが液面から一部露出すると、フロート40bに作用する浮力が小さくなり、図3に二点鎖線で示すように、アーム部40aは図3の時計回りの方向に回動して、遮光板40cは被検知部34の天井面に接触する。
すなわち、遮光板40cは、インク液面変動が生じたときに、フロート40bの移動に応じてアーム部40aを介してカートリッジ本体30に対して移動するものである。また、被検知部34の底面及び天井面が、遮光板40cの上下移動を規制している。
インク導出部32及び大気導入部33は、インクカートリッジ5がカートリッジ装着部7内の装着位置に配置された状態で、装着向きにおけるカートリッジ本体30の前端の面の被検知部34を挟む上下両端付近から装着向きに延びている。そして、大気導入部33において大気導入孔36を介してインク貯留室31へ装着向きにおける前方から大気を導入しつつ、インク導出部32においてインク導出孔37を介してインク貯留室31内のインクを装着向きへ導出するように構成されている。
インクカートリッジ5がカートリッジ装着部7内の装着位置に配置され、インクがインクカートリッジ5の外部に供給されているときには、大気導入部33がインク貯留室31の上端付近に位置しているとともに、インク導出部32がインク貯留室31の下端付近に位置している。そのため、大気導入部33によりインク貯留室31の上部空間にエアをスムーズに導入して、インク貯留室31内の下部空間に残留するインクをできるだけ最後まで排出することができる。
インク導出部32は、バルブ機構50を収容するバルブ機構収容室52を有している。バルブ機構収容室52は、装着向きにおけるバルブ機構収容室52の前端を画定している壁を貫通して形成されているインク導出孔37を介して、インクカートリッジ5の外部と連通可能である。バルブ機構収容室52は、インク貯留室31と連通しており、その内部には、バルブ機構50を構成する弁体53、バネ54及びシール部材55が収容されている。シール部材55は、環状であり、バルブ機構収容室52の前端部の内壁面にインク導出孔37を囲むように配置されている。弁体53は、シール部材55を介してインク導出孔37を塞ぐようにバネ54でシール部材55に向けて付勢されている。インクカートリッジ5がカートリッジ装着部7内の装着位置に配置されているときには、バネ54は弁体53を装着向きに付勢する。バネ54により付勢された弁体53がシール部材55を介してインク導出孔37を塞いでいると、インクカートリッジ5のインク導出孔37からインクは導出されない。
大気導入部33は、バルブ機構60を収容するバルブ機構収容室62を有している。バルブ機構収容室62は、装着向きにおけるバルブ機構収容室62の前端を画定している壁を貫通して形成されている大気導入孔36を介して、インクカートリッジ5の外部と連通可能である。バルブ機構収容室62は、インク貯留室31と連通しており、その内部には、バルブ機構60を構成する弁体63、バネ64及びシール部材61が収容されている。シール部材61は、環状であり、バルブ機構収容室62の前端部の内壁面に大気導入孔36を囲むように配置されている。弁体63は、前方に突出した凸部63aを有しており、シール部材61を介して大気導入孔36を塞ぐようにバネ64でシール部材61に向けて付勢されている。インクカートリッジ5がカートリッジ装着部7内の装着位置に配置されているときには、バネ64は弁体63を装着向きに付勢する。バネ64により付勢された弁体63がシール部材61を介して大気導入孔36を塞いでいると、インクカートリッジ5の大気導入孔36からエアが導入されない。
詳しくは後述するが、インクカートリッジ5がホルダ10のカートリッジ装着部7の装着位置に配置されると、後述するニードル70がインク導出孔37に挿通されて、バネ54の付勢力に抗して弁体53を脱着向きに押圧する。また、後述するロッド71が、バネ64の付勢力に抗して、大気導入孔36に挿通されている弁体63の凸部63aを脱着向きに押圧する。すると、弁体53,63がシール部材55,61から離れ、インク貯留室31内のインクがインク導出孔37を介してカートリッジ装着部7に導出可能となるとともに、インク貯留室31内に大気導入孔36を介してエアが導入可能となる。なお、本実施形態におけるバルブ機構50,60のバネ54,64が、本発明における第1付勢部材に相当する。
次に、インクカートリッジ5が装着されるホルダ10について説明する。図1に示すように、ホルダ10は、走査方向に配列されて、4つのインクカートリッジ5が装着される4つのカートリッジ装着部7を有している。なお、4つのカートリッジ装着部7は同じ構成を有するものであるため、以下ではそれらのうちの1つについて説明する。
