JP5278004B2 - 弾性表面波素子および圧電デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、弾性表面波素子および圧電デバイスに関するものである。
弾性表面波素子は、電気信号を表面波に変換して信号処理を行う回路素子であり、フィルタ、共振子などとして幅広く用いられている。このような弾性表面波素子としては、水晶等の圧電性のある圧電体基板上に、IDT電極(櫛歯電極)を設けた構成のものが知られている(例えば特許文献1)。
特許文献1に記載の弾性表面波素子は、水晶基板上にIDT電極および一対の反射器が設けられた構成である。このような弾性表面波素子では、従来から、弾性表面波素子の機械的強度を十分に確保するために、水晶基板を厚くすることが行われている。また、IDT電極および反射器は、例えば、蒸着により水晶基板上に導電性膜(アルミニウム等の金属材料からなる薄膜)を形成し、当該導電性膜をエッチングにより所定パターンとすることにより形成する方法が用いられている。
このような弾性表面波素子では、圧電体基板が厚いため、圧電体基板がその面方向に反り(撓み)難く、その結果、金属膜(IDT電極および反射器)の収縮により発生する応力が緩和されずに弾性表面波素子内(圧電体基板とIDTの境界部付近)に残ってしまう。このように、弾性表面波素子内に応力が残っている状態の弾性表面波素子では、弾性表面波素子の温度変化(駆動による発熱)によって弾性表面波素子に残る応力が大きく変化するため、温度変化により共振周波数が大きく変化したり、エージング特性が悪化したり(周波数特性の経時変化が大きくなったり)、リフロー特性が悪化するという欠点を有している。
特開2005−136938号公報
本発明の目的は、エージング特性およびリフロー特性が優れる弾性表面波素子およびそれを備える圧電デバイスを提供することにある。
本発明の弾性表面波素子は、圧電性を有する圧電体材料で構成された圧電体基板と、
前記圧電体基板の一方の面上に設けられ、前記圧電体基板に弾性表面波を励振させるための櫛歯電極と
前記圧電体基板の前記一方の面上に、前記櫛歯電極を介して対向するように設けられた一対の反射器と、を有し、
前記圧電体基板の厚さは、60μm〜200μmであり、
前記圧電体基板は、前記櫛歯電極の構成材料の収縮力により生じる応力により、前記櫛歯電極が設けられた面側に凹むように反っており、
前記圧電体基板の平面視にて、前記圧電体基板に対する前記櫛歯電極および前記一対の反射器の面積占有率は、20〜40%であることを特徴とする。
これにより、エージング特性およびリフロー特性の優れる弾性表面波素子を提供することができる。また、櫛歯電極を構成する構成材料の収縮力により発生する応力を圧電体基板の機械的強度に対して適度なものとすることができる。
本発明の弾性表面波素子は、圧電性を有する圧電体材料で構成された圧電体基板と、
前記圧電体基板の一方の面上に設けられ、前記圧電体基板に弾性表面波を励振させるための櫛歯電極と、
前記圧電体基板の他方の面側に設けられ、前記圧電体基板を固定する固定基板と、を有し、
前記圧電体基板は、長手形状をなし、該圧電体基板の平面視にて、長手方向の一端部であって前記櫛歯電極と重ならない位置で前記固定基板に接着剤を介して固定され、長手方向の他端部が自由端となり、かつ、前記櫛歯電極の構成材料の収縮力により生じる応力により、前記櫛歯電極が設けられた面側に凹むように反っており、
前記圧電体基板の厚さは、60μm〜200μmであることを特徴とする。
これにより、エージング特性およびリフロー特性の優れる弾性表面波素子を提供することができる。また、接着剤が収縮しても、櫛歯電極が変位しないため、所望の周波数特性を発揮することができる。また、圧電体基板に応力が残存することを抑制することができるため、エージング特性およびリフロー特性がより優れたものとなる。
本発明の弾性表面波素子では、前記櫛歯電極は、前記圧電体基板の中央部よりも、前記自由端側へずれて設けられていることが好ましい。
これにより、圧電体基板の固定基板に固定される領域を容易に確保することができる。
本発明の弾性表面波素子では、前記圧電体基板の固定端における前記圧電体基板と前記固定基板との離間距離は、前記圧電体基板の自由端における前記圧電体基板と前記固定基板との離間距離よりも短いことが好ましい。
これにより、固定基板と圧電体基板(特に自由端側)との接触を防止することができる。
