JP5276314B2 - 接着剤組成物および接着フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、接着剤組成物および接着フィルムに関するものである。さらに詳しくは、半導体ウェハー等の半導体製品や光学系製品等を研削等の加工をする工程において、当該半導体製品にシートや保護基板を一時的に固定するための接着剤組成物および接着フィルムに関するものである。
近年、携帯電話、デジタルAV機器及びICカード等の高機能化にともない、搭載される半導体シリコンチップ(以下、チップ)の小型化、薄型化及び高集積化への要求が高まっている。たとえば、CSP(chip size package)及びMCP(multi-chip package)に代表されるような複数のチップをワンパッケージ化する集積回路についてもその薄型化が求められている。その中において、一つの半導体パッケージの中に複数の半導体チップを搭載するシステム・イン・パッケージ(SiP)は、搭載されるチップを小型化、薄型化及び高集積化し、電子機器を高性能化、小型化かつ軽量化を実現する上で非常に重要な技術となっている。
薄型商品へのニーズに応えるためには、チップを150μm以下にまで薄くする必要がある。さらに、CSP及びMCPにおいては100μm以下、ICカードにおいては50μm以下にチップを薄化加工する必要がある。
従来、SiP製品には、積層したチップごとのバンプ(電極)と回路基板とを、ワイヤ・ボンディング技術により配線する手法が用いられている。また、このような薄型化や高集積化への要求に応えるためには、ワイヤ・ボンディング技術ではなく、貫通電極を形成したチップを積層し、チップの裏面にバンプを形成する貫通電極技術も必要となる。
薄型のチップは、たとえば、高純度シリコン単結晶等をスライスしてウェハーとした後、ウェハー表面にIC等の所定の回路パターンをエッチング形成して集積回路を組み込み、得られた半導体ウェハーの裏面を研削機により研削して、所定の厚さに研削後の半導体ウェハーをダイシングしてチップ化することにより製造されている。このとき、上記所定の厚さは、100〜600μm程度である。さらに、貫通電極を形成する場合は、厚さ50〜100μm程度にまで研削している。
半導体チップの製造では、半導体ウェハー自体が肉薄で脆く、また回路パターンには凹凸があるので、研削工程やダイシング工程への搬送時に外力が加わると破損しやすい。また、研削工程においては、生じた研磨屑を除去したり、研磨時に発生した熱を除去するために精製水を用いて半導体ウェハー裏面を洗浄したりしながら研削処理している。このとき、洗浄に用いる上記精製水によって回路パターン面が汚染されることを防ぐ必要がある。
そこで、半導体ウェハーの回路パターン面を保護するとともに、半導体ウェハーの破損を防止するために、回路パターン面に加工用粘着フィルムを貼着した上で、研削作業が行われている。
また、ダイシング時には、半導体ウェハー裏面側に保護シートを貼り付けて、半導体ウェハーを接着固定した状態でダイシングし、得られたチップをフィルム基材側からニードルで突き上げてピックアップし、ダイパッド上に固定させている。
このような加工用粘着フィルムや保護シートとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の基材フィルムに接着剤組成物から形成した接着剤層が設けられたものが知られている(たとえば特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
また、加工用粘着フィルムや保護シートの代わりに窒化アルミニウム−窒化硼素気孔焼結体にラダー型シリコーンオリゴマーを含浸せしめた保護基板を用い、この保護基板と半導体ウェハーとを熱可塑性フィルムを用いて接着する構成も開示されている(特許文献4)。また保護基板として半導体ウェハーと実質的に同一の熱膨張率のアルミナ、窒化アルミニウム、窒化硼素、炭化珪素等の材料を用い、また保護基板と半導体ウェハーとを接着する接着剤としてポリイミド等の熱可塑性樹脂を用い、この接着剤の適用法として、10〜100μmの厚さのフィルムとする構成と、接着剤組成物をスピンコートし、乾燥させて20μm以下のフィルムにする方法が提案されている(特許文献5)。
また、半導体素子の多層配線化に伴って、回路が形成された半導体ウェハーの表面に接着剤組成物を用いて保護基板を接着し、半導体ウェハーの裏面を研磨し、その後、研磨面をエッチングして鏡面にし、この鏡面に裏面側回路を形成するプロセスが実施されている。この場合、裏面側回路が形成されるまでは、保護基板は接着したままになっている(特許文献6)。
特開2003−173993号公報(平成15年6月20日公開) 特開2001−279208号公報(平成13年10月10日公開) 特開2003−292931号公報(平成15年10月15日公開) 特開2002−203821号公報(平成14年7月19日公開) 特開2001−77304号公報(平成13年3月23日公開) 特開昭61−158145号公報(昭和61年7月17日公開)
しかし、従来の上記加工用粘着フィルム等は、貫通電極の形成のように、高温プロセス及び高真空プロセスを必要とする工程に用いるには、高温環境下における接着強度の不足や、高真空環境下におけるガスの発生等による接着不良の問題や、上記高温プロセス後における剥離時に、残渣物が残存するなどの剥離不良という問題点を有している。
たとえば、貫通電極の形成では、半導体チップにバンプを形成した後、半導体チップ間を接続するとき、200℃程度まで加熱して、さらに高真空状態にするプロセスを要する。しかし、上記特許文献1及び上記特許文献2にかかる保護テープの接着剤層を構成する接着剤組成物は、200℃もの高温に対する耐性が無い。また、加熱により上記接着剤層にガスが発生するため接着不良となる。
また、薄型の半導体ウェハーは、研削やダイシングの後、上記保護基板から剥離することが必要となる。しかし、上記特許文献3に開示される保護テープの接着剤層を構成する接着剤組成物は、エポキシ樹脂組成物であり、200℃もの高温ではエポキシ樹脂が変質して、硬化するため、剥離時に残渣物が残り、剥離不良が生じるという問題点を有する。
さらに、上記特許文献4や上記特許文献5にかかる保護基板と半導体ウェハーとの接着に用いられる熱可塑性フィルムでは、吸湿した水分に由来するガスを生じるため、接着不良の問題が生じる。上記特許文献6にかかる半導体基板の加工方法では、エッチング液による鏡面化プロセスや真空蒸着による金属膜形成が行われるため、保護基板と半導体ウェハーとを接着するための接着剤組成物には、耐熱性、剥離性が要求される。しかし、上記特許文献6には、接着剤組成物の組成について全く開示がなされていない。
本発明者らの調査では、半導体ウェハーやチップの加工において、アクリル系樹脂材料を用いた接着剤が、クラック耐性が良好であることから、好ましいとされている。しかし、このようなアクリル系樹脂材料を用いた接着剤において、貫通電極などの形成のために、約200℃に加熱した場合、耐熱性が低いため接着剤組成物が変質し、剥離液に不溶な物質が形成されるなど、剥離不良を生じることがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温環境下、特に200℃以上の環境下に曝された(加熱された)接着剤であっても、良好な剥離性(溶解性)を有する接着剤を得ることができる接着剤組成物および高温の環境下に曝された後であっても容易に剥離することができる接着フィルムを提供することにある。