図2及び図4に示すように、ホルダ10のカートリッジ装着部7は、前板81、前板81の上端から脱着向きに延びる天板83、及び、天板83と対向するように配置されており、前板81の下端から脱着向きに延びる底板84を有している。カートリッジ装着部7内には、前板81、天板83、底板84により画定されたカートリッジ収容室80が形成されている。カートリッジ装着部7は、前板81に対向する開口を有しており、カートリッジ収容室80には、開口から前板81に向かうように装着向きに沿ってインクカートリッジ5が挿入される。また、カートリッジ装着部7は、光センサ65,66、ニードル70、ロッド71、及びロック機構90を有している。
ニードル70は、前板81の下端付近に設けられ、脱着向きに延在し、その内部に水平方向に延在したインク導出路82が形成されている。このインク導出路82は、図1に示すチューブ11を介してインクジェットヘッド3と接続されている。ロッド71は、前板81の上端付近に設けられ、脱着向きに延在している。光センサ66は、前板81の鉛直方向中央部に設けられており、図3の紙面垂直方向に関して所定間隔を空けて対向配置された発光部66aと受光部66bとを有している。光センサ65は、前板81のロッド71よりも上方に設けられており、図3の紙面垂直方向に関して所定間隔を空けて対向配置された発光部65aと受光部65bとを有している。
図2、図4、図5、図8(a)、および、図8(b)に示すように、ロック機構90は、天板83の装着向きにおける後端付近(脱着向きにおける前端付近)に設けられており、ロックレバー91(ロック部材)と、ロックレバー91を引っ張ることにより付勢するコイル状のバネ92(第2付勢部材)と、ロックレバー91と軸95を介して相対回動可能に連結された飛び出し防止部材94と、軸95周りに配置され、バネ92よりも小さな付勢力で飛び出し防止部材94を付勢する、ねじりコイルバネ96(第3付勢部材)と、を有している。ロック機構90は、カートリッジ装着部7の装着位置に配置されたインクカートリッジ5をバネ54,64の付勢力に抗して装着位置に留まるように係止するとともに、飛び出し防止部材94の操作部94aが押圧されるという一操作によって、装着位置に配置されたインクカートリッジ5のロック解除及び装着位置から押し出されたインクカートリッジ5の飛び出し防止を行う。
ロックレバー91は、一方向に延在した棒状部材であり、天板83に設けられた軸93を中心として回動可能となっている。軸94は、ロックレバー91の装着向きにおける前端と後端との間に位置する。バネ92は、その一端がロックレバー91の軸93よりも装着向きにおける後ろ側に接続され、他端が、ロックレバー91と接続されている一端よりも装着向きにおける前側の天板83に接続されている。
ロックレバー91は、カートリッジ装着部7の前板81、天板83、及び、底板84に対する相対位置として、バネ92の圧縮力により軸93を中心として図4の反時計回り方向に回動し、後述する退避位置にある飛び出し防止部材94が天板83に設けられたストッパ83aに接触することにより、所定の位置に留まっている。その所定の位置は、ロックレバー91の装着向きにおける前端が、カートリッジ収容室80内の装着位置に配置されたインクカートリッジ5の突起39の側面39aに係合して、バネ54,64の付勢力に抗してインクカートリッジ5を装着位置に留まるように係止可能な係止位置となっている。また、ロックレバー91は、飛び出し防止部材94の操作部94aが下方に押圧されることで軸93を中心として図4の時計回り方向に回動し、ロックレバー91の装着向きにおける前端がインクカートリッジ5の突起39の側面39aから離れて、インクカートリッジ5を装着位置に留まるように係止しない解除位置に移動可能となっている。つまり、ロックレバー91は、カートリッジ装着部7の前板81、天板83、及び、底板84に対して係止位置と解除位置との間で移動可能となっている。また、ロックレバー91は、装着向きにおける後端にストッパ91aを有する。
飛び出し防止部材94は、ロックレバー91とは別部材であり、一端がロックレバー91に接続されたL字状をし、その屈曲部から操作部94aが突出しており、ロックレバー91に設けられた軸95を中心として回動可能となっている。ねじりコイルバネ96は、軸95周りに配置され、その一端がロックレバー91のストッパ91aに接続され、他端が飛び出し防止部材94に接続されている。