本発明の弾性表面波素子では、前記圧電体基板の固定端における前記圧電体基板と前記固定基板との離間距離は、前記圧電体基板の中央部における前記圧電体基板と前記固定基板との離間距離よりも短いことが好ましい。
これにより、接着剤の濡れ広がりを防止することができる。
本発明の弾性表面波素子では、前記圧電体材料は、水晶を主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、周波数特性を向上させることができる。
本発明の弾性表面波素子では、前記櫛歯電極の平均厚さは、0.3μm〜0.8μmであることが好ましい。
これにより、櫛歯電極を構成する構成材料の収縮力により発生する応力を圧電体基板の機械的強度に対して適度なものとすることができる。
発明の圧電デバイスは、本発明の弾性表面波素子を備えることを特徴とする。
これにより、エージング特性およびリフロー特性の優れる圧電デバイスを提供することができる。
本発明の弾性表面波素子を備えた圧電デバイス(本発明の圧電デバイス)の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の弾性表面波素子を示す斜視図である。 図2中のA−A線断面図およびB−B線断面図である。 図1に示す圧電デバイスが備えるパッケージの上面図および下面図である。 図1に示す圧電デバイスをモールドした状態を示す断面図である。 リフロー工程を示す図である。 共振周波数のリフロー変化量を示すグラフである。 共振周波数のヒートサイクル変化量を示すグラフである。 共振周波数のエージング変化量を示すグラフである。
以下、本発明の弾性表面波素子およびそれを備える圧電デバイス(本発明の圧電デバイス)を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の弾性表面波素子を備えた圧電デバイス(本発明の圧電デバイス)の好適な実施形態を示す断面図、図2は、本発明の弾性表面波素子を示す斜視図、図3は、図2中のA−A線断面図およびB−B線断面図、図4は、図1に示す圧電デバイスが備えるパッケージの上面図および下面図、図5は、図1に示す圧電デバイスをモールドした状態を示す断面図である。なお、図1〜図5中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
図1に示す圧電デバイス1は、弾性表面波素子2と、複数のスペーサ51を介して弾性表面波素子2を実装(固定・支持)する実装基板4と、弾性表面波素子2と実装基板4の間に位置するように実装基板4に設けられた電子部品6とを有している。以下、これらについて、順次、詳細に説明する。
まず、弾性表面波素子2について説明する。
図2に示すように、弾性表面波素子2は、長手形状をなす圧電体基板21と、圧電体基板21の上面に設けられたIDT(櫛歯電極)22と、IDT22の両側に配置された一対の反射器23a、23bと、圧電体基板21を収容するパッケージ3とを有している。
圧電体基板21は、長手形状をなしている。圧電体基板21は、例えば、SH波型弾性表面波やレイリー波型弾性表面波を励起することのできる基板である。このような圧電体基板21は、水晶で構成されている。圧電体基板21を水晶で構成することにより、弾性表面波素子2は、優れた周波数特性を発揮することができる。なお、圧電体基板21は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、四硼酸リチウム等の水晶以外の結晶性圧電材料で構成されていてもよい。
圧電体基板21のカット角については、特に限定されず、圧電デバイス1(弾性表面波素子2)の用途、所望の特性等に基づいて、適宜選択することができる。圧電体基板21のカット角としては、例えば、SH波型弾性表面波を用いる(励起する)場合は、オイラー角表示で(0°、38°、90°)や(0°、121°、90°)が挙げられ、レイリー波型弾性表面波を用いる場合は、(0°、121°、0°)や(0°、121°、43°)などが挙げられる。
圧電体基板21の厚さは、60μm〜200μm程度であり、60μm〜100μmであるのが好ましい。圧電体基板21の厚さを上記の数値範囲とすることにより、圧電体基板21の厚さが十分に薄くなり、後述するように、IDT22および反射器23a、23bの構成材料の収縮力により発生する応力(以下単に「応力」とも言う)によって、圧電体基板21がその上面側に凹むように反る(撓む)。これにより、圧電体基板21(特に、IDT22が形成されている領域。以下同様。)に応力がほとんど残存せず、圧電デバイス1は、エージング特性およびリフロー特性の優れたものとなる。