本発明の第1の態様にかかる接着剤組成物は、互いに質量平均分子量が異なる2種類の樹脂から少なくともなり、質量平均分子量がより大きく、接着性を備えている接着性樹脂と、質量平均分子量がより小さい低分子量樹脂と、を含むことを特徴とする。
本発明の第2の態様にかかる接着剤組成物は、接着性樹脂と、該接着性樹脂の質量平均分子量より分子量が小さく、かつ、分解温度が200℃以上である低分子量体とを含むことを特徴とする。
本発明にかかる接着フィルムは、フィルム上に、本発明にかかる接着剤組成物を含有する接着剤層を備えることを特徴とする。
本発明の第1態様にかかる接着剤組成物は、互いに質量平均分子量が異なる2種類の樹脂から少なくともなり、質量平均分子量がより大きく、接着性を備えている接着性樹脂と、質量平均分子量がより小さい低分子量樹脂と、を含む。低分子量樹脂は、接着性樹脂と比べて、接着性樹脂を溶解する溶剤に対する溶解速度が大きい。そのため、本発明にかかる接着剤組成物を用いることにより、接着性と溶解性との双方を兼ね備えた接着剤を形成し得る接着剤組成物を提供することができる。
本発明の第2態様にかかる接着剤組成物は、接着性樹脂と、該接着性樹脂の質量平均分子量より分子量が小さく、かつ、分解温度が200℃以上である低分子量体を含む。そのため、接着剤組成物を用いて形成された接着剤中には、高温の熱処理、特に、200℃以上の温度処理を経た後であっても、接着剤中に低分子量体が残存していることになる。そのため、接着剤を溶解する際に、低分子量体が残存していない接着剤と比べて、溶解速度を大きくすることができる。これにより、接着性と溶解性の双方を兼ね備えた接着剤を形成し得る接着剤組成物を形成することができる。
また、本発明にかかる接着フィルムは、上記接着剤を備えている。そのため、接着性と溶解性との双方を兼ね備えた接着剤層を有する接着フィルムを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
〔接着剤組成物〕
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態にかかる接着剤組成物は、互いに質量平均分子量が異なる2種類の樹脂から少なくともなり、質量平均分子量がより大きく、接着性を備えている接着性樹脂と、質量平均分子量がより小さい低分子量樹脂と、を含むことを特徴とする。
本実施形態にかかる接着剤組成物において、接着性組成物を溶解する溶剤に対する接着性樹脂全体の溶解速度よりも、前記溶剤に対する前記低分子量樹脂の溶解速度の方が大きいことが好ましい。
本実施形態にかかる接着剤組成物において、前記低分子量樹脂が接着性を備えていることが好ましい。
本実施形態にかかる接着剤組成物において、前記接着性樹脂および前記低分子量樹脂が、同種の樹脂であることが好ましい。
本実施形態にかかる接着剤組成物において、前記接着剤組成物の全質量に対する前記低分子量樹脂の割合は、5質量%以上、50質量%以下であることが好ましい。さらに、本実施形態にかかる接着剤組成物において、前記低分子量樹脂は、テルペンフェノール系樹脂およびポリエステル系樹脂の少なくとも一方であることが好ましい。
なお、本実施の形態では、スチレンおよび(メタ)アクリル酸エステルを共重合して得られる樹脂(以下、「アクリル系樹脂」と称することもある)が接着性樹脂として含まれている接着剤組成物を一例として説明する。このスチレンおよび(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を主成分とする接着剤組成物は、基板(半導体ウェハー)とサポートプレートを貼り合わせる際の接着剤として好適に用いることができる。
本実施形態にかかる接着剤組成物は、接着性樹脂と低分子量樹脂と、を含む。本実施形態にかかる接着剤組成物は、薄化される基板と、この基板を支持するサポートプレートとを貼り合せるための接着剤の形成に特に好適である。
(接着性樹脂)
接着性樹脂としては、接着性を有する限り特に制限はない。接着性を有する樹脂の中でも、高温の処理に対する耐熱性を有する接着性樹脂であることが好ましい。なお、「耐熱性を有する」とは、高温の熱処理を経た後であっても、接着強度が低下しない樹脂のことをいう。接着性樹脂としては、たとえば、少なくともスチレンおよび(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体組成物を重合してなる樹脂を挙げることができる。以下に、この接着性樹脂の詳細を説明する。
(単量体組成物)
単量体組成物は、スチレンと、(メタ)アクリル酸エステルとを含む。また、単量体組成物中にはさらに、エチレン性二重結合を有するカルボン酸、二官能性モノマーなどを含むことがより好ましい。以下に各モノマーの詳細を説明する。
(スチレン)
本実施の形態にかかる接着剤組成物は、上記単量体組成物に、スチレンを含む。上記スチレンは、200℃以上の高温環境下においても変質することが無いため、上記接着剤組成物の耐熱性が向上する。
上記スチレンの混合量は、上記単量体組成物に含まれる他の化合物と共重合反応が進む限り、限定されるものではない。しかし、上記単量体組成物の総量を100質量部としたとき、上記スチレンの混合量が1質量部以上、80質量部以下であることが好ましく、10質量部以上、60質量部以下であることがさらに好ましい。1質量部以上であれば、耐熱性をさらに向上させることが可能であり、80質量部以下であれば、クラック耐性の低下を抑制することができる。
((メタ)アクリル酸エステル)
上記単量体組成物は、さらに、(メタ)アクリル酸エステルを含んでいてもよい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルを例示することができる。
(a)環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル
本発明にかかる接着剤組成物は、上記単量体組成物に、環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む。これにより、上記接着剤組成物の耐熱性が向上する。
上記(メタ)アクリル酸エステルの混合量は、上記単量体組成物に含まれる他の化合物と共重合反応が進む限り、限定されるものではない。しかし、単量体組成物の総量を100質量部としたとき、上記(メタ)アクリル酸エステルの混合量が5質量部以上、60質量部以下であることが好ましく、10質量部以上、40質量部以下がさらに好ましい。5質量部以上であれば、耐熱性をさらに向上させることが可能であり、60質量部以下であれば、良好な剥離性を得ることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸におけるカルボキシル基の水素原子が、環式基又は環式基を有する有機基に置換された構造を有する。また上記環式基を有する有機基としては、特に限定されるものではないが、水素原子の一つが環式基に置換された、アルキル基が好ましい。
上記環式基は、たとえば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンから1個以上の水素原子を除いた芳香族性の単環式基及び多環式基であってもよく、脂肪族環式基であってもよい。上記環式基は、さらに、後述する置換基を有していてもよい。