飛び出し防止部材94は、ロックレバー91に対する相対位置として、ねじりコイルバネ96の付勢力により図4の反時計回り方向に回動し、ロックレバー91のストッパ91aから離れた退避位置に留まっている。飛び出し防止部材94が外部から操作されていないときには、ロックレバー91は係止位置にあり、飛び出し防止部材94は退避位置にあって、飛び出し防止部材94はストッパ83aに接触している。また、飛び出し防止部材94は、操作部94aが外部から操作されることにより、ねじりコイルバネ96の付勢力に抗して図4の時計周り方向に回動し、ストッパ91aと接触する規制可能位置に位置可能となっている。つまり、飛び出し防止部材94は、ロックレバー91に対して規制可能位置と退避位置との間で移動可能となっている。
少なくともロックレバー91が解除位置にあるときに、飛び出し防止部材94は規制可能位置において、装着向きまたは脱着向きから見てカートリッジ装着部7内の装着位置に配置されたインクカートリッジ5と重なり、また、退避位置において、装着向きまたは脱着向きから見てカートリッジ装着部7内の装着位置に配置されたインクカートリッジ5と重ならない。なお、本実施形態においては、ロックレバー71の位置によらず、規制可能位置にあれば、飛び出し防止部材94は装着向きまたは脱着向きから見てカートリッジ装着部7内の装着位置に配置されたインクカートリッジ5と重なる。すなわち、ロックレバー91が係止位置にあるときも、規制可能位置にあれば、飛び出し防止部材94は装着向きまたは脱着向きから見てカートリッジ装着部7内の装着位置に配置されたインクカートリッジ5と重なる。また、ロックレバー91が係止位置にあり、飛び出し防止部材94が退避位置にあるとき、装着向きまたは脱着向きから見てカートリッジ装着部7内の装着位置に配置されたインクカートリッジ5と重ならない。
ロックレバー91が係止位置にあり、飛び出し防止部材94が退避位置にあるとき、ロックレバー91を解除位置から係止位置に向けて付勢しているバネ92の付勢力は、飛び出し防止部材94を規制可能位置から退避位置に付勢しているねじりコイルばね96の付勢力より大きい。すなわち、飛び出し防止部材94の操作部94aが押し下げられると、飛び出し防止部材94が退避位置から規制可能位置へ移動した後、ロックレバー91が飛び出し防止部材94とともに移動して、係止位置から解除位置に移動するように、バネ92の付勢力とねじりコイルばね96の付勢力が調節されている。
次に、このホルダ10のカートリッジ装着部7にインクカートリッジ5が装着される際の一連の作用について、図5及び図6を参照して説明する。
まず、図6(a)に示すように、ユーザがインクカートリッジ5をカートリッジ装着部7の開口からカートリッジ収容室80内へ挿入する。このとき、図6(a)に示すように、ユーザによって飛び出し防止部材94の操作部94aは下方に押圧されていないため、飛び出し防止部材94は退避位置に位置し、且つ、ロックレバー91は係止位置に位置する。したがって、カートリッジ装着部7にインクカートリッジ5を装着する際に、ロック機構90が装着を妨げることはない。インクカートリッジ5は、カートリッジ装着部7の底板84に支持されながら、装着向きに沿ってカートリッジ装着部7へ装着される。インクカートリッジ5の装着に伴い、ロックレバー91の装着向きにおける前端は、インクカートリッジ5の上面30aを摺動し、突起39を乗り越える。このとき、ロックレバー91は図6(a)の時計回り方向に(係止位置から上方)回動するが、飛び出し防止部材94は、退避位置に退避しているので、装着の妨げとなることがない。
そして、インクカートリッジ5が装着位置に到達すると、図5(a)及び図6(b)に示すように、ロックレバー91の装着向きにおける前端がインクカートリッジ5の突起39の側面39aに接触し、ロックレバー91によりインクカートリッジ5が係止される。このときも、ユーザによって飛び出し防止部材94の操作部94aは下方に押圧されていないため、飛び出し防止部材94は退避位置に位置し、且つ、ロックレバー91は係止位置に位置する。また、ロックレバー91がバネ92により付勢されていることで、より確実にインクカートリッジ5をカートリッジ装着部7に係止することができる。