IDT22は、圧電体基板21の中央部付近に設けられている。このようなIDT22は、一対の電極22a、22bで構成されている。電極22a、22bは、互いの電極指221a、221bが噛み合うように配置されている。電極22a、22b間に電圧を印加すると、圧電体基板21の圧電効果によって、電極指221a、221b間に周期的なひずみが生じ、弾性表面波が励起される。励起した弾性表面波は、電極指221a、221bの連続方向(すなわち、圧電体基板21の長手方向)に沿って伝搬する。
一対の反射器23a、23bは、前述した弾性表面波の伝搬方向(圧電体基板21の長手方向)において、IDT22を挟んでその両側に配置されている。このような反射器23a、23bは、圧電体基板21に伝搬する弾性表面波を反射して、反射器23aと反射器23bとの間に封じ込める機能を有する。
IDT22および反射器23a、23bは、全体的に、圧電体基板21の一端側(図2中右端側)にずれて形成されている。そして、圧電体基板21の他端側(図2中左端側)には、一対の引出電極24a、24bが形成されている。引出電極24a、24bは、それぞれ、電極22a、22bと電気的に接続されている。
IDT22(電極22a、22b)の平均厚さ、反射器23a、23bの平均厚さは、それぞれ、特に限定されないが、0.3μm〜0.8μm程度であるのが好ましく、0.5μm〜0.7μm程度であるのがより好ましい。このような数値範囲とすることにより、圧電体基板21に加わる応力が過度に大きくなるのを防止することができる(すなわち、圧電体基板21に加わる応力を圧電体基板21の機械的強度に対して適度なものとすることができる)。そのため、圧電体基板21が過剰に反ることなく、圧電デバイス1は、エージング特性およびリフロー特性の優れたものとなる。
また、圧電体基板21の平面視にて、圧電体基板21の上面の面積をS1とし、IDT22の面積(電極22a、22bの面積の総和)をS2とし、反射器23a、23bの面積の総和をS3としたとき、(S2+S3)が、0.2S1〜0.4S2程度であることが好ましい。すなわち、圧電体基板21の上面に対するIDT22および反射器23a、23bの面積占有率が、20%〜40%程度であることが好ましい。これにより、圧電体基板21に加わる応力が過度に大きくなるのを防止することができる。そのため、圧電体基板21が過剰に反ることなく、圧電デバイス1は、エージング特性およびリフロー特性の優れたものとなる。
このようなIDT22、反射器23a、23bおよび引出電極24a、24bは、それぞれ、導電性の優れるアルミニウムを主材料として構成されている。アルミニウムを主材料としたアルミニウム合金を用いる場合、アルミニウムに添加する金属の含有割合は、重量比で10%以下であればよい。
なお、IDT22、反射器23a、23bおよび引出電極24a、24bの構成材料としては、導電性を有していれば特に限定されず、アルミニウムの他にも、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、金、白金、銀、銅、マンガン、マグネシウム等の各種金属、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金等を用いることができる。
このようなIDT22、反射器23a、23bおよび引出電極24a、24bは、例えば、次のようにして形成することができる。すなわち、まず、圧電体基板21の一方の面に、スパッタリングによりアルミニウム膜を形成する。次いで、アルミニウム膜上に、IDT22(電極22a、22b)、反射器23a、23bおよび引出電極24a、24bに対応するパターンのマスクを形成する。そして、ドライエッチングにより不要なアルミニウム膜を除去することにより、IDT22、反射器23a、23bおよび引出電極24a、24bを形成することができる。
上述のような製法等によりIDT22、反射器23a、23bおよび引出電極24a、24bを形成すると、圧電体基板21には、アルミニウム(アルミニウム膜)が収縮することにより発生する応力が加わる。上述したように圧電体基板21の厚さが薄いため、このような応力が加わると、図2および図3に示すように、圧電体基板21が上面側(IDT22、反射器23a、23bおよび引出電極24a、24bが形成された面側)に凹むようにして反る(撓む)。圧電体基板21がこのようにして反る(撓む)ことにより、前記応力が緩和され、圧電体基板21には応力がほとんど残留していない状態となる。このように、圧電体基板21が応力を緩和するように上面側に凹むようにして反ることにより、エージング特性およびリフロー特性を優れたものとすることができる。これは、次のような理由であると考えられる。
