JP5274093B2 - 超音波映像装置および超音波映像方法 - Google Patents

超音波映像装置および超音波映像方法 Download PDF

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Description

本発明は、超音波映像装置および超音波映像方法に関し、特に、音響インピーダンスが異なる少なくとも2つの物質が極薄い厚みで多層構造にて形成される被検査体の内部の剥離やボイド等の欠陥の有無を精度よく検出・判定するのに好適な超音波映像装置および超音波映像方法に関するものである。
一般的に物質内部の剥離やボイド等の欠陥を超音波で検出するには、音響インピーダンス(「密度×音速」で定義される)の違いによる反射特性を利用する。具体的には、欠陥部からの反射エコーの強度変化または位相変化を検出することによって、物体内部に存する欠陥の有無を把握することが可能となる。物体内部において、音響インピーダンスの大きい物質から音響インピーダンスの小さい物質に超音波が入射されると、2つの物質の境界面で超音波が反射する。超音波の反射波の位相は、超音波の入射波の位相に比較して、180°変化する。例えば固体物質から水や空気等の音響インピーダンスの小さい物質へ超音波が入射すると、図6に示すように、入射波に対応する入射信号101に対して、剥離等からの反射波に対応する反射信号102は、その位相が180°シフトする、すなわち反転する。従って、反射信号102の位相が入射信号101の位相に対して反転しているかまたは非反転であるかを判断することにより、超音波を利用して物体内部における欠陥の有無を検出することができる。
上記の物理現象を利用した従来技術として特許文献1に記載された欠陥検査装置がある。この欠陥検査装置は、超音波を被検査体に当て、その反射エコーを取得して被検査体の内部構造を検査する超音波映像装置である。当該欠陥検査装置では、非反転信号と反転信号の波形で、それぞれ、正ピークの最大値と負ピークの絶対値の最大値とを検出し、これらの2つの最大値を比較する。そして、反転した反射波に対応する負ピークの絶対値の最大値が、正ピークの最大値よりも大きいときには、物体内部に剥離やボイド等の欠陥が存在すると判定される。その判定結果は、表示装置の画面上に2次元画像等として表示される。
特公平7−18842号公報
上記の従来ある超音波映像装置による検査では、被検査体からの反射波としては、被検査体の表面で反射する反射波、内部の欠陥で反射する反射波、裏面で反射する反射波等が存在する。通常、超音波映像装置の信号処理部では、入力信号が戻ってくる時間帯を想定してゲートを設定し、当該ゲートを介して本来の欠陥反射波に係る反射信号のみを取り出すようにしている。
しかし、このような超音波映像装置による検査手法では、本来抽出すべき欠陥反射波に係る反射信号が他の反射信号と明確に区別することができない場合がある。
例えば、図7に示すように、被検査体111が異なる複数の物質をそれぞれ積層し、多層構造112を形成する場合には、次のような問題が生じる。なお図中、113は超音波探触子、114は水である。多層構造112の複数の物質はそれぞれ異なる音響インピーダンスを有するものである。かかる多層構造を有する被検査物111において、多層構造112の中に剥離やボイド等の欠陥がある場合、欠陥からの反射波の中には、異なる各層の中で生じた反射波、すなわち多重反射波成分が含まれることになる。このような多重反射波成分は、各層の音響インピーダンスが異なるために層の境界部で発生するものであり、時間軸上で反射波信号の尾引きが生じる原因となる。ここで「尾引き」とは、時間軸上に生じた信号波形の後縁が減衰することなく持続する状態をいう。例えば、被検査体111の多層構造112において各層の厚さが数十μm程度になると、入射波として数百MHz以上の高い周波数によるパルス波形の超音波を照射しても、尾引きにより各層の境界部で生じる反射波が時間軸上で重なり、各層で生じた反射波に係る反射信号を分離することができない。このため、上記した従来の超音波映像装置の検査手法では、多重構造を有する被検査体111には適用することができない。