なお、上記環式基の基本の環となる環状構造は、炭素原子及び水素原子のみからなることに限定されず、酸素原子や窒素原子を含んでもよいが、炭素原子及び水素原子のみからなる炭化水素基であることがより好ましい。また上記炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよいが、飽和であることがより好ましい。さらに、脂肪族多環式基であることがより好ましい。
また、上記脂肪族環式基の具体例としては、たとえば、モノシクロアルカン、ジシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。さらに具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。中でも、シクロヘキサン、シクロペンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。また、上記シクロヘキサン及びシクロペンタンは、さらに後述する置換基を有していてもよい。
上記置換基としては、たとえば、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、酸素原子(=O)等の極性基や、炭素数1〜4の直鎖または分岐状の低級アルキル基が挙げられる。上記環式基が、さらに置換基を有する場合、上記極性基、上記低級アルキル基、又は上記極性基及び上記低級アルキル基の両方を有することが好ましい。上記極性基としては、特に酸素原子(=O)が好ましい。
上記水素原子の一つが環式基に置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、炭素数が1〜12のアルキル基であることが好ましい。
このような環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記アルキロール基としては、炭素数1〜4のアルキロール基が好ましい。このような環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシプロピルアクリレートが挙げられる。
ここで、本明細書において「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。たとえば「脂肪族環式基」とは、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
また、上記(メタ)アクリル酸エステルは、環式構造上に置換基を備える環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルと、環式構造上に置換基を有さない環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとを含む(メタ)アクリル酸エステルを用いてもよい。
環式構造上に置換基を備える環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルと、環式構造上に置換基を有さない環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとを同時に含むことによって、耐熱性及び柔軟性を向上させることができる。
(b)鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル
上記単量体組成物は、(メタ)アクリル酸エステルとして、鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことができる。これにより、当該接着剤組成物から得られる接着剤層の柔軟性、クラック耐性が向上する。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合量は、上記単量体組成物に含まれる他の化合物と共重合反応が進む限り、限定されるものではないが、上記単量体組成物の総量を100質量部としたとき、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合量が10質量部以上、60質量部以下であることが好ましい。10質量部以上であれば、得られる接着剤層の柔軟性及びクラック耐性をさらに向上させることが可能であり、60質量部以下であれば、耐熱性の低下、剥離不良及び吸湿性を抑制することができる。
本明細書において、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、炭素数15〜20のアルキル基を有するアクリル系長鎖アルキルエステル及び炭素数1〜14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステルを意味する。
上記アクリル系長鎖アルキルエステルとしては、アルキル基がn−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等からアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。なお、当該アルキル基は、分岐状であってもよい。
上記炭素数1〜14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステルとしては、既存のアクリル系接着剤に用いられている公知のアクリル系アルキルエステルが挙げられる。たとえば、当該アルキル基が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基等からなるアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。
(エチレン性二重結合を有するカルボン酸)
上記単量体組成物は、さらにエチレン性二重結合を有するカルボン酸を含む。本実施形態において、このエチレン性二重結合を有するカルボン酸は、上述した水素結合を形成し得る置換基を含む構成単位を形成するモノマーに相当する。
上記エチレン性二重結合を有するカルボン酸を含むことにより得られる上記接着剤組成物は、高温、特に200℃以上の環境下における接着強度、及び耐熱性が向上し、さらに、高温プロセスを経た後においても、容易に剥離することができる。
これは、上記接着剤組成物中に上記カルボン酸由来のヒドロキシル基(極性基)が増えることにより、上記接着剤組成物と当該接着剤組成物が塗布される被接着面との界面における上記接着剤組成物の極性が向上するためであり、さらに、高温環境下における上記接着剤組成物中の分子鎖同士の解離が抑制されるためである。
上記カルボン酸は、エチレン性二重結合を有し、他の単量体成分と共重合可能である限り、限定されるものではないが、下記一般式(1)
Figure 0005276314
(Rは、(メタ)アクリロイル基またはビニル基を有する、炭素数2〜20の有機基を表し、酸素原子を含んでもよい。mは1〜3の整数を表す。)
で示されるカルボン酸であることが好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸又は下記一般式(2)
Figure 0005276314
(Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜5の2価のアルキル基、又は、環式構造を有する炭素数4〜20の2価の有機基を表し、酸素原子を含んでもよい。)