従来の弾性表面波素子では、圧電体基板の厚さが厚い(一般的には300μm程度)。そのため、IDTや反射器を形成する際に、これらの構成材料の収縮力により発生する応力によっては、圧電体基板が撓まず(撓むことが出来ず)、圧電体基板に応力が残留している状態であった。このような圧電体基板に残留する応力は、弾性表面波素子の駆動の際に発生する熱により前記構成材料の収縮力が変化するのに伴って変化する。すなわち、このような弾性表面波素子においては、駆動中に圧電体基板に残留する応力が大きく変化し、この応力の変化がエージング特性に悪影響を及ぼしていると考えられる。また、後述するようなリフロー中に加わる熱によっても、圧電体基板に残留する応力が大きく変化し、この応力の変化がリフロー特性に悪影響を及ぼしていると考えられる。
これに対して、本発明の弾性表面波素子では、圧電体基板が、IDTや反射器の構成材料の収縮力により生じる応力により、IDTが設けられた面側に凹むように反っている(言い換えれば、圧電体基板が、IDTや反射器の構成材料の収縮力により生じる応力により撓むことができる程度に薄く構成されている)。そのため、圧電体基板には、応力がほとんど残留していない状態となる。したがって、弾性表面波素子の駆動中に温度が変化しても、圧電体基板に残留する応力がほとんど変化せず、本発明の弾性表面波素子では、エージング特性が優れたものとなる。また、リフロー中に加わる熱によっても、圧電体基板に残留する応力がほとんど変化せず、本発明の弾性表面波素子では、リフロー特性が優れたものとなる。
次いで、圧電体基板21を収容・固定するパッケージ3について説明する。
図1に示すように、パッケージ3は、板状のベース基板(固定基板)31と、枠状の枠部材32と、板状の蓋部材33とを有している。ベース基板31と、枠部材32と、蓋部材33とは、実装基板4側からこの順で積層されており、ベース基板31と枠部材32および枠部材32と蓋部材33は、それぞれ、例えばシーム溶接により接合されている。そして、パッケージ3は、ベース基板31、枠部材32および蓋部材33で画成された内部空間Sに圧電体基板21を収容している。
このようなベース基板31の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
また、枠部材32および蓋部材33の構成材料としては、例えば、ベース基板31と同様の構成材料、Al、Cu等の各種金属材料、各種ガラス材料などを用いることができる。特に、蓋部材33の構成材料として、ガラス材料等の光透過性を有するものを用いた場合には次のような効果を発揮することができる。すなわち、まず、圧電体基板21に、予め金属被覆部(図示せず)を形成しておく。これにより、弾性表面波素子2をパッケージ3内に収容した後であっても、蓋部材33を介して前記金属被覆部にレーザを照射し、前記金属被覆部を除去して圧電体基板21の質量を減少させることにより(質量削減方式により)、弾性表面波素子2の周波数調整を行うことができる。
図1および図2に示すように、ベース基板31の上面には、エポキシ系、ポリイミド系等の接着剤39が塗布されて(盛られて)おり、この接着剤39上に、前述した圧電体基板21の引出電極24a、24bが形成された側の端部が載置されている。そして、接着剤39を硬化することにより、圧電体基板21をベース基板31に固定している。
すなわち、圧電体基板21の一端(引出電極24a、24bが形成されている側の端)が固定端となり、他端が自由端となる。このように、一方の端を自由端とすることにより、圧電体基板21の前述したような反りが阻害されず、圧電体基板21に応力が残ることを防止することができる。また、例えば、枠部材32および蓋部材33をシーム溶接により接合する場合には、これら部材が高温下にさらされることによりパッケージ3が全体的に撓む場合があるが、本実施形態のように圧電体基板21を片持ち支持していれば、パッケージ3の撓みが圧電体基板21に伝わることがないため、圧電体基板21の不本意な反りを防止することができる。
また、このように固定すると、圧電体基板21の平面視にて、IDT22が形成された領域と重ならない位置で、圧電体基板21を接着剤39を介してパッケージ3に固定することができる。これにより、接着剤39が収縮(例えば乾燥時の収縮)してもIDT22aが変位せず、圧電デバイス1は、所望の周波数特性を発揮することができる。