上記の超音波映像装置の検査方法は、多重構造の被検査体以外にも、厚みがごく薄い被検査体に対して同様な問題が生じる。すなわち、表面反射に係る反射信号と欠陥反射波に係る反射信号とを分離することができない場合にも同様な問題が生じる。
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、例えば音響インピーダンスが異なる複数の物質が極薄い厚みで層状に形成されて成る多層構造を含む被検査体内の剥離やボイド等の欠陥を常に正確に再現性よく安定して検出し、明瞭に画像化することができる超音波映像装置および超音波映像方法を提供することにある。
本発明に係る超音波映像装置および超音波映像方法は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
第1の超音波映像装置(請求項1に対応)は、被検査体との間で超音波の送受信を行う超音波探触子と、この超音波探触子を駆動するためのパルス電圧を出力すると共に超音波探触子が受信した被検査体からの反射信号を入力するパルス送受信回路と、このパルス送受信回路から出力される反射信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と、このA/D変換器でA/D変換された反射信号を波形データとして所定の演算処理を実行する演算処理手段と、この演算処理の結果を表示する表示装置とを備え、超音波探触子が、音響インピーダンスの異なる各層の厚みが5〜130μmの範囲内にある多層構造で形成された被検査体との間で、25〜100MHzの周波数を有する超音波の送受信を行う超音波探触子であり、演算処理手段が、波形データをFFT処理しパワースペクトルを算出するFFT処理部と、被検査体正常部に関するパワースペクトルを基準パワースペクトルとして記憶する記憶部と、FFT処理により算出されたパワースペクトル上でパワースペクトル値が低下しているディップ周波数およびこのディップ周波数におけるパワースペクトル値を算出する第1演算部と、基準パワースペクトルを記憶部から読み出し当該基準パワースペクトル上のディップ周波数に対応するパワースペクトル値を算出する第2演算部と、第1演算部により算出したパワースペクトル値と第2演算部により算出したパワースペクトル値との差を求める第3演算部と、この第3演算部により算出されたパワースペクトル値の差に基づき表示装置に表示する画像データを生成する第4演算部とを有し、基準パワースペクトルが、被検査体の検査部位からの反射信号をFFT処理部でFFT処理し算出されるパワースペクトルに対し、パワースペクトル値低下部分を補正して得られるパワースペクトルであるように構成される。
第2の超音波映像装置(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、基準パワースペクトルが、被検査体の正常部位からの反射信号をFFT処理部でFFT処理し算出されるパワースペクトルであることを特徴とする。
の超音波映像装置(請求項に対応)は、上記の構成において、好ましくは、演算処理手段が、ディップ周波数と、被検査体の各層の厚さと、各層における超音波速度とに基づき、被検査体内部に存在する欠陥の深さ方向の位置を同定する第5演算部を有することを特徴とする。
本発明に係る超音波映像装置および超音波映像方法によれば、多層構造で形成される被検査体内に欠陥があり、当該欠陥からの反射超音波で欠陥を画像化する場合、多重反射による干渉に起因して生じるパワースペクトル上でのディップ(信号レベルの低下)を積極的に利用するようにしたため、例えば音響インピーダンスが異なる複数の物質が極薄い厚みで層状に形成された多層構造の内部の欠陥であっても、正確に再現性よく安定して検出し、明瞭に画像化することができる。