で示されるカルボン酸である。上記一般式(2)で示されるカルボン酸としては具体的には、Rがシクロヘキサン、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子を2個除いた基を有するものが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、より好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらのカルボン酸と、上記単量体組成物における他の成分との共重合は、好適に進み、さらに共重合後により得られるポリマーの構造が安定となる。よって、分子鎖同士の解離を防ぐことができるため、耐熱性、高温環境下における接着強度が向上する。
上記カルボン酸の混合量は、接着強度等の目的とする接着剤組成物の性質に応じて適宜設定すればよいが、上記単量体組成物の総量を100質量部としたとき、1〜10質量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜5質量部である。1質量部以上であれば、得られる接着剤組成物の耐熱性、高温環境下における接着強度を、さらに向上させることができる。また、10質量部以下であれば、接着剤組成物の吸湿性を抑制し、ゲル化を防ぐことができる、上記接着剤組成物が有するカルボキシル基の量を少なくすることによって、耐アルカリ性も向上する。
(二官能性モノマー)
上記単量体組成物は、さらに二官能性モノマーを含む。二官能性モノマーを含むことにより、得られる接着剤組成物では、その構成分子が、当該二官能性モノマーを介して架橋される。架橋することによって、三次元構造をとり、当該接着剤組成物の質量平均分子量が大きくなる。一般に接着剤の技術分野において、構成する分子の質量平均分子量が大きくなると、接着剤組成物の内部エネルギーが向上することが知られている。そして、高温環境下における接着強度の高低は、この内部エネルギーも一つの要因となっていることが知られている。また、接着剤組成物の質量平均分子量が大きくなると、見かけのガラス転移点も上昇し、これにより接着強度が向上する。つまり、上記単量体組成物が、さらに二官能性モノマーを含むことによって、接着剤組成物の質量平均分子量が大きくなり、高温環境下における接着強度が向上する。
さらに、上記単量体組成物が、二官能性モノマーを含むことで、高温環境下における上記接着剤組成物中の分子鎖同士の解離が抑制される。これにより、高温時における接着強度が向上し、また、高温プロセスを経た後においても、容易に剥離することができる。さらに、上述したカルボン酸を用いる量を若干減らしても、耐熱性を向上させる等の効果を得ることができるため、上記接着剤組成物の耐アルカリ性を向上させることができる。
従って、上記単量体組成物が、二官能性モノマーを含むことで、接着剤組成物の、耐熱性、及び高温環境下(特に200℃以上)における接着強度、高温プロセス後の剥離の容易性を、向上させることができる。
本明細書において二官能性モノマーとは、官能基を二つ備えた化合物をいう。即ち、上記二官能性モノマーは、官能基を二つ備えた化合物であれば、限定されるものではないが、下記一般式(3)
Figure 0005276314
(Rは、炭素数2〜20の2価のアルキル基、又は、環式構造を有する炭素数6〜20の2価の有機基を表し、酸素原子を含んでもよい。X及びXは、それぞれ独立して、(メタ)アクリロイル基、ビニル基を表す。)
で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの二官能性モノマーであることが好ましい。上記一般式(3)で示される化合物としては、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールアクリレート、ナフタレンジアクリレート、及び下記式(4)
Figure 0005276314
(R及びRは、それぞれ独立して、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを表し、n及びsは、それぞれ独立して0〜4の整数である)
で示される化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールアクリレート、ナフタレンジアクリレート、及び上記式(4)からなる群から選ばれる少なくとも一つの二官能性モノマーであることが、さらに好ましい。これらの二官能性モノマーは、その他の単量体組成物の成分と架橋しやすく、その架橋構造も安定である。よって、高温環境下における接着強度及び耐熱性が、さらに向上した接着剤組成物を得ることができるからである。
上記二官能性モノマーの量は、接着強度等の目的とする接着剤組成物の性質に応じて適宜設定すればよいが、上記単量体組成物の総量を100質量部としたとき、0.01質量部以上、10質量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.01質量部以上、1質量部以下である。0.01質量部以上、10質量部以下であれば、得られる接着剤組成物の、高温環境下における接着強度及び耐熱性がさらに向上し、また吸湿性を抑制することができるため、接着剤組成物のゲル化を防止できる。
(スチレンブロックセグメント)
本実施の形態にかかる接着剤組成物の主成分であるポリマーが、スチレンに由来する構成単位を含む場合、該構成単位が、スチレンブロックセグメントを構成していてもよい。
スチレンブロックセグメントを有するポリマーを主成分とする接着剤組成物は、接着剤組成物と被接着物との界面におけるガスの発生を防ぐことができる。そのため、加熱時、真空時において、上記界面におけるガスの発生による接着剤組成物の剥離等を防ぎ、高温環境下における接着強度が向上した接着剤組成物を得ることができる。
また、高温環境下における上記接着剤組成物中の分子鎖同士の解離が抑制されるため、高温環境下における接着剤組成物の変質を防ぐことができる。よって、接着強度が向上し、高温プロセスを経た後においても、容易に剥離することができる。さらに、上述したカルボン酸を用いる量を若干減らしても、耐熱性を向上させる等の効果を得ることができるため、上記接着剤組成物の耐アルカリ性をさらに向上させることができる。
従って、耐熱性、高温環境下(特に200℃以上)における接着強度、高温プロセス後の剥離の容易性をさらに向上させることができる。
なお、本明細書でいう「スチレンブロックセグメント」とは、上記ポリマーにおいて、スチレンがブロック単位で共重合した部位をいう。ここで、重合を開始させた後にスチレンを添加すると、他の成分の共重合がほぼ終了しているため、当該スチレンのみのブロック体が形成される。よって、スチレンブロックセグメントは、他の単量体成分の重合を開始させた後に添加したスチレンのみが重合したブロック共重合体であるといえる。
(接着剤組成物における主成分以外の成分)
本実施の形態にかかる接着剤組成物には、他の添加成分としてジメチルアクリルアミドなどのアクリルアミドやアクリロイルモルホリンなどのモルホリンを配合してもよい。これらの配合により、耐熱性と接着性との同時改善が期待できる。
本実施の形態にかかる接着剤組成物には、本発明における本質的な特性を損なわない範囲で、さらに、混和性のある添加剤、たとえば接着剤の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、接着助剤、安定剤、着色剤、界面活性剤などの慣用されているものを添加することができる。