特に、本実施形態では、IDT22および反射器23a、23bが、圧電体基板21の自由端側にずれて形成されているため、圧電体基板21をベース基板31に固定するための領域(すなわち、接着剤39を接触させる領域)を大きく確保することができる。そのため、より確実に、IDT22が形成された領域と重ならない位置で、圧電体基板21を接着剤39を介してベース基板31に固定することができる。
また、圧電体基板21がベース基板31に固定された状態において、圧電体基板21の固定端とベース基板31との離間距離L1は、圧電体基板21の自由端とベース基板31との離間距離L2よりも短いのが好ましい。これにより、圧電体基板21がベース基板31に接触することを防止することができる。その結果、弾性表面波素子2は、所望の周波数特性を発揮することができる。
また、圧電体基板21がベース基板31に固定された状態において、圧電体基板21の固定端とベース基板31との離間距離L1は、圧電体基板21の中央部(最も凹んでいる部位)とベース基板31との離間距離L3よりも短いのが好ましい。これにより、圧電体基板21とベース基板31との離間距離が固定端から自由端に向けて漸増するため、接着剤39により圧電体基板21をベース基板31に固定する際、接着剤39が圧電体基板21の自由端側に濡れ広がることを防止できる。これにより、圧電体基板21とベース基板31とを所定の位置でかつ所定の高さで接着することができる。
ベース基板31の上面には、一対の内部端子34a、34bが内部空間Sに露出するように形成されている。図4(a)に示すように、内部端子34a、34bは、それぞれ、ワイヤボンディング等により、引出電極24a、24bと電気的に接続されている。
図4(b)に示すように、ベース基板31の下面には、その四隅に位置するように4つの外部端子35a、35b、35c、35dが設けられている。また、外部端子35a〜35dは、それぞれ、実装基板4上に設けられた後述する4つの接続端子41に対向するように位置している。
これら4つの外部端子35a〜35dのうち、外部端子35a、35bは、それぞれ、ベース基板31に形成されたビアホールを介して内部端子34a、34bに電気的に接続されたホット端子である。他の2つの外部端子35c、35dは、それぞれ、例えばパッケージ3を実装基板4に実装するときの接合強度(スペーサ51とパッケージ3の接合強度)を高めるためのダミー端子である。
このような内部端子34a、34bおよび外部端子35a〜35dは、それぞれ、例えば、タングステンおよびニッケルメッキの下地層に、金メッキを施すことで形成することができる。
以上、弾性表面波素子2について説明した。このような弾性表面波素子2を備えることにより、圧電デバイス1は、SAW共振子やSAW発振器等のSAWデバイスを構成することができる。
次いで、上記のような弾性表面波素子2を実装(固定する)する実装基板4について説明する。実装基板4は、その平面視にて、略長方形状をなしており、前述したパッケージ3のベース基板31よりも若干大きく形成されている。
このような実装基板4は、リジッド基板、フレキシブル基板あるいはリジッドフレキシブル基板のいずれでもよい。また、実装基板4の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
また、図1に示すように、実装基板4の上面(パッケージ3側の面)には、4つの接続端子41と、配線パターン42とが形成されている。4つの接続端子41は、それぞれ、パッケージ3の外部端子35a〜35dと対向するように、実装基板4の角部付近に形成されている。また、これら4つの接続端子41のうち、外部端子(ホット端子)35a、35bに対応する接続端子41は、それぞれ、配線パターン42と電気的に接続されている。
一方、実装基板4の下面には、例えば、圧電デバイス1を実装する回路基板(図示しない)と電気的、機械的に接続される実装端子43が複数形成されている。各実装端子43は、実装基板4に形成されたビアホールを介して配線パターン42と電気的に接続されている。
なお、実装基板4の下面には、必要に応じて、後述するIC6の特性検査や、IC内部の各種情報(例えば、圧電デバイスの温度補償情報)を書き換え(調整)を行うための書込端子を形成してもよい。