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る超音波映像装置の主要部の構成を示している。パワーディバイダ10を経由してパルス送信機11から超音波探触子13に高周波成分を含むパルス状の電圧が印加される。高周波成分を含むパルス状電圧の周波数帯域は例えば25〜100MHzである。超音波探触子13は、印加されたパルス状電圧により、その圧電振動子(図示せず)が駆動される。その結果、被検査体14に対して、水等の媒質18を経由してパルス状の超音波を発射する。被検査体14に照射された超音波は、被検査体14の表面から底部に向かって被検査体14の内部に伝播する。被検査体14に照射された超音波は、表面、底面、音響インピーダンスが異なる2つの物質の境界部、内部に存する剥離やボイド等の欠陥によって反射される。被検査体14での反射で生じた超音波(反射超音波)は、反射波(反射エコー)として再び超音波探触子13に戻り、この超音波探触子13で電気信号に変換される。超音波探触子13から出力された電気信号は、再びパワーディバイダ10を経由してパルス受信機12に入力される。反射エコーに係る電気信号はパルス受信機12で受信され、増幅される。パルス受信機12から出力された電気信号は、A/D変換器15でディジタル化され、信号処理演算部16において後述する演算処理を実行し、欠陥に係る画像を表示装置17の画面に表示する。
本実施形態において検査対象となる被検査体14は多層構造21を含んでいる。多層構造21は、例えば音響インピーダンスが異なる少なくとも2つの物質が所定の厚みで積層されて形成されている。層の数は少なくとも2つであり、それ以上であってもよい。各層が5〜130μmの範囲に含まれる極薄い厚みの場合、例えば100MHz程度の超音波が使用される。このような多層構造21を有する領域では、被検査体14の表面から超音波が入射されると、音響インピーダンスの異なる層の境界部で超音波が反射する。多層構造21で各層の音響インピーダンスが異なる場合には、すべての境界部で超音波が反射し、この反射した超音波は超音波探触子13に戻る。
また、被検査体14の内部において、いずれかの層に剥離やボイド等の欠陥があると、当該欠陥においても超音波が反射され超音波探触子13に戻る。
上記のごとき多層構造21を内部に有する被検査体14に対して超音波を照射すると、複数の境界部および欠陥で反射し、さらに被検査体14の表面および底面でも反射する。この反射でも反射超音波が生じ、超音波探触子13に戻る。このように表面、欠陥、境界部、底面等から複数の反射超音波が超音波探触子13に戻るが、それぞれの部位は、極めて接近しているため、反射した複数の超音波の間で干渉が生じる。複数の超音波が干渉すると、一部の周波数領域で信号レベル(パワースペクトル値)が弱まるという現象(ディップ)が生じる。特に、層中にある欠陥で反射された超音波は、表面や境界部からの反射超音波と干渉し易いため上述したディップが生じ易くなっている。
次に、図2〜図5を用い信号処理演算部16での演算処理について詳述する。
図2(A)は被検査体14内の多層構造21での超音波の反射状況を模式的に示した図であり、図2(B)は反射信号の波形、図2(C)は反射信号のパワースペクトルを示す。図3は信号処理演算部16の機能を示すブロック構成図(演算処理フロー)を示し、図4は演算処理のフローチャート図である。なお、説明の都合上図2(A)に示すように、被検査体14は多層構造21のみから形成されているものとし、表面21aが媒質18(水)で覆われているものとする。
図2(A)に示すように、超音波探触子13から被検査体14に対してパルス状の超音波31を照射し、被検査体14の内部の多層構造21内に欠陥32(この例では剥離欠陥)があると、当該欠陥32で超音波が反射する(反射超音波駅r)。またこの図では、多層構造21の表面21aで反射する反射超音波rのみを示している。さらに、被検査体14の多層構造21は、例えば、33は厚さl1のシリコン層、34は厚さl2の高分子フィルム層であり、シリコン層33と高分子フィルム層34が対となった3段の積層構造を形成している。欠陥32はちょうど2層目のシリコン層33と高分子フィルム層34の間に生じている。
図2(B)に示す反射信号35の波形は時間軸に対する信号レベルの変化を示す。図2(C)に示すパワースペクトル36は、横軸が5〜95MHzの範囲の周波数軸、縦軸がパワースペクトル値(強度)である。
ここで、2つの反射超音波rが干渉し、前述したディップが生じる理由を詳述する。
被検査体14は複数の層から成る多層構造21であり、反射信号35(以下の説明では便宜的に「R」と記す)は、各層で多重反射が生じるものの被検査体14の多層構造21の表面21aからの反射成分(r)と剥離欠陥32からの反射成分(r)が最も寄与し、次式(1),(2),(3)のように近似される。