さらに接着剤組成物は、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、粘度調整のために有機溶剤を用いて希釈してもよい。上記有機溶剤としては、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサン等の環式エーテル類;及び乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。特に、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体が好ましい。
有機溶剤の使用量は、接着剤組成物を塗布する膜厚に応じて適宜設定されるものであり、接着剤組成物が半導体ウェハー等の支持体上に塗布可能な濃度であれば特に限定されるものではない。一般的には、接着剤組成物の固形分濃度が20〜70質量%、好ましくは25〜60質量%の範囲内となるように用いられる。
(共重合反応)
本実施の形態にかかる接着剤組成物は、上記単量体組成物を共重合反応させて製造すればよい。上記単量体組成物を共重合反応させる方法としては、特に限定されるものではなく、たとえば、既存の攪拌装置を用いて、上記単量体組成物を攪拌すればよい。
以下に、上記単量体組成物のうち、主成分以外の成分、すなわち、エチレン性二重結合を有するカルボン酸および二官能性モノマーの好ましい混合方法、並びに、上記ポリマーに、スチレンブロックセグメントを形成する方法について説明するが、これに限られるものではない。
(エチレン性二重結合を有するカルボン酸の混合)
エチレン性二重結合を有するカルボン酸を混合するタイミングは、当該カルボン酸と、当該カルボン酸以外の上記単量体組成物の成分とが、共重合反応可能であれば、限定されるものではない。
つまり、上記カルボン酸を、予め、共重合反応を開始させる前に、他の上記単量体組成物に混合しておいてもよく、他の成分の共重合反応を開始させた後、当該共重合反応が終了するまでに、上記カルボン酸を混合してもよい。中でも、予め、上記カルボン酸と、上記スチレンと、上記(メタ)アクリル酸エステルと、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを混合した上で共重合反応を開始させることが好ましい。予め上記カルボン酸を混合した単量体組成物を共重合反応させることで、上記カルボン酸が、他の成分とランダム共重合する。そのため、上記極性基が接着剤組成物中に均一に存在することとなり、上記界面における接着剤組成物の極性がさらに向上し、高温環境下における接着剤組成物中の分子鎖同士の解離がさらに抑制されるため、接着強度がさらに向上する。
なお、本明細書において、「共重合反応を開始させる」とは、上述した共重合反応を開始した後に混合する化合物以外の化合物を混合してなる上記単量体組成物において、共重合反応が始まる時点をいう。
実際に上記接着剤組成物の製造を実施する場合は、予め混合することを目的とする単量体組成物の成分の混合が、終了した時点を、上記「共重合反応を開始させる」時点としてもよい。また、共重合反応に攪拌機付き反応器を用いる場合は、予め混合することを目的とする成分の全種類の、それぞれ少なくとも一部を反応器に供した後に、攪拌を開始した時点としてもよく、所定の共重合反応の反応温度を設定する場合は、当該温度に対する加熱を開始した時点としてもよく、重合開始剤を用いる場合は、重合開始剤添加時とすればよい。
上記いずれの時点を「共重合反応の開始」としても、本発明の効果を得ることができるため、上記接着剤組成物の製造設備、条件等に応じて、適宜「共重合反応の開始」の時点を設定し、その後の工程等を制御すればよい。
また、本明細書において、「共重合反応を終了させる」とは、所望の共重合反応が達成された時点をいう。具体的には、上記攪拌を止める時点、又は、上記反応温度から冷却を開始させる時点として、上記接着剤組成物の製造を実施すればよい。
(二官能性モノマーの混合)
二官能性モノマーは、予め、共重合反応の開始前に、他の単量体組成物に混合することが最も好ましいが、これに限定されるものではない。たとえば、二官能性モノマーの一部又は全部を、他の単量体組成物の共重合反応開始後に混合しても、上述の接着剤組成物の質量平均分子量が大きくなる効果や、高温環境下における接着強度が向上する効果を、同様に得ることができる。
(スチレンブロックセグメントの形成)
スチレンブロックセグメントの形成は、本実施の形態にかかる接着剤組成物の製造に用いるスチレンの全部又は一部を、当該スチレンの残部と、上記(メタ)アクリル酸エステルと、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを混合して共重合反応を開始させた後、当該共重合反応を終了させる前に、一括して、又は複数回に分けて回分的に、共重合反応系、即ち共重合反応させている反応器等に混合することにより行なう。
スチレンブロックセグメントを形成するスチレンの量は、共重合反応を開始させた後に加えるスチレンの量で調整される。そして、その量は、目的とする接着強度、耐熱性等の接着剤組成物の性質に応じて適宜設定すればよいが、本実施の形態にかかる接着剤組成物の製造に用いるスチレンの全量を100質量部としたとき、5〜80質量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30質量部である。
さらに、上記共重合反応を開始させた後に加えるスチレンは、一括して、即ち当該スチレンの全量を一度に、加えることが好ましい。また、共重合反応に要する時間の内、半分の時間が経過するより前に加えることが好ましい。このようにすれば、スチレンが密集して共重合することで、スチレンブロックセグメントが上記接着剤組成物中に好適に形成される。
(共重合反応のその他の条件)
共重合反応における温度条件は、適宜設定すればよく、限定されるものではないが、60〜150℃であることが好ましく、さらに好ましくは70〜120℃である。
また、共重合反応においては、適宜、溶媒を用いてもよい。上記溶媒としては、上記有機溶剤を用いることができ、中でもプロピレングリコール・モノメチルエーテル・アセテート(以下、「PGMEA」と表記する)が好ましい。
また、本実施の形態にかかる共重合反応においては、適宜、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物;デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、適宜2種以上を混合して用いてもよい。また、重合開始剤の使用量は、単量体組成物の組合せや反応条件等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
上記単量体組成物によって形成される接着性樹脂は、質量平均分子量が、50,000以上、500,000以下であることが好ましく、60,000以上、400,000以下であることがさらに好ましく、80,000以上、240,000以下であることがより好ましく、80,000以上、150,000以下であることが最も好ましい。接着性樹脂の質量平均分子量が、50,000以上、500,000以下である場合には、良好な接着性を発揮することができる。
(低分子量樹脂)
本実施形態にかかる接着剤組成物は、低分子量樹脂を含む。本明細書において、低分子量樹脂とは、接着剤組成物中に含まれている、互いに質量平均分子量が異なる少なくとも2種の樹脂のうち、質量平均分子量がより小さいものである。低分子量樹脂は、接着性樹脂を溶解可能な溶剤に溶解し得る樹脂であり、上記接着性樹脂を溶解する溶剤に対する溶解速度が、上記接着性樹脂の溶解速度より大きい樹脂である。