このような実装基板4の上面の中央部には、電子部品6が搭載されている。電子部品6は、弾性表面波素子2を駆動するための回路素子としての例えば集積回路素子(以下、単に「IC」とも言う)である。図1に示すように、このようなIC6は、絶縁性(非導電性)の接着剤や、接着シート等の接着部材44により実装基板4に搭載されており、さらに、ワイヤボンディング(金属ワイヤ45)により、配線パターン42と電気的に接続されている。これにより、各端子(接続端子41および実装端子43)とIC6とが、配線パターン42を介して電気的に接続される。
このような実装基板4は、その上面側にて、4つのスペーサ51を介してパッケージ3を固定している。これらスペーサ51は、実装基板4とパッケージ3との間に、IC6等を搭載するための隙間を形成する機能を有している。これにより、パッケージ3とIC6とを圧電デバイス1の高さ方向に重ねる(積層する)ことができるため、圧電デバイス1の小型化を図ることができる。
4つのスペーサ51は、パッケージ3の外部端子35aとこれに対応する接続端子41との間、外部端子35bとこれに対応する接続端子41との間、外部端子35cとこれに対応する接続端子41との間および外部端子35dとこれに対応する接続端子41との間に設けられている。このようなスペーサ51は、半田(ろう材)により、外部端子35a〜35dおよび接続端子41に接合されている。
ここで、少なくとも外部電極(ホット電極)35a、35bに対応するスペーサ51は、それぞれ、導電性を有しているのが好ましい。これにより、外部端子35aとこれに対応する接続端子41とを、これらの間に設けられたスペーサ51を介して電気的に接続し、また、外部端子35bとこれに対応する接続端子41とを、これらの間に設けられたスペーサ51を介して電気的に接続することができる。これにより、圧電デバイス1の部品点数の削減を図ることができ、製造の簡易化、低コスト化および小型化を図ることができる。
このようなスペーサ51の構成としては、特に限定されず、例えば、Au、Ag、Cu、Al等の導電性を有する各種金属材料を主材料として構成してもよいし、また、各種樹脂材料、セラミックスで構成された非導電性の基体の表面に、メッキ等の導電性膜を形成することにより構成してもよい。また、銅で構成されたボールの表面に半田がコーティングされた半田ボールを用いてもよい。また、スペーサ51は、導電性を有していなくてもよい。この場合には、ワイヤボンディング等により、外部端子35aとこれに対応する接続端子41(外部端子35bとこれに対応する接続端子41)とを電気的に接続することができる。
以上、圧電デバイス1について説明したが、図5に示すように、このような圧電デバイス1に流動性のある樹脂で構成されたモールド材8を流し込み、パッケージ3の蓋部材33の上面および実装基板4の下面がそれぞれ外部に露出するように、圧電デバイス1全体をモールド材8で覆ってもよい。
以上、本発明の圧電デバイスを図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
1.圧電デバイスの作成
(実施例1)
まず、オイラー角が(0°、127°、0°)の水晶基板(圧電体基板)を用意した。水晶基板のサイズは、(縦×横×厚さ)が、(0.8mm×2.7mm×60μm)であった。この水晶基板の一方の面に、スパッタリングにより平均厚さ0.6μm(6000Å)のアルミニウム膜を形成した。次いで、このアルミニウム膜を所定パターンにエッチングして、一対のIDT、一対の反射器および引出電極を一体的に形成した。水晶基板の面に対するIDTおよび反射器の面積占有率は33%であった。また、IDT対数は、100対であり、反射器本数は、各反射器当たり100本であり、交差幅は40λ(λは弾性表面波の波長である。)であった。
このようにして得られた部材をパッケージに収容し弾性表面波素子を得た。そして、この弾性表面波素子を図1に示すような圧電デバイスに組み込むことにより、圧電デバイスを得た。
(実施例2)
水晶基板の厚さを100μmとした以外は、実施例1と同様にして圧電デバイスを得た。
(実施例3)
水晶基板の厚さを200μmとした以外は、実施例1と同様にして圧電デバイスを得た。
(比較例1)
水晶基板の厚さを300μmとした以外は、実施例1と同様にして圧電デバイスを得た。
2.各種測定
上述のようにして得られた実施例1〜3および比較例1の圧電デバイスについて、共振周波数のリフロー変化量、共振周波数のヒートサイクル変化量、共振周波数のエージング変化量をそれぞれ以下の方法により測定した。