R=r+r …(1)
=Aexp(−γ) …(2)
=Aexp(−γ−2γ×2−2γ+jπ)…(3)
ここで、A,Aは振幅係数、γは媒質18である水の伝搬定数、γはシリコンの伝搬定数、γは高分子フィルムの伝搬定数、lは水中内の伝搬距離である。位相項exp(jπ)は、剥離欠陥32から超音波が反射する際に位相が180°反転することを意味する。またγ,γ,γは次のように表される。
γ=α+jβ …(4)
γ=α+jβ …(5)
γ=α+jβ …(6)
ここでα,α,αおよびβ,β,βは、それぞれ、水、シリコン、高分子フィルムの減衰定数および位相定数である。反射信号Rの振幅|R|は、上記の(1)〜(6)式を用いて次式のように展開される。
|R|=|rw+rs
=|A|・exp(−α・l)・exp(−jβ ・l )
1+|A|/|A|・exp(−4α・l)・exp(−2α
)・exp{j(−2β・l×2−2β・l+π)} …(7)
上記の(7)式において干渉に寄与する位相回転は、「(−2β×2−2β+π)」であり、反射信号35の信号レベルが弱まる位相条件は次式のようになる。
−2β×2−2β+π=−π,−3π,−5π,・・・ …(8)
シリコンの縦波音速をv、高分子フィルムの縦波音速をvとすると、任意の周波数fに対し、β,βは次式のように表される。
β=2πf/v …(9)
β=2πf/v …(10)
(8)〜(10)式を用いると、干渉により信号レベルが弱まるディップ周波数fは次のように記述される。
=v・v/(4l+2l),
2v・v/(4l+2l),・・・・・・ …(11)
シリコン層33の厚さl1を30μm、高分子フィルム層34の厚さl2を20μmとすると、シリコン、高分子フィルムの縦波音速がそれぞれ8400m/s、2460m/sであり、fは上記の(11)式より32.7MHz、65.4MHz、・・・となる。図2(C)に示す例では32.7MHzにおいて大きなディップ36aが現れている。
以上のように、多層構造21を有する被検査体14の欠陥検査にでは、反射波に干渉が生じ、反射信号35から欠陥32に起因する反射超音波rのみに関連する反射信号を抽出することが困難であり、反射信号35を用い、従来ある手法で欠陥を検出することができない。そこで本発明では、上記のディップ36aに関する情報を用い欠陥画像に係るデータを作成し、画像表示を行う。
次に、図3、図4を用い、信号処理演算部16での演算処理について説明する。
図3において、符号41は仮想的に2次元平面で表現されたエコー強度画像を示している。このエコー強度画像41では、上記の欠陥32に対応する領域(欠陥領域)42と、それ以外の正常部に対応する領域(正常部領域)43とが示されている。正常部領域43での反射超音波に基づいて生じた反射信号を符号44で示し、欠陥領域42での反射超音波に基づいて生じた反射信号を前述と同じ符号35で示す。反射信号44を拡大すると図5(A)に示すごとくなり、反射信号35を拡大すると図5(B)に示すごとくなる。正常部領域43での反射超音波に基づいて生じる反射信号44では欠陥32に対応する干渉が生ぜず、欠陥領域42での反射超音波に基づいて生じる反射信号35では干渉が生じる。
以下、図4に示すフローチャートを用い演算処理について詳述する。反射信号35もしくは反射信号44は、A/D変換器15よりディジタル波形データに変換される(ステップS11)。これらの波形データは、信号処理演算部16に入力される(ステップS12)。信号処理演算部16は、図3に示すようにFFT演算部(高速フーリエ変換演算部)45を備えている。FFT演算部45は、信号処理演算部16に入力された反射信号に係るディジタル波形データに対してFFT解析を行う(ステップS13)。このFFT解析に基づき反射信号についてのパワースペクトルを求める(ステップS14)。信号処理演算部16には、正常部領域43に対応して生じる反射信号44、および欠陥領域42に対応して生じる反射信号35がそれぞれ入力されるので、正常部領域43に対応して生じる反射信号44の波形データ、および欠陥領域42に対応して生じる反射信号35の波形データのそれぞれについてのパワースペクトルの特性データを得ることができる。