また、これと同時に、ニードル70がインク導出部32の弁体53に接触するとともに、ロッド71が大気導入部33の弁体63の凸部63aに接触する。そして、弁体53,63がニードル70及びロッド71に押圧され、バネ54,64が縮み、カートリッジ装着部7のインク導出路82とバルブ機構収容室52が連通するとともに、大気導入孔36が開放される。その結果、大気導入孔36からインク貯留室31内にエアが導入されて、インク貯留室31内のインクがインク導出孔37から、カートリッジ装着部7のインク導出路82へ導出されることになる。
さらに、カートリッジ本体30から延在する突起38が、光センサ65の発光部65aと受光部65bの間に挿入される。すると、光センサ65の発光部65aからの光は、突起38によって遮断されることとなり受光部65bでは受光されない。一方、カートリッジ装着部7へインクカートリッジ5が未装着の場合には、光センサ65の発光部65aからの光は受光部65bで受光される。つまり、光センサ65は、発光部65aからの光を受光部65bが受光するか否かによって、インクカートリッジ5が装着されたか否かを検出する。
加えて、カートリッジ本体30に設けられた被検知部34が、光センサ66の発光部66aと受光部66bの間に挿入される。ここで、インク貯留室31内にインクが十分にある場合には、被検知部34に収容された遮光板40cは、被検知部34の底面に当接する下限位置にあり、このとき、発光部66aからの光は、遮光板40cによって遮断されることになり受光部66bで受光されない。一方、インク貯留室31内のインク残量が少ない場合には、遮光板40cは被検知部34の天井面に当接する上限位置にあり、このときには、発光部66aからの光は遮光板40cによって遮断されずに受光部66bで受光される。つまり、光センサ66は、発光部66aからの光を受光部66bが受光するか否かによって、インク貯留室31内のインク残量が少なく、インクカートリッジ5の交換時期が迫っているニアエンプティの状態と定義される所定量よりもインク貯留室31内のインク残量が多いか少ないかを検出する。
次に、ホルダ10のカートリッジ装着部7に装着されたインクカートリッジ5が脱着される際の一連の作用について、図5及び図7を参照して説明する。ここでは、ニアエンプティ状態のインクカートリッジ5が脱着される場合を想定している。
まず、ユーザが飛び出し防止部材94の操作部94aを下方に押圧する。ユーザが飛び出し防止部材94の操作部94aを下方に押圧している途中においては、図5(b)及び図7(a)に示すように、バネ92の付勢力がねじりコイルバネ96の付勢力よりも大きくなっているため、ロックレバー91は係止位置のままで、飛び出し防止部材94がロックレバー91のストッパ91aに接触するまで移動する、すなわち、飛び出し防止部材94が規制可能位置に移動する。このとき、飛び出し防止部材94は、装着向きまたは脱着向きから見てカートリッジ装着部7内の装着位置に配置されたインクカートリッジ5と重なっているので、インクカートリッジ5の係止が解除されてインクカートリッジ5がいつ脱着向きへ移動してきても、飛び出し防止部材94は移動するインクカートリッジ5に接触可能であり、飛び出しを規制することができる。
そして、操作部94aがさらに下方に押圧されると、図5(c)及び図7(b)に示すように、飛び出し防止部材94がロックレバー91のストッパ91aに接触しているので、飛び出し防止部材94とともに連動してロックレバー91が移動する。すると、インクカートリッジ5の突起39の側面39aに接触していたロックレバー91の装着向きにおける前端は上方に移動する。すなわち、ロックレバー91が解除位置に移動し、ロックレバー91によるインクカートリッジ5の係止が解除され、バネ54,64が伸びようとする付勢力によりインクカートリッジ5は脱着向きに移動する。そして、移動するインクカートリッジ5は、飛び出し防止部材94に接触して、移動を停止する。したがって、インクカートリッジ5がカートリッジ装着部7から飛び出すのを確実に防止することができる。
なお、ロックレバー91が係止位置にあり、飛び出し防止部材94が規制可能位置にあるときは、飛び出し防止部材94は、必ずしも装着向きまたは脱着向きから見てカートリッジ装着部7内の装着位置に配置されたインクカートリッジ5と重なっていなくてもよく、ロックレバー91が解除位置にあり、飛び出し防止部材94が規制可能位置にあるときに、飛び出し防止部材94が、装着向きまたは脱着向きから見てカートリッジ装着部7内の装着位置に配置されたインクカートリッジ5と重なっていればよい。この場合、ロックレバー91によるインクカートリッジ5の係止が解除されたときには、飛び出し防止部材94が、装着向きまたは脱着向きから見てカートリッジ装着部7内の装着位置に配置されたインクカートリッジ5と重なるので、脱着向きに移動するインクカートリッジ5が飛び出し防止部材94に接触して、移動を停止する。