(2−1)共振周波数のリフロー変化量
各実施例1〜3および比較例1について、それぞれ、所定リフロー前後での共振周波数の変化を測定した。なお、リフローは、図6に示すグラフに従って2回行った。この結果を図7に示す。
(2−2)共振周波数のヒートサイクル変化量
各実施例1〜3および比較例1について、それぞれ、所定ヒートサイクル前後での共振周波数の変化を測定した。なお、ヒートサイクルは、−55℃(30分)、125℃(30分)を1サイクルとし、これを1000サイクル行った。この結果を図8に示す。
(2−3)共振周波数のエージング変化量
各実施形態1〜3および比較例1について、それぞれ、125℃で2000時間連続して駆動させた前後の共振周波数の変化を測定した。この結果を図9に示す。
3.評価
図7に示すように、各実施例1〜3は、比較例1に対して共振周波数のリフロー変化量が小さかった。また、図8に示すように、各実施例1〜3は、比較例1に対して共振周波数のヒートサイクル変化量が小さかった。また、図9に示すように、各実施例1〜3は、比較例1に対して共振周波数のエージング変化量が小さかった。
1……圧電デバイス 2……弾性表面波素子 21……圧電体基板 22……IDT 22a、22b……電極 221a、221b……電極指 23a、23b……反射器 24a、24b……引出電極 3……パッケージ 31……ベース基板 32……枠部材 33……蓋部材 34a、34b……内部端子 35a〜35d……外部端子 39……接着剤 4……実装基板 41……接続端子 42……配線パターン 43……実装端子 44……接着部材 45……金属ワイヤ 51……スペーサ 6……電子部品(IC) 8……モールド材 L1、L2、L3……離間距離 S……内部空間

Claims (8)

  1. 圧電性を有する圧電体材料で構成された圧電体基板と、
    前記圧電体基板の一方の面上に設けられ、前記圧電体基板に弾性表面波を励振させるための櫛歯電極と
    前記圧電体基板の前記一方の面上に、前記櫛歯電極を介して対向するように設けられた一対の反射器と、を有し、
    前記圧電体基板の厚さは、60μm〜200μmであり、
    前記圧電体基板は、前記櫛歯電極の構成材料の収縮力により生じる応力により、前記櫛歯電極が設けられた面側に凹むように反っており、
    前記圧電体基板の平面視にて、前記圧電体基板に対する前記櫛歯電極および前記一対の反射器の面積占有率は、20〜40%であることを特徴とする弾性表面波素子。
  2. 圧電性を有する圧電体材料で構成された圧電体基板と、
    前記圧電体基板の一方の面上に設けられ、前記圧電体基板に弾性表面波を励振させるための櫛歯電極と
    前記圧電体基板の他方の面側に設けられ、前記圧電体基板を固定する固定基板と、を有し、
    前記圧電体基板は、長手形状をなし、該圧電体基板の平面視にて、長手方向の一端部であって前記櫛歯電極と重ならない位置で前記固定基板に接着剤を介して固定され、長手方向の他端部が自由端となり、かつ、前記櫛歯電極の構成材料の収縮力により生じる応力により、前記櫛歯電極が設けられた面側に凹むように反っており、
    前記圧電体基板の厚さは、60μm〜200μmであることを特徴とする弾性表面波素子。
  3. 前記櫛歯電極は、前記圧電体基板の中央部よりも、前記自由端側へずれて設けられている請求項に記載の弾性表面波素子。
  4. 前記圧電体基板の固定端における前記圧電体基板と前記固定基板との離間距離は、前記圧電体基板の自由端における前記圧電体基板と前記固定基板との離間距離よりも短い請求項2または3に記載の弾性表面波素子。
  5. 前記圧電体基板の固定端における前記圧電体基板と前記固定基板との離間距離は、前記圧電体基板の中央部における前記圧電体基板と前記固定基板との離間距離よりも短い請求項2ないし4のいずれかに記載の弾性表面波素子。
  6. 前記圧電体材料は、水晶を主材料として構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の弾性表面波素子。
  7. 前記櫛歯電極の平均厚さは、0.3μm〜0.8μmである請求項に記載の弾性表面波素子。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の弾性表面波素子を備えることを特徴とする圧電デバイス。
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