図3では、正常部領域43に対応して生じる反射信号44の波形データについてのパワースペクトル51と、欠陥領域42に対応して生じる反射信号35の波形データについてのパワースペクトル52とが、グラフとして表示されている。正常部領域43に対応するパワースペクトル51では、周波数の軸に対して次第に信号レベル(パワースペクトル値)が大きくなり、その後小さくなる特性を有している。これに対して欠陥領域42に対応するパワースペクトル52は、周波数に対してほぼ同形の信号レベルの変化特性を有しながら、かつ周波数fで干渉に起因するディップ52aが生じている。なお、パワースペクトル51ではディップは生じていない。
上記の反射信号44の波形データについてのパワースペクトル51に係るデータ、および反射信号45の波形データについてのパワースペクトル52に係るデータは、信号処理演算部16内のメモリ(図示せず)に保存される(ステップS15)。
次のステップS16では、パワースペクトル52に係るデータからディップ52aを検出し、当該ディップに対応するディップ周波数fを抽出する。図3において、ディップ周波数fは、f抽出部53によって抽出されるように、図示されている。ステップS16の内容は、f抽出部53の機能に対応する。そして、抽出されたディップ周波数fに関してパワースペクトル52におけるパワースペクトル値P(f)が求められる(ステップS17)。その後、パワースペクトル51に係るデータにおいて、ディップ周波数fに対応するパワースペクトル値を基準パワースペクトル値Prefとして算出する(ステップS18)。
なお、正常部領域43からの反射信号44に関するパワースペクトル51を基準パワースペクトルとして予め抽出し、この基準パワースペクトルを用い、基準パワースペクトル値Prefを求めるようにしても良い。
次の手順(ステップS19)では、差分演算、すなわちΔP(x,y)=Pref−P(f)の計算が実行される。この差分演算では、正常部領域43からの反射信号44に関する基準パワースペクトル値Prefと座標(x,y)におけるパワースペクトル値P(f)との差が算出されている。この差分演算では、正常部領域43に含まれる点に関してはΔP(x,y)はほぼ0になり、欠陥領域42に含まれる点に関してはΔP(x,y)はディップ52aに起因して差が生じる。次に、ステップS19の差分演算で得られた差分ΔP(x、y)を用い、表示装置17上に画像化表示を行う(ステップS20)。図3に示す画像55において、符号56が剥離欠陥42に対応する画像となる。
以上詳述したように、欠陥からの反射信号は、各層の境界面からの多重反射により干渉現象を生じ、その結果そのパワースペクトルにおいて信号レベルの低下、いわゆるディップを生じる。このディップ周波数に対応するパワースペクトル値と、正常部領域から得られる基準パワースペクトルにおけるディップ周波数に対応する基準パワースペクトル値との差をとり、画像化を行う。本実施形態による演算処理によれば、多層構造21の内部からの反射信号において干渉により検出できなかった剥離やボイド等の欠陥を明確に検出することができる。
また本発明によれば、ディップ周波数fと、被検査体14の多層構造21の各層の厚さと、超音波探触子13から与えられる超音波の音速を用いて、被検査体14内の多層構造21における剥離欠陥34の深さ方向の位置を同定することができる。
図2に示すごとき2種類の物質で形成されている多層構造の場合、ディップ周波数fを用い、前述の式(8)は次のようになる。
−2(2πf/v)l×n−2(2πf/v)l×m+π
=−π,−3π,−5π,・・・ …(12)
ここで、nはシリコン層、mは高分子フィルム層についての、それぞれ任意の整数であり、剥離やボイド等の欠陥の深さ方向の位置を(nl+ml)として同定することができる。
なお、上記の実施形態では、正常部からの反射信号に対しFFT解析を行い、基準パワースペクトルを求めたが、例えば、欠陥からの反射信号に係るパワースペクトルのディップ部位を最小二乗法等により滑らかな曲線に補正し、これを基準パワースペクトルとして用いることもできる。また予めシミュレーション等により理論上の基準パワースペクトルを定めておくこともできる。また、欠陥に起因して生じる反射信号のパワースペクトル上の複数の点を参照して抽出することもできる。