そして、インクカートリッジ5の移動が停止した後、ユーザが操作部94aの押圧を止めると、飛び出し防止部材94はねじりバネ96の復元力により退避位置に戻る。これにより、ユーザは、飛び出し防止部材94に妨げられることなくインクカートリッジ5を引き出すことができる。
このように、飛び出し防止部材94の操作部94aが押圧されるという一操作で、飛び出し防止部材94とともにロックレバー91も連動して移動し、インクカートリッジ5のロックを解除するとともに、カートリッジ装着部7からの飛び出しを確実に防止することができる。
また、飛び出し防止部材94とロックレバー91とは別部材であることで、飛び出し防止部材94がロックレバー91と一体的に形成され、飛び出し防止部材94とロックレバー91との連結部の弾性力により規制可能位置から退避位置に付勢されている場合に比べて、飛び出し防止部材94の退避位置と規制可能位置の距離を大きくすることができる。すなわち、飛び出し防止部材94がロックレバー91と一体的に形成されている場合には、飛び出し防止部材94の退避位置と規制可能位置の距離を大きくしすぎると、飛び出し防止部材94が何度も退避位置と規制可能位置との間を移動することにより飛び出し防止部材94とロックレバー91との連結部が疲労して破断してしまう恐れがある。よって、飛び出し防止部材94の退避位置と規制可能位置の距離が小さくしなければならないが、そうすると、飛び出し防止部材94が退避位置から多少規制可能位置に近い位置に位置するだけで、インクカートリッジの装着の妨げになってしまう可能性がある。本実施形態においては、飛び出し防止部材94の退避位置と規制可能位置の距離を大きくすることができるので、インクカートリッジ5がカートリッジ装着部7に装着されるときに、飛び出し防止部材94を確実に退避させ、また、インクカートリッジ5がカートリッジ装着部7から脱着されるときに、飛び出し防止部材94をより確実に規制可能位置に位置させることができる。
さらに、バネ92の付勢力をねじりバネ96の付勢力よりも大きくすることにより、操作部94aが押圧されたときに、ロックレバー91が係止位置から解除位置に移動する前に、飛び出し防止部材94を退避位置から規制可能位置へ移動させることができる。
また、飛び出し防止部材94は、ロックレバー91が係止位置にあるときに、規制可能位置であれば、水平方向から見て装着位置に配置されたインクカートリッジに重なる(図5(b)参照)。したがって、より確実にカートリッジ装着部7からの飛び出しを防止することができる。例えば、ロックレバー91のインクカートリッジ5との接触部が摩耗して、ロックレバー91が係止位置であるにもかかわらずインクカートリッジ5が飛び出すような場合においても、インクカートリッジ5の飛び出しを防止することができる。
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。但し、本実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
本実施形態においては、ロックレバー91と飛び出し防止部材94は別部材により形成されていたが、図8(c)に示されているように、射出成型などで一体的に形成されてもよい。このとき、ロックレバー91を解除位置から係止位置に向かって付勢する付勢手段は、上述したバネ92であり、飛び出し防止部材94を規制可能位置から退避位置に向かって付勢する付勢手段は、飛び出し防止部材94のロックレバー91との連結部の弾性力により実現可能である。これにより、飛び出し防止部材94を規制可能位置から退避位置に付勢するバネなどの付勢部材が必要なく、コストを低減することができる。このとき、バネ92の付勢力を飛び出し防止部材94のロックレバー91との連結部の弾性力よりも大きくすることにより、操作部94aが押圧されたときに、ロックレバー91が係止位置から解除位置に移動する前に、飛び出し防止部材94を退避位置から規制可能位置へ移動させることができる。
また、本実施形態においては、ロックレバー91を解除位置から係止位置に向かって付勢する付勢部材は、バネ92であったが、バネ92に限らず、いかなる部材であってもよい。例えば、ロックレバー91の装着向きにおける前端に重りを設けるなど、ロックレバー91の軸93よりも装着向きにおける前の部分が後ろの部分に比べて重くなっていればよい。