低分子量樹脂は、接着性を有する樹脂であってもよいし、接着性を有しない樹脂であってもよい。中でも、低分子量樹脂が、上記接着性樹脂と同種の樹脂である場合には、低分子量樹脂と、接着性樹脂との相溶性が向上し、均質な接着剤組成物を得ることができる。
また、上述の接着性樹脂以外の接着性を有する低分子量樹脂としては、たとえば、ロジン系樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ケトン系樹脂、エラストマー系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。ロジン系樹脂としては、たとえば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)や、これらの未変性ロジンを重合、不均化、水添化などにより変性した変性ロジン(重合ロジン、安定化ロジン、不均化ロジン、完全水添ロジン、部分水添ロジンや、その他の化学的に修飾されたロジンなど)の他、各種のロジン誘導体などが挙げられる。前記ロジン誘導体としては、たとえば、ロジン類(未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体など)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール系樹脂; 未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物(未変性ロジンエステル)や、重合ロジン、安定化ロジン、不均化ロジン、完全水添ロジン、部分水添ロジンなどの変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物(重合ロジンエステル、安定化ロジンエステル、不均化ロジンエステル、完全水添ロジンエステル、部分水添ロジンエステルなど)などのロジンエステル系樹脂;未変性ロジンや変性ロジン(重合ロジン、安定化ロジン、不均化ロジン、完全水添ロジン、部分水添ロジンなど)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン系樹脂;ロジンエステル系樹脂を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル系樹脂;未変性ロジン、変性ロジン(重合ロジン、安定化ロジン、不均化ロジン、完全水添ロジン、部分水添ロジンなど)、不飽和脂肪酸変性ロジン系樹脂や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル系樹脂におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール系樹脂;未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体等のロジン系樹脂(特に、ロジンエステル系樹脂)の金属塩などが挙げられる。
石油系樹脂としては、たとえば、芳香族石油系樹脂、脂肪族石油系樹脂、脂環族石油系樹脂(脂肪族環状石油系樹脂)、脂肪族・芳香族石油系樹脂、脂肪族・脂環族石油系樹脂、水素添加石油系樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の公知の石油系樹脂などが挙げられる。
テルペン系樹脂としては、たとえば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などや、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性など)した変性テルペン系樹脂(たとえば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂など)などが挙げられる。
フェノール系樹脂としては、たとえば、各種フェノール類(たとえば、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなど)とホルムアルデヒドとの縮合物(たとえば、アルキルフェノール系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂など)、前記フェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒で付加反応させたレゾールや、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させて得られるノボラックなどが挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、例えばアジピン酸系ポリエステル、フタル酸系低分子量ポリエステル等が挙げられる。アジピン酸系ポリエステルとしては、株式会社ジェイ・プラス製のアジピン酸系ポリエステル(D623、D643、D663、D620、D620N、D623N、D6302、D640A、D645)、花王株式会社製のアジピン酸系ポリエステル(HA-5)等が挙げられ、フタル酸系低分子量ポリエステルとしては、株式会社ジェイ・プラス製のフタル酸系低分子量ポリエステル樹脂(D670、D671)等が挙げられる。
また、可塑剤の一種として使用されるエポキシ系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを低分子量樹脂として用いることもできる。
これらの中でも、テルペンフェノール系樹脂およびポリエステル系樹脂の少なくとも一方であることが本願発明の効果に優れる点で好ましい。
低分子量樹脂の質量平均分子量は、上記接着性樹脂の質量平均分子量と比べたときに、その差が、40,000以上であることが好ましい。低分子量樹脂の質量平均分子量と、接着性樹脂の質量平均分子量との差は、60,000以上、400,000以下であることがより好ましく、80,000以上、240,000以下であることがさらに好ましい。低分子量樹脂と接着性樹脂との質量平均分子量の差が40,000以上である場合には、本実施形態にかかる接着剤組成物を用いて形成された接着剤の溶解を良好に行なうことができる。
また、接着性樹脂と低分子量樹脂とが同種の樹脂である場合には、本実施形態にかかる接着剤組成物は、分子量分布のピークが少なくとも2つ以上ある樹脂を含むということができる。このとき、分子量分布において、低い位置に観測されるピークは低分子量樹脂に相当するピークであり、高い位置に観測されるピークが接着性樹脂に相当するピークとなる。
低分子量樹脂の質量平均分子量は、100以上、30,000以下であることが好ましく、100以上、20,000以下であることがより好ましく、100以上、10,000以下であることがさらに好ましい。
低分子量樹脂の含有量は、接着性樹脂の全質量に対して、5質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上、45質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上、40質量%以下であることがさらに好ましい。低分子量樹脂の含有量が、接着性樹脂の全質量に対して、5質量%以上、50質量%以下である場合、接着力の低下を起こすことなく、かつ、高温処理に曝された後であっても良好な溶解性(剥離性)が維持された接着剤を形成することができる。