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)等については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
本発明に係る超音波映像装置等は、内部に多層構造を有する被検査体であって多層構造内の欠陥からの反射信号に基づき画像化しようとする場合に、当該反射信号で干渉が起きているときの画像化において有効に利用することが可能である。
本発明に係る超音波映像装置の全体的構成を示すブロック構成図である。 被検査体内の多層構造(A)と、多層構造内の欠陥に起因して生じる反射信号の波形(B)と、そのパワースペクトル状態(C)とを示す図である。 本発明に係る超音波映像装置における画像化のための処理フローを示すブロック図である。 本発明に係る超音波映像方法の処理の流れを示すフローチャートである。 正常部領域に係る反射信号と欠陥領域に係る反射信号の各波形を示す波形図である。 超音波映像装置における入力信号と剥離等からの反射信号とを示す波形図である。 内部に多層構造を有する被検査体を示す図である。
符号の説明
10 パワーディバイダ
11 パルス送信機
12 パルス受信機
13 超音波探触子
14 被検査体
15 A/D変換器
16 信号処理演算部
17 表示装置
21 多層構造
31 超音波
32 欠陥
33 シリコン層
34 高分子フィルム層
35 反射信号
36 パワースペクトル特性
36a ディップ
51 正常部に対応する反射信号のパワースペクトル
52 剥離欠陥に対応する反射信号のパワースペクトル

Claims (2)

  1. 被検査体との間で超音波の送受信を行う超音波探触子と、この超音波探触子を駆動するためのパルス電圧を出力すると共に前記超音波探触子が受信した前記被検査体からの反射信号を入力するパルス送受信回路と、このパルス送受信回路から出力される前記反射信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と、このA/D変換器でA/D変換された前記反射信号を波形データとして所定の演算処理を実行する演算処理手段と、この演算処理の結果を表示する表示装置とを備えた超音波映像装置において、
    前記超音波探触子が、音響インピーダンスの異なる各層の厚みが5〜130μmの範囲内にある多層構造で形成された前記被検査体との間で、25〜100MHzの周波数を有する前記超音波の送受信を行う超音波探触子であり、
    前記演算処理手段が、前記波形データをFFT処理しパワースペクトルを算出するFFT処理部と、前記被検査体正常部に関するパワースペクトルを基準パワースペクトルとして記憶する記憶部と、前記FFT処理により算出されたパワースペクトル上でパワースペクトル値が低下しているディップ周波数およびこのディップ周波数におけるパワースペクトル値を算出する第1演算部と、前記基準パワースペクトルを前記記憶部から読み出し当該基準パワースペクトル上の前記ディップ周波数に対応するパワースペクトル値を算出する第2演算部と、前記第1演算部により算出したパワースペクトル値と前記第2演算部により算出したパワースペクトル値との差を求める第3演算部と、この第3演算部により算出された前記パワースペクトル値の差に基づき前記表示装置に表示する画像データを生成する第4演算部とを有し、
    前記基準パワースペクトルが、前記被検査体の検査部位からの反射信号を前記FFT処理部でFFT処理し算出されるパワースペクトルに対し、パワースペクトル値低下部分を補正して得られるパワースペクトルであることを特徴とする超音波映像装置。
  2. 前記演算処理手段が、前記ディップ周波数と、前記被検査体の各層の厚さと、各層における超音波速度とに基づき、前記被検査体内部に存在する欠陥の深さ方向の位置を同定する第5演算部を有することを特徴とする請求項1記載の超音波映像装置。
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