また、飛び出し防止部材94を規制可能位置から退避位置に向かって付勢するねじりバネ96と同様に、軸93周りにねじりバネを設けて、ロックレバー91を解除位置から係止位置に向かって付勢してもよい。さらに、天板83にロックレバー91の軸93よりも装着向きにおける前の部分を下方に押圧するコイル状のバネを設けて、ロックレバー91を解除位置から係止位置に向かって付勢してもよい。
また、本実施形態においては、飛び出し防止部材94を規制可能位置から退避位置に向かって付勢する付勢部材は、ねじりバネ96であったが、ねじりバネ96に限らず、いかなる部材であってもよい。例えば、飛び出し防止部材94の装着向きにおける前端に重りを設けるなど、飛び出し防止部材94の軸95よりも装着向きにおける前の部分が後ろの部分に比べて重くなっていればよい。
また、ロックレバー91を解除位置から係止位置に向かって付勢するバネ92と同様に、ロックレバー91に飛び出し防止部材94の装着向きにおける軸95よりも後ろの部分を上方に付勢するバネを設けて、飛び出し防止部材94を解除位置から係止位置に向かって付勢してもよい。
さらに、本実施形態においては、ロックレバー91を回動させる軸93と飛び出し防止部材94を回動させる軸95は異なる位置に形成されていたが、同軸であってもよい。
また、スットパ83aは必ずしも必要ない。この場合、バネ92がロックレバー91を引っ張り切った位置において、ロックレバー91が係止位置にあるようにすればよい。
また、本実施形態においては、ロックレバー91と飛び出し防止部材94は、軸95を介して接続されていたが、飛び出し防止部材94の操作部94aを押圧するという一操作で、飛び出し防止部材94の移動にともない、ロックレバー91も移動可能であれば、両者は接続されていなくてもよい。例えば、図9(a)に示すように、ロック機構190は、互いに接続されていないロックレバー191と飛び出し防止部材194を有する。ロックレバー191は、バネ192により装着位置に配置されたインクカートリッジ5の突起39に接触不可能な解除位置から接触可能な係止位置に向かって引っ張られることによって付勢されている。飛び出し防止部材194は、飛び出し防止部材94がロックレバー91に設けられた軸95を中心に回動可能であったのに対して、天板83に設けられた軸195を中心に回動可能となっており、その他の構成については飛び出し防止部材94と同様である。
この構成においては、図8(b)に示すように、操作部94aが下方に押圧されると、ロックレバー191は係止位置のままで、飛び出し防止部材194が、装着向きまたは脱摘向きからみて装着位置に配置されたインクカートリッジ5と重なる規制可能位置に移動する。その後、飛び出し防止部材194とともにロックレバー191が移動し、ロックレバー191によるインクカートリッジ5の係止が解除され、インクカートリッジ5は脱着向きへ移動する。そして、移動するインクカートリッジ5は、飛び出し防止部材194に接触して、移動を停止する。したがって、インクカートリッジ5がカートリッジ装着部7から飛び出すのを確実に防止することができる。
さらに、カートリッジ装着部7に装着されたインクカートリッジ5を脱着向きへ付勢する付勢部材は、インクカートリッジ5ではなく、カートリッジ装着部7に設けられてもよい。例えば、上記の実施形態においては、インクカートリッジ5に設けられた大気導入部33のバネ64やインク導出部32のバネ54が付勢部材に相当するが、カートリッジ装着部7にバネが設けられて、本発明における付勢部材としてもよい。このバネは、インクカートリッジ5によって押圧されることで、インクカートリッジ5が装着されたことを検知するようなバネであってもよいし、図10に示すように、インクカートリッジ5を押し出してユーザがインクカートリッジ5を取り出し易くするためのバネ100であってもよい。
加えて、飛び出し防止部材94が規制可能位置と退避位置との間で移動可能であれば、飛び出し防止部材94の操作部94aを操作する動作は、押圧する動作に限らず、引っ張る動作であってもよい。この操作部94aは飛び出し防止部材94を押圧や引っ張りなどにより操作可能であれば、飛び出し防止部材94に設けられてなくてもよい。
以上説明した実施形態は、記録用紙Pにインクを噴射して画像などを形成するインクジェットプリンタのインクジェットヘッドにインクを供給するインク供給装置に本発明を適用した一例であるが、本発明の適用対象はこのようなインク供給装置には限られず、様々な技術分野で用いられる下流側の装置に対して液体を供給する液体供給装置に適用することが可能である。