第1の実施形態にかかる接着剤組成物は、接着剤組成物中に、接着性樹脂と比べて溶解速度の大きい低分子量樹脂を含むことにより、高温熱処理を曝された後であっても、良好な溶解性を維持することができる。そのため、本実施形態にかかる接着剤組成物によれば、接着性と溶解性との双方を兼ね備えた接着剤を形成し得る接着剤組成物を提供することができる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態にかかる接着剤組成物について説明する。本発明の第2の実施形態にかかる接着剤組成物は、接着性樹脂と、該接着性樹脂の質量平均分子量より分子量が小さく、かつ、分解温度が200℃以上である低分子量体とを含む。
(接着性樹脂)
接着性樹脂としては、第1の実施形態にて説明した接着性樹脂と同じ接着性樹脂を用いることができる。
(低分子量体)
本実施形態にかかる接着剤組成物に含まれる低分子量体は、接着性樹脂の質量平均分子量より小さい分子量を有し、かつ、分解温度が200℃以上である化合物である。低分子量体の分子量は、1,000以上、40,000以下であることが好ましく、10,000以上、40,000以下であることがより好ましい。
低分子量体としては、可塑剤を例示することができる。可塑剤としては、たとえば、フタル酸系可塑剤(たとえば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジトリイソデシル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸ブチルベンジルなど)や、トリメリット酸系可塑剤(たとえば、トリメリット酸トリオクチル、トリ−n−オクチルトリメリテートなど)、脂肪酸系可塑剤(たとえば、トリブチルシトレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、メチルアセチルリシレートなど)、リン酸系可塑剤(たとえば、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェートなど)を挙げることができる。
低分子量体の含有量は、接着性樹脂の全質量に対して、5質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上、45質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上、40質量%以下であることがさらに好ましい。低分子量体の含有量が、接着性樹脂の全質量に対して、5質量%以上、50質量%以下である場合、接着力の低下を起こすことなく、かつ、高温処理に曝された後であっても良好な溶解性(剥離性)が維持された接着剤を形成することができる。
第2の実施形態にかかる接着剤組成物によれば、接着性樹脂と特定の低分子量体とを含むことにより、接着剤が200℃以上の高温に曝される場合であっても、溶解性(剥離性)を有する接着剤を形成することができる。
また、第1および第2の実施形態にかかる接着剤組成物において、接着性樹脂として、上述したスチレンと(メタ)アクリル酸エステルとを含む単量体組成物からなる接着性樹脂を用いることにより、高温環境下、特に200℃以上の環境下における高い接着強度、高い耐熱性、及び耐アルカリ性を有し、さらに、高温及び/又は高真空環境下における加工プロセス等(以下、単に「高温プロセス」と表記する)を経た後でも半導体ウェハー及びチップ等からの剥離が容易な接着剤を得ることができる。
〔接着フィルム〕
以上述べてきた本発明に係る接着剤組成物は、用途に応じて様々な利用方法を用いることができる。たとえば、液状のまま、半導体ウェハー等の被加工体の上に塗布して接着剤層を形成する方法を用いてもよいし、本発明に係る接着フィルム、即ち、予め可撓性フィルム等のフィルム上に上記のいずれかの接着剤組成物を含む接着剤層を形成した後、乾燥させておき、このフィルム(接着フィルム)を、被加工体に貼り付けて使用する方法(接着フィルム法)を用いてもよい。
このように、本発明に係る接着フィルムは、フィルム上に、上記のいずれかの接着剤組成物を含有する接着剤層(接着剤)を備える。
そのため、上記単量体組成物が、さらに上記カルボン酸を含有することにより、上記接着剤層に極性基が導入される。よって、高い耐熱性、高温環境下における高い接着強度、及び耐アルカリ性を備え、高温プロセス後でも容易に剥離することができる接着フィルムを得ることができる。
上記接着フィルムは、上記接着剤層にさらに保護フィルムを被覆して用いてもよい。この場合、接着剤層上の保護フィルムを剥離し、被加工体の上に露出した接着剤層を重ねた後、接着剤層から上記フィルムを剥離することによって被加工体上に接着剤層を容易に設けることができる。
従って、上記接着フィルムを用いれば、被加工体の上に直接接着剤組成物を塗布して接着剤層を形成する場合と比較して、膜厚均一性及び表面平滑性の良好な層を形成することができる。
また、上記接着フィルムの製造に使用する上記フィルムとしては、フィルム上に製膜された接着剤層をフィルムから剥離することができ、接着剤層を保護基板やウェハー等の被処理面上に転写できる離型フィルムであれば限定されるものではない。たとえば、膜厚15〜125μmのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂フィルムからなる可撓性フィルムが挙げられる。上記フィルムは必要に応じて、転写が容易となるように離型処理されることが好ましい。
上記フィルム上に接着剤層を形成する方法としては、所望する接着剤層の膜厚や均一性に応じて適宜、公知の方法を用いればよく、限定されるものではないが、たとえば、アプリケーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター等を用いて、フィルム上に上記接着剤層の乾燥膜厚が10〜1000μmとなるように、本発明に係る接着剤組成物を塗布する方法が挙げられる。中でもロールコーターが膜厚の均一性に優れ、かつ厚さの厚い膜が効率よく形成できるため好ましい。
また、上記保護フィルムを用いる場合、上記保護フィルムとしては、上記接着剤層から剥離することができる限り限定されるものではないが、たとえばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが好ましい。また、上記各保護フィルムは、シリコンをコーティング又は焼き付けしてあることが好ましい。上記接着剤層からの剥離が容易となるからである。上記保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが15〜125μmが好ましい。保護フィルムを備えた上記接着フィルムの柔軟性を確保できるためである。
上記接着フィルムの使用方法は、特に限定されるものでは無いが、たとえば、保護フィルムを用いた場合は、これを剥離した上で、被加工体の上に露出した接着剤層を重ねて、フィルム上(接着剤層の形成された面の裏面)から加熱ローラを移動させることにより、接着剤層を被加工体の表面に熱圧着させる方法が挙げられる。このとき、接着フィルムから剥離した保護フィルムは、順次巻き取りローラ等でロール状に巻き取れば、保存し再利用することが可能である。
本実施形態の接着剤組成物は接着剤組成物として接着用途に用いられる限り、特に限定されるものではないが、半導体ウェハーの精密加工用保護基板を半導体ウェハー等の基板に接着するための接着剤組成物として好適に用いることができる。本発明の接着剤組成物は、特に、半導体ウェハー等の基板を研削して薄板化する際に、当該基板をサポートプレートに貼り付けるための接着剤組成物として、好適に用いることができる(たとえば、特開2005−191550号公報)。
〔剥離液〕
本実施形態にかかる接着剤組成物を取り除くための剥離液としては、通常用いられる剥離液を用いることができるが、特にPGMEAや酢酸エチル、メチルエチルケトンを主成分とする剥離液が環境負荷や剥離性の点で好ましい。
以下に、本発明にかかる接着剤組成物の実施例および比較例について説明する。本実施例および比較例では、まず、複数の樹脂を調製し、その後、これらの樹脂を適宜混合することにより、実施例にかかる樹脂を得た。
(樹脂の調製)
まず、本発明にかかる接着剤組成物を得るために必要な樹脂1〜4の調製を行った。樹脂1〜樹脂4のモノマーの組成と、得られた樹脂の質量平均分子量とを、表1に示す。なお、下記表1において、各モノマーの含有割合を示す数値は、スチレンおよび(メタ)アクリル酸エステルの合計量を100質量部としたときの、各モノマーの含有量(質量部)を示す数値である。
Figure 0005276314
<樹脂1の合成>
まず、還流冷却器、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた容量300mlの4つ口フラスコに、溶剤としてPGMEA111.6g、及び、モノマー単量体としてメタクリル酸メチル10g、スチレン60g、イソボルニルアクリレート30g、アクリル酸5gを仕込み、Nの吹き込みを開始した。攪拌をはじめることで重合を開始させ、攪拌しながら100℃まで昇温した後、PGMEA13.33g、及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(重合開始剤)1gからなる混合液を滴下ノズルより、4時間かけて連続的に滴下した。滴下速度は一定とした。
滴下終了後に得られた重合反応液を、そのまま1時間、100℃で熟成した後、PGMEA25.10g及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3gからなる混合液を1時間かけて滴下した。その後、重合反応液を、さらにそのまま1時間、100℃で熟成した後、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.0gを一括投入した。
次に、重合反応液を、そのまま3hr、100℃で熟成した後、溶剤の還流が認められるまで重合反応液を昇温した後、1時間熟成し、重合を終了させた。
樹脂2〜4の調製は、樹脂1の合成における重合開始剤をアゾビスイソブチロニトリルに変更し、かつ重合温度を120℃とし、滴下時間を適宜調整したこと以外は同様にして行った。
なお、上記接着剤組成物における単量体組成物のモノマー比は、表1のとおりである。
また、低分子量樹脂として、テルペン系フェノール樹脂、ポリエステル系樹脂を準備した。なお、本実施形態で準備したテルペン系フェノール樹脂の質量平均分子量は、1,000であり、ポリエステル系樹脂の質量平均分子量は、1,000である。
〔実施例1から5,比較例〕
実施例1から5および比較例に示す樹脂を用いた接着剤組成物を調製し、それぞれの樹脂の溶解速度を測定した。まず、溶解速度の測定方法について説明する。
(溶解速度の測定)
まず、シリコンウェハー上に溶解速度を測定したい樹脂からなる接着剤組成物を塗布して、110℃、150℃、200℃の順でそれぞれ3分間ずつ加熱処理を行ない、厚さ15μmの接着剤の膜を形成した。
次に、上記膜が形成されたシリコンウェハーを2cm角(縦2cm×横2cm)に加工したものを23℃の剥離用組成物(PGMEA)中に浸漬して、接着剤が溶解してシリコンウェハー上から無くなるまでの時間を計測した。なお、シリコンウェハー上の接着剤の有無は目視で確認した。
計測された時間を、当初形成した接着剤の膜厚である15μmで除して、溶解速度(nm/s)を算出した。
本実施例では、下記の表2に従った割合で樹脂1に対して、樹脂2から樹脂4およびテルペンフェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂をそれぞれ混合し、実施例1〜5にかかる接着剤組成物を得た。つまり、本実施例および比較例では、樹脂1が接着性樹脂であり、樹脂2から樹脂4およびテルペンフェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂が低分子量樹脂に相当し、可塑剤が低分子量体に相当している。中でも、低分子量樹脂のうち樹脂2から樹脂4は、接着性樹脂と同種の樹脂の場合の実施例である。
なお、表2に示す各樹脂の含有量を示す数値は、樹脂1の総量を10としたときの、低分子量樹脂(樹脂2から4、およびテルペンフェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂)および低分子量体の混合量を示す数値である。実施例1〜5により得られた接着剤組成物について、上記溶解速度の測定に従って溶解速度を測定した。得られた溶解速度を、表2に示す。
Figure 0005276314
上記表2から、本実施例にかかる接着剤組成物によれば、低分子量樹脂または低分子量体を含まない比較例に比べて、溶解速度が大きくなっていることが判る。これにより、本発明にかかる接着剤組成物によれば、高温の熱処理を施した後であっても、良好な溶解性を有する接着剤を形成できることが確認された。
本発明にかかる接着剤の処理方法は、高温環境下での使用が要求される接着剤に対して好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 基板をサポートプレートに一時的に固定するための接着剤組成物であって、
    互いに質量平均分子量が異なる2種類の樹脂から少なくともなり、質量平均分子量がより大きく、接着性を備えている接着性樹脂と、質量平均分子量がより小さい低分子量樹脂と、を含み、
    前記接着性樹脂は、スチレンおよび(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体組成物を重合してなる樹脂であり、
    前記低分子量樹脂は、スチレンおよび(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体組成物を重合してなる樹脂であり、
    前記接着性樹脂は、質量平均分子量が、50,000以上、500,000以下であり、
    前記接着性樹脂の質量平均分子量と、前記低分子量樹脂の質量平均分子量との差は、40,000以上であり、
    前記低分子量樹脂の含有量は、接着性樹脂の全質量に対して、5質量%以上、50質量%以下であることを特徴とする接着剤組成物。
  2. 接着性組成物を溶解する溶剤に対する接着性樹脂全体の溶解速度よりも、上記溶剤に対する前記低分子量樹脂の溶解速度の方が大きいことを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記低分子量樹脂が接着性を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. フィルム上に、請求項1〜の何れか1項に記載の接着剤組成物を含有する接着剤層を備えることを特徴とする接着フィルム。
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